JPH0827816A - 鉄筋コンクリートブロック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄筋挿入用孔内で硬化したモルタルやコンク
リートが鉄筋挿入用孔内で滑動することなく剪断抵抗が
増大され、剛体として強い抵抗力を発揮できる鉄筋コン
クリートブロックを提供することを目的とする。 【構成】 鉄筋挿入用孔を備えた鉄筋コンクリートブロ
ックにおいて、前記鉄筋挿入用孔１４には、高さ方向の
略中央部に、下方部分の孔径が上方部分の孔径より小さ
くなる様に段差部１６が形成されている。これにより、
鉄筋コンクリートブロック１０で構築した擁壁は、各ブ
ロックの鉄筋挿入用孔１４内で硬化したモルタルやコン
クリートの剪断抵抗力が増加され、構築した擁壁は剛体
として大きな抵抗力を発揮できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鉄筋コンクリートブロ
ックに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、道路、海岸、河川岸等に擁壁を構
築する場合には、地盤等に基礎フーチングを打設して鉄
筋コンクリートブロックを所定の高さ積層したものが構
築されている。この鉄筋コンクリートブロックにおいて
は、構築した擁壁の強度を増加するために、ブロックの
前壁の背面に突設された控え壁に直状の孔から成る複数
の鉄筋挿入用孔を設け、この控え壁を上下段のブロック
で重合させながら相互に連通した鉄筋挿入用孔内に基礎
フーチングより突設したアンカー鉄筋を挿入し、中間部
や上部位置のブロックにおいてはアンカー鉄筋に連結さ
せた連結鉄筋を挿入し、同時にモルタルまたはコンクリ
ートの様な充填材を鉄筋挿入用孔内に充填している。こ
れにより、上下段に積層した複数の鉄筋コンクリートブ
ロックを基礎フーチングに一体連結させて強度に優れた
擁壁を構築しているものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、前記
擁壁として積層構築した鉄筋コンクリートブロックの鉄
筋挿入用孔内に充填したモルタルまたはコンクリート
は、硬化に伴い幾分収縮し、かつ鉄筋挿入用孔は孔径が
略同一の直形孔から成るため、構築した鉄筋コンクリー
トブロックに土圧等による水平力に伴って鉄筋挿入用孔
内の硬化したモルタルやコンクリートに下向きの引張力
が作用した場合に、モルタルやコンクリートが鉄筋挿入
用孔内で滑り現象をおこして積層構築された鉄筋コンク
リートブロックは剛体として強い抵抗力を発揮できない
等の問題があった。

【０００４】本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、鉄筋挿入用孔内の略中央部
分に、下方部分の孔径より上方部分の孔径が大きくなる
様な段差部を設けたことにより、構築した鉄筋コンクリ
ートブロックに土圧等による外力が加わり鉄筋挿入用孔
内で硬化したモルタルやコンクリートに下向きの引張力
が加わっても、段差部におけるモルタルやコンクリート
の抵抗剪断力によって硬化したモルタルやコンクリート
が鉄筋挿入用孔内で滑動することなく剪断抵抗が増大さ
れ、剛体として強い抵抗力を発揮できる鉄筋コンクリー
トブロックを提供することにある。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】上記目的を達成するた
めに、本発明は、鉄筋挿入用孔１４を備えた鉄筋コンク
リートブロックにおいて、前記鉄筋挿入用孔１４には、
高さ方向の略中央部に、下方部分の孔径が上方部分の孔
径より小さくなる様に段差部１６が形成されて成る鉄筋
コンクリートブロック１０から構成される。また、前記
鉄筋挿入用孔１４の段差部１６の下方部分の孔は、同一
孔径の直形孔２２から形成されると共に、段差部１６の
上方部分の孔は、同一孔径の直形孔２４から形成される
か、または孔径が上方向に向かうにつれて拡径された逆
テーパ形孔２６から形成されて成ることとしてもよい。

