JPH07179874A - 炭化水素油添加剤及びそれを含む潤滑油組成物 - Google Patents

炭化水素油添加剤及びそれを含む潤滑油組成物

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JPH07179874A
JPH07179874A JP34649193A JP34649193A JPH07179874A JP H07179874 A JPH07179874 A JP H07179874A JP 34649193 A JP34649193 A JP 34649193A JP 34649193 A JP34649193 A JP 34649193A JP H07179874 A JPH07179874 A JP H07179874A
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JP
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phosphate
oil
integer
lubricating oil
ester
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Application number
JP34649193A
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English (en)
Inventor
Toshio Wachi
都司雄 和知
Minoru Tada
實 多田
Hitomi Nakano
ひとみ 中野
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Sakai Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Sakai Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 優れた酸化防止効果と耐荷重効果を有し、ス
ラッジ生成を抑制する炭化水素油添加剤及びこれを含有
する潤滑油組成物を提供する。 【構成】 一般式Iの塩及び一般式IIの塩からなる炭
化水素油添加剤及びこれを含有する潤滑油組成物。 1 、R2 、R3 はC1〜18のアルキル又はC2〜1
8のアルケニルを、R4 はC2〜22のアルキル、C3
〜22のアルケニル、フェニル、又はC1〜18のアル
キル若しくはC2〜18のアルケニルで置換されたフェ
ニルを、aは0〜3の整数を、b、cは0〜3の整数を
表すが同時に0ではなく、dは0〜4の有理数を、eは
1〜2の整数を、x、yは0.7〜6を、fは0〜3の
整数を、g、hは0〜3の整数を表すが同時に0ではな
く、iは0〜4の有理数を、jは1〜3の整数を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用又は一般工業
用の潤滑油等に、酸化防止剤、耐荷重添加剤として好適
に使用される炭化水素油添加剤、及びこの添加剤を含有
することにより、特に酸化安定性に優れ、スラッジが発
生しにくく、かつ優れた耐荷重能を有する潤滑油組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、潤滑油に添加される酸化防止剤と
しては、アミン類、フェノール類が一般的に使用されて
いる。アミン類としては、例えば、N,N′−ジフェニ
ルパラフェニレンジアミン、4,4′−ジオクチルジフ
ェニルアミン、N−フェニル−α−ナフチルアミン等が
知られている。フェノール類としては、例えば、2,6
−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ
−t−ブチル−4−エチルフェノール等が挙げられる。
また、ジ(2−エチルヘキシル)ジチオりん酸亜鉛、ジ
アミンジチオカーバミン酸亜鉛等の亜鉛化合物も、エン
ジン油、油圧作動油、軸受油等に広く用いられている。
【0003】しかし、上記アミン類、例えば、N−フェ
ニル−α−ナフチルアミンは酸化防止能に優れている
が、基油への溶解性が低く、その変質物の溶解度も低い
ため、スラッジが発生しやすい。また、4,4′−ジオ
クチルジフェニルアミンも、その変質物の溶解度が低
く、スラッジの一因となっている。
【0004】これらN−フェニル−α−ナフチルアミン
類や置換ジフェニルアミン類の欠点を解消するため、特
開平3−95297号公報において、2種類のアミンを
混合する方法が明らかにされた。しかしこの方法におい
ても、酸化安定性を充分に向上させることはできない。
また、開示された各々のアミンと酸性りん酸エステルと
