JPH08285995A - 放射性廃棄物の固化処理方法 - Google Patents
放射性廃棄物の固化処理方法Info
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- JPH08285995A JPH08285995A JP9385795A JP9385795A JPH08285995A JP H08285995 A JPH08285995 A JP H08285995A JP 9385795 A JP9385795 A JP 9385795A JP 9385795 A JP9385795 A JP 9385795A JP H08285995 A JPH08285995 A JP H08285995A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】溶解性の無機化合物を主成分とする放射性廃棄
物を、C−14の分配係数を安全基準値以上に確保しつ
つ、減容性良く処分できる放射性廃棄物の固化処理方法
を提供する。 【構成】ペレット充填量が50kgの場合はB/(A+
B)=0,0.10の場合で、C−14分配係数は、安
全基準値を下回る結果が得られる。これは、ペレット充
填量の増加に伴い、水に溶出する硫酸イオンSO4 2-の
量が増加し、炭酸イオンCO3 2-の形態でのC−14の
固化体への吸着を妨害したからである。そして、高炉ス
ラグを添加しその配合割合を増加させていくと、C−1
4の分配係数は向上し、ピーク値を迎えた後に減少に転
じ、B/(A+B)=0.90では安全基準値を下回
る。したがって、安全基準値より高い値が得られる領域
は、0.20≦B/(A+B)≦0.80である。ペレ
ット充填量が200kgの場合は、さらに0.30≦B
/(A+B)≦0.60に限定される。
物を、C−14の分配係数を安全基準値以上に確保しつ
つ、減容性良く処分できる放射性廃棄物の固化処理方法
を提供する。 【構成】ペレット充填量が50kgの場合はB/(A+
B)=0,0.10の場合で、C−14分配係数は、安
全基準値を下回る結果が得られる。これは、ペレット充
填量の増加に伴い、水に溶出する硫酸イオンSO4 2-の
量が増加し、炭酸イオンCO3 2-の形態でのC−14の
固化体への吸着を妨害したからである。そして、高炉ス
ラグを添加しその配合割合を増加させていくと、C−1
4の分配係数は向上し、ピーク値を迎えた後に減少に転
じ、B/(A+B)=0.90では安全基準値を下回
る。したがって、安全基準値より高い値が得られる領域
は、0.20≦B/(A+B)≦0.80である。ペレ
ット充填量が200kgの場合は、さらに0.30≦B
/(A+B)≦0.60に限定される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、放射性廃棄物の固化処
理方法に係わり、特に、硫酸ナトリウムなどの溶解性の
無機化合物を主成分とする放射性廃棄物の固化処理方法
に関する。
理方法に係わり、特に、硫酸ナトリウムなどの溶解性の
無機化合物を主成分とする放射性廃棄物の固化処理方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所など、放射性物質取扱い施
設から発生する放射性廃棄物のうち、硫酸ナトリウム、
塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等
の溶解性無機化合物を主成分とする濃縮廃液は、従来、
廃棄物固化体200L当たり無機化合物の充填量が20
kg程度となるようにセメント系固化材と直接混練を行
ってドラム缶等に充填する、いわゆる均質固化法により
安定に固化処理されている。
設から発生する放射性廃棄物のうち、硫酸ナトリウム、
塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等
の溶解性無機化合物を主成分とする濃縮廃液は、従来、
廃棄物固化体200L当たり無機化合物の充填量が20
kg程度となるようにセメント系固化材と直接混練を行
ってドラム缶等に充填する、いわゆる均質固化法により
安定に固化処理されている。
【0003】一方、廃棄物の減容性を向上するために、
例えば特公昭58−2638号公報に示されているよう
に、濃縮廃液をペレット固化・仮焼固化などの方法で減
容処理することが提唱されており、将来は、この減容処
理した濃縮廃液を安全な方法で固形化処理した後に陸地
処分することが考えられている。この場合、セメント系
固化材により固形化処理を行うとすると、ペレット化し
た放射性廃棄物の廃棄物充填量は、最大で固化体200
L当たり200kg程度の充填が可能となり、上述した
均質固化法に比べて減容性が大幅に向上する。
例えば特公昭58−2638号公報に示されているよう
に、濃縮廃液をペレット固化・仮焼固化などの方法で減
容処理することが提唱されており、将来は、この減容処
理した濃縮廃液を安全な方法で固形化処理した後に陸地
処分することが考えられている。この場合、セメント系
固化材により固形化処理を行うとすると、ペレット化し
た放射性廃棄物の廃棄物充填量は、最大で固化体200
L当たり200kg程度の充填が可能となり、上述した
均質固化法に比べて減容性が大幅に向上する。
【0004】このような陸地処分の対象となる廃棄物固
化体において、放射性核種を長期間にわたり安定な状態
で固化体内に保持することを目的として、非晶質シリカ
系添加材を加えて浸出を抑制する公知技術として、例え
ば、以下のものがある。 特開昭61−215999号公報 この公知技術は、低・中レベル放射性廃棄物に、各種ポ
ルトランドセメント等のセメント質物質・シリカダスト
等の超微粉・ナフタリンスルホン酸ホルムアルデヒド等
の高性能減水剤・水を加えて固化処理を行い、このとき
超微粉の使用量を、例えばセメント質物質60〜90重
量部に対し5〜40重量部とするものである。これによ
って、処理能力が大きく、浸出性の低い、耐候性の固化
体を得ることができる。
化体において、放射性核種を長期間にわたり安定な状態
で固化体内に保持することを目的として、非晶質シリカ
系添加材を加えて浸出を抑制する公知技術として、例え
ば、以下のものがある。 特開昭61−215999号公報 この公知技術は、低・中レベル放射性廃棄物に、各種ポ
ルトランドセメント等のセメント質物質・シリカダスト
等の超微粉・ナフタリンスルホン酸ホルムアルデヒド等
の高性能減水剤・水を加えて固化処理を行い、このとき
超微粉の使用量を、例えばセメント質物質60〜90重
量部に対し5〜40重量部とするものである。これによ
って、処理能力が大きく、浸出性の低い、耐候性の固化
体を得ることができる。
【0005】特開平6−56494号公報 この公知技術は、放射性廃棄物に、早強ポルトランドセ
メント等の結合材40〜50重量部・フライアッシュ等
の流動化材3〜10重量部・川砂等の骨材35〜55重
量部等を加えて固化処理を行うことにより、放射性核種
をゼオライトが吸着した状態で保持し、かつ万一地下水
が浸透しても溶解した廃棄物を吸着して流出を防止する
ものである。
メント等の結合材40〜50重量部・フライアッシュ等
の流動化材3〜10重量部・川砂等の骨材35〜55重
量部等を加えて固化処理を行うことにより、放射性核種
をゼオライトが吸着した状態で保持し、かつ万一地下水
が浸透しても溶解した廃棄物を吸着して流出を防止する
ものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、陸地処分の対
象となる廃棄物固化体は、放射性核種を長期間にわたり
固化体内に保持するとき、それぞれの放射性核種につい
て保持性能の安全基準値が設けられている。すなわち、
固化体を陸地処分した後、処分場に水が侵入してきた場
合の固化体から水への放射性核種の漏洩量を、保持性能
の指標である分配係数を用いて規定している。この分配
係数は、微粉末状にした廃棄物固化体を水中で撹拌し定
常状態となった後、 分配係数=固化体中の放射性核種濃度/水中の放射性核種濃度 (1 ) により求められるもので、この値が大きいほど固化体の
放射性核種保持性能が高いと判断することが一般的であ
る。
象となる廃棄物固化体は、放射性核種を長期間にわたり
固化体内に保持するとき、それぞれの放射性核種につい
て保持性能の安全基準値が設けられている。すなわち、
固化体を陸地処分した後、処分場に水が侵入してきた場
合の固化体から水への放射性核種の漏洩量を、保持性能
の指標である分配係数を用いて規定している。この分配
係数は、微粉末状にした廃棄物固化体を水中で撹拌し定
常状態となった後、 分配係数=固化体中の放射性核種濃度/水中の放射性核種濃度 (1 ) により求められるもので、この値が大きいほど固化体の
放射性核種保持性能が高いと判断することが一般的であ
る。
【0007】ここで、本願発明者等は、溶解性の無機化
合物(硫酸ナトリウム・塩化ナトリウム・硝酸ナトリウ
ム・ホウ酸ナトリウム等)を主成分とする放射性廃棄物
において、上述したように減容処理を行った後にセメン
ト系の固化材を用いて固型化処理し、廃棄物充填量を均
質固化法に比べて増加させたときの分配係数を測定する
実験を行った。その結果、作成された固化体のC−14
分配係数が安全基準値である500(mL/g)を満た
さず、陸地処分に適さない場合があることを知見した。
合物(硫酸ナトリウム・塩化ナトリウム・硝酸ナトリウ
ム・ホウ酸ナトリウム等)を主成分とする放射性廃棄物
において、上述したように減容処理を行った後にセメン
ト系の固化材を用いて固型化処理し、廃棄物充填量を均
質固化法に比べて増加させたときの分配係数を測定する
実験を行った。その結果、作成された固化体のC−14
分配係数が安全基準値である500(mL/g)を満た
さず、陸地処分に適さない場合があることを知見した。
【0008】そこで、固化体から水への放射性核種C−
14の漏洩量を低減する観点から、上記公知技術を
適用して浸出を抑制することが考えられるが、この場合
には、以下のような問題点が存在する。すなわち、公知
技術においては、高性能減水材を用い緻密な固化体を
作成して多孔質の穴・亀裂等を少なくすることにより、
放射性核種の拡散を抑えて浸出性を抑制することを主眼
としている。したがって、放射性核種の吸着促進による
浸出低減に関する配慮はなく、その吸着性能の指標であ
る分配係数に関する記載もない。よって分配係数を安全
基準値以上に向上させるための手段としては不適当であ
る。
14の漏洩量を低減する観点から、上記公知技術を
適用して浸出を抑制することが考えられるが、この場合
には、以下のような問題点が存在する。すなわち、公知
技術においては、高性能減水材を用い緻密な固化体を
作成して多孔質の穴・亀裂等を少なくすることにより、
放射性核種の拡散を抑えて浸出性を抑制することを主眼
としている。したがって、放射性核種の吸着促進による
浸出低減に関する配慮はなく、その吸着性能の指標であ
る分配係数に関する記載もない。よって分配係数を安全
