JPH08267766A - 液体噴射記録ヘッドの製造方法及び該方法による液体噴射記録ヘッド - Google Patents

液体噴射記録ヘッドの製造方法及び該方法による液体噴射記録ヘッド

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JPH08267766A
JPH08267766A JP7580795A JP7580795A JPH08267766A JP H08267766 A JPH08267766 A JP H08267766A JP 7580795 A JP7580795 A JP 7580795A JP 7580795 A JP7580795 A JP 7580795A JP H08267766 A JPH08267766 A JP H08267766A
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recording head
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JP7580795A
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Masashi Miyagawa
昌士 宮川
Hiroaki Toshima
博彰 戸島
Norio Okuma
典夫 大熊
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安価精密で信頼性高く高解像度をもたらす液
室パターンを簡便に形成可能な液体噴射記録ヘッドの製
造方法、及び該方法による液体噴射記録ヘッドの提供。 【構成】 インク吐出圧力発生素子が形成された基板上
に、溶出可能な樹脂にてインク流路となる部位にインク
流路パターンを形成する工程、該パターン上にネガ型感
光性材料を塗布する工程、ネガ型感光性材料層上に共通
液室のマスクパターンを形成した天井部材を貼り合わせ
る工程、天井部材越しに光照射を施しネガ型感光性材料
をパターン硬化し現像する工程、インク流路となる部位
を切断する工程、溶出可能な樹脂を溶出する工程、を順
次行う液体噴射記録ヘッドの製造方法の、天井部材に形
成するマスクパターンとしてノボラック樹脂とアジド化
合物とを少なくとも含有するネガ型感光性材料を使用す
る液体噴射記録ヘッドの製造方法及び該方法による液体
噴射記録ヘッド。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録方
式に用いる記録液小滴を発生するための液体噴射記録ヘ
ッドの製造方法、並びに該方法により得られる液体噴射
記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式(液体噴射記録
方式)に適用される液体噴射記録ヘッドは、一般に微細
な記録液吐出口(以下、オリフィスと称する)、液流路
及び該液流路の一部に設けられる液体吐出エネルギー発
生部とを備えている。従来、このような液体噴射記録ヘ
ッドを作製する方法として、例えばガラスや金属等の板
を用い、該板に切削やエッチング等の加工手段によって
微細な溝を形成した後、該溝を形成した板を他の適当な
板と接合して液流路の形成を行う方法が知られている。
【0003】然しながら、斯かる従来法によって作製さ
れる液体噴射記録ヘッドでは、切削加工される液流路内
壁面の荒れが大き過ぎたり、エッチング率の差から液流
路に歪が生じたりして、液路抵抗の一定した液流路を得
るのが困難となり、作製後の液体噴射記録ヘッドの記録
特性にバラツキが出易いという問題があった。また、切
削加工の際に、板の欠けや割れが生じ易く、製造歩留ま
りが悪いという欠点もあった。また、エッチング加工を
行う場合には、製造工程が多く、製造コストの上昇を招
くという不利もあった。更には、上記従来法に共通する
欠点として、液流路を形成した溝付き板と、記録液小滴
を吐出させるための吐出エネルギーを発生する圧電素子
や電気熱変換素子等の駆動素子が設けられた蓋板とを貼
り合わせる際に、これら板の位置合わせが困難であり、
量産性に欠けるという問題もあった。
【0004】また、液体噴射記録ヘッドは、通常その使
用環境下にあっては、記録液(一般的な、水を主体とす
る多くの場合中性でないインク液、或いは有機溶剤を主
体とするインク液等)と常時接触している。それ故、液
体噴射記録ヘッドを構成するヘッド構成材料は、記録液
からの影響を受けて強度低下を起こすことがなく、また
逆に記録液中に、記録液適性を低下させるような有害成
分を与えることのないものが望まれるが、上記従来法に
おいては、加工方法等の制約もあって、必ずしもこれら
目的に適合する材料を選択することは不可能であった。
【0005】これらの諸問題を解決するための方法とし
て、特開昭57−208255号、及び同57−208
256号の各号公報に記載されるように、感光性樹脂材
料を使用してインク吐出圧力発生素子が形成された基板
上にインク流路及びオリフィス部から成るノズルをパタ
ーン形成して、この上にガラス板等の蓋を接合する方法
が開示されている。
【0006】然しながら、該方法においては以下に列記
する問題点を有している。即ち、(1)天板を接着する
ための接着部材がインク流路にたれ込んで、流路形状を
変形すること、(2)インク吐出口を形成するために基
板を切断する際に、インク流路に切断屑が入り込み、イ
ンク吐出を不安定にすること、(3)インク流路が形成
された空洞部を有する基板を切断するため、切断によっ
て形成されるインク吐出口の一部にカケが生じること、
等である。
【0007】これらの諸問題によって、液体噴射記録ヘ
ッドの製造の歩留まりが低下し、而も、更には微細なイ
ンク流路構造、長尺且つ多数のインク吐出口を有する液
体噴射記録ヘッドの製造を困難なものにしている。
【0008】これらの諸問題を回避する方法として、特
開昭61−154947号公報に開示される方法が挙げ
られる。該方法は、溶解可能な樹脂にてインク流路部を
形成し、パターンをエポキシ樹脂等にて被覆した後、ガ
ラス等の天井部材を貼り合わせ、次いで共通液室部を光
照射によって硬化、現像し、基板を切断後に溶解可能な
樹脂パターンを溶出除去するものである。被覆部材とし
て使用されるエポキシ樹脂は共通液室部をパターニング
することができる光硬化性樹脂であり、一般的にはエポ
キシ樹脂と芳香族オニウム塩との混合系が使用される。
【0009】前記共通液室のパターン露光に際しては、
天井部材上にフォトマスクを配設して露光する方法が最
も簡便であるが、該方法においては、マスク面と感光性
材料層との距離を短くすることが難しく、光の回折や散
乱によって液室パターンがぼけてしまうという問題を有
している。
【0010】このような問題を回避する手段として特開
平3−207660号公報に記載される発明において
は、天井部材の感光性樹脂と接する面側に金属や遮光性
樹脂にてマスクパターンを形成して液室のパターン露光
する手段を提示している。しかし該マスクパターンの形
成は、従来からの通常のフォトマスクと同一の製造方法
である、マスク材料の成膜、レジスト塗布、乾燥、露
光、マスク材料のエッチング、レジスト剥離等の、繁雑
な工程にて作製するものであり、このような方法ではコ
ストアップを招いてしまう。更には、液室のパターン形
成後にマスク材料を剥離する工程も別途必要となるの
で、一層のコストアップは不可避となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に鑑みな
されたものであって、その目的とするところは、安価で
精密な、また信頼性が高く、高解像度をもたらす液室パ
ターンを簡便に形成することのできる液体噴射記録ヘッ