の塩は未だ知られていない。
【0005】米国特許第4557844号公報には、内
燃機関で使用するアルカンジオールのりん酸エステル及
びほう酸と、例えば、N−ココナッツ−1,3−プロピ
レンジアミンのようなジアミン化合物との反応生成物
に、酸化安定性と耐摩耗性の効果のあることが記されて
いる。しかし、この効果はなお充分でなく、しかも反応
生成物が複雑である上、それ自身の安定性が劣るという
問題がある。
【0006】さらに、米国特許第4537694号公報
には、同じく内燃機関で使用するN−ココナッツ−1,
3−プロピレンジアミンのようなジアミン化合物の脂肪
族カルボン酸塩に耐摩耗性の効果があることが記されて
いるが、酸化安定性については記されていない。また、
特公昭62−112695号公報には、上記米国特許明
細書中に記載されているジアミン化合物のエチレンオキ
サイド付加物と、りん酸エステル類との塩が開示されて
いるが、これは冷間圧延油組成物を目的とするものであ
り、酸化安定性については触れられていない。
【0007】一方、前述したフェノール類も、その酸化
防止能及びスラッジ生成防止能ともに充分とはいえな
い。また、ジアルキルジチオりん酸亜鉛等の亜鉛化合物
も、スラッジ生成の防止効果が充分とはいえず、スラッ
ジ生成防止対策が望まれている。また、耐荷重添加剤と
しては、りん酸エステル、亜りん酸エステル、りん酸エ
ステルのアミン塩、亜りん酸エステルのアミン塩、脂肪
酸エステル類、カルボン酸アミド等が一般に知られてい
る(例えば、特開昭63−254196号公報等)。
【0008】りん酸エステルとしては、例えば、ブチル
アシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホ
スフェート等が、また、亜りん酸エステルとしては、ジ
ラウリルハイドロジェンホスファイト、ジオレイルハイ
ドロジェンホスファイト等が知られている。また、りん
酸エステルや亜りん酸エステルとともにアミン塩を形成
するアミンとしては、オレイルアミン、ココナッツアミ
ン、牛脂アミン等が知られている。さらに、脂肪酸エス
テル類としては、ペンタエリスリトール脂肪酸エステ
ル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステル、カルボン
酸エステル等が知られている。カルボン酸アミドとして
は、ラウリル酸、オレイン酸等の脂肪酸や2価カルボン
酸等と、ジエチルトリアミン、ヘキサエチレンペンタア
ミン、ココナッツアミン、オレイルアミン等との縮合物
が知られている。
【0009】特開平4−117494号公報には、有機
酸性りん酸エステルの芳香族アミン塩が、ステンレス鋼
に有効な極圧添加剤として有用である旨が開示されてお
り、特開平4−117495号公報には、さらに40℃
の粘度が80cSt以上である潤滑成分を有機酸性りん
酸エステルの芳香族アミン塩に加えると冷間圧延油とし
て効果的である旨が開示されている。
【0010】しかしながら、上記技術においては、当該
有機酸性りん酸エステルの芳香族アミン塩のうちいずれ
がより有効であり、いずれが潤滑油の構成物として適切
であるかの示唆がなく、酸化防止効果及び耐荷重効果を
併せ持つ潤滑油を得ることができなかった。
【0011】特開平5−140556号公報には、アル
キルりん酸エステルのアルキル化ジフェニルアミン塩又
はアルキル化フェニルナフタリルアミン塩が、酸化防止
効果を有し、しかも摩擦調整作用を有する旨が開示され
ている。しかしながら、これらをもってしても、酸化防
止効果は充分ではなく、スラッジの生成の抑制の点では
満足すべきものではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記に鑑み、本発明
は、優れた酸化防止効果を有しかつ優れた耐荷重効果を
も有し、スラッジの生成を抑制する炭化水素油添加剤及
びこれを含有する潤滑油組成物を提供することを目的と
するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、炭化水
素油添加剤として、次の一般式(I)で表されるメチル
りん酸エステルとアミンとの塩及び次の一般式(II)
で表されるメチルりん酸エステル以外のりん酸エステル
とアミンとの塩を主成分として用いるところにある。
【0014】
【化2】
【0015】式中、R1 、R2 、R3 は、同一若しくは
異なって、炭素数1〜18のアルキル又は炭素数2〜1
8のアルケニルを表す。R4 は、炭素数2〜22のアル
キル、炭素数3〜22のアルケニル、フェニル、又は、
炭素数1〜18のアルキル若しくは炭素数2〜18のア
ルケニルで置換されたフェニルを表す。aは、0〜3の
