JPH08281777A - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法

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JPH08281777A
JPH08281777A JP7110175A JP11017595A JPH08281777A JP H08281777 A JPH08281777 A JP H08281777A JP 7110175 A JP7110175 A JP 7110175A JP 11017595 A JP11017595 A JP 11017595A JP H08281777 A JPH08281777 A JP H08281777A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 熱可塑性樹脂を口金から溶融押出して、冷却
ロール上でシート状に成形し、フィルムを得る方法にお
いて、a)押出機で溶融した熱可塑性樹脂の流れを2つ
以上の複数の流路に分割し、b)その内の少なくとも1
つの流路において該熱可塑性樹脂を押出機から押し出し
た温度(Tex)より低く、かつ、該熱可塑性樹脂の降温
結晶化開始温度(Tcb)以上の温度(Td)に冷却した
後、c)各流路から送られる熱可塑性樹脂を、厚み方向
に積層し1枚のシートとして口金より押し出し、d)冷
却ロール上でシート状に成形することを特徴とする熱可
塑性樹脂フィルムの製造方法。 【効果】 厚みむらの小さい、口金すじの発生を抑え
た、ヤング率の高いフィルムを効率よく製造することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂フィルム
の製造方法に関する。更に詳しくは、押出成形時におい
てフィルムの厚みむらを小さくすることができ、また、
フィルム表面の欠点となる口金すじの発生を抑え、さら
に、ヤング率の高い高剛性なフィルムを得ることも可能
な、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルムを製造するに際
し、厚み均一性は重要な基本品質である。例えば熱可塑
性樹脂としてポリエステルを例にとると、ポリエステル
フィルムはその優れた特性のため、磁気記録媒体用ベー
スフィルム、コンデンサなどの電気絶縁用途、プリンタ
リボンなどのOA用途、熱により穿孔して印刷する感熱
孔版原紙など、様々な用途で用いられているが、これら
の用途では年々フィルムの厚みについて高度な寸法精度
が要求されている。厚みむらが悪化することにより、フ
ィルム厚みに起因する物性のむらとなり、製品の品質の
悪化につながる。また、直接製品の品質に関わらない場
合でも、フィルムを製品に加工する際のトラブルや、巻
姿の悪化、引いてはそのために加工製品の品質の悪化を
招くことになり、好ましくない。
【0003】ところで、熱可塑性樹脂をフィルムに成形
する方法は、一般に、押出機により樹脂を溶融し、フィ
ルタなどを経由して異物を除去してから、成形するフィ
ルムの形態に合わせたスリットを持った口金(ダイ)よ
り吐出し、内部に冷却媒体を通した回転ロール(キャス
ティングドラム)上に連続的に成形する。この際に、樹
脂膜をキャスティングドラムに密着させるために、静電
気力を付加することもしばしば行われている。さらに、
フィルムの強度を増すために、得られたフィルムを長手
方向(縦方向)や幅方向(横方向)に延伸することも一
般に行われている。
【0004】ここで、延伸する前の未延伸フィルムに厚
みむらが生じる原因としては、溶融押出してキャスティ
ングドラム上にシート状に押出す際の吐出量の変動、口
金とキャスティングドラム間(L−D間)のまだ溶融状
態の樹脂膜の膜振動、キャスティングドラムの回転むら
などが挙げられる。そこで従来から厚みむら改善のため
に種々の方法が提案されている。例えば、溶融樹脂を冷
却固化するキャスティングドラムの回転むらを抑える方
法(特開昭55−93420号公報)や溶融樹脂をキャ
スティングドラム上に静電気力で密着させる際に、静電
気力を受け易いように樹脂を改質する方法(特開昭59
−91121号公報)が提案されているが、いまだ、効
果が十分でない。
【0005】また、L−D間における膜振動を抑えるた
めに、熱可塑性樹脂の押出温度を下げて、樹脂の溶融粘
度を高める方法(特願平6−70789号)が提案され
ている。また、厚みむらを低減する目的以外であるが、
同様に熱可塑性樹脂を一旦、溶融温度以上に加熱してか
ら、溶融温度以下再結晶化温度以上に冷却して押出す方
法(特開平4−347617号公報)が提案されてい
る。しかし、本発明者らの検討では、樹脂の吐出量が小
さい場合はこれらの方法は有効であるが、実際の生産ラ
インのような高い吐出量に適用した場合、樹脂内の熱伝
導が律速となり十分に樹脂を冷却できないことが明らか
になった。なお、後者(特開平4−347617号公
報)においては、複数の樹脂を積層構成にする記載があ
るが、機能性を持たせるために異なる樹脂を積層するた
めのものであり、複数の押出機を必要とする構成であ
る。さらに、本発明者らの検討では、樹脂の押出温度を
下げることにより、シート表面に口金すじが発生しやす
くなり、著しくフィルムの品質を悪化させるという問題
