JPH08282000A - イオンフロー静電記録ヘッド - Google Patents

イオンフロー静電記録ヘッド

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JPH08282000A
JPH08282000A JP11262595A JP11262595A JPH08282000A JP H08282000 A JPH08282000 A JP H08282000A JP 11262595 A JP11262595 A JP 11262595A JP 11262595 A JP11262595 A JP 11262595A JP H08282000 A JPH08282000 A JP H08282000A
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JP
Japan
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layer
electrode
ion flow
recording head
electrostatic recording
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JP11262595A
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Naohito Shiga
直仁 志賀
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 長時間の放電下でも絶縁体層が劣化せず、第
3電極の開口部の開口径を変化させない、高耐久性で高
精細な画像形成が可能なイオンフロー静電記録ヘッドを
提供する。 【構成】 絶縁基板11上に複数の第1電極12を設け、そ
の上に誘電体層13を設ける。そして誘電体層13上に第2
電極14を第1電極12とマトリクスを構成するように設
け、誘電体層13の第2電極14の配置面側に、第2電極14
を埋設するように開口部15aをもつアクリル樹脂からな
る絶縁体層下部層15−1を形成し、該絶縁体層下部層15
−1の表面を覆うようにシリコーン樹脂からなる絶縁体
層表層15−2を設け、下部層15−1と表層15−2とから
なる絶縁体層15の表面に第3電極16を接着し、第2電極
14の開口部14aと絶縁体層15の開口部15aと第3電極16
の開口部16aとを連通してイオン流通過口17を形成し、
イオンフロー静電記録ヘッドを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、静電式の印刷や複写
に利用されるイオンフロー静電記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、例えば静電印刷などにおいて、
高電流密度のイオンを発生させ、これを抽出して選択的
に被帯電部材に付与して、この被帯電部材を画像状に帯
電させる静電記録装置が知られている。
【0003】この静電記録装置に用いられるイオンフロ
ー静電記録ヘッドには、図4の(A),(B)に示すよ
うな構成のものが知られている。図において、1は絶縁
基板で、該絶縁基板1上には同方向に略直線状に延設さ
れ、略平行に並設された複数の第1電極2が設けられて
いる。これらの第1電極2は、誘電体層3の一方の面に
固着されている。また、誘電体層3の他方の面には、第
1電極2の延設方向と異なる方向に延設された複数の第
2電極4が接着剤8で固着されている。そして、複数の
第1電極2・・・と複数の第2電極4・・・とでマトリ
クスを構成している。更に、この第2電極4のマトリク
スと対応する部分には、イオン発生用の開口部4aが形
成されている。また、第2電極4の第1電極2と反対側
には、絶縁体層5を介して第3電極6が配設されてい
る。これらの絶縁体層5及び第3電極6には、第2電極
4の開口部4aと対応する開口部5a,6aが形成され
ており、これらの開口部5a,6aによってイオン流通
過口7が構成されている。
【0004】このように構成されたイオンフロー静電記
