JPH08282180A - シャープペンシル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 パイプスライド式シャープペンシルであっ
て、スライダー先端の摩擦抵抗を少なくし、筆感が良く
且つ磨耗を小さくする。 【構成】 軸筒の先方に配設されたチャックの前後動で
芯の把持と解除を行い、且つ繰り出すように成したシャ
ープペンシルに於いて、軸筒の先端に取付けられる口金
の先方中心孔に芯の磨耗と共に後退自在なスライダーが
設けられ、当該スライダーの先端にホルダーを介して貫
通孔を有したボールが転動可能に抱持され、ボールの貫
通孔に遊挿されて芯ガイドパイプが設けられ、該芯ガイ
ドパイプ内に芯が挿通可能となされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は所謂パイプスライド式シ
ャープペンシルの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】図６は従来のパイプスライド式シャープ
ペンシルを示している。先ず、チャック５０はその先端
外周部に締め具５１を遊嵌した後にその後端側から軸筒
５２のチャック挿通孔に挿通され、チャック５０後端の
係止部５６が芯ケース５３の軸部５４の連結孔に係止さ
れている。芯ケース５３と軸筒５２の間にはスプリング
５７が張架され、締め具５１が軸筒５２先端に当接しチ
ャック５０を閉じて芯６７を把持している。軸筒５２の
先方部には口金５８が螺着しており、口金５８には先端
パイプ６６を有したスライダー５９が軸方向に摺動可能
に内装している。スライダー５９先方部には連結孔が設
けられ、先端パイプ６６後部が嵌入している。スライダ
ー５９中央部の軸中心部には芯挿通孔６５が設けられ、
後方部には軸中心の円周上に３つの把持片６１を有し、
該把持片６１には芯径より若干径の小さい芯挿通孔を形
成したゴム製の保持チャック６４が把持され、把持片６
１に突設した係合部６２により保持チャック６４は抜出
不能に固定されている。更に、スライダー５９後方部の
把持片６１と同心円上の把持片６１の間には３つの圧接
片６３が設けられ口金５８の内周面に圧接している。上
記のように構成されたシャープペンシルのスライダー
は、圧接片により適度の摩擦抵抗で口金の内周面に軸方
向摺動可能かつ所望の位置で停止可能である。

【０００３】以上のように構成された従来のパイプスラ
イド式シャープペンシルは、筆記に際し芯の磨耗と共に
先端パイプ６６の先端面が紙面に擦られた状態で後退す
る。先端面は角に適宜アール等を設けて摩擦抵抗を軽減
する等の手段が取られるが使用に伴い磨耗によりエッジ
となり、接触面が大きくなり摩擦抵抗が増加して筆感が
悪くなるだけでなく紙面を破る問題に至る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、濃く（芯が
軟らかい）書けて、少々無理な筆圧を懸けても芯が折れ
ないシャープペンシルとしてパイプスライド式シャープ
ペンシルが優れていることは知られている。又、自動芯
繰り出し式のシャープペンシルも広く知られたものであ
り、スプリングで常時口金の前方に附勢されて筆記で芯
の磨耗に伴い後退するスライダーもよく知られた構造で
ある。しかしながら、前述したように先端面の摩擦で筆
感が悪く、紙面を破く問題が存在する。本発明は従来の
パイプスライド式シャープペンシルに対し、摩擦抵抗を
小さくして滑らかな筆感とすると共に紙面を破く問題を
解消せんとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】軸筒の先方に配設された
チャックの前後動で芯の把持と解除を行い、且つ繰り出
すように成したシャープペンシルに於いて、軸筒の先端
に取付けられる口金の先方中心に芯の磨耗と共に後退自
在なスライダーが設けられ、当該スライダーの先端にホ
ルダーを介して貫通孔を有したボールが転動可能に抱持
され、上記ボールの貫通孔に遊挿されて芯ガイドパイプ
が設けられ、該芯ガイドパイプ内に芯が挿通するように
構成され、上記スライダーは後端に芯を摩擦保持する保
持チャックを有し、先方にボールの後退を規制する受け
部材が設けられ、該受け部材にボールを着座させた状態
でホルダーが外装されてボールが抜出不能で且つ転動自
在に抱持されて、受け部材の中心に芯ガイドパイプが設
けられると共に、上記ボールの貫通孔に芯ガイドパイプ
が遊挿され、且つ、芯ガイドパイプの先端よりボールが
突出した状態に設けられてなる。

