JP2993485B2 - 放射性廃棄物の固化材及び放射性廃棄物の固化方法 - Google Patents

放射性廃棄物の固化材及び放射性廃棄物の固化方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放射性廃棄物の固
化材及び放射性廃棄物の固化方法に係り、特に原子力発
電所等から発生する放射性廃棄物の固化に用いるのに好
適な放射性廃棄物の固化材、及びこの固化材を用いた放
射性廃棄物の固化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所及び原子燃料再処理施設等
の放射性物質取扱施設から発生する濃縮廃液,使用済み
イオン交換樹脂,放射性雑固体等のいわゆる低レベル放
射性廃棄物の処理,処分の際、固化容器,固化材,埋め
戻し材、及び処分場構造物等にセメント,コンクリー
ト、及び水ガラス(ケイ酸ナトリウム)等の水硬性の無
機固化材を用いていた。
【0003】上記水硬性の無機固化材は、固化操作が
容易である、安価である、耐放射線性に優れてい
る、等の利点を有しており、低レベル放射性廃棄物の処
理,処分に適している。更に、低レベル放射性廃棄物の
処理,処分のためには、固化体あるいは処分施設が水没
するような悪条件であっても健全性を維持でき、かつ、
内部の放射性核種が固化体或いは処分施設外へ漏出する
速度を大幅に遅延できる性質を有していることが必要で
ある。
【0004】従来、固化体の長期耐久性を確保する方法
として、特開昭60−202398号公報に記載のように、水硬
性の固化材にガラス繊維を添加する方法があった。繊維
状物質は、母材の水硬性固化材に比べて引張強度が数倍
大きいため硬化体の補強効果があり固化体全体の引張強
度,曲げ強度が著しく向上する。従って、万一充填物の
体積変化や外力が固化体にかかった場合でも、固化体の
ひび割れや破損の発生がなく、固化体を陸地処分した場
合を想定しても、放射能が十分低いレベルまで減衰する
数十年から数百年の間に固化体が劣化してしまうことは
起こり得ないものと考えられる。
【0005】また、放射性核種を漏出することを遅延さ
せるものとして特開昭58−40000 号公報に記載のよう
に、放射性廃棄物の固化容器に保護層を設け、かつ、こ
の保護層にイオン交換性かつ吸着性を有する充填剤を包
埋させるというものがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のうち、
特開昭60−202398号は、放射性廃棄物からの放射能浸出
率を低減する点については配慮がされておらず、現状レ
ベルよりさらに放射能レベルが高い放射性廃棄物を処分
する場合、及び半減期の長い炭素−14及びテクネシウ
ム−99を含有する廃棄物を処分する場合には、放射能
浸出率を低減する対策が必要となるという問題があっ
た。
【0007】一方、特開昭58−40000 号は、固化容器の
強度を向上させる性質がないので、処分場の乾湿,暖寒
のサイクルに伴って固化容器にひび割れが生じ、健全性
が維持できないという問題があった。
【0008】本発明の目的は、放射能浸出率を低減で
き、かつ放射性廃棄物の充填量を増加できる放射性廃棄
物の固化体を得ることができる放射性廃棄物の固化材、
及び放射性廃棄物の固化方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の目的を達成する
第1発明の特徴は、水硬性固化材と、液体中の溶存物質
を吸着する溶存物質吸着補強材とを含む放射性廃棄物の
固化材にある。
【0010】この放射性廃棄物の固化材で放射性廃棄物
を固化することによって得られる固化体は、溶存物質
着補強材を含んでいる。放射性廃棄物の固化体内に含ま
れている溶存物質吸着補強材は、水硬性固化材の数倍の
引張強度を有しているので、固化体の引張強度を増大さ
せる。また、溶存物質吸着補強材は、固化体の圧縮強度
も増大させる。固化体の機械的強度が向上するので、固
化体内に含まれる放射性廃棄物の割合を増加できる。
【0011】また、溶存物質吸着補強材は、放射性廃棄
物の固化体内におけるクラックの発生を著しく抑制す
る。特に、溶存物質吸着補強材は、その固化体の機械的
強度に影響しない微小なクラックの発生をも著しく抑制
する。このため、放射性廃棄物の固化体の放射能浸出率
を著しく低減できる。
