JPH08174847A - 液体噴射ヘッド、該ヘッドを具備する液体噴射装置及び該ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体噴射ヘッド、該ヘッドを具備する液体噴射装置及び該ヘッドの製造方法

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JPH08174847A
JPH08174847A JP31998894A JP31998894A JPH08174847A JP H08174847 A JPH08174847 A JP H08174847A JP 31998894 A JP31998894 A JP 31998894A JP 31998894 A JP31998894 A JP 31998894A JP H08174847 A JPH08174847 A JP H08174847A
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ink
resin
liquid
jet head
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JP31998894A
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Masashi Miyagawa
昌士 宮川
Hiroaki Toshima
博彰 戸島
Norio Okuma
典夫 大熊
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクジェット記録方式に用いる記録液小滴
を発生するための信頼性の高い微細ノズルを有する液体
噴射ヘッド、該ヘッドを具備する液体噴射装置及び該ヘ
ッドの容易且つ安定的な製造方法を提供する。 【構成】 インク吐出圧力発生素子が形成された基板上
に、(1)溶出可能な樹脂にてインク流路となる箇所に
インク流路パターンを形成し、(2)該流路パターンを
被覆する樹脂層を塗布して硬化せしめ、(3)インク流
路となる箇所を切断し、(4)溶出可能な樹脂を溶出せ
しめる、各工程を含む方法により作製される液体噴射ヘ
ッドの、前記溶出可能な樹脂が、芳香環を有するアルカ
リ溶解性樹脂及びアジド化合物を少なくとも含有するネ
ガ型感光性材料から成る目的の液体噴射ヘッド、該ヘッ
ドを具備する液体噴射装置及び該ヘッドの製造方法が提
供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録方
式に用いる記録液小滴を発生するための信頼性の高い微
細ノズルを有する液体噴射ヘッド、該ヘッドを具備する
液体噴射装置及び該ヘッドの容易且つ安定的な製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式(液体噴射記録
方式)に適用される液体噴射記録ヘッドは、一般に微細
な記録液吐出口(以下オリフィスと呼ぶ)、液流路及び
該液流路の一部に設けられる液体吐出エネルギー発生部
とを備えている。従来、このような液体噴射記録ヘッド
を作製する方法として、例えば、ガラスや金属等の板を
用い、該板に切削やエッチング等の加工手段によって微
細な溝を形成した後、該溝を形成した板を他の適当な板
と接合して液流路の形成を行う方法が知られている。
【0003】然しながら、このような従来法によって作
製される液体噴射記録ヘッドにおいては、切削加工され
る液流路内壁面の荒れが大きすぎたり、エッチング率の
差から液流路に歪みが生じたりして、流路抵抗の一定し
た液流路を得るのが困難であり、製作後の液体噴射記録
ヘッドの記録特性にバラツキが出易いといった問題があ
った。また、切削加工の際に、板の欠けや割れが生じや
すく、製造歩留まりが悪いという欠点もあった。また、
エッチング加工を行う場合には、製造工程が多く製造コ
ストの上昇を招くという不利もあった。更には、上記従
来法に共通する欠点として、液流路を形成した溝付き板
と、記録液小滴を吐出させるための吐出エネルギーを発
生する、圧電素子や電気熱変換素子等の駆動素子が設け
られた蓋板とを貼り合わせる際に、これら板の位置合わ
せが困難であり、量産性に欠けるといった問題もあっ
た。
【0004】また、液体噴射記録ヘッドは、通常その使
用環境下にあっては、記録液(一般には、水を主体とし
多くの場合中性ではないインク液、或いは有機溶剤を主
体とするインク液等)と常時接触している。それ故、液
体噴射記録ヘッドを構成するヘッド構造材料は、記録液
からの影響を受けて強度低下を起こすことがなく、また
逆に記録液中に、記録液適性を低下させるような有害成
分を与えることのないものが望まれるが、上記従来法に
おいては、加工方法等の制約からも、必ずしもこれら目
的に適合する材料を選択することができなかった。
【0005】これらの問題を解決するため、特開昭57
−208255、同57−208256号公報に記載さ
れる、感光性樹脂材料を使用してインク吐出圧力発生素
子が形成された基板上にインク流路及びオリフィス部か
ら成るノズルをパターン形成して、この上にガラス板等
の蓋を接合する方法が開示された。
【0006】然しながら、該方法は以下に列記するよう
な問題点を有している。即ち、 1)天板を接着するための接着部材がインク流路にたれ
込んで、流路形状を変形すること、 2)インク吐出を形成するために該基板を切断する際
に、インク流路に切断屑が入り込み、インク吐出を不安
定にすること、 3)インク流路が形成された空洞部を有する基板を切断
するため、切断によって形成されるインク吐出口の一部
にカケが生じること、 等々である。
【0007】これらの問題によって、液体噴射記録ヘッ
ドの製造の歩留まりは低下すると共に、更に微細なイン
ク流路構造を有し、且つ長尺にて多数のインク吐出口を
有する液体噴射記録ヘッドの製造をより困難なものとし
ている。
【0008】これらの問題を回避する方法として、特開
昭61−154947号公報に開示されるものが挙げら
れる。該方法は、溶解可能な樹脂によりインク流路部を
形成し、パターンをエポキシ樹脂等にて被覆し、硬化し
て、基板を切断後に溶解可能な樹脂パターンを溶出除去
するものである。本方法においては、溶解可能な樹脂に
てインク流路パターンを形成する工程において、ポジ型
フォトレジストを使用することにより微細なインク流路
パターンが形成できる。
【0009】しかし、一般的に使用されるポジ型フォト
レジストは、アルカリ可溶性ノボラック樹脂とナフトキ
ノンジアジド誘導体等の溶解禁止剤との混合系より構成
されており、レジストパターンの耐熱性は低い。このた
め、被覆樹脂層を形成する場合、該樹脂層を硬化する場
合において、インク流路パターンを軟化せしめない温
度、或いはインク流路パターンを形成するポジ型レジス
トが熱硬化しない温度にて、被覆樹脂層の形成、及び硬
化反応を実施する必要がある。本願発明社らの検討によ
れば、膜厚20μm程度のレジストパターンの場合、9
0℃程度の温度を付与するとパターンの変形が起こり、
また130℃にて15分間程度の熱を付与すればパター
ンはゲル化してしまう。
【0010】このため、被覆樹脂層を形成する場合にお
いては、樹脂を熱溶融せしめて形成するトランスファー
モールド等の手段を実施することは困難な場合がある。
また熱硬化反応を必要とするエポキシ樹脂やジアリール
フタレート樹脂等を使用した場合、低温にて長時間に亘
り熱硬化する場合があった。更には、樹脂の熱硬化反応
が不十分な場合が多く、切断時に樹脂或いは基板にカケ
を生じたり、ポジ型フォトレジストを溶出する場合に有
機溶剤を使用すると被覆樹脂層が膨潤してインク流路形
状を不安定なものにしたり、被覆樹脂層の基板からの剥
離を招いたりする多くの問題があった。
【0011】一方、被覆樹脂材料として光硬化性樹脂を
使用し、樹脂を被覆した後に紫外線照射によって被覆樹
脂層を硬化せしめる手段も特開昭61−154947号
公報に開示されている。しかし、ポジ型フォトレジスト
は、溶解禁止剤としてナフトキノンジアジドを使用して
いるものが多く、該レジストは、被覆樹脂層の光硬化工
程において、窒素ガスの発生が起こるという問題を有し
ている。即ち、ポジ型フォトレジストにて形成されたイ
ンク流路パターン中には、ナフトキノンジアジドが光分
解されずに残存しており、該パターンを被覆樹脂にて被
覆した後に光硬化を実施した場合、ナフトキノンジアジ
ドの光分解反応も起こり、ポジ型レジストより多量の窒
素ガスが発生する。このため、インク流路に凹凸が付い
たり、また被覆樹脂層が基板より剥がれ易くなる等の問
題を生じる。
【0012】このように、ポジ型フォトレジストを使用
した場合においては、レジストパターンの熱軟化温度が
低い、ゲル化温度が低いまたレジスト中より発生する窒
素ガスが種々の問題を生じる等の弊害が発生する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の諸点
に鑑み成されたものであって、以下に列記する諸項目の
達成をその目的とするものである。即ち、(1)安価、
精密であり、また信頼性も高い高解像度(ノズルが高密
度にて実装された)の液体噴射ヘッド及びその製造方法
を提供すること、(2)液流路が精度よく正確に、且つ
歩留まりよく微細加工された構成を有する液体噴射ヘッ
ド及び該ヘッドの新規な製造方法を提供すること、
(3)記録液との相互影響が少なく、機械的強度や耐薬
品性に優れた液体噴射ヘッド及び該ヘッドの新規な製造
方法を提供すること、(4)耐熱性の高い溶出可能なレ
ジスト材料を用いてインク流路パターンを形成すること
