JPH08292328A

JPH08292328A - 光ファイバ心線被覆の除去方法

Info

Publication number: JPH08292328A
Application number: JP7119058A
Authority: JP
Inventors: Hitoyasu Hongo; 仁康本郷; Tomoyuki Hattori; 知之服部; Shigekazu Hayamizu; 茂和速水; Masaru Nozawa; 優野澤; Hideyuki Iwata; 秀行岩田
Original assignee: Nippon Telegraph and Telephone Corp; Sumitomo Electric Industries Ltd
Current assignee: Nippon Telegraph and Telephone Corp; Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date: 1995-04-21
Filing date: 1995-04-21
Publication date: 1996-11-05

Abstract

(57)【要約】【構成】紫外線硬化型樹脂で構成された所定径に設計
された複数個の被覆層を持つ光ファイバ単一心線であっ
て、最外層の被覆層を除去することによって従来内層で
あった被覆層が露出することで新たに最外層となり、被
覆ファイバの複数本を所定のピッチで並べることが容易
な光ファイバ心線において、除去すべき最外被覆層の上
に更に樹脂を略環状に塗布・硬化して、引掛り部分を作
成し、該被覆の除去を容易とする光ファイバ心線被覆の
除去方法。【効果】種々の径の一括被覆光ファイバ心線を容易に
製造でき、かつ径の異なる他の光ファイバ心線との接続
が容易にできるので、取扱いが便利な光ファイバ心線の
構造を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高密度な光通信などに
有利に用いることができる新規な構造の光ファイバ心線
に関する。より詳細には、本発明は、光ファイバ心線を
効果的に保護でき、かつ多心光ファイバ心線の製造時や
他の光ファイバ心線等との接続時等に取扱いが便利な光
ファイバ心線の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近の情報通信の進歩と共に信号伝送の
高速化への要求が高まっている。このような高速信号伝
送技術を具体化したものとして光通信技術の実用化が挙
げられている。すなわち、光信号伝送は、光自体の特性
による高速伝送の実現と共に、伝送路である光ファイバ
が軽量であり、また、磁界、電界等の影響が少ない等の
通信技術上での利点を備えている。

【０００３】しかしながら、このような光ファイバ伝送
路でも依然としてより大量の信号伝送への要求は残り、
これに対応して信号伝送用光ファイバについても各種の
工夫が提案されている。このような技術的背景の下で開
発されたものに、多心光ファイバ心線（一括被覆光ファ
イバテープ心線）が挙げられる。すなわち、多心光ファ
イバ心線は光導波路である光ファイバ単一心線の複数個
を共通の被覆層によって一体化して例えばテープ状光フ
ァイバ心線として構成するのが普通であり、簡便な取り
扱いで高密度信号伝送を実現するものとして注目されて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
多心光ファイバ心線は光ファイバ素線の上に紫外線硬化
型樹脂等の被覆層を施して光ファイバ単一心線とし、更
に複数個の該光ファイバ単一心線を並列に並べて共通の
一括被覆層を施して使用していた。このような多心光フ
ァイバ心線の場合に、以下のような問題点が存在してい
た。すなわち、（イ）多心光ファイバ心線を他の光フ
ァイバ心線と接続する場合に、そのテープ状のように一
括被覆状のままでは扱い難く、更に接続による伝送損失
の問題もあるので、一括被覆層を除去して各光ファイバ
単一心線毎に接続処理する必要が生じる。

【０００５】しかし、多心光ファイバ心線を構成する光
ファイバ単一心線が接続側の光ファイバ単一心線と必ず
しも同一の径でない場合が多く、光ファイバ単一心線の
上層に予め設けた所定寸法の剥離層を除去して寸法合わ
せをしていたが、光ファイバ単一心線も種々の径のグレ
ードがあるため十分には対処できないのが現状である。（ロ）また、複数個の光ファイバ単一心線を並列に配置
して共通の被覆層を施こして多心光ファイバ心線を製造
する場合等に、光ファイバ単一心線として常に同一径の
ものを多種類、多数個準備する必要があって経費がかか
る問題があった。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を種
々検討した結果、光ファイバ単一心線を構成する各被覆
層の厚みを予め設計しておき、最外層の被覆層を除去し
て従来内層であった被覆層を露出させて新たな最外層を
構成させるに際し、除去すべき最外層の被覆の上に更に
樹脂を略環状に塗布・硬化して引掛り部分を作成するこ
とにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明
を完成するに至った。