【0012】溶存物質吸着補強材が放射性核種を吸着す
ので溶存物質吸着補強材を含む放射性廃棄物の固化
体は、放射性核種に対する分配係数を向上できるので、
放射能浸出率を、更に、低減できる。
【0013】本発明の目的を達成する第2発明の特徴
は、水硬性固化材と液体中の溶存物質を吸着する溶存物
吸着補強材とを含む放射性廃棄物の固化材、及び水を
混練槽内で混練し、この混練によって得られた混練物
を、放射性廃棄物が充填された固化容器内に注入し固化
することにある。
【0014】水硬性固化材と溶存物質吸着補強材とを含
む放射性廃棄物の固化材、及び水を混練することによっ
て得られた混練物を、放射性廃棄物を充填した固化容器
内に注入して固化するので、溶存物質吸着補強材を含む
放射性廃棄物の固化体を得ることができる。この固化体
は、第1発明で得られる作用効果を生じる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
用いて説明する。
【0016】図1は、原子力発電所から発生する放射性
の使用済みのイオン交換樹脂(廃樹脂)をセメント系の
水硬性固化材により固化容器内に固化するシステムのフ
ローを示す図である。
【0017】樹脂脱水機1には、原子力発電所から廃棄
された廃樹脂のスラリーが供給され、遠心脱水により含
水率が50%前後になるように脱水する。そして、脱水
された廃樹脂は、樹脂受槽2に送られ、フィーダ3によ
り一定の量にされて混練槽4へ供給される。なお、この
廃樹脂は、数種類の放射性核種をイオン、または固形物
の形で捕捉していることになる。次に、混練槽4へ、添
加水タンク7により混練水を、セメントサイロ5により
フィーダ6を介してセメント粉末を、添加材ホッパ8よ
り繊維状活性炭を、それぞれ一定量混練槽4へ供給して
撹拌翼9で強制混練しペースト状にする。そして、得ら
れたペーストは、固化容器10へ注入後、養成固化され
て固化体となる。なお、注入時に加振器11で振動を与
えると、固化体内部に気泡の少ない良好な固化体を作成
できる。なお、以上説明したプロセスの他に、固化容器
に直接脱水された廃樹脂とセメント粉と繊維状活性炭を
供給し、撹拌して固化することも可能である。
【0018】次に、本実施例を具体的に説明する。本実
施例では、表1に示すような組成を有する2種類の固化
体を作成した。
【0019】
【表1】
【0020】ここで、使用したセメント粉末は、C種高
炉セメントであるが、セメントにケイ酸ナトリウム粉末
を混合した固化材であるセメントガラス,シリカセメン
ト,アルミナセメント,フライアッシュセメント,耐硫
酸塩セメント等も使用可能であり、これらを総称し、セ
メント系の水硬性固化材とする。また、添加水にはセメ
ント用の高性能減水剤(β−ナフタレンスルホン酸塩高
縮合物)を予め2%程度添加した。また、上記繊維状活
性炭はタールを原料としたもので、太さ15μm,長さ
3mm,比表面積1500m2/g 、表面のミクロポアの
平均細孔径が20Åという物性値を持っている。
【0021】4週間の養生期間のあと、完成した固化体
をコアボーリングして約0.1 リットルの試験体を多数
作成し、水浸漬→70℃気流乾燥→水浸漬の乾燥サイク
ル試験を実施した。上記各サイクルごとに試験体の圧縮
強度を測定し、固化体の健全性を調べた。固化体内部に
乾湿サイクルに伴うクラック発生があるか否かは、圧縮
強度の変化で検出することができる。
【0022】図2は、乾湿サイクル数の増加に伴う圧縮
強度の変化を示す図である。白ぬりのプロットはCAS
E1の固化体を示し、黒ぬりのプロットはCASE2の
固化体を示している。CASE2の繊維状活性炭無添加
の固化体では、乾湿サイクルが5サイクルを超えると徐
々に表面にひび割れが見え始め、10サイクルで固化体
が崩壊した。一方、CASE1の繊維状活性炭を添加し
た固体化では、20サイクルを超えても圧縮強度の低下
は見られず固化体は健全であった。
【0023】次に、CASE1及びCASE2の固化体
の一部をサンプリングし、乳鉢上で粉砕した試料1gを
炭素−14とセシウム−134をそれぞれ100μCi
含む蒸留水に分散させウォーターバスインキュベータ中
において25℃で振動した後、各CASEの固化体の炭
素−14(陰イオン)とセシウム−134(陽イオン)の
分配係数を測定した。分配係数の測定には、炭素−14
については液体シンチレーションカウンタを、セシウム
