JPH08283396A - p−ジオキサノンとグリコリドの結晶性共重合体 - Google Patents

p−ジオキサノンとグリコリドの結晶性共重合体

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JPH08283396A
JPH08283396A JP8035707A JP3570796A JPH08283396A JP H08283396 A JPH08283396 A JP H08283396A JP 8035707 A JP8035707 A JP 8035707A JP 3570796 A JP3570796 A JP 3570796A JP H08283396 A JPH08283396 A JP H08283396A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な柔軟性及び迅速吸収性を有するp−ジ
オキサノンとグリコリドの結晶性重合体を提供するこ
と。 【解決手段】 本発明は、約3乃至約30重量パーセン
トの重合したグリコリドを含有し、残りが重合したp−
ジオキサノンであり、且つ1.6〜2.6dl/gのイン
ヘレント粘度;加熱載物台顕微鏡測定によって90〜1
25℃の溶融温度;25〜50%の結晶化度;単一の分
子量分布曲線;及び溶融状態における単一相を有するこ
とを特徴とするp−ジオキサノンとグリコリドの結晶性
共重合体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明はp−ジオキサノンとグリコリドの
結晶性共重合体、該共重合体の製造方法、及びそれから
製造した、たとえば高いコンプライアンス、迅速吸収性
モノフイラメント縫合糸のような手術用品に関するもの
である。
【0002】発明の背景 p−ジオキサノンホモポリマーから成る、手術用品、特
に吸収性モノフイラメント縫合糸、及び結紮具及び止血
結紮クリツプは有用な商品である。本発明はホモポリマ
ーにおいて達成することができるものとは異なった性質
を有するp−ジオキサノン重合体を提供するための手段
を目的としている。すなわち本発明はp−ジオキサノン
重合体の有用性を拡大するための手段を提供する。
【0003】p−ジオキサノン重合体は米国特許第4,0
52,988号においてドツジらによって開示されてい
るが、かれらは、このような重合体から成る縫合糸及び
その他の手術用品をも開示し且つ特許請求している。ド
ツジらの特許の8及び9縦行にわたる記事中で、グリコ
リドをp−ジオキサノンと共重合させて吸収性の縫合糸
を与えることができるということを開示している。
【0004】p−ジオキサノンホモポリマーの縫合糸及
び結紮具のような手術用フイラメントは、モノフイラメ
ントの形態で商業的に入手することができる。モノフイ
ラメント縫合糸の望ましい性質の一つは、高い強度(引
張強さと結節強さとして)及び良好なコンプライアンス
又は柔軟性を兼ね備えていることである。p−ジオキサ
ノンホモポリマーの手術用フイラメントは、どちらかと
いえば、こわく且つ針金のようであると外科医によって
認められている。本発明の価値ある利点の一つは、本発
明がp−ジオキサノンホモポリマーよりも柔軟性であるp
−ジオキサノン重合体を提供し、それによってp−ジオ
キサノン重合体の有用性を実質的に増進することであ
る。
【0005】本発明の要約 本発明の重合体は、ポリ(p−ジオキサノン)よりも遥か
に良好な柔軟性と共に高グリコリド重合体の迅速吸収性
を兼ね備えている、p−ジオキサノンとグリコリドの結
晶性共重合体である。さらに本発明は、これらの共重合
体から成る、殺菌できる手術用品、好ましくは良好な強
度、迅速吸収性及びすぐれた柔軟性(低ヤング率によっ
て表わされる)の望ましい組合わせを有するモノフイラ
メント縫合糸及び結紮具をも提供する。本発明によって
提供されるその他の有用な手術用品は、手術用ステープ
ル、たとえば神経及び小脈管吻合のための小直径鞘のよ
うな管状構造物、及び織成又は不織管状構造物を含む織
物を包含する。
【0006】さらに本発明は:p−ジオキサノンホモポ
リマーとp−ジオキサノンモノマーの混合物にグリコリ
ドを添加し且つそれによって得た反応混合物をp−ジオ
キサノンとグリコリドの共重合体を生じさせるために十
分な時間にわたって高い温度にさらすことから成る本発
明の共重合体の製造方法をも提供する。
【0007】従来の技術 前記のドツジらの特許(これは本申請者によって、もつ
とも関連する従来技術と考えられる)に加えて、モノマ
