JPH08285704A - 内部温度測定装置 - Google Patents
内部温度測定装置Info
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- JPH08285704A JPH08285704A JP7115173A JP11517395A JPH08285704A JP H08285704 A JPH08285704 A JP H08285704A JP 7115173 A JP7115173 A JP 7115173A JP 11517395 A JP11517395 A JP 11517395A JP H08285704 A JPH08285704 A JP H08285704A
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Abstract
に測定することができる内部温度測定装置を提供する。 【構成】 超音波発生用レーザー光源11から試料にレ
ーザー光が照射されると、内部に超音波が発生する。こ
の超音波のエコーを、超音波検出部20が、プローブ用
レーザー光源12から照射したレーザー光が受けるドッ
プラーシフトとして検出すると、超音波の伝播時間が求
められる。この伝播時間は、内部の温度に依存して変化
する。一方、プローブ用レーザー光源12から照射され
るレーザー光のラマン散乱から、表面温度測定部30に
よって、スケールの温度が求められる。この温度は試料
表面の温度と考えられる。試料の内部に場所による温度
分布がある場合、未知のパラメータを含む特定の関数形
でこの温度分布を近似できる。演算部は、上記の測定結
果からその未知のパラメータを算出し、上記関数形を決
定する。これにより、試料内部の温度が求められる。
Description
なる試料、特に、鉄鋼製造工程において生成される鋼板
のように表面と内部との温度差が大きい試料について、
その内部温度を測定する内部温度測定装置に関するもの
である。
いて、適正な圧延を行う等の目的のために、鋼板の内部
温度を測定したいという要請がある。鋼板の内部温度を
測定する一つの方法として、電磁超音波法を用いる方法
が知られている。これについては、例えば「鉄と鋼」
(79,152,1993)を参照することができる。
用の電磁石及び超音波検出用の電磁石からなる送受信用
トランスデューサを配置し、トランスデューサによって
試料の内部に超音波を発生させ、この試料の裏側で反射
されて戻って来た超音波エコーを再びトランスデューサ
で検出する。これによって超音波が発生してから戻って
来るまでの時間が測定される。ところで、超音波の伝播
速度は試料の温度によって変化するが、試料内の温度分
布は、未知のパラメータを含む特定の関数形で近似でき
ることが知られている。したがって、上記の超音波エコ
ーの到達時間と、放射温度計や熱電対温度計等によって
別途測定された試料の表面温度から、上記関数形の必要
なパラメータを決定することができ、これによって、解
析的に試料内部の温度を求める。
法は、十分な強度を有する超音波を発生させるため、お
よび試料内部の超音波を有効に検出するために、トラン
スデューサを0.5〜2mm程度まで試料の表面に近づ
けなければならない。このため、試料が高温の鋼板の場
合には、送受信用のトランスデューサを水冷するなどの
必要があり、取り扱い上、種々の不都合がある。また、
電磁超音波法では、試料は、トランスデューサの方向に
対する振動が小さくなければならないが、鉄鋼製造工程
では種々の振動が考えられるため、実際の製鉄所におい
て電磁超音波法を適用することには、困難を伴う。
のであり、試料が高温であっても、その内部温度を確実
に測定することができる内部温度測定装置を提供するこ
とを目的とするものである。
めの請求項1記載の発明は、測定対象である試料の表面
温度を測定する表面温度測定手段と、前記試料の表面に
レーザー光を照射して超音波を発生させるレーザー光照
射手段と、超音波検出用のプローブ光を、前記試料の表
面に照射するプローブ光照射手段と、前記プローブ光が
前記試料の表面で反射される際に受けるドップラーシフ
トを検出して光強度に変換するドップラーシフト検出手
段と、前記ドップラーシフト検出手段の検出結果から、
前記超音波が前記試料内を伝播する時間を算出する伝播
時間算出手段と、前記表面温度測定手段によって得られ
た前記試料の表面温度、前記伝播時間算出手段によって
得られた超音波の伝播時間、及び予め求められた前記試
料の寸法から、演算によって前記試料の内部温度を算出
