JPH08300592A - ポストフォーミング積層材 - Google Patents

ポストフォーミング積層材

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JPH08300592A
JPH08300592A JP7166335A JP16633595A JPH08300592A JP H08300592 A JPH08300592 A JP H08300592A JP 7166335 A JP7166335 A JP 7166335A JP 16633595 A JP16633595 A JP 16633595A JP H08300592 A JPH08300592 A JP H08300592A
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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paper (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポストフォーミング積層材の曲げ特性を向上
させるために、ポストフォーミングシートを改良する。 【構成】 ポストフォーミング積層材のポストフォーミ
ングシートは木材パルプから形成される。木材パルプは
硬質木材パルプであり、機械処理によってその繊維がキ
ンキング及びカーリングされている。このポストフォー
ミングシートは高い坪量を有し、好ましい樹脂含浸性及
び樹脂ピックアップを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は紙の改良に関す
る。さらに詳しくは、この発明は良好なポストフォーミ
ング性を有する高圧繊維強化プラスチック積層材及び低
圧繊維強化プラスチック積層材を製造するための樹脂吸
収紙に関する。
【0002】
【従来の技術】ポストフォーミング積層材は、プレスで
硬化させた後に一つの軸に沿って再加熱して曲げ加工す
ることによって、前方又は後方のいずれかに滑らかな傷
のない湾曲面を有する積層材製品に成形することのでき
る積層材である。ポストフォーミングされた積層材製品
の一例が図1に示されている。前方の曲げ部1(ブルノ
ーズベンド(bullnose bend) と呼ばれることもある)
は、積層材の装飾サイドすなわち装飾層3が伸張状態に
ある場合には、一般に6mm〜12mm(1/4 inch - 1/2 in
ch) という大きい曲率半径を有する。タイトベンドすな
わち曲率半径の小さい曲げ部は、曲げ加工中や製品の使
用中において損傷を受け易く、修復に多大な費用を必要
とする程度まで破損してしまうこともある。伸張状態に
ある装飾層を1.5mm〜4.7mm(1/16 inch - 3/16 in
ch) という極めて小さい曲率半径で曲げようとしても、
たいていの場合うまくいかない。これは、装飾層の破断
伸びが低いのに対して引張り応力が高いからである。こ
のため、積層材の前方の曲げ部においては、一般に、そ
の曲率半径は大きく設定されている。逆に、積層材の後
方の曲げ部2は、積層材の装飾層3が圧縮状態にあっ
て、積層材のコアサイドすなわちコア層4(図2及び図
3には、それぞれ、内部コアシート5とこれを被覆する
二枚のポストフォーミングシート6より成るもの及び内
部コアシート5とこれを被覆する一枚のポストフォーミ
ングシート7より成るものが示されている)が伸張状態
にある場合には、一般に極めて小さい曲率半径でポスト
フォーミングすることができる。これは、積層材のコア
層4のシートはフェノール樹脂又はフォルムアルデヒド
樹脂が含浸されるため、このコア層4において適切な紙
を使用したり樹脂改質効果を利用することにより、コア
層4の破断伸びを高くして引張り応力を低く(装飾層3
と比較して)することができるからである。極めて小さ
い曲率半径で曲げることのできるもう一つの理由は、コ
ア層4の被覆層(伸張層)を改良することによって、曲
げ加工中に発生する引張り歪に十分耐え得る積層材を形
成することができるからである。要約すると、装飾用の
ポストフォーミング積層材は、装飾層又はコア層が伸張
状態及び圧縮状態のいずれの状態にあっても、曲げ加工
可能でなくてはならない。
【0003】装飾用のポストフォーミング積層材の曲げ
特性を向上させるための試みは数多く成されてきた。従