ーの連続的添加による吸収性重合体の製造を開示してい
るという点で、その他の多くの特許が本発明と関連して
いる。これらの特許は、オクズミら、米国特許第4,1
37,921号及び4,157,437号及びローゼンス
アフトら、米国特許第4,243,775号及び4,30
0,565号を包含する。
【0008】本発明の詳細な記述 本発明の方法を遂行するためのもつとも便宜的な方策
は、先ずp−ジオキサノンモノマーの溶融重合を行なっ
てポリ(p−ジオキサノン)ホモポリマーとp−ジオキサノ
ンモノマーの混合物を生じさせ、次いでこの混合物をグ
リコリドとの反応に使用することである。この単独重合
は、たとえばオクタン酸すずのような適当な金属含有触
媒の触媒として有効な量の存在において行なわれる。触
媒の典型的な割合は、約10,000:1乃至約60,0
00:1、好ましくは約1,5000:1乃至約40,0
00:1のモノマー:触媒モル比において認められる。
重合は、たとえばアルカノール、グリコール、ヒドロキ
シ酸又はアミンのような開始剤の存在においあて行なわ
れる。このような開始剤の特定的な例は、1ードデカノ
ール、ジエチレングリコール、グリコール酸、乳酸、エ
タノールアミンなどを包含する。開始剤の典型的な割合
は、約500:1乃至約1800:1のモノマー:開始
剤モル比において認められる。p−ジオキサノンの重合
は、不活性雰囲気下に高い温度において、p−ジオキサ
ノンホモポリマーとp−ジオキサノンのモノマーの混合
物を生じさせるために十分な時間にわたって、行なわれ
る。典型的な重合反応温度は約100℃乃至約130℃
の範囲内であり、約110℃が好ましい。重合反応は重
合体とモノマーの間で平衡に達するまで行なわれる。こ
の平衡は通常は、モノマーとポリマーの合計重量に基づ
いて、約15〜30重量パーセントのモノマーにおいて
得られる。温度に依存して、この反応は通常は約4〜約
8時間を要する。約110℃の好適温度では、通常の反
応時間は5〜6時間である。
【0009】次の段階はp−ジオキサノンのホモポリマ
ーとモノマーの混合物にグリコリドを添加し、且つそれ
によって得た反応混合物を本発明のセグメント共重合体
を生じさせるために十分な時間にわたって高い温度にさ
らすことである。原則として、この重合に対する反応温
度は約120℃乃至約180℃の範囲内であり、且つ1
20〜150℃が好ましい。この範囲内の反応温度にお
いて、重合は約1乃至約4時間以内に完了する。
【0010】p−ジオキサノンホモポリマーとモノマー
の混合物に加えるグリコリドの割合は通常は、反応混合
物の全重量(すなわち、グリコリド、p−ジオキサノンホ
モポリマー及びp−ジオキサノンモノマーの合計重量)に
基づいて、約3乃至約25重量パーセント、好ましくは
約5乃至約20重量パーセントである。
【0011】以下の実施例は本発明の共重合体の製造を
例証するものである。
【0012】実施例195/5初期重量組成(モル%で95.6/4.4)にお
けるポリジオキサノン溶融物/グリコリドの製造 炎で乾燥させた250mlの丸底二つ口フラスコに、窒
素下に95g(0.9306モル)のp−ジオキサノン、
0.266mlの1ードデカノール及び0.0984m
lのオクタン酸すず(トルエン中の0.33モル濃度溶
液)を入れた。反応フラスコの内容物を室温で高真空下
に約16時間保った。フラスコに炎で乾燥させた機械的
撹拌機及びホース接続をもつアダプターを付した。反応
器を窒素で3回パージしたのち窒素と共に排気した。反
応混合物を110℃に加熱して5時間保った。この重合
体の試料を取出し(インヘレント粘度=1.21dl/
g)、5g(0.04308モル)のグリコリドを加えた。
次いで15分間かけて温度を140℃まで上げ、その温
度で1時間保った。油浴の温度を90℃に下げ、その温
度で約65時間保った。重合体を単離し、摩砕したの
ち、80℃/0.1mmHgで48時間乾燥して、未反応
モノマーを除去した。13.7%の重量減が認められ
た。生成した重合体は熱載物台顕微鏡法による96〜1
00℃の融点範囲と1.63dl/gのインヘレント粘
度(“IV")を有していた。他のことわりがない限り
は、本明細書中に記したすべてのインヘレント粘度は、
25℃でヘキサフルオロイソプロピルアルコール中の
0.1g/dlの濃度において測定した。
【0013】実施例290/10初期重量組成(モル%で91/9)におけるポ
リジオキサノン−溶融物/グリコリドの製造 炎で乾燥した250mlの丸底二つ口フラスコに、窒素
下に90g(0.8816モル)のp−ジオキサノン、0.
