JPH08294802A - 主軸装置 - Google Patents

主軸装置

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JPH08294802A
JPH08294802A JP10425195A JP10425195A JPH08294802A JP H08294802 A JPH08294802 A JP H08294802A JP 10425195 A JP10425195 A JP 10425195A JP 10425195 A JP10425195 A JP 10425195A JP H08294802 A JPH08294802 A JP H08294802A
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rolling
rolling bearing
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Tetsuo Shibukawa
哲郎 渋川
Yasumasa Nakane
康政 中根
Futoshi Sugimoto
太 杉本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ころがり軸受に予圧を与えた主軸装置におい
て、過熱のおそれなしにころがり軸受に回転精度と剛性
の最大能力を発揮させる。 【構成】 主軸台10には、スピンドル20を軸支する
前後のころがり軸受17,18の少なくとも一方の外輪
を軸線方向に移動可能に支持する移動支持機構13が設
けられ、両ころがり軸受にスピンドルの回転速度に応じ
た軸線方向予圧を与えるよう移動支持機構を作動させる
駆動装置33を備えている。両ころがり軸受は内輪及び
外輪の間に転動自在に介装される多数の転動体の形状寸
法、数及び中心の軌跡の径を同一としている。前部ころ
がり軸受17はその内輪の内径を後部ころがり軸受18
の内輪の内径よりも大とし、大径の円筒状部分20bに
スピンドルの後側から嵌合して、スピンドルに嵌合固着
したロータスリーブ22先端の内輪押え22cにより固
定してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マシニングセンタ等に
使用される高速で回転するスピンドルを軸支するのに適
した主軸装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最大径d(mm)と回転速度n(毎分回転
数)の積であるdn値が200万を越える高速で回転す
るスピンドルに使用する主軸装置においては、回転精度
と剛性を維持するために、スピンドルを軸支する前後の
ころがり軸受に、同一の値で互いに逆向きの軸線方向予
圧を与えている。そして、広い回転速度範囲で過熱を生
じることなく常に所望の回転精度と剛性を維持するため
に、この予圧を回転速度に応じて変化させるようにして
いる。
【0003】そのような従来技術の一例を図5及び図6
に示す。この技術では、スピンドル4は、主軸台1の前
部及び後部に設けた軸受支持筒1a及び2内に保持され
た各2個の前部ころがり軸受5及び後部ころがり軸受6
により軸支されている。前部軸受支持筒1aは主軸台1
に固定され、後部軸受支持筒2はボールスライド2aを
介して軸線方向移動可能に主軸台1に支持され、後部軸
受支持筒2の前部には主軸台1との間に環状の油圧シリ
ンダ3が形成されている。
【0004】スピンドル4は前端部のフランジ部4aの
後側に次第に小径となる複数の円筒状部分4b〜4gが
形成され、両前部ころがり軸受5はフランジ部4aに当
接されて円筒状部分4b,4cに焼きばめされた前部内
輪押え7aにより位置決め固定され、両後部ころがり軸
受6はスリーブ7cを介して後述するロータスリーブ7
bの後端面に当接されて円筒状部分4f,4gに焼きば
めされた後部内輪押え7dにより位置決め固定されてい
る。前後のころがり軸受5,6の間となる円筒状部分4
d,4eにはロータスリーブ7bが焼きばめ固定され、
主軸台1に固定されたステータ8aと共にスピンドル4
を回転駆動するビルトインモータ8を構成するロータ8
bがロータスリーブ7bに固定されている。
【0005】各内輪押え7a,7d及びロータスリーブ
7bにはスピンドル4との間に環状室9a,9c,9e
が形成され、孔9b,9d,9fより各環状室9a,9
c,9eに油圧を加えることにより、焼きばめされた各
