JPH08277474A - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
方向性電磁鋼板およびその製造方法Info
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- JPH08277474A JPH08277474A JP8298595A JP8298595A JPH08277474A JP H08277474 A JPH08277474 A JP H08277474A JP 8298595 A JP8298595 A JP 8298595A JP 8298595 A JP8298595 A JP 8298595A JP H08277474 A JPH08277474 A JP H08277474A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 張力付与効果が大きく、防錆性に優れた被膜
を有した方向性電磁鋼板を提供する。 【構成】 水に溶解してアルカリ性を示す、リチウム、
ナトリウム、マグネシウム、カシルウム、ストロンチウ
ムのうちの一種または二種以上の元素らなる化合物を含
む第一層と、それに接した硼酸アルミニウム結晶質から
なる被膜を第二層とする、二層構造をもつ被膜を有する
電磁鋼板を、硼酸アルミニウム結晶質被膜を鋼板上に形
成後、第一層を塗布乾燥または焼き付けることによって
実現する。 【効果】 本発明によれば、硼酸アルミニウム結晶質被
膜を有した電磁鋼板の耐錆性を改善することができる。
を有した方向性電磁鋼板を提供する。 【構成】 水に溶解してアルカリ性を示す、リチウム、
ナトリウム、マグネシウム、カシルウム、ストロンチウ
ムのうちの一種または二種以上の元素らなる化合物を含
む第一層と、それに接した硼酸アルミニウム結晶質から
なる被膜を第二層とする、二層構造をもつ被膜を有する
電磁鋼板を、硼酸アルミニウム結晶質被膜を鋼板上に形
成後、第一層を塗布乾燥または焼き付けることによって
実現する。 【効果】 本発明によれば、硼酸アルミニウム結晶質被
膜を有した電磁鋼板の耐錆性を改善することができる。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は張力付与効果および耐錆
性に優れた硼酸アルミニウム結晶質を主成分とした被膜
を有した方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供する
ものである。
性に優れた硼酸アルミニウム結晶質を主成分とした被膜
を有した方向性電磁鋼板およびその製造方法を提供する
ものである。
【０００２】
【従来の技術】トランス磁心等に用いられる方向性電磁
鋼板では、その鉄損を改善するために絶縁材としての特
性をもち、鋼板に張力を与えることのできる被膜が形成
されている。従来は特開昭４８−３９３３８号公報にあ
るような燐酸塩系の被膜が張力付与被膜として一般的で
あった。しかし、最近の方向性電磁鋼板にはより低鉄損
で占積率が高いことが求められてきており、これに伴っ
てその被膜には薄くてより高い張力付与効果をもつもの
が要求されている。
鋼板では、その鉄損を改善するために絶縁材としての特
性をもち、鋼板に張力を与えることのできる被膜が形成
されている。従来は特開昭４８−３９３３８号公報にあ
るような燐酸塩系の被膜が張力付与被膜として一般的で
あった。しかし、最近の方向性電磁鋼板にはより低鉄損
で占積率が高いことが求められてきており、これに伴っ
てその被膜には薄くてより高い張力付与効果をもつもの
が要求されている。
【０００３】特開平６−６５７５４号公報、同６−６５
７５５号公報に従来に比べて大きな張力を与えることの
できる硼酸アルミニウム結晶質被膜が示されており、こ
れは従来の燐酸塩系被膜より方向性電磁鋼板に対して大
きな張力付与効果があるものである。この被膜によれば
トランスの占積率を悪化させることなく、鉄損を大幅に
改善することができる。しかし、この硼酸アルミニウム
結晶質被膜は水分に対して安定性に問題がある場合があ
り、この被膜を有した電磁鋼板は、空気中の水分等によ
って従来被膜形成材よりも錆が発生しやすい等の問題が
あった。
７５５号公報に従来に比べて大きな張力を与えることの
できる硼酸アルミニウム結晶質被膜が示されており、こ