【０００７】すなわち、本発明は：紫外線硬化型樹脂で構成された所定径に設計された
複数個の被覆層を持つ光ファイバ単一心線であって、最
外層の被覆層を除去することによって従来内層であった
被覆層が露出することで新たに最外層となり、被覆ファ
イバの複数本を所定のピッチで並べることが容易な光フ
ァイバ心線において、除去すべき最外被覆層の上に更に
樹脂を略環状に塗布・硬化して、引掛り部分を作成し、
該被覆の除去を容易とする光ファイバ心線被覆の除去方
法を提供する。また、更に塗布・硬化する略環状樹脂の大きさ（巾或いは
径）が元の心線の大きさ（太さ或いは径）に対して２〜
１０倍である点にも特徴を有する。また、更に塗布・硬化する略環状樹脂の弾性率が元の心線
の被覆の外層に対して０．５〜３倍である点にも特徴を
有する。

【０００８】以下、図面に基いて具体的に説明する。図
１は光ファイバ心線上に引掛り部分の環状樹脂被覆を形
成した状態を説明する断面模式図であり、即ち被覆層を
有する光ファイバ心線Ｂ上に引掛り部分を構成する樹脂
被覆Ｃを形成し、光ファイバ心線の軸方向から剥離する
力を働かせた状態を示すものである。図２−（ａ）は剥
離する力を働かせた状態を示す断面模式図であり、図２
−（ｂ）は剥離後に新たな被覆層が露出した状態を示す
断面模式図である。図１〜２において、被覆層１〜４は
ガラスファイバＡ上に塗布・硬化した複数層の被覆であ
り、Ｃは光ファイバ単一心線Ｂの周縁上に環状に設けた
引掛り部分の樹脂被覆であり、一括被覆の多心光ファイ
バ心線に加工する際等に、光ファイバ単一心線Ｂの軸方
向に剥離する力Ｆをかけることにより、引掛り部分Ｃに
密着した被覆層４を容易に剥離・除去するのである。

【０００９】本発明において、最外層の被覆４のみを剥
離するために、図１に示されるように該被覆４の外側端
に引掛り部分Ｃの略環状樹脂被覆を設けると、光ファイ
バ心線に対して径方向に力を加えなくても、軸方向に剥
離する力Ｆを軽く加えることによって容易に被覆４を除
去・剥離でき、従来内層であった被覆３が露出すること
で新たに最外層とできるのである。上記引掛り部分Ｃの
略環状樹脂被覆の大きさ（巾）は、元の心線の大きさ
（断面）に対して２〜１０倍、好ましくは３〜１０倍で
あることが引掛りを完全とする上から望ましい。また、
引掛り部分Ｃの略環状樹脂被覆の弾性率が元の心線被
覆、特に最外層に対して０．５〜３倍、好ましくは１〜
３倍あることが剥離効率上望ましい。

【００１０】上記引掛り部分Ｃの被覆の作製は、光ファ
イバ単一心線の製造に引き続いて行っても又はそれとは
別に行っても構わないが、該最外被覆層と同様の紫外線
硬化型樹脂を所定の大きさ（巾或いは径）に塗布・硬化
して形成するのが良いが、予め所定の大きさ（巾或いは
径）に紫外線硬化型樹脂を塗布・硬化し得られた環状引
掛り部分を最外被覆層に接着しても良い。もちろん、該
引掛り部分Ｃの被覆の組成は光ファイバ単一心線の被覆
層の組成と同種でも異種でもよい。該引掛り部分Ｃの被
覆の大きさ（巾或いは径）は引掛り部分が形成されて容
易に最外層被覆が容易にできれば特に制限されない。引
掛り部分Ｃの径の上限は、材料の硬化性や経済性の制限
から起こるもので、元の心線径の３倍もあれば引掛りを
認識できるため、１０倍以上に大きくしてもその寄与が
少ない。すなわち、径が大きい場合に、硬化に必要な照
射光量も大きくせねば内部の未硬化を招き易い上、引掛
り部分Ｃは剥離した被覆とともに廃却するので材料的に
無駄が増える。

