JPH082817Y2 - 情報の高速検索装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は、情報の高速検索装置に関し、回転ヘッド式
ディジタル・オーディオ・テープレコーダ等の情報再生
装置における情報の高速検索装置に関するものである。

背景技術 ディジタル・オーディオ機器としては、いわゆるコン
パクト・ディスクと称される小径のディスクを再生する
再生専用のディスクプレーヤが知られているが、近時、
録音・再生の両機能を有するディジタル・オーディオ・
テープレコーダ（以下、DATと略称する）が商品化され
つつある。

このDATの１方式である回転ヘッド式DATにおいて、磁
気テープにはPCMオーディオデータとともにサブコード
データが記録される。このサブコードデータには、例え
ば、各プログラム情報の冒頭部に記録される頭出しのた
めのスタートID（S-ID）、各プログラム情報に対応する
固有のプログラム番号（識別番号）等の識別情報が含ま
れている。従って、磁気テープを高速（例えば、通常の
記録・再生時の200倍の速度）で走行させつつ記録情報
を読み取り、その読取信号である再生RF信号中から得ら
れる識別情報に基づいて所望のプログラム情報を迅速に
サーチ（検索）することが可能である。

この高速サーチの１方式としては、例えば、再生RF信
号中から検出される現在位置のプログラム番号と指定さ
れたサーチ先のプログラム番号とを比較し、両プログラ
ム番号の一致を検出することによって所望のプログラム
情報をサーチする方式が一般的に考えられる。かかるサ
ーチ方式において、サブコードデータであるプログラム
番号情報を検出するためには再生RF信号からクロックを
分離・抽出する必要がある。そこで、高速サーチ時にお
いても回転磁気ヘッドと磁気テープとの相対速度が、通
常の記録・再生時における場合と略同一となるように、
再生RF信号から分離・抽出したクロックを所定の基準信
号と位相比較し、その誤差信号に応じて回転ドラム（回
転磁気ヘッド）の回転を制御する、いわゆるドラムサー
ボがかけられる。

ところで、回転ヘッド式DATでは、第２図に示すよう
に、磁気テープに記録されている複数のプログラム情報
間（いわゆる曲間）にRF信号の未記録部が存在すること
がある。このように曲間にRF信号の未記録部が存在する
磁気テープを高速サーチする場合、曲間では再生RF信号
が得られないのでドラムサーボに必要なクロックを抽出
できず、ドラムサーボのロックが外れてしまう場合があ
る。この状態で再度RF信号の記録部（次のプログラム情
報）に突入してもドラムサーボが再度ロックするまでに
は時間を要するので、曲間の直後に記録されているサブ
コードデータを読み損うことがある。その結果、所望の
プログラム情報を正確にサーチできないことになる。

考案の概要 本考案は、上述した点に鑑みなされたもので、RF信号
の未記録部が存在する磁気テープに対してもプログラム
番号に基づくサーチ動作を迅速かつ確実に行ない得る情
報の高速検索装置を提供することを目的とする。

本考案による情報の高速検索装置は、複数のプログラ
ム情報とともに、各プログラム情報の冒頭部にこのプロ
グラム情報に固有の識別番号情報が記録された磁気テー
プの再生装置における情報の高速検索装置であって、前
記磁気テープからの読取信号からRF（高周波）信号の未
記録部から記録部への推移時点を検出する手段と、前記
読取信号中から前記識別番号情報を検出する識別番号検
出手段と、前記磁気テープの走行方向及び走行速度に応
じてカウント動作を行なうアップダウンカウンタと、前
記カウンタのカウント値と前記識別番号検出手段で検出
された前記識別番号情報とを対応させて記憶する記憶手
段と、現在識別番号情報と目標識別番号情報とが一致す
るまで前記磁気テープを高速走行せしめることにより高
速検索を実施する高速サーチ手段とを有し、前記高速サ
ーチ手段は、前記推移時点が検出された直後においては
前記カウント値に対応した識別番号情報を前記記憶手段
から読出してこれを前記現在識別番号情報とする一方、
前記推移時点が検出されない場合には前記識別番号検出
手段にて検出された前記識別番号情報を前記現在識別番
号情報とすることを特徴としている。

