JP3635735B2 - 熱可塑性樹脂用熱交換器および熱可塑性樹脂の押出方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂用熱交換器および熱可塑性樹脂の押出方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱可塑性樹脂の押出製造方法に関わるものである。更に詳しく言えば、熱可塑性樹脂の溶融押出製造法において、高温化によるポリマの熱分解がもたらす固有粘度(IV)の低下や、押出物内部あるいは表面欠点の発生を防止し、安定に長時間、高品質の押出物を製造することが可能な、熱可塑性樹脂の押出製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱可塑性樹脂の合成樹脂を押出し装置により溶融して押出す際、その押出量が多くなるに従い、あるいは押出される樹脂のIVを高めた場合にも、押出し装置内、あるいは押出し装置以降の流体管やフィルタ等を通過する間に、粘性発熱によって押出し温度が高くなり、また、吐出圧力が高くなるに従って剪断発熱により押出し温度が高くなる傾向がある。押出し温度が上昇し、溶融樹脂温度が融点+50℃以上までに達すると、樹脂が熱分解し、IVの低下やゲル化などの変質を起こし、これが押出物の品質悪化、さらには生産ライン停止につながる問題となる。このため、従来の押出し装置には、押出される溶融樹脂等、流体の温度を融点+50℃未満に制御するため、加熱、および冷却するための装置を設けているが十分ではなかった。また、押出し装置においては樹脂を溶融する工程であるため、あまり低温化すると、逆に未溶融物の残留が懸念される。また、薄物シートから厚物シートに及ぶ多品種生産の場合には、樹脂温度が品種毎に異なり、そのため成形条件が変化して品質を一定に保つことが困難であった。さらに押出量を多くして厚物を成形する場合には押出し温度をむしろ低くし、逆に押出量を少なくして薄物を成形する場合には押出し温度を高くしたい場合があり、このようなケースに十分対応できないという問題があった。そこで、押出し装置の押出し部に加熱、および冷却の手段を設けた温度調節管を連結して押出し温度を制御する試みもなされているが、温度調節管の管長を非常に長くする必要があるのみならず、管内での滞留時間にバラツキを生じ、押出される樹脂の粘度むらや温度むら、また未溶融物等の問題を生じるため好ましくない。また壁面温度を通過する樹脂の再結晶化温度以下まで冷却すると、壁面流体が固化し、やがては吐出不能となる。これに対し、静止型混合素子の外周部に冷却可能なジャケットを設置した熱交換器を用いて流体温度を低温化する方法(例えば実開昭59−59319)が提案されているが、この方法は熱媒温度をコントロールして、筒壁温度を低温化させる方法であるため、熱媒循環や制御装置等、大がかりとなりコストアップは免れない。また、フィンを有した静止混合素子を組み込んだ熱交換器を用いて低温化する方法(例えば実開昭59−59318)も提案されているが、これはフィンからの放熱あるいは強制冷却により冷却する方法であり、冷却能力が十分でない。また、これらの方法では、流体温度を低温化した際に管壁で流体の部分的な滞留が生じ、結晶固化してしまうという欠点もあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、押出し装置以降の流体管で効率良く、安定に流体温度を低下させる要求は強く、そのために種々の改善方法が提案されてきたが、その効果はまだ十分ではない。本発明は、上記の問題を解決し、溶融樹脂の押出量の多少、あるいは押出し圧力の高低にかかわらず、押出される流体を所望の温度に、結晶固化などの問題なく冷却することにより、押出工程の長時間安定性を飛躍的に向上させることが可能な、熱可塑性樹脂用熱交換器および熱可塑性樹脂の押出方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、冷却素子と、該冷却素子の内部に静止型混合素子が組み込まれた、押出し装置とフィルタの間に設置して用いられる熱可塑性樹脂用熱交換器において、該静止型混合素子の溶融樹脂との接液面の表面粗さが6.3S未満であり、かつ冷却素子の冷却手段により、静止型混合素子の溶融樹脂との接液面の温度(Tw)を、熱可塑性樹脂の降温結晶化開始温度(Tcb)以上に冷却し、かつ熱交換器出口での熱可塑性樹脂温度(Tout)と熱交換器入口での熱可塑性樹脂温度(Tin)が下記式(1)、(2)を満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂用熱交換器に関するものである。
