JPH08296014A - 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JPH08296014A
JPH08296014A JP9826595A JP9826595A JPH08296014A JP H08296014 A JPH08296014 A JP H08296014A JP 9826595 A JP9826595 A JP 9826595A JP 9826595 A JP9826595 A JP 9826595A JP H08296014 A JPH08296014 A JP H08296014A
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treatment
hot
steel sheet
plating
nickel
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JP9826595A
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English (en)
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Hitoshi Ishii
均 石井
Mitsufumi Hayashi
光文 林
Toru Kametani
透 亀谷
Yuji Okuzaki
奥崎裕二
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TAIYO SEIKO KK
Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
TAIYO SEIKO KK
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 鋼板を溶融亜鉛浴または溶融亜鉛アルミニウ
ム合金浴に浸漬して、溶融めっきを施した後、めっき表
面が溶融状態にあるうちに、ニッケルイオンを含有する
水溶液をめっき表面に噴霧して、めっき表面に金属ニッ
ケルを1〜50mg/m2 析出させることを特徴とする
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 【効果】 スパングルの微細化、耐黒変性の向上、塗装
後の塗膜密着性の向上といった、種々の機能を有するニ
ッケルフラッシュ処理を、ミニマムスパングル処理工程
での一段処理で対応する製造方法であるので、処理設備
の簡略化、省スペース化、生産性の向上、薬剤管理の簡
略化等等、多岐に渡るメリットが期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として家庭電気製品
や建築材料として使用される、溶融亜鉛めっき鋼板また
は溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板の製造方法に
関する。更に詳しく述べるならば、本発明は、クロメー
ト処理後の耐食性、耐黒変性、クロメート処理またはリ
ン酸亜鉛系化成処理後に塗装を施した場合の塗装性能、
いずれの要求性能も向上し得る、溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、鋼板に溶融法で亜鉛めっきを施
す場合に、亜鉛中に特に鉛等の微量成分が含有されてい
ると、溶融亜鉛めっき層が冷却固化する際、亜鉛結晶が
大きく成長し、亜鉛結晶粒界による特殊な模様が現れ
る。このような模様はスパングル模様と呼ばれており、
亜鉛めっき鋼板が無塗装で用いられる場合は、亜鉛めっ
きの存在感を示すことから、一般に好ましい外観とされ
ている。
【0003】しかしながら、スパングルを有する溶融亜
鉛めっき鋼板を塗装して使用する場合には、塗装後の塗
膜表面外観を損ねるばかりか、結晶粒界が腐食を促進す
るため、なんらかの方法でスパングルを制御することが
必要となる。スパングルは、前述のように粗大化した亜
鉛結晶の粒界が模様となったものであるから、溶融状態
にある亜鉛めっき層を水冷等により急速冷却することに
より、目視判定が困難となる程度に微細化することがで
きる。以下、このようなスパングル制御処理をミニマム
スパングル化処理と称す。
【0004】塗装鋼板としての用途が多い溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造ラインにおいては、ミニマムスパングル化
処理は、現在ではごく一般的に施される処理であり、通
常は溶融亜鉛浴から鋼板が引き上げられた直後の工程