−134については純Ge半導体検出機を使用した。測
定された分配係数(相対値)を表2に示す。一般に、固
化体水没時に固化体からの放射能浸出率は、固化材の分
配係数の平方根に逆比例することが知られている。
【0024】
【表2】
【0025】表2からも分かるように、CASE1の固
化体からの放射性浸出率は、CASE2の固化体に比べて炭
素−14で約1/10、セシウム−134で約1/7に
低減されている。つまり、従来のセメント系固化材に若
干量(<5重量%)の繊維状活性炭を添加することで固
化体の耐久性が向上し放射性浸出率の低減が可能とな
る。
【0026】繊維状活性炭は、その表面に無数のミクロ
ポア(細孔径20Å)が存在し、ここに放射性核種をイ
オンまたは分子状態で主として物理的に吸着する性質が
ある。このため、吸着特性に極性はなく、基本的に液体
中で陽イオンの形態をとる核種,陰イオンの形態をとる
核種の両方を吸着し、その溶出を遅延する働きがある。
そして、陰イオン或いは有機炭素の形態をとり、溶出遅
延の有効な方法がなかった炭素−14に対しても高い分
配係数を有しているという性質がある。
【0027】更に、繊維状活性炭の形状については、ア
スペクト比(繊維の長さ/繊維の太さ)が大きいほど補
強効果が大きいが、その分ペーストの混練性や注入性が
悪化する。従って、アスペクト比が自由に調整可能であ
るが、200〜300が望ましい。また、陽イオンの吸
着材と併用すれば、陽イオンの形態をとる放射性核種の
浸出率低減にさらに効果を発揮する。なお、本実施例で
は、繊維状活性炭について説明したが、イオン交換樹
脂,チタン酸アルカリ金属繊維を添加することによって
も同様の効果を得ることもできる。
【0028】イオン交換繊維は、主骨格であるポリマー
に派生しているイオン交換基(スルホン酸基,カルボキ
シル基,四級アンモニウム基等)に、イオン交換反応に
より水に溶けた放射性核種のイオンを吸着する。交換基
の種類により吸着できるイオンの極性が異なるため、陽
イオン交換繊維と陰イオン交換繊維を混合すれば、ほぼ
全ての核種を吸着できる。また、チタン酸アルカリ金属
繊維は、チタニアの層状構造の層間に存在するアルカリ
金属のイオンと液中で陽イオンの形態をとる核種がイオ
ン交換することにより吸着される。従って、溶出遅延の
効果があるのは陽イオン核種のみであり、炭素−14を
始めとする陰イオン核種や中性分子には効果がない。更
に、チタン酸アルカリ金属繊維は比重が3以上であり、
硬化材ペースト中で沈降する可能性があるので見かけ比
重を1.5〜2.5に調整することが望ましい。
【0029】以上説明した繊維状物質(繊維状活性炭,
イオン交換繊維及びチタン酸アルカリ金属繊維)は、内
包する廃棄物に含まれる種類や量により2種以上をブレ
ンドして用いることも可能である。
【0030】次に本発明の他の実施例を説明する。本実
施例は、原子力発電所から発生する使用済イオン交換樹
脂を固化容器内に固化するのに好適なものである。
【0031】本実施例で使用したシステムは、図1に示
したものと同様である。添加材ホッパ8から粉末状活性
炭を加えた固化体と繊維状活性炭を加えた固化体を作成
する。そして、粉末状活性炭及び繊維状活性炭の添加量
を適宜変化させて固化材中の炭素−14の分配係数と、
最大充填可能樹脂量を実験により調べた。なお、最大充
填可能樹脂量は1ケ月養生で作成した固化体をさらに1
ケ月間水に浸漬し、圧縮強度が30kg/cm2 以上を確保
できる最大の樹脂添加量を意味する。
【0032】図3は、上記実験結果であり、添加物の量
と樹脂充填率、C−14の分配係数の関係を表す図であ
る。黒ぬりのプロットで示した粉末状の活性炭を添加し
た固化体については、添加量の増加に伴って炭素−14
の分配係数が増大し、炭素−14の浸出率低減に効果が
あるが、最大樹脂充填量が減少しており固化材自身の強
度は低下するという結果となった。
【0033】これに対し、白ぬりのプロットで示した繊
維状活性炭を添加した固化体では添加量の増加に伴って
最大樹脂充填率、炭素−14分配係数それぞれ増加する
という効果となった。つまり、添加量4重量%のときは
最大樹脂充填率は無添加のときの2倍以上の充填が可能
となる。また、炭素−14の分配係数は粉末状活性炭の
場合より数倍効果があることになる。
【0034】また、繊維状活性炭は添加量を増せば増す
ほど炭素−14の分配係数は大きくできるが、固化材ペ
