JPH08291187A - 炭化水素油添加剤及びそれを含む潤滑油組成物 - Google Patents

炭化水素油添加剤及びそれを含む潤滑油組成物

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JPH08291187A
JPH08291187A JP7125876A JP12587695A JPH08291187A JP H08291187 A JPH08291187 A JP H08291187A JP 7125876 A JP7125876 A JP 7125876A JP 12587695 A JP12587695 A JP 12587695A JP H08291187 A JPH08291187 A JP H08291187A
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攻 長沢
Toshio Wachi
都司雄 和知
Minoru Tada
實 多田
Hitomi Nakano
ひとみ 中野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた酸化防止効果を有しかつ優れた極圧性
をも有し、スラッジの生成を抑制する炭化水素油添加剤
及びこれを含有する潤滑油組成物を提供する。 【構成】 りん酸又は亜りん酸及びそれらのアルキル、
アルケニル、アリールエステルとアルキル、アルケニ
ル、アリールアミンとの塩、及び、アルキル、アルケニ
ル、置換若しくは無置換のフェニルで置換されたりん酸
エステルとアルキル、アルケニル、置換若しくは無置換
のフェニルで置換された置換フェニルアミン、トリ置
換、ジ置換若しくはモノ置換ジフェニルアミンとの塩を
含有する組成物からなる炭化水素油添加剤並びにこれを
含有する潤滑油組成物

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用又は一般工業
用の潤滑油組成物等において、酸化防止剤、耐荷重添加
剤として好適に使用される炭化水素油添加剤、及び、そ
の炭化水素油添加剤を含有することにより、特に酸化安
定性に優れ、スラッジが発生せず、かつ優れた耐荷重
能、特に極圧性を有し、しかも高温においても極圧性の
低下しない潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、潤滑油組成物に添加される酸化防
止剤としては、アミン類、フェノール類が一般的に使用
されている。上記アミン類としては、例えば、N,N′
−ジフェニルパラフェニレンジアミン、4,4′−ジオ
クチルジフェニルアミン、N−フェニル−α−ナフチル
アミン等が知られている。上記フェノール類としては、
例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール等
を挙げることができる。また、ジ(2−エチルヘキシ
ル)ジチオりん酸亜鉛、ジアミンジチオカーバミン酸亜
鉛等の亜鉛化合物も、エンジン油、油圧作動油、軸受油
等に広く用いられている。
【0003】しかし、上記アミン類、例えば、N−フェ
ニル−α−ナフチルアミンは、酸化防止能に優れている
が、基油への溶解性が低く、その変質物の溶解度も低い
ので、スラッジが発生しやすい。また、4,4′−ジオ
クチルジフェニルアミンも、その変質物の溶解度が低
く、スラッジの一因となっている。
【0004】これらN−フェニル−α−ナフチルアミン
類や置換ジフェニルアミン類の欠点を解消するため、特
開平3−95297号公報において、2種類のアミンを
混合する方法が開示されている。しかしこの方法におい
ても、酸化安定性を充分に向上させることはできない。
【0005】米国特許第4557844号明細書には、
内燃機関で使用するアルカンジオールのりん酸エステ
ル、及び、ほう酸と、例えば、N−ココナッツ−1,3
−プロピレンジアミンのようなジアミン化合物との反応
生成物に、酸化安定性と耐摩耗性の効果のあることが記
されている。しかし、この効果はなお充分ではなく、し
かも反応生成物が複雑である上、それ自身の安定性に劣
り、極圧性も劣るという問題がある。
【0006】一方、前述したフェノール類も、その酸化
防止能及びスラッジ生成防止能は、ともに充分とはいえ
ない。また、ジアルキルジチオりん酸亜鉛等の亜鉛化合
物も、スラッジ生成の防止効果が充分とはいえず、スラ
ッジ生成防止対策が望まれていた。しかも、最近、特に
自動車のガソリンエンジン油、ギヤー油等は、省燃費
化、高速走行化、軽量化のために、いままでよりも過酷
な環境下で使われることが多く、より一層、酸化安定性
の高い潤滑油が求められるようになった。しかし、この
要求に対して、満足の行く潤滑油は未だ得られていな
い。
【0007】また、上記各酸化防止剤は、いずれも極圧
性を有していないので、潤滑油組成物には、酸化防止剤
の他に極圧剤を添加する必要がある。このような極圧剤
としては、例えば、特開昭63−254196号公報等
に開示されているように、りん酸エステル、亜りん酸エ
ステル、りん酸エステルのアミン塩、亜りん酸エステル
のアミン塩、脂肪酸エステル類、カルボン酸アミド等が
一般に知られている。
【0008】上記りん酸エステルとしては、例えば、ブ
チルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッ
ドホスフェート等が、また、上記亜りん酸エステルとし
ては、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、ジオレ
イルハイドロジェンホスファイト等が知られている。ま
た、りん酸エステルや亜りん酸エステルとともにアミン