で、冷却液を噴霧することによって処理される。なお、
このような冷却処理を効率よく行う方法としては、例え
ば、特公昭45−26961号公報に水溶性の硫酸塩、
硝酸塩およびリン酸塩を添加した水溶液を溶融状態の亜
鉛めっき鋼板に噴霧する方法が開示されている。一方、
溶融亜鉛めっき鋼板を塗装して用いる場合、通常、塗装
性能の向上を目的に、塗装前処理としてクロメート処理
またはリン酸亜鉛系化成処理が施されるが、いずれの前
処理を用いても、近年ますます高度化してきている市場
からの塗装要求性能を満足することは困難になってきて
いる。
【0005】そこで、亜鉛めっき鋼板の塗装品質を更に
向上させることを目的に、例えば鉄、ニッケル、コバル
ト等の金属成分を、クロメート処理またはリン酸亜鉛系
化成処理の前に析出させる方法が、特公昭57−045
833号公報によって提案されている。なお、金属成分
を亜鉛めっき上に析出させる方法としては、電解法や置
換めっき法が考えられるが、析出させる金属が亜鉛より
も貴な金属であること、析出させる金属量が微量である
こと、電解設備が不要であること等の理由から、通常置
換めっき法が適用されている。以下、このように微量の
金属成分を亜鉛めっき上に析出させる処理方法を金属フ
ラッシュ処理と称する。
【0006】しかしながら、既存の金属フラッシュ処理
は、種々の問題点を抱えている。例えば、1.専用処理
設備の設置が必要であり、本処理および水洗を行うため
の設備の設置には場所とコストの面でかなりの負担にな
る、2.連続処理により亜鉛めっきから処理液中に亜鉛
イオンが溶出してくると、処理液中の亜鉛イオン濃度が
増加するので、反応性(金属付着量)が低下してしま
い、適正な付着量を得るための処理液管理、処理条件の
設定が難しくなる、3.金属付着量が少な過ぎると効果
が得られず、逆に過剰な場合は亜鉛めっき鋼板の耐食性
を劣化させてしまうため、適正な金属付着量の範囲が狭
く、処理条件の設定をより困難にしている、等が挙げら
れる。
【0007】また、このような問題点を回避するため
に、金属フラッシュ処理を省略した場合には、クロメー
ト処理、リン酸亜鉛系化成処理、あるいはプライマー塗
料の品質を更に向上させなければならないので、技術的
対応が難しいばかりでなく、コスト高にもつながる。従
って、現状では溶融亜鉛めっき鋼板に対して市場から要
求の出ている塗装性能を充分に満足するものは、まだ見
いだされていないのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術、特に金属フラッシュ処理の持つ種々の問題点を解決
するためになされたものであり、溶融亜鉛めっき製造ラ
インの既存設備であるミニマムスパングル化処理設備を
用いて、スパングルの微細化と金属フラッシュを同時に
行う溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0009】より具体的には、本発明は、めっき層表面
が溶融状態にある亜鉛めっき鋼板に対し、ニッケルイオ
ンを含有する水溶液を、ミニマムスパングル処理工程に
て噴霧することにより、スパングルの微細化効果と、ニ
ッケルフラッシュによる塗装性能向上効果を、同一工程
による一段処理で得ることのできる、溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らはまず、上記
課題を解決する手段として、金属フラッシュ処理の持つ
設備面での問題点を解決するために、金属フラッシュ処
理を他の処理工程で同時に行うことを考えた。一般に、
溶融亜鉛めっき鋼板の既存の製造工程は、溶融めっき処
理に次いで、ミニマムスパングル化処理、金属フラッシ
ュ処理、クロメート処理またはリン酸亜鉛系化成処理の
各工程によって成り立っている。従って、ミニマムスパ
ングル化処理、クロメート処理またはリン酸亜鉛系化成
処理の、いずれかの工程で金属フラッシュを行うことを
検討したのである。
【0011】リン酸亜鉛系化成処理液に亜鉛以外の添加
金属を添加し、塗装性能を向上させる方法は古くから知
られており、ニッケルイオン等は現在一般的に使用され
ていえる添加金属であるが、このような添加金属は確か
に塗装性能を向上させる効果を有するものの、リン酸亜
鉛系化成処理前に行う金属フラッシュ処理ほど効果的で
はない。
【0012】すなわち、リン酸亜鉛系化成処理の前にニ
ッケルフラッシュ処理を行った場合、析出したニッケル
成分は、リン酸亜鉛系化成処理後の皮膜結晶を微細化
し、均一緻密な皮膜形成に寄与するが、この効果は化成
処理液中にニッケルイオンを添加するよりも大きいので
ある。