する演算手段と、を具備することを特徴とするものであ
る。
明において、前記表面温度測定手段は、金属試料の表面
に形成されたスケールにレーザー光を照射してラマン散
乱を生じさせるプローブ用レーザー光源と、前記ラマン
散乱されたストークス光の強度を検出するストークス光
検出手段と、前記ラマン散乱されたアンチストークス光
の強度を検出するアンチストークス光検出手段と、前記
ストークス光検出手段によって検出されたストークス光
の強度と前記アンチストークス光検出手段によって検出
されたアンチストークス光の強度との比率に基づき、前
記金属試料の表面温度を算出する演算手段と、を具備す
ることを特徴とするものである。
料の表面温度を測定する表面温度測定手段と、前記試料
の厚さ及び厚さの変化を測定する厚さ測定手段と、前記
表面温度測定手段によって得られた前記試料の表面温
度、前記厚さ測定手段によって得られた前記試料の厚さ
及び厚さの変化量から、演算によって前記試料の内部温
度を算出する演算手段と、を具備することを特徴とする
ものである。
明において、前記表面温度測定手段は、金属試料の表面
に形成されたスケールにレーザー光を照射してラマン散
乱を生じさせるプローブ用レーザー光源と、前記ラマン
散乱されたストークス光の強度を検出するストークス光
検出手段と、前記ラマン散乱されたアンチストークス光
の強度を検出するアンチストークス光検出手段と、前記
ストークス光検出手段によって検出されたストークス光
の強度と前記アンチストークス光検出手段によって検出
されたアンチストークス光の強度との比率に基づき、前
記金属試料の表面温度を算出する演算手段と、を具備す
ることを特徴とするものである。
載の発明において、前記厚さ測定手段は、複数のレーザ
ー距離計からなるものであることを特徴とするものであ
る。
のレーザー光を試料に照射すると、試料表面は瞬間的に
蒸発し、そのときの蒸発反力によって超音波が発生す
る。この超音波が試料の裏面で反射され、エコーとして
再び表側に戻って試料表面が超音波振動すると、試料表
面で反射されるプローブ光はドップラーシフトを受け
る。このドップラーシフトをドップラーシフト検出手段
が検出すると、その時間間隔から、伝播時間算出手段に
よって超音波の伝播時間が算出される。音速は媒質の温
度に依存して変化し、したがって、超音波の伝播時間
は、試料の温度によって変化する。試料に温度分布があ
る場合、この分布関数を特定の関数形で近似することが
可能である。試料の厚さが分かっていれば、超音波の伝
播時間及び表面温度に基づき、演算手段によって、上記
関数形の未知のパラメータを決定することができる。こ
の温度分布関数から、試料内部の温度が求められる。
料は温度によって寸法が変化し、しかもその変化量は基
準温度からの差に比例する。試料に温度分布がある場
合、試料の各部の温度に対する寸法の変化率を試料の厚
さ全体にわたって積分すれば、試料全体の寸法の変化量
が得られるはずである。したがって、試料の温度分布を
特定の関数形で近似し、これを積分して得られた結果
と、厚さ測定手段によって実際に得られた試料の厚さ及
び厚さの変化量を比較、演算することによって、温度分
布関数の未知のパラメータを決定することができる。こ
の温度分布関数から、試料内部の温度が求められる。
の金属試料の表面に形成されるスケールからのラマン散
乱を利用して求めることができる。すなわち、プローブ
用レーザー光源からレーザー光を照射したときに生じる
ラマン散乱によるストークス光の強度とアンチストーク
ス光の強度の比率は、温度に依存して変化することが知
られており、この変化の仕方も公知である。したがっ
て、逆に、ストークス光の強度とアンチストークス光の
強度の比率を求めることによって、スケールの温度、す
なわち、金属試料の表面温度を求めることが可能とな
る。この表面温度の測定結果に基づいて、上記の手段に
よって、試料の内部温度を算出することができる。
いて説明する。図1は、本発明の第一実施例である内部
温度測定装置の概略ブロック図である。この内部温度測
定装置は、試料10内に超音波を発生させるための超音
波発生用レーザー光源11と、超音波発生用レーザー光
源11とは別に設けられたプローブ用レーザー光源12
と、プローブ用レーザー光源12から照射され、試料1
0の表面で散乱反射されたプローブ用レーザー光に基づ
いて試料内に発生した超音波のエコーを検出する超音波
検出部20と、同じく試料10で散乱反射されたプロー
ブ用レーザー光に基づいて試料10の表面温度を測定す
る表面温度測定部30と、試料10の表面温度及び超音