【０００６】

【作用】本発明の鉄筋コンクリートブロックは、上下方
向に積層して擁壁を構築するとき、連通した鉄筋挿入孔
内にアンカー鉄筋や連結鉄筋を挿入して重ね継ぎし、更
にモルタルやコンクリートを充填させて硬化させるもの
である。内部に挿入充填した鉄筋や充填材は、鉄筋挿入
孔内の段差部により剪断抵抗が増大され、これにより剛
体として強い抵抗力を発揮でき、従来よりも高い擁壁を
構築できる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基
づき詳細に説明する。図１、図２には、本発明の実施例
に係る鉄筋コンクリートブロック１０の控え壁１２を上
下段に積層した一部拡大断面図が示されている。図より
明らかな様に、前記鉄筋コンクリートブロック１０は、
前壁（図示せず）に連設された控え壁１２に上下面に連
通した鉄筋挿入用孔１４を備えている。前記鉄筋挿入用
孔１４内には、高さ方向の略中央部に、下方部分の孔径
が上方部分の孔径より小さくなる様に、同孔の軸線方向
と略直交方向に形成された略３ないし５ｍｍ幅の段差部
１６が設けられ、更に前記鉄筋挿入用孔１４の上下端面
には、各孔径より拡径されたテーパ面１８、２０が設け
られている。前記鉄筋挿入用孔１４は、円形、方形、多
角形、楕円形であってもよい。

【０００８】これにより、上下段で連通した鉄筋挿入用
孔１４、１４内にアンカー鉄筋や連結鉄筋を挿入してモ
ルタルやコンクリートの様な充填材を充填して硬化させ
た時に、前記控え璧１２に図１、図２に示す様に矢印方
向の土圧による外力が加わり、基礎フーチング等に連結
された充填材に下向の引張力が作用しても、各ブロック
において鉄筋挿入用孔１４の段差部１６から上方の充填
材が硬化して剪断抵抗となって働き、積層した各鉄筋コ
ンクリートブロック１０は剛体として強い抵抗を発揮で
きる。

【０００９】また、積層した各ブロックの接合面におい
ては、下段側ブロックの鉄筋挿入用孔１４の上端テーパ
面１８に上段側ブロックの鉄筋挿入用孔１４の下端テー
パ面２０が密着接合し、断面略菱形の周縁形状が形成さ
れる。これにより、各ブロックの鉄筋挿入用孔１４の接
合部において、モルタルやコンクリートの充填容量が増
加し、接合部における鉄筋の「かぶり」が増加されてブ
ロックの接合部強度を増大できると共に鉄筋の腐触防止
に役立つこととなる。

【００１０】前記鉄筋挿入用孔１４の段差部１６の下方
部分の孔は、図１、図２に示す様に同一径の直形孔２２
で形成される。また、段差部１６から上方部分の孔は、
図１に示す様な同一孔径の直形孔２４に形成したり、ま
たは、図２に示す様に孔径が上方に向かうにつれて拡径
された逆テーパ形孔２６に形成してもよい。

【００１１】これにより、段差部１６の上方で硬化した
充填材に下向きの引張力が作用したときに、段差部１６
の上方の直形孔２４または逆テーパ形孔２６内で硬化し
た充填材が段差部１６によって制御されることによって
生じる剪断抵抗力は、弾性理論にかなった鋼体を形成す
ることができる。

【００１２】従って、本発明の鉄筋コンクリート１０を
上下段に積層し、各連通した鉄筋挿入用孔１４内に鉄筋
２７を挿入すると共にモルタルやコンクリートの様な充
填材を充填しながら構築した擁壁は、剪断抵抗力に優
れ、剛体として強く抵抗できることにより、高い擁壁を
構築できることとなる。

【００１３】次に、図３ないし図６には、本発明の一実
施例に係る鉄筋コンクリートブロック１０ａが示されて
いる。図より明らかな様に、この鉄筋コンクリートブロ
ック１０ａは、横長の矩形状に形成された前壁２８と、
この前壁２８の背面側の両端寄り位置に突設固定された
控え壁１２、１２とを備えている。この各控え壁１２の
端部には、両側方向へ膨出する様に膨拡壁３０ａが設け
られており、この膨拡壁３０ａ内に、略方形状に形成さ
れた鉄筋挿入用大径孔１４ａが上下面に連通して開孔さ
れている。更に、各控え壁１２の前壁２８に近い位置や
中間位置には上下面に連通した複数の鉄筋挿入用小径孔
１４ｂが開孔されている。

