JPH08267A - 固定化生体触媒 - Google Patents

固定化生体触媒

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JPH08267A
JPH08267A JP14157194A JP14157194A JPH08267A JP H08267 A JPH08267 A JP H08267A JP 14157194 A JP14157194 A JP 14157194A JP 14157194 A JP14157194 A JP 14157194A JP H08267 A JPH08267 A JP H08267A
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water
immobilized
polymerization
solvent
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JP14157194A
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Takashi Senba
尚 仙波
Koichi Sakano
公一 阪野
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 アクリル酸及びメタアクリル酸並びにそれら
の塩から成る群から選ばれた少なくとも1種の単量体
と、生物細胞及び/又は酵素とを含んで成る混合溶液
を、場合によっては水に難溶又は不溶の溶剤中に懸濁分
散させた後、重合せしめ、所望により乾燥することを特
徴とする固定化生体触媒。 【効果】 固定化生成物中に多量の細胞並びに酵素を固
定化することができ、且つ容易に粒状(球状)化するこ
とができる。本発明の固定化生体触媒は、乾燥状態で貯
蔵することができ、使用に際して水性媒体、例えば培地
を添加することにより、所望の生化学的反応に使用する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、固定化生体触媒、及び
その製造方法に関し、固定化担体として吸水性架橋重合
体中に生物細胞並びに酵素を効率よく固定でき、かつ長
期保存が可能な、新規な固定化生体触媒、及びそれらの
製造方法を提唱するものである。
【0002】
【従来の技術】生物細胞および酵素は、その物質変換能
力を利用して、各種の有用物質の製造分野や、分析分
野、そして水処理分野などの多方面にわたって広く利用
されている。特に、該生物細胞や酵素が種々多様の不溶
性担体に固定化された固定化細胞や固定化酵素は、反応
効率の向上や分離精製工程の簡略化、さらには生物細胞
や酵素の再利用工程の簡略化などの目的を達成するため
に、好適に用いることができる。なお、本発明において
は、固定化細胞、固定化酵素等を固定化生体触媒と称す
る。
【0003】そこで、もし該固定化生体触媒を常温下、
乾燥状態で長期保存し、使用時に含水させて活性を発現
できる方法が構築されたならば、固定化生体触媒を軽量
でコンパクトな状態で、しかも低コストでの長期保存や
運搬が可能になる。さらには、乾燥状態であるので保存
時の雑菌汚染の問題もなくなると期待される。
【0004】固定化細胞及び酵素(固定化生体触媒)の
活性を保持したままで保存する方法としては、従来、該
固定化生体触媒を緩衝液や生理食塩水などに浸漬した状
態で低温(冷蔵)保存をとる必要があった。この理由と
して、微生物や酵素は乾燥状態でも活性を維持できるも
のが存在するにもかかわらず、乾燥保存すること、及び
乾燥保存後に含水させて使用することが可能な固定化担
体が見いだされていなかったためであると考えられる。
【0005】即ち、従来のゲル状固定化担体では、乾燥
させた後に水を含ませようとしても元の大きさには復元
できないという問題がある。また、無機系の担体は乾燥
させても担体自身の大きさには変化がないので、乾燥し
てもしなくてもその体積は変わらない。さらに、無機系
担体はそれ自身かなりの重量があることなどから、乾燥
させるだけのメリットがないなどの問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】吸水性樹脂を固定化担
体として利用するという報告は、本発明者らと意図する
ところが異なっているが、数種の例が報告されている。
しかし、それらはいずれも吸水性樹脂と微生物を接触さ
せて固定化するという方法であり、本発明者らが提唱し
ている、アクリル酸、メタアクリル酸及びそれらの塩か
らなる群から選ばれる、吸水性を示す重合体を形成しう
る単量体と生物細胞や酵素を混合してから後に重合を行
い、固定化生体触媒を調製する方法とは本質的に異なっ
ている。
【0007】即ち、他の報告例のような、吸水性樹脂と
菌体とを接触させて固定化する方法では、菌体はゲル内
部に侵入しにくく、表面のみでしか固定されない。また
そのように固定した菌体は溶媒(培地や反応液)の塩濃
度などが変化することによって容易に遊離してしまうと
考えられる。一方、本発明者がここに提唱する固定化生
体触媒の調製方法では、生物細胞及び/又は酵素を固定
化ゲル内部に均一に保持させることができるため、明ら
かに単位担体量当たりの細胞及び/又は酵素の固定量が
大きくなる。従って、固定化生体触媒を用いた反応の際
に、その反応速度においてはるかに優れているといえ
る。
【0008】また、ポリアクリルアミドを固定化担体と
した固定化生体触媒は広く知られている。これらは、若