点が存在することが明らかとなった。
【0006】さらに、一般に熱可塑性樹脂を融点以下で
押し出す方法としては、例えば、特公昭53−1198
0号公報、特公昭53−19625号公報、特公平1−
55087号公報を挙げることができる。しかしこれら
の方法は、サーキュラダイを用いるものであり、サーキ
ュラダイの場合、円筒状に吐出されるため、端が無く融
点以下に冷却しても流れを乱しにくいが、フラットダイ
を用いた場合、端の方が先に固化しやすく、流れを乱し
やすいという問題がある。また、これらの公報に示され
ている方法では、ダイのランド部以前に樹脂を融点以下
に冷却し、冷却の済んだ樹脂をランド部に供給する構成
を取っている。さらに言えば、ダイ内部で融点以下に冷
却して、樹脂を固化させてから、ランド部に供給して剪
断をかけながら押し出すものである。そのために、非常
に高い押出圧力を必要とし、通常の押出機では押出が困
難であり、高圧力用の特殊な押出機を必要とするもので
あり、押出安定性に劣るものである。さらに、ダイ本
体、口金への負荷が大きく、変形、耐久性低下の原因に
なる。また、このように固化した樹脂を広幅に拡幅する
ことは困難を極め、たとえ拡幅できたとしても、流れの
むらから厚みむらの悪いものになってしまう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようにフィルムの
厚みむらを改善する要求は強く、そのために種々の改善
方法が提案されてきたが、その効果はまだ十分ではな
い。
【0008】本発明は、特に、口金において樹脂を冷却
して押出す方法に関し、吐出量の大きい場合の冷却能力
の不足を補い、また、問題となる口金すじの発生を抑
え、キャスティングドラム上に成形されたフィルムの厚
みむらを低減させ、寸法精度の高い、厚みむらの小さな
フィルムを製造する方法を提供することを目的とするも
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、熱可塑性樹脂を口
金から溶融押出して、冷却ロール上でシート状に成形
し、フィルムを得る方法において、a)押出機で溶融し
た熱可塑性樹脂の流れを2つ以上の複数の流路に分割
し、b)その内の少なくとも1つの流路において該熱可
塑性樹脂を押出機から押し出した温度(Tex)より低
く、かつ、該熱可塑性樹脂の降温結晶化開始温度(Tc
b)以上の温度(Td)に冷却した後、c)各流路から
送られる熱可塑性樹脂を、厚み方向に積層し1枚のシー
トとして口金より押し出し、d)冷却ロール上でシート
状に成形することを特徴とする方法からなる。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おける熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹
脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−
1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートなど
のポリエステル樹脂、その他、ポリアセタール樹脂、ポ
リフェニレンスルフィド樹脂などを用いることができ
る。また、これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、共
重合またはブレンドであってもよい。また、これらの樹
脂の中に、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯
電防止剤、結晶核剤、無機粒子などが添加されていても
よい。
【0011】本発明における溶融押出の方法としては、
一般に市販されている押出機を用いて、熱可塑性樹脂を
供給部に供給し、加熱された押出機内のスクリュの回転
により、樹脂を溶融し、押出機から送り出された溶融樹
脂を、加熱された流路(ポリマ管)内を通して口金に導
く。必要に応じてフィルタを通して異物、変性ポリマを
除去し、また、定量供給性を上げるためにギアポンプを
設けてもよい。このように導かれたポリマは口金内部で
必要な幅に拡幅され、口金から吐出され、キャスティン
グドラム上でシート状に冷却、固化される。
【0012】ここで、押出機としては、公知の一軸ある
いは二軸押出機を用いることができる。押出機のスクリ
ュの形状は、適用する熱可塑性樹脂の性質に応じて最適
なものを用いればよい。押出機における該熱可塑性樹脂
の加熱温度は、熱可塑性樹脂が結晶性を示す場合は、融
点以上とし、未溶融物が残らないようにする。熱可塑性
樹脂の融点は、示差走査熱量計(DSC)により公知の
方法で簡易に測定することが可能である。一般に高分子
材料の場合、融点は一点として観測されるわけでなく、
裾野の広がったピークとして観測される。ここで、押出
機の加熱温度を定める融点としては、必ずしもピーク温
度ではなく、裾野の終わりの温度(融解終了温度:Tm
e)を採用することが好ましい。ピーク温度では大半の
樹脂は融解しているが、裾野の広がりの部分の樹脂が溶
融せず未溶融状態で残る可能性があり、Tme以上まで加
熱することが好ましい。また、口金としては、円筒口金
(サーキュラダイ)でも、平行口金(フラットダイ)で
も用いることが可能であるが、本発明においては、フラ
