JPH0830016A - 電子写真用トナーおよびその製造方法 - Google Patents

電子写真用トナーおよびその製造方法

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JPH0830016A
JPH0830016A JP6166767A JP16676794A JPH0830016A JP H0830016 A JPH0830016 A JP H0830016A JP 6166767 A JP6166767 A JP 6166767A JP 16676794 A JP16676794 A JP 16676794A JP H0830016 A JPH0830016 A JP H0830016A
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JP
Japan
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toner
acid
parts
binder resin
fine particles
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Application number
JP6166767A
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English (en)
Inventor
Koji Nakayama
幸治 中山
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Tomoegawa Co Ltd
Original Assignee
Tomoegawa Paper Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 非オフセット性において実用上何等問題を有
しておらず、転写紙への定着強度と画像特性とに優れた
電子写真用トナーを提供すること。 【構成】 酸価または水酸基価が1以上である結着樹脂
を含有する微粒子の表面に、金属キレート化合物を付着
させたことを特徴とする電子写真用トナー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真用トナーに関
し、特に熱ロール定着を採用している複写機またはプリ
ンター用の電子写真用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いた複写機およ
びプリンターは、家庭を含めその普及が広まるにつれ
て、複写機またはプリンターの多機能化が主な求められ
ている。このため、低エネルギー化(消費電力の削
減)、印刷機と複写機との境に位置するいわゆるグレイ
エリアへの普及を目的とした高速化、あるいは機械コス
トを下げるための定着ロールの簡素化のための低ロール
圧力化が望まれている。また、複写機の高級化にともな
い両面コピー機能や原稿自動送り装置の搭載された複写
機が広く普及されてきたため、複写機およびプリンター
に使用される電子写真用トナーには定着温度が低く、耐
オフセット性に優れ、かつ両面コピー時の汚れや原稿自
動送り装置における汚れの発生を防止するための転写紙
への定着強度の優れた電子写真用トナーが要求されてい
る。
【0003】上記要求を満たすため、結着樹脂の分子量
および分子量分布を改良する技術が提案されている。例
えば、結着樹脂を低分子量化する技術が提案されてい
る。しかしながら、低分子量化させることにより、融点
を低下させることができるため低温で定着させることは
可能となった。しかしながら、同時に熱溶融粘度も低下
したため、定着ロールへのオフセット現象が発生すると
いう新たな問題が生じていた。
【0004】このオフセット現象を防ぐため、結着樹脂
の分子量分布を変化させたり、あるいは高分子部分を架
橋させたりしていた。しかしながら、これらの方法で
は、定着性を充分に付与するためには結着樹脂のガラス
転移温度(Tg)を低くせざるを得ず、トナーの保存性
を損なうことが避けられなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来より上記問題を解
決すべく、トナーに優れた保存性を付与する手段とし
て、トナー表面にシリカ、チタン、アルミナ等の無機微
粒子や、樹脂微粒子などを付着させる方法が用いられて
いる。
【0006】しかしながら、これらの微粒子でトナー表
面を均一にそして完全に被覆することは困難であり、低
Tgのトナーでは保存性を充分保つことができなかっ
た。また、完全にトナー表面を被覆するためには大量の
微粒子を付着させなければならず、その結果、定着性お
よびオフセット性の悪化を招いていた。さらには、大量
の微粒子が帯電特性に悪影響を及ぼし、その結果、現像
剤のライフ性に問題が生じていた。
【0007】本発明は上記問題に鑑みてなされたもので
あり、非オフセット性において実用上何等問題を有して
おらず、転写紙への定着強度と画像特性とに優れた電子
写真用トナーを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸価または水
酸基価が1以上である結着樹脂を含有する微粒子の表面
に、金属キレート化合物を付着させることより上記目的
を達成した。また、本発明は、酸価または水酸基価が1
以上である結着樹脂を含有する微粒子を得た後、その表
面に金属キレート化合物を付着させ、ついで得られた微
粒子に加熱処理または機械的衝撃を与える処理を施すこ