れは従来の燐酸塩系被膜より方向性電磁鋼板に対して大
きな張力付与効果があるものである。この被膜によれば
トランスの占積率を悪化させることなく、鉄損を大幅に
改善することができる。しかし、この硼酸アルミニウム
結晶質被膜は水分に対して安定性に問題がある場合があ
り、この被膜を有した電磁鋼板は、空気中の水分等によ
って従来被膜形成材よりも錆が発生しやすい等の問題が
あった。
【０００４】電磁鋼板被膜の形成は鋼板の鉄損値を改善
することを第一の目的としているが、他方鋼板の防錆も
重要な機能である。このため、硼酸アルミニウム被膜の
耐水性を向上させた電磁鋼板として、硼酸アルミニウム
からなる結晶質部分を５０vol.％以上とし、残りの部分
を鉄、セリウム、珪素、コバルト、マンガン、亜鉛、ニ
ッケルの中から少なくとも一つの元素を含む、耐水性に
優れたガスラ質および／または、硼酸アルミニウム以外
の結晶質からなる被膜を有する電磁鋼板が特願平６−４
６１６３号明細書で提案されているが、耐錆性を解決す
るまでには至っていない。
することを第一の目的としているが、他方鋼板の防錆も
重要な機能である。このため、硼酸アルミニウム被膜の
耐水性を向上させた電磁鋼板として、硼酸アルミニウム
からなる結晶質部分を５０vol.％以上とし、残りの部分
を鉄、セリウム、珪素、コバルト、マンガン、亜鉛、ニ
ッケルの中から少なくとも一つの元素を含む、耐水性に
優れたガスラ質および／または、硼酸アルミニウム以外
の結晶質からなる被膜を有する電磁鋼板が特願平６−４
６１６３号明細書で提案されているが、耐錆性を解決す
るまでには至っていない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、鉄損改善に
効果のある張力付与効果が大きく、耐錆性に優れた硼酸
アルミニウム結晶質を主体とする被膜を有した方向性電
磁鋼板を提供することを目的とするものである。
効果のある張力付与効果が大きく、耐錆性に優れた硼酸
アルミニウム結晶質を主体とする被膜を有した方向性電
磁鋼板を提供することを目的とするものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは上
記課題を解決するための検討を行った結果、鋼板上の被
膜を硼酸アルミニウム結晶質被膜の上にアルカリ性の水
溶性成分を含む層を形成した二層構造の被膜とすること
によって、張力付与効果が大きく、耐錆性に優れた硼酸
アルミニウム結晶質を主体とする被膜を有した方向性電
磁鋼板が得られることを見いだした。
記課題を解決するための検討を行った結果、鋼板上の被
膜を硼酸アルミニウム結晶質被膜の上にアルカリ性の水
溶性成分を含む層を形成した二層構造の被膜とすること
によって、張力付与効果が大きく、耐錆性に優れた硼酸
アルミニウム結晶質を主体とする被膜を有した方向性電
磁鋼板が得られることを見いだした。
【０００７】すなわち、このような電磁鋼板は水に溶解
してアルカリ性を示す化合物を含む層を被膜の最表面の
第一層とし、それに接した硼酸アルミニウム結晶質から
なる層を第二層とする、二層構造の張力被膜を有する鋼
板とすることによって実現することができる。
してアルカリ性を示す化合物を含む層を被膜の最表面の
第一層とし、それに接した硼酸アルミニウム結晶質から
なる層を第二層とする、二層構造の張力被膜を有する鋼
板とすることによって実現することができる。
【０００８】また、最表面の第一層における水に溶解し
てアルカリ性を示す化合物を、リチウム、ナトリウム、
カリウム、マグネシウム、カシルウム、ストロンチウム
のうちの一種または二種以上の元素を含む化合物とし、
それに接した硼酸アルミニウム結晶質からなる層を第二
層とする二層構造の被膜をもつ電磁鋼板とすることで目
的が達せられる。
てアルカリ性を示す化合物を、リチウム、ナトリウム、
カリウム、マグネシウム、カシルウム、ストロンチウム
のうちの一種または二種以上の元素を含む化合物とし、
それに接した硼酸アルミニウム結晶質からなる層を第二
層とする二層構造の被膜をもつ電磁鋼板とすることで目
的が達せられる。
【０００９】このような鋼板は、硼酸アルミニウム結晶
質からなる被膜を有する鋼板上に、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウムのうち一種または二種以上の元素を含み、水に溶解
