JPH0828343A - 多気筒内燃機関のシリンダブロック - Google Patents

多気筒内燃機関のシリンダブロック

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JPH0828343A
JPH0828343A JP17115694A JP17115694A JPH0828343A JP H0828343 A JPH0828343 A JP H0828343A JP 17115694 A JP17115694 A JP 17115694A JP 17115694 A JP17115694 A JP 17115694A JP H0828343 A JPH0828343 A JP H0828343A
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groove
cylinder
cooling water
bore
cylinder bore
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静生 安部
Makoto Suzuki
鈴木  誠
Akio Matsunaga
彰生 松永
Katsumi Katsumata
勝美 勝又
Masato Kawachi
正人 河内
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シリンダブロックの剛性を確保しつつシリン
ダボアの変形を低減する。 【構成】 各シリンダボアの周囲に沿いつつ第1シリン
ダボア2aから第4シリンダボア2dまで連続して延びる第
1溝5および第2溝6を長手軸線K-K の両側にそれぞれ
形成する。シリンダボア側の第1溝内壁面5aとこれに対
面する第1溝外壁面5bとを互いに結合するリブ9a, 9b,
9cを第1溝5内に形成し、シリンダボア側の第2溝内壁
面6aとこれに対面する第2溝外壁面6bとを互いに結
合するリブ10a, 10b, 10c を第2溝6内に形成する。各
リブは長手軸線K-K に対し垂直をなしかつ隣接するシリ
ンダボア間のボア壁4a, 4b, 4cの中心部を含んで延びる
平面La, Lb, Lcに沿いつつ延びるように形成される。さ
らに、長手軸線K-K 方向における各リブの肉厚をボア壁
4a, 4b, 4cの長手軸線K-K 方向における肉厚以下に設定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多気筒内燃機関のシリン
ダブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】機関の長手軸線に沿って配置された複数
個のシリンダボアを備え、機関の長手軸線の一側におい
て各シリンダボアの周囲に沿いつつ一端のシリンダボア
から他端のシリンダボアまで連続して延びる第1の溝を
形成すると共に機関の長手軸線の他側において各シリン
ダボアの周囲に沿いつつ一端のシリンダボアから他端の
シリンダボアまで連続して延びる第2の溝を形成し、こ
れら第1および第2の溝はシリンダブロックの頂面にお
いてそれぞれ開口しており、該第1の溝の一端と該第2
の溝の一端とを互いに連結すると共に該第1の溝の他端
と該第2の溝の他端とを互いに連結し、シリンダボア側
に位置する第1および第2の溝の内壁面とこれに対面す
る第1および第2の溝の外壁面とを互いに結合するリブ
を設けた多気筒内燃機関のシリンダブロックが公知であ
る(実開平1−145964号公報参照)。このシリン
ダブロックでは、上記リブが機関長手軸線に垂直をなし
かつシリンダボアの中心部を含んで延びる平面に沿いつ
つ延びるように第1および第2の溝内にそれぞれ形成さ
れており、これらリブによりシリンダブロックの剛性が
できるだけ高くなるようにしている。シリンダブロック
の剛性が高くなるとシリンダブロックの振動が低減さ
れ、したがって機関の騒音が低減される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上述した
シリンダブロックにおけるようにシリンダボアと第1の
溝間のボア壁およびシリンダボアと第2の溝間のボア壁
にそれぞれリブが結合されている場合、機関が作動され
てリブがこれらボア壁に対しリブの一端が結合されてい
る第1および第2の溝の外壁面からリブの他端が結合さ
れている第1および第2の溝の内壁面に向かう方向また
はこれと逆方向の応力を作用するようになるとこれら応
力が作用する方向におけるこれらボア壁の剛性は比較的
低いので機関作動時にシリンダボアが大きく変形すると
いう問題がある。機関作動時にシリンダボアが大きく変
形するとシリンダボア内で摺動するピストンの摩擦抵抗
が増大して機関出力が低下し、またはブローバイガスが
多量に排出されるという問題を生ずる。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明によれば、機関の長手軸線に沿って配置された
複数個のシリンダボアを備え、機関の長手軸線の一側に
おいて各シリンダボアの周囲に沿いつつ一端のシリンダ
ボアから他端のシリンダボアまで連続して延びる第1の
溝を形成すると共に機関の長手軸線の他側において各シ
リンダボアの周囲に沿いつつ一端のシリンダボアから他
端のシリンダボアまで連続して延びる第2の溝を形成
し、これら第1および第2の溝はシリンダブロックの頂
面においてそれぞれ開口しており、該第1の溝の一端と
該第2の溝の一端とを互いに連結すると共に該第1の溝
の他端と該第2の溝の他端とを互いに連結し、シリンダ
ボア側に位置する第1および第2の溝の内壁面とこれに
対面する第1および第2の溝の外壁面とを互いに結合す
るリブを設けた多気筒内燃機関のシリンダブロックにお
いて、上記リブが機関長手軸線に対し垂直をなしかつ隣
接するシリンダボア間のボア壁の中心部を含んで延びる
平面に沿いつつ延びるように上記第1および第2の溝内
にそれぞれ形成されており、機関長手方向における該リ
ブの肉厚をシリンダボア間のボア壁の機関長手方向にお
ける肉厚以下に設定している。
【0005】本発明によればさらに、上記第1および第
2の溝内に冷却水を流通させ、シリンダボア間のボア壁
内に上記第1の溝と第2の溝とを互いに連通させて第1
の溝から第2の溝に冷却水を流通させる連通路を形成し
ている。本発明によればさらに、上記第1および第2の
溝がシリンダブロックとシリンダヘッド間に挿入される
ガスケットによりシリンダヘッド内のシリンダヘッド冷
却水通路から分離されており、該ガスケット内に上記第
1および第2の溝とシリンダヘッド冷却水通路とをそれ
ぞれ連通する複数個の流通孔を形成し、第1の溝とシリ
ンダヘッド冷却水通路とを連通する流通孔の流路抵抗を
第2の溝とシリンダヘッド冷却水通路とを連通する流通
孔の流路抵抗に比べて大きくしている。本発明によれば
さらに、上記平面上において上記第2の溝の流路抵抗を
上記第1の溝の流路抵抗に比べて大きくしている。さら
に本発明によれば、シリンダブロックとシリンダヘッド
間に挿入されるガスケットから上記平面上において上記
第2の溝内に延びる突起部を具備し、該突起部により第
2の溝の流路面積を第1の溝の流路面積に比べて小さく
している。本発明によればさらに、上記第1の溝内に一
端のシリンダボアから他端のシリンダボアに向けて冷却
水を流通させ、該第1の溝の流路抵抗を一端のシリンダ
ボアから他端のシリンダボアに近づくのに従って小さく
するようにしている。本発明によればさらに、上記第1
の溝の一端と上記第2の溝の一端との連結部に冷却水流
入口を形成して該冷却水流入口内を流通した冷却水を次
いで上記第1の溝と第2の溝とに流入させてこれら第1
および第2の溝内に一端のシリンダボアから他端のシリ
ンダボアに向けて冷却水を流通させ、該第1の溝の流路
抵抗を一端のシリンダボアから他端のシリンダボアに近
づくのに従って小さくするようにしている。本発明によ
ればさらに、上記第1の溝内に一端のシリンダボアから
他端のシリンダボアに向けて冷却水を流通させると共に
第1の溝内を流通した冷却水を次いで上記第2の溝内に
流入させて該第2の溝内に冷却水を他端のシリンダボア
から一端のシリンダボアに向けて流通させ、該第2の溝
の流路抵抗を一端のシリンダボアから他端のシリンダボ
アに近づくのに従って大きくするようにしている。本発
明によればさらに、シリンダボア間のボア壁のシリンダ
ボア側壁面に凹部または凸部を形成し、該ボア壁の凹部
または凸部に対応する凸部または凹部を備えた環状のラ
イナをシリンダボア内に挿入してボア壁の凹部または凸
部とライナの凸部または凹部とを互いに結合させてい
る。本発明によればさらに、上記リブを上記第1または
第2の溝内においてシリンダボアの軸線方向の中間高さ
位置に配置し、該リブ内にシリンダボア軸線方向に延び
る貫通穴を設けている。さらに本発明によれば、上記第
1の溝内に冷却水を流通させると共に第1の溝内を流通
した冷却水を次いで上記第2の溝内に流入させ、第2の
溝の冷却水出口部に冷却水の流出を遮断する遮断部材を
配置し、該遮断部材内に第2の溝の底部に開口して第2
の溝の底部の冷却水をシリンダヘッド内のシリンダヘッ
ド冷却水通路内に導く冷却水流出通路を形成している。
【0006】
【作用】請求項1に記載の発明では、ボア壁のうち比較
的剛性の高い部分のボア壁にリブを結合しているのでシ
リンダブロックの剛性が向上されつつシリンダボアの変
形が低減される。請求項2に記載の発明では請求項1に
記載の発明に加えて、シリンダボア間のボア壁内に冷却
水が流通されるのでシリンダボア間のボア壁が冷却され
る。請求項3に記載の発明では請求項2に記載の発明に
加えて、連通路の冷却水流入端と冷却水流出端間の圧力
差が増大される。請求項4に記載の発明では請求項2に
記載の発明に加えて、連通路の冷却水流入端と冷却水流
出端間の圧力差が増大される。請求項5に記載の発明で
は請求項4に記載の発明に加えて、連通路の冷却水流出