録ヘッドにおいては、第1電極2と第2電極4との間の
マトリクスの、選択された部分に対応する第1電極2と
第2電極4との間に、交互に高電圧を印加することによ
り、その部分に対向する第2電極4の開口部4a近傍
に、正・負のイオンが発生する。また、第2電極4と第
3電極6との間にはバイアス電圧が印加され、その極性
によって決まるイオンのみが発生したイオンから選択的
に抽出され、イオン流通過口7を通過し、第3電極6と
対向して配置される被帯電部材を部分的に帯電させるこ
とができる。したがって、マトリクス構造の第1及び第
2の電極を選択的に駆動することにより、ドットによる
静電記録を行うことができる。
【0005】このような構成のイオンフロー静電記録ヘ
ッドで使用される誘電体層3を形成する誘電物質は、イ
オン発生のために印加される高電圧でも絶縁破壊しない
ことが要求される。また、この誘電体層3はイオンを効
率良く発生させ、絶縁破壊にも耐えられる程度の厚さを
必要とするため、高誘電率を有するものが適している。
例えば、特開平2−153760号公報開示のものでは
誘電体層3の材料として、シリコーン変性ポリエステル
アルキド樹脂中に酸化チタン粉を混在させたものが用い
られている。また、同公報開示のものでは第2電極4を
形成する材料としては、ステンレス鋼のシートが用いら
れると共に、その第2電極4を誘電体層3に固着する接
着剤8には、シリコーン系の感圧接着剤が用いられてい
る。更に、絶縁体層5の材料としては、ドライフィルム
ソルダマスクが用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、イオンフロ
ー静電記録ヘッドの駆動時には、第1電極2と第2電極
4との間の高電圧下での放電により、この周辺の部材、
特に第2電極4と第3電極6の間に存在する絶縁体層5
は、活性化した多量のイオンに曝される。特開平2−1
53760号公報に開示されているように、この絶縁体
層5としてドライフィルムソルダマスクを用いた場合に
は、ソルダマスクの素材がアクリル樹脂である為に、比
較的短時間で絶縁体層5を構成する樹脂が活性イオンに
侵されて、高分子鎖がバラバラに切断され、絶縁体層5
の開口部5a表面から次第に粉を吹く現象が見られる。
この粉は、経時的に第3電極6の開口部6aの周辺に付
着し、開口部6aを徐々に塞いでいく。また、第2電極
4が配置されておらず、第1電極2と第3電極6とが誘
電体層3と絶縁体層5を挟んで相対している非イオン発
生部では、誘電体層3と絶縁体層5の界面や、第3電極
6の端面近傍の絶縁体層5の表面においても放電が起き
やすくなっており、絶縁体層5として特開平2−153
760号公報に開示されているようなドライフィルムソ
ルダマスクを用いている場合には、素材のアクリル樹脂
が第1電極2と第3電極6の間に印加される高電圧に耐
えられず、徐々に放電が発生して侵食され、ついには絶
縁破壊に到る現象が見られる。
【0007】したがって、第3電極6の開口部6aの開
口径が経時的に縮小し、発生したイオンが制御されにく
くなると同時に、イオン発生部以外の場所で放電が発生
することによって、経時的には第2電極4の各開口部4
a内での電気特性が変化し、均一にイオンを発生できな
い部分が存在したり、漏電及び短絡現象が起きることに
より、静電記録される画像の画質も劣化し、高精細な画
像が得られなくなるという問題点がある。
【0008】本発明は、従来のイオンフロー静電記録ヘ
ッドにおける上記問題点を解消するためになされたもの
で、請求項1記載の発明は、厚膜で絶縁体層を成膜で
き、且つ長時間の放電下でも絶縁体層が劣化せず、それ
により第3電極の開口部の開口径を変化させず、しかも
イオン発生部以外の場所での放電による漏電や短絡現象
を発生させることなく、高耐久性で高精細な画像形成が
可能なイオンフロー静電記録ヘッドを提供することを目
的とする。
【0009】また請求項2〜6記載の各発明は、最もダ
メージの大きい表層を耐コロナ放電性の高い樹脂で形成
した絶縁体層を備えたイオンフロー静電記録ヘッドを提
供することを目的とする。また請求項7記載の発明は、
絶縁体層表層をそのパターニングをフォトエッチング工
