JPH08288003A - 防水コネクタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハウジング同士の嵌合時におけるゴムリング
嵌合方向へのズレを防止する。 【構成】 受け面２６は雌ハウジング２０の外周面（雄
ハウジングと雌ハウジングの嵌合方向）２７に対してこ
の外周面２７側に倒れるように傾斜し、ゴムリング３０
の端面３１はこの受け面２６と同じ方向に傾斜してい
る。雄ハウジングにより嵌合方向に押されたゴムリング
５５の先端部は、受け面２６に押し付けられてその傾斜
により外周面２７側への誘導力を受ける。よって、ゴム
リング３０がその先端部を外周面２７から外側へ逃がす
ように弾性変形させつつ嵌合方向に移動する、というこ
とが確実に防止される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ゴムリングを用いた防
水コネクタに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ゴムリングを用いた防水コネクタとして
は、図４に示すものがある。これは、雄端子金具５１が
装着された雄ハウジング５２と、雌端子金具５３が装着
された雌ハウジング５４と、この雌ハウジング５４に装
着されたゴムリング５５とを備えて構成される。雌ハウ
ジング５４の外周にはその周方向に配されるようにゴム
リング５５が密着して嵌装され、このゴムリング５５の
奥側の端面５６は雌ハウジング５４に形成した受け面５
７に当接されている。雄ハウジング５２は、そのフード
部５８をゴムリング５５の外周面に対して弾性的に密着
させつつ雌ハウジング５４と嵌合する。

【０００３】このとき、ゴムリング５５には、フード部
５８との間の摩擦抵抗のために奥側に押される方向の力
が作用するが、この押圧力は受け面５７によって受けら
れ、正規の装着位置よりも奥端側へ移動することを規制
するようになっている。これにより、ゴムリング５５が
雌ハウジング５４の外周とフード部５８の内周との間で
弾性的に挟み付けられた状態になることができ、このゴ
ムリング５５の弾性復元力により雌ハウジング５４とフ
ード部５８との間で防水機能が発揮されるようになる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の防水
コネクタにおいては、受け面５７は雌ハウジング５４の
外周面５９に対してほぼ直交するように形成され、しか
も、この雌ハウジング５４の外周面５９と受け面５７と
の接続部分６０は成形上の理由により曲面になっている
場合がある。このため、ゴムリング５５が押されたとき
に、ゴムリング５５が、図５に示すように、その先端部
を受け面５７に沿って外側へ逃げるように弾性変形させ
つつ嵌合方向に移動する、という可能性がある。

【０００５】このようになると、ゴムリング５５と雌ハ
ウジング５４及びフード部５８との間の接触領域が小さ
くなって防水性の低下を招くばかりでなく、ゴムリング
５５の弾性変形した部分に対してフード部５８の先端が
突き当たることにより両ハウジング５２，５４が正規位
置まで深く嵌合できなくなって端子金具５１，５３間の
接触不良を招いたりすることになる。かかる不具合は、
ゴムリング５５がその厚さ寸法に対してハウジングの嵌
合方向の長さ寸法が大きい形状をなしている場合には、
特に発生し易くなる。本願発明は上記事情に鑑みて創案
されたものであって、ハウジング同士の嵌合動作に伴う
ゴムリングの軸方向へのズレを防止することを目的とす
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、請求項１の発明は、互いに嵌合される一
対のハウジングのうちの一方のハウジングにその周面に
沿って防水用のゴムリングを嵌装すると共に、そのゴム
リングの奥側の端面を一方のハウジングに設けた受け面
に突き当て、両ハウジングが嵌合する際には、他方のハ
ウジングとの間の摩擦抵抗によってゴムリングが嵌合方
向へ移動することを受け面への突き当てによって防止す
るようにした防水コネクタにおいて、受け面には、嵌合
方向の押圧力を受けたゴムリングの奥側の端部が一方の
ハウジングの周面から離間する側へ変位することを規制
可能な規制手段が設けられている構成としたところに特
徴を有する。