ーストの混練性,注入性は低下することになる。従っ
て、繊維状活性炭の添加量は10重量%以下、好ましく
は5重量%以下が良い。繊維状活性炭は多少たりとも添
加されていれば効果があり、下限値としては0.1 重量
%程度である。一方、粉末状活性炭の場合は、樹脂充填
率との関係から10重量%程度まで添加することが可能
である。
【0035】以上のことから、粉末状活性炭,繊維状活
性炭の添加により、分配係数が小さかった炭素−14に
対して分配係数を増大させる効果がある。更に、繊維状
活性炭の場合は、固化体の機械的強度が高くなるので廃
棄物の充填率を高くできる。そして、これらの添加材は
主として物理的吸着で核種を捕捉するので、陽イオン,
陰イオンにかかわらず中性分子の形態をとる放射性核種
に対しても同様の効果がある。
【0036】本発明の他の実施例を図4を用いて説明す
る。本実施例は、原子力発電所や原子燃料再処理工場よ
り発生する放射性の濃縮廃液を固型化し処分するのに好
適なものである。
【0037】硫酸ナトリウムを約20%含む濃縮廃液
は、廃液タンク12に一時的に貯えられている。まず、
濃縮廃液を遠心薄膜乾燥機13に供給し、濃縮廃液を粉
体化する。そして、その乾燥粉体はそのまま混練槽18
へ移送し、固化材と混合して固化体22とする。或い
は、固化容器19に入れ、別に混練した固化材のペース
トを注入して固化体21とすることもできる。固化材タ
ンク15には、核種吸着性の補強材である繊維状活性炭
(直径10μm,長さ3mm)を4重量%をプレミックス
したC種高炉セメントを使用した。このセメントの代わ
りに、前記したセメント系の水硬性固化材である、いわ
ゆるセメントガラス,シリカセメント,アルミナセメン
ト,フライアッシュセメント,耐硫酸塩セメント等も使
用可能であることは言うまでもない。この固化材は、添
加水タンクから供給される混練水と共に適当な配合で混
練槽17で混練し、ペースト状にする。添加水には、β
−ナフタレンスルホン酸塩系の高性能減水剤を2%程度
予め加えておくことが望ましい。
【0038】本実施例を具体的に説明する。本実施例で
は濃縮廃液の乾燥粉体と固化材ペーストを直接混合し
た。乾燥粉体は0〜50重量%の範囲で変化させ、繊維
状活性炭を4重量%プレミックスした固化材と無添加の
固化材で固化体を作成した。なお、水/固形物比は0.
4 とした。また、乾燥粉体10%添加の場合について
トレーサーとして陰イオン核種である99TcO4 -を固化
体一体当り100μCiずつ添加した。そして、それぞ
れの固化体の圧縮強度を調べると共に放射能浸出試験を
実施した。
【0039】図5は1ケ月水浸漬後の圧縮強度を調べた
結果を、図6は放射能浸出試験の結果を示す。それぞれ
繊維状活性炭を添加した場合と添加しない場合を比較し
て示してある。
【0040】図5から明らかなように、繊維状活性炭の
添加により乾燥粉体の添加量を2倍以上にしても十分な
強度を有することがわかる。また、図6から明らかなよ
うに、テクネシウム−99の浸出率が約1桁低減でき従
来よりレベルの高い廃棄物を固化する場合に特に有効で
あることがわかる。なお、陽イオンの核種の浸出を低減
する場合には、陽イオン交換繊維,チタン酸アルカリ金
属繊維が有効であり、繊維状活性炭の代替として使用可
能である。さらに陽イオン交換繊維と陰イオン交換繊維
の混合繊維、または、繊維状活性炭とチタン酸アルカリ
金属繊維の混合繊維を使用することはより有効である。
【0041】また、チタン酸アルカリ金属繊維を使用す
る場合には、繊維の比重が3以上と一般的なセメントペ
ーストの比重より大きいため、繊維の沈降に注意を要す
る。このため繊維の径を小さくするか、或いは繊維の長
さを短くする必要がある。しかし、繊維の強度が低下し
たり、クラック防止の長所が失なわれる場合もあり得
る。このため、別な方法としては、セメントペーストの
粘度を注入し、混練に支障のない程度に高くすることに
より、繊維の沈降を防止することができる。この場合ペ
ーストの粘度としては3000〜5000cp程度が望
ましい。
【0042】また、本実施例において、乾燥粉体をペレ
ット化した後固化材ペーストを注入して固化する場合に
は、固化材ペーストの粘性と繊維の長さを考慮する必要
がある。つまり、加振器で振動を与えずに自然注入する
場合には、固化材ペーストの粘度は3000cp以下、