【００１４】図５、図６に示す様に、前記膨拡壁３０ａ
の鉄筋挿入用大径孔１４ａ内の略中央位置には、段差部
１６が設けられ、この段差部１６の下方に径の小さい直
形孔２２が、段差部１６の上方に直形孔２２より径の大
きい直形孔２４または逆テーパ形孔２６が配置されてい
る。また、前記鉄筋挿入用大径孔１４ａの上下端、及び
各鉄筋挿入用小径孔１４ｂの上下端にはテーパ面１８、
２０が設けられている。

【００１５】この実施例の鉄筋コクリートブロック１０
ａは、控え壁１２に膨拡壁３０ａを連設した割にはブロ
ック全体の重量が増加することがない。そして、例えば
この鉄筋コンクリートブロック１０ａを、図１１に示す
様に基礎フーチング３２の上面に五段程度配置する大型
擁壁ブロックＡ１として形成し、積層した場合には、積
層した各ブロックの連通した鉄筋挿入用大径孔１４ａ内
に基礎フーチング３２のアンカー鉄筋を複数挿入し、モ
ルタルやコンクリートの様な充填材を充填硬化させたと
き、各ブロックの鉄筋挿入用大径孔１４ａ内の充填材は
基礎フーチング３２からの引張力に対して段差部１６が
大きな剪断抵抗となって働き、構築した擁壁３４の強度
が増大される。

【００１６】また、図７ないし図１０には、他の実施例
の鉄筋コンクリートブロック１０ｂが示されている。こ
の鉄筋コンクリートブロック１０ｂも、横長矩形状の前
壁２８と、この前壁２８の背面側の両端寄り位置に突設
固定された控え壁１２、１２と、を備え、前記鉄筋コン
クリートブロック１０ａと同じ構成であるため、その詳
細な説明は省略する。この鉄筋コンクリートブロック１
０ｂの各控え壁１２の端部には、両側方向へ膨出する様
に膨拡壁３０ｂが設けられ、この膨拡壁３０ｂは、前記
鉄筋コンクリートブロック１０ａの控え壁１２の端部の
膨拡壁３０ａより長さが小さく形成され、この膨拡壁３
０ｂ内には鉄筋挿入用大径孔１４ａが開孔されている。

【００１７】図９、図１０に示す様に、前記膨拡壁３０
ｂの鉄筋挿入用大径孔１４ａ内の略中央位置には、段差
部１６が設けられ、この段差部１６の下方に径の小さい
直形孔２２が、段差部１６の上方に直形孔２２より径の
大きい直形孔２４または逆テーパ形孔２６が配置されて
いる。また、前記鉄筋挿入用大径孔１４ａの上下端、及
び各鉄筋挿入用小径孔１４ｂの上下端にはテーパ面１
８、２０が設けられている。

【００１８】この鉄筋コンクリートブロック１０ｂは、
図１１に示す様に基礎フーチング３２の上面に五段程度
配置する大型擁壁ブロックＡ１の上面に積層して擁壁３
４の中層部を構築するための大型擁壁ブロックＡ２とし
て構築するものである。この大型擁壁ブロックＡ１、Ａ
２は、各控え壁１２の鉄筋挿入用小径孔１４ｂや膨拡壁
３０ａ、３０ｂの鉄筋挿入用大径孔１４ａは、それぞれ
相互に連通し、この連通した孔内に連結鉄筋を挿入して
モルタルの様な充填材を充填硬化させることにより、上
段側の大型擁壁用ブロックＡ２は大型擁壁用ブロックＡ
１に強固に連結される。

【００１９】更に、上段側の大型擁壁ブロックＡ２の各
膨拡壁３０ｂの鉄筋挿入用大径孔１４ａ内に段差部１６
を設けたことにより、内部に充填したモルタルやコンク
リートの様な充填材は、大型擁壁ブロックＡ１と同様に
基礎フーチング３２からの引張力に対して段差部１６が
大きな剪断抵抗となって働き、擁壁３４の強度を増大で
き、前記大型擁壁ブロックＡ２に小型の擁壁ブロックＡ
３、Ａ４をそれぞれ積層した擁壁３４全体の剛体を向上
させ、従来の限度高さよりも更に高い擁壁が構築できる
ことなる。