基準値以上に向上させるための手段としては不適当であ
る。
【0009】また、公知技術においては、放射性核種
のうち、セシウム−133及びストロンチウム−85に
関しては分配係数を向上させているが、その他の核種に
ついては分配係数向上手段の開示がなく単に水密性の向
上による浸出低減が示唆されるにとどまっている。よっ
てC−14の分配係数を安全基準値以上に向上させるた
めの手段としては不適当である。
のうち、セシウム−133及びストロンチウム−85に
関しては分配係数を向上させているが、その他の核種に
ついては分配係数向上手段の開示がなく単に水密性の向
上による浸出低減が示唆されるにとどまっている。よっ
てC−14の分配係数を安全基準値以上に向上させるた
めの手段としては不適当である。
【0010】本発明の目的は、溶解性の無機化合物を主
成分とする放射性廃棄物を、C−14の分配係数を安全
基準値以上に確保しつつ、減容性良く処分できる放射性
廃棄物の固化処理方法を提供することである。
成分とする放射性廃棄物を、C−14の分配係数を安全
基準値以上に確保しつつ、減容性良く処分できる放射性
廃棄物の固化処理方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の概念によれば、溶解性の無機化合物
を含有する放射性廃棄物を、普通ポルトランドセメント
及び非晶質シリカ系添加材を含有するセメント系固化材
を用いて固化処理する放射性廃棄物の固化処理方法にお
いて、前記セメント系固化材として、前記普通ポルトラ
ンドセメントの重量をA、前記非晶質シリカ系添加材の
重量をBとしたときに、0.20≦B/(A+B)≦
0.80であるものを使用することを特徴とする放射性
廃棄物の固化処理方法が提供される。
に、本発明の第1の概念によれば、溶解性の無機化合物
を含有する放射性廃棄物を、普通ポルトランドセメント
及び非晶質シリカ系添加材を含有するセメント系固化材
を用いて固化処理する放射性廃棄物の固化処理方法にお
いて、前記セメント系固化材として、前記普通ポルトラ
ンドセメントの重量をA、前記非晶質シリカ系添加材の
重量をBとしたときに、0.20≦B/(A+B)≦
0.80であるものを使用することを特徴とする放射性
廃棄物の固化処理方法が提供される。
【0012】好ましくは、前記放射性廃棄物の固化処理
方法において、前記セメント系固化材として、前記普通
ポルトランドセメントの重量をA、前記非晶質シリカ系
添加材の重量をBとしたときに、0.30≦B/(A+
B)≦0.60であるものを使用することを特徴とする
放射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
方法において、前記セメント系固化材として、前記普通
ポルトランドセメントの重量をA、前記非晶質シリカ系
添加材の重量をBとしたときに、0.30≦B/(A+
B)≦0.60であるものを使用することを特徴とする
放射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
【0013】また好ましくは、前記放射性廃棄物の固化
処理方法において、前記セメント系固化材として、前記
普通ポルトランドセメントの重量をA、前記非晶質シリ
カ系添加材の重量をBとしたときに、0.40≦B/
(A+B)≦0.55であるものを使用することを特徴
とする放射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
処理方法において、前記セメント系固化材として、前記
普通ポルトランドセメントの重量をA、前記非晶質シリ
カ系添加材の重量をBとしたときに、0.40≦B/
(A+B)≦0.55であるものを使用することを特徴
とする放射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
【0014】さらに好ましくは、前記放射性廃棄物の固
化処理方法において、前記無機化合物は、硫酸ナトリウ
ム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、及びホウ酸ナト
リウムのうち少なくとも1つであることを特徴とする放
射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
化処理方法において、前記無機化合物は、硫酸ナトリウ
ム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、及びホウ酸ナト
リウムのうち少なくとも1つであることを特徴とする放
射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
【0015】また好ましくは、前記放射性廃棄物の固化
処理方法において、前記非晶質シリカ系添加材は、高炉
スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームのうち少
なくとも1つであることを特徴とする放射性廃棄物の固
化処理方法が提供される。
処理方法において、前記非晶質シリカ系添加材は、高炉
スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームのうち少
なくとも1つであることを特徴とする放射性廃棄物の固
化処理方法が提供される。
【0016】さらに、上記目的を達成するために、本発
明の第2の概念によれば、溶解性の無機化合物を含有す
る放射性廃棄物を減容処理した後、普通ポルトランドセ
メント及び非晶質シリカ系添加材が、前記普通ポルトラ
ンドセメントの重量をA、前記非晶質シリカ系添加材の
重量をBとしたときに、0.20≦B/(A+B)≦
0.80となるように含有されているセメント系固化材
を用いて、前記減容処理された放射性廃棄物を固化処理
することを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法が提
供される。
明の第2の概念によれば、溶解性の無機化合物を含有す
る放射性廃棄物を減容処理した後、普通ポルトランドセ
メント及び非晶質シリカ系添加材が、前記普通ポルトラ
ンドセメントの重量をA、前記非晶質シリカ系添加材の
重量をBとしたときに、0.20≦B/(A+B)≦
0.80となるように含有されているセメント系固化材
を用いて、前記減容処理された放射性廃棄物を固化処理
することを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法が提
供される。
【0017】好ましくは、前記放射性廃棄物の固化処理
方法において、前記減容処理として、ペレット固化及び
仮焼固化のうちいずれか一方の処理を施すことを特徴と
する放射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
方法において、前記減容処理として、ペレット固化及び
仮焼固化のうちいずれか一方の処理を施すことを特徴と
する放射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
【0018】また、上記目的を達成するために、本発明
の第3の概念によれば、硫酸ナトリウムを含有する放射
性廃棄物をペレット固化した後、普通ポルトランドセメ
ント及び高炉スラグが、前記普通ポルトランドセメント
の重量をA、前記高炉スラグの重量をBとしたときに、
0.30≦B/(A+B)≦0.60となるように含有
されているセメント系固化材を用いて、前記ペレット固
化された放射性廃棄物を固化処理することを特徴とする
放射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
の第3の概念によれば、硫酸ナトリウムを含有する放射
性廃棄物をペレット固化した後、普通ポルトランドセメ
ント及び高炉スラグが、前記普通ポルトランドセメント
の重量をA、前記高炉スラグの重量をBとしたときに、
0.30≦B/(A+B)≦0.60となるように含有
されているセメント系固化材を用いて、前記ペレット固
化された放射性廃棄物を固化処理することを特徴とする
放射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
【0019】さらに、上記目的を達成するために、本発
明の第4の概念によれば、塩化ナトリウムを含有する放
射性廃棄物を仮焼固化した後、普通ポルトランドセメン
ト及びフライアッシュが、前記普通ポルトランドセメン
トの重量をA、前記フライアッシュの重量をBとしたと
きに、0.30≦B/(A+B)≦0.60となるよう
に含有されているセメント系固化材を用いて、前記仮焼
固化された放射性廃棄物を固化処理することを特徴とす
る放射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
明の第4の概念によれば、塩化ナトリウムを含有する放
射性廃棄物を仮焼固化した後、普通ポルトランドセメン
ト及びフライアッシュが、前記普通ポルトランドセメン
トの重量をA、前記フライアッシュの重量をBとしたと
きに、0.30≦B/(A+B)≦0.60となるよう
に含有されているセメント系固化材を用いて、前記仮焼
固化された放射性廃棄物を固化処理することを特徴とす
る放射性廃棄物の固化処理方法が提供される。
【0020】
【作用】一般に、放射性廃棄物中に含まれるC−14
は、多くの場合、とりわけ原子力発電所から発生する放
射性廃棄物では、大半が炭酸イオン(CO3 2-)の形態
であり、セメント固化体中においては、以下の反応によ
り吸着されている。すなわち、非晶質シリカ系添加材、
例えば高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等
から供給される非晶質シリカ骨格が、普通ポルトランド
セメントから供給される水酸化カルシウムと反応して正
電荷を持つ吸着サイトを生成し、この吸着サイトの正電
荷に、陰イオンであり負に帯電している炭酸イオンが引
き寄せられて固定化されている。そして、この吸着反応
は、炭酸イオンの他に陰イオンが存在する場合には陰イ
オン同士での競合反応となる。したがって、放射性廃棄
物が溶解性の無機化合物、例えば硫酸ナトリウム、塩化
ナトリウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等を含
有する場合には、これら無機化合物の溶解によって、硫
酸イオンSO4 2-、塩素イオンCl-、硝酸イオンN
O3 -、ホウ酸イオンBO3 3-等の陰イオンが生成するの
で、この陰イオンの存在によって炭酸イオンの吸着サイ
トへの吸着が阻害され、C−14の分配係数が低下す
る。
は、多くの場合、とりわけ原子力発電所から発生する放
射性廃棄物では、大半が炭酸イオン(CO3 2-)の形態
であり、セメント固化体中においては、以下の反応によ
り吸着されている。すなわち、非晶質シリカ系添加材、
例えば高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等