ドの製造方法、並びに該方法によって得られる優れた液
体噴射記録ヘッドを提供することにある。
【0012】即ち、液室パターンを高精度にてパターニ
ングすることにより、インク流路長を精密に制御するこ
とが可能となり、高い吐出周波数の液体噴射記録ヘッド
を作製することができ、液室パターン露光時の回折光の
影響を少なくすることが可能となり、半硬化した液室形
成部材が脱落してゴミとなりインク流路を塞ぐこともな
い液体噴射記録ヘッドの製造方法を提供する。
【0013】また、記録液との相互影響が少なく、機械
的強度や耐薬品性に優れた液体噴射記録ヘッドを供給し
得る液体噴射記録ヘッドの製造方法を提供する。更に、
耐熱性の高い溶出可能なレジスト材料にてインク流路パ
ターンを形成することにより、被覆樹脂層形成工程、被
覆樹脂層熱硬化工程をより簡便に行い得る製造方法を提
供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下に示
す本発明によって達成される。即ち本発明は、インク吐
出圧力発生素子が形成された基板上に、(1)溶出可能
な樹脂にてインク流路となる部位にインク流路パターン
を形成する工程、(2)該パターン上にネガ型感光性材
料を塗布する工程、(3)ネガ型感光性材料層上に、共
通液室のマスクパターンを形成した天井部材を貼り合わ
せる工程、(4)天井部材越しに光照射を施しネガ型感
光性材料をパターン硬化し現像する工程、(5)インク
流路となる部位を切断する工程、(6)溶出可能な樹脂
を溶出する工程、の各工程を順次行う液体噴射記録ヘッ
ドの製造方法において、天井部材に形成するマスクパタ
ーンとして、ノボラック樹脂とアジド化合物とを少なく
とも含有するネガ型感光性材料を使用することを特徴と
する、液体噴射記録ヘッドの製造方法を開示するもので
ある。
【0015】また本発明は、記録液小滴を発生し液体噴
射記録を行う液体噴射記録ヘッドにおいて、該記録ヘッ
ドが、前項記載の製造方法によって得られるものである
ことを特徴とする、液体噴射記録ヘッドをも開示するも
のである。
【0016】上記の目的達成のため、本発明はネガ型感
光性樹脂によって天井部材の下側(共通液室を形成する
感光性樹脂面側)に共通液室のマスクパターンを形成す
ることを特徴としている。ノボラック樹脂とアジド化合
物から構成されるネガ型レジストは、一般的に使用され
るネガ型感光性材料とは異なり、ノボラック樹脂の水酸
基がアジドの付加によってキノンに変化し、アルカリ現
像液に溶解し難くなるという特性変化を利用してパター
ン形成するので、該レジストパターンは、現像液よりア
ルカリ強度の高いアルカリ性水溶液や、アルコール及び
エステルやケトン等の汎用的溶剤に溶解するため、共通
液室パターン現像時の現像液或いは、共通液室パターン
の形成後、インク流路を形成するポジ型レジスト除去時
に容易に溶解除去することができる。
【0017】また該アジド化合物は紫外線の吸光度が極
めて高く、而も、キノン構造に変化することによって更
に吸光係数が大きくなり、パターンの光遮断性が極めて
強く紫外線のマスクパターンとして十分な遮光性を有し
ている。更には該レジストパターンは光照射によって若
干の窒素ガスが発生するものの、露光及び現像操作時に
ガスが除去されてしまい、共通液室を形成するネガ型感
光性材料層と密着してもガス発生による弊害は起こらな
い。
【0018】更にノボラック樹脂とアジド化合物とから
構成されるネガ型レジストは、残存するフェノール性水
酸基を利用してアゾ化合物とカップリングせしめること
によって容易に染色することが可能であり、更に遮光性
を高めることも可能である。一般的にアゾ染料は、ジア
ゾニウム塩をフェノール性水酸基を有する芳香族化合物
とカップリングすることによって形成され、種々のジア
ゾニウム塩を使用すれば所望の色調の染色体を形成する
ことが可能である。ノボラック樹脂はフェノール性水酸
基を多数有しているため、ジアゾニウム塩の水溶液に浸
漬することによってパターンを着色することが可能であ
る。本方式によって該パターンのマスキング特性を更に
高めることが可能である。
【0019】マスキング用ネガ型感光性材料は、通常は
汎用的な有機溶剤であるケトンやエステル、アルコール
等に溶解しせしめて、スピンコート法やロールコート法
等の手段により天井基材上に塗布、乾燥することによっ
て被膜を形成することができる。またインク供給孔等の
貫通孔を有する天井部材に塗布する場合においては、前
記のロールコート法等の手段が好適に用いられる。更に
は該感光性材料に水溶性高分子化合物を添加せしめ、感
光性樹脂の被膜性を高めることによって、ロールコート
法においては被膜の均一性を向上することが可能であ
る。また該高分子化合物の被膜性を高めることによって
感光性組成物をドライフィルム化することができ、該感
光性組成物の溶液をポリエチレンテレフタレート等のフ
ィルムに一旦塗布、乾燥した後に天井部材上に転写せし
めれば、更に均一な被膜を形成することができる。
【0020】本発明のマスキング性ネガ型感光性材料
は、前記のように少なくともフェノール性水酸基を有す
る高分子化合物とアジド化合物より構成される。フェノ
ール性水酸基を有する高分子化合物の例としては、フェ
ノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビ
ニルフェノール樹脂等を挙げることができる。
【0021】勿論これら高分子化合物は樹脂の耐熱性や
アルカリ溶解溶解性を制御するために所望の組成にてフ
ェノールやクレゾールの異性体(オルソ、メタ、パラ)
を共重合したものであってもよいし、分別操作を施して
分子量分布を均一化したものであってもよい。ビニルフ
ェノール樹脂においても、オルソ、メタ、パラの異性体
をそれぞれ単一にて重合したもの、或いは所望の組成に
て共重合したものであってもよい。更にビニルフェノー
ルとアクリル等の不飽和二重結合を有する高分子化合物
を共重合したものであってもよい。
【0022】工業的に汎用製品として入手可能な前記材
料の例としては、オルソクレゾールノボラック樹脂、メ
タクレゾールノボラック樹脂、オルソ−メタクレゾール
ノボラック樹脂、ポリ−オルソビニルフェノール樹脂、
ポリ−パラビニルフェノール樹脂、ビニルフェノールと
メチルメタクリレート共重合体、ビニルフェノールとブ
チルメタクリレート共重合体等を挙げることができる。
【0023】アジド化合物としては、原理的にはモノア
ジド化合物を使用することが好ましいが、ビスやトリア
ジド等の多官能アジドの場合においても添加量を制御す
ることによって該アジドの使用は可能である。即ち、共
通インク液室をパターン露光し、現像した後にはマスキ
ング感光性材料は溶剤に速やかに溶解し、除去し得るこ
とが必要であるが、モノアジド化合物においては水酸基
のキノン構造への変化のみしか光化学変化を起こさない
ので、前記した特性を実現することができる。
【0024】一方、多官能アジド化合物においては、フ
ェノール性水酸基を有する高分子化合物の分子間の架橋
反応を併発するため、原理的にはゲル化反応が起こり樹
脂は溶解しなくなってしまう。しかし本願出願人らの検
討によれば、アジド化合物が10wt%以下の添加量の
場合は、光照射量を多くしてもゲル化反応は起こらず、
形成したパターンはアルカリ水溶液や汎用的有機溶剤に
速やかに溶解することが判明した。即ち、多官能アジド
においても、添加量を10wt%以下とすれば本発明に
使用することは可能である。
【0025】モノアジド化合物としては、P−アジドベ
ンザルアセトフェノン、P−アジドベンザルアセトン、
アジドピレン、P−アジドベンズアルデヒド、Pーアジ
ドアセトフェノン、P−アジドベンゾイックアシッド、
