JPH05338181A - 液体噴射記録ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体噴射記録ヘッドの製造方法

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JPH05338181A
JPH05338181A JP14559092A JP14559092A JPH05338181A JP H05338181 A JPH05338181 A JP H05338181A JP 14559092 A JP14559092 A JP 14559092A JP 14559092 A JP14559092 A JP 14559092A JP H05338181 A JPH05338181 A JP H05338181A
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JP
Japan
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photosensitive resin
recording head
resist
ink
jet recording
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JP14559092A
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English (en)
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Masashi Miyagawa
昌士 宮川
Genji Inada
源次 稲田
Norio Okuma
典夫 大熊
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 液流路を精度よく正確に、かつ歩留り良く微
細加工することのできる液体噴射記録ヘッドの製造方法
を提供する。 【構成】 液体噴射記録ヘッドの製造方法は、記録液滴
を吐出する吐出エネルギー発生素子が形成された基板上
に、感光性樹脂層を形成し、感光性樹脂層のインク路の
パターン露光を行う工程と、感光性樹脂層上に天板を積
層する工程と、感光性樹脂層のパターン露光された部分
を溶出する工程とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液体噴射記録ヘッドの製
造方法に関し、より詳細には、インクジェット記録方式
に用いられ、記録液滴を発生させるための液体噴射記録
ヘッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式(液体噴射記録
方式)に適用される液体噴射記録ヘッドは、一般に微細
な記録液吐出口、液流路およびこの液流路の一部に設け
られる記録液を吐出するためのエネルギーを供給する吐
出エネルギー発生素子とを備えている。従来、このよう
な液体噴射記録ヘッドを作製する方法として、例えば、
ガラスや金属等の板を用い、この板に切削やエッチング
等の加工手段によって微細な溝を形成した後、この溝を
形成した板を他の適当な板と接合して液流路の形成を行
う方法が知られている。
【0003】しかしながら、かかる従来の方法によって
作製される液体噴射記録ヘッドでは、切削加工される液
流路内壁面の荒れが大き過ぎたり、エッチング率の差か
ら液流路に歪が生じたりして、流路抵抗の一定した液流
路が得難く、製作後の液体噴射記録ヘッドの記録特性に
バラツキが出き易いといった問題があった。また、切削
加工の際に、基板の欠けや割れが生じ易く、製造歩留り
が悪いという問題点もあった。また、エッチング加工を
行う場合には、製造工程が多く、製造コストの上昇を招
くという不利もあった。さらに、上記の従来の方法に共
通する問題点として、液流路を形成した溝付き天板と、
記録液小滴を吐出させるための吐出エネルギーを発生す
る圧電素子あるいは電気熱変換素子等の駆動素子が設け
られた蓋板とを貼り合わせる際に、天板と蓋板との位置
合わせが困難であり、量産性に欠けるといった問題もあ
った。
【0004】また、液体噴射記録ヘッドは、通常、その
使用環境下にあっては、記録液(一般には、水を主体と
し多くの場合中性ではないインク液、あるいは有機溶剤
を主体とするインク液等)と常時接触している。それ
故、液体噴射記録ヘッドを構成するヘッドの材料は、記
録液からの影響を受けて強度の低下を起こすことがな
く、また逆に記録液中に、記録液適性を低下させるよう
な有害成分を与えることのないものが望まれるが、上記
の従来の方法においては、加工方法等の制約もあって、
必ずしもこれら目的にかなった材料を選択することがで
きなかった。
【0005】これらの問題を解決するため、特開昭57
−208255号公報および特開昭57−208256
号公報に記載される感光性樹脂材料を使用して吐出エネ
ルギー発生素子が形成された基板上にインク流路および
オリフィス部からなるノズルをパターン形成して、この
上にガラス板等の蓋板を接合する方法が考えられた。
【0006】しかしながら、この方法においては以下に
記載する問題点を有している。
【0007】 天板を接着するための接着剤がインク
流路にたれ込んで、流路形状を変形する。