とにより上記目的を達成した。上記「酸価」および「水
酸基価」とはJIS K 0070に規定される方法で
の測定値を示すものとする。
【0009】以下、本発明の電子写真用トナーおよびそ
の製造方法を詳細に説明する。本発明の電子写真用トナ
ーは、結着樹脂、着色剤などからなる微粒子の表面に、
金属キレート化合物が付着したものである。
【0010】本発明の電子写真用トナーには、酸価また
は水酸基価が1以上である樹脂が結着樹脂として使用さ
れる。酸価または水酸基価が1より小さいと、以下に説
明する金属キレート化合物との反応点が少ないために充
分な架橋が行われないため好ましくない。しかしなが
ら、酸価または水酸基価が1以上50以下の範囲にある
樹脂がより好ましい。酸価または水酸基価が50より大
きいと、未反応の官能基が残存した場合に耐湿性が悪く
なり、多湿環境におけるトナーの帯電特性が悪化するた
め好ましくないからである。
【0011】さらに、結着樹脂としてポリエステル系樹
脂を使用することがより好ましい。ポリエステル系樹脂
は、酸価および水酸基価を容易に制御することができる
からである。ポリエステル系樹脂のジオール成分として
は、ポリオキシプロピレン2,2−2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン
(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロ
ピレン(2,0)−ポリオキシエチレン(2,0)−
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポ
リオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、エチレングリコール、1,2
−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、1,4−ブタジエンオール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、あるいは3価以上の多
価アルコールの例としては、ソルビトール、1,2,
3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペ
ンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペ
ンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、
1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグ
リセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチ
ル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエ
タン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒド
ロキシベンゼン等が挙げられる。
【0012】また酸成分としては、フマール酸、マレイ
ン酸、フタル酸、イソフタル酸、イタコン酸、グルタコ
ン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コ
ハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、アルケニ
ルコハク酸、あるいは3価以上の多価カルボン酸の例と
しては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,
5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフ
タレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボ
ン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−
ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシ
プロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、
1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等が挙げら
れる。
【0013】結着樹脂として、3価以上の多価アルコー
ルまたは3価以上の多価カルボン酸を含むポリエステル
樹脂を使用することがさらに好ましい。ポリエステル樹
脂中に3次元構造が既に存在すると、金属キレート化合
物で架橋した場合に架橋点が少なくても、分子量の巨大
化が容易に図れるからである。
【0014】また、本発明の電子写真用トナーでは、前
記ポリエステル樹脂に代えて、カルボキシル基を有する
スチレン−アクリル系共重合体樹脂を適用することもで
きる。この樹脂は下記単量体を懸濁重合法、乳化重合
法、溶液重合法、塊状重合法等によって合成することに
より得ることができる。その単量体としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、およびクロルスチレン等のス
チレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチ
ル、およびアクリル酸アルキルエステル等のアクリル酸
エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタ
