JPH0829082B2 - 新規リパーゼおよびその製法 - Google Patents

新規リパーゼおよびその製法

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JPH0829082B2 JP63053189A JP5318988A JPH0829082B2 JP H0829082 B2 JPH0829082 B2 JP H0829082B2 JP 63053189 A JP63053189 A JP 63053189A JP 5318988 A JP5318988 A JP 5318988A JP H0829082 B2 JPH0829082 B2 JP H0829082B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、新規なリパーゼおよびその製法に関する。
(従来技術) リパーゼはトリグリセリドを基質とし、これを脂肪酸
とグリセリンとに加水分解する酵素である。また、反応
液中の水分含量を減少させると脂肪酸とアルコールより
エステルを合成する作用も知られている。
現在、リパーゼの工業的利用が盛んに試みられており
特に脂肪酸生産プロセスへのリパーゼの導入が期待され
ている。工業的に油脂を分解し、脂肪酸を生産させるプ
ロセスは、現在、高温、高湿下での化学的加水分解法に
よって行われている。しかし、酵素反応を導入する事に
より、常温、常圧下で反応を進ませることができるた
め、エネルギー消費量を減少させることができるばかり
ではなく、化学的加水分解法では分解され易かった不飽
和脂肪酸を分解させることなく得ることもできる。ま
た、酵素の基質特異性に着目し、エステル交換反応を利
用して、安価な油脂を原料とし、付加価値の高い油脂を
生産することも可能である。
酵素を工業利用しようとする際には、反応速度・雑菌
汚染等の面から温度に対する安定性が要求されることが
多く、リパーゼもまた例外ではない。耐熱性リパーゼと
いう点においては、特にシュードモナス属細菌がこれら
のリパーゼを生産しうることが報告されている。
すなわち、シュードモナス・メフィティカ・バリュタ
ス・リポリティカ(Pseudomonas mephitcavar.lipolyti
ca)が生産する。作用最適温度70℃、60℃、14時間の熱
処理によっても失活しないリパーゼ(特公昭50−2555
3)、シュードモナス・フラジー(Pseudomonas fragi)
が生産する。作用最適温度65〜70℃、pH9、50℃、24時
間の熱処理によっても失活しないリパーゼ(特開昭61−
280274)、シュードモナス・フルオレセンス・バイオタ
イプI(Pseudomonas fluorescens)が生産する、作用
最適温度67℃、60℃、20時間の熱処理によっても86.9%
の活性を保持するリパーゼ(特開昭57−58885)などの
報告が知られている。
(発明が解決しようとする問題点) 工業的な油脂の加水分解、改質等の油脂原料として
は、牛脂・豚脂・ヤシ油・パーム油等の常温で固体であ
る油脂が用いられる傾向にある。したがって、油脂を融
点以上の温度で反応させるか、有機溶剤の添加により液
状化した後反応させねばならない。このため、工業用リ
パーゼとして、耐熱性を持ち、しかも高温下で最適反応
性を持つものか、または、有機溶剤に対して耐性を持
ち、その存在下で反応を進められるのでなくてはならな
い。更に、脂肪酸生産用リパーゼには、上記固体脂をで
きるだけ短時間に、より高い分解率(90%以上)で分解
する能力が要求され、また金属石けんの生成を避ける点
から、活性発現や活性増大のためにカルシウムの添加を
必要としないものが要求される。このようなリパーゼの
検索は盛んに行われてきたが、工業的レベルでその需要
に応えられる酵素は現在まで得られていない。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、耐熱性を持つリパーゼを生産する微生
物を広く自然界より探索した結果、神奈川県厚木市の土
壌より分離したシュードモナス属に属するKWI−6菌株
が、前述の要求をみたすリパーゼを生産することを見出
した。その後、このリパーゼを精製して理化学的性質を
調べたところ、新規リパーゼであることを見出し、本発
明を完成した。
本発明のリパーゼの生産に使用する微生物は、シュー
ドモナス属に属し、上記の理化学的性質を有するリパー
ゼの生産能力を有するものであれば、いかなるものでも
よいが、具体的には前記のシュードモナスKWI−56菌株
が挙げられる。
次に、活性測定法および本発明のリパーゼの理化学的