程を用いて行える材料を用いて構成したイオンフロー静
電記録ヘッドを提供することを目的とする。また請求項
8,9記載の各発明は、絶縁体層表層を、硬化時に収縮
して変形を起こしたり、他の樹脂材料にダメージを与え
たりすることがないような、低温度域で硬化・成膜でき
る材料を用いて構成したイオンフロー静電記録ヘッドを
提供することを目的とする。また請求項10記載の発明
は、誘電体層との界面に隣接した最下部層を、耐コロナ
放電性の高い樹脂を用いて構成した絶縁体層を備えたイ
オンフロー静電記録ヘッドを提供することを目的とす
る。また請求項11記載の発明は、誘電体層との界面に隣
接した最下部層を、フォトエッチングでのパターニング
が可能で、耐コロナ放電性の高い樹脂を用いて構成した
絶縁体層を備えたイオンフロー静電記録ヘッドを提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び作用】上記問題点を解
決するため、請求項1記載の発明は、絶縁基板上に一方
向に且つ平行に延設された複数の第1電極と、該第1電
極と交差する方向に延設され、前記第1電極と共にマト
リクスを形成し、該マトリクスと対応する部分に開口部
が形成されている第2電極と、該第2電極に対し前記第
1電極とは反対側に配置され、前記マトリクスと対応す
る部分に開口部が形成されている第3電極と、前記第1
電極と第2電極との間に設けられた誘電体層と、前記第
2電極と第3電極との間に設けられ、前記マトリクスに
対応する部分に開口部が形成されている絶縁体層とを備
えたイオンフロー静電記録ヘッドにおいて、前記絶縁体
層を、厚さ30μm以上50μm以下の樹脂材料で構成し、
且つ下部層とは特性の異なる耐コロナ放電性の樹脂材料
からなる厚さ0.5 μm以上の表層を有する2層以上の積
層構造で構成するものである。
【0011】このように絶縁体層を構成することによ
り、厚膜で構成できると共に、耐コロナ放電性の樹脂材
料からなる表層を備えているので、長時間の放電下でも
絶縁体層が劣化せず、したがって第3電極の開口部の開
口径を変化させず、またイオン発生部以外の部分での放
電や短絡現象を発生させることがなく、高耐久性で高精
細な画像形成が可能なイオンフロー静電記録ヘッドを実
現することができる。
【0012】また請求項2〜6記載の各発明は、絶縁体
層の表層を、それぞれポリイミド樹脂,シリコーン樹
脂,ポリイミドシリコーン樹脂,カルド型アクリル樹
脂,、ポリフォスファゼン樹脂で形成するものである。
これにより、最もダメージの大きい絶縁体層の表面に、
容易に耐コロナ放電性をもたせることが可能となる。
【0013】また請求項7記載の発明は、絶縁体層の表
層を、紫外線硬化性を有するネガ型の樹脂で形成するも
のである。これにより、フォトエッチング工程で容易に
形成できる耐コロナ放電性の表層を有する絶縁体層を備
えたイオンフロー静電記録ヘッドを実現することができ
る。
【0014】また請求項8及び9記載の発明は、絶縁体
層の表層を、溶剤可溶型ポリイミド樹脂又は200 ℃以下
で硬化可能な低温硬化型ポリイミド樹脂で形成するもの
である。これにより、絶縁体層の表層は低温度域で硬化
・成膜できるので、表層形成時に収縮して変形を起こし
たり、他の樹脂材料にダメージを与えたりすることのな
い、耐コロナ放電性の表層を有する絶縁体層を容易に実
現することができる。
【0015】また請求項10記載の発明は、絶縁体層の最
下部層を、カルド型アクリル樹脂で形成するものであ
る。これにより、耐コロナ放電性をもつ最下部層を有す
る絶縁体層を容易に実現することができる。また請求項
11記載の発明は、絶縁体層の最下部層を、感光性ポリイ
ミド樹脂で形成するものである。これにより、耐コロナ
放電性をもつと共にフォトエッチング工程で容易に形成
できる最下部層を有する絶縁体層を実現することができ
る。
【0016】
【実施例】次に、実施例について説明する。図1は本発
明に係るイオンフロー静電記録ヘッドの第1実施例を示
す概略断面図である。図1において、11はイオンフロー
静電記録ヘッドの絶縁基板である。この絶縁基板11上に
