JPH08300558A - 銅張ポリイミドフイルムの製造法 - Google Patents

銅張ポリイミドフイルムの製造法

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JPH08300558A
JPH08300558A JP10569095A JP10569095A JPH08300558A JP H08300558 A JPH08300558 A JP H08300558A JP 10569095 A JP10569095 A JP 10569095A JP 10569095 A JP10569095 A JP 10569095A JP H08300558 A JPH08300558 A JP H08300558A
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copper
film
polyimide film
heat
polyimide
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JP10569095A
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Inventor
Yasuhiro Shoji
靖宏 東海林
Hiroaki Kudo
博章 工藤
Takamasa Kawakami
殷正 川上
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長時間の高温や吸湿後の密着強度が改善され
た銅膜形成ポリイミドフイルムを提供する。 【構成】 ポリイミドフイルムと蟻酸銅を共存させ、非
酸化性雰囲気或いは減圧下で蟻酸銅を熱分解することか
らなる銅膜形成ポリイミドフイルムを製造する方法にお
いて、該ポリイミドフイルムが少なくとも片面にポリイ
ミド系、ポリアミドイミド系、ポリアミド系から選ばれ
た耐熱性の樹脂層の薄膜を設けたものであり、該銅膜形
成ポリイミドフイルムを熱処理することを特徴とする長
時間の高温や吸湿後の密着強度に優れた銅張ポリイミド
フイルムの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、蟻酸銅を熱分解して銅
膜形成ポリイミドフイルムを製造する方法の改良に関す
るものであり、特に長時間の高温や吸湿後の密着強度が
改善されたものであり、FPC(Flexible print Circui
t)やTAB(Tape Automated Bonding)などのプリント配
線板や各種の電気・電子材料分野において好適に使用さ
れるものである。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドフイルムに銅膜を形成する方
法としては、従来はポリイミドフイルムと銅箔を接着剤
で貼り合わせるラミネート法が採られていた。しかしな
がら、このラミネート法で得られた基板では、厚み10〜
30μm の接着剤層が熱的性能に劣ったり、3〜9μm の
凹凸部を有する銅箔との接着界面では加工時のエッチン
グ液の染み込みで絶縁性が低下することや高周波特性の
面で好ましくない等、信頼性に問題があった。また、銅
箔の厚みが10μm 以上と厚いため数十μm の微細加工が
困難であり、寸法安定性も悪い等の問題があった。
【0003】このため最近ではポリイミドフイルム上に
スパッタリング法、イオンプレーティング法、蒸着法、
無電解メッキ法などによって直接薄銅膜を形成する方法
が行なわれている。また、先に本発明者は、特開平2-12
9380、同2-232374、同2-303089、同2-305965等におい
て、新規な乾式法による銅張基板の製造法を提案した。
この銅張基板は、そのまま或いは銅、ニッケルなどをメ
ッキしてプリント配線基板などとして好適に使用できる
ものである。しかし、特にポリイミド等のフイルムを用
いた場合には、高温時や吸湿状態での密着強度が大きく
低下する欠点があった。また、特開平5-239657、同6-15
8337、同6-158338、同6-181387において、耐湿性などの
改善された銅張ポリイミドフイルムの製造法を提案した
が、特性において充分に満足できるものではなかった。
【0004】このような問題は上記のスパッタリングや