整数を表す。b、cは、同一又は異なって、0〜3の整
数を表すが、同時に0ではない。dは0〜4の有理数を
表す。eは1〜2の整数を表し、xは0.7〜6を表
す。fは、0〜3の整数を表す。g、hは、同一又は異
なって、0〜3の整数を表すが、同時に0ではない。i
は0〜4の有理数を表す。jは1〜3の整数を表し、y
は0.7〜6を表す。
【0016】本発明に係る炭化水素油添加剤は、上記
(I)及び(II)を同時に含有することによりなる。
(I)と(II)との配合比率は、(I):(II)が
10:1〜1:8となる範囲が好ましい。より好ましく
は、10:1〜1:3の範囲である。(I)がこの範囲
より多いと潤滑油への溶解性が悪くなり、またこの範囲
より少ないと本発明に係る極圧効果を得ることができな
くなる。
【0017】本発明に係る(I)及び(II)におい
て、x及びyで表されるアミンの量は、りん酸エステル
部分の強酸価の0.7〜6の範囲である。0.7未満で
あると、油への溶解性が低下して本発明の効果を奏する
ことができなくなる。また、6を超えると耐摩耗性が低
下する。
【0018】上記(I)におけるりん酸エステルとして
は、例えば、モノメチルりん酸エステル、ジメチルりん
酸エステル等を挙げることができる。これらの単独であ
ってもまた2種以上であってもよい。
【0019】上記(II)におけるりん酸エステルのR
4 としては、例えば、エチル、イソプロピル、n−プロ
ピル、n−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、2−
エチルヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノ
ニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、イ
ソドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシ
ル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナ
デシル、オレイル、フェニル、メチルフェニル、ノニル
フェニル等を挙げることができる。これらにより構成さ
れるりん酸エステルは、単独であってもまた2種以上で
あってもよい。
【0020】本発明に係る塩を構成するアミンとして
は、置換フェニルアミンを挙げることができる。上記ア
ミンには、上記置換フェニルアミンのほか、ジ置換又は
モノ置換ジフェニルアミンが含有されていてもよい。
【0021】上記置換フェニルアミンの置換基として
は、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロ
ピル、n−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、2−
エチルヘキシル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノ
ニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、イ
ソドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシ
ル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、ノナデシル、ビニ
ル、オレイル等を挙げることができる。これらにより構
成される置換フェニルアミンは、単独であってもまた2
種以上であってもよい。
【0022】上記ジ置換又はモノ置換ジフェニルアミン
の置換基としては、例えば、メチル、エチル、イソプロ
ピル、n−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、sec
−ブチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、イソオ
クチル、n−ノニル、イソノニル、デシル、イソデシ
ル、ドデシル、イソドデシル、トリデシル、テトラデシ
ル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オク
タデシル、ノナデシル、ビニル、オレイル等を挙げるこ
とができる。これらにより構成されるジ置換又はモノ置
換ジフェニルアミンは、単独であってもまた2種以上で
あってもよい。
【0023】本発明においては、上記芳香族アミンに加
えて脂肪族アミンを使用することができる。上記脂肪族
アミンの量は、上記芳香族アミンの1〜90%を使用す
ることができる。上記脂肪族アミンは(R′′) a NH
b と表すと、例えば、R′′は炭素数1〜22の飽和
又は不飽和の炭化水素を表し、a=1のときはb=2、
