JPH08277422A - ローピング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents
ローピング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法Info
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- JPH08277422A JPH08277422A JP8060695A JP8060695A JPH08277422A JP H08277422 A JPH08277422 A JP H08277422A JP 8060695 A JP8060695 A JP 8060695A JP 8060695 A JP8060695 A JP 8060695A JP H08277422 A JPH08277422 A JP H08277422A
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Abstract
ス鋼板の製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 重量%にてAl:0.03〜0.10%、C
r:13.0〜18.0%、N:0.005〜0.02
5%を含有するフェライト系ステンレス鋼の熱延鋼板を
ラルソン・ミラーパラメータが23000以上となる条
件で焼鈍し、続いて1パス目の圧下率を20%以下で、
かつ総圧下率を50〜90%の範囲とする条件で冷間圧
延を行うことからなり、その際好ましくは最終パスのロ
ール硬さがビッカース硬度でHv≧900、ロール粗さ
が平均粗さでRa≦0.10μm である圧延ロールを用
いる。
Description
フェライト系ステンレス鋼板を冷間圧延により製造する
方法に関するものである。
動車用品、厨房用品などに極めて広汎に使用されてお
り、深絞り等の成形加工性だけでなく、優れた表面品位
を有する薄板が要望されている。フェライト系ステンレ
ス鋼板の表面品位としては、光沢、写像性が挙げられ、
それらを向上させる技術として、従来から冷間圧延条件
の最適化が図られてきた。しかしながら、フェライト系
ステンレス鋼板にはローピングと呼ばれる特有現象があ
り、これにより品位の優劣が決定される場合があるた
め、品質上の問題になることがある。
縞模様が発生する現象である。フェライト系ステンレス
鋼板をプレス成形すると、リジングと呼ばれる同様な現
象を生じることが知られており、従来からリジングに関
する改善方法の提案は数多くなされている。しかしなが
ら、ローピングについての改善提案は少なく、製品板の
表面品位や美観を向上させるためには解決しなければな
らない問題であった。
ステンレス鋼板は、鋳造時に形成される柱状晶が原因で
リジングが顕著になるとされており、柱状晶を減少させ
ることによりリジングは低減されることが確認されてい
る。また、特開昭60−24325号公報に開示されて
いるように、成分元素の影響や、熱延条件、熱延板焼鈍
の最適条件化によってリジングが低減することが認めら
れているが、何れにしても結晶粒の微細化、ランダム化
を図り、塑性変形能の異なる集合組織を破砕することが
共通の思想であった。
厚方向の圧縮変形および圧延方向の引張変形などが生じ
て初めて発生する。これは、先に述べたように、圧延に
おける塑性変形能が、同一方位を有する集合組織によっ
て異なるためである。つまり、冷間圧延工程においてロ
ーピングは発生・発達し、最終工程終了後の製品板の表
面に凹凸を形成する。
ス鋼板のローピング性の向上を阻害する因子として、圧
延による塑性変形能の異なる集合組織の発達がある。こ
の集合組織の発達を抑え、かつ余分な製造工程や製造時
間を必要とせずにローピングを低減する方法が求められ
ていた。そこで本発明者らは、ローピング性に優れたフ
ェライト系ステンレス鋼板を効果的かつ効率的に得るこ
とのできる製造方法について検討を行った。
ローピング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を製
造する方法を提供することを目的とするものである。
とするところは、重量%にて、Al:0.03〜0.1
0%、Cr:13.0〜18.0%、N:0.005〜
0.025%を含有するフェライト系ステンレス鋼の熱
延鋼板を下記の(1)式で示される条件で焼鈍し、続い
て1パス目の圧下率R1 を20%以下とし、かつ総圧下
率Rt を50〜90%の範囲とする条件で冷間圧延を行
うことを特徴とするローピング性に優れたフェライト系
ステンレス鋼板の製造方法にある。
ール硬さHがビッカース硬度でHv≧900、ロール表
面粗さRが平均粗さでRa≦0.10μmである圧延ロ
ールを用いることでローピング高さを低減することを特
徴とする。
は耐食性および耐高温酸化性の向上のために13.0%
以上の添加が必要であり、また18.0%を超える添加
は成形加工性が劣化するので、13.0〜18.0%の
範囲とした。さらに、耐食性と成形加工性の確保という
点から、15.0〜17.0%の範囲が望ましい。
と結合してAlNとして析出することにより冷間圧延前
の材料を軟質化させる効果があり、そのためには0.0
3%以上の添加が必要である。一方、0.10%を超え
るとAl2 O3 系介在物量が増えてAl2 O3 起因の耐
銹性の劣化が起こる。従って、Alの範囲は0.03〜
0.10%とした。Alが少ないと、最終焼鈍において
鋼板中の硬い相をフェライトと炭化物に分離する際に比
較的長時間の焼鈍を要するため、経済性を考慮すると
0.05〜0.10%が望ましい。
のAlN析出による材料の軟化効果が不十分であり、ま
た0.005%未満では高純化のためのコストアップに
つながる。従って、Nの範囲は0.005〜0.025
%とした。さらに、経済性と材質特性を考慮すると0.