無電解メッキ等の方法であっても存在しており、これら
を解決する従来の方法として、クロムやチタンあるいは
ニッケルやスズ、コバルト等の接着性の金属を銅とポリ
イミドの間に挿入したり、薬品や物理的な手段でフイル
ム表面を粗面化する方法を併用することが知られてい
る。しかし、このような方法では他の金属の挿入による
パターンエッチング性の違いや回路の抵抗値が上昇する
ことによる問題、あるいはポリイミドの種類によっては
充分な密着性が得られなかったり、長時間の高温や吸湿
後の密着強度の低下が大きい等の問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、かかる
従来技術の諸問題について鋭意検討した結果、ポリイミ
ドフイルム表面に特定の耐熱性樹脂の薄膜を設け、該薄
膜面に銅膜を形成した後に熱処理を施すことで、従来技
術に見られるような欠点がなく長時間の高温や吸湿後の
密着性に優れた銅張ポリイミドフイルムが得られること
を見出し、本発明に到達したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ポ
リイミドフイルムと蟻酸銅を共存させ、非酸化性雰囲気
或いは減圧下で蟻酸銅を熱分解することからなる銅膜形
成ポリイミドフイルムを製造する方法において、該ポリ
イミドフイルムが少なくとも片面にポリイミド系、ポリ
アミドイミド系、ポリアミド系から選ばれた耐熱性の樹
脂層の薄膜を設けたものであり、該銅膜形成ポリイミド
フイルムを熱処理することを特徴とする長時間の高温や
吸湿後の密着強度に優れた銅張ポリイミドフイルムの製
造法である。
【0007】また、本発明の好ましい実施態様において
は、該耐熱性の樹脂層がガラス転移温度(Tg) 160℃から
320℃範囲であること、該銅膜形成ポリイミドフイルム
が、さらに電解銅メッキしてなるものであること、該銅
膜形成ポリイミドフイルムの熱処理が、非酸化性雰囲気
或いは減圧下であり、処理温度が 200℃から 400℃範囲
であること、該耐熱性の樹脂層の薄膜が0.05〜5μm の
厚さであること、該耐熱性の樹脂層がシロキサン及びフ
ッ素変性ポリイミドであることからなる銅張ポリイミド
フイルムの製造法である。
【0008】以下、本発明について説明する。本発明で
使用されるポリイミドフイルムは、ピロメリット酸又は
ピロメリット酸誘導体と芳香族ジアミンとを縮合してな
るもので、例えば、カプトン(東レ・デュポン株式会社
製)、アピカル(鐘淵化学株式会社製)等であり、ある
いはビフェニルテトラカルボン酸又はビフェニルテトラ
カルボン酸誘導体と芳香族ジアミンとを縮合してなるも
ので、例えば、ユーピレックス(宇部興産株式会社
製)、ニットミッド(日東電工株式会社製)等であり、
市場で入手できるポリイミドフイルムを有効に用いるこ
とができる。ポリイミドフイルムの膜厚には特に限定さ
れる条件はないが、通常25〜125 μm 程度の膜厚のもの
が用途に応じて適宜選択されて用いられる。
【0009】本発明では、このような市販のポリイミド
フイルム基材をそのまま用いてもよいが、耐熱性の樹脂
の薄膜との接着性を向上させるために脱脂処理、酸又は
アルカリによる化学処理、熱処理、プラズマ処理、コロ
ナ放電処理、サンドブラスト処理等通常知られている表
面処理を行なってもよい。
【0010】本発明で使用される耐熱性の樹脂はポリイ
ミド系、ポリアミドイミド系、ポリアミド系から選ばれ
たものであり、Tgが 160〜320 ℃範囲のものが好まし
く、特に 180〜290 ℃が好適である。これらの耐熱性樹
脂は1種又は2種以上用いることができる。Tgが 160℃
より低い樹脂を使用した場合は、高温時の接着性やはん
だ耐熱性等の特性面において問題を及ぼすようになり、
Tgが 320℃を越える樹脂では、銅膜形成後に熱処理を施
しても樹脂薄膜と銅膜間の密着力が向上せず、本発明の
効果を発揮することができない。
【0011】本発明におけるポリイミド系樹脂とは、テ
トラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを縮合さ
せることによって得られる。テトラカルボン酸二無水物