干の吸水性を示す。しかし、ポリアクリルアミドゲルを
得るには、非常に毒性の強いアクリルアミドを単量体と
して使用するので、固定化に使用できる細胞及び酵素の
種類がかなり限定されるという欠点がある。一方、本発
明に係るアクリル酸及びメタアクリル酸並びにそれらの
塩は、生物細胞及び酵素に対する毒性が、アクリルアミ
ドに比べ非常に低い。従って格段に広い種類の生物細胞
及び酵素を使用できる点において優れている。さらに、
従来の吸水性樹脂を利用した固定化方法においては、固
定化物の保存方法についての開示はなく、従って本発明
者がここに提唱している乾燥保存という概念は新規な発
想である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、軽量コン
パクトに保存が可能な固定化生体触媒の調製法及び使用
方法について鋭意研究を重ねてきた。その結果、アクリ
ル酸及びメタアクリル酸並びにそれらの塩から選ばれる
単量体、生物細胞及び/又は酵素、並びに水を混合後、
重合して得られる吸水性を示す固定化生体触媒は容易に
脱水が可能であり、乾燥状態での保存が可能であるこ
と、さらに保存後、含水させると十分な活性を発現し、
物質変換や排水処理など様々な生化学反応に利用できる
ことを見いだした。本発明は、このような知見に基づい
て完成されたものである。
【0010】以降、本発明を詳細に説明する。以降の説
明において、アクリル酸及びメタアクリル酸並びにそれ
らの塩のうち少なくとも1種からなる単量体を単量体
(A)と表現し、単量体(A)と生物細胞及び/または
酵素、並びに水を混合した溶液を混合溶液(1)と表現
する。
【0011】まず、本発明に係わる第一の発明として
は、アクリル酸及びメタアクリル酸並びにそれらの塩か
らなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体(A)、
生物細胞及び/又は酵素、並びに水を含んで成る混合溶
液(1)を重合して得られる吸水性を示す固定化生体触
媒、または、該固定化生体触媒を長期保存に適するよう
に乾燥させて得られる乾燥固定化生体触媒である。
【0012】本発明に係わる第二の発明としては、該固
定化生体触媒の効率的な調製方法であって、上記の混合
溶液(1)を、水に難溶または不溶の溶剤中に懸濁分散
させて重合し、球状の固定化生体触媒を得る調製方法で
ある。これには、該水に難溶または不溶の溶剤の比重
と、混合溶液(1)の比重の比が1:0.9〜1:1.
1の範囲になるよう、該溶剤の比重を調整することを特
徴とする調製方法、及び該溶剤に分散安定剤を添加する
ことを特徴とする調製方法とがある。
【0013】さらに、本発明に係わる第三の発明とは、
第2の発明とは別の効率的な、該固定化生体触媒の調製
方法であって、上記混合溶液(1)に固定化補助剤とし
てアルギン酸又はその塩を添加して重合し、固定化生体
触媒を得る調製方法である。アクリル酸及びメタアクリ
ル酸並びにそれらの塩からなる群から選ばれる少なくと
も1種の単量体(A)とは、アクリル酸もしくはメタア
クリル酸のいずれか1種もしくは双方、又はアクリル酸
もしくはメタアクリル酸の塩である単量体であり、アク
リル酸もしくはメタアクリル酸の塩とは、アクリル酸も
しくはメタアクリル酸と陽イオンとの結合体である。陽
イオンとしては、ナトリウム、カリウムなどの金属陽イ
オン、アンモニウムイオンなどが例示できる。
【0014】これらの酸及び塩は単独使用又は併用する
ことができる。混合溶液(1)中の単量体(A)の添加
量は、通常10〜50重量%の範囲で任意に設定が可能
である。ただし、単量体含量が高まるにつれ重合反応で
の発熱が高まるために、生物細胞及び/又は酵素の活性
に対する影響が大きくなるので、10〜40重量%の範
囲が好ましい。例えば、多量の生物細胞や酵素を固定し
ようとする場合には、添加濃度を高めに、固定する生物
細胞や酵素の量が少なければ低めの添加量というよう
に、使用方法に応じて添加濃度を調整する方が好まし
い。
【0015】混合溶液(1)中に、単量体(A)ととも
に、単量体(A)と共重合体を形成し得る単量体(A)
以外のオレフィン系不飽和カルボン酸、並びにその塩及
びアミドの化合物群から選ばれる少なくとも1種又は2
種以上の単量体を共存単量体として添加可能である。こ
の方法は、得ようとする固定化生体触媒の担体の性質を
変える必要のある場合にとられる。該単量体(A)以外
のオレフィン系不飽和カルボン酸、並びにその塩及びア
ミドとは、単量体(A)以外の酸であって分子中に二重
結合とカルボキシル基を有するもの、並びにその塩及び
そのアミド化合物のことであって、単量体(A)以外の
酸には、オレフィン系不飽和モノカルボン酸及びオレフ
ィン系不飽和ポリカルボン酸がある。オレフィン系不飽
和モノカルボン酸として、クロトン酸、イソクロトン
酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、セネシオ酸またはそれ
らの混合物を例示できる。
【0016】一方、オレフィン系不飽和ポリカルボン酸
として、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アコニッ
ト酸、テラコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタ
コン酸またはそれらの混合物を例示でき、好ましくはマ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸が挙げられる。単量体