端における圧力が低下されるので連通路の冷却水流入端
と冷却水流出端間の圧力差が増大される。請求項6に記
載の発明では請求項2に記載の発明に加えて、第1の溝
の下流に近づくのに従って生じる圧力降下が低減される
ので第1の溝の下流側に位置する連通路の冷却水流入端
と冷却水流出端間の圧力差が増大される。請求項7に記
載の発明では請求項2に記載の発明に加えて、第2の溝
の上流に近づくのに従って圧力降下が大きくされるので
第2の溝の上流側に位置する連通路の冷却水流入端と冷
却水流出端間の圧力差が増大される。請求項8に記載の
発明では請求項2に記載の発明に加えて、連通路を形成
することにより低下しうるシリンダボア間のボア壁の剛
性が高められる。請求項9に記載の発明では請求項2に
記載の発明に加えて、冷却水中のゴミが貫通穴を介して
第1および第2の溝の底部に移動可能となるので連通路
がゴミによって目詰まりするのが阻止される。請求項1
0に記載の発明では請求項1に記載の発明に加えて、遮
断部材に隣接する第2の溝の底部において冷却水が淀む
のが阻止される。
【0007】
【実施例】図1は本発明を例えば4個のシリンダボアを
備えた多気筒内燃機関用シリンダブロック1に適用した
場合を示している。シリンダブロック1の平面断面図を
示す図1を参照すると、シリンダブロック1はシリンダ
ブロック1の長手軸線K−Kに沿って配置された4個の
シリンダボア2a,2b,2c,2dを備えている。各
シリンダボア2a,2b,2c,2dはシリンダブロッ
ク1の長手軸線K−Kに対し垂直をなす軸線を有するほ
ぼ円筒状をなしている。第1シリンダボア2aはシリン
ダボア軸線に対しほぼ平行に延びるボア壁3aにより画
定され、同様に第2シリンダボア2b,第3シリンダボ
ア2cおよび第4シリンダボア2dはシリンダボア軸線
に対しほぼ平行に延びるボア壁3b,3c,3dによっ
てそれぞれ画定される。さらに、第1シリンダボア2a
と第2シリンダボア2b間にはボア壁3aとボア壁3b
とに対して共通のボア壁4aが形成されている。同様に
第2シリンダボア2bと第3シリンダボア2c間にはボ
ア壁3bとボア壁3cとに対して共通のボア壁4bが形
成されており、第3シリンダボア2cと第4シリンダボ
ア2d間にはボア壁3cとボア壁3dとに対して共通の
ボア壁4cが形成されている。したがって図1に示す実
施例ではいわゆるサイアミーズ型のシリンダボアが形成
されていることとなる。
【0008】長手軸線K−Kの一側、すなわち図1にお
いて長手軸線K−Kの上方にはボア壁3a,3b,3
c,3dの外周面に沿いつつ図1において最も左側に位
置する第1シリンダボア2aから最も右側に位置する第
4シリンダボア2dまで連続して延びる第1の溝5が形
成される。一方、長手軸線K−Kの他側、すなわち図1
において長手軸線K−Kの下方にはボア壁3a,3b,
3c,3dの外周面に沿いつつ図1において最も左側に
位置する第1シリンダボア2aから最も右側に位置する
第4シリンダボア2dまで連続して延びる第2の溝6が
形成される。また図1に示すように、これら第1溝5と
第2溝6とは第1シリンダボア2a側に位置するシリン
ダブロック1の端部において連結部7により互いに結合
され、第4シリンダボア2d側に位置するシリンダブロ
ック1の端部において連結部8により互いに結合されて
いる。さらに図2に示すように、これら第1溝5および
第2溝6はそれぞれシリンダブロック1の頂面からシリ
ンダボア2の軸線M−M方向に延びている。したがって
図1に示したシリンダブロック1は第1溝5および第2
溝6の上端がそれぞれ開放されている、いわゆるオープ
ンデッキ型のシリンダブロックから構成されていること
となる。
【0009】ところで第1溝および第2溝の上端が各シ
リンダボアの周囲に沿いつつこれら第1溝および第2溝
のほぼ全長にわたって閉鎖されている、いわゆるクロー
ズドデッキ型のシリンダブロックも知られている。この
クローズドデッキ型シリンダブロックでは図1に示すよ
うなオープンデッキ型シリンダブロックに比べてシリン
ダブロックの剛性を高くすることができ、したがってシ
リンダブロックの振動を低減できる。ところが、シリン
ダボアの変形量を代表するシリンダボアの平面断面の真
円度はクローズドデッキ型シリンダブロックの場合大き
くなる、すなわちシリンダボアが大きく変形し、その結
果シリンダボア内で摺動するピストン(図示しない)の
摩擦抵抗が増大して機関出力が低下し、またはブローバ
イガスが多量に排出されてしまう。またクローズドデッ
キ型シリンダブロックは製造が困難である。そこで図1
に示した実施例ではシリンダブロック1をオープンデッ
キ型シリンダブロックから構成するようにしている。
【0010】上述したようにオープンデッキ型シリンダ
ブロック1ではクローズドデッキ型シリンダブロックに
おけるようなシリンダブロック1の剛性が得られないの
で図1に示した実施例では第1溝5および第2溝6内に
リブを形成し、それによりシリンダブロック1の剛性を
高めるようにしている。図1および図2を参照すると、
第1溝5内にはリブ9a,9b,9cが形成され、第2
溝6内にはリブ10a,10b,10cが形成される。
第1溝5内の各リブ9a,9b,9cはシリンダボア2
a,2b,2c,2d側に位置する第1溝5の内壁面5
aとこの内壁面5aに対面する第1溝5の外壁面5bと
を互いに結合する。一方、第2溝6内の各リブ10a,
10b,10cはシリンダボア2a,2b,2c,2d
側に位置する第2溝6の内壁面6aとこの内壁面6aに
対面する第2溝6の外壁面6bとを互いに結合する。さ
らに、リブ9a,10aは長手軸線K−Kに垂直をなし
かつ第1シリンダボア2aと第2シリンダボア2b間の
ボア壁4aの中心部を含んで延びる平面Laに沿いつつ
延びるように形成されている。同様に、リブ9b,10
bは長手軸線K−Kに垂直をなしかつ第2シリンダボア
2bと第3シリンダボア2c間のボア壁4bの中心部を
含んで延びる平面Lbに沿いつつ延びるように形成され
ており、リブ9c,10cは長手軸線K−Kに垂直をな
しかつ第3シリンダボア2cと第4シリンダボア2d間
のボア壁4cの中心部を含んで延びる平面Lcに沿いつ
つ延びるように形成されている。
【0011】さらに、各リブ9a,9b,9cは第1溝
5の底部から頂部に向けてシリンダボア軸線M−M方向
に延びており、各リブ10a,10b,10cは第2溝
6の底部から頂部に向けてシリンダボア軸線M−M方向
に延びている。また、シリンダボア軸線M−M方向にお
いて各リブ9a,9b,9c,10a,10b,10c
の高さh(図2参照)は第1溝5および第2溝6の高さ
Hの約半分以上、詳しくは70%以上であるのが好まし
い。
【0012】次に、リブを第1溝5および第2溝6内の
図3に示す位置に形成した場合について説明する。図3
を参照すると、リブ9′,10′は例えば平面Laと平
面Lb間に位置する第1溝5および第2溝6内にそれぞ
れ形成される。この場合シリンダブロック1′の剛性が
高くなり、したがってシリンダブロック1′の振動が低
減される。ところが、機関作動時においてリブ9′がボ
ア壁3bに対しリブ9′の一端が結合されている第1溝
5の内壁面5aからリブ9′の他端が結合されている第
1溝5の外壁面5bに向かう方向またはこれと逆の方向
に応力fを作用し、リブ10′がボア壁3bに対しリブ
10′の一端が結合されている第2溝6の内壁面6aか
らリブ10′の他端が結合されている第2溝6の外壁面
6bに向かう方向またはこれと逆の方向に応力fを作用
するようになる。このような方向の応力fがボア壁3b
に作用すると応力fの方向におけるボア壁3bの剛性は
比較的低いので機関作動時にシリンダボア2bが大きく
変形してしまう。機関作動時においてシリンダボア2b
が大きく歪むとシリンダボア2b内で摺動するピストン
(図示しない)の摩擦抵抗が増大し、したがって機関出
力が低下する。またはブローバイガスが多量に排出され
てしまう。そこで図1に示す実施例では、リブ9a,1
0aをボア壁4aの中心部を含んで延びる平面Laに沿
いつつ延びるように形成し、リブ9b,10bをボア壁
4bの中心部を含んで延びる平面Lbに沿いつつ延びる
ように形成し、リブ9c,10cをボア壁4cの中心部
を含んで延びる平面Lcに沿いつつ延びるように形成し
ている。その結果機関作動時に、例えばリブ9aの一端
が結合されている第1溝5の内壁面5aからリブ9aの
他端が結合されている第1溝5の外壁面5bに向かう方
向に応力が作用してもこの応力の方向におけるボア壁4
aの剛性は比較的高く、したがって機関作動時にシリン
ダボア2aが変形するのを低減できる。
【0013】図4は、各リブ9a,9b,9c,10
a,10b,10cの長手軸線K−K方向の肉厚tを変
化させたときのシリンダブロック1の剛性を示す数値解
析結果であり、図5は、各リブ9a,9b,9c,10
a,10b,10cの肉厚tを変化させたときの機関作
動時における各シリンダボア2a,2b,2c,2dの
平面断面の真円度を示す数値解析結果である。ここで各
シリンダボア2a,2b,2c,2dの平面断面の真円
度は各シリンダボア2a,2b,2c,2dの変形量を
代表しており、この真円度が大きいとき程各シリンダボ
ア2a,2b,2c,2dの変形量が大きいことを表し
ている。なお、図4および図5に示したTは図6に示す
ように各ボア壁4a,4b,4cの長手軸線K−K方向
の肉厚を示している。図4からわかるように、各リブ9
a,9b,9c,10a,10b,10cの肉厚tが大
きくなる程シリンダブロック1の剛性を高くすることが
できる。ところが、図5からわかるように各リブ9a,
9b,9c,10a,10b,10cの肉厚tがボア壁
の肉厚Tと同程度までは真円度を小さく維持できるもの
の各リブ9a,9b,9c,10a,10b,10cの
肉厚tがボア壁の肉厚Tを越えて大きくなると各シリン
ダボア2a,2b,2c,2dの変形量が大きくなって