内輪押え7a,7d及びロータスリーブ7bを内径が増
大するよう弾性変形させて、軸方向位置の調整及び取り
外しを行うようにしている。スピンドル4の先端には、
工具Tがクランプ機構を介して着脱可能に固定されてい
る。
【0006】この従来技術では、通路3aを介して油圧
シリンダ3に導入する油圧をスピンドル4の回転速度の
増大に応じて減少させ、前後のころがり軸受5,6に与
える軸線方向予圧を変えて、所定の回転速度範囲で過熱
を生じることなく常に所望の回転精度と剛性を維持する
ようにしている。
【0007】なお、この種の主軸装置において、スピン
ドルを軸支するころがり軸受に予圧を与える方法には定
圧予圧と定位置予圧とがあり、上記従来技術は回転速度
に応じた所定圧の定圧予圧を与える例であるが、例えば
特開平2−279203号公報に開示されたような、両
ころがり軸受を回転速度に応じた所定位置関係とする定
位置予圧を与えるようにしてもよい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、前
部ころがり軸受5はスピンドル4の最大径の円筒状部分
4bに嵌合され、後部ころがり軸受6はこれより数段小
径の円筒状部分4fに嵌合されるので、後部ころがり軸
受6の内径番号は前部ころがり軸受5の内径番号よりも
小となる。このため、各ころがり軸受5,6に与える予
圧の最大値は小径である後部ころがり軸受6により制限
されて前部ころがり軸受5に充分な予圧が与えられない
ので、前部ころがり軸受5が本来有している回転精度と
剛性の最大能力を発揮することができないという問題が
ある。逆に、大径である前部ころがり軸受5に合わせて
予圧を与えると後部ころがり軸受6に加わる予圧が過大
となって、高速回転時に後部ころがり軸受6が過熱され
て焼き付きを生じるおそれがある。本発明はこのような
各問題を解決することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による主軸装置
は、主軸台と、スピンドルと、各外輪が主軸台の前部及
び後部に支持され各内輪がスピンドルに固定されて同ス
ピンドルを同主軸台に軸支する前部ころがり軸受及び後
部ころがり軸受よりなるものであり、主軸台には両ころ
がり軸受の少なくとも一方の外輪をスピンドルの軸線方
向に移動可能に支持する移動支持機構が設けられ、両こ
ろがり軸受に同スピンドルの回転速度に応じた互いに逆
向きの軸線方向予圧を与えるよう移動支持機構を作動さ
せる駆動装置を備えている。両ころがり軸受は内輪及び
外輪の間に転動自在に介装される多数の転動体の形状寸
法、数及び中心の軌跡の径を同一としている。
【0010】本発明による主軸装置は、スピンドルの両
ころがり軸受の間に同軸的に固定されたロータスリーブ
と、このロータスリーブに固定されたロータと、主軸台
に固定されたステータよりなりスピンドルを回転駆動す
るビルトインモータを更に備えたものとしてもよい。
【0011】また、スピンドルは両ころがり軸受の間に
同軸的に形成された複数の円筒状部分を有し、ロータス
リーブは同軸的に形成された複数の円筒孔を有するステ
ップドスリーブとし、この円筒孔と各円筒状部分の少な
くとも一部のものを互いに嵌合することによりロータス
リーブをスピンドルに固定するようにしてもよい。
【0012】スピンドルは前記両ころがり軸受の間に同
軸的に形成されてこの両ころがり軸受の一方から他方に
向かって段状に径が減少する複数の円筒状部分を有し、
前側となる一方のころがり軸受はその内輪の内径を後側
となる他方のころがり軸受の内輪の内径より大とし、こ
の一方のころがり軸受の内輪は円筒状部分のうち大径の
ものに後側から嵌合して内輪押えにより軸線方向におい
て固定し、他方のころがり軸受の内輪は円筒状部分のう
ち小径のものに後側から嵌合して内輪押えにより軸線方
向において固定するようにしてもよい。
【0013】また、一方のころがり軸受の内輪に当接し
て同ころがり軸受をスピンドルに軸線方向において固定
する内輪押えをロータスリーブの前端部に一体形成する
ことが好ましい。
【0014】
【作用】本発明によれば、両ころがり軸受の転動体の形
状寸法、数及び中心の軌跡の径が同一であるので、この
両ころがり軸受に与えることができる最大予圧量は同一
となる。従って何れのころがり軸受にも最大またはそれ
に近い予圧量を与えることができる。
【0015】スピンドルの両ころがり軸受の間にビルト
インモータのロータが固定されるロータスリーブを同軸
的に固定したもの及びこのロータスリーブをステップド