ットダイを用いることが好ましい。厚みむらなどの観点
から、フラットダイを用いた方が、高品質なフィルムを
得ることができる。フラットダイとしては、特に限定は
されないが、例えば、澤田慶司著「プラスチックの押出
成形とその応用」((株)誠文堂新光社)に説明されて
いるような、内部に円筒状の溝(マニホルド)を有する
マニホルドダイ(Tダイとも言う)、魚の尾のような形
状をしたフィッシュテールダイ、その中間の形状をした
コートハンガーダイのいずれでもよい。フラットダイ
は、通常、溶融樹脂を幅方向に広げるダイホッパと呼ば
れる部分と、樹脂を幅方向に広げた後、目的の形状に整
形する最終部分であり、一定のスリット間隙を有する平
行部分であるランド部と呼ばれる部分から構成される。
【0013】ここで、本発明においては、押出機より送
り出された溶融樹脂の流れを、ポリマ管、あるいは口金
内部で2つ以上の複数の流路に分割する必要がある。本
発明においては、後述するように、該熱可塑性樹脂を冷
却する必要があるが、本発明者らの鋭意検討の結果、樹
脂の冷却時間が短いと、該熱可塑性樹脂の熱伝導に要す
る時間のため、該熱可塑性樹脂シートの表面は冷却され
るものの、シート内部が十分に冷却されないという現象
が生じる。ここで、冷却効率を上げるため、冷却の温度
を下げると、該熱可塑性シートの表面の温度が低下しす
ぎて、固化を始め、押出が不可能になる。一方、冷却の
時間を長くするためには、冷却部分の流路を長くする必
要があり、装置が大がかりになる欠点がある。そこで、
本発明者らは、鋭意検討の結果、溶融樹脂の流れを複数
の流路に分割し、その内の必要な流路において該熱可塑
性樹脂を冷却することで、シートの内部まで冷却可能な
ことを見い出した。本手法によれば、冷却装置をうまく
設計することで、コンパクトな装置とすることが可能で
ある。すなわち、本手法は、溶融樹脂の体積当たりの冷
却表面積、すなわち、冷却比表面積を大きくすること
で、溶融樹脂の流路長さを長くすることなく、また、冷
却温度を該熱可塑性樹脂の表面が固化しない温度に保つ
ことが可能になったものである。
【0014】また、本発明においては、1台の押出機で
溶融した熱可塑性樹脂を口金の内部で2つ以上の複数の
流路に分割することが好ましい。1台の押出機からポリ
マ管を通して導かれた熱可塑性樹脂を口金内で複数の流
路に分割することにより、現状の設備に大きな改造を施
すことなく、口金部の改造のみで実現可能となる。な
お、他の押出機から導かれた他種あるいは同種の熱可塑
性樹脂をフィルムの表面改質の目的で積層、共押出する
ことは構わない。
【0015】本発明においては、前述のように2つ以上
の複数の流路に分割された熱可塑性樹脂を、その内の少
なくとも1つの流路で、押出機から押出された温度(T
ex)よりも低い温度(Td)に冷却する必要がある。溶
融樹脂を冷却することにより、口金から吐出された溶融
樹脂膜の溶融粘度を高め、口金とキャスティングドラム
間(L−D間)の随伴気流や、空気の振動などの外乱に
対して安定となり、L−D間における樹脂膜の膜振動を
抑え、厚みむらの小さなフィルムを得ることができるも
のである。一般に、熱可塑性樹脂を高粘度化するために
は、高分子量化する方法、増粘剤を添加する方法も考え
られるが、これらの方法は樹脂を改質してしまうため好
ましくない。ところで、このように冷却して得られた溶
融シートを、高いドラフト比で引き取り、その後、公知
の二軸延伸を施すと、驚くべきことに、ヤング率の高い
高剛性なフィルムが得られることがわかった。ここで、
高剛性なフィルムを得るためのドラフト比は、15以上
が好ましい。さらに好ましくは、20以上である。ここ
で、ドラフト比とは、口金の吐出線速と、キャスティン
グドラムの引き取り線速の比であり、(引き取り線速/
吐出線速)で表される。
【0016】本発明における、冷却された該熱可塑性樹
脂の温度(Td)は、該熱可塑性樹脂の降温結晶化開始
温度(Tcb)以上であることが必要である。高分子樹脂
の場合、溶融状態にある樹脂を該熱可塑性樹脂の融解終
了温度(Tme)未満に冷却しても短時間では固化せず、
いわゆる過冷却の液相状態を保つことができるが、Tcb
よりも低い温度になると樹脂が結晶化を始め、押出され
たフィルムの表面荒れ、押出異常、流れむらを生じた
り、経時で固化し、通常の押出機で押出不可能となるた
め好ましくない。本発明においては、該熱可塑性樹脂を
冷却するわけであるが、その際に重要なことは、樹脂を
決して固化させないということである。高分子の過冷却
状態を利用して、融点以下である場合でも、液相状態で
押出すことが重要である。
【0017】本発明における、冷却された該熱可塑性樹
脂の温度(Td)は、該熱可塑性樹脂の融解終了温度
(Tme)未満であることが好ましい。TdがTmeを越え
る温度である場合は、本発明における冷却の効果が小さ
く、厚みむらの良いフィルムを得ることが困難である。
また、高いドラフト比で引き取り、二軸延伸しても、高
剛性化を図ることは難しい。
【0018】本発明においては、少なくとも1つの流路
において熱可塑性樹脂を冷却した後、各流路から送られ
る熱可塑性樹脂を、厚み方向に積層して1枚のシートと
して口金より押し出す必要がある。本発明の目的は、流
路を分割せずに冷却した場合、シート内部まで冷却でき