P−アジドベンズアルデヒド−2−スルフォン酸ナトリ
ウム塩、P−アジドベンザルアセトン−2−スルフォン
酸ナトリウム塩等を挙げることができる。
【0026】また、ビスアジド化合物としては4,4’
−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4’−アジドベン
ザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−アジド
ベンザル)4−メチルシクロヘキサノン、1,3−ビス
(4’−アジドベンザル)−2−プロパノン、1,3−
ビス(4’−アジドシンナミニリデン)−2−プロパノ
ン、1,3−ビス(4’−アジドベンザル)−2−プロ
パノン−2’−スルフォン酸、4,4’−ジアジドスチ
ルベン−2,2’−ジスルフォン酸、1,3−ビス
(4’−アジドベンザル)−2−プロパノン−2,2’
−ジスルフォン酸、2,6−ビス(4’−アジドベンザ
ル)シクロヘキサノン−2;2−ジスルホン酸、2,6
−ビス(4’−アジドベンザル)メチルシクロヘキサノ
ン−2;2−ジスルフォン酸等を挙げることができる。
【0027】これらアジド化合物の添加量としては、ア
ルカリ溶解性樹脂に対して0.5〜30wt%程度が好
ましい。また前記のように、ビスアジド等の多官能アジ
ドに関しては、0.5〜10wt%程度の添加量が好ま
しい。添加量がこれより少ない場合は、露光部と未露光
部とのアルカリ溶解性の差が付かず良好なパターン形成
が困難である。また30wt%を越える場合は、アジド
が良好に混合しなくなる。
【0028】これらアルカリ溶解性樹脂とアジド化合物
は汎用的な有機溶剤に溶解して使用することが望まし
い。溶剤としては、2−ブタノン、メチルイソブチルケ
トン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、2−エトキシエチルアセテート、メチ
ルセロソルブ、エチルセルソルブ等のエステル系溶剤、
イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセト
ンアルコール等の溶剤に所望の濃度にて溶解して使用す
ることが好ましい。またアジド化合物として水溶性の高
いものを使用する場合は、前記した溶剤に水を混合して
アジドの溶解を良好にすることも可能である。
【0029】また上記材料の粘度や被膜性を制御するた
めに水溶性高分子化合物を添加することも可能である。
水溶性高分子化合物としては、アルカリ性現像液に溶解
し、前記した材料との相溶性が良好なものであれば何れ
の材料も使用することができる。最も好ましく用いられ
る例としては、メチルビニルエーテル、カルボキシメチ
ルセルロース、無水マレイン酸や(メタ)アクリル酸と
不飽和二重結合を有するモノマーとの共重合体を挙げる
ことができる。これら樹脂の添加量は1〜20wt%が
好ましい。1wt%に満たない場合は樹脂の添加効果が
現れず、また20wt%を越えて添加すると現像時の露
光部の膜減りが大きくなり良好なパターン形成ができな
くなる。
【0030】これら高分子化合物を添加した場合、該感
光性材料はドライフィルム化することが可能である。ド
ライフィルムの基材としては、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)や、アラミド、カプトン等の汎用的なド
ライフィルム用基材を使用することができる。また、上
記フィルムにシリコン等による離型処理を施しておいて
もよい。
【0031】また上記マスク用感光性材料のマスキング
特性を更に向上せしめる手段としてパターンを染色して
使用することも有効である。該感光性材料の主成分はフ
ェノール性芳香環を有するアルカリ溶解性樹脂を使用し
ているため、アゾカップリングにて容易に染色すること
が可能である。ジアゾニウム塩は一般的なジアゾ化反応
にて形成し、水溶液に前記マスクパターンを形成した天
板部材を浸漬することによってパターンの染色を行うこ
とができる。ジアゾ化反応は、ガンマ酸等の芳香族アミ
ンの水溶液に塩酸と亜硝酸ナトリウムを添加し5℃以下
の温度にて攪拌することによって容易に行うことができ
る。
【0032】以下、本感光性材料を使用した液体噴射記
録ヘッドの製造方法について、図面を参照して概要を説
明する。図1〜図6は、本発明の基本的な態様を示すた
めの模式図であり、図1〜図6のそれぞれには、本発明
の方法に係わる液体噴射記録ヘッドの構成とその製作手
順の一例が示されている。尚、本例では、2個のオリフ
ィスを有する液体噴射記録ヘッドが示されるが、勿論こ
れ以上のオリフィスを有する高密度マルチアレイ液体噴
射記録ヘッドの場合でも同様であることは、言うまでも
ない。
【0033】先ず、本態様においては、例えば図1に示
されるような、ガラス、セラミックス、プラスチック或
いは金属等から成る基板1が用いられる。尚、図1は感
光性材料層形成前の基板の模式的斜視図である。
【0034】このような基板1は、液流路構成部材の一
部として機能し、また後述の感光性材料層の支持体とし
て機能し得るものであれば、その形状、材質等、特に限
定されることなく使用することができる。上記基板1上
には、電気熱変換素子或いは圧電素子等の液体吐出エネ
ルギー発生素子2が所望の個数配置される(図1は2個
を例示)。このような、液体吐出エネルギー発生素子2
によって記録液小滴を吐出させるための吐出エネルギー
がインク液に与えられ、液体噴射記録が行われる。因
に、例えば、上記液体吐出エネルギー発生素子2として
電気熱変換素子が用いられる場合には、この素子が近傍
の記録液を加熱することにより、吐出エネルギーを発生
する。また、例えば、圧電素子が用いられる場合は、こ
の素子の機械的振動によって、吐出エネルギーが発生さ
れる。
【0035】尚、これらの素子2には、これら素子を動
作させるための制御信号入力用電極(図示せず)が接続
されている。また、一般にはこれら吐出エネルギー発生
素子の耐用性の向上を目的として、保護層等の各種機能
層が設けられるが、勿論本発明においてもこのような機
能層を設けることは一向に差し支えない。
【0036】次いで図2に示すように、基板上に溶解可
能な樹脂にてインク流路のパターンを形成する。このよ
うな樹脂パターンはスクリーン印刷等の手段を用いて形
成してもよいが、好ましくは感光性樹脂を使用したフォ
トリソグラフィーによって行うことが、精度及びパター
ンプロファイルの制御性の観点から見てより好ましい場
合が多い。
【0037】フォトリソグラフィーにてインク流路パタ
ーンを形成する場合は、作製したレジストパターンが溶
解可能であるものとしては、アルカリ溶解性樹脂とナフ
トキノンジアジド誘導体、アセタール等の溶解禁止剤と
の混合物から形成されるポジ型フォトレジストが最も汎
用的に、また安価に入手することができる。例えば、東
京応化工業(株)製PMER−900,PMER−13
00、ヘキスト(株)製AZ−4903,LP−10、
ポジ型ドライフィルムOZATEC:R−255等の使
用することが可能である。また、本発明のマスキング用
レジストとして使用する、アルカリ溶解性樹脂とアジド
化合物との混合系から形成されるネガ型レジストも使用
することが可能である。これらネガ型レジストは、形成
したパターンからのガスの発生が少ないことから後述す
るガス抜き工程が不用となるので有利となる場合があ
る。日立化成工業(株)製RU−1100N、王子製紙
(株)製王子感光液等を挙げることができる。これらレ
ジストは半導体製造用レジストであるため、厚膜にて使
用する場合は濃縮操作を施して使用することが好まし
い。
【0038】また、フォトレジスト以外にも遠紫外線、
電子線及びX−線にて露光するレジストを使用すること