a=2のときはb=1、a=3のときはb=0である。
上記脂肪族アミンとしては、例えば、メチルアミン、エ
チルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、オクチル
アミン、2−エチルヘキシルアミン、オレイルアミン、
t−ブチルアミン、t−オクチルアミン、t−ドデシル
アミン、t−テトラデシルアミン、t−オクタデシルア
ミン、t−ドコサアミン、炭素数12〜14のターシャ
ルの炭化水素を置換基とするアミンの混合物、炭素数1
8〜22のターシャルの炭化水素を置換基とするアミン
の混合物等が挙げられる。
【0024】上記例示の各種塩類は、通常の方法によっ
て製造することができる。例えば、ドデシルアニリンに
ジメチルホスフェートとモノメチルホスフェート(モル
比1:1)及びジブチルホスフェートとモノブチルホス
フェート(モル比1:1)の1:1(重量比)混合りん
酸エステルを、又は逆に混合りん酸エステルにドデシル
アニリンを発熱に注意しながら滴下して反応させること
によって製造することができる。また、ジメチルホスフ
ェートとモノメチルホスフェートのドデシルアニリンと
ジブチルホスフェートとモノブチルホスフェートのドデ
シルアニリンを混合してもよい。
【0025】各種塩類は上記の方法で製造することがで
きるが、さらに後述する基油と同じ油に50〜99%溶
解させて、より取扱いを容易にしたものを炭化水素油添
加剤とすることもできる。
【0026】上記各種塩類からなる本発明の添加剤は、
潤滑油組成物用に使用される。上記各種塩類を潤滑油組
成物の酸化防止剤及び耐荷重添加剤として使用する場合
には、後述する基油に対して、0.01〜10.0重量
%の割合で配合することが好ましく、0.1〜5.0重
量%の割合で配合することがより好ましい。炭化水素油
添加剤の配合量が0.01重量%未満であるときは、充
分な酸化安定性及び耐荷重能が得られない恐れがある。
一方、配合量が10.0重量%を超えても、それ以上の
酸化安定性及び耐荷重能の向上は認められない。
【0027】基油としては、鉱油及び合成油のうちの少
なくとも一種が用いられる。鉱油及び合成油は、40℃
における動粘度が5〜10000cStの範囲内である
ことが好ましく、20〜1000cStの範囲内である
ことがより好ましい。鉱油としては、上記粘度条件を満
たせば特に制限はなく、原油の潤滑油留分を溶剤精製、
水素化精製、白土精製、硫酸処理等により精製して得ら
れるものが挙げられる。
【0028】一方、合成油としては、例えば、アルキル
化芳香族化合物、ポリグリコール油、エステル油、ジエ
ステル油、トリメチロールプロパンカプリレートやペン
タエリスリトール−2−エチルヘキサノエート等の脂肪
族多価アルコールの脂肪族カルボン酸エステル、合成ナ
フテン油、ポリブテン、デセレートオリゴマー等のポリ
α−オレフィン油等が挙げられる
【0029】本発明の潤滑油組成物は、上述した基油に
前記一般式(I)及び(II)で表されるりん酸化合物
のアミン塩のうちの少なくとも一種を炭化水素油添加剤
として加え、例えば室温ないし80℃、好ましくは、室
温ないし40℃の温度で攪拌して溶解させることによっ
て製造される。本発明の潤滑油組成物には、従来、潤滑
油組成物に添加されている通常の添加剤が、従来と同程
度の割合で配合されていてもよい。このような添加剤と
しては、例えば清浄分散剤、流動点降下剤、粘度指数向
上剤、極圧剤、耐摩耗剤、油性向上剤、腐食防止剤、抗
乳化剤、乳化剤、消泡剤、金属不活性剤等が挙げられ
る。
【0030】本発明の潤滑油組成物は、例えば自動車エ
ンジン油、ディーゼルエンジン油、タービン油、油圧作
動油、油膜軸受油、ギヤー油、自動車変速機油、シリン
ダー油、ダイナモ油、マシン油、金属加工油、切削油、
圧延油等を始めとする各種機器類用の潤滑油として使用
可能である。なお、本発明の潤滑油組成物には、防錆効
果も認められ、防錆を目的とする用途に使用することも
できる。本発明の炭化水素油添加剤は、上記基油を1〜
50重量%配合した後さらに基油に所定量を溶解させて
使用することもできる。
【0031】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】実施例1〜3 基油としての精製鉱油(40℃における動粘度が32.
0cSt)99重量部に、表1記載のメチルりん酸エス
テル(A)とメチルりん酸エステル以外のりん酸エステ
ル(B)を(A)と同量混合し、イソドデシルフェニル
アミンで前記(A)及び(B)各々のりん酸エステルの
強酸価を中和して得られた各種炭化水素油添加剤を1重
量部加え、均一に溶解させて潤滑油組成物を製造した。