により、被覆樹脂層形成工程、被覆樹脂層熱硬化工程を
より簡易化すること、(5)インク流路パターンを形成
する溶解可能なレジストとして、ネガ型フォトレジスト
を使用することにより、ポジ型フォトレジストを使用し
た場合に起こる、窒素ガスの発生に起因する問題の回避
を可能とする、即ち、インク流路の変形や、被覆樹脂層
の基板からの剥離の防止を可能とすること、等々であ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下に示
す本発明によって達成される。即ち、本発明は、インク
吐出圧力発生素子が形成された基板上に、(1)溶出可
能な樹脂にてインク流路となる箇所にインク流路パター
ンを形成する工程、(2)該流路パターンを被覆する樹
脂層を塗布して硬化せしめる工程、(3)インク流路と
なる箇所を切断する工程、(4)溶出可能な樹脂を溶出
せしめる工程、の各工程を含む方法により作製される液
体噴射ヘッドにおいて、前記溶出可能な樹脂が、芳香環
を有するアルカリ溶解性樹脂及びアジド化合物を少なく
とも含有するネガ型感光性材料であることを特徴とする
液体噴射ヘッドを開示するものである。
【0015】また、本発明は、前記液流路に、記録媒体
の被記録面に対向して記録液小滴を吐出する吐出口が設
けられて成る前記液体噴射ヘッドと、該ヘッドを載置す
るための部材とを少なくとも具備することを特徴とする
液体噴射装置をも開示するものである。
【0016】更に、本発明は、インク吐出圧力発生素子
が形成された基板上に、(1)溶出可能な樹脂にてイン
ク流路となる箇所にインク流路パターンを形成する工
程、(2)該流路パターンを被覆する樹脂層を塗布して
硬化せしめる工程、(3)インク流路となる箇所を切断
する工程、(4)溶出可能な樹脂を溶出せしめる工程、
の各工程を含む方法により作製する液体噴射ヘッドの製
造方法において、前記溶出可能な樹脂が、芳香環を有す
るアルカリ溶解性樹脂及びアジド化合物を少なくとも含
有するネガ型感光性材料であることを特徴とする液体噴
射ヘッドの製造方法をも開示するものである。
【0017】上記の目的を達成するため、本発明は溶出
可能なインク流路パターンを形成するレジスト材料を耐
熱性の高いネガ型フォトレジストとすることを特徴とし
ている。
【0018】一般には、ネガ型フォトレジストは光重合
反応或いは光架橋反応によって、高分子化合物をゲル化
せしめ、現像液に溶解しなくなる特性を利用して微細な
パターン形成を行うものである。しかし、本原理に基づ
くネガ型レジストは、被覆樹脂層を形成し、硬化させた
後に溶出を行うことができないため、特開昭61−15
4947号公報記載の液体噴射ヘッドの製造には使用で
きない。しかし、本願発明による芳香環を有するアルカ
リ溶解性樹脂とアジド化合物との混合系から成るネガ型
フォトレジストは、形成したパターンがアルカリ性現像
液やアルコール等の有機溶剤に速やかに溶解するため、
前記液体噴射ヘッドの製造に好適に使用できる。
【0019】例えば、ポリ−P−ヒドロキシスチレンと
アジド化合物とから構成されるネガ型レジストは、芳香
族アジド化合物が光照射によってナイトレンに変化し、
ポリ−P−ヒドロキシスチレンのα位の水素を引き抜く
ことによって、ポリ−P−ヒドロキシスチレンの水酸基
をキノン構造に変化させる。このため、ポリ−P−ヒド
ロキシスチレンが、アルカリ現像液に溶解し難くなって
ネガ型パターンを形成するものである。該レジストパタ
ーンは、樹脂がゲル化しておらず、前記のように、より
アルカリ強度の高い現像液や有機溶剤にて容易に溶解で
きる。
【0020】本発明において、インク流路を形成する溶
解可能な樹脂パターンとして、ネガ型レジストを使用す
る優位性は以下に記載する3項目を挙げることができ
る。 (A)ネガ型レジストは、インク流路となる箇所が光照
射を施された箇所でありポジ型レジストを使用する場合
のような窒素ガス発生の問題が起こらない。即ち、被覆
樹脂層を光硬化する場合においては、窒素ガスの発生に
よるインク流路の変形が防止される。ポジ型フォトレジ
ストは1分子中に3〜4個のキノンジアジド基を有する
感光剤を15wt%程度添加して構成されている。更に
は、インク流路を形成する箇所となるレジストは光照射
されていない箇所であり、このため、被覆樹脂層を光硬
化せしめる場合においては、レジスト中から極めて多量
の窒素ガスが発生する。該窒素ガスはインク流路の変形
を招いてしまう。
【0021】一方、本発明のネガ型感光性材料にてイン
ク流路を形成する場合においては、インク流路となる箇
所は、光照射を施されている箇所であり、ポジ型レジス
トを使用する場合のように未分解の感光剤が多量に存在
することはない。また、アジドの分解によって生じた窒
素ガスは、現像、リンス、乾燥工程等、被覆樹脂層形成
工程以前に除去されてしまい、殆どパターン中には含ま
れなくなっている。
【0022】このように、ネガ型感光性樹脂において
は、インク流路パターン部が光照射を施された箇所であ
ること、窒素ガスを生じる感光性物質の添加量が少ない
ことにより、ポジ型感光性材料を使用する場合に比べ
て、被覆樹脂層形成時の窒素ガス発生による弊害を排除
することが可能となる。
【0023】(B)ネガ型レジストは、一般に使用され
るアルカリ溶解性樹脂とナフトキノンジアジドとの混合
系から成るポジ型レジストより、熱軟化温度及び熱硬化
温度を高くすることができる。このため、被覆樹脂層の
形成手段、熱硬化をより短時間にて行うことが可能とな
る。
【0024】一般的に使用されるクレゾールノボラック
樹脂とナフトキノンジアジドとの混合系から成るポジ型
レジストの熱軟化温度は約100〜120℃であり、ま
た130℃以上の温度を15分間程度付与すると熱硬化
してしまう。熱軟化温度が低い原因としては、クレゾー
ルノボラック樹脂の軟化温度が100℃程度であるこ
と、及び熱軟化温度の低いナフトキノンジアジドが15
wt%程度配合されていることにある。ポジ型フォトレ
ジストの軟化温度を高める手段として、クレゾールノボ
ラック樹脂に比べて軟化温度の高いポリ−P−ヒドロキ
シスチレンを使用する場合があるが、軟化温度の低い感
光剤の添加量が多いために、レジストとしての軟化温度
を大幅に高めることができないのが現状である。
【0025】一方、ナフトキノンジアジド誘導体は、熱
分解温度が130℃程度であり、この分解はレジストの
熱硬化反応を誘発し、レジストは130℃にてゲル化し
てしまう。このため、被覆樹脂層の硬化反応に際して1
30℃以上の熱を長時間に亘って付与すると、ポジ型感
光性材料がゲル化してしまい、溶出することができなく
なってしまう。
【0026】一方、本発明に使用するネガ型レジスト
は、アジド化合物を感光剤として使用するため150℃
以上に加熱してもレジストが熱硬化することはない。ま
た、アルカリ溶解性樹脂として、ポリ−P−ヒドロキシ
スチレン、P−ヒドロキシスチレンとP−ヒドロキシス
チレンとメタクリル酸エステルとの共重合体等を使用す
るれば、熱軟化温度を150℃以上とすることも可能で
ある。ネガ型レジストの場合は、アジド化合物の軟化温
度が130℃以上であることと共に、該アジド化合物の
添加量は1〜5wt%程度でも良好なパターン形成が可
能であり、また感光剤がレジストの軟化温度を甚だしく
低下させてしまうことはない。
【0027】このため、被覆樹脂層の形成手段としてポ
ッティングやトランスファーモールド等の手段を使用し
た場合、レジストパターンの熱変形を招かずに被覆樹脂
層を形成できる。また、被覆樹脂層の熱硬化反応も高温
にて短時間に実施することができる。
【0028】(C)ポジ型フォトレジストは前記したよ
うに、分子量の低い感光材料を15wt%程度添加して
構成されており、該レジストの被膜性は低い、このため
該レジストをポリエチレンテレフタレート等の基材フィ
ルムに塗布して形成される感光性ドライフィルムにおい
ては、転写時に転写不良を起こしてしまう。転写不良の
防止に対しては、バインダー等の添加がなされるが、軟
化温度や解像性の低下を招いてしまう。一方、ネガ型フ
ォトレジストにおいては、分子量の低い感光剤の添加量
を1〜5wt%程度と極めて少なくすることが可能であ
り、被膜性の低下を防止することが可能である。
【0029】上記のように、ポジ型フォトレジストに対
して、本発明によるネガ型フォトレジストを使用した液
体噴射ヘッドの製造方法においては、極めて安定的に高
いスループットにて液体噴射ヘッドを製造することが可
能となる。
【0030】また、請求項10〜12記載の方法によ
り、ネガ型フォトレジストの特性を更に向上することが
可能であり、本発明の効果を高めることができる。従来
のポジ型フォトレジストに使用されるアルカリ溶解性樹
脂であるクレゾールノボラック樹脂は、分子量が100
0程度であり、軟化温度も100℃程度のものである。
ノボラック樹脂は縮重合反応により合成されるものであ
り、分子量を大幅に高めることは難しい。また軟化温度
においても、キシレノール等を添加して縮重合を行うこ
とにより高めることは可能であるが、アルカリ溶解性を
損失してしまう。
【0031】請求項10に記載の方法においては、ポリ
−P−ヒドロキシスチレン或いはP−ヒドロキシスチレ
ンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体を使用す
ることにより、飛躍的な軟化温度の向上と分子量の向上
が図られる。ポリ−P−ヒドロキシスチレンの軟化温度
は160℃以上であり、レジストの軟化温度を極めて高
くすることが可能である。また、ポリ−P−ヒドロキシ
スチレンはラジカル重合反応によって合成されるため、