【０００７】請求項２の発明は、請求項１の発明におい
て、規制手段は、受け面をゴムリングにおける嵌合方向
と直交する面に対して傾斜したテーパ状にすることによ
り構成され、且つ、ゴムリングにおける受け面との対向
面も受け面と同じ傾斜角度のテーパ状に形成されている
ところに特徴を有する。

【０００８】

【作用】請求項１の発明においては、ゴムリングが嵌合
方向に押圧された場合に、ゴムリングの奥側の端部は、
受け面に設けた規制手段により一方のハウジングの周面
から離間する側へ変位することを規制される。

【０００９】請求項２の発明においては、ゴムリングが
嵌合方向に押圧された場合に、ゴムリングの奥側の端部
は、テーパ状をなす受け面の傾斜により一方のハウジン
グの周面から離間する側へ変位することを規制される。
しかも、ゴムリングにおける受け面との対向面が受け面
と同じ角度で傾斜したテーパ状になっているため、ゴム
リングの奥側の端部が一方のハウジングの周面から離間
する側へ変位することの規制が強化されている。また、
ゴムリングの受け面との対向面が弾性変形を生じなくて
も受け面に密着されるようになっている。

【００１０】

【発明の効果】請求項１の発明によれば、嵌合方向に押
圧されたゴムリングの奥側の端部が一方のハウジングの
周面から逃げるように弾性変形することを規制している
から、ゴムリングが嵌合方向に移動するのを防止するこ
とができる。

【００１１】請求項２の発明によれば、ゴムリングの奥
側の端部が一方のハウジングの周面から逃げるように変
位することの規制が強化されているから、ゴムリングの
移動を防止する効果が高めることができる。また、ゴム
リングの受け面との対向面がゴムリングの弾性変形を生
じさせなくても受け面に密着されるようになっており、
ゴムリングの奥側の端部が弾性変形せずに済むようにな
っているから、この弾性変形に起因して奥側の端部にお
けるシール性が低下するのを防止することができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図１乃
至図３を参照して説明する。本実施例の防水コネクタ
は、雄ハウジング（本発明の構成要件である他方のハウ
ジング）１０、雌ハウジング（本発明の構成要件である
一方のハウジング）２０、及び、この雌ハウジング２０
に装着される防水用のゴムリング３０とから構成され
る。雄ハウジング１０は、内部に設けた複数のキャビテ
ィ（図示せず）に雄端子金具を収容すると共に、前方に
突出するフード部１１内に雄端子金具１２がその先端の
タブを突出させた構成になる。

【００１３】雌ハウジング２０は、内部に形成した複数
のキャビティ２１内に雌端子金具２２を収容してこれら
の雌端子金具２２を雄端子金具１２と対応するように配
置した構成になる。雌ハウジング２０には、この後端縁
から前方（雄ハウジング１０に向かう方向）に突出する
と共に雌ハウジング２０の外周を囲むガイド筒２３が形
成されている。

【００１４】このガイド筒２３の内周と雌ハウジング２
０の外周との間の空間は前方に開放された受入空間２４
となっており、この受入空間２４には、両ハウジング１
０，２０の嵌合に伴って雄端子金具１２のフード部１１
が嵌入されるようになっている。この受入空間２４内に
フード部１１が嵌入されると、そのフード部１１の外周
がガイド筒２３の内周と嵌合することにより雄雌両端子
金具１２，２２が正規の位置関係で嵌合できるようにガ
イドされるようになっている。

【００１５】受入空間２４の奥端部には、ガイド筒２３
の内周面に沿う周方向の受入溝２５が形成されている。
同じく受入空間２４の奥端部には、雌ハウジング２０に
嵌装されるゴムリング３０の奥側の端面３１が突当て可
能な受け面２６が受入溝２５の内側の溝縁に沿って形成
されている。この受け面２６は、両ハウジング１０，２
０の嵌合方向と平行をなす雌ハウジング２０の外周面か
ら外側へ立ち上がり、且つ、この雌ハウジング２０の外
周面側へ僅かにオーバーハングするように傾斜してい
る。即ち、受け面２６と雌ハウジング２０の外周面２７
とのなす角度θは９０°よりも小さい角度をなしてお
り、受け面２６に対してゴムリング３０の端部が嵌合方
向に押圧されると、ゴムリング３０の端部には、受け面
２６の傾斜に従って雌ハウジング２０の外周面２７に向
かうような力が作用するようになっている。以上によ
り、本発明の構成要件である規制手段が構成される。