【００１１】また、更に塗布・硬化する略環状樹脂の弾
性率が元の心線の被覆の外層に対して０．５〜３倍、好
ましくは１〜３倍であることが効率良く剥離力を与える
といった観点から望ましい。略環状樹脂の弾性率を所定
値に設定するには、予め塗布・硬化する紫外線硬化型樹
脂の組成を元の被覆層の組成と所定の弾性率となるよう
に変えることにより、特に分子量分布、すなわちモノマ
ー対オリゴマーの割合を変えることにより或いはモノマ
ーの官能基の数を調整することで容易に実施できる。

【００１２】引掛り部分Ｃの弾性率の制限は材料の制限
から由来するものであり、実施例に示した表１は弾性率
の上限の根拠とはならない。通常の光ファイバ心線のハ
ード層弾性率が約０．６ＧＰａ程度であることから、そ
の１〜３倍程度までは扱い易いためである。典型的な光
ファイバ心線は被覆径が０．２５ｍｍと細く、心線の剛
性は中心のガラスファイバが支配的であるが、以上説明
したような太径の光ファイバでは被覆の剛性も少なから
ず作業時に感じられるものである。

【００１３】要するに、本発明では、紫外線硬化型樹脂
で構成された所定径に設計された複数個の被覆層１〜４
を持つ光ファイバ単一心線Ｂであって、最外層の被覆層
例えば被覆層４を除去することによって従来内層であっ
た被覆層３が露出することで新たに最外層となり、被覆
ファイバの複数本を所定のピッチで並べることが容易と
なり一括被覆心線の製造が容易となる点に特徴を有する
するものであって、特に最外層の被覆層例えば被覆層４
をより剥離・除去できるように該被覆層に密接して、引
掛り部分からなる略環状樹脂被覆Ｃを設ける点に特徴を
有する。

【００１４】即ち、所定の径に予め設計された複数の被
覆層１〜４を有する光ファイバ単一心線Ｂは、一定の線
径に線引きされたガラスファイバＡに、紫外線硬化型樹
脂を所定の被覆径となるように、一定線速、一定時間で
常法に従って塗布・硬化を順次繰り返すことにより容易
に製造できる。被覆層１〜４のうち、ガラスファイバＡ
に密接する被覆層１及び被覆層２を除いた被覆層、即ち
被覆層３〜４は、いずれもが後述の加工に際してそのい
ずれかが除去されて光ファイバ単一心線が目的とする径
に容易に減径されるようにした。

【００１５】例えば、該被覆を有する光ファイバ単一心
線Ｂの複数個を並列に並べて一括被覆電線とする際に、
光ファイバ単一心線Ｂが予め予定した一定の径となるよ
うに、或いは他の一括被覆電線又は光ファイバ単一心線
と接続する際に同一径となるように、被覆層３〜４のい
ずれかが除去されて、一括被覆光ファイバテープ心線と
されるか或いは他の一括被覆光ファイバテープ心線又は
光ファイバ単一心線と接続されるのである。

【００１６】該複数の被覆層を構成する被覆材として
は、紫外線硬化型樹脂なら特にその使用が制限されない
が、すべて同一の被覆材を使用しても或いは目的に応じ
て異なった組成の被覆材としても良い。通常、ガラスフ
ァイバＡに接する被覆層１にはクッションの作用をする
ソフト層、例えば紫外線硬化型シリコーン、紫外線硬化
型ウレタンアクリレート、紫外線硬化型エポキシアクリ
レート、エステルアクリレートなどを用い、その外層の
被覆層２にさらにガラスファイバＡをさらに保護するハ
ード層例えば通常の紫外線硬化型樹脂を用いることが望
ましい。

【００１７】さらに、後述の加工に際し除去される被覆
層には、除去・剥離を容易とするために、潤滑性を与え
て易剥離性とするための材料、例えば紫外線硬化型のシ
リコン樹脂や弗素樹脂から構成させても或いは一部ブレ
ンドしても良い。その場合に、その除去・剥離される被
覆層が光ファイバ単一心線から容易に脱離しないように
その潤滑性を与えて易剥離性とするための材料の組成及
び添加量の選択をする必要がある。