来技術においては、装飾用の積層材の前方における曲げ
性を向上させるために種々の改良が試みられている。前
方の曲げ部の曲げ特性は、シート用の紙料を変更するこ
とによって改良することが可能である。たとえば、米国
特許第3,327,084 号には、きめの細かい繊維(細くて長
い繊維)は粗い繊維すなわち太い繊維よりも優れている
ことが示されている。また、積層材の表面にクラックが
形成される原因となるひび割れすなわちクレージングの
抑制作用の面でも、きめの細かい繊維は注目されてい
る。きめの細かい短い繊維種(たとえば、硬質木材)は
ポストフォーミング特性において劣るとされている。さ
らに、ナイロン、アクリル繊維等の太番手の合成繊維を
35%から100%の割合で含有する紙を使用すると、
クレージングが抑制されることも実証された。この技術
は実施可能であるけれども、繊維長が長くてきめの細か
い天然繊維は幼木又は成長の遅い北部種の木材から得ら
れるものであるため、その使用は自ずと制限され、ま
た、その代わりに合成繊維を使用するとコストが高くな
るという欠点がある。
【0004】積層材のポストフォーミング特性、特に、
前方の曲げ部(ブルノーズベンド)におけるポストフォ
ーミング特性を向上させるための第二の手段は、装飾層
に含浸されるメラミン樹脂の改質による装飾層の改良で
ある。装飾層に対する改良方法としては、カプロラクタ
ムを用いた方法(米国特許第2,584,177 号)、グルコシ
ドを用いた方法(米国特許第2,773,788 号)、カーバメ
ートを用いた方法(米国特許第2,937,966 号)、マナテ
ィンを用いた方法(米国特許第3,194,723 号)、エポキ
シを用いた方法(米国特許第4,046,937 号)、ポリエチ
レングリコールを用いた方法(米国特許第4,405,690
号)等がある。一部の従来技術の中には、コアシートに
含浸されるフェノール樹脂を改質しているものもある。
その場合の改質手段としては、カナダ特許第778,750 号
に開示されているように、水又はグリセロールが使用さ
れている。このような改質により、コアシートに大きい
圧縮破壊強度が付与され、前方曲げ部の特性が向上する
ため、結果的に、装飾層における引張り歪みが低下す
る。また、カナダ特許第894,859 号においては、フェノ
ール樹脂の共反応体としてグリコール及び脂肪酸が使用
されている。しかしながら、いずれの場合も、その目的
は前方曲げ部の外観を向上させることにある。
【0005】現在市販されているポストフォーミング積
層材はその裏面に一枚又は複数枚の軽量シートが設けら
れている。すなわち、図2に示されているように、積層
材は基本的には装飾層3とコア層4とから成り、コア層
4はコアシート5とその裏面に設けられた軽量のポスト
フォーミングシート6とから成っている。この場合にお
いて、ポストフォーミングシート6はきめの細かい北部
種の軟質木材から形成された多層サック紙(multi-walle
d sack paper) である。一般に、紙のシートを積層材の
ポストフォーミングシートとして用いる場合には、紙の
シートは高いCDストレッチ(交差方向の伸び)を有す
る必要があると言われている。この種の紙は、122g/
m2(75 lbs./3000 ft2)という低い坪量の紙として、カナ
ダ、アルバータ州、ラパスのリパップ・インダストリー
ズ(RePap Industries)から入手可能である。このような
紙の主な用途は積層材ではなくバッグストック(bag sto
ck) である。この紙は積層材に対して優れた曲げ特性を
付与することが知られているけれども、被処理性が低い
(シートの構成に起因)、坪量が低いといった欠点を有
している。厚さ約0.94mm(0.037 inch)の標準的なホ
リゾンタルグレード(horizontal grade)のポストフォー
ミング積層材の場合、ポストフォーミングシートはコア
層の重量の約1/3を占め、122g/m2(75 lbs./3000
ft 2)のシートを2枚使用する必要がある。したがって、
244g/m2(150 lbs./3000ft2) のシート1枚が使用さ
れる場合に比べて2倍の処理が必要になる。さらに、軽
量の紙は伸長可能なシートとして設計されているので、
積層材の寸法安定性を低下させる傾向にある。坪量の低
い複数のシートを使用すると、積層材の組み合わせに際
して、揃え合わせのためのコストが必要となる。このた