ができる。これらレジストの使用は露光装置が高価であ
ったり、透過性の問題から複数回に亘る露光、現像操作
が必要となったりする場合があるが、極めて高い耐熱性
を有するもの、ガス発生がないもの、また電離放射線の
付与によってガス化して除去することができるもの等が
あり、ぞれぞれに最適な工程を実施することによって簡
便な液体噴射記録ヘッドの製造工程を組むことが可能と
なる。
【0039】このようなレジストの例としては、ポリメ
チルイソプロペニルケトン(東京応化工業社製ODUR
−1010,1030)、ポリメチルメタクリレート
(東京応化工業社製OEBR−1000)等を挙げるこ
とができる。これらレジストはポジ型遠紫外線或いは電
子線レジストとして使用されるものであり、極めて高い
熱軟化温度、耐溶剤性を有している。このため共通液室
を形成するネガ型感光性材料の被覆工程を速やかに行う
ことができるし、また被覆時の両者の相溶を防止するこ
とも可能である。
【0040】また電離放射線によってガス化するポジ型
レジストも、天板接合後のレジストの除去が極めて簡便
に行い得ること等の利点を有している。これらレジスト
の例としては、二酸化イオウとオレフィンとの共重合体
或いはポリアルデヒド等を挙げることができる。これら
レジストとしてはポリ−2−メチルペンテン−1−スル
フォン、ポリ−ブテン−1−スルフォン(MEAD社:
PBS)、ポリフタルアルデヒド等が特に好ましい。
【0041】これら電離放射線用レジストは、インク流
路パターンを形成した後に、電離放射線を付与すること
によって、低分子化合物或いはガス化することにより迅
速な洗い出し或いは除去が可能という利点を有してい
る。電離放射線としては遠紫外線やX−線を使用するこ
とが、簡便な装置により一括露光にて除去することがで
きるので有利である。
【0042】上記のポジ型レジスト材料層の形成の方法
としては、感光性材料を溶解した溶液を、ソルベントコ
ート法によって塗布してもよいし、また該感光性材料を
塗布したドライフィルムを作製し、ラミネートによって
基板上に形成してもよい。特に、液体噴射記録ヘッドの
製造においては、厚膜のパターニングが必要であり、レ
ジスト被膜の形成においてはドライフィルムによるラミ
ネートが有効な場合がある。
【0043】一般的にスピンコート法は、20〜30μ
m程度の膜厚には有効な被膜形成手段であるが、30μ
mを越える厚膜の形成には困難をもたらす。即ち、レジ
スト液の固形分濃度を高め、粘度が高くなると、気泡を
抱込んだり、また液の広がりが良好に行われなくなる。
また、ロールコート法やワイヤーバーによる塗布におい
ても、高粘度のレジスト液の塗布は、機能の抱込みや、
溶剤の蒸発により膜にピンホールが発生する弊害を起こ
す。
【0044】ドライフィルムによるラミネートは、複数
回のラミネートを繰り返すことによって、原理的には如
何なる膜厚の感光層の形成も可能である。このため、本
発明による感光性樹脂を使用した液体噴射記録ヘッドの
製造においては、如何なる膜厚の感光性樹脂層をも形成
することができ、インク流路高さの高い液体噴射記録ヘ
ッドの製造が可能である。
【0045】インク流路のパターニングは通常のフォト
リソグラフィー技術によって行うことが好ましい。レジ
ストに適した感光波長の光を一括露光或いはステップ&
リピート方式、ビーム走査露光にてインク流路パターン
を像与露光し、それぞれのレジストに適合する現像液を
用いて現像することにより溶解可能なインク流路パター
ンを形成することができる。これらレジストパターンは
アッシング処理、脱泡処理を施してもよい。
【0046】脱泡処理とはレジスト中のガス発生成分を
除去する操作を表す。一般的ポジ型フォトレジストは感
光剤としてナフトキノンジアジド誘導体を使用してお
り、レジストパターンからは、加熱や光照射によって感
光剤を分解して生成する窒素ガスが多量に発生して問題
となる場合がある。このため、ネガ型被覆樹脂を塗布す
る前に、予め光を照射して感光剤を分解し除去すること
によって工程の安定化を図ることができる。
【0047】前記手段により形成された溶解可能なイン
ク流路パターン上に図3に示すようにインク共通液室を
構成するネガ型感光性材料層を形成させる。このための
材料の例としては、ネガ型感光性材料を使用する利点
は、高い耐熱性と耐溶剤性、安定性を有していることに
ある。これら材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹
脂、DAP(ジアリールフタレート)樹脂等を挙げるこ
とができる。
【0048】エポキシ系ネガ型感光性材料は、少なくと
もエポキシ樹脂と感光剤としてのオニウム塩とから構成
される。エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型、
F型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂
等何れのエポキシ樹脂を使用することができる。
【0049】オニウム塩の例としては、ジフェニルヨー
ドニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨ
ードニウムヘキサフルオロボーレート等の芳香族ヨード
ニウム塩、芳香族スルフォニウム塩の(J. POLYMER SCI:
Symposium No.56. 383-3(1976)参照)、また、これらヨ
ードニウム塩を溶解性を高めたアルキル置換物であるジ
ーTert−ブチル−フェニルヨードニウムヘキサフル
オロアンチモネート等も使用することができる。また商
品としてはアデカ社製SP−150,SP−170、チ
バガイギー社製イルガキュア261等も使用することが
できる。またシランカップリング剤(例えば日本ユニカ
ー社製A−187)、可撓性付与のためのエポキシ希釈
剤、シリカ等の充填剤等を添加してもよい。
【0050】これらエポキシ系感光性材料は、インク流
路パターンを形成する溶解可能な樹脂上に塗布される。
塗布はエポキシ樹脂が液体である場合においては、ディ
スペンサーやスクリーン印刷法等によって塗布すること
ができる。また固体状であれば、ソルベントコート法や
ホットメルト法、射出成型法等の手段を用いて行うこと
ができる。ソルベントコート法としては、パターンを溶
解しない溶剤に溶解せしめて、スピンコートやバーコー
ト等の手段にて塗布することができる。例えば、インク
流路パターンを形成するレジストとしてポジ型フォトレ
ジストを使用した場合、該レジストはトルエンやキシレ
ン、クロロベンゼン等の芳香族或いは塩素系溶剤には溶
解しないため、これら溶剤に溶解せしめてソルベントコ
ートすることが望ましい。勿論インク流路パターンを形
成する樹脂を溶解しない溶剤であれば、芳香族や塩素系
以外の何れの溶剤を使用してもよい。
【0051】またネガ型感光性樹脂層を厚膜にて形成す
る場合においては、ホットメルトや射出成型法等の溶剤
を使用しない場合の方が乾燥に要する時間を短縮するこ
とができること等の利点を有している。ホットメルトは
樹脂混合物を50〜150℃の温度にて溶融せしめて塗
布する手段であり、安価で簡便な被覆樹脂のコーティン
グが可能である。
【0052】勿論インク流路パターンを形成するレジス
トの耐熱性が低くホットメルトや射出成型等の手段にて
パターンの変形を招いたり、また段差を有するパターン
上にホットメルト等を行う際に気泡を包含するような場
合においては、スピンコート法等の手段を用いて予め薄
く被覆樹脂を被覆した後にホットメルトコートを実施す
ることによりこれらの問題を回避することができる。共
通液室パターンを形成するネガ型感光性材料としてはエ
ポキシ樹脂の他に、アクリル樹脂やジアリルフタレート
樹脂等を使用することも可能である。
