JPH0827407A - 鉛筆芯とその製造方法 - Google Patents

鉛筆芯とその製造方法

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JPH0827407A
JPH0827407A JP18191994A JP18191994A JPH0827407A JP H0827407 A JPH0827407 A JP H0827407A JP 18191994 A JP18191994 A JP 18191994A JP 18191994 A JP18191994 A JP 18191994A JP H0827407 A JPH0827407 A JP H0827407A
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graphite
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Masashi Wakata
昌志 若田
Kenji Akaishi
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 無機体質材粒子を炭素蒸着法で炭素の薄膜で
覆うか、無機体質材を残炭性樹脂と混練して、非酸化性
雰囲気下600℃超の温度で焼成した焼成物を粉砕し
て、体質材粒子表面を炭素の薄膜で覆った体質材と粘結
材、潤滑材とを混練、成形、焼成してなる焼成鉛筆芯。 【効果】 本発明によれば、単に窒化ホウ素を用いた従
来の方法やカーボンブラックの添加では得られなかった
単位摩耗あたりの濃度の高さと、強度を持ち、なおかつ
光沢度が小さく青味の黒色を呈する描線が得られ、なめ
らかな筆感を与える理想的な鉛筆芯を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉛筆芯、特にシャープ
ペンシル用芯に関するもので、筆記描線が純黒で濃く、
光沢度が小さい鉛筆芯及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉛筆芯は、黒鉛や窒化ホウ素、タ
ルク、雲母、カーボンブラックなどの無機体質材と粘土
及び界面活性剤や可塑剤としての水等を混合、混練し、
成形した後高温で焼成して焼結体を得、これに油脂類を
含浸して製造される粘土タイプのものと、前記無機体質
材と合成樹脂や天然樹脂またはアスファルトなどのピッ
チ類と可塑剤や滑剤等を混合、混練し、成形した後80
0〜1,400℃の非酸化性雰囲気で焼成して樹脂を炭
素化させ、炭素をバインダーとした焼成体を得、これに
油脂類を含浸してなる炭素タイプのものに大別される。
基本的には、その実用強度とコストの関係から粘土タイ
プの鉛筆芯は木軸鉛筆、炭素タイプの鉛筆芯はシャープ
ペンシル用に使い分けられている。
【0003】従来、鉛筆芯には、無機体質材兼着色材と
して、結晶性潤滑材として働く黒鉛が使用されて、その
配合や配向などの工程設計によって、書き味や強度の向
上が図られて来た。しかし、黒鉛を主たる着色材として
使用しているために筆記の際、崩れた摩耗粉が紙面に水
平方向にこすりつけられ、黒鉛結晶のベーサル面が紙面
に水平に並ぶ。このため、描線には黒鉛のベーサル面で
の光の反射があり、描線を見る角度によっては判読が困
難になるとともに、描線色は黒灰色を呈するという問題
があった。
【0004】この描線色をより純黒色に近づけようとす
る試みは種々なされているが、カーボンブラックを添加
する方法が主に検討されて来た。カーボンブラックは、
ボールペンやサインペンのインク顔料などに使用されて
おり、その黒さや光の反射が少ないことは周知である。
カーボンブラックは黒鉛と同じくほぼ炭素のみで構成さ
れ、基本的には結晶子(La)の大きさが数十オングス
トロームの黒鉛微結晶が球状に配列した構造の物質であ
り、潤滑性に劣る。表面には比較的多くの官能基を有
し、表面活性である。
【0005】一方、鉛筆芯に使用される黒鉛は天然鱗片
状黒鉛、天然鱗状黒鉛、キッシュ黒鉛などで、結晶子
(La)の大きさが1000オングストローム以上の黒
鉛結晶子が層状に積層配位した物質で、潤滑性がある。
表面には極く僅かな官能基しか有さず不活性である。黒
鉛を使用する鉛筆芯において、黒鉛の全量をカーボンブ