め、現在市販されている製品は比較的生産性が低く、コ
ストも高くなっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、現
在市販されている積層材における欠点を解消することの
できるシート及びそのシートを用いた積層材を開発する
ことである。この発明の別の目的は、軽量シートと比較
して処理が容易であるだけでなく積層材の低コストに寄
与し得る坪量の高いシート及びそのシートを用いた積層
材を開発することである。この発明のさらに別の目的
は、坪量が高く樹脂含浸性の低いポストフォーミングシ
ート及びそのシートを用いた積層材を開発することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の積層材は、装
飾層と、コアシート及びポストフォーミングシートを含
むコア層とを有する。ポストフォーミングシートは木材
パルプから形成され、130g/m2から505g/m2(80 lb
s./3000 ft2 から310 lbs./3000 ft2)の坪量を有すると
ともに、24N/mm2(3.5 kpsi) 未満の引張り応力及び1
%から3%の交差方向の伸びを有する。木材パルプは精
砕された木材パルプであり、この精砕された木材パルプ
はその繊維をキンキング及びカーリングさせるために少
なくとも0.0394kWh/kg(2 hp-days/ton) の機械エ
ネルギを加えることによって機械処理されている。
【0008】
【発明の実施の形態】ポストフォーミングシートを形成
するための木材パルプとしては精砕されたものでも精砕
されていないものでもよく、軟質パルプを主体とするパ
ルプでも硬質パルプを主体とするパルプでもよい。精砕
されたパルプが使用される場合には、機械処理における
機械エネルギは少なくとも0.0591kWh/kg(3 hp-da
ys/ton) であることが望ましい。精砕されていないパル
プが使用される場合には、機械処理における機械エネル
ギは少なくとも0.0788kWh/kg(4 hp-days/ton) で
あることが望ましい。軟質木材パルプを主体とするパル
プが使用される場合には、ポストフォーミングシートの
坪量は130g/m2から300g/m2(80 lbs./3000 ft2
ら185 lbs./3000 ft2)である。硬質木材パルプを主体と
するパルプが使用される場合には、ポストフォーミング
シートの坪量は160g/m2から305g/m2(99 lbs./300
0 ft2 から189 lbs./3000 ft2)であり、その引張り応力
は17.2N/mm2(2.5 kpsi) 未満である。この発明の内
容は以下の実施例の説明から十分に明らかになるであろ
う。
【0009】
【実施例】以下、この発明の実施例について説明する。
なお、この発明は装飾用のポストフォーミング積層材の
構成に関する。この発明は、さらに、ポストフォーミン
グ積層材の曲げ特性の向上に寄与し得るポストフォーミ
ングシート及びその製造方法に関する。この発明のポス
トフォーミングシート(以下、単に「シート」ともい
う)は積層材の構成要素として使用することによってそ
の積層材に良好な曲げ特性を付与し得るものであり、こ
のシートを有する積層材は3mm(1/8 inch)という極めて
小さい曲率半径で曲げることができ、その際、クラッキ
ングやクレージングがほとんど発生しない。この発明の
積層材はコア層4とこのコア層4に設けられた装飾層3
とから成り、コア層4が装飾層3に接するコアシート5
とこのコアシート5に接するポストフォーミングシート
7とから成っている。この積層材においては、図3に示
されているように、シート7は一枚の坪量の高いシート
である。この点が、二枚のシートを使用している図2の
積層材と異なる点である。この発明の目的を達成するた
めに、シート7は装飾層3から最も遠い位置すなわち積
層材の裏面に設けられている。積層材に関わっている当
業者にとっては周知のように、積層材が形成された後に
おいて、サンドオフシート(sand-off sheet)又はサンド
オフシートの一部は最も外側のコアシート5上に残され
る。なお、積層材の曲げ特性をより向上させるために、
コア層4におけるシート7は複数枚としてもよい。さら
に、この発明のシート7は現行の軽量シートに比べて優
れた(より早い)被処理性を有している。
