JPH0827623A - ポリベンザゾール繊維及び繊維布帛 - Google Patents

ポリベンザゾール繊維及び繊維布帛

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JPH0827623A
JPH0827623A JP6161211A JP16121194A JPH0827623A JP H0827623 A JPH0827623 A JP H0827623A JP 6161211 A JP6161211 A JP 6161211A JP 16121194 A JP16121194 A JP 16121194A JP H0827623 A JPH0827623 A JP H0827623A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 衣料近似品に適用可能な色調を有するポリベ
ンザゾール繊維及び該繊維を主構成成分とする繊維布帛
を提供する。 【構成】 ポリベンザゾール繊維は、繊維の横断面中心
部まで着色され、且つ強度4.0GPa以上、初期弾性
率140GPa以上を有する。ポリベンザゾール繊維と
しては、ポリベンゾオキサゾール(PBO)ホモポリマ
ー、ポリベンゾチアゾール(PBT)ホモポリマー、及
びPBO、PBTのランダム、シーケンシャル、ブロッ
ク共重合ポリマー。着色剤としては、ピグメントイエロ
ー12、ピグメントイエロー13、ピグメントオレンジ
16、ピグメントブルー7、ピグメントブルー15等の
有機顔料、ソルベントグリーン28、ソルトグリーン1
3等の油溶性染料。前記ポリベンザゾール繊維を主成分
として構成される繊維布帛。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、着色され且つ高い力学
特性を有する繊維布帛に関する。さらに詳しくは本発明
は、高い力学特性と審美性が要求される防弾チョッキ、
ヘルメット、防護用手袋及びエプロン等、衣料近似品の
素材として好ましく利用できるポリベンザゾール繊維及
び繊維布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スーパー繊維と称される全芳香族
ポリアミド繊維や全芳香族ポリエステル繊維は、その優
れた強度・高弾性率や耐熱性及び耐薬品性等の性質を活
かして高機能衣料、例えばユニホームやシートベルト、
安全ベルト等の分野で広く用いられてきた。近年になっ
てポリエステル繊維やポリアミド繊維と前記スーパー繊
維の混紡糸や混繊糸を用いて機能性に優れる一般衣料近
似品、例えばスポーツ・レジャー用スーツが開発されて
いる。
【0003】最近になってさらに高い力学特性、例えば
4.0GPaを越える引張強度と140GPaを越える
初期弾性率、高い耐熱性、例えば分解開始温度670
℃、限界酸素指数56等を有するポリベンザゾール繊維
の工業的な生産技術が開発された。これに伴って該繊維
は産業資材用のみならず前記衣料近似品の素材として注
目される様になってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリベンザゾ
ール繊維は一般に黄乃至茶系統の色調を帯びており、且
つ通常の染料に不染性であるため、色調の点で衣料近似
品としての用途は制限を受ける傾向があった。
【0005】すなわち、ポリベンザゾール繊維に、通常
の染料で染色可能な繊維または染色もしくは着色された
繊維と合糸又は合撚したり、圧縮空気を用いて絡合させ
る等の手段を講じた場合、得られる糸条は、可染性繊維
または染色もしくは着色された繊維によって表面色調が
周期的に変化したり、若しくは霜降り調を呈することが
多い。このような不均一な色調を持つ糸条で製編織した
布帛は、表面に木目調あるいはモアレと称される模様が
形成されやすいという欠点がある。
【0006】またポリベンザゾールに染着座位を持つ単
量体を共重合する方法や、ポリベンザゾールに第三成分
を導入して微細構造を乱して繊維分子の分散を図る方法
等によって染色性を付与しようとした場合、繊維の力学
特性や熱特性が犠牲になりやすく、また改質に要する原
料や加工費用の増大にもつながる。
【0007】さらにシースコア型の複合紡糸において、
シース部に可染性の熱可塑性合成樹脂重合体、前記した
染着座位を持つ単量体の共重合体又は第三成分を導入し
たポリベンザゾール重合体を用いる方法もあるが、何れ
もポリベンザゾール繊維の持つ優れた特徴が犠牲にな
る。
【0008】従って本発明の目的は、ポリベンザゾール
繊維の不染性から派生するこれらの欠点を解消して、衣
料近似品に適用可能な色調を有するポリベンザゾール繊