性質について詳細に説明する。
活性測定法(回転撹拌法) a,反応 反応容器に1/20M リン酸緩衝液(pH7.0)5ml、オリ
ーブ油1ml、酵素液を所定量(通常1ml以下)入れ、37
℃、60分、スターラー500rpmで反応を行った後、エタノ
ール20mlを加えて停止させる。
b,測定 反応で生成した脂肪酸を1/20NのKOHで滴定する。酵素
活性は、1分間に1マイクロモルの脂肪酸を遊離させる
酵素量を1ユニット(IU)とした。
なお、本酵素の活性測定は、特に記載しないかぎり上
記の条件において行った。
作用 パーム油、オリーブ油、ヤシ油および牛脂に対して、
1000IU/g−oilとなるように酵素を添加し、50℃で20時
間反応させると、95%以上分解する。
基質特異性 種々に基質に対する分解活性を50℃において測定し、
同条件でのオリーブ油に対する分解活性を100として第
1表に示した。
このリパーゼは、トリミリスチン、トリカプリン、ト
リカプリリンをとくによく分解する。また、鯨ろうは分
解するが、オレイン酸の低級アルコールエステルは、分
解しない。
作用最適pH及び安定pH範囲 オリーブ油を基質として回転攪拌法にて、本発明のリ
パーゼに対するpHの影響を調べた。結果を第1図に示し
た。第1図は、活性の最大値を100とし、各pHにおける
相対活性を示す。第1図から作用最適pHは5.5〜7.0であ
ることがわかる。
次に、本発明のリパーゼをブリトン−ロビンソン緩衝
液を用い、30℃、24時間各pHに保持したのち、回転攪拌
法にてpHの安定性を調べた。結果を第2図に示した。第
2図も活性の最大値を100とし、各pHにおける相対活性
を示す。第2図から本発明のリパーゼはpH4〜10で安定
である。
作用適温の範囲 オリーブ油を基質とし、各温度で20分間反応を行い、
活性を調べた。結果を第3図に示した。第3図は、活性
の最大値を100とし、各温度における相対活性を表わ
す。第3図から、本酵素の作用最適温度は60〜65℃であ
ることがわかる。
熱安定性 1/20Mピペス緩衝液(pH7.0)に酵素を蛋白濃度で0.1
%となるように調製し、37〜75℃に30分〜24時間保持し
たのち、回転攪拌法で残存活性を測定した。結果は、未
処理酵素の活性を100として第4図及び第5図に示し
た。本酵素は、60℃、24時間の加熱処理後も96%の活性
を維持していた。
pH、温度などによる失活の条件 本発明のリパーゼは、第2図より、pH3以下またはpH1
2以上では、37℃、24時間で失活することがわかる。ま
た、第4図及び第5図よりpH7.0において、70℃では24
時間後に82%失活することがわかる。
阻害 金属イオンによる活性阻害を調べた。
1/20Mのピペス緩衝液を用い、1mMの下記金属塩存在
下、回転攪拌法で活性を測定し、金属塩無添加の場合の
活性を100として測定結果を第2表に示した。Cu2+、Z
n2+、Hg2+およびSn2+は本酵素を失活させることがわか
る。また、Ca2+の添加が酵素活性に影響を及ぼさないこ
とから、本酵素では活性発現・増大のために反応系へCa
2+を添加する必要はない。
次に界面活性剤による活性阻害を調べた。各種界面活
性剤を0.5%含む1/20Mリン酸緩衝液(pH7.0)を用い
て、オリーブ油を基質とした回転攪拌法により活性を測
定した。測定結果を、界面活性剤無添加の場合の活性を
100として第3表に示した。
第3表から反応液中に界面活性剤が0.5%共存する系
ではコール酸ソーダ、デオキシコール酸ソーダ、タウロ
コール酸ソーダ等の胆汁酸塩で50〜80%、その他の界面
活性剤で90%以上の阻害を受けることがわかる。
リパーゼの中には、胆汁酸塩の共存によって活性の増
大するものがあるが、本酵素は活性の発現に胆汁酸塩を
必要とせず、むしろその存在により阻害を受けることが
明らかとなった。
精製方法 シュードモナスsp.KWI−56をオレイン酸1%、ポリペ
プトン2%、KH2PO40.1%、MgSO4・7H2O 0.05%、酵母
エキス0.1%を含有する培地で培養し、この培養液にア
セトン50%を添加し、遠心分離により菌体を除去した。
次に遠心上澄液を精密過により濃縮し、さらに本酵素
がアセトン処理に耐性を持っていることを利用してアセ
トン沈殿をくり返し、最後にゲル過により、電気泳動
的に単一な本酵素の精製標品を得た。比活性は2550IU/m
g−蛋白であった。
等電点(pI) アンフォラインPAGプレート(LKB社製)を用い、1500
V 1.5時間の等電点電気泳動を行った。標準物質とし
て、チトクロームC(pI9.60)、キモトリプシン(pI8.