から供給される非晶質シリカ骨格が、普通ポルトランド
セメントから供給される水酸化カルシウムと反応して正
電荷を持つ吸着サイトを生成し、この吸着サイトの正電
荷に、陰イオンであり負に帯電している炭酸イオンが引
き寄せられて固定化されている。そして、この吸着反応
は、炭酸イオンの他に陰イオンが存在する場合には陰イ
オン同士での競合反応となる。したがって、放射性廃棄
物が溶解性の無機化合物、例えば硫酸ナトリウム、塩化
ナトリウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等を含
有する場合には、これら無機化合物の溶解によって、硫
酸イオンSO4 2-、塩素イオンCl-、硝酸イオンN
O3 -、ホウ酸イオンBO3 3-等の陰イオンが生成するの
で、この陰イオンの存在によって炭酸イオンの吸着サイ
トへの吸着が阻害され、C−14の分配係数が低下す
る。
【0021】ここにおいて、本発明の第1の概念におい
ては、非晶質シリカ系添加材を、普通ポルトランドセメ
ントの重量A、非晶質シリカ系添加材の重量Bに対して
0.20≦B/(A+B)となるように添加することに
より、非晶質シリカ系添加材から供給される非晶質シリ
カ骨格と、普通ポルトランドセメントより供給される水
酸化カルシウムとが、正電荷を備えた吸着サイトを多数
生成する。したがって、無機化合物からの陰イオンが生
成しある程度の数の吸着サイトと吸着したとしても、残
りの吸着サイトに炭酸イオンを吸着させることができる
ので、C−14の分配係数を向上させることができる。
またこのとき、非晶質シリカ系添加材を過剰に添加し過
ぎると、非晶質シリカ骨格の量に対する水酸化カルシウ
ムの量が欠乏してかえってC−14の分配係数が低くな
るが、非晶質シリカ系添加材をB/(A+B)≦0.8
0となるように添加することにより、C−14の分配係
数の低下を防止することができる。よって、例えば、溶
解性無機化合物として硫酸ナトリウムを含有している放
射性廃棄物にペレット固化・仮焼固化等の減容処理を施
して、固化体200L当たり50kgの放射性廃棄物を
充填しても、C−14の分配係数を安全基準値の500
mL/g以上に確保することができる。また同様に、溶
解性無機化合物として塩化ナトリウムを含有している放
射性廃棄物に減容処理を施して、固化体200L当たり
35kgの放射性廃棄物を充填しても、C−14の分配
係数を安全基準値の500mL/g以上に確保すること
ができる。したがって、非晶質シリカ系添加材を添加し
ない場合の固化体200L当たり放射性廃棄物30kg
に比し、減容性良く処分することができる。
ては、非晶質シリカ系添加材を、普通ポルトランドセメ
ントの重量A、非晶質シリカ系添加材の重量Bに対して
0.20≦B/(A+B)となるように添加することに
より、非晶質シリカ系添加材から供給される非晶質シリ
カ骨格と、普通ポルトランドセメントより供給される水
酸化カルシウムとが、正電荷を備えた吸着サイトを多数
生成する。したがって、無機化合物からの陰イオンが生
成しある程度の数の吸着サイトと吸着したとしても、残
りの吸着サイトに炭酸イオンを吸着させることができる
ので、C−14の分配係数を向上させることができる。
またこのとき、非晶質シリカ系添加材を過剰に添加し過
ぎると、非晶質シリカ骨格の量に対する水酸化カルシウ
ムの量が欠乏してかえってC−14の分配係数が低くな
るが、非晶質シリカ系添加材をB/(A+B)≦0.8
0となるように添加することにより、C−14の分配係
数の低下を防止することができる。よって、例えば、溶
解性無機化合物として硫酸ナトリウムを含有している放
射性廃棄物にペレット固化・仮焼固化等の減容処理を施
して、固化体200L当たり50kgの放射性廃棄物を
充填しても、C−14の分配係数を安全基準値の500
mL/g以上に確保することができる。また同様に、溶
解性無機化合物として塩化ナトリウムを含有している放
射性廃棄物に減容処理を施して、固化体200L当たり
35kgの放射性廃棄物を充填しても、C−14の分配
係数を安全基準値の500mL/g以上に確保すること
ができる。したがって、非晶質シリカ系添加材を添加し
ない場合の固化体200L当たり放射性廃棄物30kg
に比し、減容性良く処分することができる。
【0022】なお、シリカ成分は、一般に骨材としてセ
メントに添加される砂や砂利などにも含まれているが、
これらはほとんどが結晶質の形で含まれていることか
ら、水酸化カルシウムとの反応性が低い。よって、セメ
ント系固化材に添加してもC−14分配係数が向上する
効果はほとんどない。しかしながら、高炉スラグ等を添
加することにより、これらに含まれるシリカ成分は非晶
質であって細かく粉砕されて存在しているので、水酸化
カルシウムとの反応性が高い。よって炭酸イオンの吸着
サイトが生成しやすく、C−14の分配係数を確実に向
上させることができる。また、水産化カルシウムは一般
的なセメントの硬化反応における主生成物の一成分であ
ることから、普通ポルトランドセメントを含有するセメ
ント系固化材を水酸化カルシウム供給源として使用する
ことにより、固化材に水産化カルシウムを直接添加する
場合よりも簡単に水酸化カルシウムの供給を行うことが
できる。さらに、廃棄物固化時の固化材ペースト流動性
・固化体強度・固化体物性等を向上させる観点からも好
ましい。
メントに添加される砂や砂利などにも含まれているが、
これらはほとんどが結晶質の形で含まれていることか
ら、水酸化カルシウムとの反応性が低い。よって、セメ
ント系固化材に添加してもC−14分配係数が向上する
効果はほとんどない。しかしながら、高炉スラグ等を添
加することにより、これらに含まれるシリカ成分は非晶
質であって細かく粉砕されて存在しているので、水酸化
カルシウムとの反応性が高い。よって炭酸イオンの吸着
サイトが生成しやすく、C−14の分配係数を確実に向
上させることができる。また、水産化カルシウムは一般
的なセメントの硬化反応における主生成物の一成分であ
ることから、普通ポルトランドセメントを含有するセメ
ント系固化材を水酸化カルシウム供給源として使用する
ことにより、固化材に水産化カルシウムを直接添加する
場合よりも簡単に水酸化カルシウムの供給を行うことが
できる。さらに、廃棄物固化時の固化材ペースト流動性
・固化体強度・固化体物性等を向上させる観点からも好
ましい。
【0023】また、セメント系固化材として、普通ポル
トランドセメントの重量をA、非晶質シリカ系添加材の
重量をBとしたときに、0.30≦B/(A+B)≦
0.60であるものを使用することにより、例えば、放
射性廃棄物が、溶解性無機化合物として硫酸ナトリウム
を含有している場合には、C−14の分配係数を安全基
準値の500mL/g以上に確保しつつ、固化体200
L当たり200kgの放射性廃棄物を充填することがで
き、これが固化体200Lに対する実用的な最大充填量
となる。また同様に、溶解性無機化合物として塩化ナト
リウムを含有している場合には、C−14の分配係数を
安全基準値の500mL/g以上に確保しつつ、固化体
200L当たり50kgの放射性廃棄物を充填すること
ができる。したがって、さらに減容性良く処分すること
ができる。また、例えば、減容処理時においてペレット
等を混練する場合、混練時において溶解性無機化合物で
ある硫酸ナトリウムが少量溶解し、ペーストの流動性を
低下させる場合があるが、0.30≦B/(A+B)で
あるセメント系固化材を用いることにより、例えば混練
後約2時間後であっても流動性を良好に確保し混練時の
安全性を確保できる。さらに、固化体作成後、硬化反応
に寄与しなかった余剰水などがブリージング水として発
生する場合があるが、B/(A+B)≦0.60である
セメント系固化材を用いることにより、例えば固化体作
成後1日後であってもブリージング水の発生を防止する
ことができる。
トランドセメントの重量をA、非晶質シリカ系添加材の
重量をBとしたときに、0.30≦B/(A+B)≦
0.60であるものを使用することにより、例えば、放
射性廃棄物が、溶解性無機化合物として硫酸ナトリウム
を含有している場合には、C−14の分配係数を安全基
準値の500mL/g以上に確保しつつ、固化体200
L当たり200kgの放射性廃棄物を充填することがで
き、これが固化体200Lに対する実用的な最大充填量
となる。また同様に、溶解性無機化合物として塩化ナト
リウムを含有している場合には、C−14の分配係数を
安全基準値の500mL/g以上に確保しつつ、固化体
200L当たり50kgの放射性廃棄物を充填すること
ができる。したがって、さらに減容性良く処分すること
ができる。また、例えば、減容処理時においてペレット
等を混練する場合、混練時において溶解性無機化合物で
ある硫酸ナトリウムが少量溶解し、ペーストの流動性を
低下させる場合があるが、0.30≦B/(A+B)で
あるセメント系固化材を用いることにより、例えば混練
後約2時間後であっても流動性を良好に確保し混練時の
安全性を確保できる。さらに、固化体作成後、硬化反応
に寄与しなかった余剰水などがブリージング水として発
生する場合があるが、B/(A+B)≦0.60である
セメント系固化材を用いることにより、例えば固化体作
成後1日後であってもブリージング水の発生を防止する
ことができる。
【0024】さらに、セメント系固化材として、普通ポ
ルトランドセメントの重量をA、非晶質シリカ系添加材
の重量をBとしたときに、0.40≦B/(A+B)≦
0.55であるものを使用することにより、例えば、放
射性廃棄物が、溶解性無機化合物として硫酸ナトリウム
を含有している場合には、C−14の分配係数を安全基
準値の500mL/g以上に確保しつつ、固化体200
L当たり220kgの放射性廃棄物を充填することがで
きる。また同様に、溶解性無機化合物として塩化ナトリ
ウムを含有している場合には、C−14の分配係数を安
全基準値の500mL/g以上に確保しつつ、固化体2
00L当たり100kgの放射性廃棄物を充填すること
ができる。したがって、またさらに減容性良く処分する
ことができる。
ルトランドセメントの重量をA、非晶質シリカ系添加材
の重量をBとしたときに、0.40≦B/(A+B)≦
0.55であるものを使用することにより、例えば、放
射性廃棄物が、溶解性無機化合物として硫酸ナトリウム
を含有している場合には、C−14の分配係数を安全基
準値の500mL/g以上に確保しつつ、固化体200
L当たり220kgの放射性廃棄物を充填することがで
きる。また同様に、溶解性無機化合物として塩化ナトリ
ウムを含有している場合には、C−14の分配係数を安
全基準値の500mL/g以上に確保しつつ、固化体2
00L当たり100kgの放射性廃棄物を充填すること
ができる。したがって、またさらに減容性良く処分する
ことができる。
【0025】また、無機化合物は、硫酸ナトリウム、塩
化ナトリウム、硝酸ナトリウム、及びホウ酸ナトリウム
のうち少なくとも1つであることにより、非晶質シリカ
骨格と反応して正電荷を持つ吸着サイトを生成する水産
化カルシウムを供給することができる。
