JPH08290890A - ドラムのハンドリング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大重量のドラムの保管や搬出の作業が全て自
動的に処理できるハンドリング装置を提供すること。 【構成】 天井走行式のクレーンに移動可能にトロリを
備えてこのトロリに昇降可能に吊り具ユニットを連接
し、この吊り具ユニットには、ドラムの端面のフランジ
の周面に少なくとも３点の周方向に異なる位置で接触す
る形状を持つ芯出しガイドと、この芯出しガイドがフラ
ンジに接触した姿勢のときドラムの中心に開けた作業用
の孔に整合し且つ差し込み可能な保持ピンを持つ一対の
吊りアームとを備え、これらの保持ピンを駆動機構の作
動により作業用の孔に差し込むことによって、ドラムを
吊り具ユニットで吊り上げて搬送可能とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、たとえば電線ケーブル
を巻き付けて保管及び出荷するためのドラムの倉庫等へ
の搬入及び搬出作業が安全にしかも効率的にできるよう
にしたハンドリング装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】製造された電線ケーブルは、専用のドラ
ム周りに巻き取られ、倉庫に保管され要求に応じてドラ
ムに巻き付けたまま出荷される。この電線用のケーブル
用のドラムは、外径が２０００ｍｍ程度の２枚のフラン
ジを間隔を置いて配置しこれらのフランジの間の胴部に
ケーブルを巻き取るようにしたものである。

【０００３】このような大型のドラムを倉庫に対して搬
入したり搬出したりトラック等の車輌に載せる作業は、
フォークリフトやクレーン等を利用するというものが殆
どである。これらの作業は、胴部の中心を貫通する作業
用の孔にフォークを差し込んだり、クレーンのフックに
設けた専用の吊り具を差し込むことにより、ドラムを移
送したり吊り上げたりするというものである。また、電
線ケーブルを巻き付けたドラムの重量は大きいが、作業
床を人手によって転がすという作業も実際には行われて
いる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】フォークリフトによる
作業では、その機動性による効率化は図れるものの、作
業のための荷さばきスペースをかなり広くとる必要があ
る。このため、保管用の倉庫は、ドラムを配列するフィ
ールドに加えて荷さばきのためのスペースが占める割合
が大きくなり、保管効率には限界がある。

【０００５】また、クレーンの吊り具を用いる場合で
は、フォークリフトによるものに比べると、荷さばきス
ペースを狭くできるので、保管効率についての障害はな
い。ところが、保管されている多数のドラムの作業用の
孔に吊り具を差し込む場合には、これらの作業用の孔と
吊り具との間の位置決めが必要になる。この場合、クレ
ーンのフックに吊り下げられたままの吊り具はその姿勢
自体が不安定であることなどから、差し込みや抜き取り
の作業には人手が必要となる。

【０００６】このように、クレーンを用いる場合では、
保管された多数のドラムについての処理を自動化でき
ず、作業効率には依然として問題がある。

【０００７】本発明において解決すべき課題は、大重量
のドラムの保管や搬出の作業が全て自動的に処理できる
ハンドリング装置を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、天井走行式の
クレーンに移動可能に備えたトロリと、前記トロリに昇
降可能に連接した吊り具ユニットとを備え、軸線方向の
両端に環状のフランジを持つドラムを前記吊り具ユニッ
トによって吊り上げ搬送するハンドリング装置であっ
て、前記吊り具ユニットは、前記フランジの周面に少な
くとも３点の周方向に異なる位置で接触する形状を持つ
芯出しガイドと、前記芯出しガイドに連接され該芯出し
ガイドが前記フランジに接触した姿勢のとき前記ドラム
の中心に開けた作業用の孔に整合し且つ差し込み可能な
保持ピンを持つ一対の吊りアームと、これらの吊りアー
ムを前記ドラムの軸線方向に移動させる駆動機構とから
なることを特徴とする。

【０００９】このような構成において、トロリには、フ
ランジの端面の外側に沿って位置可能な固定ガイドを下
に突き出して設け、吊り具ユニットを固定ガイドに倣わ
せながら昇降操作可能としたものとすることができる。