【００１６】ゴムリング３０は、両ハウジング１０，２
０同士の嵌合に先立って予め雌ハウジング２０の外周面
（本発明の構成要件である一方のハウジングの周面）２
７に密着して嵌装されている。ゴムリング３０の断面形
状は嵌合方向において対称となっており、どちらの端部
を先に向けても雌ハウジング２０に嵌装できるようにな
っている。

【００１７】このゴムリング３０の内周には、雌ハウジ
ング２０の外周面２７に対して広い幅で面接触すること
により摩擦抵抗を確保して嵌合方向へのズレ防止を図る
ための防滑部３２と、雌ハウジング２０の外周面２７に
対して狭い幅で線接触状に押圧することにより高いシー
ル性を確保するためのシール部３３とが設けられてい
る。

【００１８】一方、ゴムリング３０の外周には、両ハウ
ジング１０，２０の嵌合時にはフード部１１の内周で押
し潰されるように弾性変形するリップ部３４が防滑部３
２とシール部３３とに対応するような配置で形成されて
いる。このリップ部３４が押し潰されると、防滑部３２
とシール部３３が雌ハウジング２０の外周面２７に対し
て強く押圧されるようになる。

【００１９】かかるゴムリング３０の嵌合方向の両端面
（本発明の構成要件である受け面との対向面）３１，３
１は、雌ハウジング２０の受け面２６と平行をなすよう
に傾斜して形成されている。即ち、ゴムリング３０の端
面３１が軸線に対してなす角度θは９０°よりも小さく
設定されている。したがって、ゴムリング３０の一方の
端面３１は受け面２６に対して全面に亘って密着した状
態となっている。

【００２０】次に、本実施例の作用について説明する。
ゴムリング３０が予め装着されている雌ハウジング２０
に対して雄ハウジング１０を嵌合する際には、受入空間
２４内に進入したフード部１１がゴムリング３０のリッ
プ部３４を押し潰しつつこれらのリップ部３４に対して
嵌合方向に滑っていくことになる。このとき、フード部
１１とリップ部３４との間に生じる抵抗により、ゴムリ
ング３０には受入空間２４の奥側に向かう方向（嵌合方
向と同方向）の押動力が作用する。

【００２１】しかし、ゴムリング３０がフード部１１で
押されて嵌合方向に移動することは、ゴムリング３０の
端面３１を受け面２６に当接させることによって規制さ
れている。しかも、このゴムリング３０の端面３１及び
受け面２６が内周側から外周側に向かって立ち上がる方
向は、嵌合方向と直交する方向ではなく、これよりも嵌
合方向とは反対側に倒れ込むように傾斜した方向となっ
ている。このため、嵌合方向に押されるゴムリング３０
の先端部は、雌ハウジング２０の外周面２７に向かって
内側に誘導されるような力を受け、この外周面２７から
外周側へ逃げるように変位することが規制されることに
なる。したがって、ゴムリング３０がその先端部を受け
面２６に沿って外側へ逃げるように弾性変形させつつ嵌
合方向にズレ移動する、ということが確実に防止されて
いる。

【００２２】尚、雌ハウジング２０の外周面２７と受け
面２６との境界部２８は成形上の理由により僅かながら
も曲面にせざるをえない場合もあるため、この境界部２
８においては嵌合方向に押されたゴムリング３０の先端
部がその曲面に誘導されて外側への弾性変形を生じる、
ということが危惧される。しかし、この外側への弾性変
形はゴムリング３０の先端部の僅かな範囲のみにおいて
生じ得る現象であるため、受け面２６とゴムリング３０
の端面３１の傾斜によってゴムリング３０の先端部の大
部分が内側へ誘導される機能は、上記の僅かな曲面によ
って損なわれる虞はない。