化ナトリウム、硝酸ナトリウム、及びホウ酸ナトリウム
のうち少なくとも1つであることにより、非晶質シリカ
骨格と反応して正電荷を持つ吸着サイトを生成する水産
化カルシウムを供給することができる。
【0026】さらに、非晶質シリカ系添加材は、高炉ス
ラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームのうち少な
くとも1つであることにより、水酸化カルシウムと反応
して正電荷を持つ吸着サイトを生成する非晶質シリカ骨
格を供給することができる。
ラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームのうち少な
くとも1つであることにより、水酸化カルシウムと反応
して正電荷を持つ吸着サイトを生成する非晶質シリカ骨
格を供給することができる。
【0027】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。本発明の第1の実施例を図1〜図8により説明す
る。本実施例による放射性廃棄物の固化処理方法を実施
する処理システム100を図2に示す。本実施例による
固化処理方法は、BWRプラントから発生する濃縮廃液
ペレットを固化処理するものである。図2に示す処理シ
ステム100において、BWRプラントから発生する硫
酸ナトリウムを主成分とする濃縮廃液は、あらかじめ、
ペレット固化による減容処理が施されている。すなわ
ち、濃縮廃液は乾燥機で粉末とされ、さらに造粒機で長
さ3cm程度のアーモンド形のペレットとされた後、ペ
レット貯槽1に保管されている。そして、このペレット
貯槽1内のペレットは、ペレット取出装置2で抜き出さ
れた後、吸引装置3によってペレットホッパ4まで移送
される。その後、このペレットホッパ4内のペレット
が、ペレット供給機5により計量器6に供給されて所定
の充填量(=200kg)が計量される。
する。本発明の第1の実施例を図1〜図8により説明す
る。本実施例による放射性廃棄物の固化処理方法を実施
する処理システム100を図2に示す。本実施例による
固化処理方法は、BWRプラントから発生する濃縮廃液
ペレットを固化処理するものである。図2に示す処理シ
ステム100において、BWRプラントから発生する硫
酸ナトリウムを主成分とする濃縮廃液は、あらかじめ、
ペレット固化による減容処理が施されている。すなわ
ち、濃縮廃液は乾燥機で粉末とされ、さらに造粒機で長
さ3cm程度のアーモンド形のペレットとされた後、ペ
レット貯槽1に保管されている。そして、このペレット
貯槽1内のペレットは、ペレット取出装置2で抜き出さ
れた後、吸引装置3によってペレットホッパ4まで移送
される。その後、このペレットホッパ4内のペレット
が、ペレット供給機5により計量器6に供給されて所定
の充填量(=200kg)が計量される。
【0028】一方、固化材タンク7には、固化体のC−
14保持性能を向上することを目的として、水酸化カル
シウムの供給源としての普通ポルトランドセメント、及
び非晶質シリカ成分として高炉スラグを含むセメント系
固化材が充填されている。そしてこのとき、普通ポルト
ランドセメントの重量をA、高炉スラグの重量をBとし
たときに、B/(A+B)=0.50となるようにあら
かじめ配合されている。そして、固化材タンク7内の固
化材及び混練水タンク8内の水が、それぞれバルブ9及
びバルブ10を介して混練機11に供給され、撹拌機1
2により混練され固化材ペーストが形成される。なおこ
の際、供給される固化材の量と水の量は、固化材ペース
トの混練性が最も良くなるように、固化材151kg、
水83kgとなっている。このようにして混練機11内
で固化材と水とが十分に混練された後に、計量器6内の
ペレットがバルブ13を介して混練機11に供給され、
ペレットと固化材ペーストが均一になるように撹拌機1
2でさらに撹拌される。こうして十分混練された混練機
11内のペーストは、電磁バルブ14によって容積20
0Lの固化容器15に注入される。注入後1日間は固化
容器15の蓋は解放され、その後は蓋が閉められて約1
ヵ月間静置される。
14保持性能を向上することを目的として、水酸化カル
シウムの供給源としての普通ポルトランドセメント、及
び非晶質シリカ成分として高炉スラグを含むセメント系
固化材が充填されている。そしてこのとき、普通ポルト
ランドセメントの重量をA、高炉スラグの重量をBとし
たときに、B/(A+B)=0.50となるようにあら
かじめ配合されている。そして、固化材タンク7内の固
化材及び混練水タンク8内の水が、それぞれバルブ9及
びバルブ10を介して混練機11に供給され、撹拌機1
2により混練され固化材ペーストが形成される。なおこ
の際、供給される固化材の量と水の量は、固化材ペース
トの混練性が最も良くなるように、固化材151kg、
水83kgとなっている。このようにして混練機11内
で固化材と水とが十分に混練された後に、計量器6内の
ペレットがバルブ13を介して混練機11に供給され、
ペレットと固化材ペーストが均一になるように撹拌機1
2でさらに撹拌される。こうして十分混練された混練機
11内のペーストは、電磁バルブ14によって容積20
0Lの固化容器15に注入される。注入後1日間は固化
容器15の蓋は解放され、その後は蓋が閉められて約1
ヵ月間静置される。
【0029】次に、本実施例の作用を図3〜図8により
説明する。 (1)C−14分配係数の向上作用 一般に、放射性廃棄物中に含まれるC−14は、多くの
場合、とりわけ原子力発電所から発生する放射性廃棄物
では、大半が炭酸イオン(CO3 2-)の形態であり、セ
メント固化体中においては、以下の反応により吸着され
ている。すなわち、非晶質シリカ系添加材、例えば高炉
スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等から供給さ
れる非晶質シリカ骨格が、普通ポルトランドセメントか
ら供給される水酸化カルシウムと図3に示すように反応
して正電荷を持つ吸着サイトを生成し、この吸着サイト
の正電荷に、陰イオンであり負に帯電している炭酸イオ
ンが引き寄せられて固定化されている。そして、この吸
着反応は、炭酸イオンの他に陰イオンが存在する場合に
は陰イオン同士での競合反応となる。したがって、放射
性廃棄物が溶解性の無機化合物、例えば硫酸ナトリウ
ム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウ
ム等を含有する場合には、これら無機化合物の溶解によ
って、硫酸イオンSO4 2-、塩素イオンCl-、硝酸イオ
ンNO3 -、ホウ酸イオンBO3 3-等の陰イオンが生成す
るので、この陰イオンの存在によって炭酸イオンの吸着
サイトへの吸着が阻害され、C−14の分配係数が低下
する。本願発明者等は、このことを確認するために、放
射性廃棄物の固化処理実験を行った。すなわち、硫酸ナ
トリウムを主成分とするペレット状放射性廃棄物を20
0Lドラム缶に固化処理し、一定期間の養生を行った後
にこれら廃棄物固化体の中心部をコアボーリングして、
そのサンプルを水浸漬した。そして、 分配係数=固化体中のC−14濃度/水中のC−14濃
度 によって放射性核種C−14に関する分配係数を算出
し、廃棄物充填量との関係を求めたものである。この結
果を図4に示す。なお、最も一般的なセメント系固化材
である普通ポルトランドセメントを固化材として用いた
場合と、C種高炉セメントを固化材として用いた場合と
を比較して示している。
説明する。 (1)C−14分配係数の向上作用 一般に、放射性廃棄物中に含まれるC−14は、多くの
場合、とりわけ原子力発電所から発生する放射性廃棄物
では、大半が炭酸イオン(CO3 2-)の形態であり、セ
メント固化体中においては、以下の反応により吸着され
ている。すなわち、非晶質シリカ系添加材、例えば高炉
スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム等から供給さ
れる非晶質シリカ骨格が、普通ポルトランドセメントか
ら供給される水酸化カルシウムと図3に示すように反応
して正電荷を持つ吸着サイトを生成し、この吸着サイト
の正電荷に、陰イオンであり負に帯電している炭酸イオ
ンが引き寄せられて固定化されている。そして、この吸
着反応は、炭酸イオンの他に陰イオンが存在する場合に
は陰イオン同士での競合反応となる。したがって、放射
性廃棄物が溶解性の無機化合物、例えば硫酸ナトリウ
ム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウ
ム等を含有する場合には、これら無機化合物の溶解によ
って、硫酸イオンSO4 2-、塩素イオンCl-、硝酸イオ
ンNO3 -、ホウ酸イオンBO3 3-等の陰イオンが生成す
るので、この陰イオンの存在によって炭酸イオンの吸着
サイトへの吸着が阻害され、C−14の分配係数が低下
する。本願発明者等は、このことを確認するために、放
射性廃棄物の固化処理実験を行った。すなわち、硫酸ナ
トリウムを主成分とするペレット状放射性廃棄物を20
0Lドラム缶に固化処理し、一定期間の養生を行った後
にこれら廃棄物固化体の中心部をコアボーリングして、
そのサンプルを水浸漬した。そして、 分配係数=固化体中のC−14濃度/水中のC−14濃
度 によって放射性核種C−14に関する分配係数を算出
し、廃棄物充填量との関係を求めたものである。この結
果を図4に示す。なお、最も一般的なセメント系固化材
である普通ポルトランドセメントを固化材として用いた
場合と、C種高炉セメントを固化材として用いた場合と
を比較して示している。
【0030】図4において、普通ポルトランドセメント
で固化処理を行った廃棄物固化体のC−14分配係数
は、廃棄物の充填量とともに低下し、固化体200L当
たりの廃棄物充填量が30kgを超えたところで、安全
基準値である500(mL/g)を下回ることが新たな
知見として得られた。また、C種高炉セメントを用いて
固化処理した場合は、全体的にC−14の分配係数は若
干改善されるものの、上記同様に廃棄物の充填量ととも
に低下する傾向が見られ、固化体200L当たりの廃棄
物充填量が50kgよりやや少ないところで、安全基準
値である500(mL/g)以下となることがわかっ
た。さらに、硫酸ナトリウムに代え、塩化ナトリウム、
硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムの3種類について、
それぞれを主成分とするペレット状放射性廃棄物を用い
て同様の実験を行った結果、C−14の分配係数はほぼ
同様に低下することを確認した。
で固化処理を行った廃棄物固化体のC−14分配係数
は、廃棄物の充填量とともに低下し、固化体200L当
たりの廃棄物充填量が30kgを超えたところで、安全
基準値である500(mL/g)を下回ることが新たな
知見として得られた。また、C種高炉セメントを用いて
固化処理した場合は、全体的にC−14の分配係数は若
干改善されるものの、上記同様に廃棄物の充填量ととも