波エコーの周期に基づいて所定の演算を行い、試料内部
の温度を求める演算部40からなる。尚、本実施例で
は、内部温度の測定対象となる試料10を、鉄鋼製造工
程の途中において生成される鋼板とする。また、図1の
試料10の内部の曲線T(x)は、後述する温度分布を
模式的に示したものである。
11は、試料10内に超音波を発生させるためのレーザ
ーであり、比較的大きな出力のパルスレーザー光を放射
できるもの、例えばQスイッチYAGレーザーなどを用
いることができる。レーザー光源11から放射されたレ
ーザー光が、所定の光学経路を経て試料10の表面に照
射されると、試料表面が瞬間的に蒸発し、そのときの熱
的応力又は蒸発反力によって広帯域の超音波が発生す
る。この超音波は、試料内部を伝播して試料の裏面に到
達し、ここで反射されたあと再びエコーとして試料表面
に戻る。このエコーは、しばらくの間、試料の表側と裏
側を往復して減衰しながら伝播する。
料10の表面に戻ってきた超音波エコーを検出するとと
もに、試料表面のラマン散乱を観測するためのプローブ
用レーザー光を照射するためのレーザー光源であり、例
えばAr+ レーザーなどを用いることができる。プロー
ブ用レーザー光源12から放射されたレーザー光は、所
定の光学経路を経て試料10の表面に照射されると、試
料表面で散乱反射される。また、プローブ用レーザー光
源12と試料10の間には、チョッパー13が設けら
れ、プローブ用レーザー光は、このチョッパー13によ
ってチョップされる。このチョッパーの出力信号は、参
照信号として後述の表面温度測定部30のロックイン・
アンプ35に供給される。
ローブ用レーザー光のうち、超音波検査部20のレンズ
21に入射した光は、光ファイバ22、レンズ23を経
てファブリ・ペロー干渉計24に導かれる。ファブリ・
ペロー干渉計24を透過した光は、ホトダイオードなど
からなる光検出器25によって電気信号に変換される。
この信号は、ハイパス・フィルタ26、プリ・アンプ2
7を経てディジタル・オシロスコープ28に供給され
る。
へ戻ると、プローブ用レーザー光は、試料表面の超音波
振動によってドップラーシフトを受け、その波長が遷移
する。ファブリ・ペロー干渉計24は、その共振器長で
決まる特定波長の光を透過し、それ以外の波長の光は通
さないという性質を有する。しかも、この透過率の波長
依存性は非常に急峻である。共振器長を変えたときの透
過率の変化の割合が最も大きくなるように共振器長を予
め調整しておけば、入射光の波長が遷移したときに、そ
の透過光強度が大きく変化する。
ーシフトを受けると、これは光検出器25において光強
度の変化として捉えられる。この光強度の変化は、横軸
に時間をとったディジタル・オシロスコープ28に映し
出された信号波形のピークとして現れ、これによって超
音波エコーを検出することができる。このピークとピー
クの間隔は、超音波エコーが試料の表側と裏側の間を往
復するのに要する時間に対応し、また、超音波が表側か
ら裏側まで伝播するのに要する時間は、この間隔の半分
となる。この時間は、ディジタル・オシロスコープ28
から演算部40へ供給される信号によって、自動的に求
められる。
けたプローブ用レーザー光のうち、表面温度測定部30
のレンズ31に入射した光は、光ファイバ32、レンズ
33によって分光器34へ導かれる。一般に、鉄などの
金属はラマン不活性であるが、熱せられた金属の表面に
はスケールと呼ばれる酸化物が形成されており、これは
ラマン活性であることが知られている。分光器34は、
スケールによってラマン散乱された光のストークス光及
びアンチストークス光の波長帯域の光を分光し、それぞ
れを光検出器35へ導く。検出された光は、各々ロック
イン・アンプ36に供給され、ここでチョッパー13か
らの参照信号に基づいてストークス光及びアンチストー
クス光の強度が検出される。これらはメモリ37に一時
的に記憶された後、割算器38において、ストークス光
とアンチストークス光の強度比が計算される。
度を求める手法について説明する。ラマン散乱によって
生じるストークス光とアンチストークス光の強度比と温
度との間には、
ストークス光の強度、Ia はアンチストークス光の強
度、hはプランク定数、cは光速、kはボルツマン定
数、Tは絶対温度を表す。縦軸に強度の比率(Is /I
a )を、横軸に温度(K)を採り、ラマンシフトの波数
(cm-1)を変えてこの関係を図示すると、図2のよう
になる。一方、本発明者は、試料10の表面に形成され
たスケールが図3に示すラマンスペクトルを有すること
