JP3080253B2 - 工作機械の主軸装置 - Google Patents

工作機械の主軸装置

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JP3080253B2
JP3080253B2 JP03310179A JP31017991A JP3080253B2 JP 3080253 B2 JP3080253 B2 JP 3080253B2 JP 03310179 A JP03310179 A JP 03310179A JP 31017991 A JP31017991 A JP 31017991A JP 3080253 B2 JP3080253 B2 JP 3080253B2
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一之 平元
圭吾 多田
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Makino Milling Machine Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、工作機械の主軸装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術における工作機械の主軸装置
においては、主軸は、工具装着側の主要部が剛性を保っ
てアンギュラ玉軸受等でスラスト・ラジアル荷重を支承
して回転自在にハウジングに支持され、その後端側から
延長部が伸出し、延長部の後端は、通常の深みぞラジア
ル玉軸受等で回転自在に支承され、それらの軸受は、い
ずれも内外輪に軌道溝が形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】工作機械の主軸装置に
おいて、工作機械の主軸は、工具装着側の主要部が剛性
を保ってアンギュラ玉軸受で回転自在に支承されてお
り、その後端側から延長部が長く伸出し、延長部の後端
は、ラジアル玉軸受で回転自在に支承されている。これ
ら軸受は、適宜の方法で潤滑、冷却されるが、高速回転
になると発熱量が多くなる。又、切削・研削における主
軸の主軸部の先端に装着された工具や工作物からの加工
熱も主軸及び主軸ハウジングに伝導される。更に、駆動
歯車等からの熱、又は前記延長部にビルトイン形のモー
タを有した主軸では、そのモータからの熱等も主軸及び
主軸ハウジングに伝導される。
【0004】すると、主軸及び主軸ハウジングが熱膨張
する。しかし、主軸の主要部においては、特に冷却手段
が設けられ、温度上昇が抑止され、熱膨張が少ないの
で、前端の工具・工作物側へは、主軸ハウジングに対す
る相対的な伸出を実質的にはしないが、冷却及び剛性等
が積極的に考慮されている主要部と異なる延長部は後方
へ伸出する。
【0005】延長部の後端のラジアル玉軸受は、外輪が
主軸ハウジングに固定され、内輪が延長部に固定され、
内外輪に形成された軌道溝に玉が係合されているので、
ラジアル荷重の外にスラスト荷重も支承する。従って、
主軸の延長部と主軸ハウジングとの熱膨張量差は、主要
部の軸受及び延長部の軸受に対するスラスト荷重として
作用して、スラスト荷重が増大し、不要な発熱が生じ、
更に熱膨張量を増大させる悪循環が生じる。その熱膨張
量差は、主軸の延長部が長いほど大きい。そのため、高
速回転が制限されたり、主軸の延長部の長さが制限され
る。主軸の延長部の長さの制限は、主軸装置のコンパク
ト化のための主軸ハウジングに内蔵された駆動部及び工
具着脱操作部等の装備に不便をきたす。
【0006】これを防ぐためラジアル玉軸受全体を主軸
の伸びと共に軸線方向に移動自在にする構成がとられた
りするが、これは、構造が複雑となり、主軸の回転精度
も悪化する問題が残る。
【0007】この発明は、高速回転の発熱と主軸の熱膨
張との上記の両問題を同時に解消する工作機械の主軸装
置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の工作機械の主
軸装置は、工作機械の主軸装置において、主軸の工具装
着側の前端位置が変位しないように前記主軸の前方の主
要部は、主軸ハウジングにラジアル方向及び前後両アキ
シャル方向に支承する複数の転がり軸受で支持される