に低下する傾向が見られ、固化体200L当たりの廃棄
物充填量が50kgよりやや少ないところで、安全基準
値である500(mL/g)以下となることがわかっ
た。さらに、硫酸ナトリウムに代え、塩化ナトリウム、
硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムの3種類について、
それぞれを主成分とするペレット状放射性廃棄物を用い
て同様の実験を行った結果、C−14の分配係数はほぼ
同様に低下することを確認した。
【0031】以上のことから、溶解性の無機化合物を主
成分とする放射性廃棄物は、減容処理を行うことで多量
の廃棄物を固化体内に充填すると、C−14分配係数が
安全基準値を満たさず、陸地処分に適さない可能性が存
在することがわかった。したがって、廃棄物充填量を増
加して減容性良く固化するためには、セメント系固化材
によるC−14分配係数を向上することが必須となる。
成分とする放射性廃棄物は、減容処理を行うことで多量
の廃棄物を固化体内に充填すると、C−14分配係数が
安全基準値を満たさず、陸地処分に適さない可能性が存
在することがわかった。したがって、廃棄物充填量を増
加して減容性良く固化するためには、セメント系固化材
によるC−14分配係数を向上することが必須となる。
【0032】そこで本願発明者等は、図4において高炉
スラグを含むC種高炉セメントのほうが普通ポルトラン
ドセメントよりもC−14分配係数が若干向上している
ことに鑑み、固化材中の高炉スラグの割合を変化させた
ときのC−14分配係数と放射性廃棄物充填量との関係
を検討し、図1に示す結果を得た。すなわち図1は、図
2に示された処理システム100と同様の固化処理シス
テムを使用して、硫酸ナトリウムを主成分とする濃縮廃
液のペレット充填量が30kg・50kg・200kg
・220kgの4つの場合について、普通ポルトランド
セメント重量A・高炉スラグ重量Bの配合を0≦B/
(A+B)≦0.90の間で変化させた種々の固化材に
よって200Lドラム缶内において固化し、そして、そ
れぞれの固化体の中心部をコアボーリングしてそのサン
プルを水浸漬することによってC−14の放射性核種に
ついて分配係数を測定したものである。なおこれらの場
合、供給される固化材の量と水の量は、固化材ペースト
の混練性が最も良くなるように、図5に示すような量と
した。
スラグを含むC種高炉セメントのほうが普通ポルトラン
ドセメントよりもC−14分配係数が若干向上している
ことに鑑み、固化材中の高炉スラグの割合を変化させた
ときのC−14分配係数と放射性廃棄物充填量との関係
を検討し、図1に示す結果を得た。すなわち図1は、図
2に示された処理システム100と同様の固化処理シス
テムを使用して、硫酸ナトリウムを主成分とする濃縮廃
液のペレット充填量が30kg・50kg・200kg
・220kgの4つの場合について、普通ポルトランド
セメント重量A・高炉スラグ重量Bの配合を0≦B/
(A+B)≦0.90の間で変化させた種々の固化材に
よって200Lドラム缶内において固化し、そして、そ
れぞれの固化体の中心部をコアボーリングしてそのサン
プルを水浸漬することによってC−14の放射性核種に
ついて分配係数を測定したものである。なおこれらの場
合、供給される固化材の量と水の量は、固化材ペースト
の混練性が最も良くなるように、図5に示すような量と
した。
【0033】図1において、まず、ペレット充填量が3
0kgの場合は、高炉スラグを添加してその配合割合を
増加させていくにしたがってC−14の分配係数は向上
する。これは、高炉スラグ中の非晶質シリカ成分と普通
ポルトランドセメント中の水産化カルシウム成分が反応
し、C−14吸着サイトの生成量が増加したからである
と考えられる。そして、配合割合を最適化したB/(A
+B)=0.50の場合においては、普通ポルトランド
セメント単独(B/(A+B)=0)の場合に比べて5
倍程度向上し、安全性が向上することがわかる。そして
さらに高炉スラグの配合割合を増加させていくと、C−
14の分配係数は減少に転じる。これは、高炉スラグの
非晶質シリカ成分に対し、供給される水酸化カルシウム
の量が欠乏したためであると考えられる。しかしなが
ら、C−14の分配係数は、0≦B/(A+B)≦0.
90の全ての領域において、すなわち固化材中の普通ポ
ルトランドセメントの重量Aと高炉スラグの重量Bとの
配合割合に関わらず、常に安全基準値である500(m
L/g)を満たしている。
0kgの場合は、高炉スラグを添加してその配合割合を
増加させていくにしたがってC−14の分配係数は向上
する。これは、高炉スラグ中の非晶質シリカ成分と普通
ポルトランドセメント中の水産化カルシウム成分が反応
し、C−14吸着サイトの生成量が増加したからである
と考えられる。そして、配合割合を最適化したB/(A
+B)=0.50の場合においては、普通ポルトランド
セメント単独(B/(A+B)=0)の場合に比べて5
倍程度向上し、安全性が向上することがわかる。そして
さらに高炉スラグの配合割合を増加させていくと、C−
14の分配係数は減少に転じる。これは、高炉スラグの
非晶質シリカ成分に対し、供給される水酸化カルシウム
の量が欠乏したためであると考えられる。しかしなが
ら、C−14の分配係数は、0≦B/(A+B)≦0.
90の全ての領域において、すなわち固化材中の普通ポ
ルトランドセメントの重量Aと高炉スラグの重量Bとの
配合割合に関わらず、常に安全基準値である500(m
L/g)を満たしている。
【0034】次に、ペレット充填量が50kgの場合
は、B/(A+B)=0,0.10の場合、すなわち普
通ポルトランドセメントのみの固化体や高炉スラグがほ
とんど含まれていない固化体で、C−14分配係数は、
安全基準値を下回る結果が得られた。これは、ペレット
充填量の増加に伴い、水に溶出する硫酸イオンSO4 2-
の量が増加し、炭酸イオンCO3 2-の形態でのC−14
の固化体への吸着を妨害したからと考えられる。そし
て、高炉スラグを添加しその配合割合を増加させていく
と、C−14の分配係数は向上し、上記同様、ピーク値
を迎えた後に減少に転じ、B/(A+B)=0.90で
は安全基準値を下回る。したがって、安全基準値より高
い値が得られる領域は、0.20≦B/(A+B)≦
0.80に限定されることがわかる。
は、B/(A+B)=0,0.10の場合、すなわち普
通ポルトランドセメントのみの固化体や高炉スラグがほ
とんど含まれていない固化体で、C−14分配係数は、
安全基準値を下回る結果が得られた。これは、ペレット
充填量の増加に伴い、水に溶出する硫酸イオンSO4 2-
の量が増加し、炭酸イオンCO3 2-の形態でのC−14
の固化体への吸着を妨害したからと考えられる。そし
て、高炉スラグを添加しその配合割合を増加させていく
と、C−14の分配係数は向上し、上記同様、ピーク値
を迎えた後に減少に転じ、B/(A+B)=0.90で
は安全基準値を下回る。したがって、安全基準値より高
い値が得られる領域は、0.20≦B/(A+B)≦
0.80に限定されることがわかる。
【0035】同様に、ペレット充填量が200kgの場
合は、B/(A+B)=0,0.10,0.20及びB
/(A+B)=0.90の場合で、C−14分配係数は
安全基準値を下回る。したがって、安全基準値より高い
値が得られる領域は、さらに0.30≦B/(A+B)
≦0.60に限定される。
合は、B/(A+B)=0,0.10,0.20及びB
/(A+B)=0.90の場合で、C−14分配係数は
安全基準値を下回る。したがって、安全基準値より高い
値が得られる領域は、さらに0.30≦B/(A+B)
≦0.60に限定される。
【0036】また同様に、ペレット充填量が220kg
の場合は、さらに限定され、安全基準値より高い値のC
−14分配係数が得られる領域は、0.40≦B/(A
+B)≦0.55となる。なおこのように、固化容器に
200Lドラム缶を用いる場合、固化体中のペレットの
充填量は物理的には最大で220kg程度の充填が可能
である。しかし、実際にはペレットの比重やペレット形
状のばらつきなどを考慮すると、200Lドラム缶当た
り200kgが、実用的な最大充填量としては好まし
い。但し、目標充填量を200kgとした場合でも、ペ
レットの形状等により実際は200kgを超えて充填し
てしまう可能性あるので、その意味では、上述した結果
は、0.40≦B/(A+B)≦0.55の範囲であれ
ば、±20kgの誤差が生じても安全基準値を満足でき
ることが確認されたといえる。
の場合は、さらに限定され、安全基準値より高い値のC
−14分配係数が得られる領域は、0.40≦B/(A
+B)≦0.55となる。なおこのように、固化容器に
200Lドラム缶を用いる場合、固化体中のペレットの
充填量は物理的には最大で220kg程度の充填が可能
である。しかし、実際にはペレットの比重やペレット形
状のばらつきなどを考慮すると、200Lドラム缶当た
り200kgが、実用的な最大充填量としては好まし
い。但し、目標充填量を200kgとした場合でも、ペ
レットの形状等により実際は200kgを超えて充填し
てしまう可能性あるので、その意味では、上述した結果
は、0.40≦B/(A+B)≦0.55の範囲であれ
ば、±20kgの誤差が生じても安全基準値を満足でき
ることが確認されたといえる。
【0037】本実施例による固化処理方法においては、
普通ポルトランドセメント重量A・高炉スラグ重量Bの
配合割合はB/(A+B)=0.50である。したがっ
て、安全基準値以上のC−14分配係数を確保しつつ、
最大220kg、実用的にも最大200kgの廃棄物を
200Lドラム缶に充填することができる。
普通ポルトランドセメント重量A・高炉スラグ重量Bの
配合割合はB/(A+B)=0.50である。したがっ
て、安全基準値以上のC−14分配係数を確保しつつ、
最大220kg、実用的にも最大200kgの廃棄物を
200Lドラム缶に充填することができる。
【0038】(2)流動性向上・ブリージング水発生防
止作用 一般に、溶解性無機廃棄物を減容処理したペレット等を
固化材と混練する場合、ペレット中の溶解性無機化合物
成分である硫酸ナトリウムが混練時にも少量ではあるが
溶解し、ペーストの流動性を低下させる場合がある。こ
のため混練時の安全性を確保するためにはペーストの流
動性が2時間程度は低下しないことが好ましい。また、
固化体作成後、硬化反応に寄与しなかった余剰水などが
ブリージング水として発生する場合があるが、安全性の
観点からはブリージング水が発生しないことが好まし
い。
止作用 一般に、溶解性無機廃棄物を減容処理したペレット等を
固化材と混練する場合、ペレット中の溶解性無機化合物
成分である硫酸ナトリウムが混練時にも少量ではあるが
溶解し、ペーストの流動性を低下させる場合がある。こ
のため混練時の安全性を確保するためにはペーストの流
動性が2時間程度は低下しないことが好ましい。また、
固化体作成後、硬化反応に寄与しなかった余剰水などが
ブリージング水として発生する場合があるが、安全性の
