JPH0827313A - タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents

タイヤトレッド用ゴム組成物

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JPH0827313A
JPH0827313A JP16378294A JP16378294A JPH0827313A JP H0827313 A JPH0827313 A JP H0827313A JP 16378294 A JP16378294 A JP 16378294A JP 16378294 A JP16378294 A JP 16378294A JP H0827313 A JPH0827313 A JP H0827313A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 タイヤの耐摩耗性を損なうことなく、ウェッ
トグリップ性能と低転がり抵抗性能とのバランスに優れ
たタイヤの製造に使用するのに適したタイヤトレッド用
ゴム組成物を提供する。 【構成】 ゴム分としてtanδの温度分散曲線がバイ
モーダルとなる2種又はそれ以上のジエン系ゴムを含ん
でなり、その高温度側のtanδのピーク温度が−10
℃〜−50℃にあり、そしてその低温度側のtanδの
ピーク温度が高温度側のピークより10℃以上低いポリ
マーブレンド系において、カーボンブラック、シリカな
どの補強性充填剤を低Tg側のtanδピークを形成す
るポリマーと選択的にバウンドラバー形成させた、タイ
ヤトレッド用ゴム組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タイヤの耐摩耗性を損
なうことなく、ウェットグリップ性能と低転がり抵抗性
能とのバランスに優れたタイヤの製造に使用されるタイ
ヤトレッド用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、産業界における省資源化の要求が
高まっており、タイヤ業界においても、ウェットグリッ
プ性能や耐摩耗性などの性能を維持して、転がり抵抗を
低減したタイヤを開発することが求められている。この
ような要求に基づき、従来から以下に示すような種々の
提案がなされている。
【0003】例えば特開昭61−218404号公報に
はゴム組成物中に補強剤として珪酸塩系充填剤又はそれ
と補強用カーボンとを配合して耐摩耗性ならびに転がり
抵抗を低下させることが提案されており、特公平5−1
298号公報には、ゴム組成物中に末端変性(例えば芳
香族第3級アミノ基で末端変性した)ポリマーの使用に
よって転がり抵抗を低下させることが提案されており、
特開平4−356544号公報には低発熱化剤(例えば
ジニトロジアミン化合物)を配合することが提案されて
おり、更に特開平4−325535号公報には、ゴム組
成物中に特定の性能を有するファーネスカーボンブラッ
クを配合することが提案されている。しかしながら、こ
れらの例示技術による改良効果は認められるものの、更
に高い要求を満足することが社会的に求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の従来
技術の状況に鑑み、耐摩耗性を損なうことなく、ウェッ
トグリップ性能と低転がり抵抗性能とのバランスの向上
したタイヤを製造するのに適したタイヤトレッド用ゴム
組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、ゴム分
としてtanδの温度分散曲線が、その高温度側のta
nδのピーク温度が−10℃〜−50℃にあり、そして
その低温度側のtanδのピーク温度が高温度側のピー
クより10℃以上低い、バイモーダルとなる少なくとも
2種のジエン系ゴムを含んでなり、更に少なくとも一種
の補強性充填剤を合計でゴム分100重量部当り30〜
90重量部含み、かつ当該コンパウンドのバウンドラバ
ー中の高Tgゴム成分の含有量が[高Tgゴム成分の配
合比]×0.7以下であるタイヤトレッド用ゴム組成物
が提供される。
【0006】なお、本発明において、「バウンドラバ
ー」とは充填剤を混合した未加硫ゴムを溶剤によって抽
出した際、充填剤と結合したまま抽出されずに残るゴム
分をいう。タイヤのウェットグリップ性能はtanδ
(0℃、20Hz)との相関が高く、転がり抵抗はtan