Tin−Tout≧20(℃) (1)
Tout≧Tcb (2)
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明における熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、その他、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などを用いることができる。また、これらの樹脂はホモ樹脂であってもよく、共重合またはブレンドであってもよい。また、これらの樹脂の中に、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子などが添加されていてもよい。
【0006】
本発明における溶融押出の方法としては、一般に市販されている押出機を用いて、熱可塑性樹脂を供給部に供給し、加熱された押出機内のスクリュの回転により、樹脂を溶融し、押出機から送り出された溶融樹脂を、加熱された流路(ポリマ管)内を通して口金に導く。このときフィルタを通して異物、変性ポリマを除去し、また、必要に応じて定量供給性を上げるためにギアポンプを設けても良い。ここで、押出機としては、公知の一軸あるいは二軸押出機を用いることができる。押出機のスクリュの形状は、適用する熱可塑性樹脂の性質に応じて最適なものを用いればよい。押出機における該熱可塑性樹脂の加熱温度は、該熱可塑性樹脂が結晶性を示す場合は、融点以上とし、未溶融物が残らないようにする。該熱可塑性樹脂の融点は、示差走査熱量計(DSC)により公知の方法で簡易に測定することが可能である。一般に高分子材料の場合、融点は一点として観測されるわけでなく、裾野の広がったピークとして観測される。ここで、押出機の加熱温度を定める融点としては、必ずしもピーク温度ではなく、裾野の終わりの温度(融解終了温度、Tme)を採用することが好ましい。ピーク温度では大半の樹脂は融解しているが、裾野の広がりの部分の樹脂が溶融せず未溶融状態で残る可能性があり、Tme以上まで加熱することが好ましい。
【0007】
ここで、本発明を、図面を用いてより詳細に説明する。図1は本発明の熱可塑性樹脂用熱交換器の一実施態様を示した概略図である。すなわち、熱交換器の冷却素子2内には静止型混合素子、特に限定はしないが、例えば特公昭53−36182号公報に開示されているような下記構成の静止型混合素子3すなわち、並列に設置されかつ内部に螺旋翼をもった、流体を通過させる少なくとも2つの流体通路と、これらの流体通路に共通して設けられ、被混合流体を上流側では集合せしめ、下流側では分割させるもう一つの流体通路とを結合してなる流体混合素子を複数個直列に接続することによって構成され、前記複数個接続された流体通路の各々の中心を結ぶ線が、隣接する他の流体混合素子の対応する中心を結ぶ線と交差するように配列され、さらに該中心を結ぶ線が前記螺旋翼の上流側および下流側の翼端部の方向とも交差するように配列されて構成されていることを特徴とする流体混合器が装着されている。
【0008】
図1には加熱手段の例として、冷却素子2の外周部にジャケット型加熱素子1が設けられている。このジャケット型加熱素子1は特に限定はしないが、例えばヒータで電気的に加熱するものでも良い。ジャケット型加熱素子1は、冷却効率を高める場合など加熱を行わない場合には、ヒータとしてではなく、保温材として使用することも可能である。
【0009】