【0013】また、クロメート処理液の中に金属イオン
を添加することにより、塗装性能が向上する方法につい
ても、過去いくつかの発明がなされており、例えば、コ
バルトイオン等の金属イオンを添加する方法が特開平2
−54776号公報に開示されている。しかし、この方
法もリン酸亜鉛系化成処理の場合と同様、事前に金属フ
ラッシュ処理を施しておくほどの効果は望めない。
【0014】更に、本発明者らは、リン酸亜鉛系化成処
理液およびクロメート処理液への添加金属成分として、
従来技術以外の成分についても種々検討したが、金属フ
ラッシュ処理を省略できるほどの効果が期待できる添加
金属は、発見できなかった。一方、ミニマムスパングル
化処理工程において、スパングルの微細化と金属フラッ
シュ処理を同時に行う方法としては、例えば溶融状態
にある亜鉛めっき表面に、アルミン酸塩、タングステン
酸塩水溶液を噴霧する方法が特公昭51−33772号
公報に、水溶性スズ塩水溶液を噴霧する方法が特開昭
50−95137号公報に、更に170℃以上の温度
である亜鉛めっき層に、コバルト塩および/または鉄塩
の水溶液を噴霧する処理方法が特開昭62−15627
2号公報にそれぞれ開示されている。
【0015】しかしながら、の方法では、スパングル
の微細化効果は向上するものの、塗装性能の向上にはつ
ながらず、の方法では、製造された亜鉛めっき鋼板の
裸の耐食性は向上するが、塗装性能を向上させる効果は
極めて低い。また、の方法は亜鉛めっき鋼板の耐黒変
性向上を主目的としており、めっき層が未凝固状態にあ
るとき行えば、ミニマムスパングル化と同時に処理でき
るとされているが、この方法もの方法と同様、塗装性
能を向上させるには至らないのである。
【0016】次に本発明者等は、ミニマムスパングル化
処理と金属フラッシュ処理を同時に行う方法について、
従来検討されたことの無い金属成分について種々検討し
た。そして、鋭意検討した結果、ニッケルイオンを含有
する水溶液を、溶融状態にある亜鉛めっき表面に噴霧
し、めっき表面に特定量の金属ニッケルを析出させるこ
とにより、充分なスパングルの微細化効果が得られ、且
つ種々の機能を兼ね備えたニッケル成分の析出が可能で
あることを見いだしたのである。
【0017】なお、析出した金属ニッケルの持つ種々の
機能とは、具体的には、クロメート処理後の耐食性の向
上、耐黒変性の向上、クロメート処理またはリン酸亜鉛
系化成処理後に塗装を施した場合の塗装性能の向上とい
った、多岐に渡る機能のことである。
【0018】つまり、本発明の処理方法は、上記のよう
な種々の機能を有する金属ニッケルの析出を、特別な処
理設備を必要とせず、既存のミニマムスパングル処理工
程にて処理可能で、且つ処理液およびニッケル付着量の
コントロールが非常に容易な、画期的な処理方法という
ことができる。
【0019】すなわち、本発明は、鋼板を溶融亜鉛浴ま
たは溶融亜鉛アルミニウム合金浴に浸漬して、溶融めっ
きを施した後、めっき表面が溶融状態にあるうちに、ニ
ッケルイオンを含有する水溶液をめっき表面に噴霧し
て、めっき表面に金属ニッケルを1〜50mg/m2
出させることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法に関するものである。なお、前記方法により溶融亜鉛
めっき鋼板を製造後は、クロメート処理またはリン酸亜
鉛系化成処理することが好ましい。
【0020】以下に本発明の構成を詳述する。本発明の
製造方法において、鋼板上に浸漬めっきするための溶融
亜鉛浴としては、Zn中の微量成分としてAlを0.1
〜0.3%程度、Mgを0〜0.5%程度、Pbを0.
002〜0.3%程度含有するものであり、その他に不
可避的不純物が混入してもかまわない。同じく、鋼板上
に浸漬めっきするための溶融アルミニウム合金浴は、A
lを1〜60%含むZnの中に、微量成分としてMgを
0〜0.5%程度、ミッシュメタルを0.01〜0.1
%程度、Siを10%程度以下、Pbを0.002〜
0.3%程度含有するものであり、その他の不可避的不
純物が混入してもかまわない。
【0021】本発明は、鋼板を溶融亜鉛浴または溶融亜
鉛アルミニウム合金浴に浸漬後、これを引き抜き、溶融
めっきを施した後、めっき表面が溶融状態にあるうち
に、ニッケルイオンを含有する水溶液をめっき表面に噴
霧する工程によって成り立っている。なお、溶融めっき
と該水溶液の噴霧の中間の工程で、めっき付着量のコン
トロールを目的に、エアナイフ等の処理を行っても、め
っき表面を凝固させない範囲内であれば、なんら本発明
の効果を減じるものではない。
【0022】ただし、溶融めっきの表面が凝固してか