【００１８】

【実施例】本発明は以下の実施例により詳細に説明され
るが、これらは本発明の範囲を制限しない。図１を参照
して本発明の光ファイバ心線の除去方法を具体的に説明
する。直径１２５μｍのガラスファイバＡを中心とし
て、被覆層１〜４が各々直径０．１８ｍｍ、０．２５ｍ
ｍ、０．５０ｍｍ、０．７５ｍｍで同心円状に取り囲ん
でいる。更にその外側に引掛り部分Ｃを設けている。

【００１９】被覆層１は、ガラスファイバＡに直接接す
るので、クッション効果があるように、弾性率約１ＭＰ
ａの紫外線硬化型ウレタンアクリレートで、被覆層２に
弾性率約０．６ＧＰａの紫外線硬化型ウレタンアクリレ
ートで、更にその上の被覆層３として弾性率約０．６Ｇ
Ｐａの紫外線硬化型ウレタンアクリレートに約１重量％
のシリコーンオイルを添加したもので、更に被覆層４と
して弾性率約０．６ＧＰａの紫外線硬化型ウレタンアク
リレートで構成されている。

【００２０】被覆層１はクッション層であるから、通常
は露出することなく、露出する被覆径は接続されるファ
イバに合わせるが、ここでは光ファイバテープ心線中の
光ファイバ素線に合わせて被覆層２の０．２５ｍｍとし
た。被覆の除去は、ここでは市販のワイヤストリッパか
ら穴径約０．３ｍｍを用いた。ワイヤストリッパは該光
ファイバテープ心線の被覆を掴んだ後に、所定の穴があ
る刃によって外層被覆の一部分または全部が切断される
ので、切断した部分を境に軸方向に反対向きの力を加え
て剥離するものである。一度又は複数回の繰り返しによ
って、３ｃｍ長の被覆を除去できるか否かで判断した結
果は下記表１に示すように、引掛り部分Ｃの直径が元の
心線の径に対して２倍以上、弾性率０．５倍以上が効果
的であった。

【００２１】

【表１】

【００２２】

【発明の効果】以上の通り、本発明では、光ファイバ単
一心線を構成する各被覆層の厚みを予め設計しておき、
最外層の被覆層を除去して従来内層であった被覆層を露
出させて新たな最外層を構成するとともに、除去すべき
最外被覆層に引掛り部分を設けることにより、種々の径
の一括被覆光ファイバ心線を容易に製造でき、かつ径の
異なる他の光ファイバ心線との接続が容易にできるの
で、取扱いが便利な光ファイバ心線の構造を提供する。

【図面の簡単な説明】

【図１】光ファイバ心線上に引掛り部分の環状樹脂被覆
を形成した状態を説明する断面模式図である。

【図２】図２−（ａ）は剥離する力を働かせた状態を示
す断面模式図であり、図２−（ｂ）は剥離後に新たな被
覆層が露出した状態を示す断面模式図である。

【符号の説明】

ＡガラスファイバＢ光ファイバ単一心線Ｃ引掛り部分Ｆ剥離力被覆層１〜４ガラスファイバＡの上層に予め所定の被
覆径に設計した各被覆層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者速水茂和神奈川県千代田区内幸町一丁目１番６号日本電信電話株式会社内 (72)発明者野澤優神奈川県千代田区内幸町一丁目１番６号日本電信電話株式会社内 (72)発明者岩田秀行神奈川県千代田区内幸町一丁目１番６号日本電信電話株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】紫外線硬化型樹脂で構成された所定径に
設計された複数個の被覆層を持つ光ファイバ単一心線で
あって、最外層の被覆層を除去することによって従来内
層であった被覆層が露出することで新たに最外層とな
り、被覆ファイバの複数本を所定のピッチで並べること
が容易な光ファイバ心線において、除去すべき最外被覆
層の上に更に樹脂を略環状に塗布・硬化して、引掛り部
分を作成し、該被覆の除去を容易とすることを特徴とす
る、光ファイバ心線被覆の除去方法。
【請求項２】更に塗布・硬化する略環状樹脂の大きさ
（巾或いは径）が元の心線の大きさ（太さ或いは径）に
対して２〜１０倍であることを特徴とする、請求項１記
載の光ファイバ心線被覆の除去方法。
【請求項３】更に塗布・硬化する略環状樹脂の弾性率
が元の心線の被覆の外層に対して０．５〜３倍であるこ
とを特徴とする、請求項１記載の光ファイバ心線被覆の
除去方法。