JPH08286665A - 電子鍵盤楽器 - Google Patents

電子鍵盤楽器

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JPH08286665A
JPH08286665A JP7089671A JP8967195A JPH08286665A JP H08286665 A JPH08286665 A JP H08286665A JP 7089671 A JP7089671 A JP 7089671A JP 8967195 A JP8967195 A JP 8967195A JP H08286665 A JPH08286665 A JP H08286665A
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key
value
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pressure
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JP7089671A
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Junichi Mishima
順一 三島
Satoshi Suzuki
敏 鈴木
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Yamaha Corp
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Yamaha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電子鍵盤楽器において、演奏者の意思に則した
ビブラート等の効果制御を行う。 【構成】押鍵態様(奏法)を検出し、奏法結果に基づい
てビブラート等の効果制御を有効にしたり無効にしたり
する。実施例では接点時間差から算出されるイニシャル
タッチと押鍵後に鍵下部で押圧するアフタデータの最初
の極大値とでプロットされる出力値(AD)例えばL,
Rセンサの和分値SSAが判定基準値TH=a×IT+
bを越えた場合(a,bは所定値、ITはイニシャルタ
ッチ)は押し弾きの奏法と判定してビブラートの効果制
御を可能にする。出力値(AD)が判定基準値THを越
えなければ標準弾きの奏法と判定してビブラートの効果
制御を禁止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鍵盤演奏で押鍵直後に
行われる鍵のタッチ操作に応じて楽音の効果制御をする
ようにした電子鍵盤楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子鍵盤楽器において、楽曲を奏
でながら楽曲にさらに表情をつけることができるように
した技術として、鍵の押圧力等を検出するアフタセンサ
を用いこのセンサ出力に応じて例えばビブラート等の効
果を楽音に付与するものなどがある。このアフタセンサ
は、近年までは全鍵共通の一つのセンサを用いるのが主
流であったが、各鍵に独立して種々の表情が付けられる
ように各鍵毎にアフタセンサを設ける技術がある(例え
ば特開平4−146493号公報)。なお、この技術で
は例えばビブラート制御に使用すると、圧力を増せばビ
ブラートが深くなり、左右動の動かす速さがビブラート
の速さになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、全鍵共
通のセンサを用いたものでも、各鍵毎にセンサを設けた
ものでも、跳躍が多くある曲では演奏中に鍵あるいはキ
ーボード全体が不用意に振れるので、効果制御をしたく
ないところでも効果制御がかかってしまうことがあると
いう問題がある。
【0004】本発明は、演奏者の意思に則した効果制御
が行える電子鍵盤楽器を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の電子鍵盤楽器
は、複数の鍵の各押下操作により各鍵に対応した音高の
楽音を発生するとともに、鍵のタッチ操作に応じて楽音
の効果制御を行うようにした電子鍵盤楽器において、前
記鍵を押下操作する奏法様式を検出する奏法検出手段を
備え、前記奏法検出手段で検出された奏法様式に応じ
て、前記鍵のタッチ操作で行われる前記各鍵対応の音高
を有する楽音の効果制御を禁止または可能にするように
したことを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明の電子鍵盤楽器は、複数の鍵の各押下操
作により各鍵に対応した楽音を発生するとともに、鍵の
タッチ操作に応じて楽音の効果制御を行い、このとき奏
法検出手段で検出された奏法様式に応じて、さらなる鍵
のタッチ操作を有効にするか無効にするかを判別し、こ
れによって楽音の効果制御を禁止または可能にする。
【0007】ところで、ピアノ演奏時の奏法には、鍵か
ら指を所定距離離して打鍵して弾く標準的な奏法(以
後、「標準弾き」という。)や、鍵に指を添えて鍵を押
すように弾くいわゆる「押し引き」という奏法がある。
この「押し弾き」は例えばP奏法(「P奏法」の“P”
は強弱記号の「ピアノ」の意味であり、以下同様に表記
する。)においてはテンポの遅い曲(あるいはテンポが