いく。そこで図1に示した実施例では各リブ9a,9
b,9c,10a,10b,10cの肉厚tを各ボア壁
4a,4b,4cの肉厚T以下に設定するようにしてい
る。その結果シリンダブロック1の剛性を高めつつ機関
作動時における各シリンダボア2a,2b,2c,2d
の変形を低減することができる。したがって、各2a,
2b,2c,2dシリンダボア内で摺動するピストンの
摩擦を低減できるので機関出力を向上できると共にエン
ジンオイルの消費量を低減できる。さらに、ブローバイ
ガスの発生量を低減することもでき、またシリンダボア
内壁面が局所的に高温になるのを阻止できる。
【0014】なお図4および図5において、リブが形成
されていないクローズドデッキ型シリンダブロックの剛
性および真円度がそれぞれ破線でもって示されている。
図4および図5からわかるように、各リブ9a,9b,
9c,10a,10b,10cの肉厚tを各ボア壁4
a,4b,4cの肉厚Tの約0.7倍から1.0倍にす
ることによりクローズドデッキ型シリンダブロックの場
合と比べてシリンダブロック1の高い剛性を確保できる
と共に機関作動時におけるシリンダボアの変形を低減す
ることができる。
【0015】次に図7から図9を参照して別の実施例を
説明する。まず図7および図8を参照すると、この実施
例においても第1溝5および第2溝6内には平面Laに
沿ってリブ9aおよびリブ10aがそれぞれ形成されて
おり、平面Lb上に沿ってリブ9bおよびリブ10bが
それぞれ形成されており、平面Lc上に沿ってリブ9c
およびリブ10cがそれぞれ形成されている。図8に示
すように、シリンダブロック1の頂面上には図9(A)
に示すシリンダヘッド11が例えばボルト締めにより互
いに固締される。この際シリンダヘッド11とシリンダ
ブロック1間には図9(B)に示すガスケットが挿入さ
れる。
【0016】各リブ、例えばリブ9a,10aは図8に
示すようにそれぞれ第1溝5および第2溝6の底部から
シリンダボア軸線M−M方向に延びており、リブ9a,
10aの高さhはそれぞれ第1溝5および第2溝6の高
さHの約70%である。したがってリブ9a,10aの
各頂面とガスケット12間の第1溝5および第2溝6内
には間隙13,14がそれぞれ形成されている。リブ9
b,10b,9c,10cの各頂面とガスケット12間
の第1溝5および第2溝6内にも同様の間隙13,14
が形成されている。
【0017】図7および図8に示すように、シリンダボ
ア間のボア壁4a,4b,4c内、例えば平面La,L
b,Lc上のボア壁4a,4b,4c内には第1溝5と
第2溝6とをそれぞれ連通する連通路15a,15b,
15cが形成される。これら連通路15a,15b,1
5cの冷却水流入端はそれぞれ対応する間隙13内に開
口しており、連通路15a,15b,15cの冷却水流
出端はそれぞれ対応する間隙14内に開口している。
【0018】さらに図7を参照すると、シリンダブロッ
ク1には第1シリンダボア2a側に位置する端部におい
て連結部7と連通する冷却水流入口16が設けられ、し
たがってこの冷却水流入口16は第1溝5および第2溝
6の両方に連通される。また、この冷却水流入口16は
連結部7のうち第2溝6よりも第1溝5に近い部分にお
いて設けられる。
【0019】次に図9(A)および(B)を参照する
と、図9(A)に示すシリンダヘッド11内にはシリン
ダヘッド冷却水通路17が形成されている。シリンダヘ
ッド冷却水通路17は各気筒に対してそれぞれ設けられ
た例えば一対の吸気ポート11a、一対の排気ポート1
1b、および点火栓ポート11c間の間隙として画定さ
れる。図7も併せて参照すると、シリンダブロック1内
の第1溝5は第1シリンダボア2a周りにおいてガスケ
ット12内に形成された流通孔20aおよびシリンダヘ
ッド11内に形成された流入口18aを介してシリンダ
ヘッド冷却水通路17に連通される。同様に、第1溝5
は第2シリンダボア2b周りにおいてガスケット12内
の流通孔20bおよびシリンダヘッド11内の流入口1
8bを介し、第3シリンダボア2c周りにおいてガスケ
ット12内の流通孔20cおよびシリンダヘッド11内
の流入口18cを介し、第4シリンダボア2d周りにお
いてガスケット12内の流通孔20dおよびシリンダヘ
ッド11内の流入口18dを介し、それぞれシリンダヘ
ッド冷却水通路17に連通される。また同様に、シリン
ダブロック1内の第2溝6は第1シリンダボア2a周り
においてガスケット12内の流通孔21aおよびシリン
ダヘッド11内の流入口19aを介し、第2シリンダボ
ア2b周りにおいてガスケット12内の流通孔21bお
よびシリンダヘッド11内の流入口19bを介し、第3
シリンダボア2c周りにおいてガスケット12内の流通
孔21cおよびシリンダヘッド11内の流入口19cを
介し、第4シリンダボア2d周りにおいてガスケット1
2内の流通孔21dおよびシリンダヘッド11内の流入
口19dを介し、それぞれシリンダヘッド冷却水通路1
7に連通される。
【0020】本実施例では図9(B)に示すように、流
通孔20aの流路面積と流通孔21aの流路面積はほぼ
等しく、流通孔20bの流路面積と流通孔21bの流路
面積はほぼ等しく、流通孔20cの流路面積と流通孔2
1cの流路面積はほぼ等しく、流通孔20dの流路面積
と流通孔21dの流路面積はほぼ等しくされている。し
かしながら、流通孔20a,20b,20c,20dの
各流路面積は第1シリンダボア2aから第4シリンダボ
ア2dに近づくのに従って大きくされており、すなわち
第1溝5内の冷却水の流れの下流に近づくのに従って大
きくされている。同様に流通孔21a,21b,21
c,21dの各流路面積は第1シリンダボア2aから第
4シリンダボア2dに近づくのに従って大きくされてお
り、すなわち第2溝6内の冷却水の流れの下流に近づく
のに従って大きくされている。さらに、シリンダブロッ
ク1内の連結部8はガスケット12内の流通孔23およ
びシリンダヘッド11内の流入孔22を介してシリンダ
ヘッド冷却水通路17と連通される。また、シリンダヘ
ッド冷却水通路17には流出口24も形成される。
【0021】本実施例においてシリンダブロック1の冷
却水流入口16は例えば機関駆動式の冷却水ポンプ(図
示しない)に連結される。冷却水ポンプから吐出された
冷却水はまずシリンダブロック1の冷却水流入口16を
介してシリンダブロック1内の第1溝5、第2溝6、お
よび連通路15a,15b,15cを流通した後にガス
ケット12内の各流通孔20a,20b,20c,20
d,21a,21b,21c,21d,23とそれぞれ
対応するシリンダヘッド11内の各流入口18a,18
b,18c,18d,19a,19b,19c,19
d,21とを介してシリンダヘッド冷却水通路17内に
流入する。シリンダヘッド冷却水通路17内を流通した
冷却水は次いで流出口24を介しシリンダヘッド冷却水
通路17から排出され、次いでラジエータ(図示しな
い)に到った後に冷却水ポンプに吸入され、したがって
冷却水はこれらを順次循環するようになっている。な
お、本実施例において第1溝5および第2溝6はシリン
ダブロック1内における冷却水流通用の通路を構成して
おり、一方ガスケット12内の各流通孔20a,20
b,20c,20d,21a,21b,21c,21
d,23は第1溝5および第2溝6の冷却水出口部を構
成している。
【0022】次に本実施例における冷却水の流れを詳細
に説明する。上述したように冷却水ポンプから吐出され
た冷却水はシリンダブロック1の冷却水流入口16を介
して第1溝5および第2溝6内に流入する。このとき、
冷却水流入口16は第2溝6よりも第1溝5に隣接して
設けられているので冷却水流入口16を介した冷却水の
多くは第1溝5内に流入し、残りの冷却水が第2溝6内
に流入する。第1溝5および第2溝6内に流入した冷却
水は次いで第1溝5および第2溝6内を第1シリンダボ
ア2aから第4シリンダボア2dに向かう方向にそれぞ
れ流通する。したがって本実施例では第1溝5内におけ
る冷却水の流通方向と第2溝6内における冷却水の流通
方向とはほぼ等しくなっている。
【0023】冷却水流入口16から第1溝5および第2
溝6内に冷却水が流入すると第1シリンダボア2a周り
の第1溝5および第2溝6内に到った冷却水の一部は流
通孔20a,21aおよび対応する流入口18a,19
aをそれぞれ介してシリンダヘッド冷却水通路17内に
流入する。残りの冷却水は次いで平面La上の間隙1
3,14内を流通した後に第2シリンダボア2b周りの
第1溝5および第2溝6内に到り、この冷却水の一部は
流通孔20b,21bおよび対応する流入口18b,1
9bをそれぞれ介してシリンダヘッド冷却水通路17内
に流入する。次いで、残りの冷却水は平面Lb上の間隙
13,14内を流通した後に第3シリンダボア2c周り
の第1溝5および第2溝6内に到り、この冷却水の一部
は流通孔20c,21cおよび対応する流入口18c,
19cをそれぞれ介してシリンダヘッド冷却水通路17
内に流入する。次いで残りの冷却水は平面Lc上の間隙
13,14内を流通した後に第4シリンダボア2d周り
の第1溝5および第2溝6内に到り、この冷却水の一部
は流通孔20d,21dおよび対応する流入口18d,
19dをそれぞれ介してシリンダヘッド冷却水通路17
内に流入する。次いで残りの冷却水は流通孔23および
流入口22を介してシリンダヘッド冷却水通路17内に
流入する。このように冷却水は第1溝5および第2溝6
の全長にわたって流通して各ボア壁3a,3b,3c,
3dを冷却し、したがって機関作動時におけるシリンダ
ボア2a,2b,2c,2dの変形を低減することがで
きる。上述したように流通孔20a,20b,20c,
20dおよび流通孔21a,21b,21c,21dの
流路面積を第1シリンダボア2aから第4シリンダボア
2dに近づくのに従って大きくすることにより第4シリ
ンダボア2d周りの第1溝5および第2溝6内を流通す