実施例 以下、本考案の実施例を図に基づいて詳細に説明す
る。

第１図は、本考案による情報の高速検索装置が適用さ
れる回転ヘッド式DATの一実施例を示すブロック図であ
る。図において、１はデッキ機構部であり、当該機構部
には磁気テープ２を収容するカセット３が装着されてい
る。磁気テープ２はカセット３から引き出され、一対の
回転磁気ヘッド4a,4bを有する回転ドラム５に90度巻回
されている。そして、磁気テープ２は通常の記録・再生
時の速度で走行するとき又はその10数倍の中速で走行す
るときはキャプスタン６及びピンチローラ７により駆走
され、例えば200倍の高速で走行するときは供給リール
モータ８又は巻取リールモータ９により駆走される。磁
気テープ２の始端及び終端は検出回路10,11によって検
出される。

一対の回転磁気ヘッド4a,4bによって磁気テープ２か
ら読み取られた信号は、回転トランス（図示せず）を介
して外部へ取り出されて再生アンプ12に供給される。再
生アンプ12で増幅された読取（再生）信号は信号検出回
路13でディジタル信号としてデータが取り出されたのち
信号処理回路14に供給されるとともに、直接RF検出回路
16にも供給される。信号処理回路14では、読取データの
復号化、誤り訂正、デインターリーブ等の処理が行なわ
れる。これらの処理が行なわれた読取データはD/A変換
器15でアナログ化されて元のオーディオ信号として出力
される。

RF検出回路16は例えばエンベローブ検波回路構成とな
っており、再生信号中にRF信号が含まれているか否かを
検出し、RF信号が含まれていないことを検出したとき検
出出力を発生する。この検出出力は後述する制御回路18
に供給される。プログラム番号検出回路17は信号検出回
路13の出力データ中からプログラム番号（識別番号）情
報を検出する。この検出されたプログラム番号情報は制
御回路18に取り込まれる。カウンタ19は磁気テープ２の
装着時に初期値化（クリア）されかつ制御回路18から供
給されるテープ走行速度に応じた周期のクロックをアッ
プ又はダウンカウントするアップダウンカウンタであ
り、そのアップ／ダウン制御は制御回路18によりテープ
走行方向に対応して行なわれ、磁気テープ２の順方向す
なわちFWD（Forward）方向走行時にはアップカウント
を、逆方向すなわちREV（Reverse）方向走行時にはダウ
ンカウントを行なう。このカウント値は磁気テープ２上
の絶対番地を示しており、テープ始端又は終端からの走
行位置に対応している。記憶手段20にはカウンタ19のカ
ウント値とプログラム番号検出回路17で検出されたプロ
グラム番号が記憶され、その記憶制御は制御回路18によ
って行なわれる。

制御回路18はマイクロコンピュータ等によって構成さ
れ、操作部21から例えばPLAY（再生）、FF（早送り）、
REW（巻戻し）、サーチ等のテープの走行開始指令が発
せられると、この指令に応答してデッキ機構部１を駆動
制御し、テープ走行時においてRF検出回路16の検出時
点、すなわちRF信号の立上がりを検出した時点のカウン
タ19のカウント値とその検出位置近傍においてプログラ
ム番号検出回路17で検出されたプログラム番号とを対応
させて記憶手段20に記憶させるべく制御するとともに、
磁気テープ２の高速走行時においてRF信号の未記録部を
検出したときはカウンタ19のカウント値に基づいてこの
カウント値に対応するプログラム番号を記憶手段20から
読み出すべく制御する。