してアルカリ性を示す化合物を含む液を塗布後、乾燥ま
たは焼き付けることにより被膜を形成することを特徴と
する方向性電磁鋼板の製造方法で実現される。
質からなる被膜を有する鋼板上に、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチ
ウムのうち一種または二種以上の元素を含み、水に溶解
してアルカリ性を示す化合物を含む液を塗布後、乾燥ま
たは焼き付けることにより被膜を形成することを特徴と
する方向性電磁鋼板の製造方法で実現される。
【００１０】このような構造にすることで鋼板の耐錆性
が向上する理由は、アルカリ成分を含む被膜が鋼板を覆
うことによって、水分の存在下でも鋼板表面に緻密な鉄
の酸化物が安定に存在し得るためと推定される。水に溶
解してアルカリ性を示す化合物が含む元素として、リチ
ウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウムと限ったのは、これらの元素を含む
化合物の水溶液は、錆抑制に効果的なアルカリ性とする
ことができるからであり、特にリチウム、ナトリウム、
カリウムを含む場合に効果が高い。
が向上する理由は、アルカリ成分を含む被膜が鋼板を覆
うことによって、水分の存在下でも鋼板表面に緻密な鉄
の酸化物が安定に存在し得るためと推定される。水に溶
解してアルカリ性を示す化合物が含む元素として、リチ
ウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、ストロンチウムと限ったのは、これらの元素を含む
化合物の水溶液は、錆抑制に効果的なアルカリ性とする
ことができるからであり、特にリチウム、ナトリウム、
カリウムを含む場合に効果が高い。
【００１１】このような化合物としては、水酸基や、取
扱上の問題から、より望ましくは酢酸基、クエン酸基、
モリブデン酸基、硼酸基、炭酸基等、弱酸基を有するも
のを選ぶと良い。このような塩の形としては、酢酸塩、
クエン酸塩、モリブデン酸塩、硼酸塩、炭酸塩等、水溶
性の塩を構成するものであればその種類を問わないが、
硼酸塩等なるべく高温まで安定な塩を構成する塩が良
い。
扱上の問題から、より望ましくは酢酸基、クエン酸基、
モリブデン酸基、硼酸基、炭酸基等、弱酸基を有するも
のを選ぶと良い。このような塩の形としては、酢酸塩、
クエン酸塩、モリブデン酸塩、硼酸塩、炭酸塩等、水溶
性の塩を構成するものであればその種類を問わないが、
硼酸塩等なるべく高温まで安定な塩を構成する塩が良
い。
【００１２】被膜の第一層において、水に溶解してアル
カリ性となる化合物量が少ないと鋼板の耐錆性が十分で
なく、多すぎると湿潤雰囲気中では被膜が吸湿して湿り
等の不都合が生じる。したがって、第一層中に含まれる
水に溶解する化合物の量を溶出するアルカリ成分の量で
規定すると、鋼板を５０℃の温水に５分間浸漬した場合
に鋼板１ｍ2 当たりから溶出するアルカリ成分の量は１
０〜３００mgの範囲が適当であり、より望ましくは１０
０〜３００mgとすると良い効果が得られる。この場合の
アルカリ成分とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムのうちの一
種或いは二種以上の元素を指す。
カリ性となる化合物量が少ないと鋼板の耐錆性が十分で
なく、多すぎると湿潤雰囲気中では被膜が吸湿して湿り
等の不都合が生じる。したがって、第一層中に含まれる
水に溶解する化合物の量を溶出するアルカリ成分の量で
規定すると、鋼板を５０℃の温水に５分間浸漬した場合
に鋼板１ｍ2 当たりから溶出するアルカリ成分の量は１
０〜３００mgの範囲が適当であり、より望ましくは１０
０〜３００mgとすると良い効果が得られる。この場合の
アルカリ成分とは、リチウム、ナトリウム、カリウム、
マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムのうちの一
種或いは二種以上の元素を指す。
【００１３】第一層は水溶性成分のみで構成するだけで
はなく、鋼板の表面性状を改善する働きをもつ、非水溶
性成分との混合層としても良い。この場合、アルカリ成
分の溶出量は前述のように１０〜３００mg／ｍ2 が確保
されれば良い。この場合、電磁鋼板をトランス磁心に組
み立てた場合に十分な占積率を確保するために第一層の
