JPH05140556A - 炭化水素油添加剤およびそれを含む潤滑油組成物 - Google Patents

炭化水素油添加剤およびそれを含む潤滑油組成物

Info

Publication number
JPH05140556A
JPH05140556A JP31059491A JP31059491A JPH05140556A JP H05140556 A JPH05140556 A JP H05140556A JP 31059491 A JP31059491 A JP 31059491A JP 31059491 A JP31059491 A JP 31059491A JP H05140556 A JPH05140556 A JP H05140556A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
integer
group
phosphate
carbon atoms
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31059491A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Wachi
都司雄 和知
Hitomi Nakano
ひとみ 中野
Shinji Ikeshita
真二 池下
Kotaro Fujita
耕太郎 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sakai Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Sakai Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sakai Chemical Industry Co Ltd filed Critical Sakai Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP31059491A priority Critical patent/JPH05140556A/ja
Publication of JPH05140556A publication Critical patent/JPH05140556A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Anti-Oxidant Or Stabilizer Compositions (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 優れた酸化防止効果と摩擦調整作用とを有す
る炭化水素油添加剤と、この炭化水素油添加剤を含有す
ることで、酸化安定性が著しく優れ、スラッジが発生し
にくく、かつ優れた摩擦調整作用を有する潤滑油組成物
を提供する。 【構成】 一般式(I)(II) および(III) で表されるリン
化合物のアミン塩のうちの少なくとも1種からなる炭化
水素油添加剤と、この炭化水素油添加剤を含む潤滑油組
成物である。 一般式(I)、(II)、(III)の化合物の具体例に
は、それぞれ、4,4′−ジオクチルジフェニルアミン
・ジブチルホスフェート[1:1]、N−フェニル−1
−ナフチルアミン・ジブチルホスフェート[1:1]、
N−オレイルトリメチレンジアミン・ブチルホスフェー
ト[1:1]がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用あるいは一般
工業用の潤滑油組成物等に、酸化防止剤、摩擦調整剤と
して好適に使用される炭化水素油添加剤、および、この
炭化水素油添加剤を含有することにより、特に酸化安定
性に優れ、スラッジが発生しにくく、かつ優れた摩擦調
整作用を有する潤滑油組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、潤
滑油組成物等に添加される酸化防止剤としては、アミン
類、フェノール類が一般的に用いられている。アミン類
としては、例えば、N,N′−ジフェニルパラフェニレ
ンジアミン、4,4′−ジオクチルジフェニルアミン、
N−フェニル−α−ナフチルアミン等が知られており、
フェノール類としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル
−4−メチル−フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−
4−エチルフェノール等が知られている。
【0003】さらに、ジ(2−エチルヘキシル)ジチオ
リン酸亜鉛、ジアミンジチオカーバミン酸亜鉛等の亜鉛
化合物も、エンジン油、油圧作動油、軸受油等に広く用
いられている。しかし、上記アミン類、たとえばN−フ
ェニル−α−ナフチルアミンは酸化防止能に優れている
が、基油への溶解性が低く、その変質物の溶解度も低い
