JPH0829102B2 - 変異型aox2プロモーター、当該プロモーターを担持する菌株、その取得方法およびその菌株を利用した異種蛋白質の製造方法 - Google Patents
変異型aox2プロモーター、当該プロモーターを担持する菌株、その取得方法およびその菌株を利用した異種蛋白質の製造方法Info
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- JPH0829102B2 JPH0829102B2 JP3063598A JP6359891A JPH0829102B2 JP H0829102 B2 JPH0829102 B2 JP H0829102B2 JP 3063598 A JP3063598 A JP 3063598A JP 6359891 A JP6359891 A JP 6359891A JP H0829102 B2 JPH0829102 B2 JP H0829102B2
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ーター、当該プロモーターを担持する菌株、その取得方
法およびその菌株を利用した異種蛋白質の製造方法に関
するものである。
素源およびエネルギー源として増殖する。その際、メタ
ノール代謝経路において第1段階でアルコール酸化酵素
(AOX、EC1.1.3.B)によりメタノールをホ
ルムアルデヒドに酸化する。
酵母(Pichia pastoris )はゲノム中に二種のAOX遺
伝子(AOX1遺伝子、AOX2遺伝子)を有する。こ
の内AOX1プロモーターとAOX2プロモーターには
活性に大きな差があり、通常ピキア酵母で発現されてい
るAOXはほとんどAOX1プロモーターによって転写
されたものであることが示されている(Molecular and
CellularBioligy, vol.9, 1316(1989))。AOX1遺伝
子領域に異種遺伝子を置換して得られた菌株はメタノー
ルの資化をAOX2のみに任せているのでメタノール含
有培地中での増殖は悪く、長い培養時間が必要であっ
た。
発現されないのに対し、メタノール含有培地では細胞中
の可溶化蛋白質の30%を示すといわれている。AOX
をコードする2種類のAOX遺伝子の内、AOX1遺伝
子の制御領域であるAOX1プロモーターは強い活性を
持ち、メタノール資化性酵母の異種蛋白質の発現に用い
られ、高い産生量を示した。しかしながら、AOX2プ
ロモーターは活性が弱く、異種蛋白質の発現には適当で
はなかった。メタノール資化性酵母の異種蛋白質の発現
系は大量に産物が得られるために、その発現系に強力な
プロモーターが求められていた。
て異種蛋白質を産生する方法が研究されている(特開平
2-104290、特開平2-242694、特開平2-303497等)。
領域に異種蛋白質をコードする遺伝子を置換した場合
は、メタノールの資化をAOX2のみでまかなうため、
メタノール含有培地中での増殖は宿主に比べて劣ってお
り、培地時間が長くなる欠点を持っている。本発明の目
的は、AOX1遺伝子の存在しない異種蛋白質を発現す
る菌株から、メタノール含有培地中で増殖の良好になっ
た菌株を提供すること及びそれを容易に取得する方法を
見出すことにある。
質を産生する上で重要な働きを持つ新規なプロモーター
を提供すること及びそれを取得する方法を示すことであ
る。
載のものであり、これにより上記課題を解決できる。 配列表記載の配列番号1の天然型AOX2プロモー
ターの塩基配列の一部を欠失、置換または新たな塩基配
列を付加してなる変異型AOXプロモーターにおいて、
少なくとも、配列番号1の塩基番号749(C)〜11
87(T)を欠失、配列番号1の塩基番号1274
(T)を(C)に置換、または配列番号1の塩基番号1
314(A)と1315(C)の間に配列番号7を付加
してなり、かつ配列表記載の配列番号2、3または4に
示す配列である変異型AOX2プロモーターのプロモー
ター活性と同等のプロモーター活性を有することを特徴
とする変異型AOX2プロモーター。 配列表記載の配列番号2、3または4に示す配列で
ある変異型AOX2プロモーター。 染色体上において上記または記載の変異型AO
X2プロモーターの支配下にAOX遺伝子を担持してな
る菌株。 染色体上においてAOX1プロモーターの支配下で
AOX1遺伝子によるAOX産生がなく、天然型AOX
2プロモーターの支配下にAOX遺伝子を担持してなる
菌株をメタノール含有培地中で培養し、天然型AOX2
プロモーターに変異を起こさせることを特徴とする上記
記載の菌株の取得方法。 上記記載の菌株に発現可能な異種蛋白質遺伝子を
組み込んでなる該菌株を培養することを特徴とする異種
蛋白質の製造方法。
野生型)AOX2プロモーターの塩基配列の一部を欠
失、置換または新たな塩基配列を付加してなる。
列の一部を欠失してなる場合 欠失部位は天然型AOX2プロモーター領域内であれば
特に制限されない。例えば、配列番号1に記載した天然
型AOX2プロモーターを含む塩基配列の塩基番号73
0〜1528に位置すればよい。欠失は一塩基でもそれ
以上でもよく、また一ヵ所でも数ヵ所でもよい。具体的
には配列番号1の塩基番号749(C)〜1187
(T)の439bpを欠失したもの、即ち配列番号2に
記載のプロモーターが挙げられる。
列の一部を他の塩基配列で置換してなる場合 置換部位は天然型AOX2プロモーター領域内であれば
特に制限されない。例えば、配列番号1に記載したAO
X2プロモーターを含む塩基配列の塩基番号730〜1
528に位置すればよい。置換は一塩基でもそれ以上で
もよく、また一ヵ所でも数ヵ所でもよい。具体的には配
列番号1の塩基番号1274(T)を(C)に置換した
もの、即ち配列番号3に記載のプロモーターが挙げられ
る。
塩基配列を付加してなる場合 付加部位は天然型AOX2プロモーター領域内であれば
特に制限されない。例えば、配列番号1に記載したAO
X2プロモーターを含む塩基配列の塩基番号730〜1