塩を形成するアミンとしては、オレイルアミン、ココナ
ッツアミン、牛脂アミン等が知られている。さらに、上
記脂肪酸エステル類としては、ペンタエリスリトール脂
肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステ
ル、カルボン酸エステル等が知られている。上記カルボ
ン酸アミドとしては、ラウリル酸、オレイン酸等の脂肪
酸や2価カルボン酸等と、ジエチルトリアミン、ヘキサ
エチレンペンタアミン、ココナッツアミン、オレイルア
ミン等との縮合物が知られている。しかし、酸化防止作
用と極圧性とを兼ね備えた添加剤は未だ知られていな
い。
【0009】特に極圧性に関して、室温で高性能であっ
ても、昇温していくと効果が低下する添加剤が多く、実
際の極圧条件下では、温度がかなり高くなり、添加剤の
性能が低下することがあるので、高温においても極圧性
を維持することが望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の現状
に鑑み、酸化防止能と極圧性のいずれにも優れた炭化水
素油添加剤、及び、これを含有することによって酸化安
定性が著しく向上し、かつ、スラッジの生成を抑制する
ことができ、しかも、優れた極圧性を有する潤滑油組成
物を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、炭化水
素油添加剤として、次の一般式(I)で表される少なく
とも1種の塩又は次の一般式(II)で表される少なく
とも1種の塩を、次の一般式(IIIA)で表される塩
及び次の一般式(IIIB)で表される塩をモル比10
/1〜1/8で含有する組成物と共に用いるところにあ
る。
【0012】
【化8】
【0013】式中、R1 は、水素、炭素数1〜22のア
ルキル基、炭素数3〜22のアルケニル基、又は、炭素
数6〜18のアリール基(アリール基の水素が、炭素数
1〜18のアルキル基又は炭素数2〜18のアルケニル
基で置換されていてもよい。)を表す。R2 は、炭素数
1〜22のアルキル基、炭素数3〜22のアルケニル
基、又は、炭素数6〜18のアリール基(アリール基の
水素が、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数2〜1
8のアルケニル基で置換されていてもよい。)を表す。
aは、1〜3の整数を表し、bは、0〜2の整数を表
し、かつ、a=1のときb=2であり、a=2のときb
=1であり、a=3のときb=0である。nは、1〜3
の整数を表す。
【0014】
【化9】
【0015】式中、R3 、R4 は、同一若しくは異なっ
て、水素、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜2
2のアルケニル基、フェニル基、又は、炭素数1〜18
のアルキル基若しくは炭素数2〜18のアルケニル基で
置換されたフェニル基を表す。R2 、a、b、nは、上
記と同じ。
【0016】
【化10】
【0017】式中、R5 、R6 、R7 は、同一若しくは
異なって、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数2〜
18のアルケニル基を表す。R8 、R9 は、同一若しく
は異なって、水素、炭素数1〜22のアルキル基(ただ
し、R8 及びR9 が同時にメチル基であることはな
い。)、炭素数3〜22のアルケニル基、フェニル基、
又は、炭素数1〜18のアルキル基若しくは炭素数2〜
18のアルケニル基で置換されたフェニル基を表す。d
は、0〜3の整数を表す。e、fは、同一又は異なっ
て、0〜3の整数を表すが、同時に0ではない。gは、
0〜4の有理数を表す。hは、1又は2を表す。Xは、
0.7〜6の有理数を表す。iは、0〜3の整数を表
す。j、kは、同一又は異なって、0〜3の整数を表す
が、同時に0ではない。rは、0〜4の有理数を表す。
sは、1〜3の整数を表し、t、uは、同一又は異なっ
て、0〜2の整数を表し、かつ、s+t+u=3を満た
す。Yは、0.7〜6の有理数を表す。本発明の要旨
は、また、炭化水素油添加剤として、上記一般式(I)
で表される少なくとも1種の塩と、上記一般式(II)
で表される少なくとも1種の塩とを共に用いるところ、
又は、上記一般式(II)で表される塩の少なくとも2
種を共に用いるところにもある。以下に本発明を詳述す
る。
【0018】本発明の炭化水素油添加剤は、上記一般式
(I)で表される少なくとも1種の塩及び上記一般式
(II)で表される少なくとも1種の塩のうち少なくと
も1種、並びに、上記一般式(IIIA)で表される塩
及び上記一般式(IIIB)で表される塩をモル比10
/1〜1/8で含有する組成物を同時に含有してなる。
【0019】本発明に使用される上記一般式(I)で表
される少なくとも1種の塩及び上記一般式(II)で表
される少なくとも1種の塩において、nの値は、1〜3
の範囲である。1より小さいと油溶性に劣り、3より大
きいと効果の増大が期待できず、また、経済上も不利と
なるので、上記範囲に限定される。
【0020】上記一般式(I)で表される塩の具体例と
しては、例えば、第三級炭素原子を有する炭素数12〜
14のアルキルアミンと亜りん酸とをモル比1:1で含
有するアルキルアミン亜りん酸塩、第三級炭素原子を有
する炭素数12〜14のアルキルアミンと亜りん酸とを
モル比2:1で含有するアルキルアミン亜りん酸塩、第
三級炭素原子を有する炭素数12〜14のアルキルアミ
ンと亜りん酸とをモル比3:1で含有するアルキルアミ
ン亜りん酸塩、t−オクチルアミンと亜りん酸とをモル
比3:1で含有するt−オクチルアミン亜りん酸塩、第