次に、制御回路18のプロセッサによって実行される記
憶手段20に対する記憶制御の処理手順について第３図の
フローチャートに沿って説明する。

磁気テープ２を装着した状態において、プロセッサ
は、操作部21から例えばFF（又はREW）の指令が発せら
れると（ステップS1）、デッキ機構部１に対してテープ
走行の命令を送り（ステップS2）、同時にカウンタ19に
対してテープ走行の速度に応じた周期のクロックを送出
するとともに走行方向に応じてアップ／ダウンカウント
の開始命令を送る（ステップS3）。これにより、カウン
タ19は磁気テープ２がテープ終端方向に走行するときは
アップカウント、テープ始端方向に走行するときはダウ
ンカウントを行なう。このテープ走行状態において、RF
検出回路16の出力をセンスすることによりRF信号の立上
がりを検出すると（ステップS4）、そのときのカウンタ
19のカウント値を記憶手段20に記憶させ（ステップS
5）、同時にデッキ機構部１に対してテープ走行方向の
反転指令を発するとともに磁気テープ２を低速にて逆転
走行させるべく制御する（ステップS6）。このテープ走
行方向の反転時には、それまで高速走行されているので
若干のオーバーランが生ずる。

この低速逆転走行中において、プログラム番号検出回
路17が読み取ったプログラム番号を取り込みかつこれを
先に記憶したカウンタ19のカウント値と対にして記憶手
段20に記憶させる（ステップS7）。続いて、RF検出回路
16の出力をセンスすることによりRF信号の立下がりを検
出すると（ステップS8）、デッキ機構部１に対して元の
走行すなわちFF（又はREW）走行に戻るよう指示を送る
（ステップS9）。このときも、若干のオーバーランが生
ずる。そして、上述した一連の動作をステップS10で停
止指令が発せられたと判断するまで繰り返す。

上述した動作のタイミングチャートが第４図に示され
ており、この動作によってRF信号の未記録部を検出する
毎に、第２図に示すように、カウンタ19のカウント値と
プログラム番号情報が対となって記憶手段20に予め記憶
されることになる。

続いて、上述した動作により一度記憶手段20に記憶さ
れたRF信号未記録部を挟んだサーチを行なう場合に、プ
ロセッサによって実行される手順について第５図のフロ
ーチャートに沿って説明する。

磁気テープ２を装着した状態において、プロセッサ
は、操作部21において所望のプログラム番号（目標プロ
グラム番号）が指定されかつサーチ動作の開始指定が指
示されると（ステップS11）、デッキ機構部１に対して
磁気テープ２を指定されたプログラム番号の方向に高速
（FF又はREW）走行させるべく指令を発し（ステップS1
2）、同時にカウンタ19に対してテープ走行の速度に応
じた周期のクロックを送出するとともに走行方向に応じ
てアップ／ダウンカウントの開始命令を送る（ステップ
S13）。これにより、カウンタ19はテープの走行方向に
応じてアップ又はダウンカウントを開始する。この高速
走行中において、RF検出回路16の出力をセンスすること
によりRF信号の立ち下がったか否か、すなわちRF信号の
未記録部が存在するか否かを判断する（ステップS1
4）。高速サーチ中に、磁気テープ２上にRF信号の未記
録部が存在した場合、この未記録部区間では再生RF信号
が得られないのでドラムサーボに必要なクロックを抽出
できず、ドラムサーボのロックが外れてしまう場合があ
り、この状態で再度RF信号の記録部に突入してもドラム
サーボが再度ロックするまでには時間を要するので、未
記録部直後に記録されているプログラム番号を読み損な
う場合がある。

そこで、プロセッサは、RF検出回路16の出力をセンス
することによりRF信号の立上がりを検出すると（ステッ
プS15）、そのときのカウンタ19のカウント値を取り込
み（ステップS16）、続いてこのカウント値に対応する
プログラム番号を現在位置のプログラム番号（現在プロ
グラム番号）として記憶手段20から読み出す（ステップ
S17）。そして、この現在プログラム番号が目標プログ
ラム番号と一致するか否かを判断し（ステップS18）、
不一致の場合ステップS14に戻ってサーチ動作を継続
し、一致の場合精密頭出し動作を行なうべくデッキ機構
部１を駆動制御し（ステップS19）、しかる後高速サー
チを終了する。一方、ステップS14においてRF信号の未
記録部が検出されない場合には、そのままプログラム番
号検出回路17は正常に動作しているので、当該回路から
プログラム番号を取り込み（ステップS20）、しかる後
ステップS19に移行する。