このジャケット型加熱素子1の内側には、冷却用冷媒の流路が設けられた冷却素子2が設置され、この冷却手段により冷却素子2内部に設置されている静止型混合素子3の冷却が可能となる。冷却手段としては、特に限定はしないが、冷却素子2に冷媒が通過できるような孔を設け、そこに冷媒を流すことにより、冷却が可能である。冷却用冷媒には、空気や、水、オイルなどが好ましく用いられる。また、静止型混合素子3には流体との接液面4から5mm以内に、熱電対を挿入し、接液面4の温度(Tw)が測定可能となっている。ここで、静止型混合素子内の接液面温度(Tw)は、壁面付近の樹脂から固化してしまうのを避けるため、熱可塑性樹脂の降温結晶化開始温度(Tcb)以上に保持することが必要である。高分子樹脂の場合、溶融状態にある樹脂を該熱可塑性樹脂の融解終了温度(Tme)未満に冷却しても短時間では固化せず、いわゆる過冷却の液相状態を保つことができるが、Tcbよりも低い温度になると樹脂が結晶化を始め、押出されたフィルムの表面荒れ、押出異常、流れむらを生じたり、経時で固化し、通常の押出機で押出不可能となるため好ましくない。本発明においては、該熱可塑性樹脂を冷却するわけであるが、その際に重要なことは、樹脂を決して固化させないということである。高分子の過冷却状態を利用して、融点以下である場合でも、液相状態で押出すことが重要である。
【0010】
また、流体との接液面4の表面粗さは6.3S未満、好ましくは3.2S未満、さらに好ましくは1.6S未満である。6.3S以上の表面粗さでは、冷却効率が悪くなり、また低温化した樹脂が部分的に結晶化して、流動むら、滞留むらになり、さらに時間が経過するとやがては樹脂が固化してもはや押出不能となる。
【0011】
冷媒温度は、冷媒の比熱等を考慮すると、低温であるほど効率が上がり、装置がコンパクト化できるため好ましい。液体の場合、樹脂の融点(Tm)−100℃以下、好ましくはTm−130℃以下、さらに好ましくはTm−150℃以下である。空気の場合、樹脂の融点(Tm)−150℃以下、好ましくはTm−170℃以下、さらに好ましくはTm−190℃以下である。
【0012】
一方、通過する熱可塑性樹脂の溶融体は、熱交換器の流体入口5から流入され、冷却素子2の筒内に複数個直列に装着された静止型混合素子3間を順次通過して、位相の変化と分割とが繰り返されて細分化により断面内均一化混合が促進されつつ、上記冷却素子2により、所望の温度に冷却され、熱交換器の流体出口6から排出される。このとき、熱交換器出口での樹脂温度が熱交換器入口での該樹脂温度(Tin)を超えると、熱交換器による冷却効果が得られないため好ましくない。とくに本発明では、後述の実施例にも示すように、熱交換器入口での熱可塑性樹脂温度(Tin)と熱交換器出口での熱可塑性樹脂温度(Tout)との差を20℃以上としている。また、熱交換器出口での熱可塑性樹脂温度が、該樹脂の降温結晶化開始温度(Tcb)未満であると、樹脂の結晶化が始まり、経時で固化し、もはや押出し不可能となるため好ましくない。そこで、熱交換器出口での熱可塑性樹脂温度は、少なくとも熱交換器入口での該樹脂のTin以下であり、かつ該熱可塑性樹脂のTcb以上であることが必要となる。
【0013】
次に、押出し装置とフィルタ間に設置した本発明の熱交換器について、図2に従い詳細に説明する。まず、押出し装置7では、スクリュ8により樹脂を融解終了温度(Tme)以上に溶融させ、熱可塑性樹脂の溶融体を熱交換器9へ送り込む。熱交換器内を通過した溶融体は、その下流に設置されたフィルタ10内に流入され、異物やゲル等が取り除かれる。また、フィルタ10と熱交換器9の間には、樹脂温度を測定するための熱電対が挿入されている。
【0014】
一般に、押出し装置では、未溶融物による製品品質の低下や装置内への滞留、フィルタでの目詰まり等の問題を避けるため、熱可塑性樹脂の融解終了温度(Tme)以上の温度に加熱することが望ましい。しかし、押出し装置下流の加熱された流路管(ポリマ管)では粘性発熱や剪断発熱により通過する間に流体温度が設定温度より高温となる。また、フィルタ内は他の装置と比較して流体の滞留時間が長いため、フィルタ入口での流体温度(Tin)が高温過ぎると、フィルタを通過する間に、樹脂が熱分解し、IVの低下やゲル化など樹脂の性質が変化してしまう。変質化した樹脂(変質ポリマ)は製品の表面欠点や内部欠点等の重要な問題の原因となるのみならず、フィルタの目詰まりの原因にもなる。一度発生してしまった変質ポリマは、生産ラインを停止して、フィルタを交換するまで回復せず、工程の不安定化につながる。すなわち、高温化した樹脂が変質化することにより、押出開始(生産開始)から、品種切替までの間にフィルタ交換等の問題が発生し、生産ラインを停止する事態が懸念される。これまでに、変質ポリマ対策としてポリマの低温化が有効であることは知られており、様々な検討がなされてきたが、十分な効果は得られていなかった。