成分としては、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物(BPDA)、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物(BTDA)、ピロメリット酸二無水物(PMD
A)、3,3',4,4'-ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二
無水物、2,2-ビス(3,4-ベンゼンジカルボン酸アンヒド
リド)パーフルオロプロパン(6FDA)、1,3-ビス(3,4-ジ
カルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサ
ンジアンヒドリド、(シクロペンタン)テトラカルボン
酸二無水物、(アルキル置換シクロブタン)テトラカル
ボン酸無水物、トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無
水物などが用いられるが、このようなテトラカルボン酸
無水物を1種又は2種以上用いることができる。
【0012】ジアミン成分としては、 4,4'-ジアミノジ
フェニルメタン(DDM) 、 4,4'-ジアミノジフェニルエー
テル(DDE) 、 4,4'-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)
、4,4'- ジアミノベンゾフェノン(DBP) 、2,2-ビス{
4-(4-アミノフェノキシ) フェニル}プロパン(BAPP)、
2,2-ビス{ 4-(4-アミノフェノキシ) フェニル}スルホ
ン(BAPS)、p-フェニレンジアミン(PPD) 、m-フェニレン
ジアミン(MPD) 、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベン
ゼン(TPER)、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン
(TPEQ)、 4,4'-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル
(BAPB)、2,2-ビス{4-(4−アミノフェノキシ) フェニ
ル}パーフルオロプロパン(6FDMAPP) などの芳香族ジア
ミンが用いられる。このような芳香族ジアミンを1種又
は2種以上用いることができるが、1,2-ビス(γ−アミ
ノプロピルジメチルシリル)エタンやビス(3-アミノプ
ロピル)テトラメチルジシロキサン(DTMSO) などのシリ
コンジアミンやジアミノシロキサン、あるいはヘキサメ
チレンジアミン、エチレンジアミンなどの脂肪族ジアミ
ンを一部併用することができる。
【0013】上述した成分の配合比を選択して重合する
ことにより、Tgが 160〜320 ℃範囲に制御された熱可塑
性ポリイミドや有機溶媒可溶性ポリイミドなどの本発明
の薄膜形成に適した樹脂が得られる。また、シロキサン
変性ポリイミドは接着性や溶解性などの点で、フッ素変
性ポリイミドは誘電率や耐湿性、溶解性などの点で有効
である。重合反応は公知の方法に従って行なうことがで
きるが、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン
成分との所定量をN-メチル -2-ピロリドン、N,N-ジメチ
ルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の極性有
機溶媒中に仕込み、低温で反応させてポリイミド樹脂の
前駆体であるポリアミック酸樹脂を合成する。ポリアミ
ック酸を単離して薄膜を形成後にイミド化することもで
きるが、単離することなく引き続き有機溶媒を 100℃以
上に昇温させ、水を除去しながらイミド化反応を完結さ
せるほうが、その後の取り扱い性や性能面から好まし
い。
【0014】本発明におけるポリアミド系樹脂とは、ジ
カルボン酸またはジカルボン酸のハロゲン化物成分とジ
アミン成分を縮合させることによって得られる。また、
ジアミン成分はジアセトアミドやジイソシアネートに転
化させたのちに反応させてもよい。ジカルボン酸または
そのハロゲン化物成分としては、イソフタル酸(IPA)や
テレフタル酸(TPA) 、パーフルオロノネニルオキシ基や
パーフルオロヘキセニルオキシ基を有するイソフタル酸
やテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、またはこれ