ともに、発熱に対する冷却手段が設けられ、前記主軸の
前方の主要部から延長部が後方に伸出し、前記主軸の延
長部の熱膨張による軸線方向の伸びを前記主軸の後方へ
逃がすように、前記延長部の後端部は、外周面に嵌着さ
れ軌道溝がない内輪の前記主軸の軸線と平行な平坦軌道
面と前記主軸ハウジングに嵌着された外輪の軌道溝との
間に玉が嵌装されたラジアル玉軸受で支持されている。
【0009】そして、主軸の延長部の後端部を支持する
ラジアル玉軸受が、前記延長部の外周面により形成され
た軌道溝がない前記主軸の軸線と平行な平坦軌道面と前
記主軸ハウジングに嵌着された外輪の軌道溝との間に玉
が嵌装されて構成されてもよい。
【0010】
【作用】上記の主軸装置において、主軸は、回転駆動さ
れると、主軸ハウジングに対し回転し、主軸前端に装着
された工具により加工が行われる。その際、主軸に加わ
るラジアル荷重及びスラスト荷重は、ラジアル方向及び
アキシャル方向に支承する複数の転がり軸受によって支
承される。又、主軸の延長部は、その後端がラジアル方
向にラジアル玉軸受により支承され、振れ回りしない。
かくして、主軸は剛性をもって回転する。切削・研削に
おける主軸の前端に装着された工具・工作物からの加工
熱及び主軸の回転に伴なう軸受の摩擦熱により主軸装置
の温度が上昇し、主軸及び主軸ハウジングが熱膨張す
る。
【0011】主軸の主要部においては、冷却手段等で温
度上昇が抑止され、熱膨張が少ないので、先端の工具・
工作物側へは、主軸ハウジングに対する相対的な伸出を
実質的にはしないで、加工精度に悪影響を与えないし、
主軸の主要部が転がり軸受で軸線方向に拘束されていて
も、主軸と主軸ハウジングとの熱膨張量の差による軸受
のスラスト荷重の増大が生じない。
【0012】その反面、主軸の延長部においては、主要
部のようには軸温度上昇が積極的には抑止されず、主軸
の延長部と主軸ハウジングとの熱膨張量の差は、延長部
が長いだけに顕著に主軸の延長部の後方伸出となるが、
それは、アキシャル方向に拘束されていないラジアル玉
軸受の内輪の平坦軌道面と玉との間で吸収される。従っ
て、主軸の延長部と主軸ハウジングとの熱膨張量の差
は、軸受群に対する不要なスラスト荷重とはならず、不
要な発熱が防止される。
【0013】又、内輪の平坦軌道面が平坦であるラジア
ル玉軸受は、外内輪間空間が広いので、ラジアル玉軸受
に対する供給手段からの潤滑油が軸受内を貫流し易く、
潤滑油貫流率が高まり、軸受の潤滑・冷却が十分に行わ
れる。
【0014】なお、上記のラジアル玉軸受において、熱
膨張量の差による主軸と主軸ハウジングとの間の軸線方
向の相対変位自在が外輪の軌道面の平坦化によらずに、
内輪側の軌道面の平坦化によっているが、それは、主軸
の高速回転の場合、ラジアル玉軸受の玉も高速公転して
玉に対し大きな遠心力が働き、外輪に対する押圧力が増
大することに起因している。即ち、外輪は軌道溝が形成
されているので、平坦な軌道面より玉の接触面積が実質
的には大きくなり、外輪に対する押圧力の増大によって
も単位接触面積当りの圧力が増大しないで、外輪が破壊
される恐れがない。
【0015】
【実施例】この発明の実施例における高速回転軸装置を
図面に従って説明する。実施例においては、工作機械の
主軸装置を例示して説明する。図1に示す工作機械の主
軸1は、主軸ハウジング2の中空孔3に嵌挿され、工具
装着側の主要部1Aは、剛性を保って両端がアンギュラ
玉軸受4,6で回転自在に支承されており、その後端側
から延長部1Bが長く伸出し、延長部1Bには、主軸装
置のコンパクト化のために主軸ハウジング2に内蔵され
た駆動部及び工具着脱操作部等(図示しない)が取付け
られており、延長部1Bの後端は、ラジアル玉軸受9で
回転自在に支承されている。そして、主軸1は、駆動部
により回転駆動されるようになっている。
【0016】玉軸受群について更に詳述すると、中空孔
3には、前側部及び後側部の適宜の位置に段部3a 及び
段部3b が形成され、中空孔3の前側部には、段部3a
に当接する第1アンギュラ玉軸受4の外輪4a 、カラー
5、第2アンギュラ玉軸受6の外輪6a 及びカラー7が
順次互に当接して嵌装され、主軸ハウジング2の前面の
前側軸受押え8で押えられて組立てられている。中空孔