ラックに置き換えた場合、カーボンブラックの比表面積
に対して、バインダー樹脂が不足した状態となり、強度
の極端に低い鉛筆芯となる。
【0006】逆に、カーボンブラックの比表面積に対し
て適正なバインダー樹脂量で鉛筆芯を作ると、カーボン
ブラックが表面活性なため、バインダー樹脂が炭素化す
る際に強固に結合し、潤滑性が無いこともあって、全く
筆記出来ない鉛筆芯となる。黒鉛とカーボンブラックを
併用した場合、カーボンブラックの色相を発現させるた
めには、カーボンブラックを多量に使用しなければなら
ず、カーボンブラック単独で使用した場合と同様な理由
で、極端に強度の低いものとなってしまう。
【0007】カーボンブラックの使用量が少ない場合に
あっては、カーボンブラックの色は発現しないばかり
か、板状の黒鉛粒子の間に球状のカーボンブラックが挟
まった構造となり、粗な組織であるため強度が発現しな
い。さらに強度が低いにもかかわらず、カーボンブラッ
クがバインダー樹脂の炭素化物と強固に結合するため、
濃度が薄いものとなる。以上の様に、カーボンブラック
を使用して鉛筆芯の筆記描線を純黒色の色相にすること
は困難である。
【0008】黒鉛と類似の構造を持ち、潤滑性に優れた
無機体質材として窒化ホウ素やタルク、雲母を用いる方
法は公知であるが、これらの無機体質材は黒鉛とは異な
り、着色に寄与しないため、筆記時の摩耗量あたりの濃
度が少なく、黒鉛を用いた鉛筆芯と比較して違和感のあ
る鉛筆芯となる等の問題点がある。そのため、窒化ホウ
素を無機体質材とした焼成鉛筆芯は、特公昭51−29
048号公報のように焼結体の気孔内部にインキ等を含
浸させることになって耐光性に劣る描線となる。窒化ホ
ウ素に着色材として黒鉛やカーボンブラックを用いて黒
芯を製造すると、又前記の問題点を生ずることになる。
【0009】結合材と着色材の混練物(A)をか焼し、
これを微粉砕して、更にこの微粉体を、粘結材と共に混
練して、微粉体が粘結材中に固体分散した混練物(B)
を作成し、これを押出成形し、高温で焼成する高強度焼
成鉛筆芯は特公昭60−2999号公報に開示されてい
る。しかし、この鉛筆芯と本願の鉛筆芯の決定的な相違
は、2999号は、(A)のか焼を600℃以下で行う
ことで、これは600℃以上であると、結合材がコーク
ス化して、(B)の焼成時に微粉体どおしの焼結が形成
されないからであるとしている。本願は最初のか焼で、
600℃超の温度で有機高分子を炭素化させ、再度のか
焼時にはバインダーとしての焼結力を発現させないもの
である。本願は無機体質材粒子のまわりに炭素の薄膜を
形成するのが目的である。
【0010】特公昭60−2999号公報の方法では、
また、か焼物を微粉砕したか焼粉と混練する粘結材には
残炭率の低い樹脂を用いる必要がある。ここで残炭率の
高い樹脂を用いると、結合材によってもたらされる炭素
と粘結材によってもたらされる炭素が同時に成長し、バ
インダーとして働く炭素の量が多くなり過ぎガリガリの
鉛筆芯となり実用的でない。つまり、この方法では着色
に寄与する炭素の量を増やすことが出来ないのである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、筆記
描線が純黒で濃く、光沢度が小さく、書き味に優れた鉛
筆芯を提供することである。特に、単位摩耗量あたりの
濃度の向上した鉛筆芯に関する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決するため鋭意研究を行った結果、黒鉛微結晶の
球状集合体であるカーボンブラックと黒鉛の構造の違い
に鑑み、カーボンブラックと同様な黒鉛微結晶の集合体
が、黒鉛同様板状に積層配位した炭素薄膜を無機体質材
表面に形成したものを用いることによって、筆記描線が
純黒で濃く、光沢度が小さく、書き味が優れた鉛筆芯を
得て、発明を完成した。
【0013】すなわち本発明は、無機体質材として結晶
性の潤滑性を示す体質材を使用し、この体質材粒子の周
りが実質的に数十オングストロームの黒鉛微結晶が黒鉛
の如く板状に積層配位した薄膜で覆われた無機体質材を
用いてなる鉛筆芯である。無機体質材粒子の周りを、実
質的に炭素の薄膜で被覆するには炭素蒸着法によって被
覆してもよく、又無機体質材と残炭性樹脂との混練物
を、600℃超、好ましくは700℃超の温度で焼成