らのハロゲン化物が用いられる。このような芳香族ジカ
ルボン酸は1種又は2種以上用いることができるが、ア
ジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸を一部
併用することもできる。ジアミン成分としては、上記と
同様に、芳香族ジアミンを1種又は2種以上用いること
ができるが、脂肪族ジアミンを一部併用することもでき
る。
【0015】本発明におけるポリアミドイミド系樹脂と
は、無水トリメリット酸(TMA) や無水トリメリット酸ク
ロライドと芳香族ジアミン成分との反応、無水トリメリ
ット酸と芳香族イソシアネート成分との反応、芳香族テ
トラカルボン酸無水物成分とアミド基含有芳香族ジアミ
ン成分との反応などによって得られる。また、無水トリ
メリット酸をイミド基含有芳香族ジカルボン酸に転化さ
せたのち芳香族ジイソシアネートと反応させてもよい。
【0016】芳香族テトラカルボン酸無水物としては、
上記と同様な成分を1種又は2種以上用いることができ
る。また、酸成分や酸クロライド成分として、上記と同
様な芳香族ジカルボン酸や脂肪族ジカルボン酸および、
これらの酸クロライドを一部併用することもできる。
【0017】芳香族ジアミンとしては、上記と同様な成
分を1種又は2種以上用いることができる。また、ジア
ミン成分として、上記と同様な脂肪族ジアミンを一部併
用することもできる。芳香族イソシアネートとしては、
2,4-トリレンジイソシアネート(TDI) 、 4,4'-ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、 3,3'-ジメチル−ジフェニ
ル-4,4'-ジイソシアネートなどを1種又は2種以上用い
ることができる。アミド基含有芳香族ジアミンとして
は、 4,3'-ジアミノベンズアニリド、 N,N'-ビス{ 4-
(4-アミノフェノキシ) フェニル}イソフタルアミドな
どを1種又は2種以上用いることができる。
【0018】これら耐熱性の樹脂の薄膜をポリイミドフ
イルム基材上に形成する方法としては、あらかじめ基材
原料と共押出し技術で製膜したり、樹脂を溶媒に溶かし
た溶液の状態や樹脂を加熱して溶融した状態で塗布する
方法等を有効に用いることができる。塗布方法として
は、ディップコート、バーコート、スピンコート、ロー
ルコート、スプレーコート等が適宜選択されればよく、
特に限定されるものではない。塗布後の薄膜の乾燥、固
化は適法に従って行なわれる。
【0019】薄膜の厚さは、乾燥、固化後の最終的な厚
さで0.05〜5μm の範囲が好ましく、特に 0.1〜2.0 μ
m が好適である。0.05μm より薄いと、均一な薄膜を形
成しにくく、密着強度の向上効果も不充分である。5μ
m 以上では本発明の効果を妨げるものではないが、製膜
操作での時間や樹脂原料コスト面で経済的でないばかり
か、ポリイミドフイルム基材本来の機械的性質が損なわ
れる。
【0020】本発明の蟻酸銅とは、通常、蟻酸第二銅化
合物であり、無水蟻酸銅、蟻酸銅四水和物、蟻酸銅二水
和物或いはこれらの混合物などが挙げられ、特に無水蟻
酸銅が好ましい。蟻酸銅は、温度 165℃以上で減圧或い
は非酸化性雰囲気で熱分解し、銅を基板に析出させる。
ここで、より低い温度範囲で熱分解させて銅を析出させ
るためには、パラジウムやナトリウムを含有させた蟻酸
銅が好ましい。
【0021】本発明のポリイミドフイルムと蟻酸銅とを
共存させ、蟻酸銅を熱分解させて、基板の表面に銅を析
出させる方法としては、例えば、特開平2-305965号公報
の方法が挙げられる。ここに、銅の析出は、非酸化性雰
囲気中或いは減圧下にて行なうが、特に30Torr以下の減
圧下にて行なうのが好ましい。また、熱分解温度は通
常、温度 130〜165 ℃の間を1〜50℃/minの割合で昇温
し、 165℃以上の温度に1〜60分間保持する方法によ
る。
【0022】本発明においては、ポリイミドフイルムに
銅膜を形成した後の熱履歴が重要である。銅膜形成直後
は密着性に乏しく、その後の熱処理で密着強度が大きく
向上し、長時間の高温や吸湿後もほとんど低下しない、
信頼性の高い銅膜形成ポリイミドフイルムとなる。この
熱処理は、非酸化性雰囲気或いは減圧下であり、処理温