【0053】アクリル系被覆ネガ型感光性材料は、分子
構造中に不飽和二重結合を有するアクリル系モノマー及
びポリマー、ラジカル重合開始剤とから構成される。ア
クリル樹脂としては、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)ア
クリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト等の多価アルコールとアクリル酸やメタクリル酸との
反応によって合成されるモノマーの他、ウレタンアクリ
レートや多価カルボン酸とヒドロキシエチル(メタ)ア
クリレート等との反応によって合成されるモノマーの何
れを用いてもよい。また、これらモノマーの他に、ポリ
メチルメタクリレートやポリアクリレート更には側鎖に
反応性基を付与したこれらアクリル高分子化合物を使用
してもよい。また感光剤としては、ベンゾフェノンやミ
ヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン等の汎用的
ラジカル重合開始剤を使用することが可能であり、また
これら開始剤と併用してジエチルアミノベンゾエート等
のアミンを添加してもよい。
【0054】これらアクリル系感光性材料は各社より極
めて多くの製品が市販されており全てを列挙することは
困難であるが、本発明では何れの材料をも使用すること
が可能である。これらアクリル系ネガ型感光性材料は前
記したエポキシ系感光性材料と同一手段によって塗布す
ることが可能である。またこれらアクリル系ネガ型感光
性材料は、一般的には酸素の反応疎外を受けるので、露
光時には窒素置換を施したり、フィルムをラミネートし
たり、真空中での露光等の手段を講じる必要がある。
【0055】また、ジアジドフタレート樹脂としては、
オルソ及びイソの何れを使用してもよい。これら樹脂に
はアジド化合物或いは前記したラジカル化合物を添加す
ることによってネガ型感光特性を付与することができ
る。アジド化合物としては4,4’−ジアジドカルコン
や4,4’−ジアドベンゾフェノン、2,6−ジ(4’
−アジドベンザル)シクロヘキサノン等のビスアジド化
合物が好ましい。またジクミルパーオキサイドやベンジ
ルパーオキサイド等の過酸化物を添加して架橋密度を高
める処方としてもよい。
【0056】上記のネガ型感光性材料には、主剤の樹脂
に対して感光剤の0.1〜10wt%、シランカップリ
ング剤の1〜10wt%、シリカ等の充填剤の1〜50
wt%等を添加して構成される。また、これら感光性材
料は好ましくはトルエン、キシレン及びクロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物、或いは溶解可
能なインク流路パターンを変形せしめなければケトンや
エステル、エーテル及びアルコール等の溶剤に、5〜7
0wt%の濃度にて溶解してソルベントコートを行うこ
とが可能である。また前記したように、ネガ型感光性材
料層を厚膜にて形成する場合は、これら材料を50〜1
50℃の温度に加熱してホットメルトコート法を用いて
もよい。勿論ネガ型感光性材料が熱重合しない温度にて
最適化して行うことは言うまでもない。特に分子構造中
に不飽和二重結合を有する化合物を含むアクリル系、ジ
アリルフタレート系材料は、120℃以下の温度にてホ
ットメルトコートを実施することが好ましい。
【0057】前記手段により形成された感光性材料層に
対して、図4に示すように共通液室マスクパターンを形
成した天井部材を貼り合わせる。貼り合わせは、共通イ
ンク液室を形成するネガ型感光性材料をそのまま接着剤
として使用するため、接着部材を別途設ける必要はな
い。貼り合わせに際しては、接着面に気泡を抱込むこと
を避ける手段を講じる必要がある。該手段としては、真
空中にて貼り合わせを行ったり、或いはネガ型感光性材
料の粘度を低減せしめたり、更にはネガ型感光性材料を
接着面のみに選択的に塗布する等の手段を挙げることが
できる。また常温にて固体状の感光性材料を使用する場
合は、加熱して樹脂に粘着性を発現せしめる等の必要が
ある。
【0058】図4に示す天井部材にはインク供給のため
の貫通孔が形成されており、また本発明によるアルカリ
溶解性ネガ型感光性材料にて形成した共通インク液室の
マスクパターンが設けられている。該天井部材として
は、紫外線を透過するものであり、インク液にて侵され
ず、またインク液に不純物を溶出する材質のものでなけ
れば何れの材料も使用することができる。最も一般的に
はホウケイ酸ガラスが好ましいが、ケイ酸ガラス、感光
性ガラス、アクリル、ポリサルフォン、ポリエーテルサ
ルフォン、エポキシ注型板等も使用することができる。
【0059】天井部材に対して、前記したように本発明
によるネガ型感光性材料を塗布、乾燥して感光性被膜を
形成する。塗布は、ロールコーター法やディップコート
法、更には該材料にて形成したドライフィルムを用いて
ラミネーション法によって行ってもよい。塗布膜厚は、
インク共通液室を形成するネガ型感光性材料の感光特性
によって異なるが、1〜20μm程度が好ましい。乾
燥、プリベークは70〜120℃の温度にて行うが、乾
燥温度が70℃に満たないと溶剤の除去が十分に行われ
ず、また120℃を越えると、熱反応によってアルカリ
溶解性樹脂の水酸基がキノン構造に変化するのでパター
ニング特性が劣化するに到る。
【0060】次いで図5に示すように、天井部材越しに
紫外線を照射してインク共通液室のパターン露光を行
う。該露光においては、インク供給孔部の感光性材料を
硬化せしめないように該部所に遮光するマスクを別途配
設してある。本発明においては、天井部材下面の感光性
材料層面にマスクパターンを設けてあるため、共通イン
ク液室パターンの形成がファインに、また高精度にて行
うことができる。即ち、天井部材上面にマスクを配設し
た場合には、天井部材による屈折、光の散乱や回折等に
よってパターンボケが発生して、パターンプロファイル
が不良となる、また精度が不十分となる、更にはボケ光
にて半硬化したものがゴミとなってインク流路を詰まら
せる、等々の問題が発生する。
【0061】露光としては、フォトマスクを介した一括
露光やステップ&リピート露光の何れを使用してもよ
い。また一括露光としては、平行光にてマスクパターン
を転写する方式(装置としてはキャノン製PLAを使用
するもの)や、マスクパターンを光学系にて感光性材料
層面に集光する投影露光(装置としてはキャノン製MP
Aを使用するもの)等の例を挙げることができる。
【0062】次に図6に示すようにネガ型感光性材料の
現像を行う。レジストの現像は、ディップ現像の他、ス
プレーやパドル等何れの手段を用いてもよい。現像液は
ネガ型感光性材料を溶解せしめ、且つインク流路を形成
するレジストを溶解しない溶剤であれば何れの溶剤を使
用してもよい。現像後のスカムや残渣の発生がある場合
においては、酸素プラズマ等のアッシング処理を施すこ
とができる。また、特にエポキシ系感光性材料等の熱の
付与が、該材料層と基板或いは天井部材との接着性の向
上に効果のある場合においては、現像操作の前或いは後
工程において随時熱処理を施すことができる。
【0063】次いで図7に示すように、基板を切断す
る。切断はダイシングソー等の機械的手法によってもよ
いし、またYAG、エキシマ、CO2 レーザー等の光加
工によってもよい。また、切断後に切断面を研削、研磨
し、インク吐出口とインク吐出圧力発生素子間の距離精
度を向上せしめてもよい。本発明においては、インク流
路部には溶解可能な樹脂が詰まっているので、切断層、
研磨剤等がインク流路部に入り込むことがない。またイ
ンク流路となる部位には、感光性樹脂が存在しているた
めに、切断時に基板等にカケが生じる等の問題も生じる