クリル酸オクチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリ
ル酸グリシジル、およびメタクリル酸アルキルエステル
等のメタクリル酸エステル類等を挙げることができる。
【0015】しかしながら、上記スチレン−アクリル系
共重合体樹脂の中でも、特にカルボキシル基または水酸
基を有する樹脂が好ましい。スチレン−アクリル系共重
合体系樹脂をなすカルボキシル基含有モノマーとしては
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等が例示でき
る。水酸基含有モノマーとしてはパラヒドロキシスチレ
ン、ヒドロキシエチルヘキシルアクリレート、ヒドロキ
シエチルメタクリレートなどを例示することができる。
【0016】その他に、アクリロニトリル、マレイン
酸、マレイン酸エステル、メタクリル酸メチル、アクリ
ル酸メチル、および塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸
ビニル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、および
ビニルイソブチルエーテル等のビニル単量体を共重合成
分として、重合体100重量%に対して30重量%以下
で含有させた樹脂を結着樹脂として用いることもでき
る。
【0017】さらに、上記樹脂の他にエポキシ樹脂、シ
リコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の
樹脂を配合して用いることもできる。
【0018】また、結着樹脂として使用される樹脂はT
gが60℃以下のものが好ましい。60℃より高いとト
ナーに低温定着性を充分付与することができず、金属キ
レート化合物により充分表面架橋が行われない場合保存
性に問題が生じるからである。結着樹脂のTgはDSC
で測定する。測定装置としては、例えばセイコー電子工
業社製の示差走査熱量計SSC−5200が挙げられ
る。測定条件は、樹脂を約10mg計量してアルミニウ
ム製セルに入れ、それをDSCに載置する。その後、上
記DSCに1分間に50ミリリットルのN2 ガスを吹き
込む。そして、20℃から150℃の間を1分間あたり
10℃の割合で昇温させる。次に150℃から20℃に
急冷させる。この昇温−急冷過程を2回繰り返してその
時の吸収熱量を測定する。本明細書では、2回目の測定
時のベースラインと吸熱開始から終点までの最大傾斜を
示す接線との交点の温度を「Tg」とする。
【0019】本発明の電子写真用トナーに使用される金
属キレート化合物は、上記結着樹脂の架橋剤として作用
する。この金属キレート化合物は、カルボキシル基など
の官能基を有する樹脂の橋かけを起こすため、樹脂の3
次元構造化や巨大分子化の手法として利用している。
【0020】金属キレート化合物は、金属アルコキシド
とキレート化剤との反応により得られる金属キレート化
合物を用いることができる。金属キレート化合物は、用
いるキレート化剤の種類によって溶解性や反応性を制御
できるという利点を有する。また、従来より架橋剤とし
て使用されている金属アルコキシドと比較して、加水分
解が起こりにくく、取扱貯蔵が容易である点も好まし
い。
【0021】金属キレート化合物を得るための金属アル
コキシドの例としては、Ti(OR)4、Al(O
R)3、Zr(OR)4 (ただし、Rはアルキル基を示
す)などを挙げられる。またキレート化剤の例として
は、2,4−ペンタジオン、2,4−ヘプタジオン等の
β−ジケトン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル
等のケトエステル類、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、
乳酸アンモニウム塩、サリチル酸、サリチル酸メチル、
サリチル酸エチル、リンゴ酸、リンゴ酸エチル、酒石
酸、酒石酸エチル等のヒドロキシカルボン酸またはその
エステル塩類、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ヘプ
タノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノ
ン、4−ヒドロキシ−2−ヘプタノン等のケトアルコー
ル類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ト
リエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミ
ン、N−エチルモノエタノールアミン、N,N−ジメチ
ルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミ
ン等のアミノアルコール類、およびマロン酸ジエチルエ
ステル、メチロールアクリルアミド、メチロールメラミ
ン、メチロール尿素等のエノール性活性水素化合物類な
どを例示できる。
【0022】例えば、アセチルアセトンのTiキレート
化合物は、Tiアルコキシドとアセチルアセトンとを混
合させることにより得ることができる。Ti(OR)4
とアセチルアセトンとのモル比が1/1では、上記アセ
チルアセトンがケト型で下記反応式で表されるように配
位する。
【0023】
【化1】
【0024】またモル比が1/2では、キレート化剤で
あるアセチルアセトンがエノール型で、エステル交換し
て下記反応式で表されるように配位する。
【0025】
【化2】
【0026】金属キレート化合物の添加量は結着樹脂が