極めて高い分子量の樹脂まで合成することが可能であ
る。即ち、被膜性に優れ、耐熱性の高いレジストを形成
できる。また、P−ヒドロキシスチレンと種々の(メ
タ)アクリル酸エステルを共重合することにより、レジ
スト特性を制御することが容易に行い得る。例えば、ポ
リ−P−ヒドロキシスチレンは比較的脆い樹脂であり、
20μm以上の厚膜の形成を行うと、被膜にクラックが
入ったりする場合があるが、メタクリル酸メチル等の共
重合体を使用することにより、厚膜のレジスト被膜形成
に際してもクラックの発生を防止できる。
【0032】また、該レジストを感光性ドライフィルム
化する場合において、レジストの転写温度を低下せしめ
る手段として、アクリル酸ブチルやメタクリル酸ブチル
等の共重合を行えば、所望の転写温度においてレジスト
被膜の転写を行うことが可能となる。
【0033】このように、ポリ−P−ヒドロキシスチレ
ン系ネガ型フォトレジストにおいては、種々のレジスト
特性をアルカリ溶解性樹脂と微小のアジド化合物によっ
て実現することが可能であり、また前記したように、ア
ルカリ溶解性樹脂の特性を共重合体及び分子量によって
制御することが可能となり、プロセス条件に合致した感
光性レジストを簡便に得られるという利点を有してい
る。
【0034】また、請求項11及び12の方法において
は、これらレジストの特性はバインダーを添加すること
によっても向上せしめることが可能である。即ち、レジ
スト被膜の被膜性の向上や転写温度の制御に際しては、
被膜性の高い分子量20000以上の高分子化合物を添
加することによって実現できる。工業的に生産されるポ
リ−P−ヒドロキシスチレンの分子量は、合成法の制約
上10000以下のものであり、該樹脂の被膜性は十分
に高いものではない。これは、P−ヒドロキシスチレン
の反応性が極めて高く、室温にて安定して存在し得ない
特性に起因している。このため、工業的には十分に精製
せずに重合反応を行うことにより、分子量を高めること
が難しくなっている。
【0035】P−ヒドロキシスチレンの水酸基をスルフ
ォン酸エステルやカルボン酸エステルにて保護した後に
重合反応を行えば、モノマーを安定化せしめて高分子量
のポリ−P−ヒドロキシスチレンを重合することは可能
であるが、工業的には高価なものとなってしまう。
【0036】分子量20000以上の高分子化合物を添
加する主たる目的は、市販される安価なポリ−P−ヒド
ロキシスチレン樹脂を用いて、該樹脂より構成される感
光性樹脂の被膜性を高めることにある。また、更なる目
的としては、ガラス転移温度の低い高分子化合物を添加
することにより、レジストより形成される感光性ドライ
フィルムの転写温度を制御することにある。好ましいバ
インダーの添加量としては、感光性樹脂の固形分の1〜
50wt%である。添加量が1wt%に満たないと前記
したように感光性樹脂被膜の被膜性が不十分となりクラ
ックの発生や転写不良を起こす。また50wt%を越え
て添加した場合は、レジストの現像時に露光部の膜減り
が大きくなり良好なパターンを形成できない。
【0037】添加するバインダーとしては、ポリアクリ
ル酸、ポリメタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレー
ト、ヒドロキシエチルメタクリレート、イソブチレン−
無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド、カルボキシ
メチルセルロース、カボキシエチルセルロース等を挙げ
ることができる。これらの高分子化合物の分子量は、感
光性樹脂被膜の被膜性を高める目的から、20000以
上であることが好ましい。また、20000に満たない
分子量においては、感光性ドライフィルムの被膜性が低
く、転写時に転写不良の箇所が発生してしまう。
【0038】最も好適なバインダーの例としては、ポリ
ビニルメチルエーテル樹脂を挙げることができる。該樹
脂は、ポリ−P−ヒドロキシスチレンとの相溶性に優
れ、また被膜性も高いため、ドライフィルム化や厚膜形
成時のクラック防止においては極めて有効である。これ
らのバインダーを添加して、レジスト特性を制御するこ
とにより、市販されるポリ−P−ヒドロキシスチレンを
使用して簡便、且つ安価に所望の特性のレジストを獲得
できるという利点を有している。
【0039】上記のように、本発明による液体噴射ヘッ
ドの製造方法は、分子構造中に芳香環を有するアルカリ
溶解性樹脂と、アジド化合物とを少なくとも含有するネ
ガ型感光性材料を用いてインク流路パターンを形成する
点を大きな特徴とする。
【0040】分子構造中に芳香環を有するアルカリ溶解
性樹脂としては、前記したように、フェノールノボラッ
ク、クレゾール(オル、メタ、パラ)ノボラック、キシ
レノールノボラック及びこれらの共重合体を使用でき
る。また、ポリ−P−ヒドロキシスチレン、ポリ−O−
ヒドロキシスチレン、P(O)−ヒドロキシスチレンと
(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体も使用でき
る。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレー
ト、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、等を用いることが可能である。
また、これら共重合体の共重合比は、所望のレジスト特
性を得るように任意に決定しても支障ない。
【0041】また、アジド化合物としては、アジドピレ
ン、P−アジドベンザルアセトフェノン、4,4’−ア
ジドカルコン、P−アジドアセトフェノン、1,3−ビ
ス(4’−アジドベンザル)−2−プロパノン、2,6
−ビス(4’−アジドベンザル)シクロヘキサノン、
2,6−ビス(4’−アジドベンザル)4−メチルシク
ロヘキサノン、1,3−ビス(4’−アジドシンナミリ
デン)−2−プロパノン等を挙げることができる。これ
らアジド化合物の添加量としては、感光性樹脂の固形分
に対して1〜20wt%が好ましい。添加量が1wt%
に満たない場合は、現像時に露光部の膜減りが甚だしく
なり良好なパターンを形成できない。また20wt%を
越えて添加した場合は、感光性樹脂を塗布して、乾燥し
た時点にてアジドの遊離が起きてしまう。
【0042】また、添加するアジドがビスアジド化合物
である場合は、添加量を10wt%以下に抑えることが
好ましい。ビスアジド化合物においては、分子間の架橋
反応も併発して起こるので、添加量が多いとインク流路
のパターンのゲル化を起こしてしまう。本願発明者らの
検討によれば、レジストのゲル化はビスアジド化合物の
添加量に大きく左右され、露光量には大きく影響を受け
ない。従って、添加量さえ制御されると、後工程にて被
覆樹脂層を光硬化する際にも、レジストのゲル化が起こ
ることはない。また前記したように、感光性樹脂には更
に、バインダー、シランカップリング剤等を添加しても
支障ない。
【0043】このように、本発明による液体噴射ヘッド
の製造方法においては、耐熱性に優れ、ゲル化し難くま
たレジストパターンからの窒素ガスの発生のないネガ型
レジストを使用することにより、極めて安定且つ生産性
に優れた液体噴射ヘッドの製造方法を提供できる。
【0044】以下、図面を参照しつつ、本発明の概要を
説明する。図1〜6は、本発明の基本的な態様を示すた
めの模式図であり。図1〜6の夫々には、本発明の方法
に係わる液体噴射ヘッドの構成とその作製手順の一例が
示されている。尚、本例では、2つのオリフィスを有す
る液体噴射ヘッドが示されるが、勿論これ以上のオリフ
ィスを有する高密度マルチアレイ液体噴射ヘッドの場合
であっても同様であることは、言うまでもない。
【0045】先ず、本態様においては、例えば図1に示
されるような、ガラス、セラミックス、プラスチック或
いは金属等から成る基板1が用いられる。尚、図1は感
光性材料層形成前の基板の模式的斜視図である。
【0046】このような基板1は、液流路構成部材の一
部として機能し、また後述の感光性材料層の支持体とし
て機能し得るものであれば、その形状、材質等、特に限
定されることなく使用できる。上記基板1上には、電気
熱変換素子或いは圧電素子等の液体吐出エネルギー発生
素子2が所望の個数配置される(図1は2個の場合を例
示)。このような液体吐出エネルギー発生素子2によっ
て記録液小滴を吐出させるための吐出エネルギーがイン
ク液を与えられ、記録が行われる。因に、例えば、上記
液体吐出エネルギー発生素子2として電気熱変換素子が
用いられるときには、この素子が近傍の記録液を加熱す
ることにより、吐出エネルギーを発生する。また、例え
ば、圧電素子が用いられるときは、この素子の機械的振
動によって、吐出エネルギーが発生される。
【0047】尚、これらの素子2には、これら素子を動
作させるための制御信号入力用電極(図示せず)が接続
されている。また、一般にはこれら吐出エネルギー発生
素子の耐用性の向上を目的として、保護層等の各種機能
層が設けられるが、もちろん本発明においてもこのよう
な機能層を設けることは一向に差し支えない。
【0048】次いで、図2に示すように、基板上に感光
性樹脂層を形成する。本発明は該感光性樹脂として、ア
ルカリ溶解性樹脂とアジド化合物とを少なくとも含有し
てなるネガ型フォトレジストを使用することにより、前
記したように、レジストパターンの耐熱性を高め、更に
は後述する被覆樹脂層の硬化工程における窒素ガスの発
生に起因する問題を回避することを特徴としている。
【0049】前記したように、ネガ型レジスト材料は少
なくとも芳香環を有するアルカリ溶解性樹脂と芳香族ア