ため、スラッジが発生しやすい。また、4,4′−ジオ
クチルジフェニルアミンも、その変質物の溶解度が低
く、スラッジの一因となっている。
【0004】これらN−フェニル−α−ナフチルアミン
類や置換ジフェニルアミン類の欠点を解消するため、特
開平3−95297号公報において、2種類のアミンを
混合する方法が明らかにされた。しかしこの方法におい
ても、酸化安定性を十分に向上することはできない。ま
た、ここで用いられる各々のアミンと酸性リン酸エステ
ルとの塩は未だ知られていない。
【0005】米国特許第4,557,844号明細書に
は、内燃機関で使用するアルカンジオールのリン酸エス
テルおよびホウ酸と、たとえばN−ココナッツ−1,3
−プロピレンジアミンのようなジアミン化合物との反応
生成物に、酸化安定性と耐摩耗性の効果のあることが記
されている。しかし、この効果は未だ十分でなく、しか
も反応生成物が複雑である上、それ自身の安定性が劣る
という問題がある。
【0006】さらに、米国特許第4,537,694号
明細書では、同じく内燃機関で使用するN−ココナッツ
−1,3−プロピレンジアミンのようなジアミン化合物
の脂肪族カルボン酸塩に、耐摩耗性の効果があることが
記されているが、酸化安定性については記されていな
い。また、特公昭62−112695号公報には、上記
米国特許明細書で使用されているジアミン化合物のエチ
レンオキサイド付加物と、リン酸エステル類との塩が開
示されているが、これは冷間圧延油組成物を目的とする
ものであり、酸化安定性については触れられていない。
【0007】一方、前述したフェノール類も、その酸化
防止能及びスラッジ生成防止能ともに十分とは言えな
い。また、ジアルキルジオチリン酸亜鉛等の亜鉛化合物
も、スラッジ生成の防止効果が十分とは言えず、スラッ
ジ生成防止対策が望まれている。しかも、最近、特に自
動車のガソリンエンジン油、ギヤー油は、省燃費化、高
速走行化、軽量化のために、今までよりも過酷な環境下
で使われることが多く、より一層、酸化安定性の高い潤
滑油が求められるようになってきた。しかし、この要求
に対して、未だ満足の行く潤滑油組成物は得られていな
い。
【0008】また、上記各酸化防止剤は、何れも、潤滑
油組成物の摩擦を調整する作用を有していないため、潤
滑油組成物には、酸化防止剤の他に摩擦調整剤を添加す
る必要がある。摩擦調整剤としては、リン酸エステル、
亜リン酸エステル、リン酸エステルのアミン塩、亜リン
酸エステルのアミン塩、脂肪酸エステル類、カルボン酸
アミド等が一般に知られている(例えば特開昭63−2
54196号公報等参照)。
【0009】リン酸エステルの具体例としては、ブチル
アシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホ
スフェート等があり、亜リン酸エステルの具体例として
は、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、ジオレイ
ルハイドロジェンホスファイト等がある。また、リン酸
エステルや亜リン酸エステルとともにアミン塩を形成す
るアミンの具体例としては、オレイルアミン、ココナッ
ツアミン、牛脂アミン等があげられる。さらに、脂肪酸
エステル類の具体例としては、ペンタエリスリトール脂
肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステ
ル、カルボン酸エステル等があげられ、カルボン酸アミ
ドの具体例としては、ラウリル酸、オレイン酸等の脂肪
酸や2価カルボン酸等と、ジエチルトリアミン、ヘキサ
エチレンペンタアミン、ココナッツアミン、オレイルア
ミン等との縮合物があげられる。
【0010】しかし、上記公知化合物の摩擦調整作用は
未だ十分でない。しかも、この摩擦調整作用と、酸化防
止作用とを兼ね備えた添加剤は知られていない。本発明
は、上記課題を解決するためになされたものであって、
酸化防止能と摩擦調整作用の両方に優れた炭化水素油添
加剤と、この炭化水素油添加剤を含有することによって
酸化安定性が著しく向上し、かつ、スラッジの生成を抑
制することができ、しかも、優れた摩擦調整作用を有す
る潤滑油組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、本発明の炭化水素油添加剤は、下記一般式(I)(II)
および(III) で表されるリン化合物のアミン塩のうちの
少なくとも1種からなることを特徴とする。
【0012】
【化5】
【0013】〔上記式中、R1 ,R2 は、同一または異
なって、水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、また
は炭素数2〜22のアルケニル基、またはフェニル基
(フェニル基は、置換基として炭素数1〜12のアルキ
ル基または炭素数2〜12のアルケニル基を有していて