好ましくは2000cp以下にする必要がある。振動充
填の場合でも固化材ペーストの粘度は5000cp以下
にすることにより、空隙のないち密な固化体を作成する
ことができる。また、繊維の長さについては、アスペク
ト比が大きい繊維を用いた場合、固化材の注入時にペレ
ットとペレットのすき間に繊維がひっかかり易く繊維が
偏在する場合がある。この場合は、補強効果は若干低下
するが、アスペクト比を100以下に調節して使用する
ことが望ましい。
【0043】図7を用いて本発明の他の実施例を説明す
る。本実施例は、原子力発電所から発生する放射性廃棄
物を固形化するのに好適な固化容器に関するものであ
る。図7に示すように、鉄製のドラム缶23に、コンク
リート製容器24を内張りして固化容器として用いるも
のであるが、コンクリート製容器24だけを固化容器と
して用いることも可能である。
【0044】コンクリート製容器24は、セメント,細
骨材,粗骨材,核種吸着性の補強材より構成される。セ
メントは、前述したセメント系の水硬性固化材である、
いわゆるセメントガラス,シリカセメント,アルミナセ
メント,フライアッシュセメント,硫酸塩セメントの
他、ポルトランドセメント,高炉セメント等が使用可能
である。細骨材には、川砂,珪砂,シリカフューム,フ
ライアッシュ,高炉水砕スラグ微粉末,シャモット等が
適する。粗骨材には砂利,岩石破砕物等が適する。核種
吸着性の補強材としては、繊維状活性炭,イオン交換繊
維,チタン酸アルカリ金属繊維が使用できる。
【0045】実施したコンクリート製容器24の標準組
成を表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】粗骨材の最大寸法は、繊維の補強効果を考
慮すれば、繊維長さの1/2程度が最適であるが、この
粗骨材は省略することも可能である。
【0048】上記表3のような組成において、繊維状活
性炭の添加量,繊維状活性炭のアスペクト比を変化させ
ると、図8に示すように固化容器の曲げ強度が変化す
る。添加量,アスペクト比を増加するに従い、曲げ強度
を高めることができるが、ペーストの混練性や形わくへ
の注入性の低下を避けるためには、繊維状活性炭の添加
量は5重量%以下、アスペクト比200〜300程度が
好ましい。
【0049】本実施例によれば、固化容器の曲げ強度が
増大し、耐衝撃性,耐ひびわれ性を向上させることがで
きる。また固化容器に放射性核種の吸着性を付与できる
ため、内部に充填した放射性廃棄物からの核種の浸出低
減することもできる。さらに、固化容器の導電性を高め
られるので、ドラム缶の局所的な腐食を低減することも
できる。なお、本実施例の固化容器の表面からPMMA
(ポリメチルメタクリレート)等のポリマーを含浸する
ことにより、容器の止水性,低浸出性がさらに向上す
る。
【0050】図9を用いて本発明の他の実施例を説明す
る。本実施例は、放射性廃棄物を陸地処分する場合のピ
ット、及び埋め戻し材に関すものである。図9に示すよ
うに、放射性廃棄物を充填し、固型化した固化体25
は、ピット27に静置され、埋め戻し材26で固化体の
間隙を充填する。ピット27には、実施例4に示したよ
うな組成の鉄筋コンクリート構造物、あるいはプレスト
レストコンクリート構造物が適する。
【0051】また埋め戻し材としては、表4に示す組成
のものが好適である。C種高炉セメントに代え、前記し
たセメント系の水硬性硬化材であるセメントガラス,シ
リカセメント,アルミナセメント,フライアッシュセメ
ント,耐硫酸塩セメントでもよい。
【0052】
【表4】
【0053】またC種高炉セメントの一部細骨材で置換
してもかまわない。埋め戻し材は、流動性が高いことが
好ましく、その粘度が2000cp以下であると注入が
容易になる。また、埋め戻し材には本実施例のように、
ゼオライト,ベントナイト,モンモリロナイト,バーミ
キュライト,カオリナイト,クリノプチロライト等の天
然鉱物,粘土鉱物を加えることにより、陽イオン核種の
浸出をさらに低く抑えることができる。更に、本実施例
により、処分場のピットや埋め戻し材の耐久性,耐候性
を向上すると共に、炭素−14を始めとする放射性核種
の浸出率をさらに低くできる効果がある。
【0054】図10を用いて本発明の他の実施例を説明
する。本実施例は海洋に接した鉄筋コンクリート構造物
に関するものである。図10に示すように、従来の一般