遅い部分)でテヌート奏法として繊細なコントロールを
行い易い反面、P以上特にff(フォルテッシモ)等の
強いタッチはこの奏法の方がより強いタッチが表現でき
るといわれている。
【0008】一方、「標準弾き」はスタッカート的な奏
法を含むのでテンポの速い曲(あるいはテンポが速い部
分)を演奏するのに適しているが、話を電子楽器に移し
た場合、鍵の左右動でビブラート等の効果制御ができる
従来の電子楽器ではこのようなスタッカート的な奏法
(特に跳躍部分の演奏)で不用意に効果制御がかかり易
かった。
【0009】そこで、このような奏法の違いに応じて効
果制御の禁止または可能を制御すると、演奏者は奏法に
注意するだけで演奏者の意思に則した効果制御が行え
る。ところが、従来技術において、有効な奏法判別が精
度よく行える技術が確立していなかったが、最近、本出
願人において有効な奏法判別技術を確立したのにともな
い、本発明が有効になった。
【0010】本発明の電子鍵盤楽器の他の実施態様とし
て好ましいものは、前記奏法検出手段が、前記効果制御
で楽音に変化を付けるための効果制御用センサであって
押圧力に応じた出力を発生するとともに鍵下のセンサ押
圧部で押鍵終了位置近傍で押圧力が加わる効果制御用セ
ンサいわゆるアフタタッチセンサと、前記鍵のイニシャ
ルタッチを検出するイニシャルタッチ検出手段と、上記
効果制御用センサのセンサ出力と上記イニシャルタッチ
検出手段で検出されたイニシャルタッチとに応じて前奏
法様式を検出する検出手段とで構成されていることを特
徴とする請求項1記載の電子鍵盤楽器である。
【0011】また、本発明の電子鍵盤楽器の実施態様と
して好ましいものは、効果制御用センサが鍵押下方向に
対して直角な方向に1鍵に対し2個並設されていること
を特徴とするものである。この特徴により鍵タッチ操作
で楽音の効果制御をするに際し、鍵表面を指変化圧操作
するだけで、きめ細かな制御が可能となる。
【0012】さらに、本発明の電子鍵盤楽器の実施態様
として好ましいものは、前記奏法検出手段が、前記効果
制御で楽音に変化を付けるための効果制御用センサであ
って押圧力に応じた出力を行うとともに各鍵につき少な
くとも2個を鍵下のセンサ押圧部に対応させて鍵押下方
向に対して直角な方向に設けられた効果制御用センサ
と、上記2個の効果制御用センサのセンサ出力のいずれ
か一方値が予め設定された閾値を越えたか否かに基づい
て前奏法様式を検出する検出手段とで構成されているこ
とを特徴とする請求項1記載の電子鍵盤楽器である。
【0013】
【実施例】図7は本発明実施例の電子鍵盤楽器における
鍵盤装置の断面図であり、図に向かって左側を演奏者側
として図示したものである。楽器本体に固定された底板
1の手前側(図7の左側)には前面カバー2が取り付け
られ、底板1の奥側には図示しないパネル面で覆われる
フレーム3が立設されている。また、底板1上にはフレ
ーム3と支柱4とで支えられた支持台5が配設されてい
る。
【0014】支持台5には白鍵6と黒鍵7が奥側端部の
鍵支持部8にそれぞれ支持されており、白鍵6と黒鍵7
はそれぞれ鍵支持部8を軸にして図7の矢印および
のように回動自在になっている。白鍵6の下にはハンマ
支持部9で支持された白鍵用ハンマアーム11が、ま
た、黒鍵7の下にはハンマ支持部9で支持された黒鍵用
ハンマアーム12がそれぞれ並設されており、白鍵用ハ
ンマアーム11と黒鍵用ハンマアーム12はそれぞれハ
ンマ支持部9を軸にして白鍵6および黒鍵7と同様に回
動自在になっている。
【0015】底板1上の白鍵6の先端側下部には白鍵6
の先端部を内側からガイドする白鍵用キーガイド13が
立設されるとともに、支持台5上の黒鍵7の先端側下部
には黒鍵7の先端部を内側からガイドする黒鍵用キーガ
イド14が立設されている。白鍵用キーガイド13の近
傍に白鍵用の上限ストッパ15と下限ストッパ16が設
けられ、支持台5の端部裏面には黒鍵およびハンマ用の
上限ストッパ17が取り付けられている。また、支持台
5の端部の上面(黒鍵用キーガイド14の前部)には、
白鍵6および黒鍵7の左右方向(鍵の並び方向)への振
れを検出するためのアフタコントロールセンサユニット
18が配設されている。
【0016】白鍵6は先端部近傍から下方に延びるL型
のストッパ片6aを備えており、このストッパ片6aの
先端と白鍵6の先端との間に上限ストッパ15および下
限ストッパ16が配置されている。そして、白鍵6の先
端下面が下限ストッパ16に当接して下への回動が規制
されるとともに、ストッパ片6aの先端上面が上限スト
ッパ15に当接して上への回動が規制され、白鍵6は図
7の実線で示した位置と二点鎖線で示した位置の範囲内
に回動範囲が規制される。
【0017】同様に、黒鍵7も先端部近傍から下方に延
びるL型のストッパ片7aを備えており、このストッパ
片7aに対向して支持台5の下面に上限ストッパ17
が、支持台5の上面にアフタコントロールセンサユニッ
ト18が配置されている。そして、黒鍵7の先端下面7
bがアフタコントロールセンサユニット18に当接して
下への回動が規制されるとともに、ストッパ片7aの先
端上面が上限ストッパ17に当接して上への回動が規制
され、黒鍵7は図7の実線で示した位置と二点鎖線で示
した位置の範囲内に回動範囲が規制される。
【0018】また、白鍵用ハンマアーム11および黒鍵
用ハンマアーム12の先端部の下方には、ハンマ用の下