528に位置すればよい。付加は一塩基でもそれ以上で
もよく、また一ヵ所でも数ヵ所でもよい。具体的には配
列番号1の塩基番号1314(A)と1315(C)の
間に配列番号7を付加したもの、即ち配列番号4に記載
したプロモーターが挙げられる。
基配列の例えば、塩基番号1〜730の領域は、簡明に
説明するため天然型と同一に記載したが、この領域は特
にこの配列に限定されないことは明白であり、適宜必要
に応じて塩基の欠失、置換、挿入を行うことができる。
2プロモーターを担持してなる菌株 本発明の菌株はその染色体上において(1)の変異型A
OX2プロモーターの支配下にAOX遺伝子を担持して
なる。
が産生されず、染色体において(1)の変異型AOX2
プロモーターの支配下にAOX遺伝子を担持してなる。
具体的には、染色体上においてAOX1プロモーターお
よび(1)の変異型AOX2プロモーターを有し、AO
X1プロモーターの支配下に異種蛋白質遺伝子を、変異
型AOX2プロモーターの支配下にAOX遺伝子を各々
担持してなる。
HG4105−4株が挙げられる。 (3)その染色体上において変異型AOX2プロモータ
ーを担持する菌株の取得方法。
型)AOX2プロモーターの支配下にAOX遺伝子を担
持してなる。
モーターおよびAOX2プロモーターを有し、AOX1
プロモーターの支配下にAOX1遺伝子を、AOX2プ
ロモーターの支配下にAOX2遺伝子を各々担持してな
る。
型)が例示され、具体的にはGTS115(NRRL寄
託番号Y−15851,Gene 59 , 115-125 (1987)) 等
が挙げられる。
伝子領域を異種蛋白質遺伝子に置換する。
B型肝炎ウィルス抗原、ウロキナーゼまたはインターフ
ェロン等が例示される。特開平2−104290号公報
に記載のように、AOX1遺伝子の5′側及び3′側相
同領域の間に異種蛋白質遺伝子転写ユニット及びマーカ
ーなどを有する線状組み込み部位特異的ベクターにより
AOX1遺伝子と置換する(図1参照)。の出発菌株
の形質転換は公知の方法により行う。
130、PC4105等が挙げられる。また、他の形態
としてAOX1遺伝子領域に異種蛋白質遺伝子を挿入す
る方法、AOX1遺伝子を部分的に修飾(欠失、置換、
付加)してAOX1遺伝子によるAOXが産生されない
状況下で変異を行い、後に異種蛋白質遺伝子を導入する
方法等が挙げられる。
形質転換体)をメタノール含有培地中で培養することに
よりAOX2プロモーター領域に変異を起こさせる。
示される。培地は天然培地、人工培地のいずれでもよ
い。天然培地としては、YP培地(1%イーストエキス
トラクト+2%ポリペプトン)等が例示される。培養
は、通常15〜43℃(好適には30℃程度)で20〜
120時間程度行い、必要により通気や攪拌を加えるこ
ともできる。培養終了後一部あるいは全部を採取し、新
しいメタノール含有培地に継代しさらに培養を続ける。
継代の際に一部を採取し、栄養源の乏しいメタノール含
有プレート、例えば、2%MeOH-YNB w/o a.a. プレート
(0.7%イーストナイトロジェンベースウィズアウト
アミノアシッド、2%メタノール、1.5%寒天末)に
希釈して塗布し、30℃程度でインキュベーションし、
3〜14日後に生じるコロニーから変異菌株を取得する
ことができる。
モーター領域からクローニングを行うことにより当該変
異型AOX2プロモーターを回収することができる。
塩基配列を解析することができる。 (4)(2)の菌株を用いて異種蛋白質を製造する方法 (2)の菌株(変異株)を宿主細胞の自体公知の培地で
培養する。培地はメタノール含有培地が好ましい。メタ
ノール濃度は0.01〜5%程度が例示される。培地は
天然培地、人工培地のいずれでもよい。天然培地として
はYNB培地(0.7% Yeast Nitrogen Base) 、YP培
地(1%Yeast Extract + 2% ポリペプトン) 等が例示され
る。
度) で20〜360 時間程度行い、必要により通気や攪拌を
加えることもできる。培養後、培養上清を回収し、自体
公知の方法、例えば、アフィニティクロマト、ゲル濾過
分画法等により異種蛋白質を精製できる。
よび実験例を挙げるが、本発明はこれらにより何ら限定
されるものではない。
よび分析方法は当業界においてよく知られている。特に
ことわらない限り、全ての酵素は商業的供給源、例え
ば、宝酒造等から入手することができる。
に断らない限り各酵素の製造元の推奨に従って使用し
た。ピキアパストリス(Pichia pastoris)GTS11
5、PC4130、PC4105及びプラスミドpPG
P1、pPGS1はフィリップス・ペトロリウム社から
入手した。
プラークハイブリダイゼーション法、及び電気泳動法は
「モレキュラークローニング」コールドスプリングハー
バーラボラトリー〔「Moleculer Cloning 」Cold Sprin
g Harbor Laboratory(1982)に記載されている方法によ
り行った。
より、ピキアパストリス(Pichia pastoris)GTS11
5(his4)のAOX1遺伝子領域に、AOX1プロ
モーター支配下にHSAが発現する転写ユニットを持つ
プラスミドpPGP1のNotIで切断した断片を置換
して、PC4130が得られている。この株はAOX1
遺伝子が存在しないためにメタノールを炭素源とする培
地での増殖能が低くなっている(Mut−株)。
エキストラクト、2%バクトペプトン、2%グルコー
ス)3mlに植菌し、24時間後に初期OD540 = 1と
なるように2%MePH−YP培地1%イーストエキス
トラクト、2%バクトペプトン、2%メタノール)50
mlに植菌した。3日間30℃で培養後に初期OD540=
1となるように2%MePH−YP培地50mlに植
菌した。さらに3日毎に同様の継代を繰り返した。継代
毎に菌体を107 cell/plateになるように滅菌水で希釈
して2%MeOH-YNBw/oa.a. プレート(0.7% イーストナイト
ロジェンベースウイズアウトアミノアシッド、2%メタノ
