JPH08290690A - ブランケット胴 - Google Patents

ブランケット胴

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JPH08290690A
JPH08290690A JP7095350A JP9535095A JPH08290690A JP H08290690 A JPH08290690 A JP H08290690A JP 7095350 A JP7095350 A JP 7095350A JP 9535095 A JP9535095 A JP 9535095A JP H08290690 A JPH08290690 A JP H08290690A
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blanket
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寿彦 佐藤
Masakazu Akatsuka
正和 赤塚
Takao Harada
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブランケット胴の摩耗を防止する。 【構成】 ブランケット胴12の表面に直接溶射される
複数の耐食性皮膜1と、該耐食性皮膜1の表面に溶射さ
れる耐摩耗性皮膜2と、該耐摩耗性皮膜の表面に溶射さ
れる樹脂シーリング層6とからなる被膜層を形成したこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はオフセット輪転印刷機の
ブランケット胴に関する。
【0002】
【従来の技術】図3(a)にオフセット輪転印刷機械の
印刷部主要部を示す。印刷版を取りつけた版胴11は、
ブランケット(ゴム等で作られた中間転写体)を取りつ
けたブランケット胴12に圧接している。これら版胴、
ブランケット胴は用紙14を境に上下の機能が対象とな
るべく設けられており、上下のブランケット胴12に用
紙14をはさみ、印刷すると共に用紙を送る構造となっ
ている。このブランケット胴12には、板状ブランケッ
ト13を巻きつけ装着し、取付具15にて板状ブランケ
ット13が移動しない様に締めつける機構を有してい
る。
【0003】また、図3(b)には他のブランケット取
付け方法を示す。ブランケット胴19の表面に設けられ
たここには示さない小孔から圧縮空気を吐出し、筒状ブ
ランケット18を機械側方から装着する。装着後、圧縮
空気を止めると筒状ブランケット18がブランケット胴
19に締りばめとなり固定される。このブランケットが
装着された時の断面概要を図3(c)に示す。ブランケ
ット胴19の外側に筒状ブランケット18が配せられる
が、ブランケット内部は例えば金属製円筒であるベース
材20とゴム、スポンジ等からなるブランケット材21
は強固に接着されており相互に移動することはない。ベ
ース材20とブランケット胴19の間は装着時には軸方
向に摺動移動可能であり、また回転方向にも回転する可
能性はある。
【0004】図3に示したブランケット胴は、精密な印
刷に用いられるものであるから、表面の真円度、寸法は
5/100mmの精度で管理される必要があり、また印
刷プロセス、清掃プロセスで、使用される酸、水に対す
る腐蝕を防止するため、通常図3(d)の通り鋼で成形
した胴12aを研磨し、クロムメッキ処理16をもって
製造されている。また摩擦係数を上げるために、ショッ
トブラスト加工17にて全体の平均寸法を保ちながら表
面粗度を上げることも実施されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来のブランケット胴
は、ブランケットを装着して使用している間にブランケ
ットがずれる問題があった。図3(a)に示すもので
は、ずれることでブランケットがゆるむため、装着後適
宜取付具15によって増し締めする必要がある。また図
3(b)に示すものでは、筒状ブランケット18がブラ
ンケット胴19の上を回転するため、図4に示すように
ブランケット18とブランケット胴19に付した合せマ
ークが使用中にずれてブランケット胴19の表面が摩耗
する問題がある。この時は、図3(a)のものの様に増
し締めすることはできない。また、図5に示す様な回わ
り止め23をブランケット18とブランケット胴19の
間に設けることは、ブランケット18の厚さ不均一から
印刷の濃淡を生じさせるため、実用上使用できない。こ
のため、ブランケット18とブランケット胴19の間の
摩擦によって保持する必要があるが前述の通り印刷機に
適用するためには下記を満足させる必要があり、従来こ
れを満すものが得られなかった。
【0006】1.胴としての精度:5/100mmで真
円、寸法が管理可能なこと→大きな凹凸は不可 2.摩擦係数 :ベース材〜ブランケット胴の摩擦係数