【0010】本出願人の米国特許出願第188,718 号に
は、主として南部米松(southern loblolly pine)から得
られるきめが粗くてカッパー価が高い軟質木材のパルプ
を使用して、積層材に良好な曲げ特性を付与し得るポス
トフォーミングシートを製造する方法が開示されてい
る。これに対して、本願発明の方法においては、短い繊
維(硬質木材の繊維)を選択的に使用して、軟質木材の
繊維から形成したポストフォーミングシートと同程度の
特性を発揮し得るシートを形成している。驚くべきこと
に、短い繊維から形成したシートは曲げに関して良好な
特性を有するだけでなく、その樹脂含浸性は低く、より
コントロールされている。この結果は、長い繊維から形
成されたシートが最も良好な特性を有するという従来の
認識を覆すものである。
【0011】本願発明においては、積層材の構成要素と
して使用されるポストフォーミングシートは一枚のシー
トであり、最も外側のコアシートに接して配置されてい
る。なお、積層材の形成に際して、剥離シートを使用し
てもよい。使用される硬質木材の処理には、その木材の
繊維に対して重度のカーリング(巻き)作用及びキンキ
ング(ねじり)作用を効率的に付与し得る装置が使用さ
れる。カーリング作用及びキンキング作用を付与し得る
処理装置は多数知られており、たとえば、フロッタパル
パーズ(Frotapulpers, Ingersoll-Rand)、ケミファイナ
ーズ(Chemifiners, Black-Clawson)、マイカー・ミキサ
ーズ(Micar Mixers, Black-Clawson) 、プレッサファイ
ナーズ(Pressafiners, Andritz Sprout-Bauer)等を挙げ
ることができる。この発明におけるポストフォーミング
性を向上させるための手段は、上記のような装置を使用
して木材のパルプを処理することによって得られるカー
リング及びキンキングされた繊維を使用してシートを形
成することである。この点が現在の市販品と明確に異な
る点である。なお、市販品においては、高いCDストレ
ッチを得るために非制限乾燥やクレーピング(しぼ寄
せ)等の処理を施したものが用いられている。この発明
のシートは約1%から約4%のCDストレッチを有する
が、非制限乾燥を経た材料から形成されたシートのCD
ストレッチは5%から7%であり、クレーピング処理を
経た材料から形成されたシートに至ってはその値は25
%と高くなっている。また、この発明のシートのMD
(機械の送り方向)/CD(交差方向)張力比すなわち
張力係数は市販品のそれよりも低い。市販品が原料とし
ているパルプはフロッタパルパーで処理されたものと推
定されるが、この装置による処理ではパルプに対して十
分な機械的作用(機械的エネルギ)が付与されないた
め、良好なポストフォーミング特性が得られない(表1
の試料2及び3)。その他、カーリングされた繊維を形
成することができる高コンシステンシー装置(たとえ
ば、高圧、高コンシステンシーのリファイナ)も当業者
には周知の装置である。
【0012】この発明においては、パルプはその繊維に
対してカーリング作用及びキンキング作用を付与し得る
処理装置で処理される。十分にカーリング及びキンキン
グされた繊維を使用するとシートのポストフォーミング
性が向上する理由については、確かな理論があるわけで
はないが、カーリング及びキンキングされた繊維はシー
ト内におけるバルクストレッチ(bulk stretch)を増大さ
せないため、これが積層材のポストフォーミング性に良
い影響を及ぼす要因になっていると思われる。軟質木材
の繊維から形成されたシートにおいては、その繊維原料
中に含まれるカーリング及びキンキングされた繊維の量
の増加に伴う引張り応力の低下が著しいが、硬質木材の
繊維から形成されたシートにおいては、それほど著しい
引張り応力の低下を伴わない(表3)。このことから、
良好な曲げ特性を有するシートを得るためには、パルプ
に対して十分な量のエネルギーを与えて繊維を十分にカ
ーリング及びキンキングする必要があることが分かっ
た。
【0013】繊維に対するカーリング及びキンキングが
その繊維から得られる紙に及ぼす影響については、TA
PPI, 60, No. 4, 1977, p. 114; TAPPI, 62,
No.9, 1979, P.99; TAPPI, 63, No. 6, 1980, p.