ール、1.5%寒天末) に塗布し、30℃5 日間培養してコロ
ニーの有無を判断した。その結果、12日間継代後に塗布
した2%MeOH-YNBw/oa.a. プレートから20個のコロニーが
生じた。このプレートではMut-株はほとんど成育でき
ず、Mut+株は成育できる。即ち、このプレートでコロニ
ーが生じるということはメタノールの資化性が上昇し、
Mut+に変換した株が得られたことを示している。生じた
コロニーの内の1 つを適当に滅菌水で希釈して2%MeOH-Y
NBw/oa.a. プレートに拡げシングルコロニーに単離し
た。その一つをGCP101と名付けた。
における増殖度の比較を行った。YNBw/oa.a.プレート
(0.7% イーストナイトロジェンベースウイズアウトアミ
ノアシッド、2%グルコース、1.5%寒天末) に4 ℃に保存
していた菌体をYPD メディウム3ml/試験管に1 白金耳と
り、24時間30℃で培養する。初期OD540 =0.1となるよう
に50ml各種培地/ フラスコに植え、30℃で培養し、24時
間毎の増殖度と培養上清に存在するヒト血清アルブミン
濃度を測定した(表1)。ヒト血清アルブミン濃度はRP
HA法(EP 特許第122620号) にて測定した。用いた培地は
YPD培地、2%MeOH−YP培地(1%イーストエ
キストラクト、2%バクトペプトン、2%メタノー
ル)、4%MeOH−YP培地(1%イーストエキスト
ラクト、2%バクトペプトン、4%メタノール)の3種
類を使用した。その結果、グルコースを炭素源にした培
地では2つの株に差はなかったが、メタノールを炭素源
とした培地ではGCP101はPC4130よりも増殖
が良好になった(Mut+株に変換した)ことが観察さ
れた。また、HSA 産生量はGCP101でもPC4130に比べ大き
な差はなかった。 表1 GCP101とPC4130の各種培地での菌体増殖とHSA 産生量 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 培養時間(時間) 培地 株 0 24 48 72 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― YPD培地 PC4130 0.1 67 80 78 PC4130 -- -- -- GCP101 0.1 63 78 79 GCP101 -- -- -- 2%MeOH-YP 培地 PC4130 0.1 16 36 46 PC4130 10 60 100 GCP101 0.1 24 63 63 GCP101 10 70 80 4%MeOH-YP 培地 PC4130 0.1 9 20 28 PC4130 1 30 80 GCP101 0.1 10 57 84 GCP101 2 60 120 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 注) 上段:増殖度(OD540 ) 、下段:HSA産生量
(mg/L)-- は検出できなかったことを示す。
Mol. Cell. Biol 9, 1316-1323(1989)及びKoutz らYEAS
T 5 167-177(1989) によって報告されており、それらを
参考にしてAOX2遺伝子のクローニングを計画した。
AOX2遺伝子付近の制限酵素地図を図2に示した。ま
ず、PC4130とGCP101両株よりCameron らの方法NucleicA
cids Res. 4 1429(1977)により染色体DNA を抽出精製し
た。両染色体DNA をAOX2プロモーター領域・AOX
2構造遺伝子・AOX2ターミネーターが完全に含まれ
るXbaIとPstIでの完全な消化を行った。エタノール沈殿
を行い、遠心、乾燥後に滅菌水に溶かした。EcoRI メチ
ラーゼ( 宝酒造製) を加え、反応させた。TE飽和フェノ
ール・クロロホルム抽出、続いてクロロホルム抽出を行
い、水層についてエタノール沈殿を行い、遠心、乾燥後
に滅菌水に溶かした。DNA ブランティングキット(宝酒
造製)を用いて末端を平滑化し、そこにEcoRI リンカー
d(pG-G-A-A-T-T-C-C) (宝酒造製)をDNA ライゲーショ
ンキット(宝酒造製)を用いてライゲーションした。再
度エタノール沈殿を行い、遠心、乾燥後に滅菌水に溶か
し、EcoRI を加え37℃1 時間インキュベーションした。
1%アガロース電気泳動で4 〜5kb に相当する領域を切り
出し、GENE CLEAN II(BIO101社製) による溶出精製を行
ってDNA を回収し、滅菌水にとかした。λgt10 arms(Pr
otoclone TM System)( プロメガ社製) とライゲーショ
ンし、Gigapack-GOLD3( ストラタジーン社製) を用いて
インビトロパッケイジングを行った。A 600 =2に調製し
ておいたE.coli C600 株とC600hfl 株に吸着させ、NZY
プレート(1%NZアミン、0.5%塩化ナトリウム、0.5%イー
ストエクストラクト、0.02% 硫酸マグネシウム、1.5%寒
天末) に播きライブラリーを作成し、タイターを測定し
た。組み換えファージをE.coli C600hfl株に吸着させ、
1 プレートに約500 個ずつプラークが生じるようにNZY
プレートに播いた。PC4130とGC101 両株由来共に4 枚の
ナイロンメンブラン Colony/Plaque Screen TM( NEN
製) を用い、プラークをメンブランに移行し、変成・中
和・固定処理を行った。Pichia pastoris IF01013 株由
来AOX1 構造遺伝子前半分に当たるEcoRV とBglII で
消化して得られる断片をランダムプライマーラベリング
キット(宝酒造製)を用いて32P 標識し、プローブとし
た。プレハイブリダイゼーションは1%BSA、1mM
EDTA、0.5M NaH2 PO4 (pH7.
2)、7%SDS溶液中65℃、5分行った。ハイブリ
ダイゼーションは1%BSA、1mM EDTA、0.