3の後側部には、段部3b に当接するラジアル玉軸受9
の外輪9a が嵌装され、後側軸受押え10で押えられて組
立てられている。
【0017】主軸1の主要部1Aの前側部及び延長部1
Bの後側部には、夫々段部1a ,1b が形成され、主軸
1の主要部1Aには、段部1a に当接する第2アンギュ
ラ玉軸受6の内輪6b 、カラー11、第1アンギュラ玉軸
受4の内輪4b が順次互に当接して嵌装され、主要部1
Aの後側部に螺合するナット12で押えられて組立てら
れ、主軸1の延長部1Bには、段部1b に当接してラジ
アル玉軸受9の内輪9b が嵌装され、延長部1Bの後端
部に螺合するナット13で押えられて組立てられている。
【0018】図2に示すようにラジアル玉軸受9の外輪
9a の内周面には、軌道溝9c が形成されており、内輪
9b の外周面は、軌道溝がない平坦軌道面9d となって
おり、内輪9b は、玉9e に対しアキシャル方向に変位
自在である。
【0019】なお、各玉軸受に対しては、主軸側又は主
軸ハウジング側から図示しない供給手段で潤滑油が供給
されるようになっており、主軸1の主要部1A及びその
軸受部に対しては、特に回転摩擦熱や加工熱に対応した
冷却手段が具備されている。
【0020】上記の実施例において、ラジアル玉軸受9
における内輪9b が省略され、主軸1の後側部の外周面
が直接、内輪側の軌道溝がない平坦軌道面9d となって
いてもよい。その際、玉の軌道面となる主軸外周面に硬
度と耐摩耗性とを向上させる表面処理を行うことは当然
である。それによっても主軸1の後側部は、玉9e に対
しアキシャル方向に変位自在である。
【0021】ラジアル玉軸受9において、外輪9a と内
輪9b とのアキシャル方向の相対変位自在が外輪9a の
軌道面の平坦化によらずに、内輪9b の軌道面の平坦化
によっているが、それは、主軸1の高速回転の場合、ラ
ジアル玉軸受9の玉9e も高速公転して玉9e に対し大
きな遠心力が働き、外輪9a に対する押圧力が増大する
が、外輪9a は、軌道溝9c が形成されているので、平
坦な軌道面より玉9eの接触面積が実質的には大きくな
り、外輪9a に対する押圧力の増大によっても単位接触
面積当りの圧力が増大しないで、外輪9a が破壊される
恐れがないという理由による。
【0022】上記の工作機械の主軸装置の作用について
説明する。主軸1は、図示しない駆動部により回転駆動
されると、主軸1は、主軸ハウジング2に対し回転し、
主要部1Aの先端に装着された工具により加工が行われ
る。その際、主軸1に加わるラジアル荷重及びスラスト
荷重は、第1アンギュラ玉軸受4及び第2アンギュラ玉
軸受6によって支承される。又、主軸1の延長部1B
は、その後端がラジアル方向にラジアル玉軸受9により
支承され、振れ回りしない。かくして、主軸1は剛性を
もって回転する。
【0023】切削・研削における主軸1の主要部1Aの
先端に装着された工具・工作物からの加工熱及び主軸1
の回転に伴なう軸受の摩擦熱等により主軸装置の温度が
上昇し、主軸1及び主軸ハウジング2が熱膨張する。
【0024】主軸1の主要部1Aにおいては、冷却手段
等で温度上昇が抑止され、熱膨張が少ないので、先端の
工具・工作物側へは、主軸ハウジング2に対する相対的
な伸出を実質的にはしないで、加工精度に悪影響を与え
ないし、主軸1の主軸部1が第1アンギュラ玉軸受4及
び第2アンギュラ玉軸受6で軸線方向に拘束されていて
も、主軸1と主軸ハウジング2との熱膨張量の差による
第1アンギュラ玉軸受4及び第2アンギュラ玉軸受6の
スラスト荷重の増大が生じない。
【0025】その反面、主軸1の延長部1Bにおいて
は、主要部1Aのようには軸温度上昇が積極的には抑止
されず、主軸1の延長部1Bと主軸ハウジング2との熱
膨張量の差は、延長部1Bが長いだけに顕著に主軸1の
延長部1Bの後方伸出となるが、それは、アキシャル方
向に拘束されていないラジアル玉軸受9の内輪の平坦軌
道面9d と玉9e との間で吸収される。従って、主軸1
の延長部1Bと主軸ハウジング2との熱膨張量の差は、
玉軸受群4,6,9に対する不要なスラスト荷重とはな
らず、不要な発熱が防止される。
【0026】又、内輪の平坦軌道面9d が平坦であるラ
ジアル玉軸受9は、外内輪間空間が広いので、ラジアル