度が 200〜400 ℃範囲であるが、表面処理した耐熱性樹
脂のTg以上の温度が好ましい。処理時間は、処理温度が
低い程長時間を要するが、例えば、Tgが 200℃の耐熱性
樹脂においては 260〜400 ℃範囲で20〜0min 程度でよ
い。このような熱処理は、薄銅膜形成後に引き続いて同
一装置内で実施してもよく、或いは更に電解銅メッキに
より銅膜を厚くした後に実施してもよい。
【0023】本発明における耐熱性樹脂と銅膜との接着
機構については、必ずしもはっきりとしていないが、熱
処理後の樹脂表面には 0.2μm 前後の微細な凹凸が生成
し、明らかに銅粒子が拡散していることが観察された。
このような新たなアンカー効果の付与によって密着性が
増進したものと考えられる。従来の銅箔を用いるラミネ
ート法においては、アンカー効果の付与のために3〜9
μm の極めて大きな凹凸が生成するが、本発明における
凹凸度は極めて小さく、各種の信頼性に問題を及ぼすも
のではない。
【0024】また、本発明のような耐熱性樹脂で表面処
理する方法を従来のスパッタリング法などに応用した
が、微細な凹凸は生成せず、長時間の高温や吸湿後の密
着性に乏しいものであった。本発明のような蟻酸銅を用
いる銅膜形成法において、なぜ銅粒子の拡散が容易なの
かははっきりしないが、初期の銅粒子径やその後の成長
の過程が関与しているものと思われる。カプトンやユー
ピレックスなどの市販のポリイミドフイルムはTgが 360
℃以上と高いが、表面処理した耐熱性樹脂の薄膜はTgが
160〜320 ℃範囲であり、このことも熱処理条件下での
銅粒子の拡散を可能にしているものと思われる。
【0025】以上の方法で製造した本発明の銅膜形成ポ
リイミドフイルムは、通常、銅膜の厚みが 0.1〜5μm
である。この銅膜はそのままでも、或いは適宜、防錆処
理等の保護層を形成してプリント配線板などの製造に使
用可能である。また、この銅膜を電解メッキなどの従来
の方法を使用して厚さ5μm 以上で70μm 以下、通常、
8〜35μm の膜厚として銅張基板として使用できる。こ
こで、メッキにより膜厚を増加させる方法としては、特
に電解メッキ法が好ましく、膜厚が5μm 以上となるま
では速度 0.1μm/sec 以下、特に、 0.003〜0.05μm/se
c の範囲でメッキすることが好適である。
【0026】
【実施例】以下に、実施例、比較例によって本発明をさ
らに具体的に説明する。 実施例1 テトラカルボン酸二無水物成分として、3,3',4,4'-ビフ
ェニルテトラカルボン酸(BPDA)を11モル%、および2,2-
ビス(3,4-ベンゼンジカルボン酸アンヒドリド)パーフ
ルオロプロパン(6FDA)を39モル%含有する成分とジアミ
ン成分として、2,2-ビス{ 4-(4-アミノフェノキシ) フ
ェニル}プロパン(BAPP)を36モル%、およびビス(3−
アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(DTMSO) を
14モル%含有する成分を使用して、シロキサンおよびフ
ッ素変性ポリイミド樹脂を合成した。本ポリイミド樹脂
は、Tg=200℃でありN-メチル -2-ピロリドン(NMP) やN,
N-ジメチルフォルムアミド(DMF) 、シクロヘキサノンな
どの溶媒に可溶であった。
【0027】厚さ50μm のポリイミドフイルム(商品
名:カプトン、東レ・デュポン社製)に上記のポリイミ
ド樹脂の溶液(樹脂濃度2wt%, 溶媒NMP/シクロヘキサノ
ン=モル比1/1)をロールコーターを用いて塗布、乾燥
し、 200℃以下で固化させて膜厚0.2μm の耐熱性樹脂
の薄膜を形成した。
【0028】無水蟻酸銅を乳鉢にて粉砕し、イソブタノ
ールを加え、超音波撹拌してスラリーとしたものを縦横
30cm×20cm、高さ1cmのアルミニウム製の皿の底に均一
に塗布、乾燥し、無水蟻酸銅を20g/m2の割合で均一に付
着させた。先の耐熱性樹脂で処理したポリイミドフイル
ムを処理面が外側になるように厚さ1mmのアルミニウム
板に固定し、その処理面側を内面として蟻酸銅の入った
アルミニウム製の皿に蓋をした。これを減圧容器内に設
置し、容器内を1Torrまで減圧とした後、 200℃まで10
℃/minで昇温加熱し、 200℃で15分間保持した。引き続
き 270℃まで昇温して10分間保持した後、室温まで冷却