る冷却水の流量を確保することができ、したがって冷却
水流入口16から最も遠い位置にある第4シリンダボア
2dも良好に冷却することができる。
【0024】また、上述したように第1溝5内を流通す
る冷却水の流量は第2溝6内を流通する冷却水の流量よ
りも多いので第1溝5内の圧力は第2溝6内の圧力より
も高く、その結果各連通路15a,15b,15cの冷
却水流入端と冷却水流出端間の圧力差が確保されるので
冷却水が各連通路15a,15b,15c内を第1溝5
から第2溝6へ向かう方向に流通するようになる。その
結果各連通路15a,15b,15c内を流通する冷却
水により各ボア壁4a,4b,4cを良好に冷却するこ
とができる。各ボア壁4a,4b,4cは機関作動時に
高温になっているシリンダボア間に位置しているので各
ボア壁4a,4b,4cも高温になり、それにより各ボ
ア壁4a,4b,4cが大きく変形する恐れがある。こ
れに対し本実施例では各ボア壁4a,4b,4c内にそ
れぞれ連通路15a,15b,15cを形成して各連通
路15a,15b,15c内を流通する冷却水により対
応するボア壁4a,4b,4cを冷却するようにしてい
るので機関作動時における各ボア壁4a,4b,4cの
変形を低減できる。その結果機関作動時における各シリ
ンダボア2a,2b,2c,2dの変形をさらに低減す
ることができる。したがって、リブ9a,9b,9c,
10a,10b,10cによりシリンダブロック1の剛
性を確保しつつ機関作動時における各シリンダボア2
a,2b,2c,2dの変形をさらに低減できる。
【0025】各流入口18a,18b,18c,18
d,19a,19b,19c,19d,22からシリン
ダヘッド冷却水通路17内に流入した冷却水はシリンダ
ヘッド冷却水通路17内を流通してシリンダヘッド11
を冷却し、したがって機関作動時におけるシリンダヘッ
ド11の変形が低減される。シリンダヘッド冷却水通路
17内を流通した冷却水は次いで流出口24から排出さ
れる。
【0026】上述したようにシリンダブロック1の冷却
水流入口16を流通した冷却水の多くは第1溝5内に流
入し、この冷却水は次いでそれぞれ対応する流通孔20
a,20b,20c,20dおよび流入口18a,18
b,18c,18dを介して吸気ポート11aに隣接す
るシリンダヘッド冷却水通路17内に流入する。このた
め各吸気ポート11aを良好に冷却することができるの
で各吸気ポート11a内を流通する吸入空気を良好に冷
却でき、斯くして吸気効率が向上される。なお、シリン
ダブロック1のその他の特徴は図1に示した実施例と同
様であるので説明を省略する。
【0027】次に図10および図11を参照してさらに
別の実施例を説明する。図10を参照すると、図7から
図9を参照して説明した実施例と同様に、第1溝5内に
リブ9a,9b,9cが形成され、第2溝6内にリブ1
0a,10b,10cが形成され、各ボア壁4a,4
b,4c内に連通路15a,15b,15cがそれぞれ
形成される。また、シリンダブロック1には第2シリン
ダボア2a側に位置する端部において連結部7と連通す
る冷却水流入口16が形成される。本実施例では、連結
部7側に位置する第2溝6の端部内に遮断部材25が配
置される。したがって冷却水流入口16はこの遮断部材
25により第2溝6と遮断され、しかしながら第1溝5
と連通される。
【0028】冷却水流入口16から第1溝5内に流入し
た冷却水は次いで第1溝5内を第1シリンダボア2aか
ら第4シリンダボア2dに向かう方向に流通する。第1
溝5内を流通した冷却水は次いで連結部8を介して第2
溝6内に流入し、第2溝6内を第4シリンダボア2dか
ら第1シリンダボア2aに向かう方向に流通する。した
がって本実施例では第1溝5内における冷却水の流通方
向と第2溝6内における冷却水の流通方向とが互いに逆
になっている。第2溝6の冷却水出口部26に到った冷
却水は次いでガスケット12内に形成された流通孔27
およびシリンダヘッド11内に形成された流入口28を
介してシリンダヘッド冷却水通路17内に流入する。次
いで冷却水はシリンダヘッド冷却水通路17内を流通し
た後に流出口24からシリンダヘッド11の外部に排出
される。
【0029】上述したように第1溝5内を流通した冷却
水を次いで第2溝6内に流通させるようにするとこれら
第1溝5および第2溝6の圧力損失でもって第1溝5内
の圧力が第2溝6内の圧力よりも高くなっている。その
結果各連通路15a,15b,15cの冷却水流入端と
冷却水流出端間の圧力差を確保できるので冷却水が各連
通路15a,15b,15c内を第1溝5から第2溝6
へ向けて良好に流通するようになり、したがって各ボア
壁4a,4b,4cを良好に冷却することができる。さ
らに本実施例では、ラジエータを介し冷却水ポンプから
吐出された冷却水がまず第1溝5内を流通するので第1
溝5を流通する冷却水の温度は比較的低くなっており、
その結果吸気ポート11aをさらに良好に冷却できるの
で機関吸気効率をさらに向上することができる。なお、
シリンダブロック1のその他の特徴は図1に示した実施
例と同様であるので説明を省略する。
【0030】次に図12および図13を参照してさらに
別の実施例を説明する。なお、本実施例におけるシリン
ダブロック1およびシリンダヘッド11の構造は図7か
ら図9を参照して説明した実施例と同様であるので説明
を省略する。本実施例においてもガスケット12内には
第1溝5および第2溝6とシリンダヘッド冷却水通路1
7とをそれぞれ連通する流通孔20a,20b,20
c,20d,21a,21b,21c,21dが形成さ
れる。ところが本実施例では図13(B)に示すよう
に、第1シリンダボア2a周りにおいて第1溝5とシリ
ンダヘッド冷却水通路17とを連通する流通孔20aの
流路面積が第2溝6とシリンダヘッド冷却水通路17と
を連通する流通孔21aの流路面積よりも小さくされて
いる。同様に、第2シリンダボア2b周りにおいて第1
溝5とシリンダヘッド冷却水通路17とを連通する流通
孔20bの流路面積が第2溝6とシリンダヘッド冷却水
通路17とを連通する流通孔21bの流路面積よりも小
さくされ、第3シリンダボア2c周りにおいて第1溝5
とシリンダヘッド冷却水通路17とを連通する流通孔2
0cの流路面積が第2溝6とシリンダヘッド冷却水通路
17とを連通する流通孔21cの流路面積よりも小さく
され、第4シリンダボア2d周りにおいて第1溝5とシ
リンダヘッド冷却水通路17とを連通する流通孔20d
の流路面積が第2溝6とシリンダヘッド冷却水通路17
とを連通する流通孔21dの流路面積よりも小さくされ
ている。
【0031】ところで各連通路15a,15b,15c
の流路面積はそれぞれ対応するボア壁4a,4b,4c
の剛性を考えると小さくせざるを得ない。このため各連
通路15a,15b,15c内を流通する冷却水の流量
は比較的少なくなっている。ところが各連通路15a,
15b,15c内を流通する冷却水の流量が少ないとそ
れぞれ対応するボア壁4a,4b,4cを良好に冷却す
ることができず、その結果機関作動時において各シリン
ダボア2a,2b,2c,2dが大きく変形してしま
う。また各連通路15a,15b,15c内を流通する
冷却水の流量が少ないと冷却水が沸騰する恐れがあり、
この場合次いでシリンダヘッド冷却水通路17内に流入
したときにシリンダヘッド11を良好に冷却できなくな
る。
【0032】ところで上述の図7から図9を参照して説
明した実施例では、第1溝5内に流通する冷却水の流量
を第2溝6内を流通する冷却水の流量よりも多くするこ
とにより各連通路15a,15b,15cの冷却水流入
端と冷却水流出端間の圧力差を確保し、この圧力差でも
って各連通路15a,15b,15c内に冷却水を流通
させるようにしている。この場合、ボア壁4a,4b,
4cの冷却作用を向上すべく各連通路15a,15b,
15c内を流通する冷却水の流量を増大するためには各
連通路15a,15b,15cの冷却水流入端と冷却水
流出端間の圧力差を確保すべく例えば冷却水流入口16
から第2溝6内に流入する冷却水の流量を減少させれば
よい。ところが冷却水流入口16から第2溝6内に流入
する冷却水流量を減少させると第2溝6周りのボア壁3
a,3b,3c,3dを良好に冷却できなくなる。そこ
で本実施例では、第1溝5とシリンダヘッド冷却水通路
17とを連通する各流通孔20a,20b,20c,2
0dの流路抵抗を第2溝6とシリンダヘッド冷却水通路
17とを連通する各流通孔21a,21b,21c,2
1dの流路抵抗よりも大きくし、すなわち各流通孔20
a,20b,20c,20dの流路面積を各流通孔21
a,21b,21c,21dの流路面積よりも小さく
し、それにより第1溝5内の圧力を増大すると共に第2
溝6内の圧力を低下することによって各連通路15a,
15b,15cの冷却水流入端と冷却水流出端間の圧力
差が増大するようにしている。その結果各連通路15
a,15b,15c内を流通する冷却水の流量を増大さ
せることができ、したがってボア壁4a,4b,4cの
冷却作用を向上することができ、斯くして機関作動時に
おける各シリンダボア2a,2b,2c,2dの変形を
さらに低減することができる。
【0033】次に図14および図15を参照してさらに
別の実施例を説明する。なお、本実施例におけるシリン
ダブロック1およびシリンダヘッド11の構造は図10
および図11を参照して説明した実施例と同様であるの
で説明を省略する。図15(B)に示すように、ガスケ
ット12内には第1溝5とシリンダヘッド冷却水通路1
7とを連通する流通孔20a,20b,20c,20d
が形成され、第2溝6とシリンダヘッド冷却水通路17
とを連通する流通孔21b,21c,21d,27が形
成される。本実施例において、第1溝5側の流通孔20
a,20b,20c,20dの各流路面積は第2溝6側
の流通孔21b,21c,21d,27の各流路面積よ
りも小さくされている。また、流通孔20a,20b,