を確認した。この場合、ラマン散乱におけるラマンシフ
トの波数は約400cm-1とすればよいことが分かる。
尚、図3において、縦軸は光の強度を、横軸はスケール
に入射するレーザー光の波数ν0に対するスケール表面
から放射される光の波数のシフト量を示す。図1の演算
部40にはラマンシフトの波数が400cm-1であると
きの図2に示す内容が記憶されたテーブルが設けられて
おり、演算部40はこのテーブルに基づき、ストークス
光及びアンチストークス光の強度の比率から試料10の
表面温度を演算する。尚、スケールのラマン散乱光から
求められる温度は、厳密にはスケールの温度である。し
かし、スケールは試料10の表面に形成されているの
で、スケールの温度と試料10の表面温度とは同等と考
えることができる。尚、ラマン散乱による金属表面の温
度測定に関しては、本出願人による、平成7年4月13
日付けの特許出願(発明の名称「表面温度計」)を参照
することができる。
表面温度から、試料10の内部温度を求める手法につい
て説明する。一般に、超音波の速度(音速)Vは、それ
が伝わる媒質の温度Tに依存する。この音速の温度依存
性は、 V(T) = aT + b (2) と表すことができる。ここで、aおよびbは、実験的に
求められる、その物質固有の定数である。
における鋼板のようなものである場合には、内部の温度
は表面に比べて高く、したがって、試料に垂直な方向に
沿って考えると、中心部に対して対称な温度分布を示
す。この温度分布の関数形は、自然放冷の問題を、適当
な境界条件を仮定して計算によって求めることができる
が、一般には、たとえば次の二次曲線として近似できる
ことが知られている。 T(x) = Tc − A(x−D/2)2 (3) ここで、xは、試料の表側の表面を原点とする試料表面
に垂直な方向の位置である。Tc およびAは未知の定数
であり、前者は中心の温度に対応する。また、Dは試料
の厚さであり、この値は予め測定によって得られる。
(3)式より、試料の表面温度Ts は、 Ts =Tc −AD2 /4 (4) と表される。
を(2)式に代入することによって、次式のように求め
ることができる。 V(T) = aT + b = a{Tc −A(x−D/2)2 } + b = −aA(x−D/2)2 + (aTc +b) (5) また、音速Vと時間tの間には、V=dx/dtの関係
があるので、超音波が試料の表側から裏側まで到達する
のに要する時間τは、
aA}1/2 である。
のレーザー光によって表側の表面で発生した超音波が裏
側へ到達するのに要する時間は、上記のように超音波検
出部20によって実験的に求められる。この時間を
(6)式のτに代入すれば、代数計算によって未知数A
およびTc を含む式が得られる。この式と、同じく未知
数AおよびTc を含む(4)式とを用いて、AおよびT
c の値が求められ、これらを(3)式に代入することに
よって、試料の温度分布を決定することができる。この
温度分布から、試料内の任意の位置における温度を求め
ることができる。以上の計算は、図1の演算部40にお
いて行われる。
非接触で、かつ装置を試料から十分に離して試料内部の
温度測定が可能となるため、鉄鋼製造工程において製造
される鋼板のような高温の試料に対しても、簡便に内部
温度を測定できる。また、ガルバノミラー等を用いて、
レーザー光を試料表面全体にわたってスキャンさせるこ
とによって、試料全体の内部温度を容易に知ることも可
能となる。
る前提となる表面温度を測定するために、試料表面に形
成されたスケールによるラマン散乱を利用したが、これ
以外の周知の表面温度計、例えば放射温度計などを、上
記表面温度測定部30に置き換えて使用することもでき
る。放射温度計を用いた場合でも、試料表面の温度を、
非接触で測定することができる。また、試料に接触する
ことが可能な場合には、熱電対温度計を使用することも
できる。熱電対温度計は、接触形ではあるが、かなりの
高温まで精度のよい測定が可能である。
や測定温度の正確さなどを考慮して、温度分布の関数形
を二次関数として近似したが、これ以外の関数、たとえ
ば双曲線関数などで近似することも可能である。また、
上記実施例ではプローブ用レーザー光源12を一台だけ
設けて、プローブ用レーザー光の反射光を超音波検査部
20及び表面温度測定部30の両方で用いたが、超音波
検査部20と表面温度測定部30について別々にプロー
ブ用レーザーを設けてもよい。更に、プローブ用レーザ
ーを照射するのは、超音波発生用レーザー光源11を照