維及び該繊維を主構成成分とする繊維布帛を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記目的を
達成すべく、紡糸原液中に着色剤を加えて紡糸を行なう
所謂原液着色法に着目した。該紡糸法をポリベンザゾー
ルの紡糸に適用して詳細に検討した結果、180℃以上
の温度で変退色しない染料又は顔料を着色剤として用い
ることで、力学特性を損なうことなく繊維の横断面内部
まで着色された良好な色調のポリベンザゾール繊維が得
られることを見い出して本発明に至った。
【0010】すなわち、本発明のポリベンザゾール繊維
は、繊維の横断面中心部まで着色され、且つ強度4.0
GPa以上、初期弾性率140GPa以上を有するもの
である。
【0011】また、本発明の繊維布帛は、前記ポリベン
ザゾール繊維を主成分として構成されるものである。
【0012】本発明のポリベンザゾール繊維は、ポリベ
ンザゾール(PBZ)ポリマーからなるドープを原液着
色紡糸して得ることができる。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられるポリベンザゾール(PBZ)とは、ポリベン
ゾオキサゾール(PBO)ホモポリマー、ポリベンゾチ
アゾール(PBT)ホモポリマー、及びそれらPBO、
PBTのランダム、シーケンシャルあるいはブロック共
重合ポリマーをいう。このようなポリベンゾオキサゾー
ル、ポリベンゾチアゾール及びそれらのランダム、シー
ケンシャルあるいはブロック共重合ポリマーは、例えば
Wolfe らの「液晶ポリマー組成物、製法と製造物(Liqu
id Crystalline PolymerCompositions,Process and Pro
ducts)」米国特許4,703,103 号(October 27,1987) 、
「液晶ポリマー組成物、製法と製造物(Liquid Crystal
line Polymer Compositions,Process and Products)」
米国特許4,533,692 号(August 6,1985) 、「液晶ポリ
(2,6−ベンゾチアゾール)組成物、製法と製造物
(Liquid Crystalline Poly(2,6-Benzothiazole) Compo
sition,Process and Products)」米国特許 4,533,724号
(August 6,1985)、「液晶ポリマー組成物、製法と製造
物(Liquid Crystalline Polymer Compositions,Proces
s and Products)」米国特許 4,533,693号(August 6,19
85) 、Evers の「熱酸化的に安定なP-ベンズオキサゾー
ルとP-ベンゾチアゾールポリマー(Thermooxidatively S
table Articulated p-Benzobisoxazole and p-Benzobis
thiazole Polymers)」米国特許 4,359,567号 (November
16,1982) 、Tasiらの「複素環ブロック共重合体の製法
(Method for making Heterocyclic Block Copolyme
r)」米国特許4,578,432 号(March 25,1986) 等に記載
されている。
【0014】PBZポリマーに含まれる構造単位として
は、好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択
される。モノマー単位は下記構造式(a)〜(h)で表
わされるモノマー単位からなり、さらに好ましくは、構
造式(a)〜(c)から選択されたモノマー単位からな
る。
【0015】
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【0016】PBZポリマーのドープを形成するための
好適な溶媒としては、クレゾール、PBZポリマーを溶
解し得る非酸化性の酸が挙げられる。好適な酸溶媒の例
としては、ポリリン酸、メタンスルホン酸、高濃度の硫
酸、およびこれらの混合物が挙げられる。これら溶媒の
うち、さらに好適な溶媒は、ポリリン酸およびメタンス
ルホン酸である。また最も好適な溶媒は、ポリリン酸で
ある。PBZポリマードープにおける溶媒中のポリマー
濃度は、好ましくは少なくとも7重量%であり、さらに
好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは少な
くとも14重量%である。最大濃度は、例えばポリマー
の溶解性やドープ粘度といった実際上の取扱い性により
限定される。それらの限界要因のために、ポリマー濃度