玉軸受9に対する供給手段からの潤滑油が軸受内を貫流
し易く、潤滑油貫流率が高まり、軸受の潤滑・冷却が十
分に行われる。
【0027】なお、図1の実施例において、ラジアル玉
軸受に代えて内輪外周面にころの軌道溝がない円筒ころ
軸受を用いることも考えられる。しかし、円筒ころ軸受
は、内・外輪ところとが線接触することになり、玉軸受
に比し摩擦による発熱量が多く、高速回転には不適であ
る。
【0028】
【発明の効果】この発明の主軸装置においては、切削・
研削における主軸の主要部の前端に装着された工具・工
作物からの加工熱及び主軸の回転に伴なう軸受の摩擦熱
により主軸装置の温度が上昇し、主軸及び主軸ハウジン
グが熱膨張しても、主軸前方の主要部が複数の軸受によ
ってラジアル方向及びアキシャル方向に支承されている
ので、主軸前端位置は変位せず、従って主軸前端に装着
された工具の位置も変位せず、結局工作物の加工精度が
良好に維持される。 又、主軸の延長部においては、主要
部のようには軸温度上昇が積極的には抑止されない延長
部と主軸ハウジングとの熱膨張量の差は、延長部が長い
だけに顕著に主軸の延長部の後方伸出となるが、それ
は、アキシャル方向に拘束されていないラジアル玉軸受
の内輪の平坦軌道面と玉との間で吸収される。従って、
主軸の延長部と主軸ハウジングとの熱膨張量の差は、軸
受群に対する不要なスラスト荷重とはならず、不要な発
熱が防止される。
【0029】従って、主軸は、一層高速で回転させるこ
とが可能となる。又、熱膨張量を考慮することなく、主
軸の延長部の長さを十分にとることができ、主軸ハウジ
ングに内蔵された駆動部及び工具着脱操作部等の装備に
都合がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例における工作機械の主軸装置
の断面図である。
【図2】この発明の実施例における工作機械の主軸装置
に用いられるラジアル玉軸受の断面図である。
【符号の説明】
1 主軸 1A 主要部 1B 延長部 1a,1b,3a,3b段部 2 主軸ハウジング 3 中空孔 4 第1アンギュラ玉軸受 4a,6a,9a外輪 4b,6b,9b内輪 5,7,11 カラー 6 第2アンギュラ玉軸受 8 前側軸受押え 9 ラジアル玉軸受 9c軌道溝 9d平坦軌道面 9e玉 10 後側軸受押え 12,13 ナット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−140705(JP,A) 特公 昭58−33934(JP,B2) 実公 昭63−30817(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23B 19/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工作機械の主軸装置において、主軸の工
    具装着側の前端位置が変位しないように前記主軸の前方
    の主要部は、主軸ハウジングにラジアル方向及び前後両
    アキシャル方向に支承する複数の転がり軸受で支持され
    るとともに、発熱に対する冷却手段が設けられ、前記主
    軸の前方の主要部から延長部が後方に伸出し、前記主軸
    の延長部の熱膨張による軸線方向の伸びを前記主軸の後
    方ヘ逃がすように、前記延長部の後端部は、外周面に嵌
    着され軌道溝がない内輪の前記主軸の軸線と平行な平坦
    軌道面と前記主軸ハウジングに嵌着された外輸の軌道溝
    との間に玉が嵌装されたラジアル玉軸受で支持されたこ
    とを特徴とする工作機械の主軸装置。
  2. 【請求項2】 前記主軸の延長部の後端部を支持するラ
    ジアル玉軸受が、前記延長部の外周面により形成された
    軌道溝がない前記主軸の軸線と平行な平坦軌道面と前記
    主軸ハウジングに嵌着された外輪の軌道溝との間に玉が
    嵌装されて構成されている請求項1に記載の工作機械の
    主軸装置。
JP03310179A 1991-10-30 1991-10-30 工作機械の主軸装置 Expired - Lifetime JP3080253B2 (ja)

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