【００２０】上記した様に、本発明の鉄筋コンクリート
ブロックは、鉄筋挿入孔内に段差部を設けて、内部に挿
入充填した鉄筋や充填材により剪断抵抗を増大させたも
のである。実施例では、Ｔ型ブロックを示しているがこ
れに限定されることなく、護岸コンクリートブロックや
連設コンクリートブロック等に実施することによって、
剛性に優れた擁壁を構築できることとなる。

【００２１】

【発明の効果】以上、説明した様に請求項１に係る鉄筋
コンクリートブロックによれば、鉄筋挿入用孔を備えた
鉄筋コンクリートブロックにおいて、前記鉄筋挿入用孔
には、高さ方向の略中央部に、下方部分の孔径が上方部
分の孔径より小さくなる様に段差部が形成されて成るこ
とにより、鉄筋コンクリートブロックを積層構築した擁
壁は、連通した鉄筋挿入用孔内の鉄筋によって下向きの
引張力が加わっても、硬化したモルタルやコンクリート
が鉄筋挿入用孔内で滑動することなく剪断抵抗が増大さ
れ、剛体として強い抵抗力を発揮できる。

【００２２】また、請求項２によれば、前記鉄筋挿入用
孔の段差部の下方部分の孔は、同一孔径の直形孔から形
成されると共に、段差部の上方部分の孔は、同一孔径の
直形孔から形成されるか、または孔径が上方向に向かう
につれて拡径された逆テーパ形孔から形成されて成るこ
とにより、段差部より上方の直形孔や逆テーパ形孔内の
充填材で滑り止めの効果が増加して剛性が飛躍的に増大
される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係り、鉄筋挿入孔内の段差部
の上方に直形孔が配置された鉄筋コンクリートブロック
の控え壁の一部拡大断面図である。

【図２】鉄筋挿入孔内の段差部の上方に逆テーパ形孔が
配置された鉄筋コンクリートブロックの控え壁の一部拡
大断面図である。

【図３】控え壁の膨拡壁に方形状の鉄筋挿入孔が配置さ
れたＴ形鉄筋コンクリートブロックの平面図である。

【図４】図３の鉄筋コンクリートブロックの正面図であ
る。

【図５】図３のＡ−Ａ線拡大断面図である。

【図６】鉄筋挿入孔内の段差部の上方に逆テーパ形孔が
配置された実施例の図３Ａ−Ａ線拡大断面図である。

【図７】控え壁の膨拡壁が小形で長円形または長方形の
鉄筋挿入孔が配置されたＴ形鉄筋コンクリートブロック
の平面図である。

【図８】図７の鉄筋コンクリートブロックの正面図であ
る。

【図９】図７のＢ−Ｂ線拡大断面図である。

【図１０】鉄筋挿入孔内の段差部の上方に逆テーパ形孔
が配置された実施例の図７Ｂ−Ｂ線拡大断面図である。

【図１１】本発明の鉄筋コンクリートブロックで構築し
た擁壁を示した斜視図である。

【符号の説明】

１０ 鉄筋コンクリートブロック １２ 控え壁 １４ 鉄筋挿入用孔 １６ 段差部 ２２ 直形孔 ２４ 直形孔 ２６ 逆テーパ形孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｅ０４Ｃ 1/12 Ｋ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄筋挿入用孔を備えた鉄筋コンクリート
   ブロックにおいて、 前記鉄筋挿入用孔には、高さ方向の略中央部に、下方部
   分の孔径が上方部分の孔径より小さくなる様に段差部が
   形成されて成る鉄筋コンクリートブロック。
2. 【請求項２】 前記鉄筋挿入用孔の段差部の下方部分の
   孔は、同一孔径の直形孔から形成されると共に、段差部
   の上方部分の孔は、同一孔径の直形孔から形成される
   か、または孔径が上方向に向かうにつれて拡径された逆
   テーパ形孔から形成されて成る請求項１記載の鉄筋コン
   クリートブロック。