有する官能基の量に依存して決定されるが、通常、結着
樹脂100重量部に対して0.1から10重量部の範囲
で添加されることが好ましい。
【0027】本発明の電子写真用トナーには、上記結着
樹脂、金属キレート化合物の他に、着色剤、磁性体、ま
た帯電制御剤、流動化剤などの特性改良剤等を用いるこ
とができる。
【0028】着色剤としては、カーボンブラック、ニグ
ロシン染料、アニリンブルー、カルコオイルブルー、ク
ロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイル
レッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライ
ド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサ
レート、ランプブラック、ローズベンガル、およびこれ
らの混合物等を例示することができる。これらの着色剤
は、充分な濃度の可視線が形成されるのに充分な割合で
含有されることが必要であり、通常、結着樹脂100重
量部に対して1〜20重量部程度の割合で含有されてい
る。
【0029】磁性体としては、フェライト、マグネタイ
トを始めとする鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性を
示す金属もしくは合金、またはこれらの元素を含む化合
物、あるいは例えばマンガン−銅−アルミニウム、マン
ガン−銅−錫などのマンガンと銅とを含むホイスラー合
金などの強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すこ
とによって強磁性を示すようになる数種の合金、または
二酸化クロム等を挙げることができる。これらの磁性体
の平均粒径は0.1〜1ミクロンであり、微粉末の形で
結着樹脂中に均一に分散される。そしてその含有量は、
トナー100重量当り20〜70重量部、好ましくは4
0〜70重量部である。
【0030】特性改良剤としては、荷電制御剤、流動性
改善用滑剤等がある。荷電制御剤としては、第四級アン
モニウム塩、アルキルアミド、および銅フタロシアニン
のスルホニルアミン等を例示できる。流動性改善用滑剤
としては疎水性シリカ、非イオン界面活性剤、およびシ
リコンワニス等を例示できる。
【0031】さらに、低温定着性、耐オフセット性をよ
りトナーに付与するために、遊離脂肪酸を含有する天然
ワックスを使用してもよい。天然ワックスは、精製処理
工程を経て用途により遊離脂肪酸が除去されたものが提
供されているが、本発明では遊離脂肪酸を含有する天然
ワックスを使用することが好ましい。好ましい遊離脂肪
酸を含有する天然ワックスの例としては、キャンデリラ
ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろ
う、ホホバ油、みつろう、ラノリン等が挙げられる。本
発明の電子写真用トナーへの天然ワックスの添加量とし
ては多いほど定着性は良好となるが、多すぎると結着樹
脂中への均一分散が困難となるため、通常0.5〜30
%程度添加されている。
【0032】本発明の電子写真用トナーは、より低温で
の定着性を向上させるために、溶融開始温度は60℃以
上100℃未満が好ましい。100℃以上であると低温
での定着性が充分でなく、60℃より低いとブロッキン
グ性が悪化し保存性に問題を生じる場合があるため好ま
しくない。
【0033】なお、本明細書では「溶融開始温度」と
は、下記条件下でのプランジャーの降下開始温度を意味
することとする。 測定機;島津製作所製 高化式フローテスターCF−500 測定条件; プランジャー:1cm2 ダイの直径 :1mm ダイの長さ :1mm 荷重 :20KgF 予熱温度 :50〜80℃ 予熱時間 :300sec 昇温速度 :6℃/min
【0034】本発明の電子写真用トナーは、フェライト
粉や、鉄粉等からなるキャリアと混合されて二成分系現
像剤として使用することができる。また、トナー自体に
磁性体が含有されるときは、キャリアと混合しないでそ
のまま一成分系現像剤として静電荷像の現像に使用する
こともできる。
【0035】次に、本発明の電子写真用トナーの製造方
法について説明する。まず、酸価または水酸基価が1以
上である結着樹脂を含有する微粒子を得る。ついで、そ
の得られた微粒子表面に金属キレート化合物を付着させ
る。その後、加熱処理または機械的衝撃力を与える処理
を施す。
【0036】上記金属キレート化合物の付着工程では、
得られた微粒子と金属キレート化合物とを攪拌混合する
ことにより微粒子の表面に金属キレート化合物の粉末を
付着させる操作、または金属キレート化合物を含有する
溶液を塗布する操作など種々の操作が行われる。
【0037】ついでなされる加熱処理または機械的な衝
撃を与える処理とは、得られた微粒子に対して、機械的
衝撃力、圧縮力、または摩擦力を与えることによって、
各微粒子間の接点あるいは接触面に熱を発生させる処理
を意味する。さらに上記処理の他に、単に粒子表面に熱
風を当てる処理でも構わない。しかしながら、使用する
結着樹脂の種類にも依存するが、トナー粒子内の架橋密
度をトナー粒子の内部から表面に向かって段階的に高く
するには、一般に80℃以上150℃以下に微粒子表面
を加熱する必要がある。
【0038】上記加熱処理または機械的衝撃を与える処
理には、ミキサーや表面改質機を使用することができ
る。例えば、高速の剪断力を与えるミキサー類として
は、スーパーミキサー、ヘンシャルミキサー、タービュ
ライザー等を使用することができる。これらのミキサー