ない欠点を、解決するものであり、1枚のシートとして
押し出さなければ、本発明の意味はなくなる。また、1
枚のシートとする方法として、幅方向に各流路からの樹
脂を並べる方法も考えられる。しかし、その場合、各流
路における冷却のむらにより、幅方向にむらを作る問題
がある。本発明のように、厚み方向に積層することで、
各流路間のむらを均一化することが可能となる。
【0019】また、本発明においては、複数の流路に分
割された全ての流路において熱可塑性樹脂を冷却するこ
とが好ましい。L−D間の膜振動に伴う厚みむらの抑制
には、L−D間の溶融シート全体としての溶融粘度が高
いことが有利であり、分割された各流路でそれぞれ十分
に冷却し、1枚のシートとして、表面から内部まででき
る限り均一に冷却されていることが好ましい。しかしな
がら、図1に例を示すように、フィルムの厚み方向の温
度むらは、流路分割しない場合に比較し、小さくなるも
のの完全になくなるものではない。図1において、1は
従来手法によるフィルム厚み方向の温度分布、2は本発
明における手法(3流路)によるフィルム厚み方向の温
度分布を、それぞれ示している。
【0020】ところで、溶融樹脂を冷却する方法として
は、各樹脂を口金より吐出されるシートの幅まで拡幅し
た後に冷却することが好ましい。溶融樹脂の冷却効率を
考えた場合、冷却の比表面積が大きいほど、冷却の効率
が高い。そこで、各樹脂を吐出されるシートの幅まで拡
幅すると、各流路における溶融樹脂の厚みを薄くするこ
とができ、冷却の効率が高まるものである。さらに、冷
却後の溶融樹脂は、溶融粘度が高いために、均一に拡幅
することに困難を伴う。そこで、各流路において、口金
より吐出されるシートの幅まで拡幅後に冷却し、その幅
のまま厚み方向に重ね、1枚のシートとすることで、均
一な拡幅が可能となる。このような拡幅、冷却は、ポリ
マ管などの流路中で行うよりも、口金内部で行うことが
簡易である。公知の多層口金に冷却可能な冷却媒体用流
路を設ける加工を施すことや、口金内のマニホールド部
に、冷却用のアダプタを設けるなどの方法がある。冷却
手段としては、特に限定はしないが、例えば、冷却のた
めの孔を設け、その中に冷媒を通す方法がある。冷媒と
しては、空気、または水などの各種液体状の冷媒を用い
ることができ、冷媒の温度、流量をコントロールするこ
とによって、所望の温度に設定することができる。ま
た、口金内で拡幅、冷却後、その拡幅された幅で溶融樹
脂の溜めを設けてから厚み方向に重ねることも好まし
い。溜めを設けることで、各流路間の吐出圧力の差を吸
収し、均一な重ね合わせが可能となり、厚み均質性が高
まるものである。
【0021】また、本発明においては、樹脂を冷却する
際に、冷却の過渡状態で吐出されることが好ましい。過
渡状態であることにより、厚みの厚いエッジ近傍が、比
較的温度が高い状態に残され、エッジ部からの固化を抑
えることが可能になる。
【0022】さて、本発明者らの検討の結果、このよう
に均一に冷却した溶融樹脂を口金より吐出すると、シー
ト表面に口金すじが発生しやすいという、新たな問題点
が生じることが明らかとなった。口金すじとは、口金か
らの吐出シートの表面に、凸状あるいは凹状にすじが発
生するもので、口金幅方向で、決まった位置に発生し続
けるものもあれば、位置が定まらずに、ランダムに発生
するものもある。冷却した溶融樹脂の吐出において口金
すじが発生しやすい原因は定かではないが、冷却に伴
い、微細な結晶固化物が口金の表面に析出し、口金すじ
の原因になっていると考えられる。
【0023】そこで、本発明においては、熱可塑性樹脂
の流れを3つ以上の流路に分割し、各流路における熱可
塑性樹脂の冷却温度が、最終的に厚み方向に積層された
際に、シートの両表面になる熱可塑性樹脂が流れる2つ
の流路における温度を、他の流路における温度より高く
することが好ましい。すなわち、1枚のシートとして口
金より吐出される際に、シートの表面部の温度は高く、
シート内部は十分に冷却された構成とし、内部の冷却さ
れた層により、厚みむらを小さくし、表面の温度の高い
層により口金すじの発生を防止するものである。なお、
シートの両表面になる熱可塑性樹脂の流路には冷却手段
を設けずに、押出機から押し出された温度のまま吐出さ
せることも好ましい。また、両表層になる部分の厚み
は、口金すじの発生防止を目的としているため、厚い必
要はなく、むしろ、可能な限り薄い方が、内部の冷却さ
れた層の厚みが厚くなり、厚みむらの低減効果が高まり
好ましい。ただし、薄過ぎると、内部の冷却層と積層さ
れて口金から吐出されるまでの間に、熱伝導により、内
部の冷却層と同じ温度に低下してしまい、口金すじの防
止効果がなくなる。好ましい厚み構成は、シート全体の
厚みに対し、1%〜20%程度である。
【0024】また、流路により冷却の度合いを変えない
場合でも、口金の樹脂が吐出される先端部に、加熱手段
を設けて、吐出される熱可塑性樹脂シートの表面を加熱
することも好ましい。シートが表面から内部まで均一に
冷却されて吐出される際に、加熱手段により、瞬間的に
シート表面のみを加熱し、口金すじを防止するものであ
る。もちろん、前述の、流路により冷却の度合いを変え
る方法と併用することも好ましい。
【0025】このようにして得られた1枚の溶融シート