【0008】 インク吐出口を形成するために基板を
切断する際に、インク流路に切断屑が入り込み、インク
の吐出を不安定にする。
【0009】 インク流路が形成された空洞部を有す
る基板を切断するため、切断によって形成されるインク
吐出口の一部に欠けが生じる。
【0010】これらの問題によって、液体噴射記録ヘッ
ドの製造の歩留りは低下すると共に、さらに微細なイン
ク流路構造、長尺にて多数のインク吐出口を有する液体
噴射記録ヘッドの製造を困難なものとしている。
【0011】これらの問題を回避する方法として、特開
昭61−154947号公報に記載される発明が挙げら
れる。この発明は、溶解可能な樹脂にてインク流路部を
形成し、インク流路パターンを樹脂等にて被覆して基板
を切断後に溶解可能な樹脂パターンを溶出除去するもの
である。本方法においては、溶解可能な樹脂にてインク
流路パターンを形成する工程と、このパターンを被覆す
る樹脂層を形成し、硬化する工程とを必要とするため、
液体噴射記録ヘッド製造のコストが上昇する等の問題を
有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
に鑑みてなされたものであって、廉価,精密であり、ま
た信頼性も高く高解像度であって、ノズルが高密度にて
実装された液体噴射記録ヘッドの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】また、本発明は液流路が精度良く正確に、
かつ歩留り良く微細加工された液体噴射記録ヘッドを供
給することが可能な新規な液体噴射記録ヘッドの製造方
法を提供することも目的とする。
【0014】さらにまた、本発明は記録液との相互影響
が少なく、機械的強度や耐薬品性に優れた液体噴射記録
ヘッドを供給し得る新規な液体噴射記録ヘッドの製造方
法を提供することも目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、記録
液滴を吐出する吐出エネルギー発生素子が形成された基
板上に、1)感光性樹脂層を形成し、該感光性樹脂層の
インク路のパターン露光を行う工程と、2)前記感光性
樹脂層上に天板を積層する工程と、3)前記感光性樹脂
層のパターン露光された部分を溶出する工程とを含むこ
とを特徴とする。
【0016】以下、図面を参照しつつ本発明の概要を説
明する。
【0017】図1から図6は、本発明の基本的な態様を
示すための模式図であり、図1から図6のそれぞれに
は、本発明の方法に係わる液体噴射記録ヘッドの構成と
その製作手順の一例が示されている。
【0018】なお、図1ないし図3においては、2つの
オリフィスを有する液体噴射記録ヘッドが示されている
が、勿論これ以上のオリフィスを有する高密度マルチア
レイ液体噴射記録ヘッドの場合でも同様であることは、
言うまでもない。
【0019】まず、本態様においては、例えば図1に示
されるような、ガラス,セラミックス,プラスチックあ
るいは金属等からなる基板1が用いられる。なお、図1
は感光性材料層形成前の基板の模式的斜視図である。
【0020】このような基板1は、液流路構成部材の一
部として機能し、また後述する感光性樹脂層の支持体と
して機能し得るものであれば、その形状,材質等は特に
限定されることなく使用することができる。基板1上に
は、電気熱変換素子あるいは圧電素子等の吐出エネルギ
ー発生素子2が所望の個数配置される(図1では2個を
例示した)。このような吐出エネルギー発生素子2によ
って記録液小滴を吐出させるための吐出エネルギーがイ
ンク液に与えられ、記録が行われる。ちなみに、例え
ば、吐出エネルギー発生素子2として電気熱変換素子が
用いられるときには、この素子が近傍の記録液を加熱す
ることにより、吐出エネルギーを発生する。また、例え
ば、圧電素子が用いられるときは、この素子の機械的振
動によって、吐出エネルギーが発生される。
【0021】なお、これらの素子には、これらの素子を
動作させるための制御信号入力用電極(不図示)が接続
されている。また、一般には、これらの吐出エネルギー
発生素子2の耐用性の向上を目的として、保護層等の各
種機能層が設けられるが、勿論本発明においてもこのよ
うな機能層を設けることは一向に差しつかえない。
【0022】次いで図2に示すように、基板1上に感光
性樹脂層3を形成する。この感光性樹脂層3の形成の方
法としては、感光性樹脂材料を溶解した溶液を、ソルベ
ントコート法によって塗布しても良いし、またこの感光
性樹脂材料を塗布したドライフィルムを作製し、積層す
ることによって基板1上に形成しても良い。
【0023】上記の手段により形成された感光性樹脂層
3に対して、図3に示すように液流路となるべき光照射
部4のパターン露光を行う。露光手段としては、フォト
マスクを介しての一括露光であっても良いし、また、電
子線あるいはイオンビーム等による直接描画でも良い。
露光光源はDeep−UV光,エキシマーレーザー,電
子線,X線等を用いて感光性樹脂層3をパターニングで
きるものであれば構わない。
【0024】このように、液流路となるべき光照射部4
をパターニング露光したレジスト膜上の感光性樹脂層3
に、図4に示すように天板7を接合する。天板7は、ガ
ラス等のセラミック,金属,樹脂等いずれの部材でも構
わない。この天板7には接着剤層5が形成されており、