限ストッパ19が配設されており、白鍵用ハンマアーム
11および黒鍵用ハンマアーム12は、この下限ストッ
パ19と上限ストッパ17との範囲内に回動範囲が規制
される。
【0019】鍵支持部8とハンマ支持部9との間には、
各鍵に対応する復帰用バネ21が配設されている。な
お、図7では復帰用バネ21は黒鍵7および黒鍵用ハン
マアーム12について図示してあり、この復帰用バネ2
1は一方がアーム12の点P1に他方が黒鍵7の点P2
に付勢されて設けられ、主にP1側を時計方向に回転さ
せる弾性力(回転ベクトル)により黒鍵7は上に回動す
るように付勢されている。
【0020】なお、図には現れていないが、白鍵6およ
び白鍵用ハンマアーム11についても同様の復帰用バネ
によってそれぞれ上に回動するように付勢されている。
【0021】黒鍵7の側面には係合部7cが形成される
とともに、黒鍵用ハンマアーム12の側面には突起部1
2aが形成されており、黒鍵7を押鍵すると係合部7c
で黒鍵用ハンマアーム12の突起部12aを押下するの
で黒鍵用ハンマアーム12は黒鍵7と共動して押し下げ
られる。なお、白鍵6と白鍵用ハンマアーム11も同様
の構成になっており、白鍵6を押鍵すると白鍵用ハンマ
アーム11は白鍵6と共動して押し下げられる。このよ
うに、白鍵6とともに共動する白鍵用ハンマアーム11
および黒鍵7とともに共動する黒鍵用ハンマアーム12
はそれぞれ質量体として作用し、アコースティックピア
ノの鍵のタッチをシミュレートしたものとなっている。
【0022】ハンマ支持部9よりも手前側で支持台5の
裏面近傍には、樹脂の2色押出成形にて形成され、一対
の平行な弾性パイプと接点とで構成された時間差スイッ
チである2メークのイニシャルタッチセンサ22が配設
されており、このイニシャルタッチセンサ22は、黒鍵
用ハンマアーム12に取り付けられたアクチュエータ2
3によって第1メークスイッチ22aと第2メークスイ
ッチ22bがオンオフする。なお、図ではイニシャルタ
ッチセンサ22およびアクチュエータ23は黒鍵用ハン
マアーム12について示してあるが、白鍵用ハンマアー
ム11についても同様にイニシャルタッチセンサとアク
チュエータが配設されている。また、図7ではアクチュ
エータ23は押鍵状態、イニシャルタッチセンサ22は
非押鍵状態を示している。
【0023】図11はアクチュエータ23とイニシャル
タッチセンサ22の動作を説明する図であり、図11
(A) は非押鍵時、図11(B) は押鍵時を示している。ア
クチュエータ23は第1メークスイッチ22aと第2メ
ークスイッチ22bに対応する押圧部23a,23bを
備えている。そして、第2メークスイッチ22bおよび
第1メークスイッチ22aは、押圧部23bおよび押圧
部23aでそれぞれ押されると時間差を有してa,bの
順にオンとなり、押圧部23bおよび押圧部23aが離
れると時間差を有してb,aの順にそれぞれオフとな
る。
【0024】そして、第2メークスイッチ22bのオン
をキーオンと判定し、第1メークスイッチ22a(第2
メークスイッチ22bでも可)のオフをキーオフと判定
する。なお、第1メークスイッチ22aのオンから第2
メークスイッチ22bのオンまでの時間情報が押鍵速度
すなわちイニシャルタッチのデータとして用いられる。
【0025】図7に示したように、支持台5の下方には
アフタタッチセンサ24が配設されており、黒鍵用ハン
マアーム12および白鍵用ハンマアーム11が押下され
るとアフタタッチセンサ24で押圧力が検出され、この
押圧力の情報がアフタタッチの制御に用いられる。
【0026】白鍵6のアフタコントロールセンサユニッ
ト18に対応する位置には白鍵用押圧部6bが形成さ
れ、黒鍵7のアフタコントロールセンサユニット18に
対応する位置には黒鍵用押圧部7bが形成されている。
この白鍵用押圧部6bは白鍵6が押鍵されたときに、ま
た、黒鍵用押圧部7bは黒鍵7が押鍵されたときに、そ
れぞれアフタコントロールセンサユニット18に当接
し、さらに、各鍵を押圧することによりアフタコントロ
ールセンサユニット18に押圧力を加える。なお、上限
ストッパ15,17、下限ストッパ16はフェルトで形
成されており、白鍵6が押下されて下限ストッパ16に
当接してもこの白鍵6でアフタコントロールセンサユニ
ット18を押圧できるようになっている。
【0027】図8はアフタコントロールセンサユニット
18の拡大断面図である。このアフタコントロールセン
サユニット18は、フェルト製のダンパー181、ダン
パー181の下層に配設されたゴム製のパッド182お
よびセンサ部183で構成されており、パッド182に
は、センサ部183側にやや突状に形成した押圧部18
2aが形成されている。
【0028】また、センサ部183は、基板183a上
に電極183bとスペーサ183cを形成するととも
に、フレキシブル膜183dに感圧インク層183eと
スペーサ183fを形成したもので、スペーサ183
c,183fを突き合わせて電極183bに対向してこ
の電極183bの上部に僅かに間隙を隔てて感圧インク
層183eを配設したものである。なお、電極183b
も感圧インク層の電極としてもよい。また、電極183
bおよび感圧インク層183e以外の部分にはレジスト
が形成されており、このレジストを形成する同一工程で
スペーサ183c,183fを形成するようにしてい
る。
【0029】以上の構成により、白鍵6または黒鍵7が
