JPH08276472A - 電動式射出成形機の背圧制御方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 より簡単な制御構成でＰＩ演算による場合と
同等以上の背圧制御を行う。 【構成】 計量可塑化の工程において、スクリュー２を
一定回転させ（ステップＳ１）、背圧センサー３により
背圧を測定する（ステップＳ２）。前記測定背圧信号と
設定背圧値を比較し（ステップＳ３）、前記測定背圧信
号が設定背圧値以下の場合はステップＳ１に戻る。一
方、前記測定背圧信号が設定背圧値を超える場合はスク
リュー２の位置を微小固定量後進させる（ステップＳ
４）。このような工程をスクリュー２の位置が目的の計
量位置に達するまで行い、ステップ５で達したと判断し
た時点でスクリュー２の回転を停止させ（ステップＳ
６）、計量完了となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電動式射出成形機の背
圧制御方法および装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の電動式射出成形機の背圧
制御方法の一例としては、特公平４−７１６９７号公報
に開示されたものがある。

【０００３】図３は、特公平４−７１６９７号公報に開
示されている従来の電動式射出成形機の背圧制御方法の
概要を説明するための図である。

【０００４】図３に示される従来の電動式射出成形機で
は、計量工程時のホッパ１０１からの材料供給に伴う溶
融樹脂圧、あるいはスクリュ１０２の反力などの背圧の
検出が背圧センサー１０３により行われる。その背圧セ
ンサー１０３により検出された信号は増幅器１０４によ
って増幅されて背圧検出信号となり、背圧フィードバッ
ク制御回路１０５に入力される。背圧フィードバック制
御回路１０５では、背圧検出信号と、背圧設定器１０６
で設定される背圧指令信号とが比較演算されて、スクリ
ュ前後進用電動機制御信号が出力される。その制御信号
は、速度リミッタ回路１０７により例えば正電圧が出力
されないように制限された信号となり、スクリュ前後進
用電動機速度制御装置１０８に入力される。そしてスク
リュ前後進用電動機速度制御装置１０８は、スクリュ前
後進用電動機制御信号の０または負の電圧の大きさに応
じてスクリュ前後進用電動機１０９の回転速度を制御
し、前記制御信号が負の場合にはスクリュを後進させる
方向（計量方向）に作用させる。

【０００５】上記のような電動式射出成形機の背圧制御
方法では、背圧フィードバック制御回路１０５の次に設
けられた速度リミッタ回路１０７により、背圧検出信号
値が背圧指令値より小さい場合はスクリュの移動が停止
するように、また大きい場合はスクリュが後進する方向
（計量方向）に移動するように制御されて、背圧検出信
号値と背圧指令値が一致するようにフィードバック制御
がなされるので、計量工程中にスクリュが前進すること
なく、計量工程中の大幅な背圧の変動を防止して安定し
た計量を行うことが可能である。

【０００６】また、上記の電動式射出成形機の可塑化時
の背圧制御方法以外にも、モータの電流検出によるトル
ク制御を用いる方法がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の電動式射出成形機の背圧制御方法は、背圧検出
信号と背圧指令信号の誤差を算出し演算増幅して、スク
リュ前後進用電動機制御信号を出力しており、これは一
般的に誤差分よりＰＩ（比例積分）演算を用いて設定背
圧値となるようなスクリュの目標移動位置を求めるフィ
ードバック制御であるので、背圧をＰＩ制御するために
は次のような困難な点が考えられる。 （１）メカ機構における機械的摩擦によってスティック
あるいはスリップが生じた場合は、ＰＩ制御により求め
たスクリュの目標移動位置と実際のスクリュの後進量が
一致しなくなり、計量工程中の背圧が安定しない。 （２）メカ機構の機械的摩擦係数が経年変化するためＰ
Ｉ係数の決定が困難である。 （３）背圧センサーにおいてノイズ除去のためのフィル
ターがあり、これにより信号の遅れが生じ、積分演算の
ために制御応答性が悪化する。

【０００８】また、モータの電流検出によるトルク制御
を用いる方法では、モータの温度が変化すると電流とト
ルクの関係が変化するため、背圧を一定に制御すること
が困難であるという問題点もある。