三級炭素原子を有する炭素数18〜22のアルキルアミ
ンと亜りん酸とをモル比2:1で含有するアルキルアミ
ン亜りん酸塩、t−ブチルアミンと亜りん酸とをモル比
3:1で含有するt−ブチルアミン亜りん酸塩、t−ド
コサアルキルアミンと亜りん酸とをモル比3:1で含有
するt−ドコサアルキルアミン亜りん酸塩、2−エチル
ヘキシルアミンと亜りん酸とをモル比3:1で含有する
2−エチルヘキシルアミン亜りん酸塩、ブチルアミンと
亜りん酸とをモル比3:1で含有するブチルアミン亜り
ん酸塩、オレイルアミンと亜りん酸とをモル比2:1で
含有するオレイルアミン亜りん酸塩、牛脂アミンと亜り
ん酸とをモル比3:1で含有する牛脂アミン亜りん酸
塩、ココナツアミンと亜りん酸とをモル比2:1で含有
するココナツアミン亜りん酸塩、第三級炭素原子を有す
る炭素数12〜14のアルキルアミンとモノ−2−エチ
ルヘキシルホスファイトとをモル比1:1で含有するア
ルキルアミンモノ−2−エチルヘキシルホスファイト
塩、第三級炭素原子を有する炭素数12〜14のアルキ
ルアミンとモノオレイルホスファイトとをモル比1:1
で含有するアルキルアミンモノオレイルホスファイト
塩、ジオクチルジフェニルアミンと亜りん酸とをモル比
1:1で含有するジオクチルジフェニルアミン亜りん酸
塩、アニリンとモノ−2−エチルヘキシルホスファイト
とをモル比1:1で含有するアニリンモノ−2−エチル
ヘキシルホスファイト塩等を挙げることができる。
【0021】上記一般式(I)で表される塩は、本質的
に下記一般式(1)で表される少なくとも1種の塩及び
下記一般式(2)で表される少なくとも1種の塩並びに
これらの2種以上の混合物を含む。
【0022】
【化11】
【0023】式中、R1 は、水素を除く上記R1 と同
様。R2 、a、b、nは、上記と同様。
【0024】上記一般式(II)で表される塩の具体例
としては、例えば、第三級炭素原子を有する炭素数12
〜14のアルキルアミンとりん酸とをモル比1:1で含
有するアルキルアミンりん酸塩、第三級炭素原子を有す
る炭素数12〜14のアルキルアミンとりん酸とをモル
比2:1で含有するアルキルアミンりん酸塩、第三級炭
素原子を有する炭素数12〜14のアルキルアミンとり
ん酸とをモル比3:1で含有するアルキルアミンりん酸
塩、t−オクチルアミンとりん酸とをモル比3:1で含
有するt−オクチルアミンりん酸塩、第三級炭素原子を
有する炭素数18〜22のアルキルアミンとりん酸とを
モル比2:1で含有するアルキルアミンりん酸塩、t−
ブチルアミンとりん酸とをモル比2:1で含有するt−
ブチルアミンりん酸塩、t−ドコサアルキルアミンとり
ん酸とをモル比3:1で含有するt−ドコサアルキルア
ミンりん酸塩、2−エチルヘキシルアミンとりん酸とを
モル比3:1で含有する2−エチルヘキシルアミンりん
酸塩、ブチルアミンとりん酸とをモル比3:1で含有す
るブチルアミンりん酸塩、オレイルアミンとりん酸とを
モル比2:1で含有するオレイルアミンりん酸塩、牛脂
アミンとりん酸とをモル比3:1で含有する牛脂アミン
りん酸塩、ココナツアミンとりん酸とをモル比2:1で
含有するココナツアミンりん酸塩、第三級炭素原子を有
する炭素数12〜14のアルキルアミンとモノ−2−エ
チルヘキシルホスフェートとをモル比2:1で含有する
アルキルアミンモノ−2−エチルヘキシルホスフェート
塩、第三級炭素原子を有する炭素数12〜14のアルキ
ルアミンとモノオレイルホスフェートとをモル比1:1
で含有するアルキルアミンモノオレイルホスフェート
塩、ジオクチルジフェニルアミンとりん酸とをモル比
1:1で含有するジオクチルジフェニルアミンりん酸
塩、アニリンとモノ−2−エチルヘキシルホスフェート
とをモル比1:1で含有するアニリンモノ−2−エチル
ヘキシルホスフェート塩、オレイルアミンとジメチルホ
スフェート及びモノメチルホスフェートからなる混合り
ん酸化合物とをモル比1:1で含有する塩、第三級炭素
原子を有する炭素数12〜14のアルキルアミンとジメ
チルホスフェート及びモノメチルホスフェートからなる
混合りん酸化合物とをモル比1:1で含有する塩、第三
級炭素原子を有する炭素数12〜14のアルキルアミン
とジ(2−エチルヘキシル)ホスフェート及びモノ(2
−エチルヘキシル)ホスフェートからなる混合りん酸化
合物とをモル比2:1で含有する塩等を挙げることがで
きる。
【0025】上記一般式(II)で表される塩は、本質
的に下記一般式(3)で表される少なくとも1種の塩、
下記一般式(4)で表される少なくとも1種の塩又は下
記一般式(5)で表される少なくとも1種の塩又はこれ
らの2種以上の混合物を含む。
【0026】
【化12】
【0027】式中、R2 、a、b、nは、上記と同様。
3 、R4 は、それぞれ、水素を除く上記R3 、上記R
4 と同様。
【0028】上記一般式(IIIA)で表される塩及び
上記一般式(IIIB)で表される塩において、これら
の塩を構成するアミンとしては、例えば、アニリン、置
換フェニルアミン等を挙げることができ、更に、トリ置
換、ジ置換又はモノ置換ジフェニルアミンが含有されて
いてもよい。上記置換フェニルアミンにおける置換基の
具体例としては、例えば、メチル、エチル、イソプロピ
ル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、sec−
ブチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、イソオク
チル、n−ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、
ドデシル、イソドデシル、トリデシル、テトラデシル、
ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、ノナデシ
ル、ビニル、オレイル等の基を挙げることができる。上
記置換フェニルアミンとしては、これらの基により構成
される置換フェニルアミンの1種又は2種以上とするこ
とができる。
【0029】上記トリ置換、ジ置換又はモノ置換ジフェ
ニルアミンにおける置換基の具体例としては、例えば、
メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブ
チル、t−ブチル、sec−ブチル、2−エチルヘキシ
ル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノニル、イソノ
ニル、デシル、イソデシル、ドデシル、イソドデシル、
トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシ
ル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ビニ
ル、オレイル等の基を挙げることができる。上記トリ置
換、ジ置換又はモノ置換ジフェニルアミンとしては、こ
れらの基により構成されるトリ置換、ジ置換又はモノ置
換ジフェニルアミンの1種又は2種以上とすることがで
きる。
【0030】本発明においては、上記一般式(III
A)で表される塩及び上記一般式(IIIB)で表され
る塩は、その構成アミンとして、上記アニリン、置換フ
ェニルアミン、トリ置換、ジ置換又はモノ置換ジフェニ
ルアミンの一部に代えて脂肪族アミンを含有することが
できる。上記脂肪族アミンは、上記アニリン、置換フェ
ニルアミン、トリ置換、ジ置換又はモノ置換ジフェニル
アミンの1〜90%を置換して含有することができる。
上記脂肪族アミンは、一般式(R′′) a NH bで表し
た場合、R′′は、例えば、炭素数1〜22の飽和又は
不飽和の炭化水素を表し、a=1のときはb=2、a=
2のときはb=1、a=3のときはb=0である。上記
脂肪族アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチル
アミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチルアミ
ン、2−エチルヘキシルアミン、オレイルアミン、t−
ブチルアミン、t−オクチルアミン、t−ドデシルアミ
ン、t−テトラデシルアミン、t−オクタデシルアミ
ン、t−ドコサアミン、第三級炭素原子を有する炭素数
12〜14の炭化水素を置換基とするアミンの混合物、
第三級炭素原子を有する炭素数18〜22の炭化水素を
置換基とするアミンの混合物等を挙げることができる。
【0031】上記一般式(IIIA)で表される塩にお
いて、これらの塩を構成するりん酸エステルとしては、
例えば、モノメチルりん酸エステル、ジメチルりん酸エ
ステル等を挙げることができ、これらの1種又は2種以
上を含有することができる。
【0032】上記一般式(IIIB)で表される塩にお
いて、これらの塩を構成するりん酸エステルのR8 、R
9 の具体例としては、それぞれ、例えば、メチル、エチ
ル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブ
チル、sec−ブチル、2−エチルヘキシル、n−オク
チル、イソオクチル、n−ノニル、イソノニル、デシ
ル、イソデシル、ドデシル、イソドデシル、トリデシ
ル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプ
タデシル、オクタデシル、ノナデシル、オレイル、フェ
ニル、メチルフェニル、ノニルフェニル等の基を挙げる
ことができる。ただし、R8 及びR9 が同時にメチル基
であることはない。上記塩を構成するりん酸エステル
は、これらの基により構成されるりん酸エステルの1種
又は2種以上とすることができる。
【0033】上記一般式(IIIA)で表される塩、上
記一般式(IIIB)で表される塩は、本質的に下記一
般式(6)〜(10)で表される塩を含む。
【0034】
【化13】
【0035】式中、R5 、R6 、R7 、d、e、f、
g、xは、上記と同様。R8 は、水素、メチル基を除く
上記R8 と同様。
【0036】本発明においては、上記一般式(III
A)で表される塩と上記一般式(IIIB)で表される
塩とをモル比10/1〜1/8で使用する。上記一般式
(IIIA)で表される塩がこの範囲より多いと潤滑油
への溶解性が悪くなり、この範囲より少ないと本発明に
係る極圧効果を得ることができなくなるので、上記範囲
に限定される。好ましくは、10/1〜1/3の範囲で
ある。
【0037】本発明の炭化水素油添加剤においては、上
記一般式(I)で表される少なくとも1種の塩及び上記
一般式(II)で表される少なくとも1種の塩のみを含
有することもでき、また、上記一般式(I)で表される
少なくとも1種の塩若しくは上記一般式(II)で表さ
れる少なくとも1種の塩、又は、上記一般式(I)で表
される少なくとも1種の塩及び上記一般式(II)で表
される少なくとも1種の塩と、上記一般式(IIIA)
で表される塩及び上記一般式(IIIB)で表される塩
の両者からなる組成物とを併せて含有することもでき
る。また、所望により、上記一般式(II)で表される
少なくとも1種の塩のうちいずれか少なくとも2種のみ
を含有することも可能である。上記一般式(I)で表さ
れる少なくとも1種の塩及び上記一般式(II)で表さ
れる少なくとも1種の塩のみを共に含有する場合は、上
記一般式(I)で表される少なくとも1種の塩と、上記