押下されるとダンパー181で衝撃が吸収されるととも
に押圧力がパッド182に加えられ、パッド182の押
圧部182aがセンサ部183の感圧インク層183e
に押圧されて、感圧インク層183eが電極183bに
押圧される。そして、この押圧力に応じて感圧インク層
183eの導電性が著しくなりその抵抗値を減少させ
る。
【0030】図9はセンサ部183の電極183bと感
圧インク層183eの部分の平面図であり、感圧インク
層183e、白鍵6および黒鍵7は想像線(二点鎖線)
で示してある。アフタコントロールセンサユニット18
は、白鍵6および黒鍵7の下に黒鍵7の先端と白鍵6の
幅広部基端部とを中心として鍵の並ぶ方向に敷設された
ものであり、電極183bは、白鍵6および黒鍵7の各
鍵の左右端の直下に各鍵毎に一対づつ形成されている。
また、各電極183bに対向するように感圧インク層1
83eが形成されている。
【0031】以上のように、電極183bと感圧インク
層183eは各鍵に対して左右一対づつ配設された効果
制御用センサとしての感圧センサ183L,183Rを
構成しており、この感圧センサ183L,183Rは、
図示しないスキャン回路から所定電圧が印加されると感
圧インク層183eの抵抗値に応じて各押圧力に対応す
る信号を出力する。また、各感圧センサ183L,18
3Rは鍵押下方向に対して直角な方向(この実施例では
鍵の長さ方向に対しても直角な方向)に設けられてい
る。すなわち、該センサ対は鍵並び方向に連設されてい
る。
【0032】各感圧センサ183L,183Rは同一鍵
のものを一組にして各鍵について一組ずつスキャン回路
によってスキャンされる。図10は任意の鍵に対応する
一組の感圧センサ183L,183Rがスキャン回路に
よって選択された状態に相当する等価回路を示す回路図
である。感圧センサ183Lの出力はアンプ201で増
幅された後、差分値演算回路202で感圧センサ183
Rの出力との差がとられて差分信号として出力される。
【0033】また、和分値演算回路203で感圧センサ
183Lおよび183Rの和がとられて和分信号として
出力され、さらに、各感圧センサン183L,183R
の出力値が出力される。
【0034】上記差分信号の絶対値は、押鍵して指を振
らしたときの鍵の左右端部の押圧力の差に相当し、この
差分信号の絶対値が大きいときは指の傾き(鍵の各セン
サ押圧部が各センサに及ぼす力のアンバランス)が大き
いときであり、差分信号の絶対値が小さいときは指の傾
きが小さいときである。そして、この差分信号の変化の
周期に基づいてビブラートの効果制御を行う。
【0035】なお、この実施例では、各鍵に対応する一
対の感圧センサ183L,183Rの出力信号の差分値
からこの一対の感圧センサ183L,183Rの差の基
準値を求め、この基準値を更新設定しながら出力信号の
差分値の基準値からの偏差を求め、この偏差をビブラー
ト制御のセントずれのデータ(ピッチのずれ分)とす
る。これにより、感圧センサ183L,183Rのバラ
ツキを補正してビブラートの効果制御を行うことができ
る。
【0036】ここで、白鍵6を奏法様式を変えて押鍵し
たときのイニシャルタッチと感圧センサの出力値の関係
を測定すると図2のようになることが判明した。横軸は
図7におけるイニシャルタッチセンサ22の各接点が押
鍵にてメークする時間差から算出される押鍵速度を表し
ており、縦軸は感圧センサ(183L,183R)のい
ずれか一方または両方の和分出力値をppからffまで
にリニア変換(正比例させて変換)したものである。ま
た、図2に表れた各ドットは被験者が各奏法を意識して
図7の鍵盤装置を押下した場合のイニシャルタッチと感
圧センサとの両出力を2次元で1ドットとしてプロット
したものである。
【0037】すなわち、図2は押し弾き(テヌート奏
法)と標準弾きとについて測定を行ったものであり、イ
ニシャルタッチを固定した場合の2異種奏法での感圧セ
ンサの出力値にかなりのレベル差が生じたことを示して
いる。つまり、イニシャルタッチ(Touch)の値が
同じでも押し弾きの方が標準弾きよりも感圧センサの出
力値(AD)が大きくなっていることが判る。そこで、
感圧センサの出力値(AD)に対してITの関数である
所定の判定基準値TH(閾値)を設定すると、出力値
(AD)がこの判定基準値THを越えた場合に押し弾き
として検出し、越えなかった場合に標準弾きとして検出
することができる。上記関数は、例えばTH=a×IT
+b(aは横軸値に対する縦軸値の値(傾き)を表す定
数,bは定数であって、実験データから求められる。)
である。
【0038】そして、押し弾きの場合にはビブラートの
効果制御を可能とし、標準弾きの場合はビブラートの効
果制御を禁止する。このようにすると、押し弾きでは効
果制御が可能となり、逆に標準弾きでは効果制御が不可
となる。したがって、押し弾きで演奏しているときはビ
ブラートをかけることができ、かつ、標準弾きのときに
不用意にビブラートがかかることがない。
【0039】図1は本発明実施例の電子鍵盤楽器の要部
を示すブロック図であり、CPU10には、システムバ
ス(データバス,アドレスバス,コントロールバス)を
介してワーキングRAM20、プログラムROM30、
割込信号発生回路40、操作パネル50、感圧センサ群
183L,183Rに対するスキャン回路60、イニシ
ャルタッチ群22に対するスキャン回路70および制御