【０００９】本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、よ
り簡単な制御構成でＰＩ演算による場合と同等以上の背
圧制御を行うことができる電動式射出成形機の背圧制御
方法および装置を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、樹脂材料をスクリュの回転に伴って可塑化
させ、その可塑化された溶融樹脂が筒内で蓄積されるに
従って発生する背圧を測定し、その測定背圧値に基づき
スクリュの位置を前後進させる電動機をフィードバック
制御する電動式射出成形機の背圧制御方法において、ス
クリュを一定回転させて背圧を測定する第１工程と、前
記第１工程の測定背圧値と予め設定した設定背圧値とを
比較し、その比較結果において測定背圧値の方が大きい
場合はスクリュの位置を微小固定量後進させ、測定背圧
値の方が小さい場合は再び第１工程を行う第２工程と、
前記第２工程において測定背圧値の方が大きい場合に微
小固定量後進させたスクリュの位置が目的の計量位置に
達している場合はスクリュの回転を停止して計量を完了
とし、目的の計量位置に達していない場合は再び前記第
１工程および前記第２工程を行う第３工程と、からなる
ことを特徴とする。

【００１１】また、樹脂材料をスクリュの回転に伴って
可塑化させ、その可塑化された溶融樹脂が筒内で蓄積さ
れるに従って発生する背圧を測定し、その測定背圧値に
基づきスクリュの位置を前後進させる電動機をフィード
バック制御する電動式射出成形機の背圧制御装置におい
て、前記背圧を測定する背圧センサーと、前記電動機を
前記背圧センサーからの測定信号に基づいてフィードバ
ック制御する制御装置を有し、前記制御装置は、スクリ
ュを一定回転させて背圧を測定し、この時の測定背圧値
が設定背圧値を超えたらスクリュの位置を微小固定量後
進させる事をスクリュの位置が目的の計量位置に到達す
るまで繰り返すことを特徴とする。

【００１２】

【作用】上記のとおりに構成された本発明では、先ず、
スクリュを一定回転させ、その時の背圧を測定する。そ
して測定背圧値が設定背圧値を超えた時にはスクリュの
位置を微小固定量後進させる。このような操作をスクリ
ュの位置が目的の計量位置に到達するまで繰り返すこと
により、計量工程中の背圧が一定に制御される。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。

【００１４】図１は本発明の電動式射出成形機の背圧制
御方法の一実施例を示す概略構成図、図２は本発明の一
実施例における背圧制御フローチャートである。

【００１５】図１に示す電動式射出成形機の背圧制御装
置は、ホッパー１内の材料をスクリュ回転電動機６によ
るスクリュ２の回転に伴って可塑化させ、その可塑化さ
れた溶融樹脂が筒内で蓄積されるに従って発生するスク
リュ２の後退力またはノズル付近の溶融樹脂圧などの背
圧を背圧センサー３により測定し、背圧センサー３によ
る測定背圧信号が制御装置４に入力されて、スクリュ前
後進用電動機５およびスクリュ回転電動機６を制御する
ように構成されている。

【００１６】また、制御装置４は、背圧センサー３から
の測定背圧信号と予め設定された設定背圧値とを比較演
算する比較手段（不図示）を有し、スクリュ回転電動機
６でスクリュ２を一定回転させて該比較手段により測定
背圧信号が設定背圧値より大きくなった場合にスクリュ
前後進用電動機５でスクリュ２を後進させる方向（計量
方向）に所定量のみ移動させるものである。

【００１７】次に、本実施例の背圧制御方法を図２のフ
ローチャートに基づいて説明する。

【００１８】計量可塑化の工程において、まずスクリュ
２をスクリュ回転電動機６により一定回転させ（ステッ
プＳ１）、背圧センサー３からの信号を測定する（ステ
ップＳ２）。

【００１９】そして、前記測定背圧信号と設定背圧値を
比較する（ステップＳ３）。このとき、前記測定背圧信
号が設定背圧値以下の場合はステップＳ１に戻る。一
方、前記測定背圧信号が設定背圧値を超える場合はスク
リュ前後進用電動機５を作動させてスクリュ２を計量方
向へ微小固定量（例えば０．１ｍｍ）後進させる（ステ
ップＳ４）。