で攪拌することにより微粒子表面に摩擦熱が発生し、こ
の熱により架橋反応が進行する。より架橋反応を進行さ
せる必要がある場合には、ミキサーのジャケットに温水
を通して加熱する、または熱風を吹き込むなどの手段を
採用することもできる。上記表面改質機としては、ハイ
ブリダイザー(奈良機械社製)、オングミル(ホソカワ
ミクロン社製)等を使用することもできる。さらに、熱
流動層、例えばサーフュージングシステム(日本ニュー
マチック社製)、旋回流動層乾燥装置(大川原製作所
製)等を用いて加熱処理することもできる。
【0039】上記機器の設定温度と時間とを制御するこ
とによりトナー粒子内の架橋密度をトナー粒子の内部か
ら表面に向かって段階的に高くするよう制御することが
できる。例えば、ハイブリダイザー(奈良機械社製)を
使用する場合には6000RPMの回転速度で10分間
処理すればよい。
【0040】
【作用】本発明は、酸価または水酸基価が1以上である
結着樹脂を含有する微粒子の表面に、金属キレート化合
物を付着させたことを特徴とする電子写真用トナーであ
る。上記金属キレート化合物と結着樹脂とは架橋反応し
て高分子量体を形成する。しかしながら、トナー内部の
結着樹脂は金属キレート化合物が存在しないため、結着
樹脂本来の分子量領域が変化することがない。
【0041】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明を説明する。な
お、実施例において「部」とは「重量部」を示す。
【0042】(実施例1〜3)アルコール成分としてビ
スフェノールAプロピレンオキサイド付加物85モル
%、トリメチロールプロパン10モル%、酸成分として
トリメリット酸15モル%、ドデセニルコハク酸85モ
ル%を用いて縮重合を行い、数平均分子量が7000、
重量平均分子量が60000、酸価が30、Tgが45
℃、そして溶融開始温度が85.3℃であるポリエステ
ル樹脂Aを得た。 ・ポリエステル樹脂A 90部 ・クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンS−34) ・カーボンブラック 6.5部 (三菱化成社製、商品名:MA−100) ・ポリプロピレン 3部 (三洋化成工業社製、商品名:ビスコール330P) 上記配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合し、
二軸混練機で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級し、平均粒子径が10
μmの粒子径を得た。この微粒子の溶融開始温度は8
9.0℃であった。その後、上記微粒子100部に対し
て、下記表1に示される添加量の金属キレート化合物A
l(CH3COCH2COOC253 を加えて、ヘンシ
ェルミキサー内で攪拌した。両者が均一に拡散されたの
を確認した後、ヘンシェルミキサーのジャケット温度を
50℃まで上昇させて、その温度でさらに15分間攪拌
処理した。ついで、ジャケット温度が20℃になるまで
冷水を通して冷却し、その温度を保って、ヘンシェルミ
キサー内に処理済みの微粒子100部に対して、疎水性
シリカ(キャボット社製、商品名:キャボシルTS−5
30)0.4を添加した。その後、両者を一分間攪拌し
て微粒子の表面に疎水性シリカを付着させ、本実施例の
電子写真用トナーを得た。
【0043】(実施例4)アルコール成分としてビスフ
ェノールAプロピレンオキサイド付加物85モル%、ト
リメチロールプロパン15モル%、酸成分としてトリメ
リット酸10モル%、ドデセニルコハク酸85モル%を
用いて縮重合を行い、数平均分子量が7500、重量平
均分子量が52000、酸価が30、Tgが47℃、そ
して溶融開始温度が88.5℃であるポリエステル樹脂
Bを得た。 ・ポリエステル樹脂B 97部 ・クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製、商品名:ボントロンS−34) ・カーボンブラック 6.5部 (三菱化成社製、商品名:MA−100) ・ポリプロピレン 3部 (三洋化成工業社製、商品名:ビスコール330P) 上記配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合し、
二軸混練機で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級し、平均粒子径が10
μmの粒子径を得た。この微粒子の溶融開始温度は8
9.4℃であった。その後、上記微粒子100部に対し
て、下記表1に示される添加量の金属キレート化合物A
l(CH3COCH2COOC253 を加えて、ヘンシ
ェルミキサー内で攪拌した。両者が均一に拡散されたの
を確認した後、ヘンシェルミキサーのジャケット温度を
50℃まで上昇させて、その温度でさらに15分間攪拌
処理した。ついで、ジャケット温度が20℃になるまで
冷水を通して冷却し、その温度を保って、ヘンシェルミ
キサー内に処理済みの微粒子100部に対して、疎水性
シリカ(キャボット社製、商品名:キャボシルTS−5
30)0.4を添加した。その後、両者を一分間攪拌し
て微粒子の表面に疎水性シリカを付着させ、本実施例の
電子写真用トナーを得た。
【0044】(実施例5)重量平均分子量が9×105
であり、数平均分子量が3.9×105 である、スチレ
ン(65重量部)−アクリル酸ブチル(25重量部)−
アクリル酸(10重量部)共重合体(1)20部と、重
量平均分子量が8×103 であり、数平均分子量が2.