【0015】
本発明では、押出し装置7とフィルタ10の間に本発明の熱交換器9を設置することにより、フィルタ入口における樹脂温度を、樹脂の変質が生じない温度まで冷却可能となる。熱交換器出口(フィルタ入口)での樹脂温度は、少なくとも融点(Tm)+30℃以下、好ましくはTm+25℃以下、さらに好ましくはTm+20℃以下である。樹脂温度がTm+30℃以上を超えると、冷却効果が足りず、変質ポリマの発生は免れない。
【0016】
このように、熱可塑性樹脂の溶融押出製造法において、本発明の熱交換器を使用することにより、コンパクトでかつ省エネルギーでありながら、押出欠点が非常に少なく、安定に長時間高品質の押出物を製造することが可能となる。
【0017】
【物性値の評価・測定方法】
(1)表面粗さ
静止型混合素子の接液面の表面粗さは、東京精密社製接触式表面粗さ計“Surfcom”を用いて測定し、JIS−B−0601で定義される最大高さで表した。測定条件は、測定基準長さを0.25mmとし、針の角度を90°測定深0.1mmとした。最大高さは、実施例では実測の最大高さをRmax、それ以外では許せる最大値表示Sで示した。ここでいう許せる最大値とは、指定された表面からランダムに抜き取った数カ所のRmaxの算術平均値を示す。例えば6.3Sという場合には、最大高さは0μmRmax≦6.3S≦6.3μmRmaxを意味する。
【0018】
(2)熱特性
示差走査熱量計として、セイコー電子工業株式会社製“ロボット”DSC RDC220を用い、データ解析装置として、同社製“ディスクステーション”SSC/5200を用いて、サンプル約5mgをアルミニウム製の受皿上300℃で5分間溶融保持し、液体窒素で急冷固化した後、室温から昇温速度20℃/分で昇温した。この時観測される融解の吸熱ピークの開始温度をTmb、ピーク温度をTm、ピーク終了温度をTmeとした。また300℃まで昇温後、5分間溶融保持し、降温速度20℃/分で降温した。この際観測される降温結晶化の発熱ピークの開始温度をTcb、ピーク温度をTc、ピーク終了温度をTceとした。
【0019】
(3)樹脂温度
熱交換器入口、および出口での熱可塑性樹脂の温度はそれぞれ、熱交換器入口および出口のポリマ管に孔を設け、樹脂の流路内に熱電対を挿入し、樹脂の漏れを防ぐシールを施して測定した。
【0020】
(4)安定押出時間
図2に示されるような押出工程において、フィルタ通過後、成型用口金から吐出されたフィルム状の成型物を採取し、周囲を暗くして複数のライトでフィルムを照らし、透過光にてフィルムを観察する。押出機へ原料ポリマを供給開始した時間から、フィルム上に、目視で約30μmφ以上の表面欠点が観察され始めるまでの経過時間をもって安定押出時間とした。
【0021】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて説明する。
【0022】
実施例1〜4、比較例1〜3
熱可塑性樹脂として、極限粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを用いた。DSCを用いて熱特性を測定したところ、Tmb:251℃、Tm:264℃、Tme:272℃、Tcb:211℃、Tc:197℃、Tce:178℃であった。このポリエチレンテレフタレートのペレットを180℃で3時間真空乾燥した後、図2に示すような、径が90φ、吐出能力50〜200kg/hrの横型の押出し装置7に供給し、300℃で溶融させて、その下流に設置されたL/D=1.2の静止型混合素子3が組み込まれた本発明の熱交換器に供給した。静止型混合素子3には、接液面の表面粗さが0.8〜7.2μmRmaxのものを用いた。熱交換器には外周部に加熱素子、その内部に冷却素子、さらにその内部には静止型混合素子が組み込まれたものを用い、フィルタを介して成形用口金11に供給し、フィルム状の押出成型物を得た。熱交換器の冷却素子には、静止型混合素子との接触面付近に空孔を複数設け、ここに25℃の空気を流すことにより冷却を行った。