は最低でも0.5は必要→クロムメッキでは低くて不可 3.耐摩耗性 :万一ベース材が摺動しても、ブランケ
ット胴表面が摩耗しないこと→クロムメッキでは、摩耗
が多くて不可 4.耐蝕性:PH3の酸、濃度5%程度の塩水にも腐蝕
しないこと→空孔の多いメッキ、溶射では腐蝕して不可 本発明はかかる問題点に対処するため開発されたもので
あってブランケット胴の摩耗を防止することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の構成はブランケット胴の表面に、直接溶射
される複数の耐食性皮膜と、該耐食性皮膜の表面に溶射
される耐摩耗性皮膜と、該耐摩耗性皮膜の表面に溶射さ
れる樹脂シーリング層とからなる被膜層を形成したこと
を特徴とする。
【0008】又前記耐食性皮膜が、ハステロイCの粗粒
溶射層と細粒溶射層との交互で形成されていることを特
徴とする。更に前記耐摩耗性皮膜がタングステンカーバ
イドの溶射層であることを特徴とする。更に前記耐摩耗
性皮膜の表面粗さが10〜35μm(RC)であること
を特徴とする。
【0009】更に前記耐摩耗性皮膜の表面凹部が樹脂シ
ーリング層を形成していることを特徴とする。
【0010】
【作用】そして本発明は上記の手段により下層を形成す
る耐食性のハステロイC溶射皮膜は、各層が溶融粒子の
積層した凹凸の表面層を形成するが、粉末粒子径が大小
2種のものを交互に積層することによって、全体厚膜1
00μm程度の皮膜であってもピンホールがないため、
上層から侵入する腐蝕性の液体によるブランケット胴表
面の腐蝕を防止する。
【0011】又上層を形成する耐摩耗性のタングステン
カーバイドは、微粉末を溶射することによって表面粗さ
12〜45μmの耐摩耗性皮膜を形成する。さらにこの
皮膜の凹部のみに樹脂層を形成することによって摩擦係
数を0.5〜0.7に制御するため、筒状ブランケット
のズレを防止することができる。
【0012】
【実施例】次に本発明の実施例により更に説明する。表
面処理法として表1に示す。
【0013】
【表1】
【0014】表1は実施例として第1〜第8実施例を、
比較例として第1〜第2比較例を示した。方法でφ17
0×60W のテストロールを製作し、印圧0.15mm
で12m/sの高速回転で25時間を実施し性能を評価
した。また、耐食性は200時間の塩水噴霧試験で評価
した。第1実施例〜第3実施例は本発明によるもので、
具体的には図1に示す通りである。下層の耐食性皮膜1
はピンホールをなくすため、溶射層特有の気孔部を封じ
る手段として、ハステロC粉末の粒子径を大小2種を選
択し、これらを交互に積層3,4して耐食性皮膜1の全
膜厚を100μmとすることで、200時間の塩水噴霧
でも発錆しない耐食性皮膜を得ることができた。
【0015】上層の耐摩耗性皮膜2は、筒状ブランケッ
トを長時間の回転中においてもズレを起こさず取付積層
を良くするため、第1実施例〜第3実施例及び図1〜2
に示す通り耐摩耗性のタングステンカーバイド溶射層
5、40μmを施工した後溶射層表面へ凹凸部をフェノ
ール樹脂でシール6し、さらに溶剤による溶解処理によ
って表面を調整した。
【0016】この様な処理を施すことによって、表面粗
さ10〜35μm、摩擦係数0.5〜0.7が得られ、
これら高速回転下でも筒状ブラケットのズレはほとんど
認められない。また、タングステンカーバイド5の粒子
径を10〜50μmに変えることによって、表面粗さ及
び摩擦係数を調整することができる。
【0017】第4実施例は、第1実施例のシーリングを
省いたもので、摩擦係数が高くなり、ブランケットの取
付に支障が認められる。第5実施例は、第1実施例の下
層の耐食性皮膜1のみの特性を評価したもので耐食性は
問題ないが、回転中に摩耗が起りブランケットにズレが
発生した。第6実施例は第1実施例1の下層の耐食性皮
膜1のハステロイCの粒子径を20μmのみに変更した
場合で、耐食性が不十分であった。
【0018】第7及び第8実施例は、上層の耐摩耗性皮
膜2を省いた場合で、すべての性能が不十分であった。
特にハステロイCの粒子径が大きくなると、全膜厚を2
00μmに厚膜施工しても耐食性は低下した。第1比較
例は、ハステロイCとダングステンカーバイドを組合す
場合の一般的な仕様によるもので、耐食性、摩擦係数及
びブランケットの保持力に問題があり適用できなかっ
た。
【0019】第2比較例は、従来のブランケット胴に採
用している表面処理法で、筒状ブランケットに使用した
場合、表面が摩耗してブランケットのズレが発生した。
以上の結果から、筒状ブランケット用のブランケット胴
の表面処理としては、第1〜第3実施例が最も優れてい
ることを見出した。表面状態としては、表面粗さ10〜
35μm(Rt)が良く、また摩擦係数は0.5〜0.