し、微粉砕してもよい。又この両者を組み合わせてもよ
い。
【0014】両者を組み合わせたものとは、炭素蒸着法
によって、実質的に炭素の薄膜で被覆した無機体質材と
残炭性樹脂との混練物を非酸化性雰囲気下で、600℃
超の温度で焼成した焼成物を粉砕して得た炭素被覆無機
体質材微粉末と粘結材と潤滑材を主とする材料とを混
練、成型、焼成してなる焼成鉛筆芯及びその製造方法で
ある。
【0015】以下、本発明を詳細に説明する。黒鉛は、
その優れた潤滑性と耐熱性および異方性のため鉛筆芯の
無機体質材兼着色材として古くから利用されて来た。黒
鉛には天然黒鉛と人造黒鉛とがあり、天然黒鉛は鱗状黒
鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛に分類される。このうち鉛筆
芯用に使用されるのは、主に天然鱗片状黒鉛、天然鱗状
黒鉛又は、人造黒鉛に分類されるキッシュ黒鉛である
が、いずれも結晶性が高く黒鉛結晶子(La)の大きさ
は1000オングストローム以上である。これらの結晶
性の高い黒鉛は数10μm以上の大きな粒子として産出
されるため、使用に際しては粉砕を施して所望の粒子径
に調整されるが、結晶子の大きさは粉砕を施した後も大
きな変わりはない。しかし、結晶子が大きすぎるため
か、光の反射を生じ、黒鉛独特の金属的な光沢を有す
る。
【0016】また、上記した如く、カーボンブラックは
黒鉛と同じくほぼ炭素のみで構成され、基本的には結晶
子(La)の大きさが数十オングストロームの黒鉛微結
晶が球状に配列した構造の物質であり、潤滑性に劣る。
表面には比較的多くの官能基を有し、表面活性である。
カーボンブラック(デグッサ社製スペシャルブラック#
4)の電子顕微鏡写真 図1参照。
【0017】本発明で使用する無機体質材としては、単
なる体質材ではなく、筆記時の書味を滑らかにするた
め、結晶性潤滑作用を有するものであって、窒化ホウ素
が一般的であるが、他にタルク、雲母、二硫化モリブデ
ンなど、黒鉛以外のものを使用する。
【0018】本研究者らは、炭素の蒸着法などで、炭素
薄膜を無機体質材表面に形成し、該処理無機体質材を着
色材として用いることによって、単位摩耗量あたりの濃
度を向上できることを見出した。炭素の蒸着法で炭素薄
膜を無機体質材表面に形成する方法は、絶縁体物質を電
子顕微鏡で観察する場合に一般的に行われるものである
が、高倍率(および10万倍程度)での観察においても
図1のごとき球状粒子が観察されないことから、炭素蒸
着法によって生成した炭素は、薄膜状であることが容易
に類推される。
【0019】炭素蒸着法の代りに、無機体質材と残炭性
樹脂との混練物を非酸化性雰囲気下で、600℃超、好
ましくは700℃超の温度で焼成した焼成物を微粉砕し
てもよい。残炭性樹脂とは、上記温度での焼成で炭素の
残渣を残す樹脂であり、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合物、コールタール、ピッチ類、
アスファルト、熱硬化性樹脂の初期重合体、セルロース
エーテル、リグニン誘導体などが挙げられる。
【0020】これらの残炭性樹脂は、加熱初期において
溶融して無機体質材粒子の周囲に薄膜状に付着するの
で、炭化した後は炭素蒸着法と同様に粒子を炭素薄膜で
被覆するものである。
【0021】なお、黒鉛に対して同様の処理を施し、鉛
筆芯を作製しても、黒鉛の性質が強く出るためか効果は
確認出来ない。また、本発明の鉛筆芯の方が黒鉛を用い
た鉛筆芯よりも描線の光沢度が小さい理由は定かではな
いが、黒鉛結晶子の大きさに由来する結晶粒界での干渉
によって、粒子表面での光の反射が少なくなるためと考
えられる。
【0022】残炭性樹脂と無機体質材とを混練して、非
酸化雰囲気で焼成する場合、600℃超、好ましくは7
00℃超とする理由は、少なくとも600℃超の熱処理
を施された場合、コークス化して炭素化が行われ、再度
の熱処理によっても最早バインダーとしての焼結力を発
現せず、特公昭60−2999号公報の如き、微粉体ど
おしの焼結が形成されない。本願の場合は、この二次結
合は後で加えられる粘結材によってのみ達成される。
【0023】
【作用】本願では、窒化ホウ素のような結晶性潤滑作用
を有する無機体質材に炭素蒸着法又は残炭性樹脂との混
練、焼成によって表面に炭素薄膜を形成する。本願の焼