し銅膜の厚みが0.2μm の銅膜形成ポリイミドフイルム
を取り出した。この銅膜形成ポリイミドフイルムを電解
銅メッキし、銅膜の厚みが20μm の銅張ポリイミドフイ
ルムを得た。
【0029】この銅張ポリイミドフイルムの90°引き剥
がし試験による常態のピール強度は1.2kg/cmであった。
これを 150℃のオーブン中に10日間及び42日間保持した
後、同様な試験による耐熱ピール強度を測定したとこ
ろ、10日間後で1.2kg/cm、42日間後で1.0kg/cmであり、
高い密着力を保持することを確認した。また、85℃、85
%の相対湿度下に10日間及び42日間保持した後、同様な
試験を行なったが、耐湿ピール強度はいずれも1.2kg/cm
であり低下は見られなかった。銅膜をエッチングの結
果、樹脂薄膜表面には 0.2μm 前後の微細な凹凸が生成
しており、銅粒子の拡散跡が認められた。銅粒子の拡散
はESCA(electron spectroscopy for chemical analysi
s) 分析でも確認された。
【0030】比較例1 実施例1において、ポリイミドフイルムに耐熱性樹脂の
薄膜を形成することに変えて、以下の表面改質を施した
ものを用い、銅膜形成後の熱処理を 0.5Torrに保って、
室温から 200℃まで5℃/minで昇温し、 200℃で30分間
保持し、室温まで冷却する操作を3回繰り返す他は全く
同様にして銅膜の厚みが20μm の銅張ポリイミドフイル
ムを得た。なお、表面改質は、5%苛性ソーダ水溶液に
て70℃、1分間エッチングした後、充分に水洗し、風乾
した。次いで、このフイルムをN-フェニル−γ−アミノ
プロピルトリメトキシシランの2%トルエン溶液に浸漬
した後、風乾した。次いで120℃で30分間の加熱を施し
た。
【0031】これの常態ピールは1.2kg/cmであったが、
150℃で2日間保持後の耐熱ピールは0.2kg/cm以下に低
下し、85℃、85%の相対湿度下に5日間保持後の耐湿ピ
ールは0.2kg/cm以下に低下した。銅膜をエッチングの結
果、樹脂薄膜表面は平滑であり、銅成膜前と特に変わら
なかった。
【0032】実施例2 実施例1において、耐熱性樹脂の薄膜の厚さを2μm と
する他は全く同様にして銅膜の厚みが20μm の銅張ポリ
イミドフイルムを得た。常態ピールや耐熱、耐湿特性で
の効果は変わらなかった。
【0033】実施例3 実施例1において、ポリイミドフイルムを(商品名:ユ
ーピレックスS、宇部興産社製)とする他は全く同様に
して銅膜の厚みが20μm の銅張ポリイミドフイルムを得
た。これの常態のピール強度は1.2kg/cmであり、 150℃
で10日間及び42日間保持後の耐熱ピール強度はそれぞ
れ、1.2kg/cm、1.0kg/cmであった。また、85℃、85%の
相対湿度下に10日間及び42日間保持後の耐湿ピール強度
はいずれも1.2kg/cmであった。
【0034】実施例4 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸(TPA) 25モル%及
びイソフタル酸(IPA)25モル%を含有する成分、ジアミ
ン成分として2,2-ビス{4-(4-アミノフェノキシ)フェ
ニル}プロパン(BAPP)47モル%及び4,4'- ジアミノジフ
ェニルエーテル(DDE) 3モル%を含有する成分を使用し
てポリアミド樹脂を合成した。本ポリアミド樹脂は、Tg
=225℃であり、N-メチル-2- ピロリドン(NMP) やN,N-ジ
メチルフォルムアミド(DMF) 、ブチルセロソルブアセタ
ートなどの溶媒に可溶であった。
【0035】実施例1において、ポリイミド樹脂の溶液
を上記ポリアミド樹脂の溶液(樹脂濃度1wt%、溶媒NM
P/ブチルセロソルブアセタート=1/1(モル比)) とする
他は全く同様にして銅膜の厚みが20μm の銅張ポリイミ
ドフィルムを得た。これの常態のピール強度は1.0kg/cm
であり、 150℃で10日間保持後の耐熱ピール強度は 0.9
kg/cm であった。また、85℃、85%の相対温度下に10日
間保持後の耐湿ピール強度は1.0kg/cmであった。
【0036】実施例5 ジカルボン酸成分として、無水トリメリット酸(TMA) 20
モル%およびイソフタル酸(IPA) 15モル%、アジピン酸