ことがなく、良好な形状のインク吐出口を形成すること
ができる。
【0064】次に、図8に示すように、インク流路部を
形成するレジストを溶出し、インク流路を形成する。現
像は、レジストを溶解するものであれば、何れの溶剤で
もよい。また超音波等を併用して溶出に要する時間を短
縮することもできる。本発明によるマスクパターンを形
成するネガ型感光性材料は、前記したようにアルカリ水
溶液やアルコール、ケトン、エステル等の汎用的溶剤に
溶解するため、インク流路を形成する溶解可能なレジス
トとしてアルカリ溶解性樹脂とナフトキノンジアジド誘
導体との混合系から構成される汎用的なポジ型フォトレ
ジストを使用した場合においては、該ポジ型フォトレジ
ストと一括して溶解除去することが可能である。
【0065】溶解可能な樹脂パターンを形成する樹脂と
してポジ型の電離放射線レジストを用いた場合において
は、溶出前の何れかの工程において電離放射線を付与し
レジストを低分子化しておくことにより、溶出を極めて
迅速に行うことができる。電離放射線の照射は天井部材
の材質、厚さ、レジストの分解波長等によっても異なる
ので、何れの工程後に行うかはそれぞれ選定することが
望ましいが、インク液室パターンを形成した後であっ
て、天板部材を接合する前に行うか、或いは切断工程を
完了した後に行うかの、何れかが好ましい。
【0066】また溶解可能な樹脂パターンを、電離放射
線の付与によってガス化せしめて除去する場合において
は、切断工程後に該操作を行うことが好ましい。これら
電離放射線分解型ポジ型レジストを用いる場合には、前
記マスクパターンを形成するレジストは、アルカリ水溶
液やアルコールにて事前に溶解除去しておくことが好ま
しい。
【0067】電離放射線としては、一括露光にて行える
遠紫外線、或いはX−線、SOR光(シンクロトロン放
射光)等を使用することが可能である。特にX−線やS
OR光は透過性に優れているため効率よくレジストを分
解或いはガス化することが可能である。最後に図9に示
すように、インク供給のための部材の実装及び電気実装
等を施して本発明の液体噴射記録ヘッドを完成する。
【0068】図10は本発明により得られた液体噴射記
録ヘッドをインクジェットカートリッジ(IJC)とし
て装着したインクジェット記録装置(IJRA)の一例
を示す外観斜視図である。図10において、20はプラ
テン24上に送紙されてきた記録紙の記録面に対向して
インク吐出を行うノズル群を備えたインクジェットカー
トリッジ(IJC)である。31はIJC20を保持す
るキャリッジHCであり、駆動モーター17の駆動力を
伝達する駆動ベルト18の一部と連結し、互いに平行に
配設された2本のガイドシャフト19A及び19Bと摺
動可能とすることによりIJC20の記録紙の全幅に亘
る往復移動が可能となる。
【0069】26はヘッド回復装置であり、IJC20
の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向する
位置に配設される。伝動機構23を介したモーター22
の駆動力によって、ヘッド回復装置26を動作せしめ、
IJC20のキャッピングを行う。このヘッド回復装置
26のキャップ部26AによるIJC20のキャッピン
グに関連させて、ヘッド回復装置26内に設けた適宜の
吸引手段によるインクの吸引もしくはIJC20へのイ
ンク供給経路に設けた適宜の加圧手段によるインク圧送
を行い、インクを吐出孔より強制的に排出させることに
よりノズル内の増粘インクを除去する等の吐出回復処理
を行う。また、記録終了時等にキャッピングを施すこと
によりIJC20が保護される。
【0070】30はヘッド回復装置26の側面に配設さ
れ、シリコンゴムで形成されるワイピング部材としての
ブレードである。ブレード30はブレード保持部材30
Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置26
と同様、モーター22及び伝動機構23によって動作
し、IJC20の吐出面との係合が可能となる。これに
より、IJC20の記録動作における適切なタイミング
で、或いはヘッド回復装置26を用いた吐出回復処理後
に、ブレード30をIJC20の移動経路中に突出さ
せ、IJC20の移動動作に伴ってIJC20の吐出面
における結露、濡れ或いは塵等を拭き取るものである。
【0071】
【実施例】以下に実施例を示し、図面に基づいて本発明
を更に詳細に説明するが、勿論本発明がこれらによって
何ら限定されるものではない。
【0072】[実施例1]図1〜図9に示す操作手順に
準じて、図9に示す構成の液体噴射記録ヘッドを作製し
た。
【0073】先ず、液体吐出エネルギー発生素子として
の電気熱変換素子(材質HfB2 から成るヒーター)を
形成したシリコン基板上に、ポジ型フォトレジストAZ
−4903(ヘキスト社)を塗布し、90℃にて30分
間の窒素中ベーキングを行った。該レジストの膜厚は3
0μmであった。次いで、該基板をキャノン製ミラープ
ロジェクションアライナー:MPA−600FAに装着
してインク流路パターンをパターン露光した。インク流
路パターンはインク流路となるところのレジストが残存
するように行い、露光は1600mJ/cm2 の露光量
を施した。次いでヘキスト社アルカリ現像液MIF−3
12を、脱イオン水にて2倍に希釈した現像液を用いて
現像を行った。現像はディップ法にて行い、10分間を
要して現像が完了した。
【0074】次に、70℃にて3時間ベーキングを行っ
た後、キャノン製マスクアライナー:PLA−501を
使用して1000mJ/cm2 の紫外線照射を行い、真
空中にて30分間処理し、再度2000mJ/cm2
紫外線照射を行い、真空中にて30分間処理して、最後
に10J/cm2 の紫外線照射を行い10時間真空処理
を施してレジストパターン中のナフトキノンジアジドを
分解して脱泡処理を完了した。
【0075】次いで、共通インク液室を形成するネガ型
感光性材料として、油化シェルエポキシ(株)製ビスフ
ェノール型エポキシ樹脂(エピコート828)の100
部、日本ユニカー社製シランカップリング剤(A−18
7)の5部、アデカ社製オニウム塩(SP−170)の
1.5部を混合したものを、ディスペンサーにてレジス
トパターン上に塗布した。インク流路パターン部に存在
する気泡を除去するため、該基板を真空中に1時間放置
した。
【0076】天井部材は以下の工程にて別途作製した。
厚さ1mmの耐熱ガラス(パイレックス)に超音波加工
にてインク供給孔を形成した。日本電子工業(株)製超
音波加工機(出力1500W)を用いて、グリーンシリ
コンカーバイド#250の砥粒にて加工を行った。ガラ
スを洗浄後、アルカリ溶解性樹脂とアジド化合物とから
構成されるネガ型フォトレジストRU−1100N(日
立化成社)をロールコータにてガラス板上に塗布した。
該基板を90℃にて30分間ベーキングした。被膜の膜
厚は10μmであった。
【0077】次いで、キャノン製マスクアライナーPL
A−501にて、ガラス基板上に形成した感光性樹脂被
膜と共通液室パターンを形成したフォトマスクを重ねて
パターン露光を行った。露光量は60カウントにて行っ
た。露光部はアジド化合物が芳香環に付加して、フェノ
ール性水酸基がキノン構造に変るので、黄色く変色す
る。アジドの吸収は、360nm付近をピークとして4
20nm付近まで吸収が伸びているが、これが光照射に
よって、480nmまで吸収が伸びて黄色く変色する。
また360nm付近の吸収はブリーチングによって若干
低下する。このような材料が、400nm以下の光照射
に対してマスキング特性を示すことは、本感光性材料の
パターニングが高圧水銀灯のi−線(365nm)とh