5MNaH2 PO4 (pH7.2)、7%SDS、32P
−プローブ溶液中65℃、一夜行った。洗浄は0.5M
NaH2 PO4 (pH7.2)溶液中で室温10分間
インキュベートし、0.5%BSA、1mM EDT
A、40mM NaH2 PO4 (pH7.2)、5%S
DS溶液中で37℃30分間3回インキュベートした。
フィルターを風乾し、X線フィルム露光カセット中X線
フィルムと合わせて−80℃で16時間放置し、オート
ラジオグラフィーを行った。それぞれの株由来共に2個
ずつのポジティブクローンが得られた。その内の1クロ
ーンずつについてファージの増殖を行い、ファージDN
Aを抽出した。EcoRIで切断し、アガロース電気泳
動で目的の断片(1.5kbと2.9kb)が生じてい
ることを確かめた。pUC19(ベセスダ・リサーチ・
ラボラトリー社製)をEcoRIで切断し、アルカリフ
ォスファターゼ処理した断片を回収し、ファージから回
収してEcoRI消化したDNAとをライゲーション
し、E.coli HB101を形質転換し、40μg
/mLアンピシリン含有Lプレート(トリスベース0.
62g、ポリペプトン10g、イーストエキストラクト
5g、塩化ナトリウム5gを水に溶解し、1L(リット
ル)とした後に15gの寒天末を加えてオートクレーブ
滅菌し、プラスチックシャーレに分注固化する。アンピ
シリンはオートクレーブ後、培地が冷えてから添加す
る。)に播き、37℃、一夜培養した。生じたコロニー
についてミニプレップを行いプラスミドを抽出し、Ec
oRI消化によるスクリーニングを行った。その結果、
PC4130とGCP101両株由来共1.5kbと
2.9kbの断片がpUC19に挿入されたクローンが
得られた。それらのクローンを40μg/mLアンピシ
リン含有スーパーブロス(バクトトリプトン12g、イ
ーストエキストラクト24g、グリセロール5mLを水
に溶解し900mLとしてオートクレーブ滅菌したA
液、及びリン酸2水素カリウム3.81g、リン酸1水
素カリウム12.5gを水に溶解して100mLとして
オートクレーブ滅菌したB液とを9:1(v/v)の割
合で混合したもの)中、37℃、一夜振盪培養し、アル
カリ−SDS法にてプラスミドDNAを大量に抽出精製
した。PC4130由来AOX2プロモーター領域を含
むプラスミドをpMM030、AOX2構造遺伝子を含
むプラスミドをpMM031、GCP101由来AOX
2プロモーター領域を含むプラスミドをpMM034、
AOX2構造遺伝子を含むプラスミドをpMM035と
命名した(図3、4参照)。これらのプラスミドの各種
制限酵素消化により生じる断片の大きさは報告されてい
るパターンと一致した。
基配列決定 pMM030及びpMM034をEcoRIで消化し、
1.5kb断片を回収し、DNAブランティングキット
(宝酒造製)を用いて末端を平滑化した。一方、pUC
19をXbaIで消化しマングビーンヌクレアーゼ(宝
酒造製)処理の後、アルカリフォスファターゼ処理をお
こなった断片とライゲーションし、形質転換体からプラ
スミドDNAを調製した。この操作によりPC4130
由来AOX2プロモーター領域及びGCP101由来A
OX2プロモーター領域DNAがpUC19のXbaI
サイトにサブクローニングされた。これらのプラスミド
をキロシークエンス用デレーションキット(宝酒造製)
を用いて150〜300bpずつインサートサイズが異
なるデレーションミュータントを両方から5〜6クロー
ンずつ作製した。これらのデレーションミュータントを
M13ジデオキシシークエンスキット(宝酒造製)を使
用して塩基配列を決定した。その結果、PC4130由
来AOX2プロモーター領域及びGCP101由来AO
X2プロモーター領域のATG上流1.5kbの全塩基
配列が決定された。両株由来の配列を比較したところ、
PC4130由来ではAOX2構造遺伝子の開始コドン
ATG(配列番号1の1528以降の不記載の1529
〜1531番目)の上流255bp、即ち配列番号1の
1274はTであるのに、GCP101由来ではC(即
ち、配列番号3の1274番目)となっており1塩基異
なっていることが明らかとなった。
モーターとPC4130由来AOX2プロモーターとの
交換(特開昭60-41488号公報参照) pMM030とpMM034のSpeI部位に酵母由来
インベルターゼ(SUC2)遺伝子を挿入し、AOX2
プロモーター置換用プラスミドを構築した。pMM03
0・pMM034をSpeIで消化し、アルカリフォス
ファターゼ処理後4.2kbの断片を回収した。SUC
2遺伝子をpUC19にクローニングしたプラスミドp
YI056をEcoRI とSalIで消化し、DNAブランティ
ングキット(宝酒造製)を用いて末端を平滑化し、そこ
にSpeIリンカーd(pG-A-C-T-A-G-T-C)(NEB 製) をDNA
ライゲーションキット(宝酒造製)を用いてライゲーシ
ョンした。SpeIで消化し、2.9kb の断片を回収した。pM
M030・pMM034の断片とライゲーションし、PC4130由来A
OX2プロモーター上流領域にSUC2が存在するプラスミ
ドpYI066とGCP101由来AOX2プロモーター上流領域に
SUC2が存在するプラスミドpYI068 を作製した(図5参
照)。
を宿主として形質転換した。これらのプラスミドをEcoR
I で消化すると4.4kb の断片が得られる。AOX2プロ
モーター領域との相同領域がSUC2の両側に存在するため
に、これらの断片がピキア酵母に導入されると、AOX
2遺伝子プロモーター領域で相同的組み換えが生じ、両
株由来のAOX2プロモーターが交換されることが予想
される。
(Mol. Cell. Biol. 5, 3376-3385(1985)) を参考にして
行った。即ち、YPD 培地5 mL中30℃、一夜培養したPC
4130およびGCP101を0.01% 植菌した。16〜20時間培養後
A600 =1〜5になったところで50mL容コーニング
テューブに移し、遠心し、得られた細胞を滅菌水20m
Lに懸濁後、再度遠心して細胞を得た。10mL SE
D緩衝液(1Mソルビトール、25mM EDTA 、50mMジチ
オスレイトール) に懸濁後遠心する。1Mソルビトール溶
液で2 回洗浄した。10mLのザイモリアーゼ溶液(Zymol
yase 100T 50μg/mLの濃度でSED 緩衝液に溶解す
る) に懸濁し、30℃30分インキュベートした。顕微鏡で
10%SDSを1/10量加えることにより破壊することを確認し
た。遠心により細胞を集め、1Mソルビトール溶液で2 回
洗浄した。CaS 緩衝液(1M ソルビトール、10mM塩化カル
シウム) に懸濁後遠心により細胞を集めた。1 mLのCa
S 緩衝液に懸濁し、そのスフェロプロスト懸濁液100 μ