射する表側と同じである必要はなく、裏側であってもよ
い。
る。図4は、温度による試料の厚さの変化及び表面温度
から、試料内部の温度を求める、本発明の第二実施例の
内部温度測定装置の概略ブロック図である。この内部温
度測定装置は、主として、試料10の表側に設けられた
レーザー距離計50、試料10の裏側に設けられたレー
ザー距離計51、表面温度測定部60及び演算部70か
らなる。ここで、表面温度測定部60としては、第一実
施例の表面温度測定部30と同一構成のものを用いるこ
ととし、その詳細な説明を省略する。但し、本実施例の
表面温度測定部60は、レーザー距離計50から放射さ
れたレーザー光が試料10の表面のスケールによってラ
マン散乱された光を温度測定に用いる。そのために、レ
ーザー距離計50と試料10と間には、試料10からの
反射光の一部を表面温度測定部60に導くためのビーム
・スプリッタ61が設けてある。
膨張し、温度が下がると収縮する。このため、試料の寸
法は、温度差に比例して変化し、その割合は線膨張係数
を用いて表すことができる。鉄鋼製造工程において生成
される鋼板のように温度分布を有する試料では、試料の
温度分布を第一実施例と同様の関数形で近似し、各点の
温度と基準となる温度との差に線膨張係数を掛けること
によって、その点における寸法の変化の割合(変化分)
が得られる。この寸法の変化分を試料の厚さ全体につい
て積分したものは、全体の厚さの変化分に等しい。した
がって、別途求めた表面温度及び全体の厚さの変化から
上記関数の方程式の未知数を計算することができる。ま
た、この温度分布関数から、試料の任意の位置における
温度を決定することができる。図4に示した二つのレー
ザー距離計50及び51は、試料10の厚さの変化を高
い精度で測定するのに用いられる公知の距離計である。
ら、試料10の内部温度を求める手法について説明す
る。試料10の温度T(x)を、第一実施例と同様に、 T(x) = Tc − A(x−D/2)2 (7) と表すことができる。ここで、xは、試料の表側の表面
を原点とする試料表面に垂直な方向の位置である。Tc
およびAは未知の定数であり、前者は中心の温度に対応
する。また、Dは試料の厚さであり、この値は予め測定
によって得られる。尚、(7)式より、試料の表面温度
Ts は、x=0として、 Ts =Tc −AD2 /4 (8) と表される。
ρ(x)は、 ρ(x)=α(T(x)−T0 ) (9) と表すことができる。ここで、αは線膨張率、T0 は基
準温度である。したがって、試料全体の伸びδDは、
厚さである。(7)式と(9)式を(10)式に代入し
て計算すると、δDは次のように求められる。
消去し、かつ、D0 /D=ηとおくと、 1/η= 1+α(Tc −T0 )−4α(Tc −Ts )(1/4−η/2 +η2 /3) (12) となる。一方、この式をTc について表すと、 Tc ={T0 −(1−2η+4η2 /3)Ts +(1/η−1)/α}/(2η −4η2 /3) (13) となり、この式によって中心の温度が求められる。更
に、この(13)式及び(8)式からAを求め、(7)
式に代入することによって、試料中の各点における温度
が定まる。以上の演算は、図4の演算部70において行
われる。
線的な温度勾配を有するものとして、内部温度を求める
場合を考える。試料の内部温度が概算できればよいとう
場合には、このような方法で温度を求めてもよい。この
場合、各部の温度T(x)は簡単に、 T(x)= Ts + Ax (14) と表すことができる。ここで、Ts は試料の表面温度、
Aは未知の比例定数である。尚、以下では、試料表面か
ら中心までの距離をDとする。また、各部の厚さの変化
の割合ρ(x)は、上記と同様に(9)式で表される。
したがって、試料全体の伸びδDは、(14)式および
(9)式を(10)式に代入することによって、 δD=α{AD0 2 /2 + (Ts −T0 )D0 } (15) と求められる。
し、かつ、D0 /D=ηとおくと、 Tc −Ts =(2/η){(T0 −Ts )+(1/η−1)/α} (17) となる。
試料表面に形成されたスケールによるラマン散乱を利用
して表面温度を測定したが、これ以外の周知の表面温度
計、例えば放射温度計、熱電対温度計などを、上記表面
温度測定部60に置き換えて使用することができる点
は、第一実施例の場合と同様である。
一次関数として近似した温度分布の関数形を、双曲線関
数など、これら以外の関数で近似可能である点は第一実
施例の場合と同様である。また、構成を簡素化するとい