成鉛筆芯は、この無機体質材を二次的に粘結材で焼結し
たものであるが、この炭素結晶子の大きさが黒鉛にくら
べて小さいために結晶粒界での干渉によって、粒子表面
での光の反射が少なくなり、描線の光沢度が小さく、青
味の黒色を呈する描線を得、しかも体質材の潤滑作用
で、なめらかな筆感を与えるものと推定される。
【0024】
【実施例】以下に、本発明を実施例によって、更に具体
的に説明するが、本発明は実施例によって何等制限され
るものではない。 (実施例1) 炭素真空蒸着装置で表面に200オングストロームの膜厚の炭素を蒸着した平 均粒子径2.0μmの窒化ホウ素粉末 50重量部 塩化ビニル樹脂 50重量部 フタル酸ジオクチル 15重量部 ステアリン酸亜鉛 1重量部 この配合組成物を十分に混練し、細線状に押出成形し、
空気中で加熱乾燥および不融化処理を行った後、窒素雰
囲気中で約1,000℃まで加熱焼成して得た焼成体に
スピンドル油を含浸して直径0.57mmの鉛筆芯を得
た。得られた鉛筆芯について行った強度試験の結果と筆
記特性試験の結果を表1、表2に示す。
【0025】(実施例2)炭素真空蒸着装置で表面に2
00オングストロームの膜厚の炭素を蒸着した平均粒子
径4.5μmの窒化ホウ素粉末を用いた他は全て、実施
例1と同じくして直径0.57mmの鉛筆芯を得た。得ら
れた鉛筆芯について行った強度試験の結果と筆記特性試
験の結果を表1、表2に示す。
【0026】(実施例3)炭素真空蒸着装置で表面に2
00オングストロームの膜厚の炭素を蒸着した平均粒子
径8.0μmの窒化ホウ素粉末を用いた他は全て、実施
例1と同じくして直径0.57mmの鉛筆芯を得た。得ら
れた鉛筆芯について行った強度試験の結果と筆記特性試
験の結果を表1、表2に示す。
【0027】(実施例4)炭素真空蒸着装置で表面に1
00オングストロームの膜厚の炭素を蒸着した平均粒子
径8.0μmの窒化ホウ素粉末を用いた他は全て、実施
例3と同じくして直径0.57mmの鉛筆芯を得た。得ら
れた鉛筆芯について行った強度試験の結果と筆記特性試
験の結果を表1、表2に示す。
【0028】(実施例5) 平均粒子径2.0μmの窒化ホウ素粉末 50重量部 塩化ビニル樹脂 50重量部 フタル酸ジオクチル 15重量部 ステアリン酸亜鉛 1重量部 上記配合組成物を三本ロールを用いて十分に混練した混
練物を造粒後、乾燥し、不融化し、窒素雰囲気下約10
00℃で焼成した焼成物を微粉砕して平均粒子径2.0
μmの粉末を得た。得られた粉末を実施例1の炭素を蒸
着した窒化ホウ素の代わりに用いた他は全て、実施例1
と同じくして直径0.57mmの鉛筆芯を得た。得られた
鉛筆芯について行った強度試験の結果と筆記特性試験の
結果を表1、表2に示す。
【0029】(実施例6)実施例5の平均粒子径2.0
μmの窒化ホウ素の代わりに平均粒子径8.0μmの窒
化ホウ素を使用し、微粉砕後の平均粒子径が8.0μm
の粉末を得た。得られた粉末を実施例1の炭素を蒸着し
た窒化ホウ素の代わりに用いた他は全て、実施例1と同
じくして直径0.57mmの鉛筆芯を得た。得られた鉛筆
芯について行った強度試験の結果と筆記特性試験の結果
を表1、表2に示す。
【0030】(比較例1)炭素の蒸着を施さない平均粒
子径2.0μmの窒化ホウ素粉末を用いた他は全て、実
施例1と同じくして直径0.57mmの鉛筆芯を得た。得
られた鉛筆芯について行った強度試験の結果と筆記特性
試験の結果を表1、表2に示す。
【0031】(比較例2)炭素の蒸着を施さない平均粒
子径4.5μmの窒化ホウ素粉末を用いた他は全て、実
施例2と同じくして直径0.57mmの鉛筆芯を得た。得
られた鉛筆芯について行った強度試験の結果と筆記特性
試験の結果を表1、表2に示す。
【0032】(比較例3)炭素の蒸着を施さない平均粒
子径8.0μmの窒化ホウ素粉末を用いた他は全て、実
施例3、実施例4と同じくして直径0.57mmの鉛筆芯
を得た。得られた鉛筆芯について行った強度試験の結果
と筆記特性試験の結果を表1、表2に示す。
【0033】(比較例4)平均粒子径8.0μmの天然
鱗片状黒鉛を用いた他は全て、実施例1と同じくして直
径0.57mmの鉛筆芯を得た。得られた鉛筆芯について
行った強度試験の結果と筆記特性試験の結果を表1、表