は、イオン発生用の誘導電極である複数の第1電極12・
・・が設けられている。これらの複数の第1電極12・・
・は、一方向に向けて略平行に並設されている。そして
絶縁基板11及び第1電極12・・・上には誘電体層13が設
けられている。この誘電体層13の表面、すなわち誘電体
層13における絶縁基板11とは反対側の面には、放電電極
である複数の第2電極14・・・が第1電極12・・・と交
差する方向に並設されており、第1電極12・・・と第2
電極14・・・とによってマトリクスを構成している。そ
して、第2電極14・・・には、このマトリクスと対応す
る部分に、それぞれイオン発生用の開口部14a・・・が
形成されている。
【0017】また誘電体層13における第2電極14・・・
の並設面側には、第2電極14・・・を埋設する状態で絶
縁体層15が設けられている。この絶縁体層15は、第2電
極14・・・の各開口部14aと連通する開口部15aを設け
た下部層15−1と、該下部層15−1の表面を覆うように
形成された表層15−2とで構成されている。更に、絶縁
体層15の表面には帯状の第3電極16が接着されている。
この第3電極16には、第1電極12・・・と第2電極14・
・・とのマトリクスと対応する部分に、開口部16a・・
・が形成されている。そして、第3電極16の開口部16a
・・・は、絶縁体層15の開口部15a・・・を介して第2
電極14・・・の開口部14a・・・と連通されていて、イ
オンフロー静電記録ヘッドのイオン流通過口17・・・を
構成している。
【0018】次に、このように構成されたイオンフロー
静電記録ヘッドの動作について説明する。イオンフロー
静電記録ヘッドの動作時には、印字信号に基づいて第1
電極12・・・と第2電極14・・・との間のマトリクスが
適宜選択され、選択されたマトリクス部分に対応する第
1電極12・・・と第2電極14・・・との間に、交流電圧
が印加される。これにより、選択されたマトリクス部分
に対応する第2電極14・・・の開口部14a・・・内の近
傍部分に、正・負イオンが発生する。このとき、第2電
極14・・・と第3電極16との間にはバイアス電圧が印加
され、その極性によって決まるイオンのみが、第2電極
14・・・の開口部14a・・・内の近傍部分に発生したイ
オンから抽出される。そして、抽出されたイオンは絶縁
体層15の開口部15a・・・及び第3電極16の開口部16a
・・・を通過し、イオン流通過口17に対向して設けられ
ている図示しない誘電体ドラムを局部的に帯電させる。
これにより、第1電極12・・・及び第2電極14・・・の
選択的駆動によって、誘電体ドラム上にドット潜像を形
成することができる。
【0019】次に、上記イオンフロー静電記録ヘッドの
製造方法の第1実施例について、図2の(A)〜(F)
に示す製造工程図を参照しながら具体的に説明する。本
実施例では、絶縁基板11として、厚さ0.6 mmで表面を研
磨処理した石英基板を用いる。そして、この絶縁基板11
の板面には、その表面を洗浄した後、スパッタリングに
よって厚さ1μmのチタン薄膜を全面に成膜し、続い
て、絶縁基板11上のチタン薄膜層をフォトエッチング処
理することにより、図2の(A)に示すように、絶縁基
板11上に第1電極12を形成する。
【0020】次に、図2の(B)に示すように、絶縁基
板11における第1電極12のパターン形成面側にプラズマ
CVD法により窒化珪素を4μm厚に成膜し、誘電体層
13を形成する。更に成膜した誘電体層13上に、スパッタ
リングによりモリブデン膜を厚さ1μm成膜し、図2の
(C)に示すように、フォトエッチングで第2電極14を
積層形成する。この第2電極14には、複数の第2電極14
の開口部14a・・・のパターンが形成されている。
【0021】続いて、誘電体層13と第2電極14の表面
に、厚さ58μmの感光性アクリル樹脂からなるドライフ
ィルムソルダーレジストフィルム「Comformask2523」
(商品名、エレクトロマテリアルズ社製)を真空ラミネ
ートし、フォトエッチングにより絶縁体層の下層部のパ
ターンにパターニングしポストキュアを行って、図2の
(D)に示すように、絶縁体層下部層15−1を形成す