ジド化合物とを含有して形成される。該材料層の形成の
方法としては、該感光性材料を溶解した溶液をソルベン
トコート法によって塗布してもよいし、また該感光性材
料を塗布したドライフィルムを作製し、ラミネートによ
って基板上に形成してもよい。ソルベントコート法とし
ては、スピンコート法、バーコート法、ロールコート法
等を用いることが可能である。特に、液体噴射ヘッドの
製造においては、厚膜のパターニングが必要であり、該
レジスト被膜の形成においてはドライフィルムによるラ
ミネートが有効な場合がある。
【0050】一般的にはスピンコート法は、20〜30
μm程度の膜厚には有効な被膜形成手段であるが、30
μmを越える厚膜の形成には困難を来す。即ち、レジス
ト液の固形分濃度を高めて、粘度が高くなると、気泡を
抱き込んだり、また液の広がりが良好に行われなくな
る。また、ロールコード法やワイヤーバーによる塗布に
おいても、高粘度のレジスト液の塗布は、気泡の抱き込
みや、溶剤の蒸発により膜にピンホールが発生する弊害
を起こし易い。
【0051】ドライフィルムによるラミネートは、複数
回のラミネートによって、原理的には如何なる膜厚の感
光層の形成も可能である。このため、本発明による感光
性樹脂を使用した液体噴射ヘッドの製造においては、如
何なる厚膜の感光性樹脂層をも形成でき、インク流路高
さの高い液体噴射ヘッドが製造できる。
【0052】前記手段により形成された感光性材料層に
対して、図3に示すように液流路のパターン露光を行
う。本露光手段としては、フォトマスクを介しての一括
露光方式が有効である。露光波長としては、アジド化合
物の吸光波長にもよるが、水銀輝線のi,h,g−線が
好適である。一般的に市販されるアジド化合物の吸収ピ
ークは365nmのi−線付近に存在し、またその吸収
係数は高くブリーチングも起こり難い。このため、厚膜
でのパターニングに際しては、光がレジスト表面のみに
吸収されて、パターンがオーバーハング構造となってし
まう場合がある。このような弊害が生じた場合において
は、フィルターにてi−線の比率を低め、h−線やg−
線を主体として露光を行うことが望ましい場合も生じ
る。
【0053】レジスト露光においては、最も好適なパタ
ーン形状を得るためには、前記したように、レジスト膜
厚、アジド化合物の種類及び露光波長を最適化する必要
がある。
【0054】レジストの現像においては、一般的に市販
されるポジ型フォトレジスト用のアルカリ現像液を使用
することができる。アルカリ現像液は、最も好適なレジ
ストパターンが得られるように脱イオン水等にて希釈す
ることができる。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム等の水溶液を使用することができる。レジストの現
像は、ディップ現像の他、スプレーやパドル等のいずれ
の手段を用いても支障ない。
【0055】本発明によるネガ型フォトレジストを使用
した液体噴射ヘッドの製法においては、レジスト現像に
続いてポストリンスが必要となる場合がある。アジド化
合物は一般的にはアルカリ水溶液には溶解しないため、
現像後には基板上にアジドが残存してしまう。このた
め、アジドを溶解する溶剤にてパターンをリンスする必
要がある。溶剤としては、レジストパターンを溶解せず
にアジドのみ溶解するものが使用できる。一般的にはベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、トリク
ロルエタン、トリクロルエチレン、クロルベンゼン、ジ
クロルベンゼン等の塩素系溶剤が使用できる。
【0056】このように、液流路をパターニング露光し
たレジスト膜上の感光性材料層上に図4(a)〜
(c)、図4(d)〜(g)、図4(h)に示すように
被覆樹脂層を形成する。被覆樹脂層は、液体噴射ヘッド
のインク流路壁、共通インク液室及びインク供給孔を形
成する構造材料として使用される材料にて構成される。
このため、インク液に侵されない、インク液中に不純物
を溶出しない等の特性、基板との密着性、強度、耐熱性
等が要求される。また、該被覆樹脂層は、溶解可能なレ
ジストパターンにて形成されたインク流路パターンの細
部に亘って被覆する必要があると共に、インク供給孔、
共通インク液室等の成形加工も施される必要がある。
【0057】インク供給孔、共通インク液室等の成形加
工を施す手段として、具体例の一部を図4(a)〜
(c)、4(d)〜(g)、4(h)に示す。図4
(a)〜(c)に、液体状の光硬化性樹脂を被覆せしめ
た後、インク供給孔を形成した天板を貼り合せ、光照射
によって被覆樹脂層を硬化して共通インク液室、インク
供給孔等を形成する方法の一例を示す。図4(a)は液
体状光硬化性樹脂をレジストパターンを形成した基板上
に塗布する工程の模式図である。
【0058】液体状の光硬化性の被覆樹脂としては、レ
ジストパターンを溶解せずに被覆を行い得て光硬化が可
能であれば何れの樹脂も使用できる。一般的に使用され
るアクリル系不飽和二重結合を有するモノマー、オリゴ
マー等を含有する感光性樹脂は、レジストパターンを溶
解してしまうので適用できない場合が多い。最も好適な
樹脂としては、オニウム塩とエポキシ樹脂とを少なくと
も含有するエポキシ系光硬化性樹脂が挙げられる。ま
た、ジアリルフタレート樹脂やゴム系樹脂とビスアジド
との混合系から成る光硬化性樹脂も使用できる。被覆樹
脂の塗布法としては、ロールコート、ワイヤーバーによ
るコーティング、スピンコート、ディスペンサーによる
塗布等の、何れの方法をも用いることができる。
【0059】次いで、図4(b)に示すように、天板を
貼り合わせた後、共通のインク液室及びインク流路を形
成するための光照射を行う。天板は露光に使用する波長
の光が透過すれば、何れの材料も使用できる。例えば、
ガラス、アクリル、エポキシ、ポリエステル、ポリカー
ボネ−ト、ポリスルフォン等の樹脂を使用することが可
能である。またインクを天板側より供給する場合におい
ては、天板にインク供給孔を貫通せしめておく必要があ
る。天板の貼り合わせにおいては、気泡の入り込みを防
止するため、必要に応じて真空中に行うことができる。
【0060】光硬化性樹脂の露光は、紫外線及び遠紫外
線、X−線等何れの露光手段を使用しても支障ない。被
覆樹脂の光硬化に使用するマスクとしては、通常使用さ
れるクロムマスクを天板上に設置して光照射をすること
が可能である。更には、天板の裏面側にマスクとなる部
材を形成した後に天板を貼り合わせ、該マスクを用いて
露光を行えば、より解像性の高い液室パターンを形成で
きる。
【0061】次いで、図4(c)に示すように、光硬化
性被覆樹脂を現像することによってインク供給孔、イン
ク液室を形成する現像に際しては、被覆樹脂を溶解可能
な溶剤の何れをも使用できるが、インク流路を形成する
レジストパターンを溶解しない溶剤を使用して現像する
ことがより好適である。即ち、本発明による液体噴射ヘ
ッドの製造においては、天板、被覆樹脂層、レジストパ
ターン及び基板を一括して切断することによってインク
吐出孔を形成するが、該切断工程においては、インク吐
出孔にレジストが存在した方が、切断屑がインク流路に
侵入せず、液体噴射ヘッドの目詰まりを防止することが
可能である。このため、該被覆樹脂層の現像工程におい
ては、レジストパターンを残存せしめて現像することが
好ましい場合が多い。
【0062】ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
系溶剤、トリクロルエタン、トリクロエチレン、クロル
ベンゼン、ジクロルベンゼン等の塩素系溶剤等を使用す
ることにより、レジストパターンを侵蝕せずに被覆樹脂
層の現像が可能となり、切断工程時にはインク流路パタ
ーンが残存した状態にて切断を行うことができる。
【0063】もちろん、切断工程での上記した懸念を問
題にしない場合においては、被覆樹脂層とレジストの現
像を一括して行っても支障ない。このような場合におい
ては、アセトン、2−ブタノン、メチルエチルケトン等
のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸2エト
キシエチル等のエステル系溶剤、ジオキサン、テトラヒ
ドロフラン等のエーテル等何れの溶剤を使用しても支障
ない。
【0064】このように、インク液室を形成した後、必
要ならば被覆樹脂層のハードベーク等を行い、図5に示
すようにインク流路を切断することによってインク吐出
孔を形成する。
【0065】切断はダイシングソー等の機械的手段によ
り行っても支障ないし、またCO2レーザーやYAGレ
ーザー等の光加工によって行っても支障ない。光加工に
て行う場合は、天板材料の光吸収が必要であり、ガラス
に吸収剤を配合したものを天板として使用しても支障な
いし、また樹脂天板等を使用しても支障ない。
【0066】切断面が粗い場合、切断精度が悪い場合に
おいては、切断面を研磨する工程等を行うことは支障な
い。研磨は一般的に使用されるアルミナ等の研磨剤を使
用することができる。本発明による液体噴射ヘッドの製
造方法においては、インク流路部に感光性樹脂が存在し
た状態にて切断、研磨を行うことができるので、切断屑
や研磨剤がインク流路内に侵入することを防止すること
が可能であり、液体噴射ヘッドの製造歩留まりを飛躍的
に向上できる。
【0067】最後に図6に示すように、インク流路パタ
ーンを形成するネガ型感光性樹脂を溶出せしめた後、イ
ンク供給のための部材を配置したり、電気熱変換素子に
電気信号を付与する電気実装を行って液体噴射ヘッドの
が作成される。インク流路パターンを形成する感光性樹