7×103 である、スチレン(70重量部)−アクリル
酸ブチル(20重量部)−アクリル酸(10重量部)共
重合体(2)80部とを混合し、スチレン−アクリル系
共重合体Cを得た。このスチレン−アクリル系共重合体
CはGPCクロマトグラムにおいて、7.5×105
4.5×103 とに分子量ピークを有し、酸価が10、
Tgが50℃、そして溶融開始温度が95.0℃であっ
た。 ・スチレン−アクリル系共重合体C 97部 ・クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) ・カーボンブラック 6.5部 (三菱化成社製 商品名:MA−100) ・ポリプロピレン 3部 (三洋化成工業社製 商品名:ビスコール330P) 上記配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合し、
二軸混練機で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕
し、その後乾式気流分級機で分級し、平均粒子径が10
μmの粒子径を得た。この微粒子の溶融開始温度は9
7.5℃であった。その後、上記微粒子100部に対し
て、下記表1に示される添加量の金属キレート化合物A
l(CH3COCH2COOC253 を加えて、ヘンシ
ェルミキサー内で攪拌した。両者が均一に拡散されたの
を確認した後、ヘンシェルミキサーのジャケット温度を
50℃まで上昇させて、その温度でさらに15分間攪拌
処理した。ついで、ジャケット温度が20℃になるまで
冷水を通して冷却し、その温度を保って、ヘンシェルミ
キサー内に処理済みの微粒子100部に対して、疎水性
シリカ(キャボット社製、商品名:キャボシルTS−5
30)0.4を添加した。その後、両者を一分間攪拌し
て微粒子の表面に疎水性シリカを付着させ、本実施例の
電子写真用トナーを得た。
【0045】(実施例6)アルコール成分としてビスフ
ェノールAエチレンオキサイド付加物85モル%、トリ
メチロールプロパン10モル%、酸成分としてトリメリ
ット酸20モル%、ドデセニルコハク酸85モル%を用
いて縮合重合を行い、数平均分子量が7500であり、
重量平均分子量が56000であり、酸価が55、Tg
が47℃、そして溶融開始温度が89.1℃であるポリ
エステル樹脂Cを得た。 ・ポリエステル樹脂C 97部 ・クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) ・カーボンブラック 6.5部 (三菱化成社製 商品名:MA−100) ・ポリプロピレン 3部 (三洋化成工業社製 商品名:ビスコール330P) 上記配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合し、
二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕し、そ
の後乾式気流分級機で文級して、平均粒子径が10μm
の粒子を得た。この粒子の溶融開始温度は89.6℃で
あった。そして、得られた微粒子100部に対して、表
1に示される部数の金属キレート化合物Al(CH3
OCH2COOC253 を添加し、ヘンシェルミキサ
ーで混合して、微粒子表面に金属キレート化合物を付着
させた。その後、ヘンシェルミキサーのジャケット温度
を50℃まで上げて15分間攪拌した。攪拌後、ジャケ
ット温度が20℃になるまで冷水を通して冷却し、得ら
れた微粒子100部に対して疎水性シリカ(キャボット
社製 商品名:キャボシルTS−530)0.4部を添
加し、それらをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌し、
微粒子の表面に疎水性シリカを付着させ、本実施例の電
子写真用トナーを得た。
【0046】(実施例7)アルコール成分としてビスフ
ェノールAエチレンオキサイド付加物85モル%、トリ
メチロールプロパン20モル%、酸成分としてトリメリ
ット酸10モル%、ドデセニルコハク酸85モル%を用
いて縮合重合を行い、数平均分子量が7300であり、
重量平均分子量が59000であり、酸価が53、Tg
が50℃、そして溶融開始温度が90.1℃であるポリ
エステル樹脂Dを得た。 ・ポリエステル樹脂D 97部 ・クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) ・カーボンブラック 6.5部 (三菱化成社製 商品名:MA−100) ・ポリプロピレン 3部 (三洋化成工業社製 商品名:ビスコール330P) 上記配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合し、
二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕し、そ
の後乾式気流分級機で文級して、平均粒子径が10μm
の粒子を得た。この粒子の溶融開始温度は91.0℃で
あった。そして、得られた微粒子100部に対して、表
1に示される部数の金属キレート化合物Al(CH3
OCH2COOC253 を添加し、ヘンシェルミキサ
ーで混合して、微粒子表面に金属キレート化合物を付着
させた。その後、ヘンシェルミキサーのジャケット温度
を50℃まで上げて15分間攪拌した。攪拌後、ジャケ
ット温度が20℃になるまで冷水を通して冷却し、得ら
れた微粒子100部に対して疎水性シリカ(キャボット
社製 商品名:キャボシルTS−530)0.4部を添