は通常では20重量%を超えることはない。
【0017】上記のPBZポリマーやコポリマー、およ
びドープは公知の手法により合成することができる。例
えばWolfe らの前述の米国特許 4,533,693号(August 6,
1985) 、Sybertらの米国特許 4,772,678号(September 2
0,1988) 、Harrisの米国特許4,847,350号(July 11,198
9)に見られる。また、PBO合成法については、例えば
特表昭63-500529 号公報に記載がある。PBZポリマー
は、Gregory らの米国特許 5,089,591(February 18,199
2)によると、脱水性の酸溶媒中での比較的高温、高剪断
条件下において高い反応速度での高分子量化が可能であ
る。
【0018】本発明で使用する着色剤としては、油溶性
染料及び有機顔料が挙げられる。使用する着色剤の種類
に特に制限はないが、着色剤には、繊維工程における化
学的諸条件、例えば洗浄に用いる水、ポリリン酸やメタ
ンスルホン酸等で代表される前記の紡糸原液を構成する
溶剤、およびポリベンザゾールによって化学反応あるい
は結晶変換等を起こさないこと、さらには繊維の製造時
の物理的諸条件で変退色しない耐熱性が必要である。こ
こで耐熱性とは具体的には、少なくとも180℃で10
分間加熱したとき変退色しないことを意味する。係る観
点から本発明に適用可能な有機顔料としては、カラーイ
ンデックス名で、ピグメントイエロー12、ピグメント
イエロー13、ピグメントオレンジ16、ピグメントブ
ルー7、ピグメントブルー15等が例示される。また油
溶性染料で好ましいものとしては、ソルベントグリーン
28、ソルトグリーン13等を挙げることができる。こ
れら着色剤は、一種を単独で用いても良いが、色相の点
から二種以上を併用することも可能である。
【0019】本発明において使用する着色剤が有機顔料
である場合、有機顔料の平均粒子径は0.1〜0.3μ
mの範囲が好ましい。なぜなら平均粒子径が0.1μm
未満の場合には紡糸原液中で粒子の二次凝集を生じて着
色力が低下し、平均粒子径が0.3μmを越える場合に
は繊維の力学特性、例えば強度や耐摩耗性及び柔軟性等
を損なうからである。
【0020】前記着色剤をポリベンザゾール紡糸原液に
添加・分散させるには、(1)縮合系に予め一定量の着
色剤を添加する所謂縮合時法、(2)紡糸原液の供給装
置と紡糸装置との間で、着色剤をインライン供給して混
合する所謂紡糸前法、なお、ここで供給装置とは重合工
程と紡糸工程とが連続化されている場合は重合装置を、
また重合工程と紡糸工程が非連続の場合には紡糸原液の
貯蔵タンクとそれに付設される移送設備を意味する。
(3)紡糸装置の内部、例えば昇圧装置と紡糸口金の間
において着色剤を供給・混合する所謂紡糸時法等の方法
が挙げられる。これらの方法のうち、紡糸時法が好適で
ある。なぜなら前記縮合時法は縮合釜から紡糸設備まで
着色剤で汚染されるため、着色剤の切り替えに際して広
い範囲の洗浄を必要とし、また紡糸前法も同様に装置の
汚染範囲が広く洗浄費用が高いため、同一色調で大量に
生産する場合以外は採用しがたい。これに対して紡糸時
法は着色剤による汚染範囲が狭いので、着色剤の銘柄切
り替え作業が容易であり、切り替え費用も前二者の方法
に比べて安いからである。なお、紡糸時法はインジェク
ション法とマスターバッチ法の何れも採用できるが、ポ
リベンザゾール紡糸原液の粘度が高いことと、着色剤の
均一分散性とを考慮すると、後者を採用することが好ま
しい。
【0021】紡糸原液に対する着色剤の添加量は着色剤
の種類にもよるが、好ましくは1〜5重量%であり、特
に好ましくは2〜3重量%である。着色剤の添加量が1
重量%未満であるとポリベンザゾール繊維の濃色が得に
くく、審美性が損なわれる。また添加量が5重量%を越
えると紡糸の調子が悪化し、また得られるポリベンザゾ
ール繊維の力学特性、例えば強度や耐摩耗性そして柔軟
性等を損なうからである。
【0022】本発明のポリベンザゾール繊維は、少なく
とも4.0GPaの引張強度と、少なくとも140GP
aの初期引張弾性率の力学特性を持つことが必要であ
る。該繊維の引張強度が4.0GPa未満又は初期引張
弾性率が140GPa未満の場合には、該繊維又は該繊
維を用いて製編織した布帛の力学特性は低くなり、全芳
香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維及び超
高分子量ポリエチレン繊維と競合できなくなる。また該
繊維の特徴である高引張強度と高初期引張弾性率に基づ
く軽量化の効果も失われる。
【0023】また、本発明のポリベンザゾール繊維は、