26mlの1ードデカノール及び0.098mlのオク
タン酸すず(トルエン中0.33モル濃度溶液)を入れ
た。反応フラスコの内容物を室温において高真空下に約
16時間保った。フラスコに炎で乾燥した機械的撹拌機
とホース連結をもつアダプターを付した。反応混合物を
窒素流下に110℃に加熱して、その温度で5時間保っ
た。この重合体の試料を取出して、10g(0.0862
モル)のグリコリドを加えた。温度を続く10分にわた
って160℃に上げ、そのまま1時間保った。油浴の温
度を85℃に下げ、そのまま約65時間保った。重合物
を単離し、摩砕したのち、80℃/0.1mmHgで48
時間乾燥して、未反応のモノマーを除いた。13.8%
の重量減が認められた。かくして得た重合物は100〜
105℃の融点範囲(熱載物台顕微鏡法による)、25
℃において1.44dl/gのインヘレント粘度、−8
℃のTg(DSCによる)、97℃のTm(DSCによる)、
45%の結晶化度(X線回折による)及びNMRにより8
7.3/12.7のPDO/PGモル比を有していた。
(PDO/PGモル比は重合体中の重合したp−ジオキサ
ノンの共重合したグリコリドに対する比であり、1モル
のグリコリドは2グリコール酸単位を含有する)。
【0014】実施例380/20初期重量組成(モル%で82/18)における
ポリジオキサノン−溶融物/グリコリドの製造 炎で乾燥した、250mlの丸底2つ口フラスコに、窒
素下に80g(0.7836モル)のp−ジオキサノン、
0.217mlの1ードデカノール及び0.048ml
のオクタン酸すず(トルエン中0.33モル濃度溶液)を
入れた。反応フラスコの内容物を窒素下に室温で約16
時間保った。フラスコに炎で乾燥した機械的撹拌機とホ
ース接続をもつアダプターを付した。反応混合物を窒素
流下に110℃に加熱し、その温度で5時間保った。こ
の重合物の試料を取出して、20g(0.1723モル)
のグリコリドを加えた。温度を140℃に上げて、その
温度に1時間保った。油浴の温度を続く10分間にわた
って160℃に上げ、その温度で約40分保った。重合
体を単離し、摩砕し且つ80℃/0.1mmHgで48時
間乾燥して、未反応のモノマーを除いた。6.4%の重
量減が認められた。かくして得た重合体は95〜100
℃の熱載物台顕微鏡法による溶融範囲、1.64dl/
gのインヘレント粘度及び40%の結晶化度を有してい
た。DSCによるTgは−2℃であり、Tmは125℃で
あったが、193℃における第二のTmが示唆された。
PDO/PGモル比はNMRによって82.7/17.