る。更に、この上に、図2の(E)に示すように、紫外
線硬化型湿気硬化併用型シリコーン樹脂「X−31−105
6」(商品名、信越化学工業製)を50wt%溶解させたト
ルエン溶液を均一にスプレーし、溶剤乾燥後、フォトエ
ッチングにより絶縁体層の表層のパターンにパターニン
グしポストキュアを行って、厚さ3μmの絶縁体層表層
15−2を形成し、絶縁体層下部層15−1と表層15−2か
らなる合計厚さ約60μmの絶縁体層15及び開口部15aを
形成する。
【0022】絶縁体層15は、イオンフロー静電記録ヘッ
ドのイオン発生及び制御の電気的仕様から、その厚さは
30μm以上150 μm以下が適する。その厚さが30μm未
満であると、発生したイオンが漏れ易くなって制御でき
なくなり、一方150 μmを超えると、発生したイオンが
第3電極16の開口部16aから外に出難くなる。また、絶
縁体層表層15−2は第3電極16と第1電極12との間や、
第3電極16と第2電極14との間で起きる放電により最も
ダメージを受けやすい。このため、絶縁体層表層15−2
は、その放電に十分耐えられる厚さとして0.5 μm以上
が必要とされる。
【0023】次に、第2電極14・・・の開口部14a・・
・と対応した開口部16a・・・を予め形成した第3電極
16を、絶縁体層15の開口部15aと第3電極16の開口部16
aとを位置合わせさせた状態で、絶縁体層15上に重ね合
わせて、図2の(F)に示したイオンフロー静電記録ヘ
ッドが完成する。なお、第3電極16はニッケル箔を電鋳
により作製し、絶縁体層15と第3電極16とは、粘着剤や
両面テープで貼り合わせる他、第3電極16上から片面テ
ープで絶縁体層15に貼り付けてもよい。
【0024】上記のように構成されたイオンフロー静電
記録ヘッドによれば、次のような効果が得られる。すな
わち、イオンフロー静電記録ヘッドの絶縁体層15を、誘
電体層13及び第2電極14の上に形成された厚さ58μmの
ドライフィルムソルダーレジストフィルムからなる絶縁
体層下部層15−1と、その表面に成膜した紫外線硬化型
湿気硬化併用型シリコーン樹脂からなる厚さ3μmの絶
縁体層表層15−2とで構成しているので、液状の紫外線
硬化型湿気硬化併用型シリコーン樹脂のみでは形成が困
難な、30μm以上150 μm以下の厚膜の絶縁体層15を反
り等の変形を伴わずに形成でき、また、厚膜層とした絶
縁体層の残留応力を十分に緩和できる程柔軟性が高く、
且つ耐コロナ放電性も高いので、開口部15aが活性化さ
れたイオンにより劣化し難く、また非イオン発生部でも
放電により劣化し難く、初期の電気特性を長時間維持で
きる。その結果、初期の高画質を長時間維持できる高耐
久性のイオンフロー静電記録ヘッドを実現することがで
きる。
【0025】なお、上記実施例では、絶縁体層表層15−
2に紫外線硬化型湿気硬化併用型シリコーン樹脂を用い
たものを示したが、シリコーン樹脂よりも耐コロナ放電
性の高い、ポリイミドに構造や特性がより近いネガ型感
光性ポリイミドシリコーン樹脂,例えば、「KIS−21
01」(商品名、信越化学工業製)を用いても同等の効果
が得られ、更に、膜質としては堅めではあるが耐コロナ
放電性は非常に高いネガ型感光性ポリイミド樹脂,例え
ば、「TBb−1150N(s)」(商品名、日東電工製)
を用いると、更に耐久性が向上できる。
【0026】また、上記シリコーン樹脂,ポリイミドシ
リコーン樹脂あるいはポリイミド樹脂よりは若干耐久性
は劣るが、ネガ型感光性ポリフォスファゼン樹脂,例え
ば、「PPZ」(商品名、出光石油化学製)は、燐を骨
格に持つ無機高分子に近い性質を有する樹脂で、そのた
め、耐熱性や耐コロナ放電性も高く、更に、ポリフォス
ファゼン樹脂とアクリル樹脂との中間的な特性を有する
ネガ型感光性カルド型アクリル樹脂,例えば、「V−25
50P」(商品名、新日本製鉄製)も従来のアクリル樹脂
系に比べると非常に耐コロナ放電性が向上した特性を有
しており、いずれも絶縁体層表層15−2の材料として用
いることが有効である。
【0027】次に、本発明に係るイオンフロー静電記録
ヘッドの第2実施例について説明する。この実施例は、