脂の溶出は、レジストを溶解する溶剤であれば如何なる
溶剤を使用しても支障ない。例えば、エチルアルコール
やイソプロピルアルコール等のアルコール、アセトンや
2−ブタノン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢
酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、及び水酸化
ナトリウム等のアルカリ性水溶液を用いることができ
る。また、レジストの洗い出しにおいては、超音波等の
付与を行うことにより、より迅速に洗い出しが可能とな
る。また、電気実装としては、従来使用されるワイヤー
ボンディングやTAB等を使用することが可能である。
また必要に応じて、インク供給孔にはフィルターを配設
したり、液体噴射ヘッドに放熱板等を配設しても支障な
い。
【0068】図4(d)〜(g)に、被覆樹脂として感
光性樹脂を使用し、該感光性樹脂溶液をレジストパター
ンを形成した基板上にソルベントコート法にて塗布した
後、該感光性樹脂を光硬化せしめた後に天板を貼り合わ
せて被覆樹脂層を形成する手段の一例を示す。
【0069】本被覆樹脂層の形成方法においては、天板
と被覆樹脂層間に更なる接着部材が必要となるが、被覆
樹脂層の露光後の現像時に天板が存在しないので、感光
性樹脂から成る被覆樹脂層の現像を迅速に行い得ると共
に、現像時に発生する現像残渣やスカムを除去できる。
即ち、ゴミ詰まりの原因となり得るこれら微細なゲル分
を十分な洗浄やプラズマアッシング等を行って除去する
ことにより液体噴射ヘッド製造の歩留まりを高めること
が可能である。
【0070】被覆樹脂層を形成する感光性樹脂材料とし
ては、一般的に使用される分子構造中に不飽和二重結合
を有するモノマー、オリゴマー及びポリマーを含有する
感光性組成物、エポキシ系組成物等の何れも使用するこ
とができる。これら感光性組成物は常温においては固体
状であり、溶剤に溶解せしめるか、或いは熱溶融せしめ
てレジストパターンを被覆することが望ましい。溶剤に
溶解して塗布するソルベントコート法においては、溶剤
はレジストパターンを溶解しない溶剤を選択する必要が
ある。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族系溶剤、或いはトリクロルエタン、トリクロルエチレ
ン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の塩素系溶剤
が好適である。
【0071】図4(d)は、インク流路パターン上に被
覆樹脂層を形成する工程の模式図である。被覆樹脂は前
記したように、レジストパターンを溶解しない溶剤に溶
解せしめてソルベントコート法にて塗布する手段が好ま
しい。該工程においては被覆樹脂層の表面の平滑性即
ち、レベリング特性が重要である。インク流路パターン
の膜厚が厚い場合等に際しては、複数回に亘る塗布を行
ったほうがレベリング性は向上する。プリベークは塗布
溶剤が蒸発する温度であって、且つ、インク流路パター
ンを形成するレジストと被覆樹脂が溶融干渉しない温度
にて実施することが好ましい。もちろん、真空中にてベ
ーキングすることにより、より低い温度にて溶剤を除去
しても支障ない。
【0072】図4(e)は、被覆樹脂層にインク液室パ
ターンを露光する工程の模式図である。露光は被覆樹脂
表面にクロムマスクを設置して行う。コンタクト露光法
やプロキシミティ露光法或いは投影露光法の何れの手段
を使用しても支障ない。また露光波長としては、紫外
線、遠紫外線、X−線、電子線の何れを使用しても支障
ない。
【0073】図4(f)は、インク液室パターンの現像
を施す工程を示す模式図である。現像液としては、前記
したように、インク流路パターンを形成する感光性レジ
スト材料を溶解しない溶剤であり、且つ被覆樹脂層を溶
解できる溶剤であれば何れの溶剤を使用しても支障な
い。例えば、トルエンやキシレン等の芳香族系溶剤、ク
ロルベンゼンやジクロルベンゼン、ジクロルエタン、ト
リクロルエタン等の塩素系溶剤が好適である。現像には
ディップ現像やパドル、シャワー現像等の何れの現像方
法を使用しても支障ない。
【0074】被覆樹脂層を現像した後に、被覆樹脂層の
アッシングやキュアの工程を実施することは更に有効で
ある。アッシングとしては、通常の酸素プラズマアッシ
ングを行うことが好適である。またキュアは熱或いはU
Vキュアが好ましく、何れかのキュア或いは両者を併用
することの何れでも支障ない。本発明による液体噴射ヘ
ッドの製法においては、耐熱性の高いネガ型フォトレジ
ストをインク流路パターン形成材料として使用すること
が可能であり、該被覆樹脂層のキュア工程においても、
レジストの軟化やゲル化が起こらない等の利点を有して
いる。
【0075】次いで、図4(g)に示すように天板を貼
り合わせる。天板は、ガラス等のセラミックス、金属、
樹脂等何れの部材でも支障ない。該天板には接着剤層が
形成されており、感光性材料層との接着を行う。特に、
本発明では被覆樹脂層の膜厚を厚くすることにより、接
着部材がインク流路に流れ込み難くすることが可能であ
り、天板部材の平滑性も高精度な部材を必要としないた
め、コストの低減に寄与する。
【0076】また天板に、図4(g)に示すように、イ
ンク供給口とインク吐出圧力発生素子間のインク流路抵
抗を低減するために感光性樹脂等によりパターン形成を
行っておき、インク供給口とインク吐出圧力発生素子間
の天井の高さを高くしておいても支障ない。接着剤とし
ては、通常の熱硬化型接着剤でも支障ないし、また感光
性、感圧性接着剤であっても支障ない。
【0077】従来の液体噴射ヘッドの製造においては、
インク流路パターンを形成した後、天板の接合操作を行
っていたため、接着部材がインク流路にたれ込む等の問
題が生じる場合が多い。また、たれ込みを防止するため
に接着部材の塗布膜厚を薄くすると、天板が剥離してし
まうという問題が生じる。このため、特に長尺の液体噴
射ヘッドの製造、或いは微細なインク流路を必要とする
液体噴射ヘッドの製造においては、たれ込みと天板剥が
れの防止が大きな解決課題となっていた。
【0078】しかし本発明では、インク流路は切断工程
後に形成されるため、上記課題の解決に極めて有効とな
る。即ち、天板を接合するための接着部材を十分量塗布
し、高温且つ高圧にて貼り合わせるので、長尺の液体噴
射ヘッドの製造においても前記した問題は生じない。こ
のため、液体噴射ヘッドの製造歩留まりが極めて向上す
ると共に、製造された液体噴射ヘッドの信頼性も向上す
る等の利点を有している。
【0079】次いで図5に示すように、基板を切断す
る。切断はダイシングソー等の機械的手法によっても支
障ないし、またレーザー等の光加工によっても支障な
い。また切断後に切断面を研削、研磨し、インク吐出口
とインク吐出圧力発生素子間の距離精度を向上すること
ができる。本発明においては、インク流路部は未現像で
あるため、前記したように切断層、研磨剤等がインク流
路部に入り込むことがない。また、インク流路部となる
箇所には、感光性樹脂が存在しているので、切断時に基
板等にカケが生じる等の問題も起こることがなく、良好
な形状のインク吐出口が形成できる。
【0080】最後に図6に示すように、インク流路を形
成するレジストを溶出し、インク流路を形成する。現像
にはレジストを溶解するものであれば、如何なる溶剤を
も使用できる。
【0081】上説のように、本発明によれば従来の液体
噴射ヘッドの製造における問題を、感光性樹脂の現像工
程を切断工程後に移行せしめるのみの操作によって、極
めて安定的に液体噴射ヘッドの製造が可能となる。
【0082】図4(h)において、トランスファーモー
ルド法により、被覆樹脂層を形成する手段を例として本
発明を説明する。図4(h)は、インク流路パターンを
形成した基板に金型を押しあて、モールド樹脂を溶融導
入する工程の模式図である。該方法においては、120
〜160℃の温度にて溶融したモールド樹脂を金型のゲ
ートより導入し、インク流路パターンに沿って樹脂が充
填され硬化せしめた後に金型より基板を剥離することに
よってインク液室を形成するものである。本手段におい
ては、特にインク流路パターンを形成すレジストの軟化
温度が重要となる。レジストの軟化温度がモールド樹脂
の溶融温度より低い場合には、インク流路パターンが変
形するとがある。
【0083】前記したように従来のポジ型フォトレジス
トにおいては、レジストの軟化温度は100℃程度であ
り、インク流路パターンの変形を招かずにモールド工程
を行うことは極めて困難であった。しかし、本発明にお
いては、インク流路パターンを形成する感光性樹脂の軟
化温度を160℃程度とすることも可能であり、モール
ド工程の飛躍的な安定化を実現できる。
【0084】モールド樹脂としては、汎用的に使用され
ルエポキシ系半導体モールド樹脂、ジアリルフタレート
系モールド樹脂等を使用することができる。モールド樹
脂には一般的に使用されるように、離型剤、フィラー、
シランカップリング剤及びカーボンブラック等を添加し
ても支障ない。被覆樹脂は、射出成形機により成形温度
にて1〜2分間程度熱硬化せしめられた後、金型より取
り出されて更に120℃程度の温度にて熱硬化する。従
来のポジ型フォトレジストを使用した場合においては、
該熱硬化中に未反応のナフトキノンジアジドが熱分解し
て窒素ガスを放出する。このため、インク流路パターン
上に窒素ガスが充満してモールド樹脂の基板との接着性
を低下してしまうという問題を生じる場合がある。本発
明における液体噴射ヘッドの製造方法においては、該窒
素ガスの放出が極めて少ないのでこのような問題が発生