小角X線散乱のギニエプロットで求められる繊維表面の
ポイド断面の平均直径が25遙以下のものが好ましい。
本発明者らが開発において最初に遭遇した問題点は着色
剤等の均一分散の問題である。繊維構造と均一分散性の
関係について鋭意検討した結果、ポリベンザゾール繊維
の小角X線散乱で測定されるボイドの繊維断面における
平均直径と均一分散性とが相関することが明らかとなっ
た。ポリベンザゾール繊維では一般にボイドが発生し易
く、顕微鏡で容易に観察できる。こうした巨大なボイド
は着色剤の均一分散性を阻害するであろうことは容易に
推定できる。顕微鏡で観察できない場合でも多くの小さ
なボイドは存在する。微小な100Å以下のポイドは小
角X線散乱で評価できる。こうした微小ボイドのボイド
径を測定したところ、そのサイズと着色剤の均一分散性
が逆相関すること、およびボイド径が25Å以下となる
と均一分散性にボイドサイズが影響を与えなくなること
が見いだされた。
【0024】ボイド直径を25Å以下にする方法の一つ
として、ポリベンザゾールを主成分とするポリマーとポ
リリン酸とからなる重合ドープを溶液紡糸して繊維を製
造するに際し、乾燥工程前に繊維油剤及び繊維油剤に不
溶の微粉末を分散させた仕上げ剤の少なくとも一方を繊
維に付与し、かつ乾燥工程時になるべく低温で乾燥する
ことが大きな効果を示すことを見いだした。
【0025】ボイド径の測定は次のように行うことがで
きる。 <ボイド径の測定方法>小角X線散乱強度の測定は、ク
ラツキカメラを用いて行う。試料繊維の約6mを測定ホ
ルダーに巻き付ける。X線の出力は45kv150mA
で、CuKα線をニッケルフィルターで単色化して用い
る。クラツキカメラの縦制限スリットは42mm、幅制
限スリットは0.07mm、受光部スリットの縦制限は
10mm、幅制限は0.14mmで行った。測定範囲は
0.1度から3度である。ステップ幅は0.025度刻
みで、30秒もしくはそれ以上積算する。バックグラウ
ンド散乱の補正は、試料および空気散乱の測定結果から
次式を用いて行う。 I=μIsample−Iair μ=Iair (O)/Isample(O) ここでIは真の散乱強度、Isampleは試料を入れた状態
での実測散乱強度、Iair は試料を入れないで測定した
強度を示す。試料測定後、散乱角0度で強度測定を行
い、試料の吸収係数を決定する。ボイドサイズの測定は
ギニエプロットを用いて行う。散乱強度(I)の対数と
散乱ペクトル(k)の自乗をプロットし、kの自乗の値
が0から0.01Å2 の範囲のデータについて直線近似
し、直線の傾き(s)から次式を用いてボイド直径
(D)を計算する。 D=2(2S)1/2
【0026】本発明の着色された繊維布帛は、前記した
着色したポリベンザゾール繊維を主成分として構成され
る。着色されたポリベンザゾール繊維は長繊維、短繊維
又は紡績糸であってもよく、繊維布帛の形態には編物、
織物、不織布等が含まれる。また該繊維布帛の力学特性
及び色調を著しく損わない範囲で、他の着色された繊維
若しくは可染性繊維が混合されてもよい。また布帛を構
成する手段に制限はなく、通常公知の何れの方法をも用
いることができる。例えば、従来のシャットル織機やジ
ェット織機、グリッパーシャットル織機、レピア織機等
の革新的なシャットルレス織機を用いて製織する方法、
例えば、円型編機、平型編機を用いて製編する方法、ウ
エップを積層して不織布とする方法等である。
【0027】
【実施例】まず、本発明における評価方法を示す。
【0028】<繊度の測定法>試料を標準状態(温度2
2±2℃、相対湿度65±2%の状態)の試験室で24
時間静置した後、ラップリールを用いて試料90mを採
取し、その重量を測定して9000mの重量に換算して
繊度とした。
【0029】<繊維の引張強度・初期弾性率の測定法>
JIS L1013(1981)の7.5.1に準じ、
標準状態の試験室でオリエンテック(株)製のテンシロ
ン型試験機を使用して、把み間隔20cm、引張速度1
00%/分、n=10で糸条の強伸度を測定した。
【0030】<繊維の測色方法>目視により繊維及び布
帛の色調を判定した。
【0031】<染色堅牢度の試験方法>JIS L08
42(1988)に記載の試験方法に準じて、染色堅牢
度を評価した。
【0032】<摩擦堅牢度の試験方法>JIS L08
49(1971)に準拠して、摩擦試験機2型によって
乾燥状態と湿潤状態の摩擦堅牢度を評価した。
【0033】[実施例1]メタンスルホン酸を溶媒とし
て25℃の温度で測定した極限粘度が28dl/gのポ
リベンズオキサゾール重合体のポリリン酸溶液(濃度1
4重量%)を170℃に加熱し、着色剤としてC.I.