スリーブとしたものによれば、スピンドルはこのビルト
インモータにより回転駆動される。
【0016】前側となる一方のころがり軸受の内輪の内
径を後側となる他方のころがり軸受の内輪の内径よりも
大としたものでは、両ころがり軸受は何れも後側からス
ピンドルに嵌合されて内輪押えにより固定される。
【0017】内輪押えをロータスリーブの前端部に一体
形成したものによれば、一方のころがり軸受はロータス
リーブの前端部によりスピンドルに軸線方向において固
定される。
【0018】
【実施例】以下に、図1及び図2に示す第1実施例及び
図3及び図4に示す第2実施例により、本発明の説明を
する。先ず第1実施例の説明をする。主として図1に示
すように、一体的に結合された前半部10a及び後半部
10bよりなりスピンドル20を軸支する主軸台10の
前部には前部軸受支持筒11が固定され、後部には前部
軸受支持筒11と同軸的に配置された後部軸受支持筒
(移動支持機構)13がボールスライド15を介して軸
線方向移動可能に支持されている。
【0019】前部軸受支持筒11は互いに一体結合され
た本体11a、スリーブ11b及び外輪押え11c,1
1dよりなり、間にスペーサ12が介装された2個の前
部ころがり軸受17の外輪を固定支持している。後部軸
受支持筒13は互いに一体結合された本体13a、スリ
ーブ13b及び外輪押え13cよりなり、間にスペーサ
14が介装された2個の後部ころがり軸受18の外輪を
固定支持している。後部軸受支持筒13の本体13aの
前端部には先端側が小径の2つの円筒部が同軸的に形成
され、各円筒部は主軸台10の後半部10bに液密に嵌
合されて、その間に環状の油圧シリンダ(駆動装置)3
3が形成され、この油圧シリンダ33には後半部10b
に形成した通路34及び管路34aを介して後述する油
圧供給装置35からの油圧が供給されるようになってい
る。
【0020】前部ころがり軸受17と後部ころがり軸受
18は、内輪及び外輪の間に転動自在に介装される多数
の転動体(図示の例ではボール)の形状寸法、数及び中
心の軌跡の径が同一であるが、次に述べるように、内輪
の内径は前部ころがり軸受17の方が大である。本実施
例では各ころがり軸受17,18はアンギュラ玉軸受を
使用したが、テーパローラ軸受などその他のころがり軸
受でもよい。
【0021】図2によく示すように、スピンドル20に
は、前端部のフランジ部20aの後側に、後端側が次第
に小径となる複数の円筒状部分20b〜20eが同軸的
に形成されている。図2は見やすくするために各円筒状
部分20b〜20eの間の直径の差を誇張して示してい
るが、例えば円筒状部分20dの直径Aが50の場合、
円筒状部分20cの直径はA+0.3であり、円筒状部
分20bの直径はA+0.5(単位は何れもミリメート
ル)である。円筒状部分20dに使用する後部ころがり
軸受18は規格品であり、円筒状部分20bに使用する
前部ころがり軸受17は、後部ころがり軸受18と同一
のころがり軸受の内輪の内径を0.5ミリメートル大と
なるように研削加工したものである。
【0022】ロータスリーブ22は、スピンドル20の
円筒状部分20b及び20cに焼きばめ可能な2つの円
筒孔が内面に形成されたステップドスリーブである。間
にスペーサ26を介装した2個1組の前部ころがり軸受
17の内輪は、スピンドル20の後側から円筒状部分2
0bに嵌合されてフランジ部20aに当接され、スピン
ドル20の円筒状部分20b及び20cに焼きばめした
ロータスリーブ22前端部に一体形成した前部内輪押え
22cにより軸線方向において固定される。ロータスリ
ーブ22にはスピンドル20を回転駆動するビルトイン
モータ30のロータ30bが固定され、ビルトインモー
タ30のステータ30aは主軸台10に固定されてい
る。ロータスリーブ22の長手方向中間部にはスピンド
ル20との間に、両円筒状部分20b,20cの段差に
相当する厚さの環状室22aが形成され、この環状室2
2aを外部に連通する孔22bが形成されている。ロー
タ30bの前後位置となるロータスリーブ22の両端部
には、一体形成及び圧入固定されたバランスリング22
d,22eが設けられ、これを局部的に削ることにより
ロータスリーブ22及びロータ30bを組み付けた状態
でのスピンドル20の動的釣合がとられる。
【0023】間にスペーサ27を介装した2個1組の後
部ころがり軸受18の内輪は、スピンドル20の後側か
ら円筒状部分20dに嵌合され、スリーブ23を介して