第1実施例において、絶縁体層表層15−2に紫外線硬化
型湿気硬化併用型シリコーン樹脂を用いた代わりに、溶
剤可溶型ポリイミド樹脂を用いる以外は、第1実施例と
同様な構成とするものである。本実施例で用いる溶剤可
溶型ポリイミド樹脂としては、例えば「CRI−100 」
(商品名、新日本製鉄製)を用い、N−メチル−2−ピ
ロリドン中に12wt%溶解させたものを、第1実施例と同
様の工程で形成した絶縁体層下部層上にスプレーで塗布
し、溶剤を揮発除去して厚さ4μmの絶縁体層表層を形
成する。以下第1実施例と同様な工程で、イオンフロー
静電記録ヘッドを作成する。
【0028】本実施例によれば、第1実施例と同様に、
液状の樹脂のみでは形成が困難な30μm以上150 μm以
下の厚膜の絶縁体層を、反り等の変形を伴わずに形成で
き、且つ耐コロナ放電性も高いので、開口部15aが活性
化されたイオンにより劣化し難く、また非イオン発生部
でも放電により劣化し難く、初期の電気特性を長時間維
持できる。したがって、初期の高画質を長時間維持でき
る高耐久性のイオンフロー静電記録ヘッドを実現するこ
とができる。
【0029】また、この実施例においては、常温付近の
かなり低温下で絶縁体層表層を成膜できるため、短時間
での成膜が実現できる上、絶縁体層下部層に対する熱的
ダメージが全くなく、高温硬化しなくてはならない通常
のポリイミド樹脂を用いた場合では、高温硬化したもの
を常温付近まで冷却することによって生じる、絶縁体層
表層及び絶縁体層全体の歪みや変形といった不具合が回
避できる。更に、絶縁体層の周辺の他の部材の構成材料
の制約も少なくなり、より安価な材料や製造工程を採用
することができる。
【0030】なお、本実施例では、溶剤可溶型ポリイミ
ド樹脂のN−メチル−2−ピロリドン溶液を塗布し乾燥
することにより、絶縁体層表層を形成するものを示した
が、その代わりに、低温硬化型ポリイミド樹脂,例え
ば、「CT−4112」(商品名、東芝ケミカル製)を用い
て絶縁体層表層を成膜してもよい。この商品は、不揮発
分14wt%のN,N−ジメチルアセトアミド溶液になって
おり、これをスプレー塗布後、100 ℃30分,150 ℃30
分,180 ℃2時間というステップ硬化により、最高温度
180 ℃という低温域で硬化することができる。これによ
り、溶剤可溶型ポリイミド樹脂を用いた場合と同様の効
果が得られる。
【0031】次に、本発明に係るイオンフロー静電記録
ヘッドの第3実施例について説明する。この実施例は、
第1実施例で、絶縁体層下部層15−1にドライフィルム
ソルダーレジストフィルムを用いた代わりに、図3に示
すように、カルド型アクリル樹脂で最下部層15−3を形
成し、その上に第1実施例と同様のドライフィルムソル
ダーレジストフィルムをラミネートして形成した下部層
15−1を設けた以外の構成は、第1実施例と同様な構成
とするものである。本実施例において最下部層15−3に
用いるカルド型アクリル樹脂は、例えばネガ型感光性を
有する「V−2550P」(商品名、新日本製鉄製)であ
り、アセトン中に50wt%溶解させたものを誘電体層13及
び第2電極14上にスプレーで塗布し、溶剤を揮発除去し
てフォトエッチング処理を行い、絶縁体層下部層15−1
のパターンを形成して、厚さ5μmの絶縁体層最下部層
15−3を形成する。この最下部層15−3の上に、第1実
施例と同様にドライフィルムソルダーレジストフィルム
からなる下部層15−1と紫外線硬化型湿気硬化併用型シ
リコーン樹脂からなる表層15−2を設けて、フォトエッ
チングにより合計厚さ約65μmの絶縁体層15を構成す
る。
【0032】本実施例によれば、第1実施例と同様に、
液状の樹脂のみでは形成が困難な30μm以上150 μm以
下の厚膜の絶縁体層を、反り等の変形を伴わずに形成で
き、且つ耐コロナ放電性も高いので、開口部15aが活性
化されたイオンにより劣化し難く、また非イオン発生部
でも放電により劣化し難く、初期の電気特性を長時間維
持できる。したがって、初期の高画質を長時間維持でき
る高耐久性のイオンフロー静電記録ヘッドを実現するこ
とができる。
【0033】また、この実施例においても、常温付近の