【0033】表1中、メチルりん酸エステルにおいて、
ジメチルは、ジメチルりん酸エステル、モノメチルはモ
ノメチルりん酸エステル、ジメチル+モノメチル(1:
1)はメチルりん酸エステルとモノメチルりん酸エステ
ルがモル比で1:1の混合物であることを表す。同様
に、その他のりん酸エステルにおいて、ジブチルはジブ
チルりん酸エステル、ジイソプロピル+モノイソプロピ
ル(1:1)はジイソプロピルりん酸エステルとモノイ
ソプロピルりん酸エステルがモル比で1:1の混合物で
あることを表す。表1中の数値は、炭化水素油添加剤中
の各成分の重量比を表す。
【0034】得られた潤滑油組成物について、JIS
K−2514「潤滑油酸化安定度試験方法」に所載の試
験方法に準拠して165.5℃、96時間の条件で酸化
処理を行い、処理前後の粘度の比(37.8℃)、全酸
価(mgKOH/g)の増加、及びラッカー度(ラッカ
ー状物質又はスラッジの付着状態)を測定して、炭化水
素油添加剤の、酸化防止剤としての能力を評価した。ま
た、NDS−K−2740所載の試験方法に準拠して會
田式四球試験機を用いて、各実施例の潤滑油組成物の耐
荷重圧を測定して、炭化水素油添加剤の耐荷重能を評価
した。試料温度は室温とし、試験機の回転数は200r
pmに設定して測定した。試験結果は、表2に示した。
表2において、ラッカー度は、付着物無、薄、中、濃で
状態を表した。基油への溶解性は、○:透明液体、△:
わずかに濁る、×:不透明ないし沈殿物有り、で評価し
た。
【0035】比較例1〜5 前記精製鉱油に対し、表1に示すメチルりん酸エステ
ル、その他のりん酸エステル及びアミンからなる炭化水
素油添加剤1重量%を加えて潤滑油組成物を製造した。
得られた潤滑油組成物について、実施例1〜3と同様に
して粘度の比(37.8℃)、全酸価の増加量、ラッカ
ー度、耐荷重圧、基油への溶解性を測定して結果を表2
に示した。
【0036】比較例6及び7 精製鉱油のみ、また、精製鉱油に2,6−ジブチル−4
−メチルフェノール1重量%を配合した試料をそれぞれ
比較例6及び7として、組成を表1に、試験結果を表2
にそれぞれ示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】メチルりん酸エステルを併用しないと優れ
た極圧性を発揮しないことがわかる。また、りん酸エス
テルとして、メチルりん酸エステル単独では、潤滑油に
不溶となり、目的の用途に使用することができない。メ
チルりん酸エステルは、ジエステル、モノエステル各々
単独又は混合して用いても優れた酸化安定性及び極圧性
の効果を発揮する。
【0040】実施例4〜17 基油としての精製鉱油(40℃における動粘度が32.
0cSt)99重量部に、メチルりん酸エステル(A)
としてジメチルりん酸エステルとモノメチルりん酸エス
テルの等モル混合物を、その他のりん酸エステル(B)
として下記のりん酸エステルをメチルりん酸エステル
(A)と同量混合し、イソドデシルフェニルアミンで前
記(A)及び(B)各々のりん酸エステルの強酸価を中
和して得られた各種炭化水素油添加剤を1重量部加え、
均一に溶解させて潤滑油組成物を製造した。
【0041】各実施例において使用したメチルエステル
以外のりん酸エステル(B)の種類は、実施例4ではジ
エチルりん酸エステルとモノエチルりん酸エステルの等
モル混合物、実施例5ではジブチルりん酸エステルとモ
ノブチルりん酸エステルの等モル混合物、実施例6では
ジ−2−エチルヘキシルりん酸エステルとモノ−2−エ
チルヘキシルりん酸エステルの等モル混合物、実施例7
ではジブチルりん酸エステル、実施例8ではジ−2−エ
チルヘキシルりん酸エステル、実施例9ではモノ−2−
エチルヘキシルりん酸エステル、実施例10ではジドデ
シルりん酸エステルとモノドデシルりん酸エステルの等
モル混合物、実施例11ではジオレイルりん酸エステル
とモノオレイルりん酸エステルの等モル混合物、実施例
12ではジドコシルりん酸エステルとモノドコシルりん
酸エステルの等モル混合物、実施例13ではモノブチル
りん酸エステル、実施例14ではジイソプロピルりん酸
エステル、実施例15ではモノオクチルりん酸エステ
ル、実施例16ではジイソプロピルりん酸エステルとモ
ノイソプロピルりん酸エステルのモル比が2:1の混合
物、実施例17ではジイソプロピルりん酸エステルとモ
ノイソプロピルりん酸エステルのモル比が1:2の混合
物である。得られた潤滑油組成物について、実施例1〜
3と同様の試験を行い、結果を表3及び4に示した。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】実施例18〜23 基油としての精製鉱油(40℃における動粘度が32.