ロータスリーブ22の後端面に当接され、長さが短い点
を除きロータスリーブ22と同様のステップドスリーブ
よりなる後部内輪押え24を各円筒状部分20d,20
eに焼きばめすることにより軸線方向において固定され
る。この後部内輪押え24もスピンドル20との間に環
状室24aが形成され、同様の孔24bが形成されてい
る。
【0024】ロータスリーブ22及び後部内輪押え24
は、各孔22b,24bを介して各環状室22a及び2
4aに油圧を加えれば、焼きばめされた各ロータスリー
ブ22及び後部内輪押え24の内径が増大するよう弾性
変形される。これにより、ロータスリーブ22及び後部
内輪押え24の軸方向位置の調整及び取り外しが可能に
なる。この取り外しを容易にするために、ロータスリー
ブ22及び後部内輪押え24両端のスピンドル20との
嵌合面の幅はそれぞれほゞ同一である。スピンドル20
の先端には、工具Tを保持するホルダHが、スピンドル
20を貫通するドローバー29により作動されるクラン
プ機構28を介して着脱可能に固定されている。
【0025】スピンドル20の回転速度に応じた油圧を
油圧シリンダ33に与える油圧供給装置35は、図1に
示すように、油圧ポンプ36と、3つの減圧弁38a〜
38cと、3位置切換弁39よりなるものである。ポン
プ36からの最高油圧はリリーフ弁37によりにより制
御され、3つの減圧弁38a〜38cは、最高油圧の範
囲内において大中小3段階の油圧に設定されている。切
換弁39はスピンドル20の回転速度を検出して作動す
る制御装置(図示省略)により制御され、回転速度が低
速の場合は減圧弁38aを管路34a及び通路34に連
通して油圧シリンダ33に高い油圧を導入し、中速の場
合は減圧弁38bを管路34a及び通路34に連通して
油圧シリンダ33に中間の油圧を導入し、高速の場合は
減圧弁38cを管路34a及び通路34に連通して油圧
シリンダ33に低い油圧を導入するものである。油圧シ
リンダ33に導入されるこの油圧により後部軸受支持筒
13は後向きに押され、前後のころがり軸受17,18
には互いに逆向きで同一の軸線方向予圧が与えられる。
【0026】各ころがり軸受17,18の転動体(ボー
ル)とレース面の間に生じる予圧は、この油圧により与
えられる予圧とボールに加わる遠心力により生じる予圧
の和であるが、本実施例によれば、遠心力による予圧が
小さい低速回転の場合は油圧による予圧が大きく、遠心
力による予圧が大きい高速回転の場合は油圧による予圧
が小さいので、各ころがり軸受17,18の転動体とレ
ース面の間に生じる予圧は、予圧の最大限度を限界とす
るある範囲内とすることができる。
【0027】この第1実施例では、両ころがり軸受1
7,18は転動体の形状寸法、数及び中心の軌跡の径が
同一であるので、この両ころがり軸受17,18に与え
ることができる最大予圧量は同一である。従って何れの
ころがり軸受にも最大またはそれに近い予圧量を与える
ことができるので、過熱のおそれなしに両ころがり軸受
の回転精度と剛性に関する最大能力を発揮させることが
できる。
【0028】またこの第1実施例では、前部ころがり軸
受17の内輪の内径を後部ころがり軸受18の内輪の内
径よりも大とし、前部ころがり軸受17を後側からスピ
ンドル20に嵌合してロータスリーブ22前端の前部内
輪押え22cにより固定したので、スピンドル20の前
端側に前部内輪押えが露出することはない。従って何ら
かの理由によりスピンドル20の前端部が工作物などの
他の部材と干渉(接触あるいは衝突)することがあって
も、スピンドル20に対する前部ころがり軸受17の固
定が緩んだり、位置ずれを生じたりするおそれはない。
【0029】またこの第1実施例では、前部内輪押え2
2cはロータスリーブ22の前端部に一体形成したの
で、前部内輪押えを別体に設けたもの(例えば図5及び
図の従来技術)に比してスピンドル20に形成する円筒
状部分の数が減少する。これによりスピンドル20の加
工工程が減少し、また前後のころがり軸受17,18を
嵌合する円筒状部分の径の差が少なくなるので、前側の
ころがり軸受の内径の増大量は少なくなり、またスピン
ドル20は重量に比して剛性が増大する。
【0030】なお、この第1実施例では、油圧シリンダ
33に加える油圧をスピンドル20の回転速度に応じて
3段階に切り換えているが、この切り換え段数を4段階
以上とし、あるいはスピンドル20の回転速度に応じて
連続的に変化させてもよい。そのようにすれば各ころが