007〜0.015%が望ましい。通常、ステンレス鋼
板は熱間圧延−焼鈍−冷間圧延−焼鈍−調質圧延の工程
により製造される。その際、先にも述べたようにローピ
ング高さを低減するためには、熱間圧延後の焼鈍により
再結晶を促進させなければならない。本発明者らは、成
分および熱延板焼鈍条件を種々検討した結果、Alを
0.03%以上添加すると、焼鈍温度Tと焼鈍時間tに
より表わされるラルソン・ミラーパラメータ(以下、L
MPと呼ぶ)を23000以上とする熱延板焼鈍を行う
ことによって、製品板のローピング性を向上させること
ができることを見出した。
MPの条件を変化させた時のローピング高さを図1に示
す。この図から明らかなように、LMPを大きくするこ
とによりローピング高さは低減するが、Al含有量が
0.03%以上ではLMPを23000以上にすること
により冷間圧延前の材料の硬さHvが135以下とな
る。さらに、続いて行う冷間圧延での条件を限定するこ
とによりローピング高さが低減し、品質上問題にならな
い高さである0.2μm以下になる。さらに、Alを
0.10%を超えて添加しても、冷間圧延前の材料の硬
さに対する軟化効果は飽和しており、ローピング高さに
対する軽減効果も同様である。従って、Al添加量を
0.03〜0.10%の範囲とし、熱延板焼鈍条件とし
てLMPの範囲を23000以上とした。
再結晶が不十分となり、950℃を超えるとγ相が析出
し、焼鈍後にマルテンサイトに変態して硬質化する。こ
のため、焼鈍温度は750〜950℃が望ましい。ま
た、焼鈍時間が2hr未満では再結晶が不十分となり、
10時間を超えてもその効果は飽和するため、焼鈍時間
は2〜10時間が望ましい。以上の焼鈍温度と焼鈍時間
を考慮すると、LMPは23000〜24000が望ま
しい。
鋼板表面に認められる微小な凹凸であるが、その凹凸は
冷間圧延工程で発生している。そのため、製品板におい
てローピング高さを低減する手段としては、ローピング
が発生する冷間圧延工程で機械的に押しつぶしてしまう
方法が、最も効果的でかつ効率的である。本発明者ら
は、冷間圧延条件を種々検討した結果、Alを0.03
〜0.10%添加し、冷間圧延前の熱延板焼鈍をLMP
で23000以上とした素材の冷間圧延工程において、
1パス目の冷延圧下率R1 を20%以下とし、かつ総圧
下率Rt を50〜90%とすることにより、製品板のロ
ーピング性を満足できることを見出した。
目の圧下率R1 および総圧下率Rtを変化させた時のロ
ーピング高さを図2に示す。すなわち、1パス目の冷間
圧延率R1 が20%を超えると1パス目に発生するロー
ピング高さが0.2μmを超える。総圧下率Rt が50
%未満では、1パス目に発生したローピングを押しつぶ
すには十分でなく、総圧下率Rt が90%を超えると同
一方位の冷延集合組織が発達し、その悪影響が機械的押
さえ込み効果より強くなって、製品板のローピング高さ
が0.2μmを超える。従って、本発明の冷間圧延にお
いては1パス目の圧下率R1 を20%以下とし、かつ総
圧下率Rt の範囲を50〜90%とした。なお、生産効
率上1パス目の圧下率R1 は5〜20%が望ましく、総
圧下率R t は70〜90%が望ましい。
品板の光沢は表面品位の上で非常に重要である。そこ
で、本発明においては、冷間圧延の最終パスにおいてロ
ール表面の平均粗さが0.10μm以下のロールを用い
た。しかしながら、上記のように、ローピングはステン
レス鋼板表面の微小な縞模様であるため、ステンレス鋼
板の光沢が向上するとローピングが際立つようになる。
を向上させることが、冷間圧延における最終パスにおい
て高硬度のロールを用いることで達成できることを見出
した。ローピング高さに及ぼす冷間圧延における最終パ
スのロールの硬さの影響を図3に示す。この図から明ら
かなように、Al:0.07%、N:0.010%を含
有する17Crフェライト系ステンレス鋼板において、
LMPが23000となる熱延板焼鈍を施した素材に対
して、1パス目の圧下率が20%以下で、かつ総圧下率
が50%以上である冷間圧延条件とすること、および最
終パスのロールがビッカース硬度Hvで900以上にす
ることにより、冷間圧延後のローピング高さが0.4μ
m以下となる。製品板においてローピング高さが0.2
μm以下であればローピング性は確保されているといえ
るが、冷間圧延ままの素材で0.4μm以下であれば最
終工程である調質圧延においてローピング高さを0.2
μm以下とすることができる。
面粗さを素材に転写させ、冷延鋼板の表面粗さを小さく
することで確保できるため、冷間圧延の最終パスにおい
てロール表面の粗さを平均粗さで0.10μm以下とし
た。本発明の冷間圧延における最終パスのロールは、硬
さがHv≧900、かつ表面粗さRがRa≦0.10μ
mとすることが望ましい。
造に限定することなく、2回冷延2回焼鈍による製造に
おいても適用できる。すなわち、本発明に従って熱延板
焼鈍を行い、中間冷延後に中間焼鈍を施すことにより、
十分再結晶し軟質化する。そして、仕上冷延において本
発明に従って圧延することにより、ローピング性に優れ
たステンレス鋼板が製造できる。
のフェライト系ステンレス鋼スラブを、熱間圧延、焼鈍
・酸洗を行い、1パス目の圧下率R1 と総圧下率Rt を
変化させた冷間圧延を行い、焼鈍・酸洗処理後、調質圧
延を施した。ここで、ローピング高さと光沢度の評価
は、A:特に良好、B:良好、C:不良、D:特に不
良、の4段階目視評価で行い、B以上が美観を損ねない
程度の表面性状を呈している。
より製造したステンレス鋼板は、ローピング性に優れて