【００２３】上述のように、本実施例においては、嵌合
方向に押されたゴムリング３０の先端面３１を傾斜した
受け面２６で受け止めることによってゴムリング３０の
先端部を内側へ誘導するようにしたから、ゴムリング３
０がその先端部を外側へ逃がすように弾性変形させつつ
嵌合方向にズレ移動する、ということを確実に防止する
ことができる。

【００２４】また、嵌合方向に押されたゴムリング３０
の先端部が外側へ逃げるように弾性変形することを防止
するための別の手段として、ゴムリング３０の先端外周
に鍔を形成してこの鍔をガイド筒２３の内周に当接させ
る構成とした場合と比較すると、この構成においては雌
ハウジング２０の嵌合方向の寸法が鍔の厚さ分だけ余分
に必要となるのに対し、本実施例ではこのような鍔が不
要だから、嵌合方向において雌ハウジング２０が大型化
することを回避することができる。

【００２５】＜他の実施例＞本発明は上記記述及び図面
によって説明した実施例に限定されるものではなく、例
えば次のような実施態様も本発明の技術的範囲に含ま
れ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種
々変更して実施することができる。

【００２６】（１）上記実施例では、ゴムリング３０を
雌ハウジング２０の外周面に装着した場合について説明
したが、本発明は、ゴムリングをガイド筒の内周面に装
着する場合にも適用することができるものである。

【００２７】（２）上記実施例では、ゴムリング３０を
雌ハウジング２０側に装着した場合について説明した
が、本発明は、ゴムリングを雄ハウジングに装着した場
合にも適用することができる。

【００２８】（３）上記実施例では、受け面２６とゴム
リング３０の端面の両方を傾斜させた場合について説明
したが、本発明によれば、受け面だけを傾斜させ、ゴム
リングの端面は嵌合方向と直交する構成としてもよい。

【００２９】（４）上記実施例では、規制手段として受
け面２６をテーパ状に形成した場合について説明した
が、本発明における規制手段は、例えば受け面にゴムリ
ングの奥側の先端部が嵌入可能な溝を形成し、この溝の
縁部によってゴムリングの逃げを規制する構成とする
等、他の構成も含むものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例にかかる防水コネクタの嵌合
前の状態をあらわす断面図

【図２】防水コネクタの嵌合途中の状態をあらわす断面
図

【図３】ゴムリングの部分拡大断面図

【図４】従来例の断面図

【図５】従来例の部分拡大断面図

【符号の説明】

１０…雄ハウジング（他方のハウジング） ２０…雌ハウジング（一方のハウジング） ２６…受け面 ２７…雌ハウジングの外周面 ３０…ゴムリング ３１…ゴムリングの奥側の端面（受け面との対向面）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに嵌合される一対のハウジングのう
   ちの一方の前記ハウジングにその周面に沿って防水用の
   ゴムリングを嵌装すると共に、そのゴムリングの奥側の
   端面を前記一方のハウジングに設けた受け面に突き当
   て、前記両ハウジングが嵌合する際には、他方の前記ハ
   ウジングとの間の摩擦抵抗によって前記ゴムリングに作
   用する嵌合方向への押圧力を前記受け面で受けるように
   した防水コネクタにおいて、 前記受け面には、前記嵌合方向の押圧力を受けた前記ゴ
   ムリングの奥側の端部が前記一方のハウジングの周面か
   ら離間する側へ変位することを規制可能な規制手段が設
   けられていることを特徴とする防水コネクタ。
2. 【請求項２】 規制手段は、受け面をゴムリングにおけ
   る嵌合方向と直交する面に対して傾斜したテーパ状にす
   ることにより構成され、且つ、前記ゴムリングにおける
   前記受け面との対向面も前記受け面と同じ傾斜角度のテ
   ーパ状に形成されていることを特徴とする請求項１に記
   載の防水コネクタ。