−線(408nm)にて行われるものの、極めて表面の
みしか光化学変化が行われないことを示している。感光
性層の下部においては、該光変化が十分に行われず、現
像を長時間に亘って行うとパターン断面はオーバーハン
グ形状を帯びてくるため、現像時間や現像液のアルカリ
強度の管理は十分に行う必要がある。
【0078】次いで東京応化工業社製アルカリ現像液N
MD−3(2.3%溶液)と脱イオン水とを3/2にて
混合して現像液に3分間浸漬して現像を行った。現像
後、未露光部のアジド化合物が残渣として残るため、キ
シレンに10秒間浸漬して洗浄を行った。
【0079】共通液室を形成するネガ型感光性材料を塗
布した基板と、前記ガラス製天井部材を真空中にて気泡
を取り込まないように貼り合わせ、次いで大気中に取り
出して、基板と天井部材とをアライメントしてそのまま
基板の周囲4点、5mmφの径にて紫外線を照射して基
板と天井部材を接着した。紫外線の照射量は8J/cm
2 にて行った。そのまま、インク供給孔部の遮光を行う
ためのフォトマスクを天井部材上に配設せしめ、キャノ
ン製マスクアライナーPLA−501にて6J/cm2
の紫外線露光を施して共通液室のパターン露光を行っ
た。
【0080】次いで45℃にて30分間ベーキングを行
って反応を進行せしめ、次いでトリクロロエタンに浸漬
して超音波を付与しつつ現像を行った。トリクロロエタ
ンにて2回リンスを行った後、基板を130℃にて1時
間加熱して接着性を更に向上せしめた。
【0081】基板を東京精密(株)製マイクロフォーミ
ングマシンFM−20を用いて切断を行った。切断は吐
出孔部においては#600のメタルブレードにてガラス
に0.8mmの溝入れを行った後、#2000のレジン
ブレードにて吐出孔の切断を行った。吐出孔部以外の切
断は#400のレジンブレードにて行い基板を分離し
た。次いで、エチルアルコールにて超音波を付与しつつ
5分間に亘りAZ−4903より形成されたインク流路
パターンを溶出し、エチルアルコールにてリンスを1回
行い、最後にキシレンエタノールの1/1混合液にてリ
ンスした後、十分に水洗を行った。
【0082】最後に図9に示すようにフィルター、イン
ク供給部材の装着、及び電気実装を施して液体噴射記録
ヘッドを完成した。このようにして作製した液体噴射記
録ヘッドを図10に示す構成を成す記録装置に装着し、
純水/グリセリン/ダイレクトブラック154(水溶性
黒色染料)=65/30/5から成るインクを用いて記
録を行ったところ、安定な印字が可能であった。
【0083】[実施例2]本実施例は実施例1にて形成
したマスクパターンを染色することによってマスキング
特性を向上せしめて実施した例を示す。マスキング特性
を向上することによって薄膜においても十分な遮光性を
有するパターン形成が可能となり、塗布膜の均一性とパ
ターンプロファイルの向上を図ることができる。
【0084】実施例1と同様に基板上にAZ−4903
から成るインク流路パターンを形成し、脱泡処理を行っ
た。次いでインク共通液室を形成するネガ型感光性材料
を塗布し、真空中にて脱泡処理を施した。また天井部材
は実施例1と同様にしてインク供給孔を加工し、次いで
実施例1と同様のネガ型感光性材料をロールコーターに
て2μmの膜厚にて塗布し、パターン露光及び現像を施
した後、キシレンにてリンスを行った。
【0085】次いで、以下に示す手段にて該ネガ型感光
性材料の染色を行った。ガンマ酸の0.01モルを、5
0ccの純水に0℃の温度を保持しつつ分散し、10%
水酸化ナトリウム溶液にてpHを8に調整し、ガンマ酸
を溶解した。次いで0.01モルの亜硝酸ナトリウム
を、5ccの純水に溶解した溶液と3ccの塩酸を混合
し、そのまま0℃にて1時間攪拌を行い、ジアゾニウム
塩を調製した。該ジアゾニウム塩の溶液に前記天井部材
を0℃にて10分間浸漬することによって、マスクパタ
ーンを黒色に染色した。
【0086】次いで、基板とマスキングパターンを形成
した天井部材を真空中にて貼り合わせ、実施例1と同様
にアライメントした後仮止めを行った。実施例1と同様
にインク共通液室のパターン露光と現像を行った後、基
板を切断し、インク流路を形成するポジ型フォトレジス
ト及びマスキング部材をエチルアルコールにて溶解せし
めた。最後に、インク供給のための部材を配設した後、
電気実装を施して液体噴射記録ヘッドを完成し、該記録
ヘッドを印字装置に装着して印字を行ったところ良好な
印字が可能であった。
【0087】[実施例3]本実施例は、実施例1にて使
用したエポキシ系感光性材料の感光波長が300nm付
近にあるため、Deep−UV露光にてインク共通液室
のパターン露光を行った例を示す。本発明のマスキング
部材はフェノール性芳香環を有しているので、特に30
0nm以下の波長の光の透過性が低く、該波長にて露光
を行うことにより、パターンのマスキング特性は更に有
効に利用することができる。またインク流路を形成する
溶解可能なレジストパターンとしては、Deep−UV
用ポジ型レジストである東京応化工業社製ODUR−1
010を使用し、被覆樹脂層塗布時の耐溶剤性、耐熱性
を高めて工程マージンの拡大を図るとともに、ポジ型フ
ォトレジストに必要な脱泡工程の排除を実施した例であ
る。
【0088】東京応化工業社製ポジ型Deep−UVレ
ジスト(ODUR−1010)を、膜厚25μmのポリ
エチレンテレフタレートフィルムにバーコーターにて塗
布した。該被膜を90℃にて20分間ベークして乾燥を
行った。該被膜の膜厚は15μmであった。該フィルム
を電気熱変換素子を形成した基板に120℃にて2回ラ
ミネートし、膜厚30μmに感光性被膜を形成した。次
いで120℃にて30分間ベークを行った。該基板をキ
ャノン(株)製マスクアライナーPLA−520に導入
してインク流路パターンを形成した。コールドミラーは
CM−290を使用し、露光は140カウントにて行
い、現像はメチルイソブチルケトン/キシレン=4/1
の混合液にてディップ法により行った。1回の露光、現
像操作にてはパターン形成できなかったため、該露光、
現像操作を2回繰り返して膜厚30μmのレジスト被膜
に前記したインク流路パターンを形成した。該パターン
の溶解除去性を高めるため、再度PLA−520にて2
00カウントの全面露光を行った。
【0089】次いで、インク流路形成材料として油化シ
ェルエポキシ社製:エピコート1001を100部、シ
ランカップリング剤として日本ユニカー社製A−187
を5部、光重合開始剤としてアデカ社製SP−170を
1.5部を混合したものをホットメルトコーター(ノー
ドソン社製)を用い160℃の温度にて200μm膜厚
にコーティングした。
【0090】実施例1と同様に作製した天板と前記基板
を100℃にて圧着し、次いで、天板のインク供給孔部
をマスクするフォトマスクを密着し、PLA−520に
て50カウントの露光を施してインク流路を形成するエ
ポキシ系感光剤の露光を行った。実施例1と同様に基板
を切断し、次いでメチルイソブチルケトンにて超音波を
付与しつつODURを洗い出した。2回のリンスをメチ
ルイソブチルケトンにて行った後、200℃にて4時間
の加熱を行って硬化を完全ななものとした。最後に、イ
ンク供給のための部材を配設した後、電気実装を施して
液体噴射記録ヘッドを完成し、実施例1と同様に該記録
ヘッドを印字装置に装着し、インクを充填して記録を行
ったところ、良好な印字が可能であった。
【0091】[実施例4]本実施例では、電離放射線照
射によってガス化するレジストを使用した例を示す。M
EAD(株)製ポリブテン−1−スルフォンを1/5に
濃縮し、スピンコートにて電気熱変換素子を形成した基
板上に塗布し、次いで100℃にて30分間ベークし
た。得られた被膜の膜厚は15μmであった。基板をエ