かなり低温下で絶縁体層表層15−2を成膜できるため、
短時間での成膜が実現できる上、絶縁体層下部層15−1
に対する熱的ダメージが全くなく、高温硬化しなくては
ならない通常のポリイミド樹脂を用いた場合では、高温
硬化したものを常温付近まで冷却することによって生じ
る、絶縁体層表層15−2及び絶縁体層全体の歪みや変形
といった不具合が回避でき、絶縁体層15の周辺の他の部
材の構成材料の制約も少なくなり、より安価な材料や製
造工程を採用することができる。
【0034】更に、本実施例においては、絶縁体層の最
下部層15−3をも耐コロナ放電性の材料で構成したこと
によって、誘電体層13と絶縁体層15の界面で発生し易い
放電と、それによる絶縁体層15の劣化進行を防止するこ
とができる。なお、最下部層15−3の形成材料として
は、本実施例で用いたカルド型アクリル樹脂以外にも、
感光性ポリイミド樹脂,例えば、「PIMEL M−90
0 」(商品名、旭化成工業製)、「PSI−P−8011−
002 」(商品名、チッソ製)、「フォトニースUR5100
FX」(商品名、東レ製)、「PL−2215C56」(商品
名、日立化成工業製)、「サーミッドIP−6010」(商
品名、カネボウ・エヌエスシー製)等も用いることがで
きる。この場合、ポリイミド樹脂の接着性向上のため、
誘電体層13の表面をカップリング処理することが好まし
い。
【0035】
【発明の効果】以上実施例に基づいて説明したように、
請求項1記載の発明によれば、厚膜の絶縁体層を形成で
き、長時間の放電下でも絶縁体層が劣化せず、したがっ
て第3電極の開口部の開口径を変化させず、且つイオン
発生部以外の場所での放電による漏電や短絡現象を発生
させることなく、高耐久性で高精細な画像形成が可能な
イオンフロー静電記録ヘッドを実現することができる。
請求項2〜6記載の各発明によれば、最もダメージの大
きい表層に耐コロナ放電性の高い樹脂を用いて形成した
絶縁体層を有するイオンフロー静電記録ヘッドを実現す
ることができる。請求項7記載の発明によれば、フォト
エッチング工程で容易に形成できる耐コロナ放電性の表
層を有する絶縁体層を備えたイオンフロー静電記録ヘッ
ドを実現することができる。請求項8,9記載の発明に
よれば、高温硬化時に収縮して変形を起こしたり、他の
樹脂材料にダメージを与えたりすることがないような、
低温度域で硬化・成膜できる耐コロナ放電性の表層を有
する絶縁体層を備えたイオンフロー静電記録ヘッドを提
供することができる。請求項10記載の発明によれば、誘
電体層との界面隣接部に耐コロナ放電性をもつ最下部層
を有する絶縁体層を備えたイオンフロー静電記録ヘッド
を提供することができる。請求項11記載の発明によれ
ば、誘電体層との界面隣接部に耐コロナ放電性をもつと
共にフォトエッチング工程で容易に形成できる最下部層
を有する絶縁体層を備えたイオンフロー静電記録ヘッド
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るイオンフロー静電記録ヘッドの第
1実施例を示す断面図である。
【図2】図1に示した第1実施例の製造方法を説明する
ための製造工程を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す断面図である。
【図4】従来のイオンフロー静電記録ヘッドの構成例を
示す断面図及び破断斜視図である。
【符号の説明】
11 絶縁基板 12 第1電極 13 誘電体層 14 第2電極 14a 開口部 15 絶縁体層 15−1 絶縁体層下部層 15−2 絶縁体層表層 15−3 絶縁体層最下部層 15a 開口部 16 第3電極 16a 開口部 17 イオン流通過口

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に一方向に且つ平行に延設さ
    れた複数の第1電極と、該第1電極と交差する方向に延
    設され、前記第1電極と共にマトリクスを形成し、該マ
    トリクスと対応する部分に開口部が形成されている第2
    電極と、該第2電極に対し前記第1電極とは反対側に配