0cSt)99重量部に、メチルりん酸エステル(A)
としてジメチルりん酸エステルとモノメチルりん酸エス
テルの等モル混合物を、メチル以外のその他のりん酸エ
ステル(B)としてジイソプロピルりん酸エステルとモ
ノイソプロピルりん酸エステルの等モル混合物を、メチ
ルりん酸エステル(A)に対して以下の量混合し、イソ
ドデシルフェニルアミンで前記(A)及び(B)各々の
りん酸エステルの強酸価を中和して得られた各種炭化水
素油添加剤を1重量部加え、均一に溶解させて潤滑油組
成物を製造した。上記のメチルりん酸エステル(A)と
メチル以外のその他のりん酸エステル(B)の重量比
(A/B)は、実施例18では12/1、実施例19で
は10/1、実施例20では3/1、実施例21では1
/3、実施例22では1/8、実施例23では1/10
とした。得られた潤滑油組成物について、実施例1〜3
と同様の試験を行い、結果を表5に示した。
【0045】
【表5】
【0046】メチルりん酸エステル(A)とその他のり
ん酸エステル(B)の配合の重量比A/Bは、10/1
〜1/8が好ましく、10/1〜1/3が特に好まし
い。メチルりん酸エステルの比率が10を超えると潤滑
油への溶解性が悪くなり、比率が1/8未満では極圧性
が劣化する。
【0047】実施例24〜30 基油としての精製鉱油(40℃における動粘度が32.
0cSt)99重量部に、メチルりん酸エステル(A)
としてジメチルりん酸エステルとモノメチルりん酸エス
テルの等モル混合物を、メチル以外のその他のりん酸エ
ステル(B)としてジイソプロピルりん酸エステルとモ
ノイソプロピルりん酸エステルの等モル混合物を、メチ
ルりん酸エステル(A)と同量混合し、アミンとして以
下の種類のもので前記(A)及び(B)各々のりん酸エ
ステルの強酸価を中和して得られた各種アミン塩をそれ
ぞれ1重量部添加して、均一に溶解させて潤滑油組成物
を製造した。
【0048】アミンとして、実施例24ではブチルフェ
ニルアミン、実施例25ではオクチルフェニルアミン、
実施例26ではノニルフェニルアミン、実施例27では
炭素数が9〜11のアルキル基で置換したフェニルアミ
ン混合物、実施例28ではオレイルフェニルアミン、実
施例29ではイソドデシルフェニルアミンとジオクチル
ジフェニルアミンをモル比で1:2に混合したもの、実
施例30ではイソドデシルフェニルアミンとジノニルジ
フェニルアミンをモル比で2:1に混合したものをそれ
ぞれ用いた。得られた潤滑油組成物について、実施例1
〜3と同様の試験を行い、結果を表6に示した。
【0049】
【表6】
【0050】実施例31〜37 基油としての精製鉱油(40℃における動粘度が32.
0cSt)99重量部に、メチルりん酸エステル(A)
としてジメチルりん酸エステルとモノメチルりん酸エス
テルの等モル混合物と、メチル以外のその他のりん酸エ
ステル(B)としてジイソプロピルりん酸エステルとモ
ノイソプロピルりん酸エステルの等モル混合物をメチル
りん酸エステル(A)と同量混合し、アミンとしてイソ
ドデシルフェニルアミンを以下の量それぞれ添加して強
酸価を中和した各種炭化水素油添加剤を1重量部加え、
均一に溶解させて潤滑油組成物を製造した。添加したア
ミンの量は、前記(A)及び(B)各々のりん酸エステ
ルの強酸価中和量を基準として、実施例31ではその
0.6倍、実施例32ではその0.7倍、実施例33で
はその1.3倍、実施例34ではその1.5倍、実施例
35ではその1.7倍、実施例36ではその6.0倍、
実施例37ではその7.0倍の量を加えた。得られた潤
滑油組成物について、実施例1〜3と同様の試験を行
い、結果を表7に示した。
【0051】
【表7】
【0052】配合するアミンの量は、メチルりん酸エス
テル及びその他りん酸エステルの強酸価中和量の0.7
〜6倍が好ましいことがわかる。0.7倍未満では、潤
滑油への溶解度が低下し、6倍を超えると耐荷重能が低
下する。
【0053】実施例38 基油としての精製鉱油(40℃における動粘度が32.
0cSt)99重量部に、メチルりん酸エステル(A)
としてジメチルりん酸エステルとモノメチルりん酸エス
テルの等モル混合物と、メチル以外のその他のりん酸エ
ステル(B)としてジイソプロピルりん酸エステル、モ
ノイソプロピルりん酸エステル及びりん酸の1:1:
0.01(モル比)混合物をメチルりん酸エステル
(A)と同量混合し、イソドデシルフェニルアミンで前
記(A)及び(B)各々のりん酸エステルの強酸価を中
和して得られたアミン塩を1重量部加え、均一に溶解さ
せて潤滑油組成物を製造した。得られた潤滑油組成物に
ついて、実施例1〜3と同様の試験を行い、結果を表8
に示した。
【0054】実施例39 基油としての精製鉱油(40℃における動粘度が32.