20c,20dの各流路面積は第1シリンダボア2aか
ら第4シリンダボア2dに近づくのに従って大きくされ
ており、すなわち第1溝5内の冷却水の流れの下流に近
づくのに従って大きくされている。同様に流通孔21
b,21c,21d,27の各流路面積は第4シリンダ
ボア2dから第1シリンダボア2aに近づくのに従って
大きくされており、すなわち第2溝6内の冷却水の流れ
の下流に近づくのに従って大きくされている。
【0034】本実施例において、冷却水流入口16から
第1溝5内に流入した冷却水の大部分は第1溝5内を第
1シリンダボア2aから第4シリンダボア2dに向かう
方向に流通し、次いで第2溝6内に流入して第2溝6内
を第4シリンダボア2dから第1シリンダボア2aに向
かう方向に流通した後に流通孔27および流入口28を
介してシリンダヘッド冷却水通路17内に流出する。第
1溝5内を流通する冷却水の一部は流通孔20a,20
b,20c,20dをそれぞれ介してシリンダヘッド冷
却水通路17内に流入し、第2溝6内を流通する冷却水
の一部は流通孔21b,21c,21dをそれぞれ介し
てシリンダヘッド冷却水通路17内に流入する。この場
合、図10および図11を参照して説明した実施例と同
様に第2溝6内の圧力は第1溝5内の圧力よりも低いの
で各連通路15a,15b,15c内を冷却水が第1溝
5から第2溝6へ向けて流通している。
【0035】さらに本実施例では、ガスケット12内に
形成された流通孔20a,20b,20c,20dを介
して第1溝5内からシリンダヘッド冷却水通路17内へ
冷却水が流出し、流通孔21b,21c,21dを介し
て第2溝6内からシリンダヘッド冷却水通路17内へ冷
却水が流出する。このとき、上述したように第1溝5側
の流通孔20a,20b,20c,20dの各流路面積
は第2溝6側の流通孔21b,21c,21dの各流路
面積よりも小さくされており、すなわち第1溝5側の流
通孔20a,20b,20c,20dの各流路抵抗は第
2溝6側の流通孔21b,21c,21dの各流路抵抗
よりも大きくされているので第2溝6側の流通孔21
b,21c,21dを介し第2溝6から流出する冷却水
の流量が第1溝5側の流通孔20a,20b,20c,
20dを介し第1溝5から流出する冷却水の流量よりも
多くなり、その結果第1溝5内の圧力と第2溝6内の圧
力差を増大することができる。したがって各連通路15
a,15b,15cの冷却水流入端と冷却水流出端間の
圧力差を増大することができるので各連通路15a,1
5b,15c内を流通する冷却水の流量を増大すること
ができ、斯くして各ボア壁4a,4b,4cの変形をさ
らに低減することができる。
【0036】ところで、図10および図11を参照して
説明した実施例においてシリンダヘッド冷却水通路17
内には第1溝5および第2溝6を順次流通した後の冷却
水が流入する。これに対し本実施例では、第1溝5およ
び第2溝6内を流通している比較的低温の冷却水も各流
通孔20a,20b,20c,20d,21b,21
c,21dを介してシリンダヘッド冷却水通路17内に
流入するようになっており、その結果シリンダヘッド1
1をさらに良好に冷却することができる。
【0037】なお図14および図15に示した実施例で
は、ガスケット12内に第1溝5とシリンダヘッド冷却
水通路17とを連通する流通孔20a,20b,20
c,20dを設けると共に第2溝6とシリンダヘッド冷
却水通路17とを連通する流通孔21b,21c,21
d,27を設けている。しかしながら、ガスケット12
内に第1溝5とシリンダヘッド冷却水通路17とを連通
する流通孔を設けることなく第2溝6とシリンダヘッド
冷却水通路17とを連通する流通孔を設けるようにして
もよい。
【0038】図16を参照してさらに別の実施例を説明
する。これまで述べてきた実施例では、第1溝5内に形
成されるリブ9a,9b,9cのシリンダボア軸線M−
M方向高さと第2溝6内に形成されるリブ10a,10
b,10cのシリンダボア軸線M−M方向高さとが互い
に等しくされ、その結果各平面La,Lb,Lc内にお
ける間隙13の断面積と間隙14の断面積とが互いに等
しくされていた。これに対し、本実施例では図16に示
すように、例えば第1溝5内のリブ9aの高さh1は第
2溝6内のリブ10aの高さh2よりも低くされ、その
結果平面La内における間隙13の断面積が間隙14の
断面積よりも大きくされている。リブ9b,9cの高さ
はリブ9aの高さと等しくされており、リブ10b,1
0cの高さはリブ10aの高さと等しくされており、し
たがって第1溝5内に形成されるリブ9a,9b,9c
の高さh1は第2溝6内に形成されるリブ10a,10
b,10cの高さh2よりも低くされている。その結果
各平面La,Lb,Lc内における間隙13の断面積は
間隙14の断面積よりも大きくされている。
【0039】ところで、第1溝5および第2溝6内に冷
却水を図7または図10に示した実施例におけるように
流通させる場合、冷却水は各平面La,Lb,Lc内に
おける間隙13,14の断面をそれぞれ横切りつつ流通
する。また冷却水を図7または図10に示した実施例に
おけるように流通させる場合、第1溝5内の圧力が第2
溝6内の圧力よりも高いので第1溝5内の各間隙13内
を流通する冷却水の一部が対応する各連通路15a,1
5b,15c内を介して第2溝6内の各間隙14内に流
通する。このとき本実施例では、第1溝5内に形成され
る各間隙13の各平面La,Lb,Lc内における断面
積が大きくされているので各間隙13内を流通する冷却
水の流速が小さくされ、その結果各間隙13内の圧力が
高くされている。これに対し、第2溝6内に形成される
各間隙14の各平面La,Lb,Lc内における断面積
が小さくされているので各間隙14内を流通する冷却水
の流速が大きくされ、その結果各間隙14内の圧力が低
くされている。このため各連通路15a,15b,15
cの冷却水流入端と冷却水流出端間の圧力差がさらに増
大されるので各連通路15a,15b,15c内を流通
する冷却水の流量をさらに増大することができる。した
がって各ボア壁4a,4b,4cをさらに良好に冷却す
ることができ、斯くして機関作動時における各シリンダ
ボア2a,2b,2c,2dの変形をさらに低減するこ
とができる。なお本実施例は図7または図10に示した
シリンダブロック1に適用することができる。
【0040】図17を参照してさらに別の実施例を説明
する。図17を参照すると、この実施例におけるガスケ
ット12にはガスケット12から平面La上において第
2溝6内に延びる、すなわち間隙14内に延びる突起部
29が形成されている。一方、本実施例においてリブ9
aの高さとリブ10aの高さとは互いに等しくされてお
り、したがってこの突起部29により平面La内におけ
る間隙14の断面積が間隙13の断面積よりも小さくさ
れている。同様に、ガスケット12にはガスケット12
から平面Lb,Lc上において第2溝6内にそれぞれ延
びる突起部29が形成されており、したがってこれら突
起部29により平面Lb,Lc内における各間隙14の
断面積がそれぞれ対応する間隙13の断面積よりも小さ
くされている。
【0041】各平面La,Lb,Lc上のガスケット1
2に突起部29を設け、それにより各平面La,Lb,
Lc内における各間隙14の断面積を各間隙13の断面
積よりも小さくすることによって、図16に示した実施
例と同様に、それぞれ対応する連通路15a,15b,
15cの冷却水流入端と冷却水流出端間の圧力差をさら
に増大できるので各連通路15a,15b,15c内を
流通する冷却水の流量をさらに増大することができる。
したがって各ボア壁4a,4b,4cをさらに良好に冷
却することができ、斯くして機関作動時における各シリ
ンダボア2a,2b,2c,2dの変形をさらに低減す
ることができる。さらに、本実施例ではガスケット12
に突起部29を取付けるまたは一体形成することにより
各平面La,Lb,Lc内における第2溝6の流路面積
を小さくできるので安価にかつ容易に実施することがで
きる。なお本実施例は図7または図10に示したシリン
ダブロック1に適用することができる。
【0042】図18および図19を参照してさらに別の
実施例を説明する。これまで述べてきた実施例では、第
1溝5の幅と第2溝6の幅とは互いに等しくされてい
た。これに対し、本実施例では図18および図19に示
すように、例えば平面La上における第2溝6の幅B2
が第1溝5の幅B1よりも小さくされている。すなわ
ち、平面La上において第2溝6の外壁面6bを構成す
るボルトボス31の壁面が第2溝6の内壁面6aを構成
するボア壁4aに向けて、第1溝5の外壁面5bを構成
するボルトボス30に比べて、大きく突出され、その結
果平面La上における第2溝6の幅B2が第1溝5の幅
B1よりも小さくされる。図19に示すようにリブ9a
の高さとリブ10aの高さとは互いに等しくされてお
り、その結果平面La内における間隙13の断面積が間
隙14の断面積よりも大きくされる。同様に、各平面L
b,Lc上において第2溝6の外壁面6bを構成するボ
ルトボス31がそれぞれ対応するボア壁4b,4cに向
けて大きく突出され、したがって各平面Lb,Lc上に
おいて第2溝6の幅B2が第1溝5の幅B1よりもそれ
ぞれ小さくされる。その結果各平面Lb,Lc内におけ
る間隙13の断面積が間隙14の断面積よりもそれぞれ
大きくされる。
【0043】各平面La,Lb,Lc上において第2溝
6の幅B2が第1溝5の幅B1よりもそれぞれ小さくな
るようにボルトボス30,31を形成し、それにより各
平面La,Lb,Lc内における各間隙14の断面積を
各間隙13の断面積よりも小さくすることによって、図
16および図17に示した実施例と同様に、それぞれ対
応する連通路15a,15b,15cの冷却水流入端と
冷却水流出端間の圧力差をさらに増大できるので各連通
路15a,15b,15c内を流通する冷却水の流量を