(A)以外のオレフィン系不飽和カルボン酸の塩とは上
記のオレフィン系不飽和カルボン酸イオンと陽イオンと
の結合体であって、陽イオンとしては、ナトリウム、カ
リウムなどの金属陽イオン、アンモニウムイオンなどが
例示できる。
【0017】さらに、オレフィン系不飽和カルボン酸の
アミド化合物として、例えば、アクリルアミド、メタア
クリルアミドなどを例示できる。これらの酸、並びにそ
の塩及びそのアミド化合物は、単独使用又は併用するこ
とができる。単量体(A)が混合溶液(1)中に10〜
50重量%の範囲で添加されている場合の該共存単量体
の添加量には特に制限はないが、該共存単量体の中に
は、アクリルアミドなどのように、生物細胞及び/又は
酵素の活性に対して非常に強い毒性を示すものがあるの
で、該共存単量体を添加する場合には、用いる生物細胞
及び/又は酵素の活性に影響を与えない範囲を選択する
ことが望ましい。
【0018】さらに混合溶液(1)のpHは、いずれの場
合にも、固定する生物細胞や酵素の活性が失われない範
囲になるように調整するのが好ましい。pH調整剤として
は、酸性側へ調整する場合には、硫酸、塩酸、硝酸など
の無機酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、オレフィン系不
飽和カルボン酸などの有機酸が使用でき、アルカリ性側
へ調整する場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、アンモニアなどを使用することができる。
【0019】本発明に使用できる生物細胞及び/又は酵
素は、本発明による固定化できるものであればいずれで
もよい。生物細胞とは、動物細胞、植物細胞、微生物細
胞のうちから選ばれるものを示し、動物細胞としては、
動物の正常組織由来の細胞系例えば、ヒト胎児胚由来の
W138細胞、Flow2000細胞、ヒト肝臓細胞、
ヒト腎臓細胞など、また動物のガン組織由来の細胞系、
例えば、ヒト子宮けいガン由来のHela細胞、ヒト乳
ガン由来のMCF−7細胞、ヒト大腸ガン由来のHC8
4C細胞、マウスメラノーマM2R細胞など、
【0020】また、B細胞と骨髄細胞を融合し特異抗体
を産生するB細胞ハイブリドーマ、T細胞と骨髄細胞を
融合しリンホカインなどを産生するT細胞ハイブリドー
マなどを例示でき、植物細胞としては、ニチニチソウ
Catharanthusroseus)、オウレン
Coptis japonica)、オタネニンジン
Panax ginseng)、キキョウ(Plat
ycodon grandiflorum)などの脱分
化したカルス培養細胞、毛状根、再分化させたシュート
組織、ルート組織、を例示でき、
【0021】微生物細胞としては、アスペルギルス(
spergillus)属、ムコール(Mucor
属、リゾプス(Rhizopus)属、ペニシリウム
Penicillium)属、サッカロミセス(Sa
ccharomyces)属、キャンデダ(Candi
da)属、シゾサッカロミセス(Schizosacc
haromyces)属などの真菌類、エシェリヒア
Escherichia)属、アセトバクター(Ac
etobacter)属、シュードモナス(Pseud
omonas)属、アルスロバクター(Arthrob
acter)属、メチロコッカス(Methyloco
ccus)属、バシルス(Bacillus)属、ミコ
バクテリウム(Mycobacterium)属、ノカ
ルディア(Nocardia)属、などのバクテリアを
例示できる。
【0022】酵素とは動物、植物、微生物の組織及び/
または細胞を処理して得られる処理物、部分的に精製し
た粗酵素、精製酵素、該組織及び/または細胞を培養し
て得られる培養液から獲得できる培養液、粗酵素、精製
酵素などを示し、グルコースオキシダーゼ、セルラー
ゼ、プロテアーゼ、アスパルターゼ、リパーゼ、ペルオ
キシダーゼなどを例示できる。
【0023】上記の細胞及び/又は酵素を固定化する場
合、生物細胞及び/又は酵素の添加量は、混合溶液
(1)中に乾燥重量で6重量%を超えない範囲で添加す
ることが好ましい。
【0024】生物細胞及び/又は酵素の添加量が少ない
場合には固定化に際し問題は生じないが、6重量%を越
えて添加する場合、固定されない生物細胞及び/又は酵
素の量が増大し、固定化効率が低下することがある。混
合溶液(1)を調製する際、単量体(A)並びに生物細
胞及び/又は酵素の添加順序は特に制限されない。例え
ば単量体(A)の水溶液に生物細胞及び/又は酵素を混
合する方法、生物細胞及び/又は酵素の水溶液に単量体
(A)を混合する方法、あるいは単量体(A)の水溶液
と生物細胞及び/又は酵素の水溶液とを混合する方法な
ど、いずれの方法でも目的の混合溶液(1)を得ること
ができる。混合溶液(1)を重合して吸水性を示す固定
化生体触媒を得るためには、該混合溶液(1)に、架橋
剤、重合開始剤及び/又は重合促進剤を添加することが
好ましい。
【0025】該架橋剤として、例えば、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン
及びペンタエリスリトールのジアクリレートまたは、ジ
メタアクリレート、トリメチロールプロパン及びペンタ
エリスリトールのトリアクリレートまたはトリメタアク
リレート、ペンタエリスリートのテトラアクリレートま
たはテトラメタアクリレート、またはN,N−メチレン
ビスアクリルアミド、N,N−メチレンビスメタアクリ
ルアミド、イソシアヌル酸トリアリルなどを挙げること