このように、１度装着した磁気テープ２を何回か前後
に走行させることによって磁気テープ２上の絶対番地と
してのカウンタ19のカウント値と対応させてRF信号未記
録部及びその前後のプログラム番号を記憶しておき、高
速サーチ時にこれを利用することにより、高速サーチ中
にRF信号未記録部の存在に起因して未記録部直後に記録
されているプログラム番号を読み取れないようなことが
あっても、記憶手段19からカウンタ19のカウント値に対
応するプログラム番号を読み出し、これを現在プログラ
ム番号として使用できるので、RF信号の未記録部の存在
する磁気テープ２に対しても正確なサーチ動作を実現す
ることができ、しかも常時高速走行状態を維持できるの
でサーチ動作のより高速化を図れることにもなる。

なお、上記実施例では、記憶内容をプログラム番号に
よるサーチに利用する場合について説明したが、同様の
構成で、記録可能なテープ残量部の頭部分を検出するい
わゆるブランクサーチにも利用できる。すなわち、ま
ず、記憶されているカウント値の一番大きい値に対応す
る部分まで走行し、その後テープ終端に向って一定カウ
ント数だけ走行し、その間RF信号が検出されなければ、
先程のカウント値に対応する部分をテープブランク部の
頭とみなし、そこへ戻ってブランクサーチを終了とす
る。

また、上記実施例においては、カウンタ19及び記憶回
路20を制御回路18とはハード的に別のものとして説明し
たが、カウンタ19及び記憶回路20を制御回路18とともに
マイクロコンピュータによって構成しても良いことは勿
論である。

考案の効果 以上説明したように、本考案によれば、磁気テープの
走行方向及び走行速度に応じてカウント動作をするアッ
プダウンカウントのカウント値を磁気テープ上の絶対番
地として利用し、このカウンタのカウント値と対応させ
てRF信号の未記録部近傍のプログラム番号を記憶手段に
予め記憶しておき、高速テープ走行時においてRF信号の
未記録部を検出したときはカウンタのカウント値に基づ
いてこのカウント値に対応するプログラム番号を記憶手
段から読み出す構成となっているので、RF信号の未記録
部が存在する磁気テープに対してもプログラム番号に基
づくサーチ動作を迅速かつ確実に行なうことができ、そ
の結果プログラム番号に基づく高速サーチ動作がより完
全なものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すブロック図、第２図は
RF未記録部が存在する磁気テープにおいて記憶手段に記
憶されるカウンタのカウント値とプログラム番号との関
係を示す図、第３図はプロセッサによって実行される記
憶手段に対する記憶制御の手順を示すフローチャート、
第４図はそのタイミングチャート、第５図はプロセッサ
によって実行される高速サーチの手順を示すフローチャ
ートである。 主要部分の符号の説明 １……デッキ機構部、２……磁気テープ 4a,4b……回転磁気ヘッド ５……回転ドラム、６……キャプスタン ８……供給リールモータ ９……巻取リールモータ 14……信号処理回路、16……RF検出回路 17……プログラム番号検出回路 18……制御回路、19……カウンタ 20……記憶手段、21……操作部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】複数のプログラム情報とともに、各プログ
   ラム情報の冒頭部にこのプログラム情報に固有の識別番
   号情報が記録された磁気テープの再生装置における情報
   の高速検索装置であって、 前記磁気テープからの読取信号からRF（高周波）信号の
   未記録部から記録部への推移時点を検出する手段と、 前記読取信号中から前記識別番号情報を検出する識別番
   号検出手段と、 前記磁気テープの走行方向及び走行速度に応じてカウン
   ト動作を行なうアップダウンカウンタと、 前記カウンタのカウント値と前記識別番号検出手段で検
   出された前記識別番号情報とを対応させて記憶する記憶
   手段と、 現在識別番号情報と目標識別番号情報とが一致するまで
   前記磁気テープを高速走行せしめることにより高速検索
   を実施する高速サーチ手段とを有し、 前記高速サーチ手段は、前記推移時点が検出された直後
   においては前記カウント値に対応した識別番号情報を前
   記記憶手段から読出してこれを前記現在識別番号情報と
   する一方、前記推移時点が検出されない場合には前記識
   別番号検出手段にて検出された前記識別番号情報を前記
   現在識別番号情報とすることを特徴とする情報の高速検
   索装置。