観点からはブリージング水が発生しないことが好まし
い。
【0039】そこで本願発明者等は、良好な流動性とブ
リージング水発生防止を可能とする範囲を確認するため
に放射性廃棄物の固化処理実験を行い、図6に示す結果
を得た。すなわち図6は、図2に示された処理システム
100と同様の固化処理システムを使用して、硫酸ナト
リウムを主成分とする濃縮廃液のペレットを200kg
充填したものを、普通ポルトランドセメント重量A・高
炉スラグ重量Bの配合を0≦B/(A+B)≦0.90
の間で変化させた種々の固化材によって200Lドラム
缶内において固化し、混練後2時間放置したときのペー
スト流動性の指標となるフロー値と、固化体作成後1日
目のブリージング水発生量を測定したものである。
リージング水発生防止を可能とする範囲を確認するため
に放射性廃棄物の固化処理実験を行い、図6に示す結果
を得た。すなわち図6は、図2に示された処理システム
100と同様の固化処理システムを使用して、硫酸ナト
リウムを主成分とする濃縮廃液のペレットを200kg
充填したものを、普通ポルトランドセメント重量A・高
炉スラグ重量Bの配合を0≦B/(A+B)≦0.90
の間で変化させた種々の固化材によって200Lドラム
缶内において固化し、混練後2時間放置したときのペー
スト流動性の指標となるフロー値と、固化体作成後1日
目のブリージング水発生量を測定したものである。
【0040】図6において、ペーストフロー値は、普通
ポルトランドセメント重量A・高炉スラグ重量Bの配合
割合が0.30≦B/(A+B)の領域において流動性
が良好である190以上の値を確保できることがわかっ
た。また、ブリージング水は、普通ポルトランドセメン
ト重量A・高炉スラグ重量Bの配合割合がB/(A+
B)≦0.60の領域では発生しないことがわかった。
したがって、普通ポルトランドセメント重量A・高炉ス
ラグ重量Bの配合割合を0.30≦B/(A+B)≦
0.60とすることで、C−14の分配係数を確保する
効果の他に、流動性を確保しかつブリージング水の発生
を防止する効果が得られることがわかる。
ポルトランドセメント重量A・高炉スラグ重量Bの配合
割合が0.30≦B/(A+B)の領域において流動性
が良好である190以上の値を確保できることがわかっ
た。また、ブリージング水は、普通ポルトランドセメン
ト重量A・高炉スラグ重量Bの配合割合がB/(A+
B)≦0.60の領域では発生しないことがわかった。
したがって、普通ポルトランドセメント重量A・高炉ス
ラグ重量Bの配合割合を0.30≦B/(A+B)≦
0.60とすることで、C−14の分配係数を確保する
効果の他に、流動性を確保しかつブリージング水の発生
を防止する効果が得られることがわかる。
【0041】本実施例による固化処理方法においては、
普通ポルトランドセメント重量A・高炉スラグ重量Bの
配合割合はB/(A+B)=0.50である。したがっ
て、C−14の分配係数を確保しつつ200kg充填で
きる効果の他に、流動性を確保しかつブリージング水の
発生を防止する効果が得られる。
普通ポルトランドセメント重量A・高炉スラグ重量Bの
配合割合はB/(A+B)=0.50である。したがっ
て、C−14の分配係数を確保しつつ200kg充填で
きる効果の他に、流動性を確保しかつブリージング水の
発生を防止する効果が得られる。
【0042】なお、上記測定においては、固化体200
L当たりの放射性廃棄物充填量を200kgとしたが、
その他の充填量、例えば200kgより少ない30k
g、50kgや、200kgより多い220kgの場合
も同様の効果が得られた。
L当たりの放射性廃棄物充填量を200kgとしたが、
その他の充填量、例えば200kgより少ない30k
g、50kgや、200kgより多い220kgの場合
も同様の効果が得られた。
【0043】以上説明したように、本実施例によれば、
硫酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物を、C−1
4の分配係数を安全基準値以上に確保しつつ、減容性良
く処分することができる。そしてこのとき流動性を良好
に確保しつつブリージング水の発生を防止することがで
きる。
硫酸ナトリウムを主成分とする放射性廃棄物を、C−1
4の分配係数を安全基準値以上に確保しつつ、減容性良
く処分することができる。そしてこのとき流動性を良好
に確保しつつブリージング水の発生を防止することがで
きる。
【0044】なお、上記第1の実施例においては、放射
性廃棄物として硫酸ナトリウムを主成分とする廃液を取
り上げたが、本実施例による固化処理方法は、塩化ナト
リウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムなどの放射
性廃棄物を固化処理する際にも適用でき、これらの場合
も同様の効果を得る。
性廃棄物として硫酸ナトリウムを主成分とする廃液を取
り上げたが、本実施例による固化処理方法は、塩化ナト
リウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムなどの放射
性廃棄物を固化処理する際にも適用でき、これらの場合
も同様の効果を得る。
【0045】また、本実施例では、非晶質シリカ系添加
材として高炉スラグを取り上げたが、本実施例の方法
は、他の非晶質シリカ系添加材、例えばフライアッシュ
・シリカフュームでも同様の作用が得られる可能性があ
る。そこで本願発明者等は、高炉スラグ以外の非晶質シ
リカ系添加材への適用性を確認するために、放射性廃棄
物の固化処理実験を行った。この固化処理実験を実施し
た処理システム150を図7に示す。図2と同等の部材
には同一の符号を付す。この処理システム150はBW
Rプラントから発生する硫酸ナトリウムを主成分とする
廃液を固化処理するものである。
材として高炉スラグを取り上げたが、本実施例の方法
は、他の非晶質シリカ系添加材、例えばフライアッシュ
・シリカフュームでも同様の作用が得られる可能性があ
る。そこで本願発明者等は、高炉スラグ以外の非晶質シ
リカ系添加材への適用性を確認するために、放射性廃棄
物の固化処理実験を行った。この固化処理実験を実施し
た処理システム150を図7に示す。図2と同等の部材
には同一の符号を付す。この処理システム150はBW
Rプラントから発生する硫酸ナトリウムを主成分とする
廃液を固化処理するものである。
【0046】図7に示す処理システム150において、
BWRプラントの復水脱塩器の再生操作で発生した硫酸
ナトリウムを主成分とする放射性廃液が、廃液受けタン
ク23に一旦貯蔵されている。そしてこの廃液は、濃縮
器24に送られて廃液濃度を30重量%まで高められ、
た。得られた濃縮廃液はポンプ18により濃縮廃液タン
ク19に送られる。その後、この濃縮廃液タンク19内
の濃縮廃液が、バルブ20を介し計量器21に供給され
て所定の供給量(=167kg)が計量される。
BWRプラントの復水脱塩器の再生操作で発生した硫酸
ナトリウムを主成分とする放射性廃液が、廃液受けタン
ク23に一旦貯蔵されている。そしてこの廃液は、濃縮
器24に送られて廃液濃度を30重量%まで高められ、
た。得られた濃縮廃液はポンプ18により濃縮廃液タン
ク19に送られる。その後、この濃縮廃液タンク19内
の濃縮廃液が、バルブ20を介し計量器21に供給され
て所定の供給量(=167kg)が計量される。
【0047】一方、固化材タンク7には、普通ポルトラ
ンドセメント、及び非晶質シリカ系添加材としてフライ
アッシュ(又はシリカヒューム)を含むセメント系固化
材が充填されている。そしてこのとき、普通ポルトラン
ドセメント重量A・非晶質シリカ系添加材成分Bの配合
割合を0≦B/(A+B)≦0.90の間で変化させて
供給可能になっている。そして、固化材タンク7内の固
化材が、バルブ9を介して混練機11に供給され撹拌機
12により混練される。なおこの際、供給される固化材
の量は233kgとなっている。その後、計量器21内
の濃縮廃液がバルブ22を介して混練機11に供給さ
れ、廃液と固化材とが均一になるように撹拌機12でさ
らに撹拌される。なおこの際、供給される廃液の量は1
67kgとなっており、さらにこの濃縮廃液に含まれる
硫酸ナトリウムの成分は50kgであり一部固形分を含
んでいた。
ンドセメント、及び非晶質シリカ系添加材としてフライ
アッシュ(又はシリカヒューム)を含むセメント系固化
材が充填されている。そしてこのとき、普通ポルトラン
ドセメント重量A・非晶質シリカ系添加材成分Bの配合
割合を0≦B/(A+B)≦0.90の間で変化させて
供給可能になっている。そして、固化材タンク7内の固
化材が、バルブ9を介して混練機11に供給され撹拌機
12により混練される。なおこの際、供給される固化材
の量は233kgとなっている。その後、計量器21内
の濃縮廃液がバルブ22を介して混練機11に供給さ
れ、廃液と固化材とが均一になるように撹拌機12でさ
らに撹拌される。なおこの際、供給される廃液の量は1
67kgとなっており、さらにこの濃縮廃液に含まれる
硫酸ナトリウムの成分は50kgであり一部固形分を含
んでいた。
【0048】こうして十分混練された混練機11内のペ
ーストは、電磁バルブ14によって容積200Lの固化
容器15に注入された。注入後3日間は固化容器15は
蓋は解放され、その後は蓋が閉められて約1ヵ月間静置
された。このようにして作成された固化体の中心部をそ
れぞれコアボーリングし、そのサンプルを水浸漬するこ
とでC−14の放射性核種について分配係数を測定し
た。これら測定結果を図8に示す。なお、比較のため
に、同条件の高炉スラグの結果(=図1における「充填
量50kg」の曲線)も併せて示してある。
ーストは、電磁バルブ14によって容積200Lの固化
容器15に注入された。注入後3日間は固化容器15は
蓋は解放され、その後は蓋が閉められて約1ヵ月間静置
された。このようにして作成された固化体の中心部をそ
れぞれコアボーリングし、そのサンプルを水浸漬するこ
とでC−14の放射性核種について分配係数を測定し
た。これら測定結果を図8に示す。なお、比較のため
に、同条件の高炉スラグの結果(=図1における「充填
量50kg」の曲線)も併せて示してある。
【0049】図8において、フライアッシュを添加した
場合のC−14分配係数、シリカヒュームを添加した場
合のC−14分配係数ともに、高炉スラグとほぼ同様の
傾向を示した。すなわち、分配係数の向上効果が高炉ス
ラグよりもフライアッシュのほうがやや低く、さらにシ
リカヒュームがフライアッシュよりも低くなるものの、
いずれもC−14分配係数は、B/(A+B)=0,
0.10の場合安全基準値を下回り、フライアッシュ・
シリカヒュームの配合割合を増加させていくと向上して
B/(A+B)=0.50でピーク値を迎え、その後減
少に転じてB/(A+B)=0.90では安全基準値を
下回る。よって、シリカヒューム・フライアッシュのい
ずれも、高炉スラグと同様、0.20≦B/(A+B)
≦0.80では安全基準値より高い値が得られることが