ら、前記水溶液を噴霧した場合、スパングルの微細化効
果が得られないばかりか、水溶液からのニッケル成分の
析出効率も低下してしまうため、前記水溶液の噴霧は溶
融状態にあるうちに行う必要がある。亜鉛の融点は41
9.47℃であるが、微量の不純物を添加した場合、ま
たは不可避的に不純物が混入した場合、その温度は若干
変化する。なお、アルミニウムの融点は660.2℃で
あるため、亜鉛−アルミニウム合金めっきの場合は、亜
鉛めっきよりも一般的に高い融点となる。
【0023】前記水溶液中のニッケルイオンは、硫酸、
硝酸、リン酸、塩酸、酢酸、フッ酸または珪フッ酸等の
酸に水酸化ニッケル、炭酸ニッケルまたは金属ニッケル
等を溶解させるか、あるいは上記の酸とニッケルの塩を
水に溶解させることによって供給される。前記水溶液中
のニッケルイオン濃度は、例えば100〜20000p
pmが好ましく、より好ましくは200〜10000p
pmである。
【0024】また、前記水溶液のpHについても、特に
制約されるものではないが、pH3〜7程度であればな
んら問題はない。なお、アルカリ性領域の場合は、ニッ
ケルイオンが水酸化物として沈澱してしまう危険性があ
るが、適当なキレート剤の添加によりキレート化してあ
れば問題はない。
【0025】次に、めっき表面への前記水溶液の噴霧方
法は、エアスプレー、エアレススプレーいずれの方法で
もよく、スプレー圧としては1〜10kg/cm2 程度
が適当である。また、前記水溶液の噴霧後、めっき表面
に付着したコンタミ成分の除去を目的に、水洗工程を設
ける場合もある。
【0026】また、前記水溶液の噴霧によって前記めっ
き表面に析出する金属ニッケル量は1〜50mg/m2
に制御する必要がある。これが1mg/m2 未満の場合
は、クロメート処理後の耐食性や、塗装後の塗装性能の
向上効果が不充分となる。一方、50mg/m2 を超え
る場合はもはやそれ以上の効果が得られず、経済的に不
利である。なお、金属ニッケルの析出量は、噴霧する水
溶液中のニッケルイオン濃度や、噴霧量、スプレ−圧等
によって制御することができる。
【0027】前記水溶液の噴霧された溶融亜鉛めっき鋼
板は、その後リン酸亜鉛系化成処理またはクロメート処
理されるのが好ましい。リン酸亜鉛系化成処理を行う場
合は、リン酸イオンおよび亜鉛イオンを含有し、必要に
応じて酸化剤を含有する酸性処理液を用い、スプレー法
または浸漬法により処理を行う。なお、リン酸亜鉛系化
成処理の前処理としてチタンコロイド分散水溶液による
表面調整処理を施す場合もあり、また、処理後は一般的
に水洗、乾燥が行われる。
【0028】クロメート処理を行う場合に用いるクロメ
ート処理液は、例えば無水クロム酸を主成分とし、クロ
ム酸の一部が3価クロムイオンに還元されているのが一
般的である。また、該処理液中にシリカ、シランカップ
リング剤、リン酸イオン、フッ化物、亜鉛より貴な金属
イオン、および水溶性または水分散性樹脂から選ばれる
1種以上を添加する場合もある。クロメート処理は例え
ば塗布型クロメート処理が工程簡略上好ましく、通常、
処理液をロールコート法、スプレ−掛け、リンガーロー
ルスクイズ法等を用いて塗布後、そのまま焼付け(乾
燥)される工程によって行われる。
【0029】
【作用】次に、本発明の製造方法の中で重要なニッケル
の析出メカニズム、および析出した金属ニッケルの果た
す役割について説明する。本発明の製造方法において、
めっき表面に析出する金属ニッケルは、溶融状態にある
亜鉛めっき層にニッケルイオンを含有する水溶液を噴霧
することによって得られる。
【0030】溶融状態にある溶融亜鉛めっき層に水溶液
を噴霧すると、めっき層が急速に冷却されて固化し、同
時にめっき表面に酸化膜が形成される。その際、水溶液
中にニッケルイオンを含有しない場合、めっき表面は水
溶液中の溶存酸素および大気中の酸素によって酸化され
るが、ニッケルイオンを含有する場合は式(1)に示す
ようなニッケルイオンの還元反応が同時に進行する。
【0031】 Zn+Ni2++2OH- → ZnO+Ni+H2 O ・・・(1) 亜鉛めっき層が水溶液の噴霧によって冷却される際に形
成される酸化膜の量(酸化膜厚)は、噴霧条件や水溶液
中のニッケルイオン濃度が多少変動しても、ほぼ一定量
を保持する。酸化膜の形成量は式(1)の反応量に比例
しており、式(1)の反応量は金属ニッケルの析出量に
対応しているため、金属ニッケルの析出量もほぼ一定に
保たれることになる。
【0032】なお、噴霧した水溶液の中で、金属ニッケ
ルまで還元されなかった過剰なニッケルイオンは、酸化
物や炭酸塩の形でめっき表面に付着するが、水洗、クロ
