JPH08280680A - 超音波探触子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 超音波探触子のフォーカス位置を容易かつ正
確に自由に設定可能であり鮮明な超音波画像を得ること
のできる超音波探触子を提供することを目的とする。 【構成】 探触子ケース１６内で、複数の超音波振動子
を含み所定のフォーカスを有する振動子ユニット１２
が、移動台２４、モータ２６、棒状ネジ２８等からなる
上下移動機構によって被検体に対して近遠方向にスライ
ド可能に設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、超音波の送受波によっ
て超音波画像を得る超音波診断装置に用いる超音波探触
子、特に超音波ビームのフォーカス位置を変えることの
できる超音波探触子に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、超音波診断装置に用いられる超音
波探触子は電気信号に対応した超音波を発生する超音波
振動子を有し、被検体に超音波を送波し、生体から戻っ
てきた超音波を受波して対応する電気信号を発生する。
この超音波の送受波の遅延量に基づいて被検体内部の超
音波画像を形成している。この時、診断部の鮮明な超音
波画像を得るためには前記超音波振動子から放射される
超音波のフォーカスを被検体の診断位置に対して最適な
位置（深度）に調整する必要がある。

【０００３】一般的なフォーカス方法としては、超音波
振動子の振動面の形状や超音波振動子上に音響整合層を
介して設けられた音響レンズの形状等によって超音波ビ
ームを集束させて、予め決められた深度にフォーカスを
合わせる、いわゆる固定フォーカスと、走査方向に複数
個配列されている各超音波振動子を少しずつ遅延させて
励振させることによって超音波ビームに指向性を持た
せ、全体で合成される超音波ビームを所望の深度にフォ
ーカスを合わせる、いわゆる電子フォーカスとがある。

【０００４】前記固定フォーカスは走査方向と直交する
方向（Ｘ方向とする）、つまり、短冊状の超音波振動子
の長手方向のフォーカス調整に適応され、前記電子フォ
ーカスは超音波振動子の配列方向（Ｙ方向とする）のフ
ォーカス調整に適応され、単独で固定フォーカス或いは
電子フォーカスを利用することによって、または、両者
を組み合わせて利用することによって、所望する診断位
置に適したフォーカス調整を予め行い鮮明な超音波画像
を得ていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の超音波
探触子は、超音波振動子のＸ方向に関するフォーカス調
整は音響レンズの形状によって決定される固有の固定フ
ォーカスであるため、高分解能の鮮明な超音波画像を得
ることのできる範囲は限定され、診断位置が超音波探触
子によって限定されてしまうという問題があった。ま
た、超音波振動子のＹ方向に関するフォーカス調整は電
子フォーカス利用時の遅延回路の遅延時間を選択するこ
とによって任意の深さで集束させることが可能であり、
フォーカス調整を行うことができるが、前述したように
Ｘ方向に関するフォーカスは固定フォーカスによって固
定されてしまっているため、結果的に最適なフォーカス
を行える範囲はＸ方向のフォーカスによって限定され、
診断位置が超音波探触子によって限定されてしまう。

【０００６】さらに、固定フォーカスの場合も電子フォ
ーカスの場合も超音波の偏向角には限界があるため、超
音波振動子の超音波放射面に極端に近い位置にフォーカ
スを合わせることができず、被検体の深度の浅い部分の
超音波画像を鮮明に得ることが困難であった。

【０００７】このため音響整合剤を満たしたウォーター
バック等を被検体と超音波探触子との間に介在させ、前
記ウォーターバックの厚さを調整することによって被検
体の所望深度にフォーカスを強制的に合わせることが行
われているが、ウォーターバックの厚さ調整に熟練を要
し手間がかかると共に、ウォーターバックが介在するこ
とによって、被検体表面から診断位置までの実際の距離
を算出することが困難であり、診断の信頼性を低下させ
るという問題があった。

【０００８】本発明は、上記のような問題を解消するた
めになされたもので、超音波探触子のフォーカス位置を
容易かつ正確に自由に設定できる鮮明な超音波画像を得
ることのできる超音波探触子を提供することを目的とす
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１記載の超音波探触子は、被検体に接触可能
な接触面を有し内部に超音波整合材を封入した探触子ケ
ースと、複数の超音波振動子を含み前記探触子ケース内
部で被検体に対して近遠方向にスライド可能な所定のフ
ォーカスを有する振動子ユニットと、前記振動子ユニッ
トを近遠方向にスライドさせて該超音波振動子のフォー
カス位置を変える上下駆動機構と、を含むことを特徴と
する。

【００１０】また、請求項２記載の超音波探触子は、請
求項１記載の超音波探触子において、さらに、前記超音
波振動子の遠近方向の移動量を検出する移動量検出部
と、移動量検出部の検出結果に基づいて被検体表面から
診断部までの深度を算出する深度演算部と、を含むこと
を特徴とする。