さらに増大することができる。したがって機関作動時に
おける各シリンダボア2a,2b,2c,2dの変形を
さらに低減することができる。なお本実施例は図7また
は図10に示したシリンダブロック1に適用することが
できる。
【0044】次に図20および図21を参照してさらに
別の実施例を説明する。本実施例におけるシリンダブロ
ック1は図7に示すシリンダブロックとほぼ同様に構成
される。しかしながら第1溝5の形状が図7のシリンダ
ブロックと異なっている。本実施例における第1溝5の
形状を略示する図20(A)および第2溝6の形状を略
示する図20(B)を参照すると、第1溝5の深さh1
は第1シリンダボア2aから第4シリンダボア2dに近
づくのに従って、すなわち冷却水流入口16から結合部
8に近づくのに従って大きくされており、それにより第
1シリンダボア2aから第4シリンダボア2dに近づく
のに従って第1溝5の流路面積が大きくされるように
し、したがって第1シリンダボア2aから第4シリンダ
ボア2dに近づくのに従って第1溝5の流路抵抗が小さ
くなるようにしている。これに対し、本実施例において
第2溝6の深さh2は冷却水流入口16から結合部8ま
でほぼ一定にされており、したがって第2溝6の流路抵
抗は冷却水流入口16から結合部8までほぼ一定にされ
ている。なお図20に示す例では、冷却水流入口16に
おいて第1溝5の深さh1と第2溝6の深さh2とが互
いに等しくなっている。
【0045】ところで、これまで述べてきた例えば図7
に示す実施例では、第1溝5の深さh1は冷却水流入口
16から連結部8までほぼ一定にされ、第2溝6の深さ
h2も冷却水流入口16から連結部8までほぼ一定にさ
れている。この場合、図21において破線でもって示す
ように各連通路15a,15b,15cの冷却水流入端
(第1溝5側)と冷却水流出端(第2溝6側)間の圧力
差は互いにほぼ等しくなっており、その結果各連通路1
5a,15b,15c内を流通する冷却水の流量は互い
にほぼ等しくなっている。一方、図20に示すシリンダ
ブロック1では冷却水は第1溝5内を冷却水流入口16
から連結部8に向けて流通し、同時に各連通路15a,
15b,15c内を第1溝5内から第2溝6内へ流通し
ている。このため、連通路15a内には第1シリンダボ
ア2aを冷却した後の冷却水が流通し、連通路15b内
には第2シリンダボア2bをさらに冷却した後の冷却水
が流通し、連通路15c内には第3シリンダボア2cを
さらに冷却した後の冷却水が流通している。その結果連
結部8から近い連通路程その内部を流通する冷却水の温
度が高くなる。この場合、上述したように各連通路15
a,15b,15c内を流通する冷却水の流量はほぼ等
しくなっているので図7に示した実施例では連結部8か
ら近い連通路程冷却作用が低くなってしまう。
【0046】そこで図20に示した実施例では、第1溝
5の深さh1を冷却水流入口16から連結部8に向かう
のに従って大きくすることにより第1溝5の流路抵抗が
冷却水流入口16から連結部8に向かうのに従って小さ
くなるようにしている。第1溝5の流路抵抗が冷却水流
入口16から連結部8に向かうのに従って小さくなると
第1溝5内を流通する冷却水の流速が冷却水流入口16
から連結部8に向かうのに従って次第に低下されるよう
になり、その結果第1溝5内において冷却水流入口16
と連結部8間に生ずる圧力降下が図21において実線で
もって示すように小さくなる。一方、第2溝6内の圧力
は図7に示した場合とほぼ同様であり、したがって図2
0に示すシリンダブロック1では第1溝5の冷却水流の
下流に近づくのに従って各連通路15a,15b,15
cの冷却水流入端と冷却水流出端間の圧力差が大きくさ
れる。その結果各連通路15a,15b,15c内を流
通する冷却水の流量が連結部8の近くに位置する連通路
程多くなり、すなわち連通路15a内を流通する冷却水
量よりも連通路15b内を流通する冷却水量の方が多
く、連通路15b内を流通する冷却水量よりも連通路1
5c内を流通する冷却水量の方が多くなる。したがっ
て、連通路15a,15b,15c内を流通する冷却水
の温度が高い連通路程冷却水の流量が多くされるので連
結部8の近くに位置する連通路において冷却作用が低下
するのを阻止することができる。
【0047】次に図22および図23を参照してさらに
別の実施例を説明する。本実施例におけるシリンダブロ
ック1は図10に示すシリンダブロックとほぼ同様に構
成される。しかしながら第2溝5の形状が図10のシリ
ンダブロックと異なっている。本実施例における第1溝
5の形状を略示する図22(A)および第2溝6の形状
を略示する図22(B)を参照すると、第2溝5の深さ
h2は第1シリンダボア2aから第4シリンダボア2d
に近づくのに従って、すなわち冷却水出口部26から結
合部8に近づくのに従って小さくされており、それによ
り第1シリンダボア2aから第4シリンダボア2dに近
づくのに従って第1溝5の流路面積が小さくされるよう
にし、したがって第1シリンダボア2aから第4シリン
ダボア2dに近づくのに従って第2溝6の流路抵抗が大
きくなるようにしている。これに対し、本実施例におい
て第1溝5の深さh1は冷却水流入口16から結合部8
までほぼ一定にされており、したがって第2溝6の流路
抵抗は冷却水流入口16から結合部8までほぼ一定にさ
れている。なお図22に示す例では、冷却水流入口16
における第1溝5の深さh1と冷却水出口部26におけ
る第2溝6の深さh2とが互いに等しくなっている。
【0048】ところで、図10に示した実施例では、ま
ず第1溝5内に冷却水を流入させ、第1溝5内を冷却水
流入口16から連結部8に向けて流通した後の冷却水を
次いで第2溝6内に流入させ、第2溝6内を連結部8か
ら冷却水出口部26に向けて流通した後にシリンダヘッ
ド冷却水通路17内に流入させるようにしている。この
ため、図23において破線でもって示すように第1溝5
内では冷却水流入口16から連結部8に向かうのに従っ
て圧力が低くなり、一方第2溝6内では連結部8から冷
却水出口部26に向かうのに従って圧力が低くなる。そ
の結果連結部8に近い連通路程その冷却水流入端と冷却
水流出端間の圧力差が小さくなっており、したがって連
結部8の近くに位置する連通路程冷却作用が低くなって
しまう。
【0049】そこで図22に示した実施例では、第2溝
6の深さh1を冷却水流入口16から連結部8に向かう
のに従って小さくすることにより第2溝6の流路抵抗が
冷却水流入口16から連結部8に向かうのに従って大き
くなるようにしている。この場合、連結部8を介して第
2溝6内に流入した冷却水の流速が急激に高められるの
で図23において実線でもって示すように連結部8と連
通路15c間における第2溝6内の圧力が急激に低下す
る。次いで第2溝6の流路抵抗は冷却水出口部26に向
けて次第に小さくされているので第2溝6内を流通する
冷却水の流速が連結部8から冷却水出口部26に向かう
のに従って次第に低下されるようになり、その結果冷却
水出口部26に向かうのに従って第2溝6内に生ずる圧
力降下が小さくなる。一方、第1溝5内の圧力は図10
に示した場合とほぼ同様であり、したがって図22に示
すシリンダブロック1では、連結部8の近くに位置する
連通路の冷却水流入端と冷却水流出端間の圧力差を図1
0の場合に比べて大きくすることができる。その結果、
連結部8の近くに位置する連通路内を流通する冷却水の
流量を確保することができ、したがって連結部8の近く
に位置する連通路において冷却作用が低下するのを阻止
することができる。
【0050】図24および図25を参照してさらに別の
実施例を説明する。図24および図25を参照すると、
第1シリンダボア2a内には第1シリンダボア2aの内
壁面に沿いつつシリンダボア軸線M−M方向に延びる環
状のライナ31aが挿入され、第2シリンダボア2b内
には第2シリンダボア2bの内壁面に沿いつつシリンダ
ボア軸線M−M方向に延びる環状のライナ31bが挿入
される。第1シリンダボア2aと第2シリンダボア2b
間に形成されるボア壁4aの第1シリンダボア2a側壁
面4aaにはシリンダボア軸線M−M方向に延びる例え
ば3個の凹部33aが形成されており、一方ライナ32
aの外周面にはボア壁4aの凹部33aに対応した形状
をなす凸部34aが形成されている。このため、ライナ
32aを第1シリンダボア2a内に挿入することにより
ボア壁4aの凹部33aとライナ32aの凸部34aと
が互いに結合することとなる。同様に、ボア壁4aの第
2シリンダボア2b側壁面にはシリンダボア軸線M−M
方向に延びる例えば3個の凹部が形成されており、一方
ライナ32bの外周面にはボア壁4aの凹部に対応した
形状をなす凸部が形成されており、このためライナ32
bを第2シリンダボア2b内に挿入することによりボア
壁4aの凹部とライナ32aの凸部とが互いに結合され
ることとなる。なお、第3シリンダボア2cおよび第4
シリンダボア2d内にもライナ32a,32bと同様の
ライナがそれぞれ挿入されている。さらに、第2シリン
ダボア2bと第3シリンダボア2c間のボア壁4bは第
2シリンダボア2b内のライナ32bおよび第3シリン
ダボア2c内のライナと、ボア壁4aの場合と同様にし
てそれぞれ結合されており、第3シリンダボア2cと第
4シリンダボア2d間のボア壁4cは第3シリンダボア
2c内のライナおよび第4シリンダボア2d内のライナ
と、ボア壁4aの場合と同様にしてそれぞれ結合されて
いる。なお、これらライナはシリンダブロック1の鋳造
時にシリンダブロック1内に鋳ぐるむ、またはシリンダ
ボア内に打ち込むことによってシリンダブロック1に取
付けられる。
【0051】ところで上述したように各ボア壁4a,4
b,4cの冷却作用を向上するためには各連通路15
a,15b,15cの流路面積を大きくして各連通路1
5a,15b,15c内を流通する冷却水の流量を増大
すればよい。ところが各連通路15a,15b,15c