113 に掲載されたページ(Page)外の論文に述べられて
いる。カーリング及びキンキングされた繊維は低い引張
り応力を有し、実質的には零負荷繊維(zero-load beari
ng fiber) である。このような繊維は伸長した状態で負
荷に耐えることができるばねとして機能する。また、こ
のような繊維にはクラックの伝播を抑制する作用もあ
る。これは、繊維に応力が加わると、この応力は繊維を
リストレッチング(繊維のカーリング及びキンキング状
態を元の状態に戻すこと)させる力として消費され、繊
維やマトリックスが直接破壊されるには至らないからで
ある。硬質木材の繊維から形成されたシートの引張り応
力は所定の繊維含有率においてはそれほど小さくはない
が、紙の引張り応力における他の制御因子はシート内に
発生する繊維間結合の量である。単位重量当たりに含ま
れるきめの細かい繊維の量はかなり多いので、きめの細
かい繊維を含有するシート内に発生する繊維間結合も多
くなる。確かな理論があるわけではないが、これが、曲
げ加工中においてリストレッチング及び微小な破損に対
する抑制機能を発揮するばね状の繊維を含んでいるにも
かかわらず比較的高い引張り応力を生じる要因と考えら
れる。軟質木材の繊維又は硬質木材の繊維のいずれかか
ら形成されたシートにおける引張り応力とカーリング及
びキンキングされた繊維の含有率との関係が表3に示さ
れている。カーリング及びキンキングされた硬質木材の
繊維を使用すると、得られるシートは優れた曲げ特性を
有することに加えて、松の繊維から形成されたシートに
比べて好ましい含浸特性を有する(表5)。したがっ
て、この発明によれば、硬質木材の使用が可能である。
硬質木材の繊維は好ましい含浸特性を有するシートの形
成を可能にするのみならず、好ましい地合のシート(繊
維の局在性が低いシート、すなわち、繊維の分散性が高
いシート)の形成を可能にする。したがって、実施例に
おいては、積層材の最外層を構成するシートを形成する
ために硬質木材ベースの紙料が使用されている。ただ
し、積層材の他の層についてはそのような制限はない。
この実施例においては、積層材の曲げ部の外観は極めて
良い「5」から非常に劣る「1」までの5段階評価を採
用した。各段階の内容は以下の通りである。 5:極めて良い;クレージングの兆候なし 4:非常に良い;ほんの僅かにクレージングが見られる 3:良い;ある程度のクレージングが認められるがクラ
ッキングはない 2:劣る;著しいクレージングが認められ、若干の明瞭
なクラッキングも認められる 1:非常に劣る:明瞭なクラッキングが認められる
【0014】例1 軟質木材を主体とする紙料(軟質木材含有率 ≧80
%)を30.5cm×30.5cm(12 inch×12 inch)の標
準的な試験用手すき装置にかけることによって、坪量2
44g/m2(150 lbs./3000 ft2) 及び261g/m2(160 lb
s./3000 ft2) のシートが形成された。このようにして
形成したシートは静止ウィリアムズ(Williams)プレスを
使用して1N/mm2(135 lbs./in2) の圧力で15分間湿潤
状態でプレスされた。シートは制限リングを使用して一
晩空気乾燥された。その後、シートは53.6kg/cm(30
0 pli)において乾燥状態でカレンダーがけされた。乾燥
状態のシートはフェノール樹脂で処理され、乾燥状態の
シートに対する重量比で24%から37%の樹脂が含浸
された。フェノール樹脂の好ましい含浸率は乾燥状態の
シートに対する重量比で27%から30%である。この
シートは図1に示されているような積層材の構成要素と
して適用され、一枚の軟質木材ベースのシートと共にコ
アシートの最も外側に配置された。コアシートは254
g/m2(156 lbs./3000 ft2) の硬質木材をベースとする二
枚のシートから成っている。装飾層も積層材の構成要素
として使用されている。このようにして形成された積層
材は加熱式の油圧プレスを使用して約7N/mm2 から約
8.3N/mm2(約1000 psiから約1200 psi) の圧力で約5
0分間プレスされた。その時の温度は130℃(265°F)
であった。この積層材はプレスから取り出された後、幅
7.62cm(3 inch)のストリップに切断された。こうし
て得られた積層材のストリップは融点165℃(325°F)
のワックスでマーキングされ、放射放熱器でワックスが
溶けるまで(約30〜35分間)加熱された。次に、こ
のストリップはコアシート側に張力をかけることによっ
て3mm(1/8 inch)の曲率半径で曲げ加工され、その背面
にクレージング等があるか否かが目視によって検査され
た。軟質木材を主体とする紙料から形成されたシートを
構成要素として含む積層材では、中程度の破損度に相当
するクレージングが認められ、その評価結果は、上記評
価段階の「1」又は「2」であった。
【0015】例2 リパップ・インダストリーズ製の坪量122g/m2(75 lb