う観点から、ラマン散乱のためのレーザー光源としてレ
ーザー距離計50のレーザーを用いたが、ラマン散乱を
起こさせるための専用のレーザーを別途設けてもよい。
直接測定できない試料の内部温度を、レーザー光を照射
して発生する超音波の伝播時間を別のレーザー光でドッ
プラーシフトとして検出するとともに、レーザー光によ
るラマン散乱等を用いて表面温度を測定し、これらの結
果から演算によって算出することができるので、非常に
高速に試料の内部温度を測定することができ、特に、鉄
鋼製造工程における鋼板のように、表面と内部で大きく
温度が異なる試料であっても、現場で確実に内部温度が
求められる内部温度測定装置を提供することができる。
概略ブロック図である。
と温度との関係を示した図である。
る。
概略ブロック図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 測定対象である試料の表面温度を測定す
る表面温度測定手段と、 前記試料の表面にレーザー光を照射して超音波を発生さ
せるレーザー光照射手段と、 超音波検出用のプローブ光を、前記試料の表面に照射す
るプローブ光照射手段と、 前記プローブ光が前記試料の表面で反射される際に受け
るドップラーシフトを検出して光強度に変換するドップ
ラーシフト検出手段と、 前記ドップラーシフト検出手段の検出結果から、前記超
音波が前記試料内を伝播する時間を算出する伝播時間算
出手段と、 前記表面温度測定手段によって得られた前記試料の表面
温度、前記伝播時間算出手段によって得られた超音波の
伝播時間、及び予め求められた前記試料の寸法から、演
算によって前記試料の内部温度を算出する演算手段と、 を具備することを特徴とする内部温度測定装置。 - 【請求項2】 前記表面温度測定手段は、 金属試料の表面に形成されたスケールにレーザー光を照
射してラマン散乱を生じさせるプローブ用レーザー光源
と、 前記ラマン散乱されたストークス光の強度を検出するス
トークス光検出手段と、 前記ラマン散乱されたアンチストークス光の強度を検出
するアンチストークス光検出手段と、 前記ストークス光検出手段によって検出されたストーク
ス光の強度と前記アンチストークス光検出手段によって
検出されたアンチストークス光の強度との比率に基づ
き、前記金属試料の表面温度を算出する演算手段と、 を具備することを特徴とする請求項1記載の内部温度測
定装置。 - 【請求項3】 測定対象である試料の表面温度を測定す
る表面温度測定手段と、 前記試料の厚さ及び厚さの変化を測定する厚さ測定手段
と、 前記表面温度測定手段によって得られた前記試料の表面
温度、前記厚さ測定手段によって得られた前記試料の厚
さ及び厚さの変化量から、演算によって前記試料の内部
温度を算出する演算手段と、 を具備することを特徴とする内部温度測定装置。 - 【請求項4】 前記表面温度測定手段は、 金属試料の表面に形成されたスケールにレーザー光を照
射してラマン散乱を生じさせるプローブ用レーザー光源
と、 前記ラマン散乱されたストークス光の強度を検出するス
トークス光検出手段と、 前記ラマン散乱されたアンチストークス光の強度を検出
するアンチストークス光検出手段と、 前記ストークス光検出手段によって検出されたストーク
ス光の強度と前記アンチストークス光検出手段によって
検出されたアンチストークス光の強度との比率に基づ
き、前記金属試料の表面温度を算出する演算手段と、 を具備することを特徴とする請求項3記載の内部温度測
定装置。 - 【請求項5】 前記厚さ測定手段は、複数のレーザー距
離計からなるものであることを特徴とする請求項3又は
4記載の内部温度測定装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2002062197A (ja) * | 2000-08-23 | 2002-02-28 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 温度計測装置及び温度計測方法 |
EP1679513A2 (en) * | 1996-11-22 | 2006-07-12 | Perceptron, Inc. | Physical parameter measuring apparatus and method thereof |
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1995
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