2に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】表1に示した曲げ強さはJIS S 60
05に準じて行った試験結果である。濃度はJIS S
6005の濃度試験に使用する画線紙を通常筆記に用
いられる上質紙に変更して行った試験結果である。摩耗
量は濃度試験に要した芯の減摩量から10m筆記に必要
な芯の長さを求めたものである。表2に示した光沢度
は、上質紙に3cm四方に手塗りで左右方向、上下方向に
紙面が均一に塗りつぶされるように反復して塗りつぶし
て作成した試験片をスガ試験機製光沢度計UGV−5D
を用いて45°の角度で測定した結果である。色相およ
び明度は光沢度試験に使用した試験片をスガ試験機製カ
ラーコンピューターSM−4を用いて測定した結果であ
る。
【0037】実施例1〜6は比較例1〜3と比べ、明ら
かに実施例の方が、摩耗量あたりの濃度が高いことが分
かる。また、光沢度の結果から窒化ホウ素を用いた芯
(実施例1〜6・比較例1〜3)は比較例4の黒鉛を用
いた芯に比べて光沢度が小さいことが分かる。この理由
は定かではないが、黒鉛と窒化ホウ素のパイ電子の有無
に起因するものと考えられる。色相に関しても同様に窒
化ホウ素を用いると黒色ではあるが青紫系の色相を呈す
るいわゆる青味の黒となるのに対し黒鉛を用いた芯は赤
味の黒である。実施例1〜4で用いた蒸着窒化ホウ素表
面での炭素は上記したごとく薄膜状であることが類推さ
れる。図2は実施例5の微粉砕粒子について無蒸着で観
察した電子顕微鏡写真である。図2中に図1に示したカ
ーボンブラック粒子のごとき球状粒子が観察されないこ
とから、実施例5および実施例6の方法によっても窒化
ホウ素表面に炭素薄膜が形成されていると言える。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、単に窒化ホウ素を用い
た従来の方法やカーボンブラックの添加では得られなか
った単位摩耗あたりの濃度の高さと、強度を持ち、なお
かつ光沢度が小さく青味の黒色を呈する描線が得られ、
なめらかな筆感を与える理想的な鉛筆芯を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カーボンブラック(デグッサ社製スペシャル
ブラック #4)の電子顕微鏡写真(100,000
倍)である。
【図2】実施例5の微粉砕粒子について無蒸着で観察し
た電子顕微鏡写真(100,000倍)である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素蒸着法によって、実質的に炭素の薄
    膜で被覆した無機体質材を使用してなる焼成鉛筆芯。
  2. 【請求項2】 無機体質材と残炭性樹脂との混練物を非
    酸化性雰囲気下で、600℃超の温度で焼成した焼成物
    を粉砕して得た炭素被覆無機体質材微粉末と、粘結材と
    潤滑材を主とする材料とを混練、成型、焼成してなる焼
    成鉛筆芯。
  3. 【請求項3】 炭素蒸着法によって、実質的に炭素の薄
    膜で被覆した無機体質材と残炭性樹脂との混練物を非酸
    化性雰囲気下で、600℃超の温度で焼成した焼成物を
    粉砕して得た炭素被覆無機体質材微粉末と、粘結材と潤
    滑材を主とする材料とを混練、成型、焼成してなる焼成
    鉛筆芯。
  4. 【請求項4】 炭素蒸着法によって、無機体質材の表面
    を実質的に炭素の薄膜で被覆し、該炭素被覆無機体質材
    と、残炭性樹脂との混練物を非酸化性雰囲気下で、60
    0℃超の温度で焼成し、この焼成物を微粉砕して得た炭
    素被覆無機体質材微粉末と、粘結材、潤滑材を主とする
    材料とを混練、成型、焼成することを特徴とする焼成鉛
    筆芯の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002533551A (ja) * 1998-12-23 2002-10-08 デグサ アクチエンゲゼルシャフト ドープされたカーボンブラック
JP2016030786A (ja) * 2014-07-29 2016-03-07 ぺんてる株式会社 焼成鉛筆芯及びその製造方法

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