【００１０】

【作用】芯出しガイドが下降してドラムのフランジの周
面に被さるようになると、周方向の異なる３点でこのフ
ランジの周面に芯出しガイドが接触する。そして、この
芯出しガイドに連接した吊りアームの保持ピンは、芯出
しガイドがフランジフランジに突き当たったときにドラ
ムの中心に開けた作業用の孔に整合するように予めその
位置を決定しておくことにより、孔に差し込み可能な位
置に設定される。次いで、駆動機構によって吊りアーム
をドラムの軸線方向であってフランジ側に移動させれ
ば、保持ピンが孔の中に差し込まれ、トロリ側にドラム
を吊り上げることができる。したがって、吊り具ユニッ
トをドラム側に下降させた後には芯出しガイドによって
自動的に保持ピンと孔との位置合わせが行われる。

【００１１】また、トロリに固定ガイドを設けると、吊
り具ユニットの昇降動作が安定するとともに、吊り具ユ
ニットで吊り下げられたドラムの軸線方向の位置ずれを
この固定ガイドによって拘束することができる。

【００１２】

【実施例】図１は本発明のハンドリング装置を備えたド
ラム保管用の自動倉庫の全体を示す概略平面図、図２は
図１をＡ−Ａ線矢視方向に見た正面図である。

【００１３】図において、倉庫１内の保管面には、多数
のドラム５０がそれぞれ一定の間隔で前後，左右方向に
同じ姿勢で配列され、保管面に設けた適切なストッパ
（図示せず）によってそれぞれの位置を拘束されてい
る。そして、図１において右端側には、ドラム５０を搬
入及び搬出するためのシフタ２をドラム５０の配列数を
同じ数だけ設けている。

【００１４】なお、ドラム５０は従来技術の項で説明し
たものと同様に、２枚のフランジ５０ａの間に中空の胴
部５０ｂを備え、この胴部５０ｂの中心に作業用の孔５
０ｃを貫通させて設けたものである。

【００１５】倉庫１の上端側には一対のレール１ａを設
けて、これらのレール１ａ上を移動する天井走行クレー
ン３を設ける。この天井走行クレーン３の走行方向は、
配列したドラム５０の軸線と直交する向きであり、中央
部には走行駆動のための駆動モータ３ａを備えている。
そして、天井走行クレーン３には図３に示すようにトロ
リ４を設け、このトロリ４にドラム５０のハンドリング
機構を備える。このトロリ４は駆動モータ４ａによって
回転駆動されるホイール４ｂを備え、天井走行クレーン
３上を移動可能である。

【００１６】図４はトロリ４及びハンドリング機構の詳
細を示す要部の正面図、図５はその左側面図である。

【００１７】トロリ４は図５に示すように天井走行クレ
ーン３のガーダー３ｂのレール３ｃ上をホイール４ｂに
よって移動可能であり、その内部には巻き上げ装置４ｃ
を備えている。この巻き上げ装置４ｃは、モータ４ｄ及
びチェーン４ｅを備えたウインチ式としたもので、チェ
ーン４ｅにフック４ｆを連接したものである。

【００１８】また、トロリ４にはその走行方向の両端の
それぞれに下に延ばした固定ガイド４ｇを設ける。これ
らのガイド４ｇは図５に示すように二股状であって、そ
れぞれの下端部どうしの間の間隔は図４に示すようにド
ラム５０のフランジ５０ａの外側に位置し、これらのフ
ランジ５０ａを挟み込める程度とする。

【００１９】チェーン４ｅのフック４ｆには固定ガイド
４ｇによって案内されて昇降可能な吊り具ユニット５を
設ける。この吊り具ユニット５には、図４に示すように
ドラム５０をその軸線方向に跨ぐ姿勢に設定可能な本体
ブロック５ａとこの本体ブロック５ａに備えた一対の吊
りアーム５ｂとを設ける。

【００２０】本体ブロック５ａは、図４に示すように固
定ガイド４ｇの間に組み込まれてその上端をフック４ｆ
に連接されたものである。そして、内部を中空状として
吊りアーム５ｂの上端に一体に連結したガイドピン５ｃ
を摺動自在に保持し、本体ブロック５ａの上面に設けた
開閉用シリンダ５ｄに吊りアーム５ｂの上端を連結して
いる。これにより、開閉用シリンダ５ｄを作動させる
と、図４に示すように吊りアーム５ｂを移動させること
ができ、その下端部分に設けた保持ピン５ｅをドラム５
０の作業用の孔５０ｃに対して抜き差しすることができ
る。

【００２１】更に、本体ブロック５ａには、固定ガイド
４ｇに倣って移動する４本のガイド５ｆを設ける。これ
らのガイド５ｆは、図５に示すように、天井走行クレー
ン３の移動方向の両端にそれぞれ配置された２本を一組
とし、図５に示すように左右の固定ガイド４ｇに位置を
合わせて２組備えられる。