80)、鯨ミオグロビン(pI8.05)、馬ミオグロビン(pI
7.00)、カルボニックアンヒドラーゼ(pI6.00)、β−
ラクトグロブリンB(pI5.10)、フィコシアニン(pI4.
65)を用いた。この等電点電気泳動法による測定結果か
ら、pI=5.0が得られた。
分子量 SDS−ポリアクリルアミド電気泳動により、分子量330
00の値を得た。分子量マーカーとして、フォスフォリラ
ーゼb(分子量97400)、牛血清アルブミン(分子量662
00)、オボアルブミン(分子量42699)、カルボニック
アンヒドラーゼ(分子量31000)、トリプシンインヒビ
ター(分子量21500)、リゾチーム(分子量14400)を用
いた。
糖含有の有無 フェノール硫酸法による発色は認められず、糖は含有
しない。
元素分析 H(6.8%)、C(47.5%)、N(14.7%) 本発明のリパーゼの酵素を生産するには、シュードモ
ナス属に属する細菌、特にKWI−56菌株を利用するのが
好ましい。
この菌株の菌学的性質を以下に示す。この菌学的性質
の検討には、「微生物の分類と同定」(長谷川武治著、
学会出版センター)、「医学細菌同定の手びき」(S.T.
Cowan著、坂崎利一訳、近代出版)、「新細菌培地学講
座」(坂崎利一著、近代出版)に記載された方法、培地
組成を用いた。
a)形態 細胞の形及び大きさ:長さ2.2〜3.0ミクロン、幅0.
5〜0.7ミクロンの桿菌 細胞の双形性:単独または短連鎖 連動性:あり、1本の極鞭毛を持つ 胞子:なし グラム染色:陰性 抗酸性:なし b)生育状態 肉汁寒天平板培養:円形、とつ円状、表面は滑らか
で光沢がある。わずかに黄色を帯びた白色。
肉汁寒天斜面培養:糸状、生育は普通、表面は滑ら
かで光沢がある。色素生成せず。わずかに黄色を帯びた
白色。
肉汁液体培養:生育は普通、混濁、色素生成せず。
肉汁ゼラチン穿刺培養:生育は普通、液化。
リトマスミルク:微アルカリ性、液化。
c)生理学的性質 硝酸塩の還元:陽性。
脱窒反応:陰性。
MRテスト:陰性。
VPテスト:陰性。
インドールの生成:陰性。
硫化水素の生成:わずかに陽性。
デンプンの加水分解:陰性。
クエン酸の利用:ユーサーの培地;陽性。
クリステンセンの培地;陽性。
無機窒素源の利用:硝酸ナトリウムは利用しないが
硫酸アンモニウムは利用する。
色素の生成:シュードモナスFアガー、シュードモ
ナスPアガー(ディフコ社製)、クリグラーの培地(指
示薬は含まず)、TSI寒天培地(指示薬は含まず)にお
いて、色素の生成はみられない。
ウレアーゼ:陽性。
オキシダーゼ:陽性。
タカラーゼ:陽性。
生育の範囲 pH:4.5〜8.5で生育。5.5〜7.0で最適。
温度:15〜37℃で生育。10℃および40℃で生育はみら
れない。33℃前後が最適。
酸素に対する態度:好気性 0−Fテスト:好気的に酸を生成。
糖類からの酸およびガスの生成の有無 Hugh−Leifson法による。
L−アラビノース、D−キシロース、D−グルコー
ス、D−マンノース、D−フラクトース、D−ガラクト
ース、麦芽糖、ショ糖、乳糖、トレハロース、D−ソル
ビット、D−マンニット、イノシット、グルセリンから
ガスは発生しないが酸を生成する。デンプンからはガス
も糖も生成しない。
ポリ−β−ヒドロキシ酪酸の蓄積:陽性。
プロトカテキン酸の分解:オルト型。
グルコン酸の酸化:陽性。
アルギニン脱炭酸:陰性。
リジン脱炭酸:陽性。
リパーゼの生産:陽性。
炭素化合物の利用:Stanierらの方法による。
グルコース、ガラクトース、ラクトース、アラビノー
ス、マルトース、ソルビトール、L−スレオニン、L−
アルギニン、L−アラニン、D−アラニン、アセトアミ
ド、DL−β−ヒドロキシ酪酸で生育するが、グリシン、
イスリン、イタコン酸、メタコン酸では生育せず。
以上の菌学的性質からバージイのマニュアル・オブ・
デイタミネイテイブ・バクテリオロジー第8版(Berger