ができ、これらのうちの1種または2種以上を用いるこ
とができる。
【0026】該重合開始剤としては、過硫酸カリウム、
過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの水溶性ラ
ジカル重合剤を例示でき、これらのうちの1種または2
種以上を用いることができ、さらにこれらと亜硫酸塩、
L−アスコルビン酸などとを併用したレドックス系開始
剤として用いることも可能である。重合促進剤の添加は
必ずしも必要ではないが、よりスムーズに固定化を行う
には、添加が好ましい。重合促進剤としては、N,N,
N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、エチレン
ジアミンなどが使用できる。
【0027】以降、個々の発明に係わる反応条件につい
て詳細に説明する。まず、本発明に係わる架橋剤の添加
量は、単量体のモル数に対して調整すべきである。架橋
剤の添加比率が高まると、得られる固定化物は堅く、吸
水能力が低くなり、一方、添加比率が低いと固定化物は
柔らかく、かつ吸水能力が高くなる。従って、固定化生
体触媒の使用目的・条件に応じて架橋剤の添加量を調整
することが望ましい。
【0028】通常、混合溶液(1)中の架橋剤濃度は、
添加した単量体(A)のモル数に対して0.001〜5
0モル%の比率で用いられる。架橋剤の使用量が0.0
01モル%未満であれば得られる固定化生体触媒は柔ら
かく粘着性を有するため、固定化生体触媒が互いに粘着
しあって使用しにくくなる。一方、50モル%を越える
場合には固定化生体触媒の吸水性が顕著に低下する。
【0029】次に、重合促進剤と重合開始剤の組成と添
加条件について説明する。重合促進剤と重合開始剤と
は、混合溶液(1)中に溶解させてから重合させてもよ
いが、後述するように、混合溶液(1)を一旦、固定化
物を得るための鋳型なり、水難溶性または水不溶性の溶
剤中に懸濁させてから添加してもよい。
【0030】重合促進剤は、混合溶液(1)中へ、単量
体(A)の添加モル数に対して0.2〜10モル%の範
囲で添加するのが適当である。いずれの場合でも、0.
2モル%未満の重合促進剤の添加量では重合促進剤の効
果がほとんどなく、また10モル%を越えると生物細胞
への影響がでやすくなるのでこの範囲での添加量が好ま
しい。
【0031】重合開始剤の添加量は、混合溶液(1)中
へは、単量体(A)の添加モル数に対して0.005〜
1.0モル%の範囲が適当である。いずれの場合でも、
0.005モル%以下では重合反応に多大な時間を要
し、1.0モル%以上では吸水性の低い固定化生体触媒
を生成する。これは混合溶液(1)を鋳型に流し込んで
重合する場合でも、溶剤に懸濁させて重合させる場合で
も同様である。
【0032】次に、重合反応条件について説明する。重
合を円滑に行わせるためには、混合溶液(1)中の溶存
酸素、及び以降に述べる溶剤中の溶存酸素をできる限り
除去することが望ましく、窒素ガスの通気などが有効な
方法として挙げられる。重合開始温度は、重合によって
発熱が起こり、生物細胞及び/又は酵素の活性に影響が
でることが考えられるので、できる限り低温で行う方が
好ましい。しかしながら、生物細胞及び/又は酵素が熱
に非常に安定であるならば、この限りではない。従っ
て、重合開始時の温度は通常、0〜30℃の範囲で設定
することが好ましく、さらに0〜25℃の範囲がより好
ましい。
【0033】重合の開始と終了は重合促進剤と重合開始
剤とを添加した混合溶液(1)中、もしくはこれが投入
されている懸濁重合装置内の温度をモニターすることで
知ることができる。即ち、重合が開始するとともに温度
が上昇し、やがてその温度上昇が停止し、下降し始め
る。この下降し始めた時点をもって重合の完了とする。
この温度変化曲線におけるピーク温度を、生物細胞及び
/又は酵素の活性を損なわない程度になるよう、重合開
始温度を設定するか、または除熱操作をする。以上の操
作をもって固定化生体触媒を調製することができる。
【0034】こうして得られた固定化生体触媒はそのま
ま目的とする生化学的反応に用いることができるが、未
反応成分を除去する必要がある場合には、生物細胞及び
/又は酵素の活性に影響を与えない適当な緩衝液、生理
食塩水、水などで洗浄してもよい。一方、得られた固定
化生体触媒を保存する場合には、水分を除去するための
方法が採られる。水分の除去方法は通常用いられる手法
で、例えば減圧乾燥、温風乾燥、乾燥剤による乾燥、凍
結乾燥など種々の方法が利用できる。乾燥が完了すれば
固定化生体触媒の体積及び重量は大幅に減少する。これ
を回収して湿気を遮断した環境で、室温あるいは低温で
保存すれば、省スペースで長期に保存が可能である。
【0035】本発明によって得られる固定化生体触媒は
それらの使用目的に応じた種々の形態及びサイズのもの
が調製可能である。即ち、鋳型重合法によって調製され
る固定化生体触媒、懸濁重合によって調製される種々の
サイズの球状固定化生体触媒、そして、滴下重合によっ
て調製される種々のサイズの球状固定化生体触媒が調製
できる。
【0036】まず、鋳型重合法による固定化生体触媒の
調製方法について説明する。前述の方法によって調製し
た混合溶液(1)を所望の鋳型容器に入れ、重合促進剤
と重合開始剤を順次添加すれば重合が開始する。さら
に、あらかじめ該混合溶液(1)と重合促進剤、重合開
始剤を混合した溶液でも同様に重合させられる。
【0037】得られる固定化生体触媒は鋳型どおりの形
状であるので、使用目的に合致したサイズもしくは形状