Lをポリプロピレンチューブに移した。そこに10μgの
EcoRI 消化したpYI066とpYI068の4.4kb 断片のDNAを
添加し、20分室温に置いた。1 mLPEG 溶液(20%ポリエ
チレングリコール3350、10mM塩化カルシウム、10mMトリ
スベース pH7.4)を添加し、15分室温に置いた。遠心
により細胞を集め、150 μLのSOS溶液(1M ソルビト
ール、10mM塩化カルシウム、0.3 ×YPD)に懸濁し、30分
室温に置いた。850 μLの1Mソルビトールを添加し、1
0、100 、500 μLのスフェロプラスト懸濁液を45℃に
保温したトップアガー10mL(1M ソルビトール、1.35%
イーストナイトロジェンベースウイズアウトアミノアシ
ッド、400 μg/Lビオチン、2%グルコース、1%寒天
末) に加えて攪拌後、ボトムプレート( トップアガーと
同じ組成でシャーレに固化した。) に拡げた。30℃4 日
間インキュベートした。菌が一面に生じたトップアガー
を滅菌した薬さじでかきとり、3G1 グラスフィルターで
濾過して寒天を除いた。菌体が含まれる濾液をMSu プレ
ート(0.7% イーストナイトロジェンベースウイズアウト
アミノアシッド、400 μg/Lビオチン、0.5%サッカロ
ース、1%寒天末)に適当量希釈して播いた。生じたシン
グルコロニーの内大きなものを選び、さらに滅菌水に懸
濁して適当量播いた。比較的大きなシングルコロニーを
2%MeOH-YNBw/oa.a. プレートに植え、5 日間後に増殖の
有無(Mut±) を判断した。その結果、表2のようにPC
4130(Mut- 株) にpYI068(変異型AOX2プ
ロモーター)を導入した20%がこのプレートで増殖し
た。逆にGCP101(Mut+株) にpYI066(天然
型AOX2プロモーター)を導入した6%がこのプレー
トで増殖することができなかった。
が変異型AOX2プロモーターに変換するとプロモータ
ー活性が上昇し、Mut−株がMut+株に変化するこ
とを示している。
の変異部位の探索 HSA産生pichia pastoris PC41
05株はpichiapastoris GTS115
株のAOX1領域にHSA発現プラスミドpPGS1を
置換して得られた株である。pPGS1と実施例1のp
PGP1との違いは、pPGP1はHSA3′側にポリ
A領域が存在するがpPGS1では除去されていること
のみ異なっている。
ラスコで実施例1で行ったことと同様の継代実験を行っ
た。その結果、7つのフラスコ由来共にメタノール含有
培地での増殖が良好となった株(Mut+株)が得られ
た。それらをシングルコロニーに単離し、SHG410
5−4、SHG4105−8、SHG4105−9、S
HG4105−10、SHG4105−11、SHG4
105−16、SHG4105−18と名付けた(図6
参照)。これら7つの株及びPC4105についてCame
ron らの方法(Nucleic Acids Res. 4 1429 (1977))によ
り染色体DNAを抽出精製した。実施例2で得たPC4
130、GCP101両株の染色体DNAと共にAOX
2プロモーター領域DNAの増幅をPCR法により行っ
た。詳細を説明すると、まず、プライマーの合成を行っ
た。実施例3で決定した塩基配列、配列番号1を基にA
OX2遺伝子のATGより上流143塩基〜160塩基
(配列番号1の1369〜1386番)にEcoRI部
位を付けた逆鎖の配列を3′側のプライマー(配列番号
5)とし、ATGより上流786塩基〜803塩基(配
列番号1の726〜733番)にBamHI部位を付け
た主鎖の配列を5′側のプライマー(配列番号6)とし
た。
ム社製DNA合成機モデル381Aを用いてホスホアミ
ダイド法にて合成した。上記10種類の染色体DNAを
鋳型として、2種類のプライマーを用い、GeneAmp TMキ
ット(宝酒造製)を用いて添付の説明書のとおりにPC
R反応を行った。PCR反応にはパーキン・エルマー・
シータス・DNAサーマル・サーキュラー(PJ200
0)を用い、DNA鎖の熱変成は94℃1分、プライマ
ーとのアニーリングは37℃2分、ポリメラーゼによる
伸長反応は72℃2分を1サイクルとして35サイクル
行った。アガロース電気泳動により約650bpに相当
する大きさのDNAをSUPRECTM-01 (宝酒造製)により
回収・精製した。SHG4105-16については約250bp に相
当する大きさのDNAが増幅されたので、それを回収・
精製した。一方、pUC19 をEcoRI及びBamHIで
消化し、2.7kb断片を回収し、アルカリフォスファ
ターゼ処理を行った。増幅されたDNAとライゲーショ
ンし、E.coliコンピテントセルDH5(東洋紡製) を形質転
換し、得られた形質転換体より目的のプラスミドを持つ
菌を選んだ。アルカリ−SDS法によりプラスミドを調
製した。これら10種類のプラスミドについてM13ジ
デオキシシークエンスキット(宝酒造製)を用いてEc
oRI側から約200塩基の配列を決定した。SHG4105-
16については増幅された全塩基配列を決定した。その結
果、PC4130・PC4105は従来の報告(KoutzらYEAST 5 167-
177(1989))と同じ配列番号1の塩基配列であった。ま
た、GCP101は項3で示したようにATG から上流255bp の
T がC に変異していることが追試された(配列番号
3)。SHG4105-4 、SHG4105-9 、SHG4105-10、SHG4105-
11、SHG4105-18はGCP101と全く同じ変異であり、配列番
号3のプロモーター配列を示した。SHG4105-8 はATG か
ら上流255bp のTはそのままであったが、ATG から上流2
15bp 付近と234bp 付近のGGAGA を介してその間の配列
番号7に示す19塩基の繰り返し配列の挿入が見られた
(配列番号1の塩基番号1314(A)と1315
(C)の間に配列番号7を付加した配列番号4に示すプ
ロモーター配列が得られる。)。SHG4105-16はATG から
上流255bpのT はそのままであったが、ATG から上流342
bp 〜780bp の間の439bp の欠失(配列番号1の塩基番
号749(C)〜1187(T)の欠失)が見られた
(配列番号2) 。
ロモーター活性 GCP101由来AOX2プロモーターとPC4130
由来AOX2プロモーター支配下にHSAが発現するベ
クターを作製し、そのプロモーター活性を確認した。 p
PGP1をNotIで消化し、DNAブランティングキ
ット(宝酒造製)を用いて末端を平滑化した。そこにE
coRIリンカーd(pG-G-A-A-T-T-C-C) (宝酒造製)を
ライゲーションした。SphIによる完全な消化及びEco