15モル%を含有する成分とイソシアネート成分とし
て、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI) 50モル%を含
有する成分を使用してポリアミドイミド樹脂を合成し
た。本ポリアミドイミド樹脂は、Tg=241℃であり、N-メ
チル-2- ピロリドン(NMP) やN,N-ジメチルフォルムアミ
ド(DMF) などの溶媒に可溶であった。実施例1におい
て、ポリイミド樹脂の溶液を上記ポリアミドイミド樹脂
の溶液(樹脂濃度10wt% 、溶媒NMP)とする他は全く同様
にして銅膜の厚みが20μm の銅張ポリミドフィルムを得
た。これの常態ピールは1.0kg/cmであり、 150℃で10日
間保持後の耐熱ピール強度は0.9kg/cmであった。また、
85℃、85%の相対湿度下に10日間保持後の耐湿ピールは
1.0kg/cmであった。
【0037】比較例2 実施例1において、銅膜の形成を蟻酸銅を用いる本発明
の方法に変えてスパッタリング法で行なう他は全く同様
にして銅膜の厚みが20μm の銅張ポリイミドフィルムを
得た。なお、スパッタリングは、Ar雰囲気中で銅をター
ゲットとするDCマグネトロンスパッタリングにより、真
空度1×10-5Torr以下、基板加熱温度150 ℃及び230
℃、DC入力 0.9〜 1.2kWで行なった。これの常態ピール
は 0.7〜1.0kg/cmであったが、 150℃で2日間保持後の
耐熱ピールは0.2kg/cm以下に低下した。銅膜をエッチン
グの結果、樹脂薄膜表面は平滑であり、銅成膜前と特に
変わらなかった。また、耐熱性の樹脂薄膜を設けない場
合でも結果は変わらなかった。
【0038】
【発明の効果】以上の如くである本発明の製造法によれ
ば、ポリイミドフィルム表面に特定の耐熱性樹脂の薄膜
を設け、蟻酸銅を用いる新規な乾式法で銅膜を形成した
後に熱処理を施すことで銅膜の密着性に優れ、特に、長
期の高温や吸湿後の密着強度の低下が殆どない、信頼性
の高い銅張ポリイミドフィルムを工業的に実用可能なレ
ベルで提供可能とするものであり、その意義は極めて高
い。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリイミドフイルムと蟻酸銅を共存さ
    せ、非酸化性雰囲気或いは減圧下で蟻酸銅を熱分解する
    ことからなる銅膜形成ポリイミドフイルムを製造する方
    法において、該ポリイミドフイルムが少なくとも片面に
    ポリイミド系、ポリアミドイミド系、ポリアミド系から
    選ばれた耐熱性の樹脂層の薄膜を設けたものであり、該
    銅膜形成ポリイミドフイルムを熱処理することを特徴と
    する長時間の高温や吸湿後の密着強度に優れた銅張ポリ
    イミドフイルムの製造法。
  2. 【請求項2】 該耐熱性の樹脂層がガラス転移温度 160
    ℃から 320℃範囲である請求項1記載の銅張ポリイミド
    フイルムの製造法。
  3. 【請求項3】 該銅膜形成ポリイミドフイルムが、さら
    に電解銅メッキしてなるものである請求項1記載の銅張
    ポリイミドフイルムの製造法。
  4. 【請求項4】 該銅膜形成ポリイミドフイルムの熱処理
    が、非酸化性雰囲気或いは減圧下であり、処理温度が 2
    00℃から 400℃範囲である請求項1記載の銅張ポリイミ
    ドフイルムの製造法。
  5. 【請求項5】 該耐熱性の樹脂層の薄膜が0.05〜5μm
    の厚さである請求項2記載の銅張ポリイミドフイルムの
    製造法。
  6. 【請求項6】 該耐熱性の樹脂層がシロキサン及びフッ
    素変性ポリイミドである請求項2記載の銅張ポリイミド
    フイルムの製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006062135A (ja) * 2004-08-25 2006-03-09 Asahi Kasei Corp 積層体およびその製造方法
JP2016004925A (ja) * 2014-06-17 2016-01-12 住友電工プリントサーキット株式会社 フレキシブルプリント配線板及び電子部品

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