s' Manual of Determinative Bacteriology 8ed)およ
び、バージイのマニュアル・オブ・システマティック・
バクテリオロジー(Bergeys'Manual of Systematic Bac
teriology)に基づき検索した結果、シュードモナス・
セパシアにほぼ一致した。しかし、従来のシュードモナ
ス・セパシアは、40℃において生育可能であるが、本菌
株は37℃以上の温度下でなければ生育はできない。ま
た、従来のシュードモナス・セパシアは非蛍光性の色素
を生産するにもかかわらず、本菌株では色素の生産を見
ることはできない。
さらに、既知の耐熱性リパーゼを生産するシュードモ
ナス属細菌、すなわち前記のシュードモナス・メフィテ
ィカ・バリエタス・リポリティカ、シュードモナス・フ
ラジー、シュードモナス・フルオレセンス・バイオタイ
プIと比較しても、少なくとも以下の菌学的性質に関し
て差異がみられる。
以上の知見より、本菌株はシュードモナス・セパシア
と極めて近い分類学的関係にありながらも新菌株である
と判断し、シュードモナス・KWI−56株と命名した。本
菌株は昭和62年10月15日に通商産業省工業技術院微生物
工業技術研究所に寄託した。微生物受託番号は、微工研
条寄第3178号(FERM BP−3178)である。
本菌株を用いて耐熱性リパーゼを生産することができ
る。培養条件は次のとおりである。
まず培地組成であるが、本菌株はオリーブ油等の油脂
またはオレイン酸等の脂肪酸が培地中に存在する時にの
み誘導的にリパーゼを生産する。このため、炭素源とし
ては油脂または脂肪酸を用いるか、もしくはグルセリ
ン、各種糖類などの本菌株が資化しうる物質に、適当な
量の油脂または脂肪酸を添加したものを使用すればよ
い。窒素源には、硫酸アンモニウム、肉エキス、ポリペ
プトン、大豆粉などが利用できる。さらに無機塩とし
て、カリウム、ナトリウム、リン酸、マグネシウム、カ
ルシウムなどの各塩類を添加する必要がある。
以上述べた培地組成でpHを0.7に調整し、27℃におい
て、好気的に培養をおこなえば、培養開始後1日〜2日
間で培地中のリパーゼ生産量は最大となる。得られた培
養液は遠心分離や過によって菌体を除去した後、その
上澄液を酵素液として回収できる。この酵素液から本発
明のリパーゼを精製するには、酵素液を有機溶剤(アセ
トン、エタノール等)による沈殿法、硫安による塩析
法、限外過膜法等の常法により濃縮し、ゲル過、電
気泳動等により、酵素標品を得ることができる。
(作用) 本発明の耐熱性リパーゼは、カルシウムの添加なしに
天然油脂、トリグリセリドに対して高い分解能を有し、
とくに固体脂に対してその融点以上の温度で作用しうる
能力を有しているので常温、常圧下で油脂を加水分解し
て脂肪酸を生産したり、エステル交換反応により油脂の
改質を行うことができる。
次に実施例により本発明を説明する。
〔実施例〕
実施例1 オレイン酸1%、ポリペプトン2%、KH2PO40.1%、M
gSO4・7H2O0.05%、酵母エキス0.1%よりなる液体培地19
lを30l溶ジャーファーメンターに入れ、加圧蒸気滅菌し
た後、あらかじめ同培地で30℃11時間振とう培養したシ
ュードモナス・sp/KWI−56株の前培養液を接種し、pH
7、27℃、44時間、300rpm、1vvmで通気攪拌培養した。
培養液にアセトンを同量添加した後、遠心分離により菌
体を除去して粗酵素液を得た。
実施例2 上記粗酵素液からアセトンを除去した後、中空糸型メ
ンブレンフィルター(孔径0.2μm)を用いて濃縮し、
比活性180IU/mg−蛋白の濃縮液3lを得た。この液に冷却
したアセトンを60%となるように添加し、夾雑蛋白を遠
心分離によって除去した。この上澄液(比活性450IU−m
g−蛋白)に更に冷アセトンを90%となるように添加し
て酵素を沈殿として遠心分離によって回収した。
沈殿を1/10M硫安を含む1/50Mリン酸緩衝液(pH7.0)