3であることが認められた。
【0015】押出し 繊維、特に手術用フイラメントの製造において、共重合
体を常法に従って下記の一般的手順により紡糸口金を通
じて溶融押出しして、1本以上のフイラメントを形成さ
せた。
【0016】ここに記した共重合体の押出しは、インス
トロン毛細管レオメーターを用いて行なった。共重合体
を予熱(80〜90℃)した押出室中に充てんして、2cm
/分のラム速度と押出し温度における9〜12分の滞留
時間後に、40ミルのダイ(L/D=24.1)を通じて
押出した。押出し温度は重合体のTmと与えられた温度
における材料の溶融粘度に依存するけれども、Tmより
も約10〜75℃高い温度における当該共重合体の押出
しが、一般に好都合である。実施例に記した共重合体の
押出し温度は120〜205℃の範囲であった。押出物
は通常は、氷水の急冷浴を通じて24フイート/分で引
き取ったけれども、場合によっては、異なる浴温と引き
取り速度を使用した。インストロン毛細管レオメータの
代りにスクリユー形押出機又は類似の装置を用いること
もできる。
【0017】押出したフイラメントを次いで、分子配向
を与えて引張特性を向上させるために、1段又は多段延
伸法により約6×乃至7×延伸する。延伸は次のように
して行なう:押出物(直径範囲16〜20ミル)を4フイ
ート/分の入力速度でローラーを通じてグリセリンの加
熱延伸浴中に通じる。延伸浴の温度は約25〜90℃の
範囲で変えることができるが、本明細書中の実施例では
49〜58℃の温度を用いる。この延伸の第一段階にお
ける延伸比は3×乃至約7×の範囲で変えることができ
るが、記載の実施例では4×乃至5.5×の第一段延伸
比を用いる。部分的に延伸した繊維を次いで第二の組の
ローラー上で50〜95℃の範囲の温度に保ったグリセ
リン浴(第二段階)中に送るが、記載の実施例においては
70〜75℃の第二段延伸温度を用いる。この第二段階
においては2×に至るまでの延伸比を与えるが、実施例
中では1.2×乃至1.6×の範囲の延伸比を用いた。
繊維を水浴を通じてスプール上に巻き取り且つ乾燥す
る。グリセリン延伸浴の一部又は全部の代りに、一組の
熱ローラーを用いることができる。このようにして得た
配向したフイラメントは良好な引張及び結節強さを有し
ている。
【0018】配向フイラメントの寸法安定性と生体内引
張強さの保持は、フイラメントに焼きなまし処理を施す
ことによって増進することができる。この任意な処理
は、延伸したフイラメントをフイラメントの実質的な収
縮を防ぐように拘束しながら、約40〜90℃、もつと
も好ましくは約60〜80℃の温度に加熱することから
成っている。この工程は、最初に張力下にあるフイラメ
ントを用いて、又は拘束前に20%に至るまでの収縮を
許したフイラメントを用いて、始めることができる。フ
イラメントは、温度及び処理条件に依存して、数秒乃至
数日以上にわたって焼きなまし温度に保つ。一般に60
〜80℃において約24時間に至るまでの焼きなましが
本発明の共重合体に対して適当である。生体内におけ
る、最高の繊維の強度保持と寸法安定性のために最適な
焼きなまし時間及び温度は、各繊維組成物に対して簡単
な実験によって容易に決定することができる。
【0019】このようにして製造したフイラメントを縫
合糸又は結紮具に加工し、手術針に取り付け、包装し且
つ公知の方法によって滅菌することができる。
【0020】本発明のフイラメントの特性は、通常の試
験方法によって容易に決定することができる。本明細書
中に示した引張特性(すなわち引張強さ、結節強さ、ヤ
ング率、及び伸び)はインストロン引張試験機を用いて
測定した。引張強さ、結節強さ、伸び及びヤング率の測
定のために用いた条件設定は、他のことわりがない限り
は、次のようなものとした: 引張強さは、切断に至る力を繊維の初期断面積で除すこ
とによって計算する。伸びは、1cmの水平移動当り4−
1/6%を割当てる試料の応力−ひずみ曲線から直接に読
みとる。
【0021】ヤング率は、試料の応力−ひずみ曲線の直
線的弾性区域の傾斜から、次のようにして計算する:
【0022】
【数1】
【0023】θは傾斜と水平軸の間の角度であり、XS