【００１１】さらに、請求項３記載の超音波探触子は、
請求項１又は請求項２記載の超音波探触子において、前
記振動子ケースの把持部近傍に前記上下駆動機構の駆動
量と駆動方向を制御する制御スイッチを設けたこと特徴
とする。

【００１２】

【作用】請求項１記載の超音波探触子によれば、超音波
整合材が満たされた探触子ケース内で、複数の超音波振
動子を含み所定のフォーカスを有する振動子ユニット
が、上下駆動機構によって被検体に対して近遠方向にス
ライド可能に設けられている。従って、超音波振動子の
超音波放射面と被検体との相対距離を任意に選択するこ
とが可能であり、フォーカス位置を容易に所望の診断位
置に合わせることができる。

【００１３】また、請求項２記載の超音波探触子によれ
ば、前記超音波振動子の遠近方向の移動量を検出する移
動量検出部を含み、検出結果に基づいて深度演算部が被
検体表面から診断部までの深度を算出するので、診断位
置を容易に認識することができる。

【００１４】さらに、請求項３記載の超音波探触子によ
れば、前記上下駆動機構の駆動量と駆動方向を制御する
制御スイッチを前記振動子ケースの把持部近傍に設けて
いるので、フォーカス位置の調整を容易に行うことがで
きる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図を用いて説明す
る。

【００１６】図１は、本発明に係る超音波探触子１０の
内部構造を示す略断面図である。

【００１７】前記超音波探触子１０は、複数の超音波振
動子を含む振動子ユニット１２と、該振動子ユニット１
２を内部空間１４に内蔵する振動子ケース１６として、
下面に超音波透過膜等からなり被検体に接触可能な接触
面となる音響窓１５を有する本体ケース１６ａと、該本
体ケース１６ａの内部空間に注入される蒸留水等の超音
波整合材の漏れを防止するシール部材を有する密閉カバ
ー１６ｂと、図示しない超音波診断装置側に接続される
電源コードや信号線１７等のケーブル１８等の接続及び
保護を行うケーブルケース１６ｃ等から構成されてい
る。

【００１８】本発明の特徴的事項は、前記振動子ユニッ
ト１２が振動子ケース１６内部で図１中上下方向（Ｚ方
向：被検体２０に対して遠近方向）に移動することによ
って、該振動子ユニットから放射される超音波のフォー
カス位置を被検体２０に対して見掛上変更することがで
きる点である。

【００１９】前記振動子ユニット１２の超音波放射部の
構成は、周知のように、底面側に短冊状の複数の超音波
振動子と超音波整合層を介して蒲鉾状の音響レンズとが
積層構造を呈している。従って、各超音波振動子の長手
方向（Ｙ方向：図１中紙面垂直方向）のフォーカスは前
記音響レンズの形状に基づく固定フォーカスによって決
定され、超音波振動子の配列方向（Ｘ方向：図１中左右
方向）のフォーカスは図示しない遅延回路による電子フ
ォーカスによって決定される。この時、固定フォーカス
と電子フォーカスとによるフォーカスが一致し、図１に
示すフォーカス位置ｆ1 に合うように設定する。また、
前記振動子ユニット１２は図１中上下方向（Ｚ方向）に
設けられたガイドレールやガイドバー等のガイド部材２
２によってガイドされる移動台２４に保持されている。
さらに、前記移動台２４にはパルスモータ等のモータ２
６によって回転自在な棒状ネジ２８と噛合可能なナット
部３０が固定されている。従って、モータ２６の駆動に
よって棒状ネジ２８が回転し、移動台２４と共に、振動
子ユニット１２を上下方向（Ｚ方向）に移動させること
ができる。つまり、前記ガイド部材２２、モータ２６、
棒状ネジ２８、ナット部３０等によって、上下駆動機構
を構成している。

【００２０】従って、モータ２６の駆動量を制御するこ
とによって、図２に示すようにフォーカス位置を被検体
２０の深い部分（フォーカス位置ｆ1 ）と浅い部分（フ
ォーカス位置ｆ2 ）との間で任意に移動させることがで
きる。

【００２１】つまり、Ｘ方向及びＹ方向のフォーカスが
最適に合った状態で被検体２０の所望の診断位置（所望
の深度）に最適な超音波照射が可能になり、分解能の高
い鮮明な超音波画像を得ることができる。また、従来、
フォーカスが困難であったごく浅い部分にも容易にフォ
ーカス位置を移動させることが可能になり、ウォーター
バッグ等の調整部材を用いる必要がなくなり、超音波診
断の診断効率を向上させることができる。