リオニクス(株)製電子線描画装置ELS−3300に
装着し、インク流路パターンの描画を行った。電子線の
加速電圧は20kV、露光量は50μC/cm2 であ
る。現像はメチルイソブチルケトンにて行った。レジス
トパターン上に、実施例1と同様にエポキシ系感光剤を
コーティングして天板を貼り合わせ、液室のパターン露
光をして、現像を行った。
【0092】実施例1と同様に基板を切断し、十分に水
にて洗浄した後、理学電機(株)製X−線照射装置にて
X−線照射を行った。ターゲットをPdとし、投入電力
を15kW、ターゲットと基板の間隔を10cmとし
て、露光を30分間行った。照射終了後、ポリブデン−
1−スルフォンがガス化して飛散したことを確認して、
実施例1と同様に実装し、インク充填を行い記録したと
ころ、良好な印字が可能であった。
【0093】
【発明の効果】上記のように本発明により、以下に列挙
するような顕著な効果が奏される。即ち、(1)ヘッド
作製のための主要工程が、フォトレジストや感光性ドラ
イフィルム等を用いたリソグラフィー技術によるので、
ヘッドの細密部を所望のパターンにて、而も極めて容易
に形成することができるのみならず、同構成の多数のヘ
ッドを一括して、同時に加工することも容易にできるこ
と、(2)共通液室の形成を、フォトリソグラフィー技
術によって行うことができるので、ノズル長を精度よ
く、且つばらつき少なく形成することができるため、吐
出周波数が高い液体噴射記録ヘッドを製造することがで
きること、(3)共通液室をパターン露光する際のマス
クパターンが天井部材の感光性材料面側に形成されてい
るため、簡易な露光機を用いても良好なパターン形成を
行い得る。このため寸法精度を高めることが可能とな
り、吐出周波数の高い液体噴射記録ヘッドを作製するこ
とができること、また、光学系の散乱や回折によるかぶ
り露光部が少ないため、スカムや残渣等が発生せず、ゴ
ミ成分によるノズル詰まりのない、信頼性の高い液体噴
射記録ヘッドを作製することができること、(4)マス
クパターンを形成する材料はアルカリ水溶液や汎用的溶
剤にて除去することができるため、基板上に形成された
配線パターンや天井部材、共通インク液室を形成する材
料へのダメージがなく、信頼性の高いヘッドを簡便に形
成することができること、(5)マスキング工程が簡便
であり、また安価な材料を使用するので、コスの低減が
可能であること、(6)インク流路となる部位にレジス
トを充填したまま切断を行うので、基板等に切断時にカ
ケが生じることがなく、また研磨等の後処理が可能とな
り、ヨレやムラの少ない液体噴射記録ヘッドを製造する
ことが可能となること、(7)ポジ型レジストとして耐
熱性や耐溶剤性の高い材料を使用することが可能であ
り、工程マージンを広げることが可能となって歩留まり
の向上を図ることができるこおと、(8)電離放射線に
てガス化するポジ型レジストを使用した場合は、溶剤に
よるレジスト洗浄工程を省くことが可能となり、工程の
短縮化、及び歩留まりの向上を図ることができ、而も洗
い出し溶剤の廃液処理等の必要がなくなること、(9)
高密度マルチアレイ液体噴射記録ヘッドを簡単な手段に
よって得ることができること、等々である。
【図面の簡単な説明】
【図1】インク流路、オリフィス部形成前の基板の模式
的斜視図。
【図2】溶解可能な樹脂にてインク流路パターンを形成
した基板の模式的斜視図。
【図3】共通液室を形成するネガ型感光性樹脂を塗布し
た基板の模式的断面図。
【図4】マスキングパターンを形成した天井部材を貼り
合わせる工程を示す模式的断面図。
【図5】天井部材越しにインク供給液室をパターン露光
する工程を示す模式的断面図。
【図6】共通インク液室を現像する工程を示す模式的断
面図。
【図7】基板を切断してインク吐出孔面を形成した基板
の模式的断面図。
【図8】溶解可能な樹脂を溶出した基板の模式的断面
図。
【図9】基板をベースプレート上にダイボンし、インク
供給部材の実装及び電機信号を付与する電機実装を行い
形成した液体噴射記録ヘッドの模式的斜視図。
【図10】本発明による液体噴射記録ヘッドを用いて記
録を行う記録装置の一例を示す模式的斜視図。
【符号の説明】
1 基板 2 電気熱変換素子(液体吐出エネルギー発生素子) 3 溶解可能な樹脂によるインク流路パターン 4 ネガ型感光性材料層 5 天井部材 6 マスキングパターン 7 インク供給孔 8 フォトマスク 9 クロムパターン 10 感光硬化部 11 共通インク液室 12 切断ブレード 13 インク吐出孔 14 インク供給部材 15 駆動用IC 16 ベースプレート 17 駆動モーター 18 駆動ベルト 19A,19B ガイドシャフト 20 インクジェットヘッドカートリッジ(IJC) 22 クリーニング用モーター 23 伝動機構 24 プラテン 26 キャップ部材(ヘッド回復装置) 26A キャップ部 30 ブレード 30A ブレード保持部材 31 キャリッジHC

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク吐出圧力発生素子が形成された基
    板上に、(1)溶出可能な樹脂にてインク流路となる部
    位にインク流路パターンを形成する工程、(2)該パタ
    ーン上にネガ型感光性材料を塗布する工程、(3)ネガ
    型感光性材料層上に、共通液室のマスクパターンを形成
    した天井部材を貼り合わせる工程、(4)天井部材越し
    に光照射を施し、ネガ型感光性材料をパターン硬化し現
    像する工程、(5)インク流路となる部位を切断する工
    程、(6)溶出可能な樹脂を溶出する工程、の各工程を
    順次行う液体噴射記録ヘッドの製造方法において、天井
    部材に形成するマスクパターンとして、ノボラック樹脂
    とアジド化合物とを少なくとも含有するネガ型感光性材
    料を使用することを特徴とする、液体噴射記録ヘッドの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ネガ型感光性材料にてマスクパター
    ンを形成した後、アゾ染料にて染色することを特徴とす
    る、請求項1記載の液体噴射記録ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記マスクパターンを形成するネガ型感
    光性材料として、ノボラック樹脂、アジド化合物及び水
    溶性高分子化合物とを少なくとも含有することを特徴と
    する、請求項1記載の液体噴射記録ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アジド化合物の含有量が、0.5〜
    30重量%の範囲であることを特徴とする、請求項1記
    載の液体噴射記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記水溶性高分子化合物の含有量が、1
    〜20重量%の範囲であることを特徴とする、請求項3
    記載の液体噴射記録ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 記録液小滴を発生し液体噴射記録を行う
    液体噴射記録ヘッドにおいて、該記録ヘッドが、請求項
    1乃至5の何れかに記載の製造方法によって得られるも
    のであることを特徴とする、液体噴射記録ヘッド。
JP7580795A 1995-03-31 1995-03-31 液体噴射記録ヘッドの製造方法及び該方法による液体噴射記録ヘッド Pending JPH08267766A (ja)

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