【０００６】芯固定チャックをボールで締めつける構造
により筆記に対しては充分な芯の把持力を有するが、芯
の当該チャックからの引出しには僅かな力しか必要とし
ないシャープペンシルに於いて、軸筒の先端に取付けら
れる口金の先方中心孔にチャックから芯を引き出すよう
に成されてスプリングで常時前方に附勢され、且つ、筆
記状態で芯の磨耗と共に後退可能な上記記載の構造を備
えたスライダーが設けられてなる。

【０００７】

【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、
図１乃至図３は本発明の第１の実施例に基づくノック式
シャープペンシルであり、チャック１はその先端外周部
に締め具２を嵌装した後にその後端側から軸筒３のチャ
ック挿通孔に挿通され、チャック１後端（必要により係
止部を形成）が芯ケース５の軸部６に設けた連結孔に固
着されている。

【０００８】芯ケース５と軸筒３の間にはスプリング７
が張架され、締め具２が軸筒３先端に当接しチャック１
を閉じて芯１６を把持している。

【０００９】軸筒３の先方部には口金８が螺着してお
り、口金８の先方中心孔に芯の磨耗と共に後退可能なス
ライダー９が嵌挿されている。尚、スライダー９は通常
口金８の内孔周面に対し適宜摩擦抵抗を有する圧接部等
が設けられる。

【００１０】ところで、前記スライダー９は後端に芯を
摩擦保持する保持チャック１１が固定された軸部１０が
設けられ、その先方にボール１４の後退を規制する受け
部材１２が設けられ、該受け部材１２の全面に適宜ボー
ル受け座１２ａを形成してその受け座に貫通孔１４ａを
有したボール１４を着座させた状態で金属パイプ等で形
成されるホルダー１３が外装されてボール１４が抜出不
能で且つ転動自在に抱持されるよう先端がカシメ部１５
等が形成される。又、上記受け部材の中心に芯１６が挿
通可能な心ガイドパイプ１７が固定されている。又、芯
ガイドパイプ１７の先端よりボール１４の先端面はやや
突出状に設けられる。

【００１１】尚、前記軸部１０を弾性に優れた合成樹脂
と成し、前記保持チャック１１の代わりに芯保持可能な
弾性保持部を一体に設けることも可能である。又、前記
受け部材１２は耐磨耗性に優れ且つ摩擦抵抗の小さい材
質が選択されるが構成上は上記軸部１０と一体に設ける
ことも可能である。又、前記ボール１４はステンレス、
超硬、セラミックス、硬質樹脂等が選択されるが、ボー
ルの転動をよりスムーズとする為ボール１４及びホルダ
ー１３のボール抱持部内面にメッキ、テフロン等の表面
処理を施す。又、上記受け部材１２に適宜潤滑剤を塗布
又は含浸することも考えられる。

【００１２】又、図４及び図５は本発明の第２の実施例
で自動芯繰り出し式のシャープペンシルを示している。
先ず、軸筒２０の後端より適宜突出した芯ケース２８の
後端孔に消しゴム４８を取付けた消しゴム止め具４７が
止着され、芯ケース２８の後端外周にはノックカバー４
６が着脱自在に嵌着されている。又、軸筒２０の後端側
面にはスリット４３が穿設され、スリット４３の所定箇
所に係止段部が設けられている。（図示せず）又、芯ケ
ース２８の後方側面には前端に突起４４ａを有したリブ
状の膨出部４４が設けられ、突起４４ａが上記スリット
４３の係止段部に弾性変形により当接係止されて芯ケー
ス２８が軸筒２０の後方に抜け止めされている。