一般式(II)で表される少なくとも1種の塩との重量
比が1/99〜99/1となる割合で含有する。重量比
が上記範囲未満であると極圧性能が劣り、上記範囲を超
えると溶解性が劣る。好ましくは1/10〜10/1で
ある。
【0038】上記一般式(I)で表される少なくとも1
種の塩又は上記一般式(II)で表される少なくとも1
種の塩と、上記一般式(IIIA)で表される塩及び上
記一般式(IIIB)で表される塩をモル比10/1〜
1/8で含有する組成物の両者を共に含有する場合、こ
れら両者の配合比率は、重量比で1/99〜99/1と
なる範囲である。上記一般式(IIIA)で表される塩
及び上記一般式(IIIB)で表される塩をモル比10
/1〜1/8で含有する組成物がこの範囲より少ないと
極圧性能が劣り、この範囲より多いと溶解性が劣る。好
ましくは1/10〜10/1である。
【0039】本発明においては、上記一般式(I)で表
される少なくとも1種の塩として、脂肪族アミンを含有
するものを使用した場合、このものの一部に代えて芳香
族アミンを併用することもできる。また、上記一般式
(II)で表される少なくとも1種の塩として、脂肪族
アミンを含有するものを使用した場合、このものの一部
に代えて芳香族アミンを併用することもできる。
【0040】上記例示の各種塩類は、通常の方法によっ
て製造することができる。例えば、上記一般式(III
A)で表される塩及び上記一般式(IIIB)で表され
る塩を含有する組成物の場合、例えば、ドデシルアニリ
ンにジメチルホスフェートとモノメチルホスフェート
(モル比1:1)及びジブチルホスフェートとモノブチ
ルホスフェート(モル比1:1)の1:1(重量比)混
合りん酸エステルを、又は、逆に、混合りん酸エステル
にドデシルアニリンを発熱に注意しながら滴下して反応
させた生成物(以下このものを「中間生成物」という)
に、亜りん酸とオレイルアミンをモル比1:3でそれぞ
れ添加するか、又は、予め反応させた亜りん酸とオレイ
ルアミンとの塩を、中間生成物に、中間生成物と亜りん
酸/オレイルアミンとの重量比が5:1となる割合で添
加することにより、又は、逆に、亜りん酸のオレイルア
ミンの塩に中間生成物を混合することによって製造する
ことができる。また、ジメチルホスフェートとモノメチ
ルホスフェートのドデシルアニリン塩とジブチルホスフ
ェートとモノブチルホスフェートのドデシルアニリン塩
とを混合してもよい。
【0041】上記各種塩類は、さらに後述する基油と同
じ油に50〜99%溶解させて、より取扱いを容易にし
たものを炭化水素油添加剤とすることもできる。
【0042】本発明の炭化水素油添加剤は、基油に含有
させて潤滑油組成物を製造することができる。本発明の
炭化水素油添加剤を潤滑油組成物の酸化防止剤及び極圧
剤として使用する場合には、上記基油に対して、0.0
1〜10.0重量%の割合で配合することが好ましく、
0.1〜4.0重量%の割合で配合することがより好ま
しい。炭化水素油添加剤の配合量が0.01重量%未満
であるときは、充分な酸化安定性及び耐荷重能が得られ
ないおそれがある。一方、配合量が10.0重量%を超
えても、それ以上の酸化安定性及び耐荷重能の向上は認
められない。
【0043】上記基油としては、鉱油及び合成油のうち
の少なくとも一種が用いられる。鉱油及び合成油は、4
0℃における動粘度が5〜10000cStの範囲内で
あることが好ましく、5〜1000cStの範囲内であ
ることがより好ましい。上記鉱油としては、上記粘度条
件を満たせば特に制限はなく、原油の潤滑油留分を溶剤
精製、水素化精製、白土精製、硫酸処理等により精製し
て得られるものを挙げることができる。
【0044】上記合成油としては、例えば、アルキル化
芳香族化合物、ポリグリコール油、エステル油、ジエス
テル油、トリメチロールプロパンカプリレートやペンタ
エリスリトール−2−エチルヘキサノエート等の脂肪族
多価アルコールの脂肪族カルボン酸エステル、合成ナフ
テン油、ポリブテン、デセレートオリゴマー等のポリα
−オレフィン油等を挙げることができる。
【0045】本発明の潤滑油組成物の製造は、上記一般
式(I)で表される少なくとも1種の塩と上記一般式
(II)で表される少なくとも1種の塩を併用してなる
か、上記一般式(I)で表される少なくとも1種の塩若
しくは上記一般式(II)で表される少なくとも1種の
塩のいずれかを使用し、更に、上記一般式(IIIA)
で表される塩及び上記一般式(IIIB)で表される塩
をモル比10/1〜1/8で含有する組成物を使用して
なるか、又は、上記一般式(II)で表される少なくと
も2種の塩のみを含有してなる炭化水素油添加剤を上述
した基油に加え、例えば、室温〜80℃、好ましくは、
室温〜40℃の温度で攪拌して溶解させることによって
行うことができる。本発明の潤滑油組成物には、更に、
潤滑油組成物に添加されている通常の添加剤が、従来と
同程度の割合で配合されていてもよい。上記添加剤とし
ては、例えば、清浄分散剤、流動点降下剤、粘度指数向
上剤、極圧剤、耐摩耗剤、油性向上剤、腐食防止剤、抗
乳化剤、乳化剤、消泡剤、金属不活性剤等を挙げること
ができる。
【0046】本発明の潤滑油組成物は、例えば、自動車
エンジン油、ディーゼルエンジン油、タービン油、油圧
作動油、油膜軸受油、ギヤー油、自動車変速機油、シリ
ンダー油、ダイナモ油、マシン油、金属加工油、切削
油、圧延油等を始めとする各種機器類用の潤滑油として
使用可能である。
【0047】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではな
い。
【0048】実施例1〜32 基油としての精製鉱油(40℃における動粘度が10.