0cSt)99重量部に、メチルりん酸エステル(A)
としてジメチルりん酸エステルとモノメチルりん酸エス
テルの等モル混合物を、メチル以外のその他のりん酸エ
ステル(B)としてジイソプロピルりん酸エステルとモ
ノイソプロピルりん酸エステルの等モル混合物を、アミ
ンとしてイソドデシルフェニルアミン及び炭素数12〜
14のターシャリーの炭化水素鎖を置換基とするアミン
の混合物を1:1:1.75:1.75(重量比)で混
合して得た炭化水素油添加剤を1重量部加え、均一に溶
解させて潤滑油組成物を製造した。得られた潤滑油組成
物について、実施例1〜3と同様の試験を行い、結果を
表8に示した。
【0055】
【表8】
【0056】実施例40 実施例39で製造した炭化水素油添加剤を精製鉱油に1
%配合した試験液にSPCC−SB−13のテストピー
スを浸漬して、時間経過に伴うテストピース表面の状態
変化を観察した。試験液を入れた槽は室内に設置し、温
度は室温のままとした。表面状態の評価は、◎:非常に
良好、○:良好、×:発錆に従って行い、結果を表9に
示した。
【0057】実施例41 実施例1で製造した炭化水素油添加剤を用いたこと以外
は、実施例40と同様にして防錆効果を調べ、表9に示
した。
【0058】比較例8 メチルりん酸エステル(A)としてジメチルりん酸エス
テルとモノメチルりん酸エステルの等モル混合物を、メ
チル以外のその他のりん酸エステル(B)としてジイソ
プロピルりん酸エステルとモノイソプロピルりん酸エス
テルの等モル混合物を、メチルりん酸エステル(A)に
対して同重量比の量だけ混合したものを精製鉱油に1%
配合した試験液を用いたこと以外は、実施例40と同様
に試験を行い、結果を表9に示した。
【0059】
【表9】
【0060】
【発明の効果】本発明により、優れた酸化防止効果を有
しかつ優れた耐荷重効果をも有し、スラッジの生成を抑
制する炭化水素油添加剤及びこれを含有する潤滑油組成
物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 40:25

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(I)で表される塩及び次の
    一般式(II)で表される塩からなることを特徴とする
    炭化水素油添加剤。 【化1】 式中、R1 、R2 、R3 は、同一若しくは異なって、炭
    素数1〜18のアルキル又は炭素数2〜18のアルケニ
    ルを表す。R4 は、炭素数2〜22のアルキル、炭素数
    3〜22のアルケニル、フェニル、又は、炭素数1〜1
    8のアルキル若しくは炭素数2〜18のアルケニルで置
    換されたフェニルを表す。aは、0〜3の整数を表す。
    b、cは、同一又は異なって、0〜3の整数を表すが、
    同時に0ではない。dは0〜4の有理数を表す。eは1
    〜2の整数を表し、xは0.7〜6を表す。fは、0〜
    3の整数を表す。g、hは、同一又は異なって、0〜3
    の整数を表すが、同時に0ではない。iは0〜4の有理
    数を表す。jは1〜3の整数を表し、yは0.7〜6を
    表す。
  2. 【請求項2】 一般式(I)で表される塩と、一般式
    (II)で表される塩とのモル比が10/1〜1/8で
    ある請求項1記載の炭化水素油添加剤。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の炭化水素油添加剤にお
    いて、芳香族アミンの一部が脂肪族アミンに置きかわっ
    たことを特徴とする炭化水素油添加剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載の炭化水素油添加剤、
    並びに、鉱油及び合成油のうち少なくとも1種の基油を
    含有することを特徴とする潤滑油組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08291187A (ja) * 1995-04-25 1996-11-05 Sakai Chem Ind Co Ltd 炭化水素油添加剤及びそれを含む潤滑油組成物
WO2007066713A1 (ja) * 2005-12-09 2007-06-14 Idemitsu Kosan Co., Ltd. 潤滑油組成物

Cited By (4)

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JP2007161773A (ja) * 2005-12-09 2007-06-28 Idemitsu Kosan Co Ltd 潤滑油組成物
US8318645B2 (en) 2005-12-09 2012-11-27 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Lubricant composition

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