【００２０】前記微小固定量の後進が停止されたら、ス
クリュ２の位置が目的の計量位置であるかを判別する
（ステップＳ５）。このとき、スクリュ２の位置が目的
の計量位置に到達していない場合にはステップＳ１に戻
り、再度、ステップＳ１〜Ｓ４までの工程を行う。

【００２１】このような工程をスクリュ２の位置が目的
の計量位置に達するまで行い、達した時点でスクリュ２
の回転を停止させ（ステップＳ６）、計量完了となる。

【００２２】以上のように本実施例は、計量工程中に背
圧が一定となるように測定背圧値と設定背圧値の差分に
基づきＰＩ演算によりスクリュの後進目標位置を求めて
スクリュの位置を制御するという従来方法に代えて、ス
クリュを一定量回転させ、この時の測定背圧信号が設定
背圧信号を超えたらスクリュの位置を微小固定量だけ後
進させることを目的の計量位置まで繰り返すフィードバ
ック制御方法を採っているため、メカ機構の機械的摩擦
による影響や、背圧センサーのフィルターによる信号の
遅れのために発生する積分演算の悪い影響を受けること
はなく、より簡単な制御構成でＰＩ演算による場合と同
等以上の背圧制御になる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、樹脂材料
をスクリュの回転に伴って可塑化させ、その可塑化され
た溶融樹脂が筒内で蓄積されるに従って発生する背圧を
測定し、測定背圧値が設定背圧値を超えたらスクリュの
位置を微小固定量後進させる事をスクリュの位置が目的
の計量位置に到達するまで繰り返す背圧制御方法を採る
ことにより、従来技術のＰＩ制御のように設定背圧値を
保つことのできるスクリュの後進移動位置を演算しない
で済み、また後進方向しか指令値を出力しない為に速度
リミッタも必要としないので、より簡単な制御構成で計
量工程中の背圧を一定に制御できる。また、モータの温
度にも関係なく一定の背圧に制御できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電動式射出成形機の背圧制御方法の一
実施例を示す概略構成図である。

【図２】本発明の一実施例における背圧制御フローチャ
ートである。

【図３】特公平４−７１６９７号公報に開示されている
従来の電動式射出成形機の背圧制御方法の概要を説明す
るための図である。

【符号の説明】

１ ホッパ ２ スクリュ ３ 背圧センサー ４ 制御装置 ５ スクリュ前後進用電動機 ６ スクリュ回転電動機

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 樹脂材料をスクリュの回転に伴って可塑
   化させ、その可塑化された溶融樹脂が筒内で蓄積される
   に従って発生する背圧を測定し、その測定背圧値に基づ
   きスクリュの位置を前後進させる電動機をフィードバッ
   ク制御する電動式射出成形機の背圧制御方法において、 スクリュを一定回転させて背圧を測定する第１工程と、 前記第１工程の測定背圧値と予め設定した設定背圧値と
   を比較し、その比較結果において測定背圧値の方が大き
   い場合はスクリュの位置を微小固定量後進させ、測定背
   圧値の方が小さい場合は再び第１工程を行う第２工程
   と、 前記第２工程において測定背圧値の方が大きい場合に微
   小固定量後進させたスクリュの位置が目的の計量位置に
   達している場合はスクリュの回転を停止して計量を完了
   とし、目的の計量位置に達していない場合は再び前記第
   １工程および前記第２工程を行う第３工程と、からなる
   電動式射出成形機の背圧制御方法。
2. 【請求項２】 樹脂材料をスクリュの回転に伴って可塑
   化させ、その可塑化された溶融樹脂が筒内で蓄積される
   に従って発生する背圧を測定し、その測定背圧値に基づ
   きスクリュの位置を前後進させる電動機をフィードバッ
   ク制御する電動式射出成形機の背圧制御装置において、 前記背圧を測定する背圧センサーと、 前記電動機を前記背圧センサーからの測定信号に基づい
   てフィードバック制御する制御装置を有し、 前記制御装置は、スクリュを一定回転させて背圧を測定
   し、この時の測定背圧値が設定背圧値を超えたらスクリ
   ュの位置を微小固定量後進させる事をスクリュの位置が
   目的の計量位置に到達するまで繰り返すことを特徴とす
   る電動式射出成形機の背圧制御装置。