ピグメントブルー15[Phthalocyanie ・Blue 、日本ピ
グメント(株)製、C.I.74160]をポリベンズ
オキサゾール重合体に対する量が20重量%(ドープに
対する量が2.8重量%)となるように添加し、ニーダ
ーを用いて混合・分散させて濃厚着色物A(マスターバ
ッチ)を得た。
【0034】一方、ポリベンズオキサゾール重合体をポ
リリン酸に溶解した未着色の紡糸原液B(濃度14重量
%)を、170℃に加熱された状態で昇圧装置を通過さ
せて紡糸装置に供給した。該紡糸装置内で未着色紡糸原
液Bをギヤポンプを用いて計量し、一方、前記濃厚着色
物Aを別のギヤポンプによって、得られるポリベンズオ
キサゾール繊維の着色剤含有率が1.6重量%となるよ
うに計量しつつ、未着色紡糸原液Bの流路に圧入した。
このようにして、未着色紡糸原液Bに濃厚着色物Aが添
加された紡糸原液Cを得た。
【0035】該紡糸原液Cをエレメント数15を有する
静止混合器(スタティックミキサー)を通過させた後、
さらに無機物から成る層厚50mmの粒子充填層と、直
径2mmの細孔が格子状に複数個穿孔された分散板とを
通過させた。次いで該分散板の後方に並列的に配設した
複数個の静止型混合器に紡糸原液Cを導入して、着色剤
を混合・拡散させた。さらに直径が10μmの焼結金属
繊維の布帛で構成された積層体を通過させた。そして孔
径0.20mm、孔長0.44mm及び孔数332個の
細孔を有する紡糸口金から、温度173℃、単孔当り
0.226g/分で吐出した。
【0036】紡出された糸条に、該紡糸口金の下方の2
〜47cmの範囲に亘り整流された温度70℃の空気を
0.5m/秒の速度で吹き付けた後、該紡糸口金の下方
50cmの位置に配設された、温度20±2℃に保たれ
た濃度20重量%のリン酸液を抽出媒体とする漏斗型形
状の抽出浴に導入した。次いで該抽出浴外の下方に設置
した複数の第一ロール(群)に巻き崖けて糸条の方向を
変更させた後、第二巻ロール(群)に巻き掛けて張力を
解放すると同時に、該ロール(群)に近接した位置に設
けたスプレー装置から走行糸条に水噴射させて溶媒の抽
出を行なった。引き続いて糸条に、ポリエーテルを主成
分とする紡糸油剤を繊維に対して0.8重量%付与した
後、温度180〜240℃に加熱された複数のロール群
を順次通過させて、糸条の水分率が2重量%以下となる
ように乾燥した。さらにポリエーテルを主成分とする紡
糸油剤を繊維に対して0.8重量%付与した後、200
m/分の速度でパッケージに巻き上げた。このようにし
て、本発明のポリベンズオキサゾール繊維を得た。得ら
れた繊維の評価結果を表1に示す。
【0037】[実施例2]ポリベンズオキサゾール繊維
の着色剤含有率が2.7重量%とになるように変更した
以外は、実施例1と同様にしてポリベンズオキサゾール
繊維を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
【0038】[比較例1〜2]ポリベンズオキサゾール
繊維の着色剤含有率が、それぞれ0.7重量%(比較例
1)、3.7重量%(比較例2)となるように未着色紡
糸原液Bに対する濃厚着色物Aの混合量を変更した以外
は、実施例1と同様にしてポリベンズオキサゾール繊維
を得た。得られた繊維の評価結果を表1に示す。
【0039】[実施例3〜4、比較例3]実施例1にお
ける着色剤C.I.ピグメントブルー15に代えて、そ
れぞれC.I.ソルベントグリーン28[ヘキスト
(株)製](実施例3)、C.I.ソルベントバイオレ
ット13[ヘキスト(株)製](実施例4)、C.I.