【００２２】また、吊りアーム５ｂの保持ピン５ｅをド
ラム５０の孔５０ｃに位置合わせするための芯出しガイ
ド５ｇを本体ブロック５ａ及びガイド５ｆと一体に設け
る。この芯出しガイド５ｇは、図４に示すように、吊り
アーム５ｂを連接した側の端面部分に配置した一対のも
のであり、図５に示すようにその下面を水平部５ｇ−１
及びその両側から下に斜めに向けて突き出した傾斜部５
ｇ−２を形成している。これらの水平部５ｇ−１及び傾
斜部５ｇ−２は、それぞれ平坦面状に形成され、図５に
示すようにドラム５０のフランジ５０ａの周面に３点で
点接触可能である。すなわち、ドラム５０のフランジ５
０ａの外径に対応するように、水平部５ｇ−１及び傾斜
部５ｇ−２の形状を設定することで、このような３点で
の点接触が得られるようにする。

【００２３】このような芯出しガイド５ｇに対して、そ
の水平部５ｇ−１がフランジ５０ａの周面に接触する点
を含む鉛直線上に吊りアーム５ｂに設けた保持ピン５ｅ
の中心が位置するように、芯出しガイド５ｇと吊りアー
ム５ａとの間の位置関係を設定する。これと同時に、水
平部５ｇ−１がフランジ５０ａに接触する位置から保持
ピン５ｅの中心までの距離をこのフランジ５０ａの半径
と同じになるようにする。

【００２４】以上の構成において、倉庫１に保管されて
いるケーブルを巻き付けたドラム５０を搬出するには、
天井走行クレーン３及びトロリ４自身の移動によって指
定されたドラム５０の真上にトロリ４を位置させて停止
させる。この位置設定の間では、図３において左側に示
しているように吊り具ユニット５は上昇させた位置に保
持しておく。

【００２５】次いで、巻き上げ装置４ｃによって、たと
えば図３において右側に示しているように吊り具ユニッ
ト５を下降させる。これにより、図４中の一点鎖線で示
すように、本体ブロック５ａに一体とした吊りアーム５
ｂがフランジ５０ａの端面と少し離れた位置でこのフラ
ンジ５０ａに沿う姿勢で下降していく。そして、更に本
体ブロック５ａを下降させて芯出しガイド５ｇがフラン
ジ５０ａの外周面に突き当たるようになると、先に説明
したように、吊りアーム５ｂの下端部の保持ピン５ｅが
ドラム５０の孔５０ｃに整合する。

【００２６】この後、開閉用シリンダ５ｄのロッドを後
退させることにより、吊りアーム５ｂを図４においてド
ラム５０側に平行移動させる。これにより、図４中の実
線で示すように保持ピン５ｅが孔５０ｃの中に入り込
む。そして、この状態を維持したまま巻き上げ装置４ｃ
によって吊り具ユニット５を上昇させると、図４及び図
５に示すようにドラム５０はその軸線方向の両端面を固
定ガイド４ｇの中に差し込まれるように移動していく。

【００２７】このように、トロリ４の位置の設定の後に
は、吊り具ユニット５を下降させるだけで、芯出しガイ
ド５ｇによって保持ピン５ｅの位置を孔５０ｃに位置合
わせすることができ、従来のように人手による作業は一
切不要となる。そして、ドラム５０のフランジ５０ａへ
の芯出しガイド５ｇの突き当てを利用するので、トロリ
４の位置合わせを厳密に実行できなくても、フランジ５
０ａの円弧面に対する芯出しガイド５ｇの倣いを利用し
た位置合わせも可能であり、トロリ４の位置の設定にも
或る程度の自由度を持たせることができる。

【００２８】吊り具ユニット５をその最終高さまで上昇
させると、ドラム５０はその両端面の孔５０ｃの中に入
り込んだ吊りアーム５ｂの保持ピン５ｅによって上下方
向を拘束保持される。また、吊り具ユニット５が上昇し
た後でも、芯出しガイド５ｇは図５に示した状態に維持
されるので、ドラム５０のフランジ５０ａの周方向も３
点で拘束される。したがって、吊り上げた後にドラム５
０が保持ピン５ｅ周りに回転しようとしても、芯出しガ
イド５ｇのフランジ５０ａの周面への突き当たりによっ
て、このような回転は阻止される。