厚さは０．００１〜１μｍが適当であり、より望ましく
は０．０１〜０．５μｍである。
はなく、鋼板の表面性状を改善する働きをもつ、非水溶
性成分との混合層としても良い。この場合、アルカリ成
分の溶出量は前述のように１０〜３００mg／ｍ2 が確保
されれば良い。この場合、電磁鋼板をトランス磁心に組
み立てた場合に十分な占積率を確保するために第一層の
厚さは０．００１〜１μｍが適当であり、より望ましく
は０．０１〜０．５μｍである。
【００１４】一方、第二層の硼酸アルミニウム結晶質被
膜は、これが鋼板への張力付与膜の機能を果たすため
に、最適な膜厚が存在する。膜が薄すぎると鋼板に付与
する張力が十分ではないために鉄損改善効果が十分では
ない。また、厚すぎると占積率が低下してトランス性能
の低下をもたらす。従って、硼酸アルミニウム被膜の膜
厚は０．２〜５μｍが適当であり、この中でも０．５〜
３μｍが好適である。
膜は、これが鋼板への張力付与膜の機能を果たすため
に、最適な膜厚が存在する。膜が薄すぎると鋼板に付与
する張力が十分ではないために鉄損改善効果が十分では
ない。また、厚すぎると占積率が低下してトランス性能
の低下をもたらす。従って、硼酸アルミニウム被膜の膜
厚は０．２〜５μｍが適当であり、この中でも０．５〜
３μｍが好適である。
【００１５】本発明における被膜は次のようにして形成
される。仕上げ焼鈍の終了した電磁鋼板の表面を希硫酸
等で軽く酸洗し、表面を調整した後、硼酸アルミニウム
結晶質被膜を焼き付ける。この被膜の形成条件は、特開
平６−６５７５４号、同６−６５７５５号公報にあるよ
うに、硼酸水溶中にアルミナゾルを分散させた塗布液を
所定量塗布し、乾燥、ゲル化させた後、水素を含む窒素
雰囲気中で５００〜１３５０℃で焼き付ける。
される。仕上げ焼鈍の終了した電磁鋼板の表面を希硫酸
等で軽く酸洗し、表面を調整した後、硼酸アルミニウム
結晶質被膜を焼き付ける。この被膜の形成条件は、特開
平６−６５７５４号、同６−６５７５５号公報にあるよ
うに、硼酸水溶中にアルミナゾルを分散させた塗布液を
所定量塗布し、乾燥、ゲル化させた後、水素を含む窒素
雰囲気中で５００〜１３５０℃で焼き付ける。
【００１６】ここでの仕上げ焼鈍済みの電磁鋼板とは、
フォルステライトその他の酸化物からなる一次被膜を有
するもの、化学研磨等で一次被膜層を除去した鋼板、或
いは一次被膜が形成されない焼鈍分離材を用いて仕上げ
焼鈍を行った電磁鋼板を指す。硼酸アルミニウム被膜の
形成後、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウムのうちの一種または二
種以上の元素を含む、水に溶解してアルカリ性を示す化
合物を含む塗布液を塗布し、乾燥または焼き付ける。
フォルステライトその他の酸化物からなる一次被膜を有
するもの、化学研磨等で一次被膜層を除去した鋼板、或
いは一次被膜が形成されない焼鈍分離材を用いて仕上げ
焼鈍を行った電磁鋼板を指す。硼酸アルミニウム被膜の
形成後、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウムのうちの一種または二
種以上の元素を含む、水に溶解してアルカリ性を示す化
合物を含む塗布液を塗布し、乾燥または焼き付ける。
【００１７】上記塗布液はスプレー、ロールコーター等
いずれの方法で塗布しても良い。乾燥は水分が蒸発する
条件であればヒーター或いはバーナーによる等、乾燥等
方法は限らない。硼酸アルミニウム結晶質被膜の焼き付
け後の余熱を利用すれば、乾燥熱源を省くことができ
る。
いずれの方法で塗布しても良い。乾燥は水分が蒸発する
条件であればヒーター或いはバーナーによる等、乾燥等
方法は限らない。硼酸アルミニウム結晶質被膜の焼き付
け後の余熱を利用すれば、乾燥熱源を省くことができ
る。
【００１８】第一層は必ずしも均一に硼酸アルミニウム
層を被覆している必要はなく、乾燥後に目視で均一性が
確認できる程度であれば、被膜の光沢がなくても防錆効
果が十分得られる。乾燥、或いは焼き付けの温度はその
温度を特に限らない。しかし、水に溶解してアルカリ性
を示す化合物を含む層の硼酸アルミニウム結晶質層への
付着性を確保するためには、化合物が分解する温度以下
のなるべく高い温度で処理すると良い効果が得られる。
したがって、乾燥温度は分解温度より３０〜５０℃低い