は、冷却ロール(キャスティングドラム)上でシート状
に成形される必要がある。本発明の目的は、キャスティ
ングドラム上でシート成形されるまでの溶融状態のシー
トにおける膜振動を抑え、厚みむらを抑えるものであ
る。
【0026】本発明が適用されるフィルムの厚みは、特
に限定されるものではないが、未延伸フィルムの厚み
で、10μm〜300μmが好ましい。これより厚いフ
ィルムの場合、フィルムの厚み自体が厚いことにより、
外乱からの影響を受けにくく、本発明の効果が小さい。
これより薄いフィルムの場合、流路分割をしなくても、
溶融シートの内部まで冷却することが可能であり、本発
明の効果が小さい。さらに好ましくは、30μm〜20
0μmである。
【0027】本発明により得られる厚み均一性に優れた
成形フィルムは、そのまま未延伸フィルムとして製品に
供することもあれば、一軸または二軸の延伸、熱処理を
施して配向結晶化させ、特性を向上することも好ましく
行われる。配向を付与する手法としては、周速差のある
ロール間で縦方向に延伸を行い、引き続きテンタにて横
延伸、熱処理を行う逐次二軸延伸法、テンタ内で縦横同
時に二軸延伸し、熱処理を行う同時二軸延伸法など公知
の方法を用いることができる。本発明を用いれば、延伸
加工の後も優れた厚み均一性を有するフィルムを得るこ
とが可能である。ここで、キャスティングドラムによる
引き取りのドラフト比を15以上といった高い比率で引
き取った場合、そのフィルムを通常の二軸延伸すること
で高いヤング率の高剛性なフィルムを得ることができ
る。従来、高剛性のフィルムを得るためには、二軸延伸
後に再度一軸または二軸の延伸を行う方法、二軸延伸の
各延伸を多段階で行う方法などが適用されてきたが、本
発明の方法により、このような設備的な改造をすること
なく、高剛性なフィルムを得ることが可能となる。もち
ろん、冷却温度とドラフト比を調整することにより、通
常の剛性のフィルムを得ることも可能である。
【0028】[物性値の評価方法] (1)熱特性 示差走査熱量計として、セイコー電子工業(株)製ロボ
ットDSC「RDC220」を用い、データ解析装置と
して、同社製ディスクステーション「SSC/520
0」を用いて、サンプル約5mgをアルミニウム製の受
皿上300℃で5分間溶融保持し、液体窒素で急冷固化
した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。この
時観測される融解の吸熱ピークの開始温度をTmb、ピー
ク温度をTm、ピーク終了温度をTmeとした。また30
0℃まで昇温後、5分間溶融保持し、降温速度20℃/
分で降温した。この際観測される降温結晶化の発熱ピー
クの開始温度をTcb、ピーク温度をTc、ピーク終了温
度をTceとした。ここで、室温から300℃の範囲で、
融解の吸熱ピーク、降温結晶化の発熱ピークが観測され
なかった場合には、Tmeを300℃、Tcbを室温と見な
した。
【0029】(2)フィルムの厚みむら アンリツ社製フィルムシックネステスタKG601Aお
よび電子マイクロメータK306Cを用い、縦方向に3
0mm幅、10m長にサンプリングしたフィルムを連続
的に厚みを測定する。10m長での厚み最大値Tmax
(μm)、最小値Tmin (μm)から、 R=Tmax −Tmin を求め、Rと10m長の平均厚みTave (μm)から 厚みむら(%)=R/Tave ×100 として求めた。
【0030】(3)温度 熱可塑性樹脂を押出機から押し出された温度Texは、押
出機出口のポリマ管に孔を設け、熱電対を挿入し、樹脂
の漏れを防ぐシールを施して測定した。流路において冷
却された熱可塑性樹脂の温度(Td)は、流路における
冷却部の出口に孔を設け、熱電対を挿入し、樹脂の漏れ
を防ぐシールを施して測定した。口金などの壁面温度
は、部材に壁面近傍まで孔を設け、熱電対を挿入して測
定した。また、口金より吐出される樹脂の温度は、吐出
される樹脂中に熱電対を挿入し温度が安定化するのを待
ち、測定した。
【0031】(4)ドラフト比 1分間吐出される溶融樹脂の重量を測定し、吐出量Q
(kg/分)を求める。口金出口の樹脂流路の断面積S
(cm2 )と、該溶融樹脂の比重dから、吐出線速Vex
=Q/d/S×10(m/分)を計算する。樹脂がポリ
エチレンテレフタレートの場合、比重は1.2を用い
た。このVexと、キャスティングドラムの周速Vcd(m
/分)より、ドラフト比=Vcd/Vexとした。
【0032】(5)口金すじ 口金先端を銅板で掃除した後、3時間一定条件でフィル
ム成形を続けた。3時間後、口金から吐出される溶融樹
脂シートを1分間観察し、すじの観察されないものを
「○」、観察されたすじが3本未満のものを「△」、す
じが3本以上のものを「×」とした。
【0033】(6)ヤング率 (株)オリエンテック製フィルム強伸度自動測定装置:
テンシロンAMF/RTA−100を用いて、幅10m
m、試長100mm、引張速度300mm/分にて測定
した。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。 実施例1 熱可塑性樹脂として、極限粘度0.65のポリエチレン
テレフタレートを用いた。DSCを用いて熱特性を測定
したところ、Tmb:240℃、Tm:255℃、Tme:
268℃、Tcb:203℃、Tc:188℃、Tce:1