コンクリート層29と鉄筋30からなる鉄筋コンクリー
ト構造物の海洋と接している側に、本発明のイオン吸着
性補強材を添加したコンクリートの層を設けることによ
り、海水中の塩素イオンの拡散侵入による鉄筋の腐食を
緩和することができ、構造物の寿命を延長する効果があ
る。
【0055】
【発明の効果】第1発明によれば、放射性廃棄物の固化
体の機械的強度を向上させることができるので、固化体
内に含まれる放射性廃棄物の割合を増加できる。更に、
放射性廃棄物の固化体の放射能浸出率を著しく低減でき
る。
【0056】第2発明によれば、溶存物質吸着補強材を
含む放射性廃棄物の固化体を得ることができ、第1発明
で生じる効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である廃樹脂固化システムの構
成図である。
【図2】乾湿サイクル数の増加に伴う圧縮強度の変化を
示す特性図である。
【図3】添加物の量と樹脂充填率、C−14の分配係数
の関係を表す特性図である。
【図4】本発明の実施例である濃縮廃液固化システムの
構成図である。
【図5】乾燥粉体添加量と固化体圧縮強度の関係を示す
特性図である。
【図6】Tc−99の浸出試験の結果を示す特性図であ
る。
【図7】本発明の他の実施例である固化容器の縦断面図
である。
【図8】固化容器の曲げ強度と繊維状活性炭の添加量及
びアスペクト比の関係を示す特性図である。
【図9】本発明の他の実施例である処分場構造物の縦断
面図である。
【図10】本発明の他の実施例である海洋臨接構造物の
縦断面図である。
【符号の説明】
1…樹脂脱水機、2…樹脂受槽、4…混練槽、8…添加
材ホッパ、10…固化容器、13…遠心薄膜乾燥機、2
3…ドラム缶、24…コンクリート容器、25…固化
体、26…埋め戻し材、27…ピット、30…鉄筋。
フロントページの続き (72)発明者 馬場 務 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所 エネルギー研究所内 (72)発明者 千野 耕一 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所 エネルギー研究所内 (72)発明者 池田 孝志 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社 日立製作所 エネルギー研究所内 (72)発明者 菊池 恂 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G21F 9/16 G21F 9/30 G21F 9/36

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水硬性固化材と、液体中の溶存物質を吸着
    する溶存物質吸着補強材とを含むことを特徴とする放射
    性廃棄物の固化材。
  2. 【請求項2】5重量%以下の前記溶存物質吸着補強材を
    含んでいる請求項1の放射性廃棄物の固化材。
  3. 【請求項3】前記溶存物質吸着補強材は、その表面にミ
    クロポアを有している請求項1の放射性廃棄物の固化
    材。
  4. 【請求項4】前記ミクロポアは、平均細孔直径が10乃
    至25Åである請求項3の放射性廃棄物の固化材。
  5. 【請求項5】前記溶存物質吸着補強材は、繊維状物質で
    ある請求項1乃至請求項3のいずれかの放射性廃棄物の
    固化材。
  6. 【請求項6】前記繊維状物質は、アスペクト比が200
    乃至300である請求項5の放射性廃棄物の固化材。
  7. 【請求項7】前記繊維状物質は、繊維状活性炭,イオン
    交換繊維,チタン酸アルカリ金属繊維のうちから選ばれ
    た少なくとも一つである請求項5または請求項6の放射
    性廃棄物の固化材。
  8. 【請求項8】前記水硬性固化材が、セメント系の水硬性
    固化材である請求項1乃至7のいずれかの放射性廃棄物
    の固化材。
  9. 【請求項9】請求項1乃至8のいずれかの固化材、及び
    水を混練槽内で混練し、この混練によって得られた混練
    物を、放射性廃棄物が充填された固化容器内に注入し固
    化することを特徴とする放射性廃棄物の固化方法。
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