ピグメントレッド53[日本ピグメント(株)製](比
較例3)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリベ
ンズオキサゾール繊維を得た。得られた繊維の評価結果
を表2に示す。
【0040】[比較例4]実施例1において着色剤を添
加しなかった以外は、実施例1と同様の製糸条件で未着
色のポリベンズオキサゾール繊維を得た。これを分散染
料[Dispere FastBlue B/Diacelliton Fast Blue BF]
(三菱化成(株)製、C.I.61500)を用いて、
染料濃度2%、分散剤にDisper TL 1g/lを、助剤に
酢酸0.5ml/l、浴比1:100、温度・時間13
0℃×60分の条件で染色した。次いで70℃の温水で
20分間洗浄した後、仕上げ油剤の付与と乾燥を行なっ
た。得られた着色繊維の染色堅牢度及び摩擦堅牢度はと
もに1級と非常に劣っていた。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】表1および表2より、本発明による実施例
1〜4のポリベンズオキサゾール繊維はいずれも、引張
強度および初期弾性率の力学特性に優れるとともに、優
れた色調を有し、染色堅牢度、摩擦堅牢度も十分であっ
た。一方、比較例1のポリベンズオキサゾール繊維で
は、単繊維をカットして繊維断面の染色状態を観察する
と着色剤が繊維横断面内で偏在しており、横断面中心部
まで着色されているものではなく、また、実質的にポリ
ベンズオキサゾールポリマーに固有な黄乃至茶系統の色
調を呈し、添加した着色剤の効果は認められなかった。
比較例2のポリベンズオキサゾール繊維では、強度並び
に初期弾性率が共に本発明の範囲から外れる。またドー
プの吐出部における背圧上昇速度が極めて大きく頻繁な
フィルター交換を必要とする。比較例3のポリベンズオ
キサゾール繊維では、比較例1と同様に着色剤が繊維横
断面内で偏在しており、横断面中心部まで着色されてい
るものではなく、また、染色堅牢度が2級と低く、実用
的な価値のないものであった。
【0044】[実施例5]実施例1のポリベンズオキサ
ゾール長繊維を経糸(構成18本/インチ)と緯糸(構
成18本/インチ)に用いて、幅5cmの細幅織物(綾
織)を作成し、これを実施例5とした。
【0045】[実施例6〜8]実施例2〜4に記載した
ポリベンズオキサゾール長繊維をそれぞれ用いて、実施
例5と同様にして細幅織物を作成し、これらを実施例6
〜8とした。
【0046】実施例5〜8で得られたポリベンズオキサ
ゾール繊維からなる繊維布帛(織物)はいずれも、優れ
た力学特性と色調を有し、衣料近似品の素材として好適
なものであった。
【0047】
【発明の効果】本発明のポリベンザゾール繊維は、以上
述べたように、高い力学特性が損なわれることなく、優
れた色調を有するものである。また本発明の繊維布帛
は、このポリベンザゾール繊維を主成分として構成され
たものであるので、やはり高い力学特性と優れた色調を
有する。従って、本発明の繊維布帛は、高機能性と審美
性を兼ね備えた衣料近似品、例えば防弾チョッキ、ヘル
メット、防護用手袋、エプロン等の素材として非常に好
適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維の横断面中心部まで着色され、且つ
    強度4.0GPa以上、初期弾性率140GPa以上を
    有するポリベンザゾール繊維。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリベンザゾール繊維を
    主成分として構成される繊維布帛。
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