【００２２】さらに、移動台２４の移動量を検出するエ
ンコーダ等の移動量検出部３２を設け、その検出結果に
基づいて超音波放射面から被検体表面までの距離を算出
することによって、被検体表面から診断位置までの実際
の距離を容易に算出することができる。具体的には、図
１に示すようにモータ２６に移動量検出部３２として、
ロータリーエンコーダを接続し、モータ２６の回転量を
ロータリーエンコーダのカウント数として図３に示すよ
うにカウンタ回路３４で計測し、計算回路３６で振動子
ユニット１２の最下点位置（図２の２点鎖線で示す位
置）から振動子ユニット１２が移動した距離Ｓ1 を算出
し、この距離Ｓ1 と既知の振動子ユニット１２の最下点
位置から音響窓１５の表面までの距離Ｓ2 とから振動子
ユニット１２の上下動作に起因する修正値を算出する。
深度演算部３７では算出した修正値を超音波診断装置３
８から出力される距離、すなわち超音波の送受波の遅延
量に基づいて算出される各診断部（超音波画像として表
示される臓器等の各ポイント）までの測定距離から減算
し実際の被検体２０の表面から診断位置までの距離を表
示装置４０に表示する。このように振動子ユニット１２
が任意に移動しても実際の診断位置までの距離を容易に
表示することができる。

【００２３】また、振動子ケース１６の側面、好適には
把持部近傍にモータ２６を回転量や回転方向を制御する
制御スイッチ４２、具体的には押下している時間だけ所
定の方向にモータを回転させるようなプッシュスイッチ
を設けることによって、診断を行いながら所望の診断位
置について最適なフォーカス調整を行うことができる。

【００２４】なお、本実施例では上下駆動機構の駆動源
としてパルスモータ、伝達機構として棒状ネジを用いた
例を説明したが、これに限定されることなく例えば、駆
動源としてシリンダや圧電素子、伝達機構として歯車機
構やリンク機構等を用いて上下駆動機構を構成しても同
様の効果を得ることができる。

【００２５】また、本実施例では移動量検出部をパルス
モータに取り付けたロータリエンコーダを用いて説明し
たが、リニアエンコーダを移動台に配置する構成にして
も同様の効果を得ることができる。

【００２６】さらに、振動子ユニットを被検体に対して
近遠方向（上下方向）に移動させる構成は、リニア走
査、セクタ走査、コンベックス走査等を行う探触子に対
しても適応可能である。

【００２７】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の超音波診
探触子によれば、所定のフォーカスを有する振動子ユニ
ットが振動子ケース内で上下駆動機構によって被検体に
対して近遠方向にスライド可能に設けられているので、
超音波振動子の超音波放射面と被検体との相対距離を任
意に選択することが可能であり、フォーカス位置を所望
の診断位置に合わせることができる。従って、分解能の
高い鮮明な超音波画像を被検体の浅い部分から深い部分
の広い範囲で容易に得ることができる。

【００２８】また、本発明の超音波診探触子によれば、
振動子ユニットの遠近方向の移動量を検出する移動量検
出部を含み、検出結果に基づいて深度演算部が被検体表
面から診断部までの深度を算出するので、診断位置を容
易に認識することができる。さらに、上下駆動機構の駆
動量と駆動方向を制御する制御スイッチを前記振動子ケ
ースの把持部近傍に設けているので、診断中でもフォー
カス位置の調整を容易の行うことができるので、広い範
囲の超音波画像を鮮明に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係る超音波探触子の略断面図であ
る。

【図２】 本発明に係る超音波探触子のフォーカス位置
の移動を説明する説明図である。

【図３】 本発明に係る超音波探触子の振動子ユニット
の移動に起因する補正量の算出を説明するブロック図で
ある。

【符号の説明】

１０ 超音波探触子、１２ 振動子ユニット、１６ 振
動子ケース、２０ 被検体、２２ ガイド部材、２４
移動台、２６ モータ、２８ 棒状ネジ、３０ナット
部、３２ 移動量検出部、３７ 深度演算部、４２ 制
御スイッチ。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被検体に接触可能な接触面を有し内部に
   超音波整合材を封入した探触子ケースと、 複数の超音波振動子を含み前記探触子ケース内部で被検
   体に対して近遠方向にスライド可能な所定のフォーカス
   を有する振動子ユニットと、 前記振動子ユニットを近遠方向にスライドさせて該超音
   波振動子のフォーカス位置を変える上下駆動機構と、 を含むことを特徴とする超音波探触子。
2. 【請求項２】 請求項１記載の超音波探触子において、 さらに、前記超音波振動子の上下方向の移動量を検出す
   る移動量検出部と、 移動量検出部の検出結果に基づいて被検体表面から診断
   部までの深度を算出する深度演算部と、 を含むことを特徴とする超音波探触子。
3. 【請求項３】 請求項１又は請求項２記載の超音波探触
   子において、 前記振動子ケースの把持部近傍に前記上下駆動機構の駆
   動量と駆動方向を制御する制御スイッチを設けたこと特
   徴とする超音波探触子。