74℃であった。このポリエチレンテレフタレートのペ
レットを180℃で3時間真空乾燥して押出機に供給
し、290℃で溶融状態とし、フィルタを介して成形用
口金に供給した。口金は口金内部で3層に流路分割、拡
幅後積層される形状のものを用いた。口金の入口で3流
路に樹脂が分割され、各流路にマニホルドを有して、4
00mm幅に樹脂を拡幅し、それぞれの拡幅後の流路近
傍に直径7mmの空孔を複数設け、ここに空気を通すこ
とにより冷却を行った。冷却後の樹脂は、再度厚み方向
に積層され、最終的に、リップ間隙1mm、幅400m
m、長さ10mmのランド部を通り、口金より吐出され
た。3層(A/B/C層)への分割、積層厚み比率は、
A:B:C=1:1:1と等分にした。冷却部には、2
5℃の冷却用空気を3つの各流路に対し、流量0.10
3 /分流して冷却した。押出機から押出された温度
(Tex)は290℃であった。ポリマ管通過後の口金入
口部の温度も290℃であった。流路分割、拡幅直後の
A、B、C層の樹脂温度はすべて288℃、冷却部出口
での樹脂温度は各層とも250℃であった。口金から押
し出されたフィルムを、静電気を印加しながら表面温度
25℃に保たれたキャスティングドラム上で急冷固化せ
しめ巻取った。この際の口金とキャスティングドラム間
の距離(L−D間)は30mmであった。得られたフィ
ルムの厚みは100μmであった。ドラフト比は10で
あった。得られたフィルムの長手方向の厚みむらは1.
5%であり、厚みむらの良好なフィルムが得られた。
【0035】実施例2 実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹
脂を口金より押し出し、キャスティングドラム上にフィ
ルム成形した。この際、口金に流す樹脂冷却用の空気流
量を、3つの各流路に対し、流量0.15m3 /分とし
た。この際、Texは290℃、口金入口部の樹脂温度も
290℃、拡幅直後のA、B、C層の樹脂温度はすべて
287℃、冷却部出口での樹脂温度は各層とも220℃
であった。得られたフィルムの厚みは100μmであっ
た。ドラフト比は10であった。得られたフィルムの長
手方向の厚みむらは1.2%であり、厚みむらの良好な
フィルムが得られた。
【0036】比較例1 実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹
脂を口金より押し出し、キャスティングドラム上にフィ
ルム成形した。この際、口金に流す樹脂冷却用の空気流
量を、3つの各流路に対し、流量0.23m3 /分とし
た。この際、Texは290℃、口金入口部の樹脂温度も
290℃、拡幅直後のA、B、C層の樹脂温度はすべて
284℃、冷却部出口での樹脂温度は各層とも190℃
であった。しかし、口金から吐出される樹脂が経時で固
化を始め、遂には、押し出すことが不可能になった。
【0037】実施例3 実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹
脂を口金より押し出し、キャスティングドラム上にフィ
ルム成形した。この際、口金に流す樹脂冷却用の空気流
量を、3つの各流路に対し、流量0.06m3 /分とし
た。この際、Texは290℃、口金入口部の樹脂温度も
290℃、拡幅直後のA、B、C層の樹脂温度はすべて
289℃、冷却部出口での樹脂温度は各層とも269℃
であった。得られたフィルムの厚みは100μmであっ
た。ドラフト比は10であった。得られたフィルムの長
手方向の厚みむらは3.6%であり、厚みむらの良好で
はあるものの、実施例1に比較すると若干劣るフィルム
が得られた。
【0038】実施例4 実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹
脂を口金より押し出し、キャスティングドラム上にフィ
ルム成形した。この際、3層(A/B/C層)の分割、
積層厚み比率は、A:B:C=1:3:1と両外層部を
薄くし、口金に流す樹脂冷却用の空気流量は、内層のB
層部には、流量0.15m3 /分とし、両外層のA、C
層には空気を流さなかった。この際、Texは290℃、
口金入口部の樹脂温度も290℃、拡幅直後のA、C層
の樹脂温度はすべて289℃、B層は287℃、冷却部
出口での樹脂温度はA、C層は281℃、B層は235
℃であった。得られたフィルムの厚みは100μmであ
った。ドラフト比は10であった。得られたフィルムの
長手方向の厚みむらは1.6%であり、厚みむらの良好
なフィルムが得られ、さらに、フィルム表面に口金すじ
の非常に少ないフィルムを得ることができた。
【0039】実施例5 実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹
脂を口金より押し出し、キャスティングドラム上にフィ
ルム成形した。この際、3層(A/B/C層)の分割、
積層厚み比率は、A:B:C=1:3:1と両外層部を
薄くし、口金に流す樹脂冷却用の空気流量は、内層のB
層部には、流量0.15m3 /分とし、両外層のA、C
層には、それぞれ流量0.03m3 /分とした。この
際、Texは290℃、口金入口部の樹脂温度も290
℃、拡幅直後のA、C層の樹脂温度はすべて288℃、