メート処理、リン酸亜鉛系化成処理といった、その後の
工程を通過する間に、そのほとんどが除去されるか、ま
たその皮膜中に取り込まれる。
【0033】また、上記の金属ニッケル析出反応は、溶
融亜鉛めっきの冷却固化工程で起こるため、析出した金
属ニッケルが亜鉛結晶凝固時に結晶核として働き、スパ
ングルをより微細化する効果をもたらすものと推定され
る。
【0034】亜鉛めっき表面に析出した金属ニッケル
は、その上にクロメート処理を施した場合に、形成され
るクロメート皮膜の化学的安定性を向上させる効果を有
し、クロメート処理後の耐食性を向上させると共に、ク
ロメート処理後に塗装を施した場合の塗装性能も向上さ
せることができる。
【0035】これと同時に、亜鉛めっき表面の金属ニッ
ケルは、リン酸亜鉛系化成処理において、析出する化成
皮膜結晶を微細化し、均一緻密な皮膜の析出を可能にす
ることから、リン酸亜鉛系化成処理後に有機塗装を行っ
た場合の塗装性能の向上にも、優れた効果を発揮するの
である。
【0036】
【実施例】次に、実際の製造方法について幾つかの実施
例と比較例を示し、本発明の効果をより具体的に説明す
る。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら制約を
受けるものではない。
【0037】溶融めっき浴として、表1に示す3種類の
組成のめっき浴を用いて鋼板を溶融めっきした後、エア
ナイフによりめっき付着量を200g/m2 に調整し
た。その後、溶融状態のめっき表面に対し、3kg/c
2 の空気圧にて表2に示す水溶液をエアスプレーし、
水洗、乾燥して、溶融亜鉛めっき鋼板を完成させた。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】作製されためっき鋼板は、まずめっき外観
を評価した。めっき外観は目視により、次の評価基準に
従って判定した。 ○:スパングル径が2mm未満 △:スパングル径が2mm以上、10mm未満 ×:スパングル径が10mm以上。
【0041】上記めっき鋼板の内、クロメート処理を適
用するものについては、水洗、乾燥後、クロム還元率C
3+/(Cr3++Cr6+)=30%に調整したクロメー
ト処理液を、クロム付着量として20mg/m2 となる
ようにロール塗布し、6秒、到達板温80℃となるよう
に焼付けた。なお、クロメート処理後のめっき鋼板に対
しては、80℃、相対湿度98%の雰囲気中に24時間
放置した後、以下の評価基準に従って外観の変化を観察
することによって、耐黒変性を調査した。 ○:黒変せず △:わずかに灰色化 ×:黒色化。
【0042】上記めっき鋼板の内、リン酸亜鉛系化成処
理を適用するものについては、水洗後、チタンコロイド
系表面調整処理を施し、リン酸亜鉛系化成処理液にて化
成処理し、水洗、乾燥した。なお、化成処理液中のリン
酸イオン濃度は12g/L、亜鉛イオン濃度は1.5g
/L、硝酸イオン濃度は3g/Lとし、pHは水酸化ナ
トリウムによって3.0に調整した。また、処理温度は
50℃とし、スプレー法にて処理した。
【0043】クロメート処理またはリン酸亜鉛系化成処
理を施しためっき鋼板に対し、更に塗装を施すものにつ
いては、市販のエポキシ系プライマー塗料を、乾燥膜厚
5μmとなるように、20秒、到達板温200℃の条件
で焼き付け、次いでポリエステル系トップ塗料を、乾燥
膜厚15μmとなるように、20秒、到達板温210℃
の条件で焼き付け、ウォータークエンチにより冷却し
た。
【0044】塗装後の塗装性能として、塗膜密着性を評
価した。塗膜密着性は、2時間の沸水浸漬の後、曲げ試
験(JIS G 3312)を行い、折曲げ部をテープ
剥離した時の塗膜剥離状態により、以下の評価基準に従
って判定した。 ○:剥離なし △:わずかに剥離あり ×:明らかに剥離あり。
【0045】種々の方法によって製造されためっき鋼板
の製造方法、めっき外観、クロメート処理後の耐黒変
性、および塗装後の塗膜密着性を、実施例1〜5および
比較例1〜3に記述すると共に、一覧表を表3にまとめ
た。
【0046】実施例1 めっき浴1を用いてめっき後、めっき表面に水溶液2を
噴霧して金属ニッケル1.2mg/m2 を析出させた。
めっき外観、クロメート処理後の耐黒変性、クロメート
処理後に塗装した場合の塗膜密着性とも、全て○であっ
た。
【0047】実施例2 めっき浴1を用いてめっき後、めっき表面に水溶液3を
噴霧して金属ニッケル5.5mg/m2 を析出させた。
めっき外観、リン酸亜鉛系化成処理後に塗装した場合の
塗膜密着性とも○であった。
【0048】実施例3 めっき浴2を用いてめっき後、めっき表面に水溶液1を