天板樹脂層6を介して感光性樹脂層3との接着を行う。
特に、本発明では接着剤がインク流路に流れ込むことは
ないので、天板7の平滑性も高精度な部材を必要としな
いため、コストの低減化に寄与する。
【0025】また天板7に、図4に示したように、イン
ク供給口9と吐出エネルギー発生素子2間のインク流路
抵抗を低減するために感光性樹脂材料等によりパターン
形成を行っておき、インク供給口9と吐出エネルギー発
生素子2間の天井の高さを高くしておいても構わない。
接着剤としては、通常の熱硬化型接着剤でも構わない
し、また感光性接着剤,感圧性接着剤であっても構わな
い。
【0026】なお、接着剤層5の材料として感光性接着
剤を使用する場合においては、インク流路パターンを露
光した感光性樹脂層3を感光してしまうため、その使用
は制限される場合がある。すなわち、インク流路パター
ンを形成する樹脂が、電離放射線等の高エネルギーに感
光する樹脂である場合、感光性接着剤の感光波長域が異
なる場合、あるいは感度が大幅に異なりインク流路パタ
ーンに影響を与えない場合、インク流路パターンを露光
した樹脂表面に蒸着あるいはスパッタリング等の手段に
て光の透過を疎外する部材等を設けた場合等、感光性接
着剤の硬化のために露光操作がインク流路パターンを露
光された感光性樹脂層3に影響を与えない場合に限定さ
れる。
【0027】従来の液体噴射記録ヘッドの製造方法にお
いては、インク流路パターンを形成した後に、天板7の
接合操作を行っていたため、接着剤がインク流路にたれ
込む等の問題が生じる場合が多い。また、たれ込みを防
止するために接着剤層5の塗布膜厚を薄くすると、天板
7が剥離してしまうという問題が生じる。このため、特
に長尺の液体噴射記録ヘッドの製造、あるいは微細なイ
ンク流路を必要とする液体噴射記録ヘッドの製造におい
ては、このたれ込みと天板剥がれの防止が大きな課題と
なっていたが、本発明では、インク流路は切断工程後に
形成されるため、上記の問題の解決に極めて有効とな
る。すなわち、天板7を接合するための接着剤を十分量
塗布し、高温かつ高圧にて貼り合わせることによって、
長尺の液体噴射記録ヘッドの製造においても上記した問
題は生じない。このため、液体噴射記録ヘッドの製造の
歩留りが極めて向上すると共に、製造された液体噴射記
録ヘッドの信頼性も向上する等の利点を有している。
【0028】次いで図5に示すように、基板1を切断す
る。切断はダイシングソー等の機械的手法によっても構
わないし、またレーザー等の光加工によっても構わな
い。また、切断後に切断面8を切削,研磨し、インク吐
出口と吐出エネルギー発生素子2間の距離精度を向上し
ても構わない。本発明においては、インク流路部は未現
像であるため、上記したように切断屑,研磨剤等がイン
ク流路部に入り込むことがない。またインク流路部とな
る箇所には、感光性樹脂が存在しているため、切断時に
基板1等に欠けが生じる等の問題も生じることがない。
【0029】最後に、図6に示すように、インク流路部
を形成するレジストを溶出し、インク流路10を形成す
ると共にインク吐出口11を形成する。現像は、レジス
トを溶解するものであれば、いずれの溶剤でも構わな
い。このようにして良好な形状のインク吐出口11を形
成することができる。
【0030】以上説明したように、本発明によれば従来
の液体噴射記録ヘッドの製造における問題を、感光性樹
脂の現像工程を切断工程後に移行せしめるのみの操作に
よって、極めて安定的に液体噴射記録ヘッドの製造が可
能となる。
【0031】本発明における感光性樹脂としては、いず
れの樹脂も基本的には使用できるが、液体噴射記録ヘッ
ドの製造安定性,信頼性を高めるためには、以下に詳細
に述べる樹脂を用いることが望ましい。
【0032】インク流路10を形成する感光性樹脂とし
ては、ネガ型レジスト材料が、機械的強度,耐熱性,耐
溶剤性において極めて良好な特性を示すため、好ましい
感光性樹脂である。
【0033】液体噴射記録ヘッドは、従来の半導体製造
プロセスにて使用されるレジスト材料に比べて、高い機
械的強度,インク液に対する耐性,記録液吐出エネルギ
ーが熱により発生した気泡である場合には高い耐熱性等
が要求される。このような特性を満足する感光性樹脂と
してはネガ型レジストが適している。
【0034】本発明に使用できるネガ型感光性樹脂とし
ては、いずれの感光性樹脂も使用することができる。例
えば、分子構造中に不飽和二重結合を有するポリマー、
オリゴマーあるいはモノマーを含有する感光性樹脂,エ
ポキシ環を有するモノマー、オリゴマーあるいはポリマ
ーを含有する感光性樹脂、水素原子の引抜き反応によっ
て架橋する感光性樹脂等が挙げられる。不飽和二重結合
としては、アクリロイル、メタクリロイル、アクリルア
ミド、アリル、マレイン酸ジエステル、ビニルエーテ
ル、ビニルチオエーテル、ビニルアミノ、アセチレン性
不飽和二重結合のいずれでも構わない。これら不飽和二
重結合あるいはエポキシ環を有するモノマー、オリゴマ
ーあるいはポリマーと光重合開始剤との混合系よりネガ
型感光性樹脂は構成される。
【0035】また感光性樹脂中には、バインダーやフィ
ラー、基板との密着性を向上するためのシランカップリ
ング剤等を添加しても構わない。
【0036】最も汎用的な例としては、メチルメタクリ
レートとメタクリル酸との9:1共重合体をバインダー