にするには、これを破砕や切断によって成形加工すれば
良い。こうして得た固定化生体触媒はそのままで目的の
生化学反応に利用できる。一方、乾燥保存は、前述の乾
燥方法によって、そのまま乾燥しても良く、一度洗浄を
行ってから乾燥させても良い。乾燥させた固定化生体触
媒は湿気を遮断した環境で長期に保存が可能である。
【0038】次に、懸濁重合法による球状の固定化生体
触媒の調製方法について開示する。球状の固定化生体触
媒を調製する方法として、比重を混合溶液(1)の比重
に近づけた水不溶性又は水難溶性の溶媒中に該混合溶液
(1)を分散懸濁して重合する方法、水不溶性又は水難
溶性の溶媒の比重を調整する代わりに、分散安定剤を水
不溶性又は水難溶性の溶媒中に添加して、混合溶液
(1)を分散懸濁して重合する方法とがある。
【0039】まず、比重を混合溶液(1)の比重に近づ
けた水不溶性又は水難溶性の溶媒中に、混合溶液(1)
を分散懸濁して重合する方法について説明する。混合溶
液(1)を該溶媒に懸濁すると、混合溶液(1)は球状
の液滴として該溶媒中に分散する。
【0040】本発明に使用できる該溶媒として、デカ
ン、オクタン、ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、
シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロ
ヘキサン、ペンタン、リグロインなどの炭化水素系有機
溶剤、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの脂肪
酸系有機溶剤、ベンゼン、トルエンなどの芳香族系有機
溶剤、四塩化炭素、クロロホルム、フロンなどのハロゲ
ン系有機溶剤を例示でき、これらの群から選ばれる1種
または2種以上を用いることができる。また、重合後の
該溶媒の除去を考慮して低沸点溶剤の利用がより好まし
い。
【0041】混合溶液(1)と溶媒との比重を近づけて
重合を行う方法について説明する。混合溶液(1)の溶
媒中での液滴分散を安定にするためには、複数の上記の
溶媒を混合することによって、溶媒の比重を分散させよ
うとする混合溶液(1)の比重に近づけることが好まし
い。
【0042】即ち、該溶媒の比重と、混合溶液(1)の
比重の比が1:0.9〜1:1.1の範囲になるよう、
該溶媒の比重を調整する。溶媒との比重差が大きいと混
合溶液(1)と溶媒とが上層と下層とに分離してしま
い、分散が非常に不安定となるため、粒径の揃った固定
化生体触媒が獲得しにくくなる。しかし比重を調整すれ
ば、安定した分散系が得られ、ほぼ均一粒径の固定化生
体触媒を得ることができる。粒径は懸濁系の攪拌によっ
て調整する。従って、目的に応じて懸濁系の攪拌速度及
び/または攪拌方法を調整することが望ましい。
【0043】こうして得た懸濁系に、重合開始剤と重合
促進剤を添加すれば重合が開始する。勿論、重合開始剤
と重合促進剤を混合溶液(1)に添加してから、溶媒中
に懸濁しても同様の重合が可能である。混合溶液(1)
の溶媒中への添加量は、通常、10〜50体積%の範囲
が好ましい。さらに好ましくは、30〜50体積%であ
る。この範囲以外では、分散が不十分になり目的とする
球状の固定化生体触媒が得られにくくなったり、生産性
が低下するなどして好ましくない。
【0044】重合の進行経過は、前述の通り、懸濁系の
温度変化をモニターすることによって知り得る。こうし
て得られた固定化生体触媒はメッシュ及び/または篩い
などを利用して回収する。回収した固定化生体触媒をそ
のまま反応に用いる場合は洗浄して不要な溶媒を除くと
より好ましい。次に、溶媒の比重を調整する代わりに分
散安定剤を添加した溶媒中に混合溶液(1)を分散・懸
濁して重合する方法について説明する。
【0045】上記の懸濁重合方法は、混合溶液(1)と
水に不溶又は難溶の溶媒との比重が近づくよう、溶媒の
比重を調整する方法であるが、該溶媒に分散安定剤を添
加すれば比重を調整しなくても球状の固定化生体触媒を
調整することができる。この方法に用いることのできる
溶媒としては、上記の水に難溶又は不溶の溶剤がいずれ
も利用できる。この方法において添加する分散安定剤と
は、混合溶液(1)の液滴が安定に存在できるように、
その分散を補助する物質であり、ノニオン系界面活性
剤、ポリエチレングリコール、無機微粒子がある。
【0046】ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェノールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオ
キシエチレンアシルエステル、ポリオキシエチレンオキ
シプロピレンプロック共重合体、しょ糖脂肪酸エステル
などを挙げることができる。ポリエチレングリコールと
しては、広い範囲の分子量のものを用いることができる
が、400〜1000000の範囲のものが好ましい。
【0047】これらのノニオン系界面活性剤及びポリエ
チレングリコールの中から1種又は2種以上を用いるこ
とができる。ノニオン系界面活性剤及び/またはポリエ
チレングリコールの添加量はこれらの種類によって異な
るが、混合溶液(1)に対して0.01〜20重量%が
好ましい。ノニオン系界面活性剤及び/またはポリエチ
レングリコールの添加方法は、該溶媒中に添加して使用
するのが好ましい。
【0048】また、無機微粒子としては、例えば、シリ
カ、アルミナ、二酸化チタン、チタン酸バリウム、チタ
ン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸スト
ロンチウム、酸化亜鉛などがあり、なかでもAEROS
IL R−972,974,502,805,812
(日本アエロジル製)などのシリカ微粒子が好適に用い
られ、一次粒子径が100μm以下のシリカ微粒子が好
ましく、表面が疎水性であるものがさらに好ましく用い
られる。
【0049】該無機微粒子の添加量は混合溶液(1)の
添加量及び分散液滴の径、さらには溶媒の量によって調
整する。該無機微粒子の添加方法は、該溶媒中に重合操
作以前に添加して使用するのが好ましい。該無機微粒子
は反応系に一度添加すれば通常、追添加は必要ではな
い。一例として、混合溶液60mlを200mlの溶媒中で
重合する場合の疎水性シリカ微粒子の添加量は該溶媒に
対して0.05〜1%の範囲が好ましい。
【0050】これ以降の操作は、上記の懸濁重合方法と
同一である。混合溶液(1)に、アルギン酸又はその塩
を固定化補助剤として添加し、多価金属塩水溶液に滴下
して重合して固定化生体触媒の調製方法を説明する。本
調製方法は、混合溶液(1)にアルギン酸又はその塩を
添加する方法であって、混合溶液(1)組成は前述の組
成と同一である。アルギン酸又はその塩の添加量は混合
溶液(1)中の濃度が0.01〜10重量%の範囲で添
加できる。
【0051】混合溶液(1)とアルギン酸又はその塩を
混合したならば、これを多価金属塩を含有する水溶液に
滴下する。ここで用いられる多価金属塩とは、多価金属
イオンとして、例えば、カルシウムイオン、マグネシウ
ムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、銅
イオン、鉄イオン、アルミニウムイオンなどを含むもの
を例示でき、具体例として、塩化カルシウム、塩化マグ
ネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、塩化ス
トロンチウム、塩化銅、硝酸カルシウム、硝酸マグネシ
ウム、塩化鉄、塩化アルミニウムなどを挙げることがで
きる。上記多価金属塩は、通常1〜5重量%程度の溶液
として用いることが好ましい。
【0052】このとき重合促進剤ならびに重合開始剤は
アルギン酸又はアルギン酸塩を含む混合溶液(1)と混
合してから後に滴下してもよく、さらに多価金属塩水溶
液中に添加しておいてもよい。多価金属塩水溶液中にア
ルギン酸及びその塩を含む混合溶液(1)を滴下する
と、瞬時にゲル化が起こる。これはアルギン酸が多価金
属塩によって架橋されることに起因する、よく知られて
いる現象である。
【0053】この時点では単量体(A)の重合はまだ起
こらないので、15分〜1時間程度緩やかに攪拌しなが
ら放置しておく。この操作によって、単量体(A)の重
合も完了し、柔軟で堅牢な固定化生体触媒を調製でき
る。こうして調製された固定化生体触媒は、従来アルギ
ン酸ゲルが容易に溶解してしまうリン酸水溶液中でもゲ
ルの崩壊がなく、安定に保持できる。
【0054】以上開示した、本発明による新規な固定化
細胞並びに酵素(固定化生体触媒)は、簡便・迅速に製
造が可能であり、容易に長期保存が可能である。以降実
施例によって本発明をさらに詳細に説明する。実施例は
発明の効果をより具体的に示すものであって、発明の内
容を限定するものではない。
【0055】実施例1.単量体として37%アクリル酸
ナトリウム水溶液30.49gとアクリル酸2.88
g、架橋剤としてN,N−メチレンビスアクリルアミド
を0.4g、水を13.83g混合した水溶液とジメチ
ルホルムアミド資化性菌体(Arthrobacter
属菌)を懸濁混合して混合溶液を調製した。これに、重
合開始剤として過硫酸アンモニウムを0.95g、重合
促進剤としてN,N,N′,N′−テトラメチルエチレ
ンジアミン1gを添加して調製した溶液を角形シャーレ
にそそぎ込み重合を行った。
【0056】15分間反応させた後、重合体を角形シャ
ーレから取り出して水洗し、3−5mm角の大きさになる
よう、メスを使って切断した。次いで、これをシリカゲ
ルを入れたデシケーターに移し、室温、減圧下で、一晩
乾燥した。乾燥によって、重合体の体積は約1/20に
減少した。これを密封容器に入れて3ヶ月間の室温保存
を行った後、固定化細胞の一部を表1に示した、ジメチ
ルホルムアミド含有培地に接種した。
【0057】
【表1】
【0058】その結果、乾燥固定化細胞は培地を吸収し
て体積が約30倍に膨潤した。3日間培養したところ、
ジメチルホルムアミドの50%が分解された。この固定
化細胞を培養液から分離し、新鮮な培地に接種したとこ
ろ、分解速度は約1.5倍に増大した。微生物に対する
アクリル酸の毒性を調べるために、上記菌株をアクリル
酸塩水溶液中に一定時間懸濁してアクリル酸と接触させ
た後の増殖を調べた。増殖は波長660nmにおける吸光
度で測定した。培養開始時点に比べ吸光度が増大してい
れば菌体の増殖がみられたことを示す。表2に示されて
いるように、アクリル酸ナトリウムに接触させた後にも
菌体増殖がみられており、この結果から、アクリル酸の
菌体に対する毒性は低いことがわかった。
【0059】比較例1.単量体としてアクリルアミドを
7.5g、架橋剤としてN,N−メチレンビスアクリル
アミドを0.4g、水を50g混合した水溶液とジメチ
ルホルムアミド資化性菌体を懸濁混合して混合溶液を調
製した。これに、重合開始剤として過硫酸アンモニウム
を0.95g、重合促進剤としてN,N,N′,N′−
テトラメチルエチレンジアミン1gを添加して調製した
溶液を角形シャーレにそそぎ込み重合を行った。