もよい)を示す。但し、R1 ,R2 は同時に水素原子で
ない。m,nは、同一または異なって、1〜3の整数を
示す。R3 は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、
または炭素数3〜22のアルケニル基を示す。pは1〜
3の整数を示し、xは、pが1のとき1、pが2のとき
1〜2、pが3のとき1〜3の整数を示す。〕下記一般
式(II):
【0014】
【化6】
【0015】〔上記式中、R4 は水素原子、炭素数1〜
22のアルキル基、または炭素数2〜22のアルケニル
基を示し、qは1〜3の整数を示す。R3 は前記と同じ
基を示し、pおよびxは前記と同じ整数を示す。〕およ
び、下記一般式(III) :
【0016】
【化7】
【0017】〔上記式中、R5 は炭素数1〜22のアル
キル基、炭素数3〜22のアルケニル基、炭素数3〜1
2のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基を
示す。アリール基は、置換基として、炭素数1〜12の
アルキル基または炭素数2〜12のアルケニル基を有し
ていてもよい。R6 ,R7 は、同一または異なって、水
素原子または炭素数1〜22のアルキル基を示し、Aは
下記一般式(i)(ii) または(iii) で表される基を示す。
【0018】−(CH2 r − (i) (上記式中rは1以上の整数を示す) −(CH2 CH2 NH)s −CH2 CH2 − (ii) (上記式中sは1以上の整数を示す)
【0019】
【化8】
【0020】(上記式中tは0または1以上の整数を示
す)R3 は前記と同じ基を示し、pおよびxは前記と同
じ整数を示す。〕また、本発明の潤滑油組成物は、上記
炭化水素油添加剤と、鉱油、合成油およびグリースより
なる群から選ばれた少なくとも1種の基油とを含有する
ことを特徴とする。
【0021】前記一般式(I) で表される化合物は、本質
的に、下記一般式(Ia)〜(Ic)で表される化合物、およ
び、その2種以上の混合物を含んでいる。
【0022】
【化9】
【0023】〔上記各式中のR1 ,R2 ,R3は前記と
同じ基を示し、m,nは前記と同じ整数を示す。xは、
式(Ib)では1〜2、式(Ic)では1〜3の整数を示す。〕
一般式(I) で表わされる化合物の具体例としては下記の
化合物が例示される。 4,4′−ジオクチルジフェニルアミン・ジブチルホス
フェート〔アミンとリン化合物との比1:1、以下同様
に示す。〕、4,4′−ジオクチルジフェニルアミン・
ジオクチルホスフェート〔1:1〕、4,4′−ジオク
チルジフェニルアミン・ジデシルホスフェート〔1:
1〕、4,4′−ジオクチルジフェニルアミン・ジオレ
イルホスフェート〔1:1〕、4,4′−ジオクチルジ
フェニルアミン・モノオレイルホスフェート〔1:
1〕、4,4′−ジオクチルジフェニルアミン・ブチル
ホスフェート〔1:1〕、4,4′−ジオクチルジフェ
ニルアミン・オクチルホスフェート〔1:1〕、4,
4′−ジオクチルジフェニルアミン・デシルホスフェー
ト〔1:1〕、4,4′−ジオクチルジフェニルアミン
・ドデシルホスフェート〔1:1〕、4,4′−ジオク
チルジフェニルアミン・ジフェニルホスフェート〔1:
1〕、4,4′−ジオクチルジフェニルアミン・ジ(t
−アミルフェニル)ホスフェート〔1:1〕、4,4′
−ジノニルジフェニルアミン・ジブチルホスフェート
〔1:1〕、4,4′−ジノニルジフェニルアミン・オ
クチルホスフェート〔1:1〕、4,4′−ジノニルジ
フェニルアミン・デシルホスフェート〔1:1〕、4,
4′−ジノニルジフェニルアミン・ドデシルホスフェー
ト〔1:1〕、下記一般式(a) で表されるアミンとジブ
チルホスフェートとの塩〔1:1〕、
【0024】
【化10】
【0025】(上記式中C6-10は炭素数6〜10のアル
キル基を示し、C1-33は炭素数1〜33のアルキル基を
示す。C6-10としてはオクチル基が好ましく、C1-33
してはブチル基が好ましい。)上記一般式(a) で表され
るアミンとオクチルホスフェートとの塩〔1:1〕、上
記一般式(a) で表されるアミンとドデシルホスフェート
との塩〔1:1〕、オクチルフェニル−フェニルアミン
・ジブチルホスフェート〔1:1〕、オクチルフェニル
−フェニルアミン・デシルホスフェート〔1:1〕。
【0026】前記一般式(II)で表される化合物は、本質
的に、下記一般式(IIa) 〜(IIc) で表される化合物、お
よび、その2種以上の混合物を含んでいる。
【0027】
【化11】
【0028】〔上記各式中のR3 ,R4 は前記と同じ基
を示し、qは前記と同じ整数を示す。xは、式(IIb) で
は1〜2、式(IIc) では1〜3の整数を示す。〕一般式
(II)で表わされる化合物の具体例としては下記の化合物
が例示される。 N−フェニル−1−ナフチルアミン・ジブチルホスフェ