することはない。
【0085】被覆樹脂層を形成し、硬化した後に前記し
たと同様にして図5及び6に示すように、基板の切断及
びレジストの溶出を行うことによって液体噴射ヘッドが
作製される。
【0086】以上の手段にて作製した液体噴射ヘッド
は、インク吐出圧力発生素子を駆動するための電気実装
及びインクを供給する部材を装着して液体噴射記録装置
に装着される。図7は電気実装及びインク供給部材を装
着した液体噴射ヘッドの概略図である。電気実装におい
ては、ワイヤーボンディングやTAB等何れの手段を用
いても支障ない。また必要に応じて、インク供給部材中
にフィルターを設けたり、或いは液体噴射ヘッドに放熱
板を設置しても支障ない。
【0087】本発明は、特に液体噴射記録(インクジェ
ット記録)方式の中でもバブルジェット方式のヘッド、
記録装置において、優れた効果をもたらすものである。
その代表的な構成や原理については、例えば、米国特許
第4723129号、同第4740796号に開示され
ている、基本的な原理を用いて行うものが好ましい。こ
の方式はいわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型
の何れにも適用可能であるが、特にオンデマンド型の場
合には、液体噴射ヘッド(インク)が保持されているシ
ートや液路に対応して配置された電気熱変換素子に、記
録情報に対応した少なくとも一つの駆動信号を印加する
ことによって、電気熱変換体に核沸騰を越える急激な温
度上昇を与える熱エネルギーを発生せしめ、ヘッドの熱
作用面に核沸騰を起こさせ、結果的にこの駆動信号に一
対一で対応した気泡を液体(インク)内に形成できるの
で甚だ有効である。この気泡の成長、収縮により吐出孔
を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つ
の液滴を形成する。
【0088】この駆動信号をパルス形状とすると、即時
適切に気泡の成長・収縮が行われるので、特に応答性に
優れた液滴(インク)の吐出が達成され、より好まし
い。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4
463359号、同第4345262号に記載されてい
るようなものが適している。尚、上記熱作用面の温度上
昇率に関する発明として米国特許第4313124号に
記載されている条件を採用すると、更に優れた記録を行
うことができる。
【0089】噴射ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出孔、液流路、電気熱変換
体素子の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角状液流
路)の他に、熱作用部が屈曲する領域に配置される構成
を開示する米国特許第4558333号、及び同第44
59600号に基ずく構成も本発明に含まれるものであ
る。加えて、複数の電気熱変換体素子に対して、共通す
るスリットを電気熱変換体素子の吐出部とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出孔に対応させる構成を
開示する特開昭59年138461号公報に基づいた構
成においても本発明は有効である。
【0090】更に、記録紙の全幅に亘り同時に記録がで
きるフルラインタイプのヘッドとしては、上記の明細書
に開示されているような複数ヘッドの組み合わせによっ
て、その長さを満たす構成や、一体的に形成された一個
のヘッドとしての構成の何れでもよいが、本発明は、上
記の効果を一層有効に発揮することができる。
【0091】加えて、装置本体に装着されることによ
り、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインク
の供給が可能になる交換自在のチップタイプのヘッド、
或いはヘッド自体に一体的に設けられたカートリッジタ
イプのヘッドにおいても本発明は有効である。また、記
録装置にヘッドに対する回復手段や予備的な補助手段等
を付加することは、本発明により得られるヘッドの効果
を一層安定にできるので、好ましいものである。これら
を具体的に列挙すれば、ヘッドに対しての、キャッピン
グ手段、クリーニング手段、加圧或いは吸引手段、電気
熱変換体素子或いはこれとは別異の加熱素子、或いはこ
れらの組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別個の
吐出を行う予備吐出モードを行う手段等をを付加するこ
とも安定した記録を行うために有効である。
【0092】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみを記録するモードのみならず、ヘッドを
一体的に構成したもの、或いは複数個を組み合わせて構
成したものの何れでもよいが、異なる色の複色カラー又
は混色によるフルカラーの、少なくとも一つを備えた装
置のヘッドにも本発明は極めて有効である。
【0093】また、本発明により得られるヘッドは、イ
ンクが液体でなくとも、室温やそれ以下で固化するイン
クであって、室温で軟化もしくは液体となるもの、或い
は、インクジェットにおいて一般的に行われている温度
調整範囲である30℃以上70℃以下で軟化もしくは液
体となるものにも適用できる。即ち、記録信号付与時に
インクが液状をなすものであればよい。加えて、積極的
に熱エネルギーによる昇温を、インクの固体状態から液
体状態への状態変換のエネルギーとして吸収せしめるこ
とにより防止するか、又は、インクの蒸発防止を目的と
して放置状態で固化するインクを用いるかして、何れに
しても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってイ
ンクが液化してインク状態として吐出するものや記録媒
体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のよう
な、熱エネルギーによって初めて液化する性質のインク
使用も本発明に係わるヘッドには適用可能である。
【0094】このような場合インクは、特開昭54−5
66847号或いは同60−71260号各公報に記載
されるような、多孔質シート凹部又は貫通孔に液状又は
固形物として保持された状態で、電気熱変換体素子に対
して対向するような形態としてもよい。本発明において
は、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述
した膜沸騰方式を実行するものである。
【0095】図8は本発明により得られた液体噴射ヘッ
ドをインクジェットカートリッジ(IJC)として装着
したインクジェット記録装置(IJRA)の一例を示す
外観斜視図である。
【0096】図において、20はプラテン24上に送紙
されてきた記録紙の記録面に対向してインク吐出を行う
ノズル群を備えたインクジェットカートリッジ(IJ
C)である。16はIJC20を保持するキャリッジH
Cであり、駆動モータ17の駆動力を伝達する駆動ベル
ト18の一部と連結し、互いに平行に配設された2本の
ガイドシャフト19A及び19Bと摺動可能とすること
によりIJC20の記録紙の全幅に亘る往復移動が可能
となる。
【0097】26はヘッド回復装置であり、IJC20
の移動経路の一端、例えばホームポジションと対向する
位置に配設される。伝動機構23を介したモーター22
の駆動力によって、ヘッド回復装置26を動作せしめ、
IJC20のキャッピングを行う。このヘッド回復装置
26のキャップ部26AによるIJC20へキャッピン
グに関連させて、ヘッド回復装置26内に設けた適宜の
吸引手段によるインクの吸引もしくはIJC20へのイ
ンク供給経路に設けた適宜の加圧手段によるインク圧送
を行い、インクを吐出孔より強制的に排出させることに
よりノズル内の増粘インクを除去する等の吐出回復処理
を行う。また、記録終了時等キャッピングを施すことに
よりIJC20が保護される。
【0098】30はヘッド回復装置26の側面に配設さ
れ、シリコンゴムで形成されるワイピング部材としての
ブレードである。ブレード30はブレード保持部材30
Aにカンチレバー形態で保持され、ヘッド回復装置26
と同様、モーター22及び伝動機構23によって動作
し、IJC20の吐出面との係合が可能となる。これに
より、IJC20の記録動作における適切なタイミング
で、或いはヘッド回復装置26を用いた吐出回復処理後
に、ブレード30をIJC20の移動経路中に突出さ
せ、IJC20の移動動作に伴ってIJC20の吐出面
における結露、濡れ或いは塵等を拭き取るものである。
【0099】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細
に説明するが、本発明がこれらによって何ら限定される
ものではない。尚、各成分の配合を示す部数は、特記さ
れるもの以外は全て重量基準を表す。
【0100】実施例1 図1〜6に示す操作手順に準じて、図6の構成の液体噴
射ヘッドを作製した。本実施例は図4(a)〜4(c)
に記載した手段によりインク液室の形成を行った。
【0101】先ず、液体吐出エネルギー発生素子として
の電気熱変換素子(材質HfB2 から成るヒーター)を
形成したシリコン基板上に、ネガ型レジスト層を形成し
た。ネガ型レジストはポリ−P−ヒドロキシスチレン
(丸善石油化学工業社:マルカリンカ−S−2P:Mw
=5000)90部、ポリメチルビニルエーテル(BA
SF社:ルトナール−M)5部、4−アジドカルコン
(シンコー技研社:A−011)5部をシクロヘキサノ