    置され、前記マトリクスと対応する部分に開口部が形成
    されている第3電極と、前記第1電極と第2電極との間
    に設けられた誘電体層と、前記第2電極と第3電極との
    間に設けられ、前記マトリクスに対応する部分に開口部
    が形成されている絶縁体層とを備えたイオンフロー静電
    記録ヘッドにおいて、前記絶縁体層は、厚さ30μm以上
    50μm以下の樹脂材料で構成され、且つ下部層とは特性
    の異なる耐コロナ放電性の樹脂材料からなる厚さ0.5 μ
    m以上の表層を有する2層以上の積層構造を備えている
    ことを特徴とするイオンフロー静電記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記絶縁体層の表層は、ポリイミド樹脂
    で形成されていることを特徴とする請求項1記載のイオ
    ンフロー静電記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記絶縁体層の表層は、シリコーン樹脂
    で形成されていることを特徴とする請求項1記載のイオ
    ンフロー静電記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記絶縁体層の表層は、ポリイミドシリ
    コーン樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1
    記載のイオンフロー静電記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記絶縁体層の表層は、カルド型アクリ
    ル樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1記載
    のイオンフロー静電記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記絶縁体層の表層は、ポリフォスファ
    ゼン樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1記
    載のイオンフロー静電記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記絶縁体層の表層は、紫外線硬化性を
    有するネガ型の樹脂で形成されていることを特徴とする
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のイオンフロー静電
    記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記絶縁体層の表層は、溶剤可溶型ポリ
    イミド樹脂で形成されていることを特徴とする請求項2
    記載のイオンフロー静電記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記絶縁体層の表層は、200 ℃以下で硬
    化可能な低温硬化型ポリイミド樹脂で形成されているこ
    とを特徴とする請求項2記載のイオンフロー静電記録ヘ
    ッド。
  10. 【請求項10】 前記絶縁体層の最下部層が、カルド型ア
    クリル樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1
    〜4,6〜9のいずれか1項に記載のイオンフロー静電
    記録ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記絶縁体層の最下部層が、感光性ポリ
    イミド樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1
    又は3〜9のいずれか1項に記載のイオンフロー静電記
    録ヘッド。
JP11262595A 1995-04-14 1995-04-14 イオンフロー静電記録ヘッド Withdrawn JPH08282000A (ja)

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