噴霧して金属ニッケル7.6mg/m2 を析出させた。
めっき外観、クロメート処理後の耐黒変性、クロメート
処理後に塗装した場合の塗膜密着性とも、全て○であっ
た。
【0049】実施例4 めっき浴3を用いてめっき後、めっき表面に水溶液4を
噴霧して金属ニッケル43mg/m2 を析出させた。め
っき外観、リン酸亜鉛系化成処理後に塗装した場合の塗
膜密着性とも○であった。
【0050】実施例5 めっき浴1を用いてめっき後、めっき表面に水溶液1を
噴霧して金属ニッケル6.5mg/m2 を析出させた。
めっき外観、クロメート処理後の耐黒変性、クロメート
処理後に塗装した場合の塗膜密着性とも、全て○であっ
た。
【0051】比較例1 めっき浴1を用いてめっき後、めっき表面に水溶液5を
噴霧した。めっき外観は△、クロメート処理後の耐黒変
性は×、クロメート処理後に塗装した場合の塗膜密着性
は×であった。
【0052】比較例2 めっき浴2を用いてめっき後、めっき表面に水溶液5を
噴霧した。めっき外観は△、リン酸亜鉛系化成処理後に
塗装した場合の塗膜密着性は×であった。
【0053】比較例3 めっき浴3を用いてめっき後、めっき表面に水溶液を噴
霧せずに空冷した。めっき外観は×、クロメート処理後
の耐黒変性は×、クロメート処理後に塗装した場合の塗
膜密着性は△であった。
【0054】
【表3】
【0055】表3の評価結果より明らかなように、本発
明の製造方法を用いた実施例1〜5は、溶融状態にある
めっき表面に、ニッケルイオンを含有する水溶液を噴霧
し、金属ニッケルを1〜50mg/m2 析出させた例で
あり、めっき外観、クロメート処理後の耐黒変性、クロ
メート処理またはリン酸亜鉛系化成処理後に塗装した場
合の塗膜密着性のいずれの性能に対しても、優れた効果
を奏することが明らかとなった。
【0056】これに対して比較例1、2は、溶融状態に
あるめっき表面に純水を噴霧した例であり、また比較例
3は空冷によりめっきを凝固させた場合の例である。金
属ニッケルの析出を伴わない、これらの製造方法による
と、めっき外観、クロメート処理後の耐黒変性、クロメ
ート処理またはリン酸亜鉛系化成処理後に塗装した場合
の塗膜密着性のいずれの性能も劣っていることが確認さ
れた。
【0057】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明におけ
るめっき鋼板の製造方法は、スパングルの微細化、耐黒
変性の向上、塗装後の塗膜密着性の向上といった、種々
の機能を有するニッケルフラッシュ処理を、ミニマムス
パングル処理工程での一段処理で対応する製造方法であ
るので、処理設備の簡略化、省スペース化、生産性の向
上、薬剤管理の簡略化等等、多岐に渡るメリットが期待
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥崎裕二 佐倉市臼井1571−13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板を溶融亜鉛浴または溶融亜鉛アルミ
    ニウム合金浴に浸漬して、溶融めっきを施した後、めっ
    き表面が溶融状態にあるうちに、ニッケルイオンを含有
    する水溶液をめっき表面に噴霧して、めっき表面に金属
    ニッケルを1〜50mg/m2 析出させることを特徴と
    する溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
  2. 【請求項2】 前記めっき表面に金属ニッケルを1〜5
    0mg/m2 析出させた後、更にクロメート処理を行う
    ものである請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造
    方法
  3. 【請求項3】 前記めっき表面に金属ニッケルを1〜5
    0mg/m2 析出させた後、更にリン酸亜鉛系化成処理
    を行うものである請求項1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板
    の製造方法
JP9826595A 1995-04-24 1995-04-24 溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Pending JPH08296014A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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