【0023】
押出機の吐出量を200kg/hrで一定とし、また接液面の表面粗さが0.8μmRmaxの静止型混合素子を使用した場合に、冷却用空気の流量を0.5〜1.5m3 /分まで変化させた。静止型混合素子の壁面温度(Tw)をポリエチレンテレフタレートの融点(Tm)以下、降温結晶化開始温度(Tcb)以上に低温化した実施例1〜4について、熱交換器入口、出口における樹脂温度(Tin、Tout)の測定、および安定押出時間の計測を行い、表1に示すような結果を得た。
【0024】
実施例1〜4は、いずれも熱交換器出口での樹脂温度(Tout)がポリエチレンテレフタレート樹脂の融点(Tm)+30℃の294℃以下になっていること、その結果、安定押出時間が500時間以上となり、本発明の方法により、押出工程の安定性が飛躍的に向上することが確認された。また熱交換器の接液面温度(Tw)を低温化するに従い、熱交換器入口と出口での樹脂温度の差(Tin−Tout)が大きくなり、それにともなって安定押出時間が長くなり、押出安定性が向上することが分かった。
【0025】
次に、その他の条件は実施例1〜4と同様とし、冷却素子での冷却を行わなかった比較例1、およびその他の条件は実施例1〜4と同様にし、冷却素子に流す空気流量を3.5〜7.1m3 /分として静止型混合素子の壁面温度(Tw)をポリエチレンテレフタレートの降温結晶化開始温度(Tcb)以下に冷却した比較例2および3を表1に示す。比較例1では、Toutが315℃となり、熱交換器出口の樹脂温度は入口での温度よりも上昇していた。また、安定押出時間は25時間であり、実施例1〜4に比較して非常に短くなった。Twが200℃、180℃である比較例2および3は、樹脂が固化して押出不能となった。
【0026】
実施例5〜7、比較例4
その他の条件は実施例1〜4と同様にし、冷却素子に流す空気流量を1.5m3 /分、静止型混合素子の接液面温度(Tw)を235℃一定とし、接液面の表面粗さがそれぞれ5.9μmRmax、3.8μmRmax、2.1μmRmaxの静止型混合素子を使用した実施例5〜7と、その他の条件は実施例5〜7と同様にして、接触面の表面粗さが7.2μmRmaxの静止型混合素子を使用した比較例4について、その結果を表1に示す。
【0027】
実施例5〜7では、安定押出時間がそれぞれ650時間、880時間、950時間となり本発明の方法により、表面粗度が小さくなるほど、冷却効率が高まり、さらに押出工程の安定性が向上することが確認された。逆に表面粗さを7.2μmRmaxとした比較例4は4時間と、実施例5〜7と比較して急激に安定性が低下することが分かった。
【0028】
実施例8〜11、比較例5〜7
次に熱可塑性樹脂として、極限粘度0.62のポリエチレン−2,6−ナフタレートを用いた。DSCを用いて熱特性を測定したところ、Tmb:258℃、Tm:265℃、Tme:278℃、Tcb:225℃、Tc:194℃、Tce:143℃であった。このポリエチレン−2,6−ナフタレートのペレットを180℃で3時間真空乾燥した後、実施例1〜4と同様の押出機、本発明の熱交換器、フィルタを用いて成形用口金に供給し、フィルム状の押出成型物を得た。
【0029】
押出機の吐出量は200kg/hrで一定とし、静止型混合素子には、接液面の表面粗さが0.8μmRmaxのものを使用した場合に、冷却用空気の流量を0.5〜1.5m3 /分まで変化させた。静止型混合素子の壁面温度(Tw)をポリエチレン−2,6−ナフタレートの融点(Tm)以下、降温結晶化開始温度(Tcb)以上に低温化した実施例8〜11について、熱交換器入口、出口における樹脂温度(Tin、Tout)の測定、および安定押出時間の計測を行い、表2に示すような結果を得た。
【0030】