の流路面積を大きくするとボア壁4a,4b,4cの剛
性が低くなる。そこで本実施例では、各シリンダボア2
a,2b,2c,2d内にライナを挿入してシリンダボ
ア間のボア壁4a,4b,4cの剛性が高くなるように
している。しかもボア壁4a,4b,4cのシリンダボ
ア側壁面においてボア壁4a,4b,4cの凹部とライ
ナの凸部とが結合されているのでさらにボア壁4a,4
b,4cの剛性を高めることができる。その結果、各ボ
ア壁4a,4b,4c内に形成される連通路15a,1
5b,15cの流路面積を大きくすることができ、した
がって各ボア壁4a,4b,4cの冷却作用を向上する
ことができる。さらに、ボア壁4a,4b,4cに凹部
を設けると共にライナに凸部を設けることによりボア壁
4a,4b,4cとライナとの接触面積が増大するので
ライナを良好に冷却することができる。なお本実施例は
図7または図10に示したシリンダブロック1に適用す
ることができる。
【0052】上述の図24および図25に示した実施例
では、例えばボア壁4aのシリンダボア側壁面4aaに
シリンダボア軸線M−M方向に延びる凹部33aを形成
すると共にライナ32a外周面にボア壁4aの凹部33
aに対応する形状の凸部34aを形成している。しかし
ながら図26に示すようにボア壁4aのシリンダボア側
壁面4aaにシリンダボア軸線M−M方向に延びる凸部
を形成すると共にライナ32a外周面にボア壁4aの凸
部に対応する形状の凹部を形成してもよい。
【0053】図27を参照してさらに別の実施例を説明
する。この実施例でも第1シリンダボア2a内には環状
をなすライナ32aが挿入され、第2シリンダボア2b
内にも環状をなすライナ32bが挿入され、第3シリン
ダボア2cおよび第4シリンダボア2d内にも同様のラ
イナが挿入される。しかしながら本実施例では、例えば
第1シリンダボア2aの内周面に環状の凹部37aが形
成され、一方ライナ32aの外周面に凹部37aに対応
する形状の凸部38aが形成される。ライナ32aを第
1シリンダボア2a内に挿入することによってこれら凹
部37aと凸部38aとが結合される。同様に第2シリ
ンダボア2bの内周面に環状の凹部が形成され、ライナ
32bの外周面に凸部が形成されてこれら凹部および凸
部が互いに結合される。その結果、図24に示した実施
例と同様に、ライナ32a,32bによりボア壁4aの
剛性を高めることができ、したがって連通路15aの流
路面積を確保することができるのでボア壁4aを良好に
冷却することができる。なおボア壁4b,4cについて
も同様であるので説明を省略する。また本実施例は図7
または図10に示したシリンダブロック1に適用するこ
とができる。
【0054】図28を参照してさらに別の実施例を説明
する。本実施例では、例えば図28に示すように平面L
a上に形成されるリブ9aは第1溝5内においてシリン
ダボア軸線M−M方向の中間位置に配置されており、リ
ブ10aも第2溝6内においてシリンダボア軸線M−M
方向の中間位置に配置されている。したがって、平面L
a上の第1溝5内にはリブ9aの上方において間隙13
が形成されると共にリブ9aの下方において間隙39が
形成され、平面La上の第2溝6内にはリブ10aの上
方において間隙14が形成されると共にリブ10aの下
方において間隙40が形成される。さらに、リブ9a内
には間隙13と間隙39とを連通する貫通穴41が形成
されており、リブ10a内には間隙14と間隙40とを
連通する貫通穴42が形成されている。同様に、リブ9
b,9cは第1溝5内においてシリンダボア軸線M−M
方向の中間位置にそれぞれ配置されており、リブ10
b,10cは第2溝6内においてシリンダボア軸線M−
M方向の中間位置にそれぞれ配置されている。さらに、
各リブ9b,9c内にはそれぞれ平面Lb,Lc上に形
成される間隙13と間隙39とを連通する貫通穴41が
それぞれ形成され、各リブ10b,10c内にはそれぞ
れ平面Lb,Lc上に形成される間隙14と間隙40と
を連通する貫通穴42がそれぞれ形成される。
【0055】ところで、平面La,Lb,Lc上の各間
隙13内を流通する冷却水の一部がそれぞれ対応する連
通路15a,15b,15c内に流入する。この場合平
面La,Lb,Lc上の各間隙13内を流通する冷却水
中に加工屑または水垢などのゴミが含まれているとこの
ゴミが連通路15a,15b,15c内に流入して連通
路15a,15b,15cが目詰まりする恐れがある。
連通路15a,15b,15cが目詰まりするともはや
連通路15a,15b,15c内に冷却水が流通しにく
くなり、または流通しなくなるのでボア壁4a,4b,
4cを良好に冷却できなくなる。そこで本実施例では、
各リブ9a,9b,9c内に貫通穴41を設けて間隙1
3内のゴミを貫通穴41を介して間隙39内に導くよう
にし、すなわち第1溝5内を流通する冷却水中にゴミが
含まれている場合にこのゴミが第1溝5内の底部に存在
するようにしている。上述したように各連通路15a,
15b,15cは第1溝5内の頂部において開口してお
り、したがって各リブ9a,9b,9c内に貫通穴41
を設けることにより連通路15a,15b,15cが目
詰まりするのを阻止できる。
【0056】同様に、各リブ10a,10b,10c内
に貫通穴42を設けることにより第2溝6内を流通する
冷却水中に含まれうるゴミが第2溝6の底部に存在する
ようにしている。その結果、例えば機関停止時に冷却水
が各連通路15a,15b,15c内を第2溝6から第
1溝5へ向けて流通するようなことがあっても連通路1
5a,15b,15cが目詰まりするのを阻止できる。
したがってボア壁4a,4b,4cの良好な冷却を確保
でき、したがってシリンダボア2a,2b,2c,2d
の変形を低減することができる。なお本実施例は図7ま
たは図10に示したシリンダブロック1に適用すること
ができる。
【0057】図29から図31を参照してさらに別の実
施例を説明する。図29および図31(A)を参照する
と、第2溝6の冷却水出口部26には冷却水流入口16
と第2溝6の冷却水出口部26とを遮断する遮断部材4
3が配置される。この遮断部材43内には冷却水流出通
路44が形成されており、この冷却水流出通路44の一
端は冷却水出口部26の頂部および底部に開口してお
り、冷却水流出通路44の他端はガスケット12内の流
通孔27内に開口している。したがって、冷却水流入口
16から第1溝5内に流入した冷却水は第1溝5内を流
通した後に第2溝6内に流入し、次いで第2溝6内を流
通した後に遮断部材43内の冷却水流出通路44内を流
通し、ガスケット12内の流通孔27およびシリンダヘ
ッド11内の流入口28を介してシリンダヘッド冷却水
通路17内に流入する。
【0058】ところで、図10に示した実施例における
ように冷却水出口部26内に到った冷却水を遮断部材2
5の側壁面に沿いつつ流通孔27および流入口28を介
してシリンダヘッド冷却水通路17内に導くようにする
と第2溝6内において冷却水は図31(B)において矢
印W′でもって示すように流通するので遮断部材25に
隣接する第2溝6の底部が淀んで淀み部45が形成され
る恐れがある。そこで本実施例では、遮断部材43内に
第2溝6の底部に開口して第2溝6の底部を流通する冷
却水をシリンダヘッド冷却水通路17内に導く冷却水流
通通路44を形成するようにしている。その結果、第2
溝6内を流通した後の冷却水は図31(A)において矢
印Wでもって示すように次いで遮断部材43内の冷却水
流出通路44内に流入し、したがって第2溝6内が淀む
のが阻止される。
【0059】これまで述べてきた実施例ではリブ9a,
9b,9c,10a,10b,10cをシリンダブロッ
ク1と一体的に形成している。しかしながら、これらリ
ブをシリンダブロック1とは別個に形成して各平面L
a,Lb,Lc上の第1溝5および第2溝6内において
それぞれシリンダブロック1と結合するようにしてもよ
い。
【0060】
【発明の効果】請求項1に記載の発明では、ボア壁のう
ち比較的剛性の高い部分のボア壁にリブを結合している
のでシリンダブロックの剛性を向上しつつシリンダボア
の変形を低減できる。請求項2に記載の発明では請求項
1に記載の発明に加えて、シリンダボア間のボア壁内の
連通路内に冷却水が流通するのでシリンダボア間のボア
壁の冷却を確保でき、それによりシリンダボアの変形を
さらに低減できる。請求項3に記載の発明では請求項2
に記載の発明に加えて、連通路の冷却水流入端と冷却水
流出端間の圧力差を増大できるので連通路内を流通する
冷却水の流量を確保でき、したがってシリンダボア間の
ボア壁をさらに良好に冷却でき、斯くしてシリンダボア
の変形をさらに低減できる。請求項4に記載の発明では
請求項2に記載の発明に加えて、連通路の冷却水流入端
と冷却水流出端間の圧力差を増大できるのでシリンダボ
ア間のボア壁をさらに良好に冷却でき、したがってシリ
ンダボアの変形をさらに低減できる。請求項5に記載の
発明では請求項4に記載の発明に加えて、連通路の冷却
水流出端における圧力を低下させることができるので連
通路の冷却水流入端と冷却水流出端間の圧力差を増大で
き、したがってシリンダボア間のボア壁をさらに良好に
冷却でき、したがってシリンダボアの変形をさらに低減
できる。請求項6に記載の発明では請求項2に記載の発
明に加えて、第1の溝の下流側に位置する連通路内を流
通する冷却水流量を確保することができるので各連通路
間の冷却作用の差を低減することができる。請求項7に
記載の発明では請求項2に記載の発明に加えて、第2の
溝の上流側に位置する連通路内を流通する冷却水流量を
確保することができるので各連通路間の冷却作用の差を
低減することができる。請求項8に記載の発明では請求
項2に記載の発明に加えて、シリンダボア間のボア壁内
に連通路を形成したときに生じうるボア壁の剛性の低下
を阻止できる。請求項9に記載の発明では請求項2に記
載の発明に加えて、冷却水中のゴミが貫通穴を介して第