s./3000 ft2)の二枚の軽量バッグストックシートが使用
された。これらのシートは、例1の場合と同様に、27
%から30%のフェノール樹脂で処理された。これら二
枚のシートは例1における坪量の高いシートに対応し、
例1の場合と同様に、コアシートの最も外側に配置され
た。こうして得られた積層材は、以下、例1と同様にし
て処理され、3mm(1/8 inch)の曲率半径で曲げ加工さ
れ、目視によって検査された。この積層材では、クレー
ジングは認められず、その評価結果は、上記評価段階の
「4」又は「5」であった。
【0016】例3 例2で使用したものと同一の軽量バッグストックシート
が使用された。このシートは数分間にわたって含水処理
することによって湿潤状態にされた後、制限リングを使
用して一晩乾燥された。乾燥されたシートはフェノール
樹脂で処理され、例2の場合と同様に、コアシートの最
も外側に配置された。こうして得られた積層材は、曲げ
加工された後、積層材の背面が目視によって検査され
た。この積層材では、重度の破損度に相当する大きいク
レージングが認められ、その評価結果は、上記評価段階
の「1」又は「2」であった。この結果から、次のよう
なことが言える。つまり、リパップ・インダストリーズ
製のシートは制限下で(交差方向の収縮が発生しないよ
うな状態で)乾燥されると、交差方向の伸びがなくな
り、結果的にその性能が低下する。したがって、このシ
ートの性能を損なわないようにするためには、非制限下
での乾燥が必要である。
【0017】例4〜例12 これらの例は、本願発明において、精砕されていない軟
質木材パルプの処理がどのように実施されるかを示すも
のである。これらの例においては、処理装置としてイン
プレッサファイナー(Impressafiners, Andritz Sprout-
Bauer)が使用された。その結果は表1に示されている。
パルプに対する圧縮比が増大すると、パルプに対する入
力エネルギも増大し、積層材の曲げ特性は飛躍的に向上
する。また、例12から明らかなように、パルプは蒸気
処理等によって温度を上げてから処理することが可能で
あり、処理前に温度を上げた場合でも、積層材の曲げ特
性は良好である。蒸気処理をした場合、所望の効果を得
るためにパルプに加える入力エネルギは、室温のパルプ
を使用する場合に比べてかなり少なくて済む。このよう
に、軟質木材を主体とする木材の繊維から形成されたシ
ートを使用した積層材は所望のポストフォーミング性を
示した。しかしながら、軟質木材を主体とする木材の繊
維から形成されたシートに関する実験では、このシート
は樹脂含浸速度が早いため、積層材の製造工程が制約さ
れた。したがって、同一の機械的な処理基準の下で、異
なる繊維を使用してシートを形成する試みがなされた。
【表1】
【0018】例13 硬質木材を主体とする紙料(硬質木材含有率 ≧80
%)を30.5cm×30.5cm(12 inch×12 inch)の標
準的な試験用手すき装置にかけることによって、坪量2
44g/m2(150 lbs./3000 ft2) 及び261g/m2(160 lb
s./3000 ft2) のシートが形成された。このようにして
形成したシートは静止ウィリアムズ(Williams)プレスを
使用して1N/mm2(135 lbs./in2) の圧力で15分間湿潤
状態でプレスされた。シートは制限リングを使用して一
晩空気乾燥された。乾燥状態のシートはフェノール樹脂
で処理され、乾燥状態のシートに対する重量比で24%
から28%の樹脂が含浸された。フェノール樹脂の好ま
しい含浸率は乾燥状態のシートに対する重量比で27%
から28%である。このシートは図1に示されているよ
うな積層材の構成要素として適用され、一枚の硬質木材
ベースのシートと共にコアシートの最も外側に配置され
た。コアシートは254g/m2(156 lbs./3000 ft2) の硬
質木材をベースとする二枚のシートから成っている。装
飾層も積層材の構成要素として使用されている。このよ
うにして形成された積層材は加熱式の油圧プレスを使用
して約7N/mm2 から約8.3N/mm2(約1000 psiから約12
00 psi) の圧力で約50分間プレスされた。その時の温
度は130℃(265°F)であった。この積層材はプレスか
ら取り出された後、幅7.62cm(3 inch)のストリップ
に切断された。こうして得られた積層材のストリップは
融点165℃(325°F)のワックスでマーキングされ、放
射放熱器でワックスが溶けるまで(約30〜35分間)
加熱された。次に、このストリップはコアシート側に張
力をかけることによって3mm(1/8 inch)の曲率半径で曲
げ加工され、その背面にクレージング等があるか否かが
目視によって検査された。硬質木材の紙料から形成され
たシートを構成要素として含む積層材では、破損が存在
することを示すクラッキング及びクレージングが認めら
れ、その評価結果は、上記評価段階の「1」であった。
【0019】例14 リパップ・インダストリーズ製の坪量122g/m2(75 lb