【００１３】又、芯ケース２８の先端には軸部２９が設
けられ、軸部２９の外周には突起３０が形成されてい
る。又、後述するチャックケース２１の後端側面にはス
リット部２６が形成され、その側面部には係止部２７が
設けられている。（尚、図４に示す二点鎖線部がスリッ
ト部２６、係止部２７及び突起３０を上面から見込んだ
形状を示している）軸部２９をチャックケース２１の後
端孔に嵌入して突起３０と係止部２７が係合する。又、
芯ケース２８はその鍔部２８ｂと軸筒２０の段部２０ａ
との間でコイルスプリング３１により常時は後方に附勢
されている。

【００１４】ところで、前記チャックケース２１の先端
には締め筒２５が固着されている。締め筒２５の前端内
径部はテーパー状を呈しており、そのテーパー面に接触
するボール２３、２３｀を外面凹部に嵌入した芯固定チ
ャック２２が内装され、この芯固定チャック２２は締め
筒２５の後端で形成される段部との間に介装されたコイ
ルスプリング２４により後方へ押圧されている。尚、芯
固定チャック２２は弾性にすぐれ、耐磨耗性に強い合成
樹脂成形品で二つ割り状の筒体を合わせた状態で構成さ
れる。又、芯に筆記圧が働くとボール２３、２３｀が転
動して芯固定チャック２２は楔効果により締まり芯は把
持されるが、芯を前方へ引き出す場合には上記コイルス
プリング２４のばね力を弱く設定しておくことにより数
グラム程度の小さい力により可能となるように構成され
ている。ところで、上記チャックケース２１は樹脂成形
品で形成され締め筒２５は金属加工で形成される。本
来、チャックケースと締め筒は一体で形成されるもので
あるが、加工が複雑な為に金属だとコスト高となる。
又、樹脂製だと耐久性不足となる。締め筒２５を金属と
している理由はボールの転動による耐磨耗性とテーパー
部の剛性を配慮したことによる。尚、耐久性を妥協すれ
ば一体の樹脂成形品でもよい。

【００１５】又、軸筒２０の前端内径部には螺子部が形
成されており、ここに口金３２が螺合している。尚、口
金３２は軸筒２０の前端外径部に圧入する場合もある。
又、口金３２の内部には後述するスライダー３３が嵌装
され、その後方で固定具３７が固着されて、スライダー
３３の後端と固定具３７との間にコイルスプリング３８
が設けられてスライダー３３を常時口金３２の前方に附
勢している。尚、スライダー３３はコイルスプリング３
８に抗して後退可能と成されている。又、コイルスプリ
ング３８のばね力は芯固定チャック２２から芯を引き出
す力よりも大きくて構わないので１０グラム乃至２０グ
ラム程度に設定できる。

【００１６】ところで、前記スライダー３３は後端に芯
を摩擦保持する保持チャック３５が固定された軸部３４
が設けられ、その先方にボール４０の後退を規制する受
け部材３９が設けられ、該受け部材３９の全面に適宜受
け座３９ａを形成してその受け座に貫通孔４０ａを有し
たボール４０を着座させた状態で金属パイプ等で形成さ
れるホルダー３６が外装されてボール４０が抜出不能で
且つ転動自在に抱持されるよう先端にカシメ部４１等が
形成される。又、上記受け部材３９の中心に芯１６を挿
通する芯ガイドパイプ４２が固着されている。尚、芯ガ
イドパイプの先端より上記ボール４０の先端面はやや突
出状に設けられる。