回路80aを含む楽音発生回路80が接続されている。
【0040】CPU10、ワーキングRAM20および
プログラムROM30はマイクロコンピュータを構成し
ており、CPU10はプログラムROM30に格納され
ている制御プログラムに基づいてワーキングRAM20
のワーキングエリアを使用して楽器全体の制御を行う。
【0041】割込信号発生回路40は、この実施例では
1μs周期の割込信号TINT1と2ms周期の割込信号TI
NT2をそれぞれ発生する回路であり、CPU10は、割
込信号TINT1による割込処理でイニシャルタッチセンサ
群22におけるオン/オフイベントの発生時刻などの時
間を管理するための時刻をカウントし、割込信号TINT2
による割込処理でスキャン回路60を介して感圧センサ
群183L,183Rを走査してその検出信号に基づく
効果制御の処理を行う。
【0042】操作パネル50は音色を選択するための音
色スイッチ等の各種操作スイッチを備えたものであり、
ビブラート深さを変更設定するアップダウンスイッチ等
のこれに属する。CPU10はこの操作パネル50とイ
ニシャルタッチセンサ群22を制御プログラムのメイン
ルーチンのループで走査し、操作パネル50における操
作イベント、イニシャルタッチ群22におけるオン/オ
フイベントを検出して各イベントに応じた処理を行う。
【0043】楽音発生回路80は、制御回路80aと音
源(TG)80bを備えており、制御回路80aはCP
U10から供給されるキーコードとビブラートにおける
ピッチの変化を示す効果制御データとを基に演算を行っ
てピッチ指示データとしての音高データを生成し、音源
80bに出力する。また、制御回路80aは操作パネル
50で設定された音色データに基づいて複数のパラメー
タを変更設定する。さらに、押鍵時のイニシャルタッチ
センサ,感圧センサのデータからCPU10により算出
された奏法決定データB(k)が入力されることにより、こ
のデータに応じてビブラート等の効果制御を禁止または
有効にするかどうかも制御回路80aにより制御され
る。そして、音源80bは制御回路80aから出力され
るデータに基づいて楽音信号を発生し、この楽音信号は
D/A変換器90でアナルグ信号に変換され、サウンド
システム100で増幅されて楽音として発生される。
【0044】図3は制御プログラムのメインルーチンの
フローチャート、図4は時刻をカウントする割込処理ル
ーチンのフローチャート、図5は効果制御を行う割込処
理ルーチンのフローチャートであり、各フローチャート
に基づいて実施例の動作を説明する。なお、以下の説明
および各フローチャートにおいて、制御に用いられる各
レジスタおよびフラグを下記のラベルで表記し、それら
の記憶内容は特に断らない限り同一のラベルで表す。
【0045】T :時刻をカウントするレジスタ k :1番から88番までの各鍵の鍵番号を格納するレジ
スタ KC:イベントの有った鍵のキーコードを格納するレジス
タ IT(k) :鍵番号k についての接点時間差スイッチ(イニ
シャルタッチセンサ)の各スイッチメイク時間間隔から
算出されるイニシャルタッチデータを格納するレジスタ SL(k) :鍵番号k についての左側の感圧センサ183L
の出力値を格納するレジスタ SR(k) :鍵番号k についての右側の感圧センサ183R
の出力値を格納するレジスタ SDI(k):鍵番号k についての感圧センサ183L,18
3Rの差分値を格納するレジスタ SSA(k):鍵番号k についての感圧センサ183L,18
3Rの和分値を格納するレジスタ A(k):和分値SSA(k)についての極大値検出を示すフラグ B(k):鍵番号k についての効果制御を有効とするか無効
(禁止)とするかを判別するフラグ SSa(K):和分値SSA(k)の前の極大値を退避するレジスタ TH(k) :鍵番号k についてのイニシャルタッチを関数と
する変数であって、TH(k) =a×IT(k) +bで表され
る。a,bは定数。 SDIREF(k) :差分値SDI(k)に対する基準値を格納するレ
ジスタ SDITRM(k) :基準値SDIREF(k) に対する差分値SDI(k)の
偏差(感圧センサ183L,183Rのバラツキを補正
した差分値)を格納するレジスタ
【0046】電源の投入によって図3のメインルーチン
の処理を開始すると、ステップS1で各レジスタのリセ
ット等の初期設定を行い、ステップS2で鍵盤のイニシ
ャルタッチ処理および/またはキーオフ処理を行う。す
なわち、全鍵のイニシャルタッチセンサ22の第1メー
クスイッチ22aおよび第2メークスイッチ22bをス
キャンし、オン/オフイベントのある鍵のキーコードKC
と、第1メークスイッチ22aのオン/オフ(1M/1
R)および第2メークスイッチ22bのオン/オフ(2
M/2R)の種別と各イベントの発生時刻T とをバッフ
ァレジスタに一時取り込んだ後、2M(第2メークスイ
ッチ22bのオンイベント)発生時に1MのT,2Mの
Tから各鍵のイニシャルタッチデータIT(時間の逆数
値)を算出し、バッファレジスタ中にあるキーデータの
セット(KC,IT,KON )を楽音発生回路80に送出する
とともに、1R(第1メークスイッチ22aのオフイベ
ント)発生時にレジスタ中にあるキーデータのセット
(KC,KOF )を楽音発生回路80に送出し、各レジスタ
(KC,IT,KOF )をクリアする。