B層は287℃、冷却部出口での樹脂温度はA、C層は
263℃、B層は235℃であった。得られたフィルム
の厚みは100μmであった。ドラフト比は10であっ
た。得られたフィルムの長手方向の厚みむらは1.2%
であり、厚みむらの良好なフィルムが得られ、さらに、
フィルム表面に口金すじの非常に少ないフィルムを得る
ことができた。
【0040】実施例6 実施例1と全く同様にして、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂を口金より押し出し、キャスティングドラム上に
フィルム成形した。ただし、口金の樹脂が吐出されるリ
ップの先端に小型の電気ヒータ取り付け、口金の先端部
のみを加熱した。得られたフィルムの厚みは100μm
であった。ドラフト比は10であった。得られたフィル
ムの長手方向の厚みむらは1.4%であり、厚みむらの
良好なフィルムが得られ、さらに、フィルム表面に口金
すじの非常に少ないフィルムを得ることができた。
【0041】比較例2 実施例1と同様にして、ポリエチレンテレフタレート樹
脂を口金より押し出し、キャスティングドラム上にフィ
ルム成形した。この際、口金は流路を分割することのな
い単層の通常の口金を用いた。樹脂の拡幅後の流路近傍
に25℃の冷却用空気を、流量0.50m3 /分流して
冷却を行った。この際、Texは290℃、口金入口部の
樹脂温度も290℃、拡幅直後の樹脂温度は288℃、
冷却部出口での樹脂温度は270℃であった。得られた
フィルムの厚みは100μmであった。ドラフト比は1
0であった。得られたフィルムの長手方向の厚みむらは
5.6%であり、厚みむらが不良であった。
【0042】比較例3 実施例1と同様だが、吐出量を下げてポリエチレンテレ
フタレート樹脂を口金より押し出し、キャスティングド
ラム上にフィルム成形した。この際、口金は流路を分割
することのない単層の通常の口金を用いた。樹脂の拡幅
後の流路近傍に25℃の冷却用空気を、流量0.50m
3 /分流して冷却を行った。この際、Texは290℃、
口金入口部の樹脂温度も290℃、拡幅直後の樹脂温度
は287℃、冷却部出口での樹脂温度は258℃であっ
た。得られたフィルムの厚みは25μmであった。ドラ
フト比は10であった。得られたフィルムの長手方向の
厚みむらは2.6%であり、厚みむらは比較的良好であ
った。
【0043】実施例7 実施例1と全く同様にして、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂を口金より押し出し、キャスティングドラム上に
フィルム成形した。得られたフィルムの厚みは100μ
mであった。ドラフト比は10であった。得られたフィ
ルムの長手方向の厚みむらは1.4%であり、厚みむら
の良好なフィルムが得られた。さらに、このフィルムを
80℃に加熱されたロール群で加熱した後に、3.3倍
縦延伸し、フィルム両端をクリップで把持しながらテン
タに導き、85℃の熱風雰囲気中で予熱し、90℃で
3.6倍横延伸し、210℃で熱処理を行い、徐冷しな
がらテンタから導き出し、フィルムを巻き取った。得ら
れたフィルムの厚みは8μmであり、フィルムの縦方向
のヤング率は450kg/mm2 であった。厚みむら
は、3.4%と比較的良好であった。
【0044】実施例8 実施例7と全く同様にして、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂を口金より押し出し、キャスティングドラム上に
ドラフト比は20で、フィルム成形した。得られたフィ
ルムの厚みは50μmであった。。得られたフィルムの
長手方向の厚みむらは1.6%であり、厚みむらの良好
なフィルムが得られた。さらに、このフィルムを80℃
に加熱されたロール群で加熱した後に、3.3倍縦延伸
し、フィルム両端をクリップで把持しながらテンタに導
き、85℃の熱風雰囲気中で予熱し、90℃で3.6倍
横延伸し、210℃で熱処理を行い、徐冷しながらテン
タから導き出し、フィルムを巻き取った。得られたフィ
ルムの厚みは4μmであり、フィルムの縦方向のヤング
率は550kg/mm2 と高強度なフィルムを得ること
ができた。厚みむらは、3.9%と比較的良好であっ
た。
【0045】実施例9 実施例7と全く同様にして、ポリエチレンテレフタレー
ト樹脂を口金より押し出し、キャスティングドラム上に
ドラフト比は40で、フィルム成形した。得られたフィ
ルムの厚みは25μmであった。。得られたフィルムの
長手方向の厚みむらは2.2%であり、厚みむらの良好
なフィルムが得られた。さらに、このフィルムを80℃
に加熱されたロール群で加熱した後に、3.3倍縦延伸
し、フィルム両端をクリップで把持しながらテンタに導
き、85℃の熱風雰囲気中で予熱し、90℃で3.6倍
横延伸し、210℃で熱処理を行い、徐冷しながらテン
タから導き出し、フィルムを巻き取った。得られたフィ
ルムの厚みは2μmであり、フィルムの縦方向のヤング
率は630kg/mm2 と高強度なフィルムを得ること
ができた。厚みむらは、4.2%と比較的良好であっ
た。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明方法によれ
ば、厚みむらの小さい、口金すじの発生を抑えた、ヤン