【0060】15min 反応させた後、重合体を角形シャ
ーレから取り出して水洗し、3−5mm角の大きさになる
よう、メスを使って切断した。得られた固定化細胞の一
部を表1に示した、ジメチルホルムアミド含有培地に接
種して培養を行った。5日間培養した結果、ジメチルホ
ルムアミドの分解は認められなかった。
【0061】微生物に対するアクリルアミドの毒性を調
べるために、上記菌株を実施例1と同様の方法で、アク
リルアミド水溶液中に一定時間懸濁して、アクリルアミ
ドと接触させた後の増殖を調べた。表2に示されている
ように、アクリルアミドに接触させたところ、培養後の
吸光度上昇がみられなかったことから、菌の増殖は起こ
らなかったと考えられる。この結果から、アクリルアミ
ドの菌体に対する毒性はかなり高いことがわかった。
【0062】
【表2】
【0063】実施例2.単量体としてメタアクリル酸を
40重量%含有する水溶液を水酸化ナトリウムで中和し
pHを7に調整した溶液30ml、架橋剤としてN,N,
N′,N′−テメチレンビスアクリルアミドを0.02
46g、水を10g混合した水溶液と土壌から分離した
酵母を懸濁混合して混合溶液を調製した。
【0064】一方、攪拌機を取り付けた300ml容のセ
パラブルフラスコには、比重を1に調整したシクロヘキ
サンと四塩化炭素の混合溶剤200mlを入れて温度を1
0℃に設定し、約15分間、窒素ガスを通気して溶存酸
素を除去した。そこへ混合溶液を添加し、600rpm で
攪拌し液滴として分散させた。一様に分散したところで
重合開始剤として過硫酸アンモニウムを0.95g、重
合促進剤としてテトラメチルエチレンジアミン1gを懸
濁系に添加して重合を行った。
【0065】15分間反応させた後、反応が完結したの
で、セパラブルフラスコの内容物を目の開きが0.5mm
の篩い上にあけ、固定化細胞を回収した。これをデシケ
ーターに移し、減圧下で乾燥させた。乾燥が完了した
後、固定化細胞を回収、乾燥下で3ヶ月保存した。3ヶ
月後固定化細胞の一部を1%グルコースを添加したDi
fco yeast nitrogen base m
ediumに接種して1日間の培養を行ったところ、培
地中のグルコースがすべて消費された。
【0066】実施例3.溶剤として比重が0.78であ
るシクロヘキサンを単独で用いた以外は実施例2と全く
同様の方法で固定化細胞の調製を試みた。試験の結果、
細胞を含む混合溶液はセパラブルフラスコの上層には分
散しなかった。これを重合させたところ、球状の固定化
細胞は得られず、球状の固定化細胞が凝集したいびつで
しかも径が10mm以上のものが得られた。この条件で得
られた固定化細胞を5mm程度の大きさにメスを用いて切
断した。これを用いて実施例2と同様の培養を行ったと
ころ、グルコースの分解が見られた。
【0067】実施例4.溶剤として比重が1.63であ
る四塩化炭素を単独で用いた以外は実施例2と全く同様
の方法で固定化細胞の調製を試みた。試験の結果、細胞
を含む混合溶液はセパラブルフラスコの上層に分布し、
下層へはほとんど分散しなかった。これを重合させたと
ころ、上層が均一にゲル化し、ひと固まりになってしま
った。この条件で得られた固定化細胞を5mm程度の大き
さにメスを用いて切断した。これを用いて実施例3と同
様に培養を行ったところ、グルコースの分解がみられ
た。
【0068】実施例5.水酸化ナトリウムでpHを7に調
製した20%アクリル酸水溶液50mlに、架橋剤として
メチレンビスアクリルアミドを0.4g、アスペルギル
ス・テレウス(Aspergillus terreu
)IFO6123の胞子懸濁液10mlを混合して混合
溶液を調製した。
【0069】一方、攪拌機をとりつけた300ml容のセ
パラブルフラスコには、シクロヘキサンを200ml入
れ、温度を10℃に設定し、約15分間、窒素ガスを通
気して溶存酸素を除去した。ここへ界面活性剤のspa
n80(ソルビタンモノオレエート)を4滴添加した
後、上記の混合溶液を添加して600rpm で攪拌し、液
滴として分散させた。一様に分散したところで、重合開
始剤として過硫酸アンモニウムを1g、重合促進剤とし
てN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン
を1g添加して重合を開始した。
【0070】15分間反応させた後、反応が完結したの
で、セパラブルフラスコの内容物を目の開きが0.5mm
のステンレス篩い上にあけ、固定化細胞を回収した。得
られた固定化細胞は直径1mm前後の球状であった。この
一部を水洗し、表3に示した培地に接種した。3日間の
培養後、培地を分析したところ、イタコン酸が4.8g
/L生成していた。
【0071】実施例6.水酸化ナトリウムでpHを7に調
整した20%アクリル酸水溶液50mlに、アクリルアミ
ド10g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミドを
0.4g混合した水溶液とアスペルギルス・テレウス
Aspergillus terreus)IFO6
123の胞子懸濁液10mlを混合して混合溶液を調製し
た。
【0072】一方、攪拌機を取り付けた300ml容のセ
パラブルフラスコには、0.3gの超微粒子シリカ(A
EROSIL R−972;日本アエロジル製)を添加
したシクロヘキサン200mlを入れて温度を10℃に設
定し、約15分間、窒素ガスを通気して溶存酸素を除去
した。そこへ混合溶液を添加し、600rpm で攪拌し液
滴として分散させた。一様に分散したところで重合開始