は繊維の初期断面積であり、SLは比例荷重であり、X
Hはクロスヘツド速度であり、CSはチヤート速度であ
り、GLはゲージ長さである。SLはθが45°に近く
なるように選ぶとよい。
【0024】繊維の結節強さは、別個の実験で決定す
る。試験製品を内径1/4インチ、壁厚1/16インチの軟質
管の周囲にフイラメントを1回転させて外科医の結び目
として結ぶ。外科医の結び目は、先ず自由端を輪中に1
回ではなく2回通し、且つ一つの結び目が複合結び目上
に重なるように末端をぴんと伸ばした、四角い結び目で
ある。第一の結び目は、左端を右端上にして開始し且つ
十分な張力を加えて結び目をしっかりと結ぶ。
【0025】結び目をクランプのほぼ中間に置いて試験
試料をインストロン引張試験機中に置く。結節強さは切
断に要する力を繊維の初期断面積で除すことによって計
算する。
【0026】引張強さ値とヤング率(Y.M.)をKSP
I又はKSPI×103として記録する。
【0027】実施例4〜6 実施例1〜3に記した共重合体をモノフイラメント繊維
として押出した。配向条件を第1表中に示し、これらの
共重合体の引張特性を第2表に示す。
【0028】 第1表 配向条件 共重合体 繊 維 第1段 第2段 全延伸比実施例番号 実施例番号 延 伸 延 伸 1 4 4X 1.562X 6.25X (58℃) (75℃) 2 5 5X 1.3X 6.5X (52℃) (72℃) 3 6 5X 1.2X 6X (50℃) (71℃) 第2表 共重合体 実施例 実施例 実施例 実施例番号 当初PDO/PG 重量比 95/5 90/10 80/20配向繊維の性質 繊維 実施例番号 引張強さ、KSPI 88 87 65 結節強さ、KSPI 53 49 43 伸び、% 49 61 94 ヤング率、KSPI 211 143 81 焼きなまし 12hr/60℃(2) 12hr/60℃ 12hr/60℃ 引張強さ、KSPI 79 85 61 結節強さ、KSPI 50 62 51 伸び、% 34 39 55 ヤング率、KSPI 281 283 201 試験管内BSR(1) 4日/50℃ 79% 49% 43% (1) 指示温度のりん酸塩緩衝液(pH=7.26)中の指
示日数後の引張強さの当初引張強さに対する保持率 (2) 収縮なし 実施例7開始剤としてジエチレングリコールを使用する90/1
0初期重量組成(モル%で91/9)におけるポリジオキ
サノン−溶融物/グリコリドの製造 炎で乾燥した、250mlの丸底二つ口フラスコに、窒
素下に90g(0.8816モル)のp−ジオキサノン、
0.055mlのジエチレングリコール及び0.098
mlのオクタン酸すず(トルエン中0.33モル溶液)を
入れた。反応フラスコの内容物を室温で約16時間保っ
た。フラスコに炎で乾燥した機械的撹拌機とホース接続
をもつアダプターを付した。反応混合物を窒素流下に1
10℃に加熱し、その温度で5時間保った。この重合物
の試料を取出して(インヘレント粘度1.16dl/
g)、10g(0.0862モル)のグリコリドを加えた。
温度を次の10分間で160℃まで上げ、そのまま1時
間保った。油浴の温度を85℃まで下げ、そのまま約6
5時間保った。重合体を単離し、摩砕し且つ80℃/
0.1mmHgで48時間乾燥して、未反応モノマーを除
いた。かくして得た重合体は熱載物台顕微鏡法による9
4〜99℃の融点範囲と1.88dl/gのインヘレン
ト粘度を有していた。
【0029】実施例8 実施例7の共重合体を常法により紡糸口金を通じて押出
した。生じた押出物を2段階で6.5×(52℃におい
て5×;72℃において1.3×)延伸したのち、60℃
で12時間収縮なしで焼きなましした。焼きなましした
繊維の物理的性質は次のとおりであった: 引張強さ、KSPI 88 結節強さ、KSPI 55 伸び、% 30% ヤング率、KSPI 204 試験管内BSR 4日/50℃/7.27pH 34% 実施例9及び1090/10初期重量組成におけるポリジオキサノン−溶
融物/グリコリドの製造 完全に乾燥した、機械的に撹拌した1.5ガロンのステ
ンレス鋼反応器に1800g(17.632モル)のp−ジ
オキサノン、3.96mlの1ードデカノール及び1.