δ(60℃、20Hz)との相関が高い。従ってタイヤの
ウェットグリップ性能と低転がり抵抗とを両立させるた
めにはtanδ(0℃付近〜60℃付近)の温度分散の
勾配(マイナス)を急にすることが必要である。従来の
配合技術では、例えばガラス転移温度の低いゴム成分を
使用することでtanδ(60℃)を低下させることは
可能だが、この際tanδ(0℃)も一緒に低下してし
まうので好ましくない。また、カーボンブラック等の補
強剤の配合量を少なくすることによってtanδ(0℃
/60℃)の勾配は改良可能であるが耐摩耗性も低下し
てしまうので好ましくない。このように、タイヤのウェ
ットグリップ性能、低転がり抵抗及び耐摩耗性は互いに
相反する特性であり、これを解決することが必要であ
る。
【0007】通常ゴムポリマーにカーボンブラック、シ
リカ等の補強性充填剤を常法により配合すると、図1に
示すように、補強性充填剤の配合前のtanδの温度分
散曲線(図1の実線グラフ)は補強性充填剤の配合によ
り図1の破線に示すように、tanδの温度分散曲線の
ピークが低くなり、逆に高温部(裾野の部分)が高くな
る。従って補強性充填剤の配合量を減少させることによ
りtanδ(0℃/60℃)の勾配が改良できるが、前
述のように、配合量を減らすことによって耐摩耗性が大
きく低下してしまう。
【0008】本発明者らはかかる現象を改良するために
鋭意検討した結果、以下のことが明らかとなった。即
ち、非相溶性のポリマー系では補強性充填剤の配合量の
増加に従って図2に示すごとく図1の場合と同様に、ピ
ーク高さが低下し、高温部が上昇するが、低Tg側のポ
リマーに補強性充填剤を偏在させることによって、図3
に示すように高Tg側ポリマーはあたかも補強性充填剤
の配合減量を行ったのと同様の効果を示し、優れたta
nδ(0℃/60℃)の勾配を得ることができる。
【0009】補強性充填剤のポリマーブレンド系での偏
在については、例えばラバー ケミストリー アンド
テクノロジ誌(RCT).47 48〜56頁(197
3年)やRCT.61 609〜618頁(1988
年)などで研究されており、混合方法や使用ポリマーに
より反撥弾性や耐クラック性が変化することが報告され
ている。しかしながら、これらの研究においては、ta
nδの温度分散の勾配に及ぼす影響については全く言及
されていない。
【0010】本発明者らは、ポリマーブレンドの組合せ
や混合方法によって補強性充填剤を偏在させた時のta
nδへの影響が大きく異なることを見出した、即ち、t
anδの温度分散が二つのピークを持つポリマーブレン
ド系ではtanδピークの位置により以下のような効果
が生じる。
【0011】高温度側のピークと低温度側ピークの差が
10℃未満の場合には補強性充填剤を偏在させても0℃
〜60℃のtanδにほとんどその効果が現れない。そ
の差が10℃以上になるに従って60℃付近のtanδ
の低減効果が出現し、30℃以上となると大幅にtan
δが低下する。
【0012】高温度側のピーク温度もtanδの0℃と
60℃の勾配を左右する。この温度が−50℃未満では
補強性充填剤を偏在させてもtanδの温度分散の勾配
の改良効果は認められない。−50℃より高温になるに
従いtanδ温度分散の勾配は大きくなり、−40℃以
上で急激に上昇し、−10℃でその効果が最大となる。
一方、ピークが−10℃以上では室温での硬度上昇や低
温時の脆化の問題のためタイヤトレッドとしての実用性
が失われる。
【0013】本発明者らは上述のようにtanδの温度
分散と補強性充填剤の偏在の関係を検討の結果、補強性
充填剤を低Tg側ポリマー相へ偏在させることによっ
て、耐摩耗性を低下させることなく、ウェットグリップ
性能と低転がり抵抗とをバランスさせることが可能であ
ることを見出した。
【0014】補強性充填剤の偏在の検知方法としては、
本発明では、熱分解ガスクロによるバウンドラバーのポ
リマー組成とコンパウンド全体のポリマー組成を比較す
る方法を用いた。なお、この方法はRCT.61 60
9〜618頁にも記載されている。また、3種以上のブ
レンド系の場合はRCT.66 276頁(1993
年)に記載のDSCによるTgの上昇を調べる方法が適
用できる。
【0015】本発明において配合することのできるジエ
ン系ゴムとしては、従来からタイヤトレッドとして一般
的に使用されて来た天然ゴム(NR)、ポリブタジエン
ゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SB
R)などを用いることができる。
【0016】本発明で用いる補強性充填剤としては、例
えばカーボンブラック、シリカなどをあげることができ
る。
【0017】このような補強性充填剤を特定のポリマー
相に偏在させる方法としては、例えば偏在させたいポリ
マーと補強性充填剤をまず混合した後に、他のポリマー
を加える方法によることができる。これらは、例えばシ
リカに対しては、NR、BR、SBR(低スチレン)、
SBR(高スチレン)の順番に親和性が高いことが本発
明者らの検討で明らかとなっており、この性質を利用す
ることによって偏在をコントロールすることが可能であ
る。
【0018】本発明に係るタイヤトレッド用ゴム組成物
はゴム分としてtanδの温度分散がバイモーダルとな
る2種又はそれ以上のジエン系ゴムを含む、このtan
δの温度分散曲線がバイモーダルでないと前記した補強
用充填剤の所望の偏在効果が得られない。なお本発明に
従えば、高温度側のtanδのピーク温度が−10℃〜
−50℃でなければならないが、これは、ピーク温度が
−10℃を超えると、低温時の硬度上昇により低温時ウ
ェットグリップが低下してしまい、脆化温度が上昇する
(高温側)ので好ましくなく、逆に高温側ピーク温度と
の差が10℃未満では、補強性充填剤の偏在効果が認め
られない(低温側)ので好ましくない。
【0019】本発明に従えば、補強性充填剤(カーボン
ブラック及び/又はシリカ等)を合計でゴム100重量
部当り、好ましくは30〜90重量部、更に好ましくは
35〜70重量部配合する。この配合量が30重量部未
満では耐摩耗性が大きく低下して実用レベルを満足しな
くなるおそれがあり、逆に90重量部を超えると転がり
抵抗が上昇してしまうおそれがあるので好ましくない。
【0020】本発明によれば、バウンドラバー中の高T
gゴム成分の含有量は次式で表される。 [高Tgゴム成分の配合比]×0.7以下(好ましくは
0.6以下) この値が0.7を超えると良好なウェットグリップ性能
と低転がり抵抗が得られないおそれがあるので好ましく
ない。
【0021】本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物には
前記した2種以上のジエン系ゴム、補強性充填剤に加え
て、硫黄、加硫促進剤、老化防止剤、充填剤、軟化剤、
可塑剤などのタイヤ用に一般に配合されている各種添加
剤を配合することができ、かかる配合物は一般的な方法
で加硫してタイヤトレッドを製造することができる。こ
れらの添加剤の配合量も一般的な量とすることができ
る。
【0022】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に説明する
が、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでな
いことは言うまでもない。
【0023】実施例1〜4及び比較例1〜8 表1に示す配合内容(重量部)でそれぞれの成分を配合
し、加硫促進剤と硫黄を除く原料ゴム及び配合剤を1.
7リットルのバンバリーミキサーで5分間混合した後、
この混合物に加硫促進剤と硫黄とを8インチの試験用練
りロール機で4分間混練し、ゴム組成物を得た。これら
のゴム組成物を160℃で20分間プレス加硫して、目
的とする試験片を調製し、各種試験を行い、その物性を
測定した。得られた加硫物の物性は表1に示す通りであ
る。
【0024】
【表1】
【0025】カーボンブラック配合及びシリカ配合は以
下の通りである。カーボンブラック配合 ゴム 100部 CB(N339) 50部 亜鉛華 3部 ステアリン酸 2部 老化防止剤(1) 1部 硫黄 2部 加硫促進剤(2) 1部シリカ配合 ゴム 100部 シリカ 50部 シランカップリング剤(3) 3部 ジエチレングリコール 1部 亜鉛華 3部 ステアリン酸 2部 老化防止剤(1) 1部 硫黄 2部 加硫促進剤(2) 2部(1) サントフレックス13(モンサント社製)(2) サンセラーNS(三新化学製)(3) Si69(デグッサ社製)
【0026】加硫物性は以下のような方法で測定した。
【0027】(1)耐摩耗性指数:ランボーン型摩耗試
験機を用いて荷重→5kg、スリップ率→25%で室温で
4分間測定した。比較例3の値を100として指数表示