【0047】ステップS2で処理が終了すると、ステッ
プS3でその他の処理を行い、例えば、操作パネルの音
色スイッチ等がオンされたらどの音色の音色スイッチが
押されたかを示す種別信号を楽音発生回路80に送出し
て音色を設定変更する。また、他の操作スイッチが操作
されたその操作に応じた処理を行う。なお、この操作パ
ネルの処理で、アップダウンスイッチ等の操作に応じて
ビブラート深さの最大値の設定等を行い、このビブラー
ト深さの最大値に応じて楽音発生回路80に出力する効
果制御データに重みをつけるようにするとよい。これら
のその他の処理が終了するとステップS2に戻る。
【0048】以上、ステップS2の処理により、楽音発
生回路80は設定された音色で、押鍵された鍵に対応す
る音高の楽音信号を発生して発音処理を行うとともに、
離鍵された鍵に対応する楽音信号を停止して消音処理を
行う。
【0049】図4の割込み処理は割込信号発生回路40
からの割込信号TINT1により1μs周期で起動され、先
ず、ステップS11で時刻をカウントするレジスタT の
内容をインクリメントし、ステップS12でレジスタT
の記憶内容が所定値に達しているか否かを判定し、所定
値に達していなければ元のルーチンに復帰し、所定値に
達していればステップS13でレジスタT を“0”にリ
セットして元のルーチンに復帰する。
【0050】図5の割込み処理は割込信号発生回路40
からの割込信号TINT2により2ms周期で起動され、ス
テップS21での鍵番号k のインクリメントが行われ、
ステップS24以降の処理が全鍵88鍵分行われるとス
テップS22の判定処理においてk が88を越えるので
ステップS23によりk をリセット処理し、元のルーチ
ンに復帰する。k が小さい間は、ステップS24にてk
=1 の鍵から順にイニシャルタッチIT(k) が存在するか
どうかを判定し、存在するときのみステップS25以降
の処理を行う。
【0051】すなわち、イニシャルタッチデータが、各
鍵につき存在しているかの判定を行い、該データがゼロ
であればその鍵をステップS21,S22を介してスキ
ップし、該データの存在を検知すると次のステップS2
5に進む。
【0052】ステップS25では、現在の鍵番号k に対
応する感圧センサ183Lの出力値をレジスタSL(k) に
取り込むとともに感圧センサ183Rの出力値をレジス
タSR(k) に取り込む。また、ステップS26で現在の鍵
番号k に対応する感圧センサ183L,183Rの差分
値をレジスタSDI(k)に取り込み、さらに、ステップS2
7で、現在の鍵番号k に対応する感圧センサ183L,
183Rの和分値をレジスタSSA(k)に取り込みステップ
S28に進む。
【0053】ステップS28では、感圧センサ183L
の出力値SL(k) の絶対値または感圧センサ183Rの出
力値SR(k) の絶対値が所定値を越えているか否かを判定
する。この判定は感圧センサに力が加えられているか否
かを判定するものである。
【0054】ステップS28で絶対値“|SL(k) |”お
よび絶対値“|SR(k) |”のどちらも所定値を越えてい
なければステップS29に進み、ステップS29で極大
値が検出されていないことを示すフラグA(k)を“0”
に,効果制御有効フラグB(k)を“0”にしてステップS
21に戻る。このA(k)フラグは感圧センサ非押圧状態で
あることも同時に示している。すなわち、感圧センサ非
押圧状態では効果制御を禁止している。
【0055】感圧センサが押圧されるとステップS20
1で和分値SSA(k)が極大値であるか否かを判定し、極大
値であればステップS202に進み、極大値でなければ
ステップS210に進む。
【0056】ステップS202では極大値が検出された
のでフラグA(k)を“1”にし、ステップS203で和分
値SSA(k)が前回極大値と判定された和分値SSa(k)(初回
は“0”)より大きいか否かを判定し、大きくなければ
ステップS210に進み、大きければ、ステップS20
4でレジスタSSa(k)の内容を和分値SSA(k)で書き換え、
ステップS205でそのときの差分値SDI(k)を基準値と
してレジスタSDIREF(k) に格納してステップS206に
進む。
【0057】ステップS206では感圧センサの和分値
SSA(k)が、押鍵初期時の最初の極大値を向かえたか否か
が判定され、向かえていなければステップS210に進
む。和分値SSA(k)がが最初の極大値になると判定基準値
TH(k) の計算がステップS207でTH(k) =a×IT(k)
+bの計算式にて計算される。その結果ステップS20
8で和分値SSA(k)が該TH(k) の値より小さければ、標準
奏法と判定され、大きければ押し弾き奏法と判定され、
ステップS209にて押し弾き奏法であったことを示す
フラグB(k)を“1”とする。そして、このデータを楽音
発生回路の制御回路80aに送る。ステップS208の
判定においてSSA(k)の代わりにL,R感圧センサのいず
れかの出力値であってもよい。
【0058】なお、この実施例では、以上のステップS
202〜ステップS205の処理により、検出される和
分値SSA(k)の極大値が最大値となったときの差分値SDI
(k)が基準値としてレジスタSDIREF(k) に格納され、ス
テップS211以降で、この基準値SDIREF(k) を基に差
分値SDI(k)を補正してビブラート制御のセントずれのデ