RIによる部分消化を行い、6.5kb 断片を回収・精製し
た。pUC19 をEcoRI及びSphIで消化しアルカリフォ
スファターゼ処理の後、前記断片をライゲーションし、
pUC19にAOX1プロモーター支配下にHSAが発現
し、HIS4を選択マーカーに持つプラスミドpPG0
01を得た(図7参照)。pPG001をEcoRIで
部分消化し、DNAブランティングキット(宝酒造製)
を用いて末端を平滑化した。一方、アプライドバイオシ
ステム社製DNA合成機モデル381Aを用いてホスホ
アミダイド法によってGGGATCCCの配列を持つB
amHIリンカーを合成した。これをT4ポリヌクレオ
チドキナーゼ(宝酒造製)によりリン酸化し、先に平滑
化処理した断片とライゲーションした。AsuII及び
BamHIで消化し、7.1kb 断片を精製した。一方、pP
GP1 をHindIII で消化し、DNAブランティングキット
(宝酒造製)を用いて末端を平滑化した。そこにBamHI
リンカーd(pG-G-G-A-T-C-C-C) をライゲーションし、As
uII 及びBamHI で消化し、1.9kp 断片を精製した。前出
の7.1kb 断片とライゲーションし、pPG002を得た。 pMM0
30及びpMM034をEaeIで消化し、1.5kb の断片を回収し
た。マングビーンヌクレアーゼ(宝酒造製)処理により
末端を平滑化した。そこにアプライドバイオシステム社
製DNA合成機モデル381Aを用いてホスホアミダイド法
にてCTTCGAAGの配列を持つAsuII リンカーを合成した。
これをT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造製)により
リン酸化し、先に平滑化処理した断片とライゲーション
した。それをEcoRI 及びAsuII で消化し、1.5kb のAO
X2プロモーター領域断片を回収した。一方、AOX1
プロモーター支配下にHSAが発現し、HIS4領域を
持つプラスミドpPG002をEcoRI 及びAsuII で消化
し、AOX1プロモータ ー領域を除いた8.1kb断片を
アルカリフォスファターゼ処理を行った後に回収した。
AOX2プロモーター領域1.5 kb断片とライゲーション
し、PC4130由来(天然型)AOX2プロモーター支配下
にHSA が発現するプラスミドpMM041、GCP101由来(変異
型)AOX2プロモーター支配下にHSA が発現するプラ
スミドpMM042を作製した(図8参照)。 pPG002、pMM04
1、pMM042をHIS4領域に1 ヵ所切断部位が存在する酵素
であるStuIで消化し、線状にした後GTS115に導入した。
これらのプラスミドはGTS115のhis4領域に相同的組み換
えを介して組み込まれる。ピキア酵母の形質転換の方法
は実施例4で行った方法と同じである。形質転換の後、
生じたコロニーはヒスチジン要求性のプレートであるの
で全てが形質転換体と考えられる。3G1グラスフィル
ターで濾過して寒天を除き、濾液の一部をYPD培地に
植え30℃一夜培養した。その培養液をもとに初期濃度
A 540 =0.1となるように50mLの各種培地に植えた。24
時間毎に培養液の一部を採取し、培養上清に存在するヒ
ト血清アルブミン濃度をRPHA法(EP 特許第122620号) に
て測定した。その結果、PC4130由来AOX2プロモータ
ーではヒト血清アルブミンを産生する活性が低いのに対
し、GCP101由来AOX2プロモーターではAOX1プロ
モーター並のヒト血清アルブミンを産生する活性を示す
ことがわかった。表3に結果を示す。 表3 培養上清中のHSA産生量(mg/L) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 培養時間(時間) 株 培地 24 48 120 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― pPG002/GTS115 2%MeOH-YP 8 30 40 (AOX1 プロモーター) 4%MeOH-YP 2 60 120 pMM041/GTS115 2%MeOH-YP - - 1 (PC4130 由来天然型 4%MeOH-YP - 1 1 AOX2プロモーター) pMM042/GTS115 2%MeOH-YP 8 20 40 (GCP101 由来変異型 4%MeOH-YP 1 60 120 AOX2プロモーター) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――-は検出できなかったことを示す。 実施例7.変異型AOX2プロモーターを用いたHSA
産生株の取得 実施例6のようにpMM042をStuIで消化した
後、GTS115株に導入した。GTS115株のhi
s4領域と相同的組み換えを介して組み込まれるが、一
度の形質転換の操作で複数コピー組み込まれる場合もあ
る。形質転換の後に生じたコロニーを3G1グラスフィ
ルターで濾過して寒天を除き、濾液をさらに100ce
lls/plateになるように滅菌水で希釈してYNB
W/O a.a.プレート(0.7%イーストナイトロジェンベ
ースウイズアウトアミノアシッド、2%グルコース、
1.5%寒天末)に塗布した。30℃、3日間培養し、
シングルコロニーを生じさせた。 上記クローン10種類
について、実施例2で行ったように、染色体DNAを抽
出した。さらに、ピキア染色体HIS4領域をプローブ
としたサザン解析(Southern, E.M. J. Mol. Biol., 9
8:503 (1975))を行い、組み込まれたpMM042のコピー数
を決定した。詳細に説明すると、5μgの染色体DNA
をBglIIで消化した。アガロース電気泳動の後、ゲル
を0.2N HCl溶液で30分処理した。ゲルをアルカリ変成液
(0.2N NaOH、0.6M NaCl)に移し、
30分反応させた。次にゲルを中和液(0.2Mトリス
(pH7.4)、0.6MNaCl)に移し、30分
間、2回処理した。常法の通りHybond-N(アマーシャム
社製) にブロッティングした。プローブはピキアHIS4の
KpnI断片(0.6kb) を標識した。プローブの調製、ハイブ
リダイゼーション及び洗浄は、DIG-ELISA 法DNA ラベリ
ング& ディテクションキット( ベーリンガーマンハイ
ム山之内社製)を使用し、添付の説明書の通り行った。
GTS115は図9(a)に示すように2.7kbのHIS4
領域を有するため、2.7kbのバンドが出現する。pMM0
42がGTS115のhis4領域に1 コピー組み込まれたならば、
7.8kb と4.5kb のバンドが出現する。pMM042が同じく2
コピー組み込まれたならば、9.6kb と7.8kb と4.5kb の
バンドが出現する。同じく3 コピー組み込まれたなら