り軸受17,18の転動体に生じる合計の予圧の変動範
囲を少なくして、この予圧の平均値を予圧の最大限度に
近づけることができ、過熱のおそれなしにスピンドル2
0の回転精度と剛性を高めることができる。
【0031】図3及び図4に示す第2実施例は、スピン
ドル20に対する前部ころがり軸受17の支持及び固定
構造が第1実施例と異なっているが、主軸台10、前部
軸受支持筒11及び後部軸受支持筒13による前後のこ
ろがり軸受17,18の外輪の支持構造は第1実施例と
同一であるので、この相違点につき説明する。
【0032】図4によく示すように、第2実施例のスピ
ンドル20は、前部のフランジ部20aの後側及び前側
に、先端側がそれぞれ次第に小径となる複数の円筒状部
分20b〜20e及び円筒状部分20f〜20hが同軸
的に形成されており、前後のころがり軸受17,18が
嵌合される円筒状部分20d及び20gの径は同一であ
る。図2と同様、各円筒状部分20b〜20e,20f
〜20hは直径の差を誇張して示しているが、例えば円
筒状部分20d,20gの直径Aが50の場合、円筒状
部分20cの直径はA+0.2であり、円筒状部分20
bの直径はA+0.4(単位は何れもミリメートル)で
ある。前後のころがり軸受17,18は全く同一の規格
品である。
【0033】ロータスリーブ22は、その先端面がフラ
ンジ部20aに当接するように、内面に段状に形成され
た2つの円筒孔がスピンドル20の円筒状部分20b及
び20cに焼きばめされている。2個1組の前部ころが
り軸受17の内輪は、スピンドル20の前側から円筒状
部分20gに嵌合されて円筒状部分20fの前端面に当
接され、前部内輪押え25を各円筒状部分20g,20
hに焼きばめすることにより軸線方向において固定され
る。また、2個1組の後部ころがり軸受18の内輪は、
スピンドル20の後側から円筒状部分20dに嵌合さ
れ、スリーブ23を介してロータスリーブ22の後端面
に当接され、後部内輪押え24を各円筒状部分20d,
20eに焼きばめすることにより軸線方向において固定
される。
【0034】第1実施例と同様、ロータスリーブ22に
ロータ30bを固定したビルトインモータ30によりス
ピンドル20は回転駆動される。第1実施例と同様のス
テップドスリーブであるロータスリーブ22及び前後の
内輪押え25,24はスピンドル20との間に環状室2
2a,24a,25aが形成されると共に孔22b,2
4b,25bが設けられ、同様にして軸方向位置調整及
び取り外しがなされる。スピンドル20の先端には、工
具Tを保持するホルダHがクランプ機構28を介して着
脱可能に固定されている。
【0035】環状の油圧シリンダ33には、第1実施例
と同様、スピンドル20の回転速度に応じて3段階また
はそれ以上の段状に、あるいは連続的に変化する油圧が
導入され、これにより後部軸受支持筒13は後向きに押
され、前後のころがり軸受17,18には互いに逆向き
で同一の軸線方向予圧が与えられる。
【0036】この第2実施例では、両ころがり軸受1
7,18は全く同一であるので、第1実施例の場合と同
様、両ころがり軸受17,18に与えることができる最
大予圧量は同一である。従って何れのころがり軸受にも
最大予圧量を与えることができるので、過熱のおそれな
しに両ころがり軸受の回転精度と剛性に関する最大能力
を発揮させることができる。また、両ころがり軸受は何
れも内輪の内径を加工する必要がないので、第1実施例
に比して実施が容易になる。
【0037】上記各実施例は、主軸台10に軸線方向移
動可能に支持されて後部ころがり軸受18の外輪を支持
する後部軸受支持筒13を、油圧供給装置35からのス
ピンドル20の回転速度に応じた油圧を導入した油圧シ
リンダ33により作動させて直接押圧する定圧予圧の例
であるが、本発明はこのような後部軸受支持筒をスピン
ドルの回転速度に応じた所定位置に移動させる定位置予
圧のものに適用することもできる。
【0038】
【発明の効果】上述のような本発明によれば、スピンド
ルを軸支する何れのころがり軸受にも最大またはそれに
近い予圧量を与えることができるので、過熱のおそれな
しに両ころがり軸受の回転精度と剛性に関する最大能力
を発揮させることができる。
【0039】スピンドルの両ころがり軸受の間にビルト
インモータのロータが固定されるロータスリーブを固定
したもの及びこのロータスリーブをステップドスリーブ
としたものによれば、ビルトインモータの取付構造が小
型かつ簡略化される。