ンに40wt%の濃度に溶解し、0.2μmのフィルタ
ーにて濾過したものを使用した。レジストはスピンコー
ト法にて基板上に塗布し、90℃にて10分間ベーキン
グを行った。該レジスト被膜の膜厚は20μmであっ
た。
【0102】次いで、キャノン製マスクアライナーPL
A−501にてインク流路の露光を行った。露光はコン
タクト法にて行い、SD50(i−線を50%カットす
るフィルター)を装着し120秒間行った。現像は、ヘ
キスト社アルカリ現像液AZ−312−MIFを脱イオ
ン水にて5倍に希釈した現像液を使用し、ディッピング
にて行った。脱イオン水にてリンスを行った後、スピン
ドライヤーにて乾燥し、キシレンにてポストリンスを行
った。エアーブローにてキシレンを除去した後、90℃
にて30分間乾燥を行った。
【0103】次いで被覆樹脂層を塗布した。被覆樹脂
は、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ工業社:エピコ
ート827)93部、シランカップリング剤(東芝シリ
コーン社:A−187)5部、カチオン重合開始剤とし
てジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネー
ト2部を配合したものを使用した。該被覆樹脂は常温に
て液体であり、そのままワイヤーバーにて塗布した。基
板の端に厚さ100μmのポリエチレンレテレフタレー
トフィルム片を設置し、被覆樹脂層の厚さを一定とする
スペーサーとした。
【0104】基板を真空チャンバーに入れ、1時間真空
に引くことにより、被覆樹脂中に含有される気泡を排除
した。基板を真空チャンバーより取り出した後、インク
供給孔を形成した厚さ1mmのパイレックスガラスを貼
り合わせた。次いで、ガラス板上にインク液室露光用ク
ロムマスクを固定し、キャノン製マスクアライナーPL
A−501にて液室露光を行った。露光は20分間行
い、次いで45℃にて30分間ベーキングを行い、反応
を促進せしめた。
【0105】次いで、トリクロルエタンにて被覆樹脂の
現像を行った。該現像は、ガラス板に形成したインク供
給孔より現像液を供給することによって未硬化の被覆樹
脂を溶出せしめることによって現像がなされる。現像を
促進するために超音波を付与せしめ、10分間現像を行
い、再度トリクロルエタンにてリンスを行った。
【0106】被覆樹脂の硬化を促進するため、130℃
にて10分間ベーキングを行った後に基板を切断した。
切断は東京精密(株)製マイクロフォーミングマシーン
U−FM−20を使用し、#2000のメタルブレード
にて行った。スピンドルの回転数は15000rpm、
切断速度は0.5mm/sec.である。
【0107】最後に、ジクロルエタンとエチルアルコー
ルを1:4部に配合した溶剤にてレジストを溶出した。
溶出は超音波を付与しながら5分間行った後、再度同じ
溶剤にてリンスを行った。最後に130℃にて30分間
ベ−キングを行って被覆樹脂の硬化を完全なものとし
た。
【0108】このようにして作製した液体噴射ヘッド
に、ワイヤーボンディングにて電気的接続を施し、また
インク供給部材を装着した。図7に示す形態の液体噴射
ヘッドを作製した。次いで、図8に示すような基本機構
を有する記録装置にヘッドを装着し、純水/グリセリン
/ダイレクトブラック154(水溶性黒色染料)=65
/30/5から成るインクを用いて記録を行ったとこ
ろ、安定した印字が可能であった。
【0109】実施例2 下記手段によってネガ型レジストを作製した。
【0110】メタクレゾールノボラック(住友ベークラ
イト社)100部を、1000部の2−プロパノールに
溶解し、2500部のシクロヘキサンを添加した。その
まま60℃にて30分間温めた後20℃にて12時間静
置した。その後、上澄み液を採取し、1000部のシク
ロヘキサンを添加して、再度60℃にて30分間加熱し
12時間静置した。次いで、沈殿した成分を採取し、1
00部の1,4−ジオキサンに溶解して真空凍結乾燥を
行った。以上の操作によって、ノボラック樹脂の低分子
量成分、高分子量成分を排除した。
【0111】採取した樹脂95部、4−アジドカルコン
5部を40wt%の濃度にてシクロヘキサノンに溶解
し、0.22μmにてフィルタリングしてレジスト液を
作製した。
【0112】該レジストを実施例1と同様にして電気熱
変換素子を形成した基板上にスピンコート法にて塗布
し、インク流路パターンの形成を行った。露光はPLA
−501にて60カウント行い、現像はAZ−302−
MIFアルカリ現像液を脱イオン水にて2倍に希釈した
ものを使用した。次いで脱イオン水にてリンスを行い、
エアーブローにて水を飛散せしめた後、キシレンに60
秒間浸漬してポストリンスを行った。
【0113】次いで、実施例1と同様にして被覆樹脂層
を塗布形成した後、天板を接合し、光照射によってイン
ク液室パターン露光を行った。トリクロルエタンにて現
像して液室を形成した。被覆樹脂を熱キュアした後、実
施例1と同様にダイシングソーにて切断を行った。次い
でジクロルエタンとエタノールを1:2に配合した溶剤
にて、超音波を付与しながらレジストを溶出した。最後
に実施例1と同様にしてインク供給部材の配設、電気実
装を行い、インクを充填して記録を行ったところ良好な
印字が可能であった。
【0114】実施例3 ネガ型感光性材料として、ポリ−P−ヒドロキシスチレ
ン(マルカリンカー:S−4P:Mw=10000)を
95部、4,4−ジアジドカルコンを5部、シクロヘキ
サノンに40wt%の濃度にて溶解せしめ、実施例1と
同様にインク流路パターンを形成した。該パターンの膜
厚は20μmであった。実施例1と同様にして液体噴射
ヘッドを作製して印字を行ったところ良好な印字が可能
であった。
【0115】実施例4 ネガ型感光性材料として、P−ヒドロキシスチレンとメ
タクリル酸メチルとの1:1共重合体(マルカリンカ
ー:CMM)を95部、4−ジアジドカルコンを5部、
シクロヘキサノンに40wt%の濃度にて溶解し、実施
例1と同様にインク流路パターンを形成した。該レジス
ト被膜の膜厚は30μmであった。実施例1と同様にし
て液体噴射ヘッドを作製して印字を行ったところ良好な
印字が可能であった。
【0116】実施例5 ネガ型感光性材料として、P−ヒドロキシスチレンとア
クリル酸ブチルとの1:1共重合体(マルカリンカー:
CBA)を95部、4−ジアジドカルコンを5部、シク
ロヘキサノンに40wt%の濃度にて溶解し、ワイヤー
バーにて膜厚25μmのアラミドフィルムに塗布してド
ライフィルム化した。80℃にて20分間乾燥し、該ド
ライフィルムを転写温度100℃、転写圧力1kg/c
2 の条件にて基板に転写した。実施例1と同様にイン
ク流路パターンを形成した。該レジスト被膜の膜厚は2
0μmであった。実施例1と同様にして液体噴射ヘッド
を作製して印字を行ったところ良好な印字が可能であっ
た。
【0117】実施例6 ネガ型感光性材料として、ポリ−P−ヒドロキシスチレ
ンを85部、4−アジドカルコン5部、バインダーとし
てポリビニルメチルエーテル(BASF社:ルトナール
−M)10部をシクロヘキサノンに溶解し、膜厚5μm
のPETフィルムにワイヤーバーにて塗布した。80℃
にて20分間乾燥を行い、実施例5と同様にして基板上
に転写した。該レジスト被膜の膜厚は20μmであっ
た。実施例1と同様にして該レジストをパターニング
し、液体噴射ヘッドを作製したが、本液体噴射ヘッドに
おいても良好な印字が可能であった。
【0118】実施例7 実施例1に使用したネガ型感光性材料を使用し、実施例
1と同様にして基板上にインク流路パターンを形成し
た。次いで、東京応化工業(株)社製ネガ型感光性樹脂
OP−1レジストを溶剤置換し、40wt%のクロルベ
ンゼン溶液とした感光性材料をスピンコート法にて該レ
ジストパターン上に塗布し、80℃にて20分間乾燥し
た。更にレベリング性を向上するために、再度同じ感光
液をワイヤーバーにて塗布し、80℃にて20分間乾燥
した。該被覆樹脂層の膜厚は60μmであった。基板を
キャノン製マスクアライナーPLA−501に装着し、
ソフトコンタクト法にてインク液室のパターン露光を行
った。本被覆樹脂はラジカル重合を利用したネガ型感光
材料であり、酸素の反応阻害を受けるため、本露光のソ
フトコンタクト法にて行った。該マスクアライナーにお
けるソフトコンタクト法とは、基板とマスクを真空にて
密着せしめ、基板裏面より窒素ガスを吹き付ける構成に
て露光される。このため、該ネガ型感光性材料は酸素の
反応阻害を受けることなくパターン形成が行われる。
【0119】次いで、クロルベンゼンを現像液として、
ディッピング法にて被覆樹脂層を現像しインク液室パタ
ーンを形成した。オーク社(株)製UVキュア炉にて1
0J/cm2 の光照射を施して被覆樹脂層をキュアし
た。
【0120】一方、実施例1で使用したインク供給孔を
形成した天板ガラスにロールコーターにて感光性接着剤
を塗布した。感光性接着剤としては東京応化工業(株)
製OP−1レジストSX−500を使用した。80℃に
て20分間乾燥した後、膜厚を測定したところ5μmで
あった。次いで天板のインク供給孔と基板に形成したイ
ンク液室とを位置合わせし、両者の接合を行った。接合
プレス機を改良したものを使用し、接合温度100℃に
て4kg/cm2 の圧力を3分間付与して行った。次い
で、前記UVキュア炉にて10J/cm2 のUV照射を
行い、最後に150℃にて4時間熱硬化をせしめた。
【0121】実施例1と同様にしてインク流路を切断し
て、実施例1と同様にしてインク流路パターンを形成す
るレジストを溶出することによりインク吐出孔を形成し