加し、それらをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌し、
微粒子の表面に疎水性シリカを付着させ、本実施例の電
子写真用トナーを得た。
【0047】(実施例8)アルコール成分としてビスフ
ェノールAエチレンオキサイド付加物85モル%、トリ
メチロールプロパン20モル%、酸成分としてテレフタ
ル酸30モル%、ドデセニルコハク酸70モル%を用い
て縮合重合を行い、数平均分子量が6500であり、重
量平均分子量が49000であり、水酸基価が25、T
gが49℃、そして溶融開始温度が92.4℃であるポ
リエステル樹脂Eを得た。 ・ポリエステル樹脂E 97部 ・クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) ・カーボンブラック 6.5部 (三菱化成社製 商品名:MA−100) ・ポリプロピレン 3部 (三洋化成工業社製 商品名:ビスコール330P) 上記配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合し、
二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミルで粉砕し、そ
の後乾式気流分級機で文級して、平均粒子径が10μm
の粒子を得た。この粒子の溶融開始温度は92.0℃で
あった。そして、得られた微粒子100部に対して、表
1に示される部数の金属キレート化合物Al(CH3
OCH2COOC253 を添加し、ヘンシェルミキサ
ーで混合して、微粒子表面に金属キレート化合物を付着
させた。その後、ヘンシェルミキサーのジャケット温度
を50℃まで上げて15分間攪拌した。攪拌後、ジャケ
ット温度が20℃になるまで冷水を通して冷却し、得ら
れた微粒子100部に対して疎水性シリカ(キャボット
社製 商品名:キャボシルTS−530)0.4部を添
加し、それらをヘンシェルミキサー内で1分間攪拌し、
微粒子の表面に疎水性シリカを付着させ、本実施例の電
子写真用トナーを得た。
【0048】(比較例1)微粒子表面に金属キレート化
合物を付着させない以外は、実施例1と同様にして、本
比較例用の電子写真用トナーを得た。
【0049】(比較例2)スチレン アクリル系樹脂B
に代えて、酸価が0であるスチレン−アクリル系共重合
体Dを使用した以外は上記実施例5と同様にして、本比
較例用電子写真用トナーを製造した。上記スチレン−ア
クリル系共重合体Dの組成、および物性を以下に示す。
重量平均分子量が1.0×106 であり、数平均分子量
が4.0×105 である、スチレン(75重量部)−ア
クリル酸ブチル(25重量部)共重合体(3)20部
と、重量平均分子量が9×103 であり、数平均分子量
が3.0×103である、スチレン(75重量部)−ア
クリル酸ブチル(25重量部)共重合体(4)80部と
を混合し、スチレン−アクリル系共重合体Dを得た。こ
のスチレン−アクリル系共重合体DはGPCクロマトグ
ラムにおいて、8.0×105 と5.5×103 とに分
子量ピークを有し、酸価が0、Tgが52℃、そして溶
融開始温度が97.0℃であった。
【0050】(比較例3)金属キレート化合物を以下の
組成で、トナー中に溶融混合した比較例用の電子写真用
トナーを得た。 ・スチレン−アクリル系共重合体C 97部 ・クロム含金属染料 1.5部 (オリエント化学工業社製 商品名:ボントロンS−34) ・カーボンブラック 6.5部 (三菱化成社製 商品名:MA−100) ・金属キレート化合物 Al(CH3COCH2COOC253 3部 ・ポリプロピレン 3部 (三洋化成工業社製 商品名:ビスコール330P) 上記組成からなる原料をスーパーミキサーで混合し、二
軸混練機で熱溶融混練した後、ジェットミルで粉砕し
た。ついで、乾式気流分級機で分級して平均粒子径が1
0μmである電子写真用トナーを得た。この電子写真用
トナーの溶融開始温度は110.0℃、Tgは61℃で
あった。
【0051】次に前記実施例および比較例で得られた電
子写真用トナーについての以下に示す試験を行い、定着
強度を評価した。
【0052】(1)定着強度 まず、上記実施例および比較例で得た各電子写真用トナ
ー4部と、樹脂被覆を施してないフェライトキャリヤ
(パウダーテック社製 商品名:FL−1020)96
部とを混合して二成分系現像剤を作製した。次に得られ
た現像剤を使用して市販の複写機(シャープ社製 商品
名:SF−9800)にてA4の転写紙に縦2cm、横
5cmの帯状の未定着画像を複数作製した。次に、表層
がテフロンで形成された熱定着ロールと、表層がシリコ
ーンゴムで形成された圧力定着ロールが対になって回転
する定着機をロール圧力が1Kg/cm2 であり、ロー
ルスピードが50mm/secになるように調節し、熱
定着ロールの表面温度を120℃に設定し、前記未定着
画像が形成された転写紙のトナー像の定着をおこなっ
た。そして、形成された定着画像に対して綿パッドによ
る摺擦を施し、下記式によって定着強度を算出し低エネ
ルギー定着性の指標とした。画像濃度はマクベス社製の
反射濃度計RD−914を使用した。評価結果を表1に
示す。定着強度(%)=摺擦後の定着画像の画像濃度/
摺擦前の定着画像の画像濃度×100
【0053】(2)保存性 まず上記実施例および比較例で得た各電子写真用トナー
を20gポリエチレン製の200CCボトルに入れ、5
0℃の雰囲気に保った恒温槽中に16時間放置した後、
常温まで冷却した。放置後のトナーを取り出し、目視で
トナーのブロッキング状態を観察した。評価は次の基準