おり、光沢も良好である。
によれば、ローピング性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼板を製造することが、特別の設備を必要とせずに可
能である。
タ(LMP)と冷間圧延前の材料の硬さ、製品板のロー
ピング高さの関係を示す図である。
下率Rt と製品板のローピング高さの関係を示す図であ
る。
延板のローピング高さの関係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%にて、Al:0.03〜0.10
%、Cr:13.0〜18.0%、N:0.005〜
0.025%を含有するフェライト系ステンレス鋼の熱
延鋼板を下記の(1)式で示される条件で焼鈍し、続い
て1パス目の圧下率R1 を20%以下とし、かつ総圧下
率Rt を50〜90%の範囲とする条件で冷間圧延を行
うことを特徴とするローピング性に優れたフェライト系
ステンレス鋼板の製造方法。 (T+273)・(logt+20)≧23000 …… (1) T:焼鈍温度(℃)、t:焼鈍時間(hr) - 【請求項2】 前記冷間圧延において、最終パスのロー
ル硬さHがビッカース硬度でHv≧900、ロール表面
粗さRが平均粗さでRa≦0.10μmであることを特
徴とする請求項1記載のローピング性に優れたフェライ
ト系ステンレス鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8060695A JP3595368B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | ローピング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP8060695A JP3595368B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | ローピング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08277422A true JPH08277422A (ja) | 1996-10-22 |
JP3595368B2 JP3595368B2 (ja) | 2004-12-02 |
Family
ID=13722998
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8060695A Expired - Lifetime JP3595368B2 (ja) | 1995-04-05 | 1995-04-05 | ローピング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3595368B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0861916A1 (fr) * | 1997-02-28 | 1998-09-02 | Usinor | Procédé de fabrication d'un feuillard en acier inoxydable ferritique à haute teneur en aluminium utilisable notamment pour un support de catalyseur d'échappement de véhicule automobile |
JP2020015945A (ja) * | 2018-07-25 | 2020-01-30 | Jfeスチール株式会社 | フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 |
-
1995
- 1995-04-05 JP JP8060695A patent/JP3595368B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0861916A1 (fr) * | 1997-02-28 | 1998-09-02 | Usinor | Procédé de fabrication d'un feuillard en acier inoxydable ferritique à haute teneur en aluminium utilisable notamment pour un support de catalyseur d'échappement de véhicule automobile |
FR2760244A1 (fr) * | 1997-02-28 | 1998-09-04 | Usinor | Procede de fabrication d'un feuillard en acier inoxydable ferritique a haute teneur en aluminium utilisable notamment pour un support de catalyseur d'echappement de vehicule automobile |
JP2020015945A (ja) * | 2018-07-25 | 2020-01-30 | Jfeスチール株式会社 | フェライト系ステンレス鋼板およびその製造方法 |
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JP3595368B2 (ja) | 2004-12-02 |
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