ート〔1:1〕、N−フェニル−1−ナフチルアミン・
オクチルホスフェート〔1:1〕、N−フェニル−1−
ナフチルアミン・デシルホスフェート〔1:1〕、N−
フェニル−1−ナフチルアミン・モノフェニルホスフェ
ート〔1:1〕、N−p−オクチルフェニル−1−ナフ
チルアミン・ジブチルホスフェート〔1:1〕、N−p
−オクチルフェニル−1−ナフチルアミン・デシルホス
フェート〔1:1〕。
【0029】前記一般式(III) で表される化合物は、本
質的に、下記一般式(IIIa)〜(IIIc)で表される化合物、
および、その2種以上の混合物を含んでいる。
【0030】
【化12】
【0031】〔上記各式中のR3 ,R5 ,R6,R7
よびAは前記と同じ基を示す。xは、式(IIIb)では1〜
2、式(IIIc)では1〜3の整数を示す。なお、Aが前記
一般式(i) で表される基である場合、rは3〜6の整数
が好ましく、前記一般式(ii)で表される基である場合、
sは1〜10の整数が好ましく、前記一般式(iii) で表
される基である場合、tは1〜10の整数が好まし
い。〕一般式(III) で表わされる化合物の具体例として
は下記の化合物が例示される。
【0032】N−ブチルトリメチレンジアミン・デシル
ホスフェート〔1:1〕、N−オクチルトリメチレンジ
アミン・デシルホスフェート〔1:1〕、N−ドデシル
トリメチレンジアミン・デシルホスフェート〔1:
1〕、N−ヘキサデシルトリメチレンジアミン・デシル
ホスフェート〔1:1〕、N−ステアリルトリメチレン
ジアミン・デシルホスフェート〔1:1〕、N−オレイ
ルトリメチレンジアミン・ブチルホスフェート〔1:
1〕、N−オレイルトリメチレンジアミン・オレイルホ
スフェート〔1:1〕、N−オレイルトリメチレンジア
ミン・デシルホスフェート〔1:1〕、N−オレイルト
リメチレンジアミン・ラウリルホスフェート〔1:
1〕、N−(硬化牛脂)トリメチレンジアミン・デシル
ホスフェート〔1:1〕、N−(硬化牛脂)トリメチレ
ンジアミン・イソオクチルホスフェート〔1:1〕、N
−(硬化牛脂)トリメチレンジアミン・アルキルホスフ
ェート〔1:1、アルキルはイソデシルとイソオクチル
の混合〕、N−タロウトリメチレンジアミン・デシルホ
スフェート〔1:1〕、N−ベヘニルトリメチレンジア
ミン・デシルホスフェート〔1:1〕、N−ココナッツ
トリメチレンジアミン・ジ(n−ブチル)ホスフェート
〔1:1〕、N−ココナッツトリメチレンジアミン・ヘ
キシルホスフェート〔1:1〕、N−ココナッツトリメ
チレンジアミン・オクチルホスフェート〔1:1〕、N
−ココナッツトリメチレンジアミン・2−エチルヘキシ
ルホスフェート〔1:1〕、N−ココナッツトリメチレ
ンジアミン・デシルホスフェート〔1:1〕、N−ココ
ナッツトリメチレンジアミン・ドデシルホスフェート
〔1:1〕、N−ココナッツトリメチレンジアミン・ジ
(ドデシル)ホスフェート〔1:1〕、N−ココナッツ
トリメチレンジアミン・ステアリルホスフェート〔1:
1〕、N−ココナッツトリメチレンジアミン・オレイル
ホスフェート〔1:1〕、N−ココナッツトリメチレン
ジアミン・ベヘニルホスフェート〔1:1〕、N−ココ
ナッツトリメチレンジアミン・アルキルホスフェート
〔1:1、アルキルはイソデシルとイソオクチルの混
合〕、N−ココナッツトリメチレンジアミン・ジ(t−
アミルフェニル)ホスフェート〔1:1〕、ビス(N−
ココナッツトリメチレンジアミン)・モノオクチルホス
フェート〔2:1〕、N−メチル・ココナッツトリメチ
レンジアミン・デシルホスフェート〔1:1〕、N−コ
コナッツヘキサメチレンジアミン・デシルホスフェート
〔1:1〕、N−ココナッツトリプロピレンテトラミン
・デシルホスフェート〔1:1〕、N,N,N′−トリ
ココナッツヘキサメチレンジアミン・デシルホスフェー
ト〔1:1〕、N−ココナッツトリメチレンジアミン・
モノドデシルホスフェート〔1:1〕、N−シクロヘキ
シルトリメチレンジアミン・デシルホスフェート〔1:
1〕、N−フェニル・トリメチレンジアミン・デシルホ
スフェート〔1:1〕、N−ココナッツトリメチレンジ
アミン・ビス(オクチル)ホスフェート〔1:2〕。
【0033】上記例示の各種塩類は、通常の方法によっ
て製造することができる。たとえば、N−ココナッツト
リメチレンジアミン・デシルホスフェートは、N−ココ
ナッツトリメチレンジアミンにデシルホスフェートを、
または逆にデシルホスフェートにN−ココナッツトリメ
チレンジアミンを発熱に注意しながら滴下して反応させ
ることによって製造することができる。
【0034】上記各種塩類からなる、本発明の炭化水素
油添加剤は、潤滑油組成物用に使用される。上記各種塩
類を潤滑油組成物の酸化防止剤および摩擦調整剤として
使用する場合には、後述する基油に対して、0.01〜
10.0重量%の割合で配合することが望ましく、0.