による。 ◎:全くトナー同士の融着がなく放置前と変わらない状
態。 ○:流動性が若干悪化しているが粗大な凝集塊は見あた
らない状態。 △:トナーの凝集が見られるが指で軽く押せばすぐにほ
ぐれる状態。 ×:トナー同士の融着により指で押しても崩れない粗大
粒が発生している状態。評価結果を下記表1に示す。
【0054】(3)連続コピー後の摩擦帯電量および画
像濃度 上記定着強度を評価する際得た現像剤を使用して、市販
の複写機(東芝社製商品名:BD−3801)で100
00枚までの連続コピー試験をおこなった。コピーは、
A4原稿に黒色部が6%となるよう行った。その結果、
実施例1から実施例4で得られた現像剤の摩擦帯電量
は、初期から10000枚までの間を−20μc/gか
ら−25μc/gの値で推移した。画像濃度は、初期か
ら10000枚までの間を、1.45から1.40まで
の値を推移した。摩擦帯電量および画像濃度ともに実用
上問題のないことが確認された。
【0055】これに対して、比較例1から3で得られた
電子写真用トナーを使用した現像剤では、摩擦帯電量
は、初期から10000枚までの間を−20μc/gか
ら−25μc/gの値で推移した。画像濃度は、1.3
0から1.40までの値を推移した。これらの値から比
較例で得られたトナーは実用上問題が起こる恐れがある
ことがわかった。なお、摩擦帯電量は東芝ケミカル社製
のブローオフ摩擦帯電量測定装置を使用し、画像濃度は
マクベス社製の反射濃度計RD−914を使用して測定
した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】上記表1および連続コピー試験の結果から
明らかなように、120℃における本実施例の電子写真
用トナーの定着強度は80%以上あった。この値は、実
用上充分な定着強度を有していることを示している。ま
た、保存性においても実用上何等問題を有していないこ
とも確認された。したがって、本実施例の電子写真用ト
ナーは、低温で優れた定着強度を有し、同時に優れた保
存性を有していることが確認された。これに対して比較
例1、2は保存性に問題があり、実用不可能であること
が確認された。また、比較例3は保存性に問題はないも
のの、120℃という定着温度では定着強度が60%以
下という低いものであり、実用不可能であることが確認
された。
【0059】
【発明の効果】本発明の電子写真用トナーは、酸価また
は水酸基価が1以上である結着樹脂を含有し、その表面
に金属キレート化合物が付着していることを特徴とする
電子写真用トナーである。上記トナーの表面では金属キ
レート化合物と結着樹脂とが架橋反応し、高分子量体を
形成する。しかしながら、トナー内部には金属キレート
化合物が存在していないため結着樹脂は反応しないの
で、その分子量領域が変化することがない。このため、
架橋していないトナー内部と比較して、トナー表面付近
のTgが高い。また、表面は架橋しているため、内部と
比較して硬度が高いので耐摩耗性に優れている。したが
って、本発明の電子写真用トナーは低い定着温度で定着
することができ、非オフセット性においても実用上なん
ら問題を生じず、転写紙への定着強度と画像特性とに優
れた電子写真用トナーとなる。
【0060】本発明の電子写真用トナーの製造方法は、
酸価または水酸基価が1以上である結着樹脂を含有する
微粒子を得、ついで得られた微粒子表面に金属キレート
化合物を付着させた後、加熱処理または機械的衝撃を与
える処理を施すことを特徴とする製造方法である。トナ
ー表面に金属キレート化合物を付着させるので、トナー
粒子内の架橋密度をトナー粒子の内部から表面に向かっ
て段階的に高くすることができる。したがって、本発明
の電子写真用トナーの製造方法によれば、定着性および
非オフセット性に優れた電子写真用トナーを得ることが
できる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸価または水酸基価が1以上である結着
    樹脂を含有する微粒子の表面に、金属キレート化合物を
    付着させたことを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 【請求項2】 前記結着樹脂の酸価または水酸基価が1
    以上50以下であることを特徴とする請求項1記載の電
    子写真用トナー。
  3. 【請求項3】 前記結着樹脂がポリエステル樹脂である
    ことを特徴とする請求項2記載の電子写真用トナー。
  4. 【請求項4】 前記ポリエステル樹脂が、単量体として
    3価以上の多価カルボン酸または3価以上の多価アルコ
    ールを含有することを特徴とする請求項2記載の電子写
    真用トナー。
  5. 【請求項5】 前記結着樹脂のTgが60℃以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の電子写真用トナー。
  6. 【請求項6】 トナーの溶融開始温度が60℃以上10
    0℃未満であることを特徴とする請求項1記載の電子写
    真用トナー。
  7. 【請求項7】 酸価または水酸基価が1以上である結着
    樹脂を含有する微粒子を得た後、その表面に金属キレー
    ト化合物を付着させ、ついで得られた微粒子に加熱処理
    または機械的衝撃を与える処理を施すことを特徴とする
    電子写真用トナーの製造方法。
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