0cSt)に、表1〜3に示すように、各酸成分及び各
アミン成分をモル比1:3で含有する塩成分並びに各
酸成分の強酸価を各アミン成分で中和して得られた塩成
分を、表1〜3に示した重量比で配合したものを炭化
水素油添加剤として、それぞれ表1〜3に示した添加量
で添加し、均一に溶解させて各実施例の潤滑油組成物を
製造した。実施例1〜20の塩成分中の各酸成分は、
それぞれ、ジ置換体とモノ置換体とをモル比1:1で含
有する。実施例21〜32の塩成分は、それぞれ、a
で示す両成分からなる塩とbで示す両成分からなる塩と
をモル比1:1で含有する組成物である。実施例22の
アミン成分は、aで示す塩及びbで示す塩のいずれにつ
いても、ドデシルアニリン/ジオクチルジフェニルアミ
ン=1/1のものである。実施例30の塩成分は、更
に、 t12-14 アルキルアミンをドデシルアニリン含有
量の25重量%含有する。実施例31の塩成分は、更
に、オレイルアミンをドデシルアニリン含有量の25重
量%含有する。表中、添加量は、重量%である。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】得られた各潤滑油組成物について、JIS
K 2514「潤滑油酸化安定度試験方法」に所載の
試験方法に準拠して、150℃、48時間の条件で酸化
処理を行い、処理前後の粘度の比(37.8℃)、全酸
価(mgKOH/g)の増加量、及び、ラッカー度(ワ
ニス棒の状態及びワニス棒へのスラッジの付着状態)を
測定して、炭化水素油添加剤の、酸化防止剤としての能
力を評価した。また、調製した各潤滑油組成物に関し、
基油への溶解性、及び、NDS K2740所載の試験
方法に準拠して會田式四球摩擦試験機を用いて、0.5
kg/cm2 ずつ荷重を増やしていく方法で、各実施例
の潤滑油組成物の耐荷重圧(kg/cm2 )を測定し
た。測定は室温と100℃とで行った。試験結果は、表
5〜6に示した。表中において、ラッカー度は、スラッ
ジの有無及びワニス棒の状態を評価し、スラッジの有無
は、付着物無、薄、中、濃で状態を表し、ワニス棒の状
態は、着色の有無で状態を表した。基油への溶解性は、
○:溶解、×:不溶、で評価した。
【0053】比較例1〜6 基油として、実施例1におけると同様のものを使用し
た。比較例1〜3においては、表4に示すように、各酸
成分の強酸価を各アミン成分で中和して得られた塩成分
のみを炭化水素油添加剤として、それぞれ表4に示し
た添加量で添加したこと以外は、実施例1と同様にして
潤滑油組成物を製造し、評価した。これらの場合、塩成
分中の各酸成分は、それぞれ、ジ置換体とモノ置換体
とをモル比1:1で含有する。比較例4、5において
は、それぞれ、aで示す塩とbで示す塩とをモル比1:
1で含有する組成物からなる塩成分のみを炭化水素油
添加剤として、それぞれ表4に示した添加量で添加した
こと以外は、実施例1と同様にして潤滑油組成物を製造
し、評価した。比較例6においては、亜りん酸と t
12-14 アルキルアミンをモル比1:3で含有量する塩か
らなる塩成分のみを炭化水素油添加剤として、表4に
示した添加量で添加したこと以外は、実施例1と同様に
して潤滑油組成物を製造し、評価した。結果を表7に示
した。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】表5〜7の結果から、本発明の炭化水素油
添加剤は、潤滑油添加剤として高性能であることが判っ
た。即ち、耐荷重能については、一般式(I)で表され
る塩と一般式(II)で表される塩とからなるときは、
一般式(II)で表される塩単独の場合と比べて、室温
での耐荷重圧は変わらないが、100℃になると著しく
耐荷重圧が増加する。一般式(I)で表される塩と、上
記一般式(IIIA)で表される塩及び上記一般式(I
IIB)で表される塩をモル比10/1〜1/8で含有
する組成物からなるときは、室温、100℃のいずれに
おいても、上記一般式(IIIA)で表される塩及び上
記一般式(IIIB)で表される塩をモル比10/1〜
1/8で含有する組成物単独の場合に比べて耐荷重圧が
向上しているが、特に100℃においてその向上が著し
い。一般式(II)で表される塩と上記一般式(III
A)で表される塩及び上記一般式(IIIB)で表され
る塩をモル比10/1〜1/8で含有する組成物との組
み合わせ、及び、一般式(II)で表される塩と一般式
(II)で表される他の塩との組み合わせにおいては、
一般式(I)で表される塩を必須成分とするときに比べ
て若干劣るものの、やはり耐荷重能が著しく向上した。
【0059】また、酸化安定度試験の結果、一般式
(I)で表される塩を必須成分とするときは、酸化劣化
は殆ど受けいないことが判明した。即ち、比較例1〜3
においては、若干スラッジの発生があり、比較例4、5
では、スラッジは認められないがワニス棒の着色が認め
られたことと比較して、本発明の炭化水素油添加剤を使
用することにより、一般式(I)で表される塩と一般式
(II)で表される塩との組み合わせ、又は、一般式
(II)で表される塩と一般式(II)で表される他の
塩との組み合わせからなるときは、スラッジの発生がな
くなり、一般式(I)で表される塩と、一般式(III
A)で表される塩及び上記一般式(IIIB)で表され
る塩をモル比10/1〜1/8で含有する組成物との組
み合わせ、又は、一般式(II)で表される塩と、一般
式(IIIA)で表される塩及び上記一般式(III
B)で表される塩をモル比10/1〜1/8で含有する
組成物との組み合わせからなる時は、スラッジの発生が
ないのはもちろん、ワニス棒の着色もなく、著しく酸化
安定性が向上されたことが判った。
【0060】実施例33〜44 基油として、実施例1におけると同様のものを使用し
た。実施例33〜38においては、炭化水素油添加剤と
して、亜りん酸/ t12-14 アルキルアミン=1/3
(モル比)である一般式(I)で表される塩を塩成分
として、一般式(IIIA)、一般式(IIIB)にお
いて、メチルアシッドホスフェートの強酸価をドデシル
アニリン中和したもの/イソプロピルアシッドホスフェ
ートの強酸価をドデシルアニリン中和したもの=1/1
(モル比)からなる組成物を塩成分として、重量比
1:4でそれぞれ配合したものを用い、実施例39〜4
4においては、炭化水素油添加剤として、りん酸/ t
12-14 アルキルアミン=1/3(モル比)である一般式
(II)で表される塩を塩成分として、一般式(II
IA)、一般式(IIIB)において、メチルアシッド
ホスフェートの強酸価をドデシルアニリン中和したもの
/イソプロピルアシッドホスフェートの強酸価をドデシ
ルアニリン中和したもの=1/1(モル比)からなる組
成物を塩成分として、重量比1:4でそれぞれ配合し
たものを表8に示した添加量で用いたこと以外は、実施
例1と同様にして各実施例の潤滑油組成物を製造し、評
価した。結果を表9に示した。
【0061】
【表8】
【0062】
【表9】
【0063】基油への添加量と性能との関係を検討した
表9の結果から、本発明の炭化水素油添加剤の添加量が
0.01重量%以上で性能が向上することが判り、0.