ば、7.8kb と4.5kb のバンドと 9.6kb のバンドが2 倍の
濃さで検出される。4 コピーならば3 倍の濃さで検出さ
れる。サザン解析の結果、pMM042がGTS115のhis4領域に
組み込まれたことがわかり、1 コピーから4 コピーまで
のコピー数を持つ株が得られた。その内、1 コピー組み
込まれた株の1 つをUHG42-15、2 コピー組み込まれた株
の1 つをUHG42-3、3 コピー組み込まれた株の1 つをUHG
42-12と名付けた(図9(b)〜(d))。 クローンに
分離した後のHSA 産生能を測定した。UHG42-15、UHG42-
3 、UHG42-12についてYPD 培地に植え、30℃一夜培養し
た。その培養液をもとに初期濃度OD 540 =1になるように
50mLの2% MeOH-YP培地に植えた。24時間毎に培養液の
一部を採取し、培養上清に存在するヒト血清アルブミン
濃度をRPHA法(EP 特許第122620号)にて測定した。その
結果、表4のように最高でUHG42−15では80m
g/L、UHG42−3では100mg/L、UHG4
2−12では160mg/LのHSA産生量を示し、ク
ローン化することにより産生量の高い株が得られ、ま
た、コピー数の増加に伴い産生量も増加した。GCP1
01由来(変異型)AOX2プロモーターを用いてHS
Aを発現させるプラスミドpMM042を用いて、HS
Aを高産生する株が取得できた。 表4 クローンの培養上清中のHSA産生量(mg/L) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 培養時間(時間) 株 24 48 72 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― UHG42−15 15 80 80 (1コピー) UHG42−3 30 100 100 (2コピー) UHG42−12 40 160 160 (3コピー) ―――――――――――――――――――――――――――――――――――2%MeOH−YP培地、30℃で培養した。 実施例8:変異型AOX2プロモーター支配下にHSA
を発現するプラスミドベクターの構築 実施例5で得られた3タイプ(配列表の配列番号2〜
4)の変異型AOX2プロモーター支配下でHSAを発
現するベクターの構築を行った。 まず、実施例5におい
て得られる、各種の変異型AOX2プロモーター領域の
DNAが挿入されたプラスミドベクターpUC19をそ
れぞれBamHIで消化し、DNAブランティングキッ
ト(宝酒造社製)を用いて末端を平滑化した。そこにE
coRIリンカーd(pG-G-A-A-T-T-C-C) (宝酒造社製)
をライゲーションした。その後、SspIによる完全消
化及びEcoRIによる部分消化を行い、1.5kb断
片を回収、精製した。 一方、実施例6で得られた、天然
型AOX2プロモーターの支配下でHSAを発現させ、
選択マーカーとしてHIS4をもつプラスミドpMM0
41のプロモーター部位を同様にSspI及びEcoR
Iで消化しアルカリフォスファターゼ処理をした。その
切断部位に先の各種変異型AOX2プロモーターDNA
断片(SspI/EcoRI)をそれぞれライゲーショ
ンして組み入れ、天然型AOX2プロモーター(配列表
の配列番号1)の塩基番号726より下流域の塩基配列
を有する組換え発現ベクターpHO060、塩基番号7
26より下流域の塩基配列を有しかつ塩基番号1274
のTがCに置換してなる変異型AOX2プロモーターを
含有する組換え発現ベクターpHO059、塩基番号7
26より下流域の塩基配列を有しかつ塩基番号1314
(A)と1315(C)の間に配列番号7を付加してな
る変異型AOX2プロモーターを含有する組換え発現ベ
クターpHO061、塩基番号726より下流域の塩基
配列を有しかつ塩基番号749(C)〜1187(T)
が欠失してなる変異型AOX2プロモーターを含有する
組換え発現ベクターpHO062を構築した(図10参
照)。 実施例9:変異型AOX2プロモーターの活性比較 実施例6のようにpHO059、pHO060、pHO
061、pHO062をそれぞれGTS115株に導入
し、これらのベクターが1コピー組み込まれた形質転換
体を選択し、それらの株のプロモーター活性をそのHS
A産生量から比較検討した。 各1コピー形質転換体をY
PM培地で72時間培養した後、培地上清中のHSA産
生量(RPHA法使用)を測定した。また同様に追試を
行い、得られた培地上清中のHSA産生量を別の方法で
あるマンシニ(Mancini)法にて測定した。結果
を図11に示す。
な条件でAOX2プロモーター領域にのみ変異を起こす
ことができる。こうして得られた変異型AOX2プロモ
ーターは強力なプロモーター活性を有する。また、本発
明の変異菌株はメタノール含有培地中で良好な増殖を有
しており、メタノール含有培地中で高レベルで異種蛋白
質を産生することができる。
取得方法を説明する図である。
ある。尚、かっこ内の数字は、XbaIを0とした時の距離
(×100塩基)を示す。
スミドpMM030またはpMM034およびその制限
酵素地図を示す図である。尚、かっこ内の数字は、Ec
oRIを0とした時の距離(×100塩基)を示す。
ミドpMM031またはpMM035およびその制限酵
素地図を示す図である。尚、かっこ内の数字は、Eco
RIを0とした時の距離(×100塩基)を示す。
組み込み型ベクターpYI066またはpYI066の
構築を説明する図である。
得過程を示す図である。ロ
るプラスミドpMM041、pMM042の構築を説明
する図である。
を含有する組換えベクターの構築を説明する図である。
尚、比較のためあわせてpMM041、pMM042も
示した。
HSA産生量、横軸に各種形質転換体を示した。なお、
41−3は、pMM041形質転換体、42−5は、p
MM042形質転換体、60−4はpHO060形質転
換体、59−3はpHO059形質転換体、61−3は
pHO061形質転換体、62−4はpHO062形質
転換体を培養して72時間目のHSA産生量を示す。 換
Claims (5)
- 【請求項1】 配列表記載の配列番号1の天然型AOX
2プロモーターの塩基配列の一部を欠失、置換または新
たな塩基配列を付加してなる変異型AOXプロモーター
において、少なくとも、配列番号1の塩基番号749
(C)〜1187(T)を欠失、配列番号1の塩基番号
1274(T)を(C)に置換、または配列番号1の塩
基番号1314(A)と1315(C)の間に配列番号
7を付加してなり、かつ配列表記載の配列番号2、3ま
たは4に示す配列である変異型AOX2プロモーターの
プロモーター活性と同等のプロモーター活性を有するこ