1〜2.0重量%の割合で配合することがより好まし
い。炭化水素油添加剤の配合量が上記範囲未満であると
きは、十分な酸化安定性および摩擦調整作用を得られな
いおそれがある。一方、配合量が上記範囲を超えても、
それ以上の酸化安定性および摩擦調整作用の向上は望め
ない。
【0035】基油としては、鉱油および合成油のうちの
少なくとも一種またはグリースが用いられる。鉱油およ
び合成油は、40℃における動粘度が5〜10000cS
t の範囲内であることが好ましく、20〜1000cSt
の範囲内であることがより好ましい。鉱油としては、上
記粘度条件を満たせば特に制限はなく、原油の潤滑油留
分を溶剤精製、水素化精製、白土精製、硫酸処理等によ
り精製して得られるものがあげられる。
【0036】一方、合成油としては、アルキル化芳香族
化合物、ポリグリコール油、エステル油、ジエステル
油、トリメチロールプロパンカプリレートやペンタエリ
スリトール−2−エチレンヘキサノエート等の脂肪族多
価アルコールの脂肪族カルボン酸エステル、合成ナフテ
ン油、ポリブテン、デセレートオリゴマー等のポリα−
オレフィン油等があげられる。
【0037】本発明の潤滑油組成物は、上述した基油に
前記一般式(I) 〜(III) で表されるリン化合物のアミン
塩のうちの少なくとも1種を炭化水素油添加剤として加
え、例えば室温ないし80℃、好ましくは、室温ないし
40℃の温度で攪拌して溶解させることによって製造さ
れる。本発明の潤滑油組成物には、従来、潤滑油組成物
に添加される通常の添加剤が、従来と同程度の割合で配
合されていてもよい。かかる添加剤としては、例えば清
浄分散剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、極圧剤、耐
摩耗剤、油性向上剤、腐食防止剤、抗乳化剤、乳化剤、
消泡剤、金属不活性剤等があげられる。
【0038】本発明の潤滑油組成物は、例えば自動車エ
ンジン油、ディーゼルエンジン油、タービン油、油圧作
動油、油膜軸受油、ギヤー油、自動車変速機油、シリン
ダー油、ダイナモ油、マシン油、金属加工油、切削油、
圧延油等を始めとする、各種機器類用の潤滑油として使
用可能である。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではな
い。実施例1〜7 基油としての精製鉱油(40℃における動粘度が32.