温度とすると良い。
層を被覆している必要はなく、乾燥後に目視で均一性が
確認できる程度であれば、被膜の光沢がなくても防錆効
果が十分得られる。乾燥、或いは焼き付けの温度はその
温度を特に限らない。しかし、水に溶解してアルカリ性
を示す化合物を含む層の硼酸アルミニウム結晶質層への
付着性を確保するためには、化合物が分解する温度以下
のなるべく高い温度で処理すると良い効果が得られる。
したがって、乾燥温度は分解温度より３０〜５０℃低い
温度とすると良い。
【００１９】
実施例１ フォルステライトからなる一次被膜を有する厚さ０．２
３mmの電磁鋼板を準備した。この上に、硼酸アルミニウ
ム結晶質被膜の形成を、水素を含む窒素雰囲気中で、１
０００℃にて５分間の焼き付けで行った。硼酸アルミニ
ウム結晶質被膜の形成量は、鋼板片面当たり４ｇ／ｍ2
である。この上に、水に溶解してアルカリ性を示す化合
物を含む塗布液をロールコーターで塗布した後３００℃
で５分間乾燥し、被膜を形成した。塗布成分の量は、塗
布乾燥前後の鋼板の重量変化から算出した。
３mmの電磁鋼板を準備した。この上に、硼酸アルミニウ
ム結晶質被膜の形成を、水素を含む窒素雰囲気中で、１
０００℃にて５分間の焼き付けで行った。硼酸アルミニ
ウム結晶質被膜の形成量は、鋼板片面当たり４ｇ／ｍ2
である。この上に、水に溶解してアルカリ性を示す化合
物を含む塗布液をロールコーターで塗布した後３００℃
で５分間乾燥し、被膜を形成した。塗布成分の量は、塗
布乾燥前後の鋼板の重量変化から算出した。
【００２０】このようにして形成した被膜を有する電磁
鋼板の耐錆性を試験した結果と、被膜を形成した後のア
ルカリ成分の溶出量を表１に示す。耐錆性試験は温度５
０℃、湿度９１％ＲＨの雰囲気に４８時間暴露した場合
の錆の発生状況で判断した。また、同時に被膜の湿潤状
態を目視で観察し、被膜の濡れが見られるときは吸湿量
が多く、耐水性が悪いと判断した。アルカリ成分の溶出
量は２００cm2 の鋼板を５０℃の温水中に５分間浸漬
し、この水中に溶出した成分を化学分析にて測定した。
鋼板の耐錆性を試験した結果と、被膜を形成した後のア
ルカリ成分の溶出量を表１に示す。耐錆性試験は温度５
０℃、湿度９１％ＲＨの雰囲気に４８時間暴露した場合
の錆の発生状況で判断した。また、同時に被膜の湿潤状
態を目視で観察し、被膜の濡れが見られるときは吸湿量
が多く、耐水性が悪いと判断した。アルカリ成分の溶出
量は２００cm2 の鋼板を５０℃の温水中に５分間浸漬
し、この水中に溶出した成分を化学分析にて測定した。
【００２１】また、表１には鉄損評価結果も併せて記載
する。使用した鋼板の飽和磁束密度（Ｂ8 ）は１．９２
Ｔであった。表１の結果から明らかなように、硼酸アル
ミニウム被膜のみの電磁鋼板では錆が発生しやすいのに
対し、本発明による二層構造被膜を有した電磁鋼板は優
れた耐錆性を示す。二層構造の被膜を形成したことは、
鉄損値には影響がない。
する。使用した鋼板の飽和磁束密度（Ｂ8 ）は１．９２
Ｔであった。表１の結果から明らかなように、硼酸アル
ミニウム被膜のみの電磁鋼板では錆が発生しやすいのに
対し、本発明による二層構造被膜を有した電磁鋼板は優
れた耐錆性を示す。二層構造の被膜を形成したことは、
鉄損値には影響がない。
【００２２】
【表１】
【００２３】実施例２ フォルステライトを有する仕上げ焼鈍済みの厚さ０．２
３mmの電磁鋼板を化学研磨し、フォルステライトを有し
ない鋼板を準備した。これに硼酸アルミニウム結晶質被
膜を片面当たり４ｇ／ｍ2 となるように形成した。これ
に水に溶解してアルカリ性を示す化合物を含む塗布液を
ロールコーターで塗布し、２００℃で５分間乾燥し、被
膜を形成した。
３mmの電磁鋼板を化学研磨し、フォルステライトを有し
ない鋼板を準備した。これに硼酸アルミニウム結晶質被
膜を片面当たり４ｇ／ｍ2 となるように形成した。これ
に水に溶解してアルカリ性を示す化合物を含む塗布液を
ロールコーターで塗布し、２００℃で５分間乾燥し、被
膜を形成した。
【００２４】このようにして得られた鋼板の耐錆性試験
と吸湿性試験を行った結果、表２の結果を得た。試験法
は実施例１と同様な方法によった。また、使用した鋼板
の飽和磁束密度（Ｂ8 ）は１．９４Ｔであった。この結
果により、本発明によれば、フォルステライトを有しな