ータが生成される。
【0059】ステップS210では、フラグ A(k) が
“1”であるか否かを判定し、このフラグ A(k) が
“1”でなければ和分値SSA(k)の極大値が検出されてい
ないので、ステップS21に戻り、フラグ A(k) が
“1”であれば和分値SSA(k)の極大値が検出された後で
基準値SDIREF(k) が設定されているので、ステップS2
11に進む。
【0060】そして、ステップS211では、現在の差
分値SDI(k)と基準値SDIREF(k) との差分の絶対値が所定
値より大きいか否かを判定し、大きくなければ和分値が
極大値をとったときの差分値と現在の差分値があまり変
化していない、すなわち左右に鍵が振られていないこと
を意味するので差分値データはそのままにして、ステッ
プS13で和分値のみSSA(k)/2として楽音発生回路8
0に送り、ステップS21に戻る。なお、このセンサ出
力の平均値は楽音発生回路80においてビブラートの深
さの値として制御に用いられる。
【0061】ステップS211の判定が肯定的(Y)で
あればステップS212で、差分値SDI(k)と基準値SDIR
EF(k) との差分をレジスタSDITRM(k) に格納し、この差
分SDITRM(k) を楽音発生回路80に送り、ステップS2
13でSSA(k)/2を楽音発生回路80に送り、ステップ
S21に戻る。なお、この差分SDITRM(k) は基準値SDIR
EF(k) に対する差分値SDI(k)の偏差であり、楽音発生回
路80はこの偏差をビブラート制御のセントずれのデー
タとしてピッチの制御を行う。すなわち、左右の感圧セ
ンサの感度が例えば少し異なっていたとしても、この誤
差は、ステップS211,S212の処理により相殺さ
れ、表面上表れないメリットがある。
【0062】図6は実施例における感圧センサ183
L,183Rの出力である出力値SL(k),SR(k) の変化を
折れ線で示した一例を示す図である。この例では左側の
感圧センサ183Lの方が右側の感圧センサ183Rよ
りも感度が高い場合を示している。このように各センサ
出力がアンバランスになることが多い。これは、現在の
センサ製造技術もさることながら、鍵盤装置も含めたア
センブル体として見た場合に、各々の部品精度、部品組
込精度を上げることがむづかしい、というよりは、精度
を上げることによるコスト高より、本件開示の制御技術
で解決した方がコストを抑えることができることに起因
している。
【0063】押鍵前は両感圧センサ183L,183R
の出力はいずれも“0”であるが、鍵を直下に押鍵する
と、両感圧センサ183L,183Rの出力値が増加し
てある深さの所まで達するが、両感圧センサ183L,
183Rの感度(上記アセンブル体の影響も否定できな
いが、説明簡単のためセンサ感度とする。)の違いによ
り感圧センサ183Lの出力値の方が感圧センサ183
Rの出力値より大きく増加する。
【0064】そして、鍵を振らないで両感圧センサ18
3L,183Rに対して同時に同じ方向に力が加わる場
合は、押圧力が僅かに変化しても両感圧センサ183
L,183Rの出力の差は略一定の値を保つが、時刻t
1以降に鍵を振って両感圧センサ183L,183Rへ
の力が逆方向となる場合は、感圧センサ183Lの出力
と感圧センサ183Rの出力とは逆方向に変化する。
【0065】このとき、例えば感圧センサ183Lの出
力値から感圧センサ183Rの出力値を減算した値が差
分値SDI(k)であるとすると、この差分値SDI(k)は図6の
折れ線αのように変化し、その絶対値は鍵に対して左に
振ったときの方が右に振ったときよりかなり大きくな
る。このため、この差分値SDI(k)をそのままビブラート
制御のセントずれのデータとすると、効果の付き方が左
に偏ることになる。
【0066】しかし、この実施例のように、和分値SSA
(k)の最初の極大値が検出されたときの差分値SD0(k)を
基準値SDIREF(k) として、この基準値SDIREF(k) に対す
る差分値SDI(k)の偏差である差分SDITRM(k) を求める
と、この差分SDITRM(k) は図6の折れ線βのようにな
り、この差分SDITRM(k) をビブラート制御のセントずれ
の効果制御データとしてピッチの制御を行うと、効果の
付き方が左右片方に偏らなくなる。この実施例では、最
初の和分値SSA(k)のピークの差分値を基準値に選んだ
が、複数回おとずれる極大値を更新して最も新しい極大
値になった時(t2)の差分値SD1 を基準に選んでもよ
い。また、上記の基準値SDIREF(k) は、いずれか一方の
感圧センサの出力値が極大値となったときに更新するよ
うにしてもよい。
【0067】また、このような差分値の基準値は各鍵毎
に記憶されるので、各感圧センサのバラツキによる影響
を低減して一対の感圧センサの差分を効果制御に適用す
ることができる。
【0068】以上実施例について説明したが、白鍵およ
び黒鍵は回動自在に支持されたものに限らず、鍵全体が
上下に平行移動する所謂パンタグラフ型の鍵あるいは鍵
の長手方向にスライドするようなものでもよい。
【0069】また、上記の各実施例では効果制御の対象
としてビブラートについて説明したが、トレモロ,リバ
ーブなどその他の効果を対象にすることもできる。
【0070】さらに、上記の実施例ではイニシャルタッ
チと感圧センサの出力値とに基づいて奏法様式を検出し