【００２９】また、吊り具ユニット５が上昇し終えたと
きには、同様に図４及び図５に示すように、二股状の固
定ガイド４ｇがフランジ５０ｃの端面に被さっている。
このため、ドラム５０はその軸線方向への移動の自由度
も拘束され、その位置ずれが防止される。

【００３０】このように、芯出しガイド５ｇ及び固定ガ
イド４ｇとによって、吊り具ユニット５によって保持さ
れたドラム５０はその回転や軸線方向へのずれ等を伴う
ことなく搬送され、電線ケーブルを巻き付けた大重量の
ドラム５０であってもそのハンドリングが安全に行われ
る。

【００３１】また、外部から倉庫１の中にドラム５０を
搬入する場合では、図３において右側に示すように、シ
フタ２によって搬入すべきドラム５０を定位置に停止さ
せ、搬出の場合と同様に吊り具ユニット５を砂かの一点
鎖線で示すように下降させる。そして、吊りアーム５ｂ
の開閉用シリンダ５ｄによる操作によって保持ピン５ｅ
を孔５０ｃの中に差し込んだ後、吊り具ユニット５を再
び上昇させ、トロリ４及び天井走行クレーン３の移動に
よって指定の位置までドラム５０を搬送する。この後、
吊り具ユニット５を下降させてドラム５０を保管面の載
せた後に保持ピン５ｅを孔５０ｃから抜き取り、吊り具
ユニット５を再び上昇させることにより、ドラム５０の
搬入が完了する。

【００３２】

【発明の効果】本発明では、クレーンとトロリによって
吊り具ユニットをドラムの位置に合わせた後には、この
吊り具ユニットを下降させるだけで芯出しガイドによっ
てドラムに対して自動的に位置決めすることができる。
このため、搬入の場合も搬出の場合も、手作業を全く必
要とすることなく、ドラムのハンドリングが可能とな
り、自動化による安全性と作業効率の向上が図られる。

【００３３】また、トロリ側に固定ガイドを設ける場合
では、吊り具ユニットの昇降時の安定性が確保されるだ
けでなく、吊り上げたドラムの端面がこの固定ガイドに
よっても拘束されるので位置ずれが防止され、大重量の
ドラムであっても安全作業が確保される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のハンドリング装置を備えた自動倉庫の
概要を示す平面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線矢視による正面図である。

【図３】ハンドリング装置の吊り具ユニットの昇降動作
を示すための要部の側面図である。

【図４】ハンドリング装置の要部を拡大して示す正面図
である。

【図５】図４の左側面図である。

【符号の説明】

１ 倉庫 ２ シフタ ３ 天井走行クレーン ４ トロリ ４ａ 駆動モータ ４ｂ ホイール ４ｃ 巻き上げ装置 ４ｄ モータ ４ｅ チェーン ４ｆ フック ４ｇ 固定ガイド ５ 吊り具ユニット ５ａ 本体ブロック ５ｂ 吊りアーム ５ｃ ガイドピン ５ｄ 開閉用シリンダ ５ｅ 保持ピン ５ｆ ガイド ５ｇ 芯出しガイド ５０ ドラム ５０ａ フランジ ５０ｂ 胴部 ５０ｃ 孔

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 // Ｂ２１Ｆ 21/00 Ｂ２１Ｆ 21/00

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 天井走行式のクレーンに移動可能に備え
   たトロリと、前記トロリに昇降可能に連接した吊り具ユ
   ニットとを備え、軸線方向の両端に環状のフランジを持
   つドラムを前記吊り具ユニットによって吊り上げ搬送す
   るハンドリング装置であって、前記吊り具ユニットは、
   前記フランジの周面に少なくとも３点の周方向に異なる
   位置で接触する形状を持つ芯出しガイドと、前記芯出し
   ガイドに連接され該芯出しガイドが前記フランジに接触
   した姿勢のとき前記ドラムの中心に開けた作業用の孔に
   整合し且つ差し込み可能な保持ピンを持つ一対の吊りア
   ームと、これらの吊りアームを前記ドラムの軸線方向に
   移動させる駆動機構とからなるドラムのハンドリング装
   置。
2. 【請求項２】 前記トロリには、前記フランジの端面の
   外側に沿って位置可能な固定ガイドを下に突き出して設
   け、前記吊り具ユニットを前記固定ガイドに倣わせなが
   ら昇降操作可能としてなる請求項１記載のドラムのハン
   ドリング装置。