い電磁鋼板でも錆が効果的に抑制されることが明らかで
ある。
と吸湿性試験を行った結果、表２の結果を得た。試験法
は実施例１と同様な方法によった。また、使用した鋼板
の飽和磁束密度（Ｂ8 ）は１．９４Ｔであった。この結
果により、本発明によれば、フォルステライトを有しな
い電磁鋼板でも錆が効果的に抑制されることが明らかで
ある。
【００２５】
【表２】
【００２６】
【発明の効果】本発明によれば、単純な工程で耐錆性に
優れるとともに、高い張力を実現する被膜を有した電磁
鋼板を得ることができる。
優れるとともに、高い張力を実現する被膜を有した電磁
鋼板を得ることができる。
Claims (3)
- 【請求項１】 水に溶解してアルカリ性を示す化合物を
含む層を最表面の第一層とし、それに接した硼酸アルミ
ニウム結晶質からなる層を第二層とする二層構造の張力
被膜を有する方向性電磁鋼板。 - 【請求項２】 水に溶解してアルカリ性を示す化合物
が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、
カシルウム、ストロンチウムのうちの一種または二種以
上の元素を含む化合物である請求項１に記載の電磁鋼
板。 - 【請求項３】 硼酸アルミニウム結晶質からなる被膜を
有する鋼板上に、リチウム、ナトリウム、カリウム、マ
グネシウム、カルシウム、ストロンチウムのうち一種ま
たは二種以上の元素を含み、水に溶解してアルカリ性を
示す化合物を含む液を塗布後、乾燥または焼き付けるこ
とにより被膜を形成することを特徴とする方向性電磁鋼
板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8298595A JPH08277474A (ja) | 1995-04-07 | 1995-04-07 | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8298595A JPH08277474A (ja) | 1995-04-07 | 1995-04-07 | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08277474A true JPH08277474A (ja) | 1996-10-22 |
Family
ID=13789519
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8298595A Withdrawn JPH08277474A (ja) | 1995-04-07 | 1995-04-07 | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08277474A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2017532438A (ja) * | 2014-08-07 | 2017-11-02 | ポスコＰｏｓｃｏ | 方向性電磁鋼板用予備コーティング剤組成物、これを含む方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
-
1995
- 1995-04-07 JP JP8298595A patent/JPH08277474A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2017532438A (ja) * | 2014-08-07 | 2017-11-02 | ポスコＰｏｓｃｏ | 方向性電磁鋼板用予備コーティング剤組成物、これを含む方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
| US10648083B2 (en) | 2014-08-07 | 2020-05-12 | Posco | Pre-coating agent composition for grain-oriented electrical steel sheet, grain-oriented electrical steel sheet comprising same, and manufacturing method therefor |
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