剤として過硫酸アンモニウムを1g、重合促進剤として
N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン1
gを懸濁系に添加して重合を行った。
【0073】15分反応させた後、反応が完結したの
で、セパラブルフラスコの内容物を目の開きが0.5mm
のステンレス篩い上にあけ、固定化細胞を回収した。こ
れをデシケーターに移し、減圧下で乾燥させた。一晩の
乾燥後、密封容器に入れて1ヶ月間の室温保存を行っ
た。次いで乾燥固定化細胞の一部を表3に示した培地に
接種した。3日間の培養の結果、菌糸が固定化担体内部
及び表面に生育した。培地を分析したところ、イタコン
酸が5.03g/L生成していた。
【0074】
【表3】
【0075】実施例7.単量体として、pHを5.7に調
整した30%アクリル酸ナトリウム溶液50mlと、架橋
剤としてN,N−メチレンビスアクリルアミドを0.5
g混合した溶液を調製した。これにグルコースオキシダ
ーゼ(アスペルギルス・ニガー(Aspergillu
niger)由来)500Uを含む蒸留水10mlを
混合して混合溶液を調製した。さらにこの溶液にアルギ
ン酸ナトリウム0.5gを添加し、よく混合させた。
【0076】一方、1L容ビーカーには、0.2Mの塩
化カルシウム水溶液500mlに、過硫酸アンモニウムを
5g、重合促進剤としてN,N,N′,N′−テトラメ
チルエチレンジアミン1gを添加した溶液を調製した。
混合溶液にアルギン酸と混合し、ペリスタポンプを用
い、注射針の先端からビーカー中の上記水溶液に滴下し
た。滴下完了後さらに30分放置して固定化酵素を調製
した。
【0077】固定化終了後ビーカーの内容物を目の開き
が0.5mmのステンレス篩い上にあけ、固定化酵素を回
収した。固定化酵素の一部を10%グルコースを含むリ
ン酸緩衝液(pH5.7)に接種して、酵素活性を測定し
た。この条件ではアルギン酸カルシウムゲルは容易に崩
壊してしまうが、ここで調製した固定化酵素は安定に保
持された。活性は固定化しなかった場合の約60%が発
現した。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸及びメタアクリル酸並びにそ
    れらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量
    体(A)、生物細胞及び/又は酵素、並びに水を含んで
    成る混合溶液(1)を重合して得られる固定化生体触
    媒。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の固定化生体触媒を乾燥
    させて得られる乾燥固定化生体触媒。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の混合溶液(1)が架橋
    剤を含むものである請求項1又は2に記載の固定化生体
    触媒。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の単量体(A)の混合率
    が、混合溶液(1)に対して10〜50重量%の範囲で
    あることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の固定化生体触媒。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の混合溶液(1)を、水
    に難溶又は不溶の溶剤中に懸濁分散させて重合し、球状
    の固定化生体触媒を得ることを特徴とする固定化生体触
    媒の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記水に難溶又は不溶な溶剤の比重と、
    前記混合溶液(1)の比重の比が1:0.9〜1:1.
    1の範囲になる、該水に難溶又は不溶な溶剤を用いるこ
    とを特徴とする請求項5に記載の懸濁重合法による固定
    化生体触媒の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の混合溶液(1)を、分
    散安定剤を添加した、水に難溶又は不溶の溶剤中に懸濁
    分散させて重合することを特徴とする、固定化生体触媒
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記の分散安定剤がノニオン系界面活性
    剤及びポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも
    1種であることを特徴とする請求項7項記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記の分散安定剤が無機微粒子であるこ
    とを特徴とする請求項7記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の混合溶液(1)に、
    固定化補助剤としてアルギン酸又はその塩を添加して重
    合することを特徴とする、固定化生体触媒の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109337811A (zh) * 2018-10-15 2019-02-15 天津医科大学 低共熔溶剂整体柱酶反应器及其制备方法

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