に溶解し、液体クロマトグラフによるゲル過(東ソー
社製TSKgel G3000SW、通液速度20ml/min)を行った。こ
の操作によって得られた酵素液は、SDS−ポリアクリル
アミド電気泳動において単一バンドを示した。この酵素
液を限外過(アミコン社製ダイヤフロー膜、分画分子
量10000)により脱塩・濃縮した後、凍結乾燥した比活
性2550IU/mg−蛋白の精製酵素標品を得た。
実施例3 本発明のリパーゼを用い回転攪拌法に準じて、各種油
脂の分解実験を行った。
パーム油・ヤシ油・牛脂等の固体脂およびオリーブ油
を各々100mgとり、これに緩衝液5mlおよび酵素100IUを
添加して、回転攪拌法により50℃、20時間反応させた。
第6図に示したように、いずれの油脂も95%以上分解す
ることができた。
実施例4 オレイン酸とグリセリンを基質としてエステル合成反
応を行わせ、逆反応活性を測定した。
グリセリン5ml、オレイン酸0.5mlに酵素液0.5ml(50I
U)を添加し、37℃、500rpm、60分反応させた後、アセ
トンとエタノールの1対1混合液20mlを添加して反応を
停止させた。逆反応活性は残存するオレイン酸を1/10NK
OH(エタノール溶液)にて滴定し1分間に1μmolのオ
レイン酸化を消費する活性を1IUとした。
本発明の酵素では逆反応活性の分解活性に対する比は
0.032であった。
実施例5 大豆油とグリセリンを基質としてエステル交換反応を
行わせた。大豆油20g、グリセリン40gに酵素液1ml(100
00IU)を添加し、30℃、90分間攪拌し反応させた。
反応終了後、反応液をシリカゲル薄層クロマトグラフ
ィーにより分析した結果、モノグリセリドおよびジグリ
セリドが生成していることを確認した。
(効果) 本発明によれば、シュードモナスsp.KWI−56菌株を培
養し、その培養液から本発明のリパーゼを得ることがで
きる。このリパーゼはカルシウムの添加なしに天然油
脂、トリグリセリンに対して高い分解能を有し、とくに
固体脂に対してその融点以上の温度で作用しうる能力を
有しているので、常温常圧下で油脂を加水分解して脂肪
酸を生産したり、エステル交換反応により油脂の改質を
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の酵素の作用最適pHを表わし、第2図
は本発明の酵素の安定pH範囲を表わす。 第3図は、本発明の酵素の作用適温の範囲を表わし、第
4、5図は、本発明の酵素の熱安定性を表わす。 第6図は、本発明の酵素の油脂分解性を表わす。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の理化学的性質を有する新規リパー
    ゼ。 作用 パーム油、オリーブ油、ヤシ油および牛脂を反応温度50
    ℃、20時間で95%以上分解する。 基質特異性 各種トリグリセリドを分解し、とくにトリミリスチン、
    トリカプリン、トリカプリリンをよく分解する。 作用最適pH及び安定pH範囲 オリーブ油を基質とした場合、作用最適pH5.5〜7.0、安
    定pH4〜10。 作用適温の範囲 オリーブ油を基質とした場合60〜65℃である。 熱安定性 pH7.0で60℃までは24時間安定である。 分子量 SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法による分子量
    は33,000である。 糖含有の有無 フェノール硫酸法による発色は認められず、糖は含有し
    ない。
  2. 【請求項2】シュードモナス属に属するシュードモナス
    KWI−56菌株(微工研条寄第3178号)を培養し、該培養
    物から請求項(1)記載のリパーゼを採取することを特
    徴とするリパーゼの製法。
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