わかった。したがって、高炉スラグの代わりにシリカヒ
ュームやフライアッシュを用いた場合でも、上記第1の
実施例と同様の効果が得られることがわかる。
場合のC−14分配係数、シリカヒュームを添加した場
合のC−14分配係数ともに、高炉スラグとほぼ同様の
傾向を示した。すなわち、分配係数の向上効果が高炉ス
ラグよりもフライアッシュのほうがやや低く、さらにシ
リカヒュームがフライアッシュよりも低くなるものの、
いずれもC−14分配係数は、B/(A+B)=0,
0.10の場合安全基準値を下回り、フライアッシュ・
シリカヒュームの配合割合を増加させていくと向上して
B/(A+B)=0.50でピーク値を迎え、その後減
少に転じてB/(A+B)=0.90では安全基準値を
下回る。よって、シリカヒューム・フライアッシュのい
ずれも、高炉スラグと同様、0.20≦B/(A+B)
≦0.80では安全基準値より高い値が得られることが
わかった。したがって、高炉スラグの代わりにシリカヒ
ュームやフライアッシュを用いた場合でも、上記第1の
実施例と同様の効果が得られることがわかる。
【0050】本発明の第2の実施例を図9〜図11によ
り説明する。本実施例は、溶解性無機化合物として、塩
化ナトリウムを主成分とする濃縮廃液を対象とするもの
である。本実施例による放射性廃棄物の固化処理方法を
実施する処理システム200を図9に示す。本実施例に
よる固化処理方法は、仮焼固化法により容器内に固体化
した塩化ナトリウムを固化処理するものである。図9に
示す処理システム200において、公知の仮焼固化法に
よって固体容器16内に固化された固体状濃縮廃液は、
粉砕若しくは水溶解により固化容器16から取り出され
て溶解槽17で水に溶解される。これは、濃縮廃液を、
一部固形分を含む所定濃度に調整することによって、固
化体中の塩化ナトリウム充填量を調整するためである。
り説明する。本実施例は、溶解性無機化合物として、塩
化ナトリウムを主成分とする濃縮廃液を対象とするもの
である。本実施例による放射性廃棄物の固化処理方法を
実施する処理システム200を図9に示す。本実施例に
よる固化処理方法は、仮焼固化法により容器内に固体化
した塩化ナトリウムを固化処理するものである。図9に
示す処理システム200において、公知の仮焼固化法に
よって固体容器16内に固化された固体状濃縮廃液は、
粉砕若しくは水溶解により固化容器16から取り出され
て溶解槽17で水に溶解される。これは、濃縮廃液を、
一部固形分を含む所定濃度に調整することによって、固
化体中の塩化ナトリウム充填量を調整するためである。
【0051】溶解槽17内で得られた濃縮廃液は、ポン
プ18により濃縮廃液タンク19に送られ、さらにバル
ブ20を介し計量器21に供給されて所定の充填量(5
0kg)が計量される。
プ18により濃縮廃液タンク19に送られ、さらにバル
ブ20を介し計量器21に供給されて所定の充填量(5
0kg)が計量される。
【0052】一方、固化材タンク7には、固化体のC−
14保持性能を向上することを目的として、水酸化カル
シウムの供給源としての普通ポルトランドセメント、及
び非晶質シリカ成分としてフライアッシュを含むセメン
ト系固化材が充填されている。そしてこのとき、普通ポ
ルトランドセメントの重量をA、高炉スラグの重量をB
としたときに、B/(A+B)=0.50となるように
あらかじめ配合されている。そして、計量器21内の濃
縮廃液及び固化材タンク7内の固化材が、それぞれバル
ブ22及びバルブ9を介して混練機11に供給され、撹
拌機12により混練されペーストが形成される。なおこ
の際、塩化ナトリウム充填量59kgに対し、きょ供給
される濃縮廃液及び固化材の量は、ペーストの混練性が
最も良くなるように、濃縮廃液167kg、固化材23
3kgとなっている。
14保持性能を向上することを目的として、水酸化カル
シウムの供給源としての普通ポルトランドセメント、及
び非晶質シリカ成分としてフライアッシュを含むセメン
ト系固化材が充填されている。そしてこのとき、普通ポ
ルトランドセメントの重量をA、高炉スラグの重量をB
としたときに、B/(A+B)=0.50となるように
あらかじめ配合されている。そして、計量器21内の濃
縮廃液及び固化材タンク7内の固化材が、それぞれバル
ブ22及びバルブ9を介して混練機11に供給され、撹
拌機12により混練されペーストが形成される。なおこ
の際、塩化ナトリウム充填量59kgに対し、きょ供給
される濃縮廃液及び固化材の量は、ペーストの混練性が
最も良くなるように、濃縮廃液167kg、固化材23
3kgとなっている。
【0053】こうして固化材と一部固形分を含む濃縮廃
液が十分に混練されペーストとなった後、このペースト
は電磁バルブ14によって容積200Lの固化容器15
に注入される。注入後3日は固化容器15の蓋は解放さ
れ、その後は蓋が閉められて約1ヵ月間静置される。
液が十分に混練されペーストとなった後、このペースト
は電磁バルブ14によって容積200Lの固化容器15
に注入される。注入後3日は固化容器15の蓋は解放さ
れ、その後は蓋が閉められて約1ヵ月間静置される。
【0054】次に、本実施例の作用を図10及び図11
により説明する。本願発明者等は、第1の実施例と同
様、固化材中のフライアッシュの割合を変化させたとき
のC−14分配係数と塩化ナトリウム含有廃棄物充填量
との関係を検討し、図10に示す結果を得た。すなわち
図10は、図9に示された処理システム200と同様の
固化処理システムを使用して、塩化ナトリウムを主成分
とする濃縮廃液供給量153kg(塩化ナトリウム充填
量30kg)・156kg(同35kg)・167kg
(同50kg)・200kg(同100kg)の4つの
場合について、普通ポルトランドセメント重量A・フラ
イアッシュ重量Bの配合を0≦B/(A+B)≦0.9
0の間で変化させた種々の固化材によって200Lドラ
ム缶内において固化し、そして、それぞれの固化体の中
心部をコアボーリングしてそのサンプルを水浸漬するこ
とによってC−14の放射性核種について分配係数を測
定したものである。なおこれらの場合、供給される濃縮
廃液の量と固化材の量は、ペーストの混練性が最も良く
なるように、図11に示すような量とした。
により説明する。本願発明者等は、第1の実施例と同
様、固化材中のフライアッシュの割合を変化させたとき
のC−14分配係数と塩化ナトリウム含有廃棄物充填量
との関係を検討し、図10に示す結果を得た。すなわち
図10は、図9に示された処理システム200と同様の
固化処理システムを使用して、塩化ナトリウムを主成分
とする濃縮廃液供給量153kg(塩化ナトリウム充填
量30kg)・156kg(同35kg)・167kg
(同50kg)・200kg(同100kg)の4つの
場合について、普通ポルトランドセメント重量A・フラ
イアッシュ重量Bの配合を0≦B/(A+B)≦0.9
0の間で変化させた種々の固化材によって200Lドラ
ム缶内において固化し、そして、それぞれの固化体の中
心部をコアボーリングしてそのサンプルを水浸漬するこ
とによってC−14の放射性核種について分配係数を測
定したものである。なおこれらの場合、供給される濃縮
廃液の量と固化材の量は、ペーストの混練性が最も良く
なるように、図11に示すような量とした。
【0055】図10において、塩化ナトリウム充填量が
30kgの場合は、固化体のC−14分配係数は、0≦
B/(A+B)≦1.00の全ての領域において、すな
わち固化材中の普通ポルトランドセメントの重量Aとフ
ライアッシュの重量Bとの配合割合に関わらず、常に安
全基準値である500(mL/g)を満たしている。そ
して、塩化ナトリウム充填量が多くなるにしたがってC
−14分配係数が安全基準値を満たす領域が狭くなり、
塩化ナトリウム35kgでは0.20≦B/(A+B)
≦0.80、塩化ナトリウム50kgでは0.30≦B
/(A+B)≦0.60、そして塩化ナトリウム100
kgの場合には0.40≦B/(A+B)≦0.55に
限定されることがわかる。
30kgの場合は、固化体のC−14分配係数は、0≦
B/(A+B)≦1.00の全ての領域において、すな
わち固化材中の普通ポルトランドセメントの重量Aとフ
ライアッシュの重量Bとの配合割合に関わらず、常に安
全基準値である500(mL/g)を満たしている。そ
して、塩化ナトリウム充填量が多くなるにしたがってC
−14分配係数が安全基準値を満たす領域が狭くなり、
塩化ナトリウム35kgでは0.20≦B/(A+B)
≦0.80、塩化ナトリウム50kgでは0.30≦B
/(A+B)≦0.60、そして塩化ナトリウム100
kgの場合には0.40≦B/(A+B)≦0.55に
限定されることがわかる。
【0056】本実施例による固化処理方法においては、
普通ポルトランドセメント重量A・フライアッシュ重量
Bの配合割合はB/(A+B)=0.50である。した
がって、安全基準値以上のC−14分配係数を確保しつ
つ、最大100kgの廃棄物を200Lドラム缶に充填
することができる。
普通ポルトランドセメント重量A・フライアッシュ重量
Bの配合割合はB/(A+B)=0.50である。した
がって、安全基準値以上のC−14分配係数を確保しつ
つ、最大100kgの廃棄物を200Lドラム缶に充填
することができる。
【0057】なお、上記第2の実施例においては、放射
性廃棄物として塩化ナトリウムを主成分とする濃縮廃液
を取り上げたが、本実施例による固化処理方法は、硫酸
ナトリウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムなどの
放射性廃棄物を固化処理する際に適用でき、これらの場
合も同様の効果を得る。
性廃棄物として塩化ナトリウムを主成分とする濃縮廃液
を取り上げたが、本実施例による固化処理方法は、硫酸
ナトリウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムなどの
放射性廃棄物を固化処理する際に適用でき、これらの場
合も同様の効果を得る。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、溶解性の無機化合物を
主成分とする放射性廃棄物を、C−14の分配係数を安
全基準値以上に確保しつつ、減容性良く処分できる。す
なわち、セメント系固化材として、普通ポルトランドセ
メントの重量をA、非晶質シリカ系添加材の重量をBと
したときに、0.20≦B/(A+B)≦0.80であ
るものを使用するので、固化体200L当たり、50k
gの硫酸ナトリウム含有放射性廃棄物若しくは35kg
の塩化ナトリウム含有放射性廃棄物を充填できる。ま
た、セメント系固化材として、普通ポルトランドセメン
トの重量をA、非晶質シリカ系添加材の重量をBとした
ときに、0.30≦B/(A+B)≦0.60であるも
のを使用するので、固化体200L当たり、200kg
の硫酸ナトリウム含有放射性廃棄物若しくは50kgの
塩化ナトリウム含有放射性廃棄物を充填できる。そして
このとき流動性を良好に確保しつつブリージング水の発