955mlのオクタン酸すず(トルエン中0.33モル
濃度溶液)を仕込んだ。フラスコ内容物を高真空下に室
温で約16時間保った。反応器を窒素でパージし且つ排
気した。反応混合物を110℃に加熱し、そのまま約6
時間保った。重合物の試料を取出して200g(1.72
3モル)のグリコリドを加えた。実施例9では温度を1
40〜150℃に上げて約45分間保ち、一方、実施例
10においては約120℃に上げて約1時間保った。重
合体を単離し、摩砕し且つ乾燥して未反応モノマーを除
いた。これらの実施例の重合物と繊維の性質を第3表に
示す。実施例9の押出し繊維は7×(49℃で5×、次
いで72℃で1.4×)延伸し、実施例10の押出し繊
維は6.75×(53℃で5×、70℃で1.35×)延
伸した。
【0030】 第3表 ポリジオキサノン−溶融物/グリコリド 実施例9 実施例10 (自然)(3) (自然)重合体性質 インヘレント粘度、dl/g 1.77 1.82 融点(熱載物台顕微鏡法) 102℃ 98-102℃繊維性質 配 向 焼きなまし 配 向 焼きなまし 12h/60℃ 12h/60℃ 直径(ミル) 7.8 8.1 7.5 7.8 引張強さ、KSPI 106 89 100 86 結節強さ、KSPI 48 48 51 53 伸び、% 60 30 63 48 ヤング率、KSPI 134 192 121 221 試験管内BSR(4) 4日/50℃ − 57% − 55% 7日/50℃ − − − − 生体内BSR(5) 3週 − 28% − 30% 4週 − 17% − 12% 生体内吸収(6) 91日 − 21% − 23% 119日 − 0 − 0 154日 − 0 − 0 (3) “自然"は未染色を意味する。
【0031】(4) 試験管内BSR−50℃のりん酸塩
緩衝液pH7.26中で指示の日数後に残留する引張強さ
の初期引張強さに対する百分率。
【0032】(5),(6) 生体内BSR及び吸収試験方
法は以下に記すとおりである。
【0033】生体内引張強さ保持率 繊維の生体内引張強さ保持率(BSR)は、多数のロング
−エバンス ラツトの背側の皮下組織中に2本の繊維を
移植することによって測定する。使用するラツトの数は
移植期間に関係し、1期間当り4匹のラツトを使用する
から、各期間に対して全体で8実施例が与えられる。す
なわち、2,3又は4移植周期に相応して各繊維の16,
24又は32本の断片を移植する。生体内滞留の期間
は、7,14,21又は28日である。各期間における引
張強さ(下記条件設定を用いるインストロン引張試験機
によって測定:ゲージ長さ1インチ、チヤート速度1イ
ンチ、クロスヘツド速度1インチ)の8測定の平均値の
移植前の繊維に対して得た平均値(8測定に対して)に対
する比を、各期間に対する引張強さ保持率とする。
【0034】生体内吸収 生体内吸収試験は次のようにして行なう:試料フイラメ
ントの2cmの部分を試験の各期間に対して2匹のめすラ
ツトの左右の両方の臀部筋肉中に移植する。この手順は
5,91,119,154及び210日の期間に対して各
期間当り全体で8切片を与えることになる。
【0035】移植物を指示の間隔で回収して、緩衝した
ホルマリン中で固定する。筋肉切片を調製してH&Eで
染色し顕微鏡によって調べる。組織反応を評価し、残存
するフイラメントの直径を測定する。5日後のフイラメ
ント直径を、それ以降の期間後に残存する断面積百分率
を決定するための100%基準点として用いる。
【0036】実施例11パイロツトプラント規模の反応器中の90/10初期重
量組成(91.1/8.9モル%)におけるポリジオキサ
ノン−溶融物/グリコリドの製造 十分に乾燥し、機械
的に撹拌した10ガロンのステンレス鋼ヘリコーン反応
器中に、窒素パージ下に、10.050g(98.529
モル)のp−ジオキサノン、10.95mlのオクタン酸
すず触媒溶液(トルエン中0.33モル%濃度)、15.