s./3000 ft2)の二枚の軽量バッグストックシートが使用
された。これらのシートは、例1の場合と同様に、27
%から30%のフェノール樹脂で処理された。これら二
枚のシートは例1における坪量の高いシートに対応し、
例13の場合と同様に、コアシートの最も外側に配置さ
れた。こうして得られた積層材は、以下、例1と同様に
して処理され、3mm(1/8 inch)の曲率半径で曲げ加工さ
れ、目視によって検査された。この積層材では、クレー
ジングは認められず、その評価結果は、上記評価段階の
「4」又は「5」であった。結果は表2に示されてい
る。
【0020】例15 例2で使用したものと同一の軽量バッグストックシート
が使用された。このシートは数分間にわたって含水処理
することによって湿潤状態にされた後、制限リングを使
用して一晩乾燥された。乾燥されたシートはフェノール
樹脂で処理され、例14の場合と同様に、コアシートの
最も外側に配置された。こうして得られた積層材は、曲
げ加工された後、積層材の背面が目視によって検査され
た。この積層材では、重度の破損度に相当する大きいク
レージングが認められ、その評価結果は、上記評価段階
の「1」又は「2」であった。この結果から、次のよう
なことが言える。つまり、リパップ・インダストリーズ
製のシートは制限下で(交差方向の収縮が発生しないよ
うな状態で)乾燥されると、交差方向の伸びがなくな
り、結果的にその性能が低下する。したがって、このシ
ートの性能を損なわないようにするためには、非制限下
での乾燥が必要である。結果は表2に示されている。
【表2】
【0021】例16〜例20 これらの例は、本願発明において、精砕されていない硬
質木材パルプの処理がどのように実施されるかを示すも
のである。これらの例においては、処理装置としてイン
プレッサファイナー(Impressafiners, Andritz Sprout-
Bauer)が使用された。なお、パルプに対する入力エネル
ギレベルは0.0394kWh/kg及び0.2955kWh/kg
(2 hpdt 及び15 hpdt)であった。その結果が、カーリン
グ及びキンキングされた繊維の含有率に対する引張り応
力の関係として、表3に示されている。
【表3】
【0022】例21〜例25 これらの例(表5)は、ディスクリファイナーで精砕さ
れたパルプもポストフォーミング積層材用のシートの材
料として使用可能であることを実証している。表から明
らかなように、ディスクリファイナーにおいて、最も高
い入力エネルギ(3.37 hpdt)が入力されたときにのみ、
積層材の曲げ特性は若干低下した。なお、これらの例に
おいては、パルプは100%機械的に処理され、カーリ
ング及びキンキングされている。パルプは精砕されてい
ないものでも精砕されているものでも使用可能であり、
また、パルプのpHは高くても低くてもよい。このこと
は、パルプの処理方法の選択の幅が広いことを意味して
おり、重要な点である。
【表4】
【0023】例26〜例33 これらの例は、カーリング及びキンキングされた硬質木
材の繊維から形成されたシートは好ましい樹脂ピックア
ップを有していることを実証している。この例において
は、機械で抄いた紙が使用された。紙は樹脂浴に浸漬さ
れた後に、余分な樹脂を除去するためにプレスロールに
通された。樹脂ピックアップすなわち処理前の紙の乾燥
重量に対する含浸させた樹脂の重量の割合は30%未満
であることが望ましい。表5から明らかなように、カー
リング及びキンキングされた硬質木材の繊維から形成さ
れたシートは好ましい樹脂ピックアップを有している
が、カーリング及びキンキングされた軟質木材の繊維か
ら形成されたシートはそうではない。
【表5】
【0024】上述した実施例は発明の内容を説明するた
めの例に過ぎず、この発明の範囲を制限するものではな
い。したがって、上記実施例は、特許請求の範囲によっ
て限定される発明の範囲を逸脱しない限り、いかなる変
更も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】曲げ加工された装飾用ポストフォーミング積層
材の斜視図である。
【図2】二枚の軽量(<130g/m2( <80 lbs./3000 f
t2) )のポストフォーミングシートとコアシートとを含
む現行のポストフォーミング積層材の断面図である。
【図3】図2の二枚のポストフォーミングシートに代え
て一枚の高い坪量(130g/m2から約505g/m2(80 lb
s./3000 ft2 から310 lbs./3000 ft2))のポストフォー
ミングシートを使用したポストフォーミング積層材の断
面図である。
【符号の説明】