た。実施例1と同様にして電気実装等を施して印字を行
ったところ、良好な印字が可能であった。
【0122】実施例8 ポリ−P−ヒドロキシスチレン(マルカリンカ、S−4
P:Mw=10000)95部、4−アジドカルコン5
部を40wt%の濃度にてシクロヘキサノンに溶解して
感光性レジスト液を調製した。該レジストを実施例1と
同様に電気熱変換素子を形成した基板上にスピンコート
法にて塗布し、120℃にて10分間プリベークを行っ
た。次いでインク流路パターンの露光を行い、アルカリ
現像液AZ−312−MIF(ヘキスト社)を脱イオン
水にて4倍に希釈した現像液にて現像を行った。脱イオ
ン水にてリンスを行った後、キシレンにてポストリンス
を行い、90℃にて10分間乾燥した。該基板を藤和精
機(株)製モールドプレス機(TEP−120−70)
に装着しモールド樹脂として信越化学工業(株)製KM
D−140を使用して、成形温度160℃、トランスフ
ァー圧力4tonにてモールド成形を行った。成形後1
60℃にて2分間保持し、金型より外して更に140℃
にて6時間のポストキュアを行った。
【0123】次いで実施例1と同様にしてインク流路を
切断し、エチルアルコールにて超音波を付与しながらネ
ガ型感光性レジストを溶出せしめた。実施例1と同様に
してインク供給手段の配設と電気実装を行った後、印字
を行ったところ良好な印字が可能であった。
【0124】
【発明の効果】上記のように、本発明により下記に列挙
するような顕著な効果が奏される。 (1)ヘッド製作のための主要工程が、フォトレジスト
や感光性ドライフィルム等を用いたリソグラフィー技術
によるため、ヘッドの細密部を、所望のパターンで、し
かも極めて容易に形成することができるのみならず、同
構成の多数のヘッドを同時に加工することもまた容易で
ある。 (2)ネガ型レジストにてインク流路パターンを形成す
るので、ポジ型レジストを使用する場合に生じる窒素ガ
スの発生に起因するインク流路の変型や被覆樹脂層の剥
離が防止される。 (3)インク流路パターンからの窒素ガスの発生が殆ど
ないので、工程が簡素化される。 (4)耐熱性に優れ、ゲル化し難く、被覆樹脂層の形成
に高い温度を付与することが可能となり、工程の迅速化
が図られる。 (5)被膜性に優れる構成とすることも可能であり、ド
ライフム化しても安定した転写特性が実現する。このた
め、簡便に厚膜のレジスト被膜が基板上に作製できる。 (6)切断屑、研磨剤等のがインク流路に入り込むこと
がなく、良好な印字を可能とする液体噴射ヘッドが製造
できる。 (7)インク流路となる箇所にレジストを充填したまま
で切断を行うので、基板等に切断の際にカケが生じな
い。 (8)高密度マルチアレイ液体噴射ヘッドが簡単な手段
によって得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気熱変換素子を形成した基板の模式的斜視
図。
【図2】ネガ型感光性レジスト層を形成した基板の模式
図。
【図3】レジスト層にパターン露光を施してインク流路
パターンを形成した基板の模式図。
【図4】液状又は固体状被覆樹脂を用いて被覆樹脂層及
びインク液室パターンを形成する工程を示す工程図。
(尚、4(a)は被覆樹脂層を塗布する工程、4(b)
はインク液室パターンをパターン露光する工程、4
(c)は現像工程、4(d)は固体状被覆樹脂を被覆す
る工程、4(e)はインク液室のパターン露光を施す工
程、4(f)は現像工程、4(g)は接着剤を塗布した
天板を貼り合わせる工程、4(h)はトランスファーモ
ールド法にて被覆樹脂層を被覆しインク液室パターンを
形成する工程をそれぞれ示す。)
【図5】切断工程の模式図。
【図6】溶解可能なインク流路パターンを形成するレジ
ストを溶出する工程を示す模式図。
【図7】インク供給手段及び電気実装を施した液体噴射
くヘッドの構成の一例。
【図8】本発明による液体噴射ヘッドを装着し記録を行
う記録装置の斜視図。
【符号の説明】
1 基板 2 ヒーター 3 感光性樹脂層 4 インク流路パターン 5 被覆樹脂 6 天板ガラス 7 インク供給孔 8 マスク 9 クロムパターン 10 接着層 11 モールド樹脂 12 切断面 13 インク流路 14 インク吐出孔 15 インク液室 16 キャリッジ 17 駆動モーター 18 駆動ベルト 19A,19B ガイドシャフト 20 インクジェットヘッド 22 クリーニングモーター 23 伝動機構 24 プラテン 26 キャップ部材 30 ブレード 30A ブレード保持部材

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク吐出圧力発生素子が形成された基
    板上に、(1)溶出可能な樹脂にてインク流路となる箇
    所にインク流路パターンを形成する工程、(2)該流路
    パターンを被覆する樹脂層を塗布して硬化せしめる工
    程、(3)インク流路となる箇所を切断する工程、
    (4)溶出可能な樹脂を溶出せしめる工程、の各工程を
    含む方法により作製される液体噴射ヘッドにおいて、前
    記溶出可能な樹脂が、芳香環を有するアルカリ溶解性樹
    脂及びアジド化合物を少なくとも含有するネガ型感光性
    材料であることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記ネガ型感光性材料が、アルカリ溶解
    性樹脂としてポリ−P−ヒドロキシスチレン、或いはP
    −ヒドロキシスチレンと(メタ)アクリル酸エステルと
    の共重合体及びアジド化合物を含有することを特徴とす
    る、請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記ネガ型感光性材料が、ポリ−P−ヒ
    ドロキシスチレン或いはP−ヒドロキシスチレンと(メ
    タ)アクリル酸エステルとの共重合体とアジド化合物及
    び重量平均分子量20000以上のアルカリ或いは水溶
    解性高分子化合物とを含有することを特徴とする、請求
    項1又は2記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ或いは水溶解性高分子化合
    物が、ポリビニルメチルエーテルであることを特徴とす
    る、請求項1乃至3の何れかに記載の液体噴射ヘッドの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 前記インク吐出圧力発生素子が、熱エネ
    ルギーを発生する電気熱変換体であることを特徴とす
    る、請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記液流路に記録媒体の被記録面に対向
    して記録液小滴を吐出する吐出口が設けられ、該吐出口
    が記録媒体の記録領域の全幅に亘り複数個設けられて成
    るフルラインタイプのものであることを特徴とする、請
    求項1記載の液体噴射ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記液流路に設けられた吐出口が、多色
    用の吐出口を一体成形して成るものであることを特徴と
    する、請求項1記載の液体噴射ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記液流路に、記録媒体の被記録面に対
    向して記録液小滴を吐出する吐出口が設けられて成る請
    求項1記載の液体噴射ヘッドと、該ヘッドを載置するた
    めの部材とを少なくとも具備することを特徴とする液体
    噴射装置。
  9. 【請求項9】 インク吐出圧力発生素子が形成された基
    板上に、(1)溶出可能な樹脂にてインク流路となる箇
    所にインク流路パターンを形成する工程、(2)該流路
    パターンを被覆する樹脂層を塗布して硬化せしめる工
    程、(3)インク流路となる箇所を切断する工程、
    (4)溶出可能な樹脂を溶出せしめる工程、の各工程を
    含む方法により作製する液体噴射ヘッドの製造方法にお
    いて、前記溶出可能な樹脂が、芳香環を有するアルカリ
    溶解性樹脂及びアジド化合物を少なくとも含有するネガ
    型感光性材料であることを特徴とする液体噴射ヘッドの
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記ネガ型感光性材料が、アルカリ溶
    解性樹脂としてポリ−P−ヒドロキシスチレン、或いは
    P−ヒドロキシスチレンと(メタ)アクリル酸エステル
    との共重合体及びアジド化合物を含有することを特徴と
    する、請求項9記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記ネガ型感光性材料が、ポリ−P−
    ヒドロキシスチレン或いはP−ヒドロキシスチレンと
    (メタ)アクリル酸エステルとの共重合体とアジド化合
    物及び重量平均分子量20000以上のアルカリ或いは
    水溶解性高分子化合物とを含有することを特徴とする、
    請求項9又は10記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記アルカリ或いは水溶解性高分子化
    合物が、ポリビニルメチルエーテルであることを特徴と
    する、請求項9乃至11の何れかに記載の液体噴射ヘッ
    ドの製造方法。
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