0cSt )に、前記一般式(I) で表される各種塩類を、炭
化水素油添加剤として、それぞれ1.0重量%添加し、
均一に溶解させて実施例1〜7の潤滑油組成物を調製し
た。
【0040】そして、上記各実施例の潤滑油組成物につ
いて、J1S K−2514-1982 「潤滑油酸化安定度
試験方法」に所載の試験方法に準拠して165.5℃、
96時間の条件で酸化処理を行い、処理前後の粘度の比
(37.8℃)、全酸価(mgKOH/g)の増加、およ
び、ラッカー度(ラッカー状物質またはスラッジの付着
状態)を測定して、炭化水素油添加剤の、酸化防止剤と
しての能力を評価した。また、パウデン摩擦試験機を用
いて、下記の測定方法により、各実施例の潤滑油組成物
の摩擦係数を測定して、炭化水素油添加剤の、摩擦調整
剤としての能力を評価した。 *測定方法 直径10mmの軸受鋼と、厚さ3mm、長さ30mmのゴムシ
ートとの間に、測定試料としての潤滑油組成物を供給し
た後、上記軸受鋼に所定の荷重をかけながらゴムシート
の上を5回往復させた後、摩擦係数を測定した。なお、
測定の条件は下記のとおり。
【0041】測定温度:室温 荷 重:1000N 速 度:3.0mm/s 摺動距離:10mm 結果を表1に示す。
【0042】なお、上記各実施例で使用した塩類は、以
下のとおり。 実施例1:4,4′−ジオクチルジフェニルアミン・ジ
ブチルホスフェート〔1:1〕 実施例2:4,4′−ジオクチルジフェニルアミン・オ
クチルホスフェート〔1:1〕 実施例3:4,4′−ジオクチルジフェニルアミン・ブ
チルホスフェート〔1:1〕 実施例4:4,4′−ジノニルジフェニルアミン・デシ
ルホスフェート〔1:1〕 実施例5:オクチルフェニル−フェニルアミン・デシル
ホスフェート〔1:1〕 実施例6:4,4′−ジオクチルジフェニルアミン・デ
シルホスフェート〔1:1〕 実施例7:4,4′−ジオクチルジフェニルアミン・ジ
(t−アミルフェニル)ホスフェート〔1:1〕
【0043】
【表1】
【0044】実施例8〜13 炭化水素油添加剤として、前記一般式(II)で表される各
種塩類を使用したこと以外は、上記実施例1〜7と同様
にして潤滑油組成物を調製し、粘度の比(37.8
℃)、全酸価の増加、ラッカー度、および、摩擦係数を
測定した。結果を表2に示す。
【0045】なお、上記各実施例で使用した塩類は、以
下のとおり。 実施例8:N−フェニル−1−ナフチルアミン・ジブチ
ルホスフェート〔1:1〕 実施例9:N−フェニル−1−ナフチルアミン・オクチ
ルホスフェート〔1:1〕 実施例10:N−p−オクチルフェニル−1−ナフチル
アミン・ジブチルホスフェート〔1:1〕 実施例11:N−p−オクチルフェニル−1−ナフチル
アミン・デシルホスフェート〔1:1〕 実施例12:N−フェニル−1−ナフチルアミン・デシ
ルホスフェート〔1:1〕 実施例13:N−フェニル−1−ナフチルアミン・モノ
フェニルホスフェート〔1:1〕
【0046】
【表2】
【0047】実施例14〜37 炭化水素油添加剤として、前記一般式(III) で表される
各種塩類を使用したこと以外は、上記実施例1〜7と同
様にして潤滑油組成物を調製し、粘度の比(37.8
℃)、全酸価の増加、ラッカー度、および、摩擦係数を
測定した。結果を表3〜5に示す。
【0048】なお、上記各実施例で使用した塩類は、以
下のとおり。 実施例14:N−(硬化牛脂)トリメチレンジアミン・
イソデシルホスフェート〔1:1〕 実施例15:N−(硬化牛脂)トリメチレンジアミン・
イソオクチルホスフェート〔1:1〕 実施例16:N−オレイルトリメチレンジアミン・ブチ
ルホスフェート〔1:1〕 実施例17:N−オレイルトリメチレンジアミン・オレ
イルホスフェート〔1:1〕 実施例18:N−オレイルトリメチレンジアミン・ラウ
リルホスフェート〔1:1〕 実施例19:N−シクロヘキシルトリメチレンジアミン
・デシルホスフェート〔1:1〕 実施例20:N−フェニル・トリメチレンジアミン・デ
シルホスフェート〔1:1〕 実施例21:N−ココナッツトリメチレンジアミン・デ
シルホスフェート〔1:1〕 実施例22:N−ブチルトリメチレンジアミン・デシル
ホスフェート〔1:1〕 実施例23:N−オクチルトリメチレンジアミン・デシ
ルホスフェート〔1:1〕 実施例24:N−オレイルトリメチレンジアミン・デシ
ルホスフェート〔1:1〕 実施例25:N−ココナッツトリメチレンジアミン・ジ
(n−ブチル)ホスフェート〔1:1〕 実施例26:N−ココナッツトリメチレンジアミン・オ
クチルホスフェート〔1:1〕 実施例27:N−ココナッツトリメチレンジアミン・ド
デシルホスフェート〔1:1〕 実施例28:N−(硬化牛脂)トリメチレンジアミン・
アルキルホスフェート〔1:1、アルキルはイソデシル
とイソオクチルの混合〕 実施例29:ビス(N−ココナッツトリメチレンジアミ
ン)・モノオクチルホスフェート〔2:1〕 実施例30:N−メチル・ココナッツトリメチレンジア
ミン・デシルホスフェート〔1:1〕 実施例31:N−ココナッツヘキサメチレンジアミン・
デシルホスフェート〔1:1〕 実施例32:N−ココナッツトリプロピレンテトラミン
・デシルホスフェート〔1:1〕 実施例33:N,N,N′−トリココナッツヘキサメチ
レンジアミン・デシルホスフェート〔1:1〕 実施例34:N−ココナッツトリメチレンジアミン・モ
ノドデシルホスフェート〔1:1〕 実施例35:N−ココナッツトリメチレンジアミン・ビ