13gの1ードデカノール及び11.16gのD&Cバイ
オレツト#2染料を入れた。反応器内容物を水銀中1mm
以下の真空下に20分保った。真空を乾燥窒素で解除
し、内容物に再び少なくとも水銀柱1mmの真空をさらに
20分間付与した。反応器を窒素でパージした。反応混
合物を110℃に加熱した。重合時間は反応混合物が1
00℃に達してから6時間とした。6時間の第1期重合
期間(インヘレント粘度1.23=dl/gの未反応モ
ノマー=22.8%)の終りに、1117g(9.629
モル)のグリコリドを窒素パージ下に反応器に加えた。
温度を約145℃に上げて34時間保った。重合物を単
離し、摩砕し、ふるいにかけたのち、1立方フイートの
真空転回乾燥機中で室温で10時間、次いで70℃で3
2時間乾燥し、その後に4時間の冷却時間をかけて未反
応モノマーを除去した。重合体の性質の要約を第4表中
に示す。
【0037】第4表 インヘレント粘度 2.18dl/g Tg(DSC) −5℃ Tm(DSC) 112℃ 結晶化度(X線) 33% PDO/PGモル比(NMRによる) 86.3/13.7 実施例12 共重合体を130〜160℃で溶融し、その溶融物を5
/1の長さの直径に対する比を有する60ミルの毛細管
中に圧入することによって、モノフイラメントとして押
出した。押出物を、水浴中に通じることによって急冷し
たのち、ロール上で2段階で延伸した。第一段の延伸は
室温のロール上で行ない、第二段の延伸は加熱オーブン
中で行なった。実施例12の処理条件の一部を以下に示
す: ブロツク/ダイ温度(℃) 145/139 第一ゴデツト速度、(fpm) 13 全延伸比 5.4X オーブン温度(℃) 68 結晶化時間(分) 7-8 繊維を室温で終夜結晶化させたのち、加熱オーブン中で
1段で再延伸した。再延伸後に、試料を90℃において
0%の緩和のもとで窒素下に6時間焼きなましした。
【0038】太さ2/0の実施例12の繊維の物理的性
質を同様な寸法の市販の染色p−ジオキサノンホモポリ
マーモノフイラメント(PDO)と比較して第5表に示
す。
【0039】 本発明の共重合体は、重合したp−ジオキサノンとグリ
コリドの共重合体鎖に共役結合した重合p−ジオキサノ
ンの長いシーケンスから成っている。共重合体のNMR
分析はコモノマーが共役結合していることを確証する。
共重合体のX線分析は1種以上のコモノマー種の結晶性
の存在を示す。またこれは結晶性を生じさせるために十
分に長い1モノマー種のセグメントの存在を示す。これ
らの両分析法は本発明の共重合体がランダム共重合体
(ランダム共重合体は一般に本質的に非結晶性である)で
はないという見解を支持する。ゲル浸透クロマトグラフ
イーのデータは、本発明の共重合体が一つのみの分子量
分布曲線を有しており、それ故、2種以上の異なる重合
体のブレンドではないということを示す。
【0040】本発明の共重合体から製造した延伸し且つ
配向したフイラメントは、高い含量の重合したグリコリ
ドを有する重合体から成るフイラメントの生体内吸収特
性(本発明の共重合体は比較的僅かな割合の重合したグ
リコリドを含有するに過ぎないのにかかわらず)を表わ
す。しかしながら、本発明のフイラメントは高グリコリ
ド含量の重合体から成るフイラメントよりも遥かに柔軟
性である。それ故、本発明のフイラメントはモノフイラ
メント形態で手術用縫合糸及び結紮具として用いること
ができる:それらは編組する必要がない。この特色を例
証するものとして、グリコリドホモポリマー又は90/
10グリコリド/ラクチド共重合体から成るフイラメン
トは、一般に2×106の程度のヤング率値を有してい