【0040】前側となるころがり軸受の内輪の内径を後
側となるころがり軸受の内輪の内径よりも大としたもの
によれば、両ころがり軸受は何れも後側からスピンドル
に嵌合されて内輪押えにより軸線方向において固定され
るので、スピンドルの前端側に内輪押えが露出すること
はない。従って内輪押えが他の部材と干渉して前部ころ
がり軸受の固定が緩んだり、位置ずれを生じたりするお
それはない。
【0041】一方のころがり軸受をスピンドルに固定す
る内輪押えをロータスリーブと一体形成したものによれ
ば、スピンドルに形成する円筒状部分の数が減少するの
で、スピンドルの加工工程が減少し、また各ころがり軸
受を嵌合する円筒状部分の径の差が少なくなるので前側
のころがり軸受の内径の増大量を少なくし、またスピン
ドルの剛性の低下を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による主軸装置の第1実施例の全体構
造を示す縦断面図である。
【図2】 第2実施例の拡大部分断面図である。
【図3】 本発明による主軸装置の第1実施例の全体構
造を示す縦断面図である。
【図4】 第2実施例の拡大部分断面図である。
【図5】 従来技術による主軸装置の一例の全体構造を
示す縦断面図である。
【図6】 図2に示す従来技術の拡大部分断面図であ
る。
【符号の説明】
10…主軸台、13…移動支持機構(後部軸受支持
筒)、17…前部ころがり軸受、18…後部ころがり軸
受、20…スピンドル、20b〜20e…円筒状部分、
22…ロータスリーブ、22c…前部内輪押え、24…
後部内輪押え、30…ビルトインモータ、30a…ステ
ータ、30b…ロータ、33…駆動装置(油圧シリン
ダ)。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主軸台と、スピンドルと、各外輪が前記
    主軸台の前部及び後部に支持され各内輪が前記スピンド
    ルに固定されて同スピンドルを同主軸台に軸支する前部
    ころがり軸受及び後部ころがり軸受よりなる主軸装置に
    おいて、前記主軸台に設けられて前記両ころがり軸受の
    少なくとも一方の外輪を前記スピンドルの軸線方向に移
    動可能に支持する移動支持機構と、前記両ころがり軸受
    に互いに逆向きの軸線方向予圧を与えるよう前記移動支
    持機構を作動させる駆動装置を備え、前記両ころがり軸
    受は内輪及び外輪の間に転動自在に介装される多数の転
    動体の形状寸法、数及び中心の軌跡の径が同一であるこ
    とを特徴とする主軸装置。
  2. 【請求項2】 前記スピンドルの前記両ころがり軸受の
    間に同軸的に固定されたロータスリーブと、このロータ
    スリーブに固定されたロータと、前記主軸台に固定され
    たステータよりなり前記スピンドルを回転駆動するビル
    トインモータを更に備えてなる請求項1に記載の主軸装
    置。
  3. 【請求項3】 前記スピンドルは前記両ころがり軸受の
    間に同軸的に形成された複数の円筒状部分を有し、前記
    ロータスリーブは同軸的に形成された複数の円筒孔を有
    するステップドスリーブとし、前記円筒孔と前記各円筒
    状部分の少なくとも一部のものを互いに嵌合することに
    より前記ロータスリーブを前記スピンドルに固定してな
    る請求項2に記載の主軸装置。
  4. 【請求項4】 前記スピンドルは前記両ころがり軸受の
    間に同軸的に形成されてこの両ころがり軸受の一方から
    他方に向かって段状に径が減少する複数の円筒状部分を
    有し、前側となる前記一方のころがり軸受はその内輪の
    内径を後側となる前記他方のころがり軸受の内輪の内径
    より大とし、この一方のころがり軸受の内輪は前記円筒
    状部分のうち大径のものに後側から嵌合して内輪押えに
    より軸線方向において固定し、前記他方のころがり軸受
    の内輪は前記円筒状部分のうち小径のものに後側から嵌
    合して内輪押えにより軸線方向において固定してなる請
    求項2に記載の主軸装置。
  5. 【請求項5】 前記一方のころがり軸受の内輪に当接し
    て同ころがり軸受を前記スピンドルに軸線方向において
    固定する内輪押えを前記ロータスリーブの前端部に一体
    形成してなる請求項4に記載の主軸装置。
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