グ率の高いフィルムを効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来手法によるものと、本発明における手法に
よる、フィルム厚み方向の温度分布を示す図である。
【符号の説明】
1 従来手法によるフィルム厚み方向の温度分布 2 本発明における手法(3流路)によるフィルム厚み
方向の温度分布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29C 47/88 9349−4F B29C 47/88 // B29K 101:12 B29L 9:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂を口金から溶融押出して、
    冷却ロール上でシート状に成形し、フィルムを得る方法
    において、a)押出機で溶融した熱可塑性樹脂の流れを
    2つ以上の複数の流路に分割し、b)その内の少なくと
    も1つの流路において該熱可塑性樹脂を押出機から押し
    出した温度(Tex)より低く、かつ、該熱可塑性樹脂の
    降温結晶化開始温度(Tcb)以上の温度(Td)に冷却
    した後、c)各流路から送られる熱可塑性樹脂を、厚み
    方向に積層し1枚のシートとして口金より押し出し、
    d)冷却ロール上でシート状に成形することを特徴とす
    る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも1つの流路において冷却
    された熱可塑性樹脂の温度(Td)が、該熱可塑性樹脂
    の融解終了温度(Tme)未満である、請求項1に記載の
    熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 1台の押出機で溶融した熱可塑性樹脂の
    流れを口金の内部で2つ以上の複数の流路に分割する、
    請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造
    方法。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂の流れを3つ以上の複
    数の流路に分割し、各流路における熱可塑性樹脂の冷却
    温度(Td)が、最終的に厚み方向に積層された際に、
    シートの両表面になる熱可塑性樹脂が流れる2つの流路
    における温度を、他の流路における温度よりも高くす
    る、請求項1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂
    フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性樹脂の流れを3つ以上の複
    数の流路に分割し、最終的に厚み方向に積層された際
    に、シートの両表面になる熱可塑性樹脂が流れる2つの
    流路には冷却手段を設けずに、他の流路においては冷却
    媒体による冷却手段を設けて熱可塑性樹脂を冷却する、
    請求項1ないし4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィ
    ルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 2つ以上の複数の流路に分割した熱可塑
    性樹脂を、分割された全ての流路において冷却する、請
    求項1ないし3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィル
    ムの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性樹脂を冷却する際に、該樹
    脂を各流路において、口金より吐出されるシートの幅ま
    で拡幅した後に、各流路において冷却する、請求項1な
    いし6のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 口金の樹脂が吐出される先端部に、加熱
    手段を設けて、吐出される熱可塑性樹脂シートの表面を
    加熱する、請求項1ないし7のいずれかに記載の熱可塑
    性樹脂フィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 口金から吐出され、冷却ロール上でシー
    ト上に成形された未延伸フィルムの厚みが、10μm以
    上300μm以下である、請求項1ないし8のいずれか
    に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008272983A (ja) * 2007-04-26 2008-11-13 Fujifilm Corp シクロオレフィン樹脂フィルムの製造方法およびシクロオレフィン樹脂フィルム、ならびに、偏光板、光学補償フィルム、反射防止フィルムおよび液晶表示装置
JP2009045934A (ja) * 2007-08-14 2009-03-05 General Electric Co <Ge> 超薄ポリマーフィルム製造方法

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