たが、感圧センサの出力値と判定基準値(定数)とを比
較して奏法様式を検出するようにしても、通常タッチの
演奏においては支障なく奏法検出ができるので、この検
出結果に基づいて効果制御の禁止と可能を制御するよう
にしてもよい。
【0071】また、前記実施例において、奏法様式を検
出するのに鍵下に配設され押鍵終了近傍から鍵下面7b
の押圧によってセンスされる感圧センサが重要な役割を
果たしたが、これに代わって、鍵連動ハンマアーム11
(12)の支点部9から離れたところにもうけられたグ
レースケールフィルムGSとこのフィルムの濃淡をセン
スするフォトセンサSRとからなるアーム変位態様監視
検出記(フィルムは上下に連続して濃度(透光率)が変
化している。)で逐次変化するハンマアームの動きを検
出し、この変化態様をもとに奏法を検出し、これにて効
果制御するようにしてもよい(図7参照)。
【0072】本発明の出願人において奏法のちがいでこ
の態様が変化することを実験でつきとめた。すなわち、
特に押し弾きにおいてハンマアームから動き始めてから
2〜10ms付近で非線型変化(横軸時刻,縦軸ストロ
ーク)を起こすことがわかった。これは押し弾きにおけ
るハンマアーム加速度(速度)の変化が著しいことおよ
びアームの突起部12aがゴム等の弾性部材をを当接部
の下に介在させていること等で、押鍵初期に非線型を起
こすものと思われる。この非線型変化は標準弾きではか
なり強い領域まで表れない。また表れたとしてもそのパ
ターンが押し弾きと異なる。一言で表現するなら、押し
弾きパターンはS字カーブになるのに対し、標準弾きパ
ターンはほとんどが直線で強いタッチにおいて下に凸の
曲線となる。このパターンもしくはパターンの一部の特
徴を検出することにより、押鍵のかなり早い段階で奏法
検出が可能となり、これにより効果制御も早い段階で可
能となる。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように本発明の電子鍵盤楽
器によれば、複数の鍵の各押下操作により各鍵に対応し
た音高の楽音を発生するとともに、鍵のタッチ操作に応
じて楽音の効果制御を行うようにした電子鍵盤楽器にお
いて、鍵を押下操作する奏法様式を検出する奏法検出手
段を備え、この奏法検出手段で検出された奏法様式に応
じて、前記鍵のタッチ操作で行われる前記各鍵対応の音
高を有する楽音の効果制御を禁止または可能にするよう
にしたので、例えば押し弾きのときにビブラートをかけ
ることができ、かつ、標準弾きのときに不用意にビブラ
ートがかかるのを防止できるなど、演奏者の意思に則し
た効果制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の電子鍵盤楽器の要部を示すブ
ロック図である。
【図2】実施例における奏法に応じたイニシャルタッチ
と感圧センサの出力値の関係を示す図である。
【図3】実施例における制御プログラムのメインルーチ
ンのフローチャートである。
【図4】実施例における時刻をカウントする割込処理ル
ーチンのフローチャートである。
【図5】実施例における効果制御を行う割込処理ルーチ
ンのフローチャートである。
【図6】実施例における感圧センサの出力の一例を示す
図である。
【図7】実施例の電子鍵盤楽器における鍵盤装置の断面
図である。
【図8】実施例におけるアフタコントロールセンサユニ
ットの拡大断面図である。
【図9】実施例における電極と感圧インク層の部分の平
面図である。
【図10】実施例における感圧センサがスキャンされた
状態に相当する等価回路を示す回路図である。
【図11】実施例におけるアクチュエータとイニシャル
タッチセンサの動作を説明する図である。
【符号の説明】
6…白鍵、7…黒鍵、10…CPU、20…ワーキング
メモリ、30…プログラムメモリ、183L,183R
…感圧センサ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の鍵の各押下操作により各鍵に対応
    した音高の楽音を発生するとともに、鍵のタッチ操作に
    応じて楽音の効果制御を行うようにした電子鍵盤楽器に
    おいて、 前記鍵を押下操作する奏法様式を検出する奏法検出手段
    を備え、 前記奏法検出手段で検出された奏法様式に応じて、前記
    鍵のタッチ操作で行われる前記各鍵対応の音高を有する
    楽音の効果制御を禁止または可能にするようにしたこと
    を特徴とする電子鍵盤楽器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8729377B2 (en) 2011-03-08 2014-05-20 Roland Corporation Generating tones with a vibrato effect
EP4092667A1 (en) * 2021-05-21 2022-11-23 Casio Computer Co., Ltd. Electronic musical instrument, electronic musical instrument controlling method and non-transitory computer-readable storage medium

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