1〜4.0重量%であると更に向上し、添加量10重量
%までは性能の向上が見られ、添加量がそれ以上になっ
ても効果は維持されることが明らかであった。
【0064】実施例45〜50 基油として、実施例1におけると同様のものを使用し
た。実施例45〜47においては、炭化水素油添加剤と
して、亜りん酸/ t12-14 アルキルアミンの含有モル
比がそれぞれ表10に示した値である一般式(I)で表
される塩を塩成分として、一般式(IIIA)、一般
式(IIIB)において、メチルアシッドホスフェート
の強酸価をドデシルアニリンで中和したもの/イソプロ
ピルアシッドホスフェートの強酸価をドデシルアニリン
で中和したもの=1/1(モル比)からなる組成物を塩
成分として、重量比1:4でそれぞれ配合したもの
を、実施例48〜50においては、炭化水素油添加剤と
して、りん酸/ t12-14 アルキルアミンのモル比がそ
れぞれ表10に示した値である一般式(II)で表され
る塩を塩成分として、一般式(IIIA)、一般式
(IIIB)において、メチルアシッドホスフェートの
強酸価をドデシルアニリンで中和したもの/イソプロピ
ルアシッドホスフェートの強酸価をドデシルアニリンで
中和したもの=1/1(モル比)からなる組成物を塩成
分として、重量比1:4でそれぞれ配合したものを用
いたこと以外は、実施例1と同様にして各実施例の潤滑
油組成物を製造し、評価した。結果を表11に示した。
【0065】
【表10】
【0066】
【表11】
【0067】一般式(I)で表される塩又は一般式(I
I)で表される塩におけるりん化合物とアミンとのモル
比と性能の関係を検討した表11の結果から、上記モル
比1/2以上の場合に特に優れた効果を発揮し、上記モ
ル比1/1の場合も、若干効果は劣るものの、一般式
(I)で表される塩又は一般式(II)で表される塩を
無添加の場合に比べて、性能の向上がみられることが判
明した。
【0068】実施例51〜53 基油として、実施例1におけると同様のものを使用し
た。一般式(I)において、表12に示した酸成分とア
ミン成分とがモル比1:3である塩を塩成分として用
い、一般式(IIIA)、一般式(IIIB)におい
て、表12のaで示す両成分からなる塩とbで示す両成
分からなる塩を、それぞれ、モル比1/1で含有する組
成物を塩成分として、重量比1:4で用いて炭化水素
油添加剤を調製したこと以外は、実施例1と同様にして
各実施例の潤滑油組成物を製造し、評価した。結果を表
13に示した。表からわかるように、一般式(III
A)で表される塩、一般式(IIIB)で表される塩の
構造別種類に無関係に一般式(I)で表される塩の添加
効果があった。
【0069】
【表12】
【0070】
【表13】
【0071】
【発明の効果】本発明により、優れた酸化防止効果を有
し、かつ優れた耐荷重効果をも有し、スラッジの生成を
抑制する炭化水素油添加剤及びこれを含有する潤滑油組
成物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 105:02 137:08) C10N 30:06 30:10 (72)発明者 中野 ひとみ 堺市戎之町西1丁1番23号 堺化学工業株 式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(I)で表される少なくとも
    1種の塩、並びに、次の一般式(IIIA)で表される
    塩及び次の一般式(IIIB)で表される塩をモル比1
    0/1〜1/8で含有する組成物からなることを特徴と
    する炭化水素油添加剤。 【化1】 式中、R1 は、水素、炭素数1〜22のアルキル基、炭
    素数3〜22のアルケニル基、又は、炭素数6〜18の
    アリール基(アリール基の水素が、炭素数1〜18のア
    ルキル基又は炭素数2〜18のアルケニル基で置換され
    ていてもよい。)を表す。R2 は、炭素数1〜22のア
    ルキル基、炭素数3〜22のアルケニル基、又は、炭素
    数6〜18のアリール基(アリール基の水素が、炭素数
    1〜18のアルキル基又は炭素数2〜18のアルケニル
    基で置換されていてもよい。)を表す。aは、1〜3の
    整数を表し、bは、0〜2の整数を表し、かつ、a=1
    のときb=2であり、a=2のときb=1であり、a=
    3のときb=0である。nは、1〜3の整数を表す。 【化2】 式中、R5 、R6 、R7 は、同一若しくは異なって、炭
    素数1〜18のアルキル基又は炭素数2〜18のアルケ
    ニル基を表す。R8 、R9 は、同一若しくは異なって、
    水素、炭素数1〜22のアルキル基(ただし、R8 及び
    9 が同時にメチル基であることはない。)、炭素数3
    〜22のアルケニル基、フェニル基、又は、炭素数1〜
    18のアルキル基若しくは炭素数2〜18のアルケニル
    基で置換されたフェニル基を表す。dは、0〜3の整数
    を表す。e、fは、同一又は異なって、0〜3の整数を
    表すが、同時に0ではない。gは、0〜4の有理数を表
    す。hは、1又は2を表す。Xは、0.7〜6の有理数
    を表す。iは、0〜3の整数を表す。j、kは、同一又
    は異なって、0〜3の整数を表すが、同時に0ではな
    い。rは、0〜4の有理数を表す。sは、1〜3の整数
    を表し、t、uは、同一又は異なって、0〜2の整数を
    表し、かつ、s+t+u=3を満たす。Yは、0.7〜
    6の有理数を表す。
  2. 【請求項2】 次の一般式(II)で表される少なくと
    も1種の塩、並びに、次の一般式(IIIA)で表され
    る塩及び次の一般式(IIIB)で表される塩をモル比
    10/1〜1/8で含有する組成物からなることを特徴
    とする炭化水素油添加剤。 【化3】 式中、R2 は、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3
    〜22のアルケニル基、又は、炭素数6〜18のアリー
    ル基(アリール基の水素が、炭素数1〜18のアルキル
    基又は炭素数2〜18のアルケニル基で置換されていて