るのに対して、本発明の好適重合体から延伸配向したフ
イラメントは、1桁低い、約3×105以下のヤング率
値を有している。
【0041】比較として、緩和なしに、60℃で12時
間焼きなましした、実施例9及び10の共重合体から製
造した、サイズ4/0モノフイラメントの生体内BSR
を、第6表中で、サイズ4/0の編組した90/10グ
リコリド/ラクチド共重合体の生体内BSRと比較す
る。
【0042】 第6表 実施例9 実施例10 90/10PG/PL* 編 組 ベースライン、 ポンド 4.2 4.0 5.5 BSR%,3週 28 30 29 BSR%,4週 17 12 5 *典型値 本発明の共重合体は以下のように特徴付けることができ
る:75〜97重量パーセントの重合したp−ジオキサ
ノンを含有し、残部は重合したグリコリドである。好適
な手術用フイラメントとしての使用のためには、共重合
体は約90〜97モルパーセントの重合したp−ジオキ
サノンを含有し、残部は重合したグリコリドである。
【0043】自然(未染色)状態において、共重合体は熱
載物台顕微鏡法による約90〜125℃の融点を有して
いる(染料の添加は5℃程度の融点の上昇を生じさせる
ものと思われる)。
【0044】溶融状態において、共重合体は光学顕微鏡
による観察により単一相を有している。
【0045】X線回折分析により、共重合体は約25〜
50%の結晶化度を有している。
【0046】ゲル浸透クロマトグラフイーによって、本
発明の共重合体は単一の分子量分布曲線を示すのみであ
る;インヘレント粘度値は1.6〜2.6dl/gであ
る。
【0047】本発明の共重合体から製造したモノフイラ
メントの性質は、PDO/PGモル比、共重合条件、延
伸と焼きなましの条件、分子量、及びフイラメントの太
さを包含する多くの要因に依存する。一般に、好適重合
体(これは90/10乃至97/3のPDO/PGモル
比を有する)から製造した延伸し且つ焼きなまししたフ
イラメントは、下記の性質を有している: 引張強さ、KSPI 70-120 結節強さ、KSPI 40-80 伸び、% 25-60 ヤング率、KSPI 150-300 生体内BSR、% 3週 20-50% 4週 10-30% 生体内吸収、ゼロまで 4〜5ケ月未満
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 シヤラビイ・ウオーバ・シヤラビイ アメリカ合衆国ニユージヤージイ州08833 レバノン・アールデイ2・ロングビユーロ ード328エイ (72)発明者 ヒユー・デイ・ニユーマン・ジユニア アメリカ合衆国ニユージヤージイ州07930 チエスター・ラーチドライブ(番地なし)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 約3乃至約30重量パーセントの重合し
    たグリコリドを含有し、残りが重合したp−ジオキサノ
    ンであり、且つ1.6〜2.6dl/gのインヘレント粘
    度;加熱載物台顕微鏡測定によって90〜125℃の溶
    融温度;25〜50%の結晶化度;単一の分子量分布曲
    線;及び溶融状態における単一相を有することを特徴と
    するp−ジオキサノンとグリコリドの結晶性共重合体。
  2. 【請求項2】 90〜97モルパーセントの重合したp
    −ジオキサノンを含有し、残りが重合したグリコリドで
    ある請求項1に記載の結晶性共重合体。
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