実施例8〜11は、いずれも熱交換器出口での樹脂温度(Tout)がポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂の融点(Tm)+30℃の295℃以下になっていること、その結果、安定押出時間が500時間以上となり、本発明の方法により、押出工程の安定性が飛躍的に向上することが確認された。また熱交換器の接液面温度(Tw)を低温化するに従い、熱交換器入口と出口での樹脂温度の差(Tin−Tout)が大きくなり、それにともなって安定押出時間が長くなり、押出安定性が向上することが分かった。
【0031】
次に、その他の条件は実施例8〜11と同様とし、冷却素子での冷却を行わなかった比較例5、およびその他の条件は実施例8〜11と同様にし、冷却素子に流す空気流量を3.5〜7.1m3 /分として静止型混合素子の壁面温度(Tw)をポリエチレン−2,6−ナフタレートの降温結晶化開始温度(Tcb)以下に冷却した比較例6および7を表2に示す。比較例5では、Toutが318℃で、熱交換器出口の樹脂温度は入口での温度よりも上昇していた。また、安定押出時間は22時間となり、実施例8〜11に比較して非常に短くなった。Twが201℃、180℃である比較例6および7は、経時で固化が生じ、押出不可能となった。
【0032】
実施例12〜14、比較例8
その他の条件は実施例8〜11と同様にし、冷却素子に流す空気流量を1.5m3 /分、静止型混合素子の接液面温度(Tw)を236℃一定とし、接液面の表面粗さがそれぞれ5.9μmRmax、3.8μmRmax、2.1μmRmaxの静止型混合素子を使用した実施例12〜14と、その他の条件は実施例12〜14と同様にして、接液面の表面粗さを7.2μmRmaxとした比較例8について、その結果を表2に示す。
【0033】
実施例12〜14では、安定押出時間がそれぞれ664時間、899時間、962時間となり本発明の方法により、表面粗度が小さくなるほど、押出工程の安定性が向上することが確認された。逆に表面粗さの最大値が7.2μmRmaxである比較例8は3時間と、実施例8〜11と比較して急激に安定性が低下することが分かった。
【0034】
【表1】
Figure 0003635735
【表2】
Figure 0003635735
【0035】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂用熱交換器によれば、熱可塑性樹脂の溶融押出製造法において、樹脂の過熱による異物の発生、樹脂の固有粘度の低下等の問題を一挙に解決し、長時間安定に、高品質の押出物を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱可塑性樹脂用熱交換器の一例を示した概略図である。
【図2】本発明の熱可塑性樹脂押出装置の一例を示した概略図である。
【符号の説明】
1:ジャケット型加熱素子
2:冷却素子
3:静止型混合素子
4:接液面
5:流体入口
6:流体出口
7:押出し装置
8:スクリュ
9:熱交換器
10:フィルタ
11:成形用口金

Claims (2)

  1. 冷却素子と、該冷却素子の内部に静止型混合素子が組み込まれた、押出し装置とフィルタの間に設置して用いられる熱可塑性樹脂用熱交換器において、該静止型混合素子の溶融樹脂との接液面の表面粗さが6.3S未満であり、かつ冷却素子の冷却手段により、静止型混合素子の溶融樹脂との接液面の温度(Tw)を、熱可塑性樹脂の降温結晶化開始温度(Tcb)以上に冷却し、かつ熱交換器出口での熱可塑性樹脂温度(Tout)と熱交換器入口での熱可塑性樹脂温度(Tin)が下記式(1)、(2)を満たすことを特徴とする熱可塑性樹脂用熱交換器。
    Tin−Tout≧20(℃) (1)
    Tout≧Tcb (2)
  2. 押出機とフィルタの間に請求項1に記載の熱可塑性樹脂用熱交換器を用いる熱可塑性樹脂の押出方法において、熱交換器出口での熱可塑性樹脂温度(Tout)が融点(Tm)+30℃以下であることを特徴とする熱可塑性樹脂の押出方法。
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