ス(オクチル)ホスフェート〔1:2〕 実施例36:実施例3で使用した塩と実施例28で使用
した塩との、重量比1:1の混合物 実施例37:N−ココナッツトリメチレンジアミン・ジ
(t−アミルフェニル)ホスフェート〔1:1〕
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】比較例1〜5、参考例 比較のため、前記精製鉱油に対し、以下に示す化合物
を、それぞれ1.0重量%添加し、均一に溶解させて比
較例1〜5の潤滑油組成物を調製し、粘度の比(37.
8℃)、全酸価の増加、ラッカー度、および、摩擦係数
を測定した。以上の結果を表6に示す。また、精製鉱油
のみの測定結果を、参考例として、同表に示した。 比較例1:ココナッツアミン・デシルホスフェート 比較例2:N−ココナッツトリメチレンジアミン・オク
タノエート 比較例3:オクチルフェニルジアミン 比較例4:
【0053】
【化13】
【0054】比較例5:
【0055】
【化14】
【0056】
【表6】
【0057】
【発明の効果】前記一般式(I) 〜(III) で表わされるア
ミンとリン酸エステルの塩からなる、本発明の炭化水素
油添加剤は、優れた酸化防止効果、摩擦調整作用を発揮
する。また、これらの塩類を潤滑油基油に配合した本発
明の潤滑油組成物は、基油の酸化安定性が著しく向上
し、かつスラッジの発生が抑制されると同時に、優れた
摩擦調整作用を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 30:10 40:04 40:08 40:20 Z 8217−4H 40:25 50:10 (72)発明者 藤田 耕太郎 大阪府堺市戎島町5丁1番地 堺化学工業 株式会社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) : 【化1】 〔上記式中、R1 ,R2 は、同一または異なって、水素
    原子、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数2〜22の
    アルケニル基、またはフェニル基(フェニル基は、置換
    基として炭素数1〜12のアルキル基または炭素数2〜
    12のアルケニル基を有していてもよい)を示す。但
    し、R1 ,R2 は同時に水素原子でない。m,nは、同
    一または異なって、1〜3の整数を示す。R3 は水素原
    子、炭素数1〜22のアルキル基、または炭素数3〜2
    2のアルケニル基を示す。pは1〜3の整数を示し、x
    は、pが1のとき1、pが2のとき1〜2、pが3のと
    き1〜3の整数を示す。〕下記一般式(II): 【化2】 〔上記式中、R4 は水素原子、炭素数1〜22のアルキ
    ル基、または炭素数2〜22のアルケニル基を示し、q
    は1〜3の整数を示す。R3は前記と同じ基を示し、p
    およびxは前記と同じ整数を示す。〕および、下記一般
    式(III) : 【化3】 〔上記式中、R5 は炭素数1〜22のアルキル基、炭素
    数3〜22のアルケニル基、炭素数3〜12のシクロア
    ルキル基、炭素数6〜18のアリール基を示す。アリー
    ル基は、置換基として、炭素数1〜12のアルキル基ま
    たは炭素数2〜12のアルケニル基を有していてもよ
    い。R6 ,R7 は、同一または異なって、水素原子また
    は炭素数1〜22のアルキル基を示し、Aは下記一般式
    (i)(ii) または(iii) で表される基を示す。 −(CH2 r − (i) (上記式中rは1以上の整数を示す) −(CH2 CH2 NH)s −CH2 CH2 − (ii) (上記式中sは1以上の整数を示す) 【化4】 (上記式中tは0または1以上の整数を示す)R3 は前
    記と同じ基を示し、pおよびxは前記と同じ整数を示
    す。〕で表されるリン化合物のアミン塩のうちの少なく
    とも1種からなることを特徴とする炭化水素油添加剤。
  2. 【請求項2】上記請求項1記載の炭化水素油添加剤と、
    鉱油、合成油およびグリースよりなる群から選ばれた少
    なくとも1種の基油とを含有することを特徴とする潤滑
    油組成物。
JP31059491A 1991-11-26 1991-11-26 炭化水素油添加剤およびそれを含む潤滑油組成物 Pending JPH05140556A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31059491A JPH05140556A (ja) 1991-11-26 1991-11-26 炭化水素油添加剤およびそれを含む潤滑油組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31059491A JPH05140556A (ja) 1991-11-26 1991-11-26 炭化水素油添加剤およびそれを含む潤滑油組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05140556A true JPH05140556A (ja) 1993-06-08

Family