とを特徴とする変異型AOX2プロモーター。 - 【請求項2】 配列表記載の配列番号2、3または4に
示す配列である変異型AOX2プロモーター。 - 【請求項3】 染色体上において請求項1または2記載
の変異型AOX2プロモーターの支配下にAOX遺伝子
を担持してなる菌株。 - 【請求項4】 染色体上においてAOX1プロモーター
の支配下でAOX1遺伝子によるAOX産生がなく、天
然型AOX2プロモーターの支配下にAOX遺伝子を担
持してなる菌株をメタノール含有培地中で培養し、天然
型AOX2プロモーターに変異を起こさせることを特徴
とする請求項3記載の菌株の取得方法。 - 【請求項5】 請求項3記載の菌株に発現可能な異種蛋
白質遺伝子を組み込んでなる該菌株を培養することを特
徴とする異種蛋白質の製造方法。
Priority Applications (9)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3063598A JPH0829102B2 (ja) | 1991-03-27 | 1991-03-27 | 変異型aox2プロモーター、当該プロモーターを担持する菌株、その取得方法およびその菌株を利用した異種蛋白質の製造方法 |
CA002063890A CA2063890C (en) | 1991-03-27 | 1992-03-24 | Mutant aox2 promoter, microorganism carrying same, method of preparation thereof and production of heterologous protein using such microorganism |
TW081102290A TW204370B (ja) | 1991-03-27 | 1992-03-25 | |
EP92105201A EP0506040B1 (en) | 1991-03-27 | 1992-03-26 | Mutant AOX2 promotor, microorganism carrying same, method of preparation thereof and production of heterologous protein using such microorganism |
DE69226028T DE69226028T2 (de) | 1991-03-27 | 1992-03-26 | Mutanter AOX2 Promotor, Mikroorganismen es enthaltend, Verfahren zur Herstellung und Produktion von heterologem Protein, das solche Mikroorganismen benutz |
DK92105201T DK0506040T3 (da) | 1991-03-27 | 1992-03-26 | Mutant AOX2 promotor, mikroorganismer indeholdende denne, fremgangsmåde til fremstilling deraf og produktion af heterologt |
ES92105201T ES2118762T3 (es) | 1991-03-27 | 1992-03-26 | Promotor aox2 mutante, microorganismos que lo soportan, su metodo de preparacion y produccion de la proteina heterologa utilizando dicho microorganismo. |
KR1019920005048A KR100237953B1 (ko) | 1991-03-27 | 1992-03-27 | 돌연변이 aox2 프로모터, 이 프로모터를 함유한 미생물, 이 미생물의 제조방법 및 이 미생물을 사용한 이종단백질의 제조방법 |
US08/288,899 US5610036A (en) | 1991-03-27 | 1994-08-10 | Mutant AOX2 promoter, microorganism carrying same, method of preparation thereof and production of heterologous protein using such microorganism |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3063598A JPH0829102B2 (ja) | 1991-03-27 | 1991-03-27 | 変異型aox2プロモーター、当該プロモーターを担持する菌株、その取得方法およびその菌株を利用した異種蛋白質の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0690768A JPH0690768A (ja) | 1994-04-05 |
JPH0829102B2 true JPH0829102B2 (ja) | 1996-03-27 |
Family
ID=13233873
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3063598A Expired - Lifetime JPH0829102B2 (ja) | 1991-03-27 | 1991-03-27 | 変異型aox2プロモーター、当該プロモーターを担持する菌株、その取得方法およびその菌株を利用した異種蛋白質の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0829102B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5032516A (en) * | 1985-10-25 | 1991-07-16 | Phillips Petroleum Company | Pichia pastoris alcohol oxidase II regulatory region |
JPH02501827A (ja) * | 1986-12-19 | 1990-06-21 | イミュネックス・コーポレーション | ヒト・インターロイキン‐4 ミューテイン |
-
1991
- 1991-03-27 JP JP3063598A patent/JPH0829102B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0690768A (ja) | 1994-04-05 |
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