【００１７】尚、前記軸部３４を弾性に優れた合成樹脂
と成し、前記保持チャック３５の代わりに芯保持可能な
弾性保持部を一体に設けることも可能である。又、前記
受け部材は耐磨耗性に優れ且つ摩擦抵抗の小さい材質が
選択されるが構成上は上記軸部３４と一体に設けること
も可能である。又、前記ボール４０はステンレス、超
硬、セラミックス、硬質樹脂等が選択されるが、ボール
の転動をよりスムーズとする為ボール４０及びホルダー
３６のボール抱持部内面にメッキ、テフロン等の表面処
理を施す。

【００１８】

【作用】上記第１の実施例であるパイプスライド式のシ
ャープペンシルは、筆記した際にボール１４が紙面に点
接触して自在に転動するので摩擦抵抗が小さく、且つ磨
耗が小さい。又、芯１６は芯ガイドパイプ１７でガイド
されるので芯の軸心性が保たれ芯折れは消じない。又、
従来のスライダーは芯に外接する先端面で紙面を擦るの
で実際の描線巾に対し太めの描線となったり描線の淵が
汚れた感じとなるが本願実施例によれば芯の外接部より
離れてボールが紙面に接触するので描線巾は変わらず、
又描線の淵の汚れもない。

【００１９】又、第２の実施例である自動芯繰り出し式
のシャープペンシルは、芯１６がスライダー３３の先端
まで挿通している場合、スライダー３３の先端面を紙面
に当てて筆記する。筆記で芯の消耗に伴いスライダー３
３はコイルスプリング３８に抗して後退する。スライダ
ー３３の先端を紙面から離すとスライダー３３はコイル
スプリング３８の附勢力で前進し、保持チャック３５の
摩擦力で芯１６が芯固定チャック２２から引き出され
る。普通に芯を繰り出す場合は、ノックカバー４６の後
端をノックすればよく、ノックカバー４６に連結した芯
ケース２８先端の軸部２９が鍔部２８ｂと軸筒２０の段
部２０ａとの間に介装されたコイルスプリング３１を圧
縮しながらチャックケース２１と一体の締め筒２５を前
進して、（前記突起３０が係止部２７と係合して軸部２
９とチャックケース２１は連動する）その先端を対向す
る固定具３７の後端に衝合する。この状態でチャックケ
ース２１の前進が阻止され、芯ケース２８のみが前進し
て軸部２９の先端が芯固定チャック２２の後端に当接し
て芯固定チャック２２が開放されて芯の繰り出しが行わ
れる。次いでノックカバー４６の後端ノックを解除する
と、突起３０と係止部２７が係合した状態で芯固定チャ
ック２２は開放されたまま芯ケース２８と共にチャック
ケース２１が後退して、チャックケース２１が軸筒２０
の内段２０ｂで後退を阻止されると芯ケース２８即ち軸
部２９のみが後退して元の状態となる。

【００２０】上記のように構成された自動芯繰り出し式
のシャープペンシルは、筆記した際にボール４０が紙面
に点接触して自在に転動するので摩擦抵抗が小さく、且
つ磨耗が小さい。又、芯１６の外周に夫々のボールが略
外接するので芯の軸心性が保たれ芯折れは消じない。
又、従来のスライダーは芯に外接する先端面で紙面を擦
るので実際の描線巾に対し太めの描線となったり描線の
淵が汚れた感じとなるが本願実施例によれば芯の外接部
より離れてボールが紙面に接触するので描線巾は変わら
ず、又描線の淵の汚れもない。

【００２１】

【発明の効果】本発明の構成及び作用は以上の如くであ
り、細くて濃い（軟らかい）芯が少々無理な筆圧を懸け
ても折れることなく、筆記の際にスライダー先端のボー
ルが紙面に接触して転動するので紙面との摩擦抵抗が小
さく筆感がよい。又、磨耗も小さいので長期使用に際し
ても筆感が維持され、紙面を破る等の問題点が解消され
る。又、描線巾が安定し且つ汚れがない等の効果があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例であるパイプスライド式
シャープペンシルを示す要部縦断面図である。