した。この指数が大きいほど耐摩耗性良好であることを
示す。
【0028】粘弾性特性は、東洋精機製粘弾性スペクト
ロメータを用い、歪み→10±2%、周波数→20Hzの
条件で測定した。なおtanδ(0℃)は大きいほどウ
ェット制動性良好であり、tanδ(60℃)は小さい
ほど低転動抵抗性良好であることを示す。
【0029】バウンドラバー中の高Tgゴム成分比はま
ず未加硫ゴムを細断し、トルエン中に24時間浸漬後の
トルエン不溶分(バウンドラバー)を風乾後、熱分解ガ
スクロによりスチレン定量し求めた。更に必要により、
バウンドラバーの熱分解物をIRでミクロ構造測定する
ことにより求めた。その際、各原料ゴム成分により作成
した検量線を使用した。
【0030】実施例3及び比較例5の配合の温度による
tanδ及び動的弾性率E' の変化を測定し、それぞれ
図4及び図5に示した。また実施例4及び比較例7の配
合の温度によるtanδ及びE' の変化をそれぞれ図6
及び図7に示した。
【0031】図4及び図5に示した、それぞれ、実施例
3及び比較例5の配合は、いずれも、NR(Tg:−5
7℃)50部及びSBR−A(Tg:−30℃)50部
の配合であるが、実施例3は、バウンドラバー中の高T
gゴム成分(SBR−A)の含有量が、SBR−A配合
比に対し0.02であるのに対し、比較例5では0.9
7に達している。その結果、図4ではtanδの温度分
散曲線に2つのピークが明瞭に存在するのに対し、図5
の曲線では1山に近いものとなっている。
【0032】図6及び図7に示した、それぞれ、実施例
4及び比較例7の配合は、いずれも、SBR−B(T
g:−72℃)50部及びSBR−C(Tg:−24
℃)50部の配合であるが、実施例4はバウンドラバー
中の高Tgゴム成分(SBR−C)の含有量が、SBR
−Cの配合比に対し0.29であるのに対し、比較例7
では0.94に達している。その結果、図6ではtan
δの温度分散曲線に2つのピークが明瞭に存在するのに
対し、図7の曲線では、ピークがやや不明瞭になってい
る。
【0033】図4〜図7に示したグラフの測定は次の条
件で行った。 使用機器:東洋精機製作所社製「レオグラフ・ソリッ
ド」 昇温速度:5℃/min 伸縮 :10%伸長状態で±0.5%の伸縮を周期2
0Hzで行った。
【0034】
【発明の効果】表1の結果から明らかなように、本発明
に従った実施例1〜4ではそれぞれ対応する比較例に比
較して、耐摩耗性を実質上低下させることなく、ウェッ
トグリップ性能及び低転がり抵抗性のバランスに優れた
タイヤトレッド用ゴム組成物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なゴムポリマーに補強性充填剤を配合し
た時の前後のtanδの温度分散曲線を示すグラフで、
実線が配合前で破線が配合後の曲線を示す(以下同
じ)。
【図2】バイモーダルなピークを有する一般的なゴム配
合物のtanδの温度分散曲線における補強性充填剤の
配合させた時の前後の値を示すグラフである。
【図3】本発明に従ったゴム組成物の場合のtanδの
温度分散曲線を示すグラフである。
【図4】実施例3の配合の、温度によるtanδとE'
(動的弾性率)の変化を示すものである。
【図5】比較例5の配合の、温度によるtanδとE'
(動的弾性率)の変化を示すものである。
【図6】実施例4の配合の、温度によるtanδとE'
(動的弾性率)の変化を示すものである。
【図7】比較例7の配合の、温度によるtanδとE'
(動的弾性率)の変化を示すものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム分としてtanδの温度分散曲線
    が、その高温度側のtanδのピーク温度が−10℃〜
    −50℃にあり、そしてその低温度側のtanδのピー
    ク温度が高温度側のピークより10℃以上低い、バイモ
    ーダルとなる少なくとも2種のジエン系ゴムを含んでな
    り、更に少なくとも一種の補強性充填剤を合計でゴム分
    100重量部当り30〜90重量部含み、かつ当該コン
    パウンドのバウンドラバー中の高Tgゴム成分の含有量
    が[高Tgゴム成分の配合比]×0.7以下であるタイ
    ヤトレッド用ゴム組成物。
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