3 装飾層 4 コア層 5 コアシート 6,7 ポストフォーミングシート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ジェイ・ドナト・フォーティン アメリカ合衆国 29414 サウスカロライ ナ,チャールストン,グレーン・ドライヴ 228 (72)発明者 ハロルド・エル・ヒンツ アメリカ合衆国 10549 ニューヨーク, マウント・キスコ,トップ・ヒル・レーン 63 (72)発明者 エドワード・ピー・クライン アメリカ合衆国 29445 サウスカロライ ナ,グース・クリーク,ラマダ・サークル 104 (72)発明者 ロバート・シー・ストライゼル アメリカ合衆国 29464 サウスカロライ ナ,マウント・プレザント,ラックラン ド・コート 500 (72)発明者 スタンレイ・エム・ナザム アメリカ合衆国 29464 サウスカロライ ナ,マウント・プレザント,アドルー・ス トリート 761

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 装飾層と、コアシート及びポストフォー
    ミングシートを含むコア層とを有するポストフォーミン
    グ積層材であって、 前記ポストフォーミングシートが木材パルプから形成さ
    れ、130g/m2から505g/m2(80 lbs./3000 ft2 から
    310 lbs./3000 ft2)の坪量を有するとともに、24N/mm
    2(3.5 kpsi) 未満の引張り応力及び1%から3%の交差
    方向の伸びを有し、前記木材パルプが精砕された木材パ
    ルプであり、この精砕された木材パルプはその繊維をキ
    ンキング及びカーリングさせるために少なくとも0.0
    394kWh/kg(2 hp-days/ton) の機械エネルギを加える
    ことによって機械処理されているポストフォーミング積
    層材。
  2. 【請求項2】 前記ポストフォーミングシートの坪量が
    235g/m2から260g/m2(145 lbs./3000 ft2から160
    lbs./3000 ft2)である請求項1に記載のポストフォーミ
    ングシート。
  3. 【請求項3】 前記ポストフォーミングシートの坪量が
    130g/m2から300g/m2(80 lbs./3000 ft2 から185
    lbs./3000 ft2)であり、前記木材パルプが精砕された軟
    質木材パルプを主体とするパルプであり、それに加えら
    れる機械エネルギが少なくとも0.0591kWh/kg(3 h
    p-days/ton) である請求項1に記載のポストフォーミン
    グシート。
  4. 【請求項4】 前記ポストフォーミングシートの坪量及
    び引張り応力が160g/m2から305g/m2(99 lbs./300
    0 ft2 から189 lbs./3000 ft2)及び17.2N/mm2(2.5
    kpsi) 未満であり、前記木材パルプが精砕された硬質木
    材パルプを主体とするパルプであり、それに加えられる
    機械エネルギが少なくとも0.0591kWh/kg(3 hp-da
    ys/ton) である請求項1に記載のポストフォーミングシ
    ート。
  5. 【請求項5】 前記ポストフォーミングシートの坪量が
    130g/m2から300g/m2(80 lbs./3000 ft2 から185
    lbs./3000 ft2)であり、前記木材パルプが精砕された軟
    質木材パルプを主体とするパルプであり、それに加えら
    れる機械エネルギが少なくとも0.0788kWh/kg(4 h
    p-days/ton) である請求項1に記載のポストフォーミン
    グシート。
  6. 【請求項6】 前記ポストフォーミングシートの坪量及
    び引張り応力が160g/m2から305g/m2(99 lbs./300
    0 ft2 から189 lbs./3000 ft2)及び17.2N/mm2(2.5
    kpsi) 未満であり、前記木材パルプが精砕されていない
    硬質木材パルプを主体とするパルプであり、それに加え
    られる機械エネルギが少なくとも0.0788kWh/kg(4
    hp-days/ton) である請求項1に記載のポストフォーミ
    ングシート。
  7. 【請求項7】 前記木材パルプに対する機械処理の回数
    が複数回である請求項1に記載のポストフォーミングシ
    ート。
  8. 【請求項8】 前記木材パルプはその温度を上昇させた
    後に機械処理されている請求項1に記載のポストフォー
    ミングシート。
  9. 【請求項9】 前記パルプの温度を上昇させる手段がそ
    のパルプ内への蒸気導入である請求項8に記載のポスト
    フォーミングシート。
  10. 【請求項10】 前記ポストフォーミングシートの引張
    り応力が3.4N/mm 2 から9N/mm2(0.5 kpsiから1.3 kp
    si) である請求項1に記載のポストフォーミングシー
    ト。
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