【図２】図１の先端部を拡大した図である。

【図３】図２の先端ボール部位の正面図である。

【図４】本発明の第２の実施例である自動芯繰り出し式
のシャープペンシルを示す要部縦断面図である。

【図５】本発明の第２の実施例である自動芯繰り出し式
のシャープペンシルの全体を示す一部判断面の縦断面図
である。

【図６】従来のパイプスライド式シャープペンシルを示
す要部縦断面図である。

【符号の説明】

１ チャック ２ 締め具 ３ 軸筒 ４ 外套 ５ 芯ケース ６ 軸部 ７ スプリング ８ 口金 ９ スライダー １０ 軸部 １１ 保持チャック １２ 受け部材 １２ａ ボール受け座 １３ ホルダー １４ ボール １４ａ 貫通孔 １５ カシメ部 １６ 芯 １７ 芯ガイドパイプ ２０ 軸筒 ２０ａ 段部 ２０ｂ 内段 ２１ チャックケース ２２ 芯固定チャック ２３ ボール ２３｀ ボール ２４ コイルスプリング ２５ 締め筒 ２６ スリット部 ２７ 係止部 ２８ 芯ケース ２８ａ 鍔部 ２８ｂ 鍔部 ２９ 軸部 ３０ 突起 ３１ コイルスプリング ３２ 口金 ３３ スライダー ３４ 軸部 ３５ 保持チャック ３６ ホルダー ３７ 固定具 ３８ コイルスプリング ３９ 受け部材 ３９ａ ボール受け座 ４０ ボール ４０ａ 貫通孔 ４１ カシメ部 ４２ 芯ガイドパイプ ４３ スリット ４４ 膨出部 ４４ａ 突起 ４５ 溝 ４６ ノックカバー ４７ 消しゴム止め具 ４８ 消しゴム ５０ チャック ５１ 締め具 ５２ 軸筒 ５３ 芯ケース ５４ 軸部 ５５ 芯ガイド ５６ 係止部 ５７ スプリング ５８ 口金 ５９ スライダー ６０ 軸部 ６１ 把持片 ６２ 係合部 ６３ 圧接片 ６４ 保持チャック ６５ 芯挿通孔 ６６ 先端パイプ ６７ 芯

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸筒の先方に配設されたチャックの前後
   動で芯の把持と解除を行い、且つ繰り出すように成した
   シャープペンシルに於いて、軸筒の先端に取付けられる
   口金の先方中心孔に、芯の磨耗と共に後退自在なスライ
   ダーが設けられ、当該スライダーの先端にホルダーを介
   して貫通孔を有したボールが転動可能に抱持され、上記
   ボールの貫通孔に遊挿されて芯ガイドパイプが設けら
   れ、該芯ガイドパイプ内に芯が挿通するように構成され
   たことを特徴とするシャープペンシル。
2. 【請求項２】 スライダーは後端に芯を摩擦保持する保
   持チャックを有し、先方にボールの後退を規制する受け
   部材が設けられ、該受け部材にボールを着座させた状態
   でホルダーが外装され、ボールが抜出不能で且つ転動自
   在に抱持されて、受け部材の中心に芯ガイドパイプが設
   けられると共に、上記ボールの貫通孔に芯ガイドパイプ
   が遊挿され、且つ、芯ガイドパイプの先端よりややボー
   ルが突出した状態に設けられてなる上記請求項１記載の
   シャープペンシル。
3. 【請求項３】 芯固定チャックをボールで締めつける構
   造により筆記に対しては充分な芯の把持力を有するが、
   芯の当該チャックからの引出しには僅かな力しか必要と
   しないシャープペンシルに於いて、軸筒の先端に取付け
   られる口金の先方中心孔にチャックから芯を引き出すよ
   うに成されてスプリングで常時前方に附勢され、且つ、
   筆記状態で芯の磨耗と共に後退可能なスライダーが設け
   られて成る上記請求項１及び２記載の自動芯繰り出し式
   のシャープペンシル。