1および第2の溝の底部に移動可能となるので連通路が
ゴミによって目詰まりするのを阻止でき、したがって連
通路内を冷却水が良好に流通するのを確保できる。請求
項10に記載の発明では請求項1に記載の発明に加え
て、遮断部材に隣接する第2の溝の底部において冷却水
が淀むのを阻止でき、したがってシリンダボアの変形を
さらに低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すシリンダブロックの平
面断面図である。
【図2】図1の線II−IIに沿ってみたシリンダブロ
ックの断面図である。
【図3】好ましくない例を示すシリンダブロックの部分
拡大断面図である。
【図4】シリンダブロックの剛性とリブの肉厚との関係
を示す数値解析結果である。
【図5】シリンダボアの平面断面の真円度とリブの肉厚
との関係を示す数値解析結果である。
【図6】図1のA部の拡大図である。
【図7】別の実施例を示すシリンダブロックの平面断面
図である。
【図8】図7の線VIII−VIIIに沿ってみたシリ
ンダブロックの断面図である。
【図9】図7のシリンダブロックに適用される(A)シ
リンダヘッドの平面断面図および(B)ガスケットの頂
面図である。
【図10】さらに別の実施例を示すシリンダブロックの
平面断面図である。
【図11】図10のシリンダブロックに適用される
(A)シリンダヘッドの平面断面図および(B)ガスケ
ットの頂面図である。
【図12】さらに別の実施例を示すシリンダブロックの
平面断面図である。
【図13】図12のシリンダブロックに適用される
(A)シリンダヘッドの平面断面図および(B)ガスケ
ットの頂面図である。
【図14】さらに別の実施例を示すシリンダブロックの
平面断面図である。
【図15】図14のシリンダブロックに適用される
(A)シリンダヘッドの平面断面図および(B)ガスケ
ットの頂面図である。
【図16】さらに別の実施例を示す、図2と同様なシリ
ンダブロックの断面図である。
【図17】さらに別の実施例を示す、図2と同様なシリ
ンダブロックの断面図である。
【図18】さらに別の実施例を示す、図6と同様なシリ
ンダブロックの部分拡大断面図である。
【図19】図18の線XIX−XIXに沿ってみたシリ
ンダブロックの断面図である。
【図20】さらに別の実施例を示す、第1溝および第2
溝の概略図である。
【図21】図20に示す実施例における第1溝および第
2溝内の圧力を示す線図である。
【図22】さらに別の実施例を示す、第1溝および第2
溝の概略図である。
【図23】図22に示す実施例における第1溝および第
2溝内の圧力を示す線図である。
【図24】さらに別の実施例を示す、図6と同様なシリ
ンダブロックの部分拡大断面図である。
【図25】図24の線XXV−XXVに沿ってみたシリ
ンダブロックの断面図である。
【図26】さらに別の実施例を示す、図6と同様なシリ
ンダブロックの部分拡大断面図である。
【図27】さらに別の実施例を示す、図25と同様なシ
リンダブロックの部分断面図である。
【図28】さらに別の実施例を示す、図2と同様なシリ
ンダブロックの断面図である。
【図29】さらに別の実施例を示すシリンダブロックの
平面断面図である。
【図30】図29のシリンダブロックに適用される
(A)シリンダヘッドの平面断面図および(B)ガスケ
ットの頂面図である。
【図31】冷却水出口部における冷却水の流れを説明す
る図である。
【符号の説明】
1…シリンダブロック 2a,2b,2c,2d…シリンダボア 3a,3b,3c,3d…ボア壁 4a,4b,4c…隣接するシリンダボア間のボア壁 5…第1溝 5a…第1溝の内壁面 5b…第1溝の外壁面 6…第2溝 6a…第2溝の内壁面 6b…第2溝の外壁面 9a,9b,9c…第1溝内のリブ 10a,10b,10c…第2溝内のリブ 11…シリンダヘッド 12…ガスケット 15a,15b,15c…連通路 16…冷却水流入口 17…シリンダヘッド冷却水通路 20a,20b,20c,20d…第1溝側の流通孔 21a,21b,21c,21d…第2溝側の流通孔 25…遮断部材 26…第2溝の冷却水出口部 29…突起部 41,42…貫通穴 K−K…シリンダブロックの長手軸線 La,Lb,Lc…平面 M−M…シリンダボアの軸線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝又 勝美 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 河内 正人 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 機関の長手軸線に沿って配置された複数
    個のシリンダボアを備え、機関の長手軸線の一側におい
    て各シリンダボアの周囲に沿いつつ一端のシリンダボア
    から他端のシリンダボアまで連続して延びる第1の溝を
    形成すると共に機関の長手軸線の他側において各シリン
    ダボアの周囲に沿いつつ一端のシリンダボアから他端の
    シリンダボアまで連続して延びる第2の溝を形成し、こ
    れら第1および第2の溝はシリンダブロックの頂面にお
    いてそれぞれ開口しており、該第1の溝の一端と該第2
    の溝の一端とを互いに連結すると共に該第1の溝の他端
    と該第2の溝の他端とを互いに連結し、シリンダボア側
    に位置する第1および第2の溝の内壁面とこれに対面す
    る第1および第2の溝の外壁面とを互いに結合するリブ
    を設けた多気筒内燃機関のシリンダブロックにおいて、
    上記リブが機関長手軸線に対し垂直をなしかつ隣接する
    シリンダボア間のボア壁の中心部を含んで延びる平面に
    沿いつつ延びるように上記第1および第2の溝内にそれ
    ぞれ形成されており、機関長手方向における該リブの肉
    厚をシリンダボア間のボア壁の機関長手方向における肉
    厚以下に設定した多気筒内燃機関のシリンダブロック。
  2. 【請求項2】 上記第1および第2の溝内に冷却水を流
    通させ、シリンダボア間のボア壁内に上記第1の溝と第
    2の溝とを互いに連通させて第1の溝から第2の溝に冷
    却水を流通させる連通路を形成した請求項1に記載の多
    気筒内燃機関のシリンダブロック。
  3. 【請求項3】 上記第1および第2の溝がシリンダブロ
    ックとシリンダヘッド間に挿入されるガスケットにより
    シリンダヘッド内のシリンダヘッド冷却水通路から分離
    されており、該ガスケット内に上記第1および第2の溝
    とシリンダヘッド冷却水通路とをそれぞれ連通する複数
    個の流通孔を形成し、第1の溝とシリンダヘッド冷却水
    通路とを連通する流通孔の流路抵抗を第2の溝とシリン
    ダヘッド冷却水通路とを連通する流通孔の流路抵抗に比
    べて大きくした請求項2に記載の多気筒内燃機関のシリ
    ンダブロック。
  4. 【請求項4】 上記平面上において上記第2の溝の流路
    抵抗を上記第1の溝の流路抵抗に比べて大きくした請求
    項2に記載の多気筒内燃機関のシリンダブロック。
  5. 【請求項5】 シリンダブロックとシリンダヘッド間に
    挿入されるガスケットから上記平面上において上記第2
    の溝内に延びる突起部を具備し、該突起部により第2の
    溝の流路面積を第1の溝の流路面積に比べて小さくする
    請求項4に記載の多気筒内燃機関のシリンダブロック。
  6. 【請求項6】 上記第1の溝の一端と上記第2の溝の一
    端との連結部に冷却水流入口を形成して該冷却水流入口
    内を流通した冷却水を次いで上記第1の溝と第2の溝と
    に流入させてこれら第1および第2の溝内に一端のシリ
    ンダボアから他端のシリンダボアに向けて冷却水を流通
    させ、該第1の溝の流路抵抗を一端のシリンダボアから
    他端のシリンダボアに近づくのに従って小さくするよう
    にした請求項2に記載の多気筒内燃機関のシリンダブロ
    ック。
  7. 【請求項7】 上記第1の溝内に一端のシリンダボアか
    ら他端のシリンダボアに向けて冷却水を流通させると共
    に第1の溝内を流通した冷却水を次いで上記第2の溝内
    に流入させて該第2の溝内に冷却水を他端のシリンダボ
    アから一端のシリンダボアに向けて流通させ、該第2の
    溝の流路抵抗を一端のシリンダボアから他端のシリンダ
    ボアに近づくのに従って大きくするようにした請求項2
    に記載の多気筒内燃機関のシリンダブロック。
  8. 【請求項8】 シリンダボア間のボア壁のシリンダボア
    側壁面に凹部または凸部を形成し、該ボア壁の凹部また
    は凸部に対応する凸部または凹部を備えた環状のライナ
    をシリンダボア内に挿入してボア壁の凹部または凸部と
    ライナの凸部または凹部とを互いに結合させた請求項2
    に記載の多気筒内燃機関のシリンダブロック。
  9. 【請求項9】 上記リブを上記第1または第2の溝内に
    おいてシリンダボアの軸線方向の中間高さ位置に配置
    し、該リブ内にシリンダボア軸線方向に延びる貫通穴を
    設けた請求項2に記載の多気筒内燃機関のシリンダブロ
    ック。
  10. 【請求項10】 上記第1の溝内に冷却水を流通させる
    と共に第1の溝内を流通した冷却水を次いで上記第2の
    溝内に流入させ、第2の溝の冷却水出口部に冷却水の流
    出を遮断する遮断部材を配置し、該遮断部材内に第2の
    溝の底部に開口して第2の溝の底部の冷却水をシリンダ
    ヘッド内のシリンダヘッド冷却水通路内に導く冷却水流
    出通路を形成した請求項1に記載の多気筒内燃機関のシ
    リンダブロック。
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