    もよい。)を表す。R3 、R4 は、同一若しくは異なっ
    て、水素、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜2
    2のアルケニル基、フェニル基、又は、炭素数1〜18
    のアルキル基若しくは炭素数2〜18のアルケニル基で
    置換されたフェニル基を表す。aは、1〜3の整数を表
    し、bは、0〜2の整数を表し、かつ、a=1のときb
    =2であり、a=2のときb=1であり、a=3のとき
    b=0である。nは、1〜3の整数を表す。 【化4】 式中、R5 、R6 、R7 は、同一若しくは異なって、炭
    素数1〜18のアルキル基又は炭素数2〜18のアルケ
    ニル基を表す。R8 、R9 は、同一若しくは異なって、
    水素、炭素数1〜22のアルキル基(ただし、R8 及び
    9 が同時にメチル基であることはない。)、炭素数3
    〜22のアルケニル基、フェニル基、又は、炭素数1〜
    18のアルキル基若しくは炭素数2〜18のアルケニル
    基で置換されたフェニル基を表す。dは、0〜3の整数
    を表す。e、fは、同一又は異なって、0〜3の整数を
    表すが、同時に0ではない。gは、0〜4の有理数を表
    す。hは、1又は2を表す。Xは、0.7〜6の有理数
    を表す。iは、0〜3の整数を表す。j、kは、同一又
    は異なって、0〜3の整数を表すが、同時に0ではな
    い。rは、0〜4の有理数を表す。sは、1〜3の整数
    を表し、t、uは、同一又は異なって、0〜2の整数を
    表し、かつ、s+t+u=3を満たす。Yは、0.7〜
    6の有理数を表す。
  3. 【請求項3】 次の一般式(I)で表される少なくとも
    1種の塩、及び、次の一般式(II)で表される少なく
    とも1種の塩からなることを特徴とする炭化水素油添加
    剤。 【化5】 式中、R1 は、水素、炭素数1〜22のアルキル基、炭
    素数3〜22のアルケニル基、又は、炭素数6〜18の
    アリール基(アリール基の水素が、炭素数1〜18のア
    ルキル基又は炭素数2〜18のアルケニル基で置換され
    ていてもよい。)を表す。R2 は、炭素数1〜22のア
    ルキル基、炭素数3〜22のアルケニル基、又は、炭素
    数6〜18のアリール基(アリール基の水素が、炭素数
    1〜18のアルキル基又は炭素数2〜18のアルケニル
    基で置換されていてもよい。)を表す。aは、1〜3の
    整数を表し、bは、0〜2の整数を表し、かつ、a=1
    のときb=2であり、a=2のときb=1であり、a=
    3のときb=0である。nは、1〜3の整数を表す。 【化6】 式中、R3 、R4 は、同一若しくは異なって、水素、炭
    素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜22のアルケニ
    ル基、フェニル基、又は、炭素数1〜18のアルキル基
    若しくは炭素数2〜18のアルケニル基で置換されたフ
    ェニル基を表す。R2 、a、b、nは、前記と同じ。
  4. 【請求項4】 次の一般式(II)で表される塩の少な
    くとも2種からなることを特徴とする炭化水素油添加
    剤。 【化7】 式中、R2 は、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3
    〜22のアルケニル基、又は、炭素数6〜18のアリー
    ル基(アリール基の水素が、炭素数1〜18のアルキル
    基又は炭素数2〜18のアルケニル基で置換されていて
    もよい。)を表す。R3 、R4 は、同一若しくは異なっ
    て、水素、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数3〜2
    2のアルケニル基、フェニル基、又は、炭素数1〜18
    のアルキル基若しくは炭素数2〜18のアルケニル基で
    置換されたフェニル基を表す。aは、1〜3の整数を表
    し、bは、0〜2の整数を表し、かつ、a=1のときb
    =2であり、a=2のときb=1であり、a=3のとき
    b=0である。nは、1〜3の整数を表す。
  5. 【請求項5】 一般式(I)で表される少なくとも1種
    の塩と、一般式(IIIA)で表される塩及び一般式
    (IIIB)で表される塩をモル比10/1〜1/8で
    含有する組成物との重量比が、1/99〜99/1であ
    る請求項1記載の炭化水素油添加剤。
  6. 【請求項6】 一般式(II)で表される少なくとも1
    種の塩と、一般式(IIIA)で表される塩及び一般式
    (IIIB)で表される塩をモル比10/1〜1/8で
    含有する組成物との重量比が、1/99〜99/1であ
    る請求項2記載の炭化水素油添加剤。
  7. 【請求項7】 一般式(I)で表される少なくとも1種
    の塩と、一般式(II)で表される少なくとも1種の塩
    との重量比が1/99〜99/1である請求項3記載の
    炭化水素油添加剤。
  8. 【請求項8】 一般式(IIIA)で表される塩及び一
    般式(IIIB)で表される塩をモル比10/1〜1/
    8で含有する組成物が、一般式(IIIA)で表される
    塩、一般式(IIIB)で表される塩の芳香族アミンの
    一部を脂肪族アミンに置換した塩からなるものである請
    求項1、2、5又は6記載の炭化水素油添加剤。
  9. 【請求項9】 請求項1、2、3、4、5、6、7又は
    8記載の炭化水素油添加剤、並びに、鉱油及び合成油よ
    りなる群から選択された少なくとも1種を含有してなる
    ことを特徴とする潤滑油組成物。
JP12587695A 1995-04-25 1995-04-25 炭化水素油添加剤及びそれを含む潤滑油組成物 Expired - Lifetime JP3924798B2 (ja)

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