7がブランケット取付時及び運転中の特性として好まし
い。なお各溶射層の膜厚及び樹脂の種類は機能を満すも
のであれば特に規制するものではない。
【0020】以上のモデルテストの性能を大型ロールで
検証するため、オフセット輪転機(三菱重工GPX)の
ブランケット胴(φ170×1000l)の表面を第1
実施例で処理し、1400rpmで100時間の運転を
行い、筒状ブランケットのズレ及び印刷品質を評価した
結果、実用上問題のない性能が得られた。
【0021】
【発明の効果】本発明によるブランケット胴を用いるこ
とで下記効果が得られ、ブランケット胴を印刷機の使用
条件に適用させ、かつブランケットがずれることがなく
なるため図3(a)のものでは増し締めが不用になり図
3(d)のものではずれまわりによる摩耗が防止でき
る。
【0022】1.胴としての精度:溶射と研摩による処
理のため、安価に必要精度を確保可能である。 2.摩 擦 係 数:摩擦係数は0.6程度であり、高
い値を示す。 3.耐 摩 耗 性:セラミック溶射層はベース材金属
より硬く万一ブランケットがずれてもベース材の方が摩
耗してブランケット胴を保護しうる。
【0023】4.耐 蝕 性 :下地処理によって酸
か水が母材に接しないため腐蝕を防止可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す断面図である。
【図2】図1における上層皮膜の拡大図である。
【図3】本発明の適用される印刷機の概要説明図であ
る。
【図4】本発明で解消する課題の説明図である。
【図5】本発明で解消する課題の説明図である。
【符号の説明】
1 耐食性皮膜 2 耐摩耗性皮膜 3 ハステロイC粗目粉末溶射層 4 ハステロイC細目粉末溶射層 5 タングステンカーバイド溶射層 6 樹脂シーリング層 12 ブランケット胴
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年6月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】又前記耐食性皮膜が、ハステロイCの粗粒
溶射層と細粒溶射層との交互で形成されていることを特
徴とする。更に前記耐摩耗性皮膜がタングステンカーバ
イドの溶射層であることを特徴とする。更に前記耐摩耗
性皮膜の表面粗さが10〜35μm(Rt)であること
を特徴とする。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブランケット胴の表面に、直接溶射され
    る複数の耐食性皮膜と、該耐食性皮膜の表面に溶射され
    る耐摩耗性皮膜と、該耐摩耗性皮膜の表面に溶射される
    樹脂シーリング層とからなる被膜層を形成したことを特
    徴とするブランケット胴。
  2. 【請求項2】 前記耐食性皮膜が、ハステロイCの粗粒
    溶射層と細粒溶射層との交互で形成されていることを特
    徴とする請求項1記載のブランケット胴。
  3. 【請求項3】 前記耐摩耗性皮膜がタングステンカーバ
    イドの溶射層であることを特徴とする請求項1記載のブ
    ランケット胴。
  4. 【請求項4】 前記耐摩耗性皮膜の表面粗さが10〜3
    5μm(RC)であることを特徴とする請求項3記載の
    ブランケット胴。
  5. 【請求項5】 前記耐摩耗性皮膜の表面凹部が樹脂シー
    リング層を形成していることを特徴とする請求項3記載
    のブランケット胴。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004167821A (ja) * 2002-11-20 2004-06-17 Dainippon Printing Co Ltd 印刷装置用部材とその表面処理方法及び該部材を用いた印刷装置
US7766806B2 (en) 2002-10-31 2010-08-03 Koenig & Bauer Aktiengesellschaft Method for the production of a rotating member and rotating member of a printing press
CN102725147A (zh) * 2010-02-23 2012-10-10 惠普发展公司,有限责任合伙企业 能移除的顶部敷层

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