ID=18007133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31059491A Pending JPH05140556A (ja) 1991-11-26 1991-11-26 炭化水素油添加剤およびそれを含む潤滑油組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05140556A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06240282A (ja) * 1992-12-25 1994-08-30 Tonen Corp 潤滑油組成物
JPH07258671A (ja) * 1994-03-24 1995-10-09 Lubrizol Corp:The 無灰の低リン潤滑剤
JPH08291187A (ja) * 1995-04-25 1996-11-05 Sakai Chem Ind Co Ltd 炭化水素油添加剤及びそれを含む潤滑油組成物
JP2010037500A (ja) * 2008-08-07 2010-02-18 Idemitsu Kosan Co Ltd 潤滑油組成物
WO2014092201A1 (ja) * 2012-12-14 2014-06-19 協同油脂株式会社 低温フレッチング改善グリース組成物

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06240282A (ja) * 1992-12-25 1994-08-30 Tonen Corp 潤滑油組成物
JPH07258671A (ja) * 1994-03-24 1995-10-09 Lubrizol Corp:The 無灰の低リン潤滑剤
JPH08291187A (ja) * 1995-04-25 1996-11-05 Sakai Chem Ind Co Ltd 炭化水素油添加剤及びそれを含む潤滑油組成物
JP2010037500A (ja) * 2008-08-07 2010-02-18 Idemitsu Kosan Co Ltd 潤滑油組成物
WO2014092201A1 (ja) * 2012-12-14 2014-06-19 協同油脂株式会社 低温フレッチング改善グリース組成物
JP2014118467A (ja) * 2012-12-14 2014-06-30 Kyodo Yushi Co Ltd 低温フレッチング改善グリース組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3719266B2 (ja) 摩擦耐久性が改良された潤滑油
US5885942A (en) Multifunctional lubricant additive
US4158633A (en) Lubricating oil
JP2777750B2 (ja) 内燃機関の燃料の経済性を改善するための、アミン/アミド及びエステル/アルコール摩擦緩和剤の相乗性ブレンド
JPH0323595B2 (ja)
WO1994025549A1 (fr) Composition d'huile lubrifiante
US7625850B2 (en) Lubricating oil composition
US5990055A (en) Biodegradable lubricant composition from triglycerides and oil soluble antimony
WO1995002027A1 (en) Lubricating oil composition containing friction modifier and corrosion inhibitor
JP2859083B2 (ja) 自動車リミテッドスリップデファレンシャル用潤滑油組成物
AU727582B2 (en) Biodegradable grease compositions
US3793199A (en) Friction reducing agent for lubricants
US3224975A (en) Lubricating oil compositions
JPH07508049A (ja) 混合摩擦調整剤を含有する潤滑油組成物
US4537692A (en) Etherdiamine borates and lubricants containing same
US3224968A (en) Lubricating oil compositions
US4228020A (en) Lubricating oil composition
US4557846A (en) Lubricating oil compositions containing hydroxamide compounds as friction reducers
JP5388490B2 (ja) 摩擦安定性が改良されたホウ素含有潤滑油
KR20150099556A (ko) 폴리글리세롤 에테르로 제조된 윤활유 조성물
JPH05140556A (ja) 炭化水素油添加剤およびそれを含む潤滑油組成物
US4356097A (en) Alkylphosphonate lubricating oil
US3214377A (en) Phenylamides of organoamine polyacetic acids as anti-oxidants in greases
JPH06200274A (ja) 終減速機用潤滑油組成物
EP0731829A1 (en) Lubrication oil composition