生を防止することができる。さらに、セメント系固化材
として、普通ポルトランドセメントの重量をA、非晶質
シリカ系添加材の重量をBとしたときに、0.40≦B
/(A+B)≦0.55であるものを使用するので、固
化体200L当たり、220kgの硫酸ナトリウム含有
放射性廃棄物若しくは100kgの塩化ナトリウム含有
放射性廃棄物を充填できる。
主成分とする放射性廃棄物を、C−14の分配係数を安
全基準値以上に確保しつつ、減容性良く処分できる。す
なわち、セメント系固化材として、普通ポルトランドセ
メントの重量をA、非晶質シリカ系添加材の重量をBと
したときに、0.20≦B/(A+B)≦0.80であ
るものを使用するので、固化体200L当たり、50k
gの硫酸ナトリウム含有放射性廃棄物若しくは35kg
の塩化ナトリウム含有放射性廃棄物を充填できる。ま
た、セメント系固化材として、普通ポルトランドセメン
トの重量をA、非晶質シリカ系添加材の重量をBとした
ときに、0.30≦B/(A+B)≦0.60であるも
のを使用するので、固化体200L当たり、200kg
の硫酸ナトリウム含有放射性廃棄物若しくは50kgの
塩化ナトリウム含有放射性廃棄物を充填できる。そして
このとき流動性を良好に確保しつつブリージング水の発
生を防止することができる。さらに、セメント系固化材
として、普通ポルトランドセメントの重量をA、非晶質
シリカ系添加材の重量をBとしたときに、0.40≦B
/(A+B)≦0.55であるものを使用するので、固
化体200L当たり、220kgの硫酸ナトリウム含有
放射性廃棄物若しくは100kgの塩化ナトリウム含有
放射性廃棄物を充填できる。
【図1】本発明の第1の実施例による放射性廃棄物の固
化処理方法において、非晶質シリカ系添加材の配合割合
を変化させたときの、C−14分配係数と廃棄物充填量
との関係を示した図である。
化処理方法において、非晶質シリカ系添加材の配合割合
を変化させたときの、C−14分配係数と廃棄物充填量
との関係を示した図である。
【図2】放射性廃棄物の固化処理方法を実施する処理シ
ステムを表す概念図である。
ステムを表す概念図である。
【図3】C−14のセメント固化体への吸着原理を示す
図である。
図である。
【図4】普通ポルトランドセメント・C種高炉セメント
を固化材として用いた場合における、C−14分配係数
と廃棄物充填量との関係を示した図である。
を固化材として用いた場合における、C−14分配係数
と廃棄物充填量との関係を示した図である。
【図5】ペースト中の固化材及び水の配合量を示す図で
ある。
ある。
【図6】普通ポルトランドセメント重量A・高炉スラグ
重量Bを変化させたときのフロー値及びブリージング水
発生量の測定結果を示した図である。
重量Bを変化させたときのフロー値及びブリージング水
発生量の測定結果を示した図である。
【図7】高炉スラグ以外の非晶質シリカ系添加材の固化
処理実験を実施した処理システムを表す概念図である。
処理実験を実施した処理システムを表す概念図である。
【図8】各種の非晶質シリカ系添加材を用いた場合にお
いて、非晶質シリカ系添加材成分を変化させたときのC
−14分配係数の変化を表した図である。
いて、非晶質シリカ系添加材成分を変化させたときのC
−14分配係数の変化を表した図である。
【図9】本発明の第2の実施例による放射性廃棄物の固
化処理方法を実施する処理システムを表す概念図であ
る。
化処理方法を実施する処理システムを表す概念図であ
る。
【図10】固化材中のフライアッシュの割合を変化させ
たときのC−14分配係数と廃棄物充填量との関係を示
した図である。
たときのC−14分配係数と廃棄物充填量との関係を示
した図である。
【図11】ペースト中の濃縮廃液及び固化材の配合量を
示す図である。
示す図である。
1 ペレット貯槽 2 ペレット取出装置 4 ペレットホッパ 7 固化材タンク 8 混練水タンク 11 混練機 15 固化容器 17 溶解槽 19 濃縮廃液タンク 23 廃液受けタンク
フロントページの続き (72)発明者 小森 至 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 松尾 俊明 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 泉田 龍男 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内
Claims (9)
- 【請求項1】 溶解性の無機化合物を含有する放射性廃
棄物を、普通ポルトランドセメント及び非晶質シリカ系
添加材を含有するセメント系固化材を用いて固化処理す
る放射性廃棄物の固化処理方法において、 前記セメント系固化材として、前記普通ポルトランドセ
メントの重量をA、前記非晶質シリカ系添加材の重量を
Bとしたときに、 0.20≦B/(A+B)≦0.80 であるものを使用することを特徴とする放射性廃棄物の
固化処理方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の放射性廃棄物の固化処理
方法において、前記セメント系固化材として、前記普通
ポルトランドセメントの重量をA、前記非晶質シリカ系
添加材の重量をBとしたときに、 0.30≦B/(A+B)≦0.60 であるものを使用することを特徴とする放射性廃棄物の
固化処理方法。 - 【請求項3】 請求項1記載の放射性廃棄物の固化処理
方法において、前記セメント系固化材として、前記普通
ポルトランドセメントの重量をA、前記非晶質シリカ系
添加材の重量をBとしたときに、 0.40≦B/(A+B)≦0.55 であるものを使用することを特徴とする放射性廃棄物の
固化処理方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3記載の放射性廃棄物の固化
処理方法において、前記無機化合物は、硫酸ナトリウ
ム、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、及びホウ酸ナト
リウムのうち少なくとも1つであることを特徴とする放
射性廃棄物の固化処理方法。 - 【請求項5】 請求項1〜3記載の放射性廃棄物の固化
処理方法において、前記非晶質シリカ系添加材は、高炉
スラグ、フライアッシュ、及びシリカフュームのうち少
なくとも1つであることを特徴とする放射性廃棄物の固
化処理方法。 - 【請求項6】 溶解性の無機化合物を含有する放射性廃
棄物を減容処理した後、 普通ポルトランドセメント及び非晶質シリカ系添加材
が、前記普通ポルトランドセメントの重量をA、前記非
晶質シリカ系添加材の重量をBとしたときに、 0.20≦B/(A+B)≦0.80 となるように含有されているセメント系固化材を用い
て、前記減容処理された放射性廃棄物を固化処理するこ
とを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法。 - 【請求項7】 請求項6記載の放射性廃棄物の固化処理
方法において、前記減容処理として、ペレット固化及び
仮焼固化のうちいずれか一方の処理を施すことを特徴と
する放射性廃棄物の固化処理方法。 - 【請求項8】 硫酸ナトリウムを含有する放射性廃棄物
をペレット固化した後、 普通ポルトランドセメント及び高炉スラグが、前記普通
ポルトランドセメントの重量をA、前記高炉スラグの重
量をBとしたときに、 0.30≦B/(A+B)≦0.60 となるように含有されているセメント系固化材を用い
て、前記ペレット固化された放射性廃棄物を固化処理す
ることを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法。 - 【請求項9】 塩化ナトリウムを含有する放射性廃棄物
を仮焼固化した後、 普通ポルトランドセメント及びフライアッシュが、前記
普通ポルトランドセメントの重量をA、前記フライアッ
シュの重量をBとしたときに、 0.30≦B/(A+B)≦0.60 となるように含有されているセメント系固化材を用い
て、前記仮焼固化された放射性廃棄物を固化処理するこ
とを特徴とする放射性廃棄物の固化処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9385795A JPH08285995A (ja) | 1995-04-19 | 1995-04-19 | 放射性廃棄物の固化処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9385795A JPH08285995A (ja) | 1995-04-19 | 1995-04-19 | 放射性廃棄物の固化処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08285995A true JPH08285995A (ja) | 1996-11-01 |
Family
ID=14094107
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9385795A Pending JPH08285995A (ja) | 1995-04-19 | 1995-04-19 | 放射性廃棄物の固化処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08285995A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11109093A (ja) * | 1997-09-30 | 1999-04-23 | Jgc Corp | 硝酸ソーダ含有廃棄物のセメント固化処理方法 |
JP2011011943A (ja) * | 2009-07-01 | 2011-01-20 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 固化剤及び固化処理方法 |
JP5047400B1 (ja) * | 2012-05-08 | 2012-10-10 | 株式会社太平洋コンサルタント | 放射性廃棄物焼却灰のセメント固化体の製造方法及びその固化体 |
CN114664471A (zh) * | 2022-03-17 | 2022-06-24 | 中国原子能科学研究院 | 一种放射性固体废物水泥固化的方法 |
-
1995
- 1995-04-19 JP JP9385795A patent/JPH08285995A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN114664471A (zh) * | 2022-03-17 | 2022-06-24 | 中国原子能科学研究院 | 一种放射性固体废物水泥固化的方法 |
CN114664471B (zh) * | 2022-03-17 | 2023-11-10 | 中国原子能科学研究院 | 一种放射性固体废物水泥固化的方法 |
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