とし、ペンタエリトリトールトリアクリレートを重合性
モノマー、tert−ブトキシアントラキノンを光重合
開始剤として使用する3成分から成る系が挙げられる。
【0037】モノマーとしては他に、エチレングリコー
ルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレー
ト、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチ
レングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリ
コールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメ
タクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、
ブチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリ
コールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタ
クリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパ
ントリメタクリレート等のアクリルあるいはメタクリル
系モノマーおよびオリゴマー、ジアリルオルソフタレー
ト、ジアリルイソフタレート、ジアリルマレアート、ジ
アリルクロレンダート、ジアリルアジパート、ジアリル
ジグリコラート、トリアリルシアヌラート、ジエチレン
グリコールビスアリルカルボナート等のアリル系モノマ
ーおよびオリコマー、N,N′−メチレンビスアクリル
アミド,ヘキサメチレンビスアクリルアミド等のアクリ
ルアミド系モノマー、オリゴマー、ジアリルフタレー
ト、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソ
シアヌレート等のアリル系モノマーおよびオリゴマー等
が挙げられる。
【0038】これらモノマー、オリゴマーは、メチルメ
タクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリ
レート、あるいはこれらのモノマーの共重合体等のアク
リル系樹脂、塩化ビニール、ポリビニルブチラール、ポ
リビニルアルコール、ナイロン等の高分子化合物をバイ
ンダーとして添加して使用しても構わない。
【0039】また光重合開始剤としては、ベンジル、
4,4′−ジメトキシベンジル、4,4′−ジヒドロキ
シベンジル、チオキサントン、2−クロロチオキサント
ン、イソプロピルチオキサントン、2,4′−ジエチル
チオキサントン、2,4′−ジイソプロピルオキサント
ン、クマリン誘導体、S−トリアジン誘導体、カンファ
ーキノン等の光重合開始剤が使用できる。また、ジエチ
ルアミノベンゾエート、ジエチルアミノベンゾエート、
ジイソブチルアミノベンゾエート等のアミンを添加して
も構わない。
【0040】これらのラジカル重合系ネガレジストは酸
素の反応疎外を受けるため、被膜上にポリビニルアルコ
ール等の被膜を塗布して露光するか、あるいはPETフ
ィルム等に積層してドライフィルムとして使用する等の
露光方法が適している。
【0041】一方、分子構造中にエポキシ環あるいはビ
ニルエーテル結合を有するモノマーは、カチオン重合反
応によって重合するため、酸素の反応疎外を受けない等
の利点を有している。
【0042】モノマーとしては、ビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、水添加ビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ系モノマーおよ
びオリゴマー、エチレングリコールジビニルエーテル、
2−クロロエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチ
ルビニルエーテル等、多価アルコールから合成されるビ
ニルエーテル化合物が挙げられる。
【0043】これらのモノマーに上記したバインダーお
よび光カチオン開始剤となる芳香族オニウム塩を添加し
てレジストが構成される。オニウム塩としては、ジフェ
ニルヨードニウムテトラフルオロボーレート、ジフェニ
ルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ジフェ
ニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、ジフェ
ニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙
げられる。
【0044】また、光架橋型ネガ型レジストとしては、
分子構造中に不飽和二重結合を有するポリマーか、スチ
レンまたはポリヒドロキシスチレン等のように、引抜き
可能な水素原子を有するポリマー等をベースレジンと
し、ビスアジド化合物等の光架橋剤を添加して形成され
る。なお、電離放射線にて露光する場合はこれら光架橋
剤は添加しても添加しなくても構わない。
【0045】これらベースレジンとしては、環化ポリイ
ソプレン、ポリブタジエン等のゴム、ポリジアリルフタ
レート、不飽和ポリエステル、ポリスチレン、ポリヒド
ロキシスチレン、ポリビニルシンナメート、ポリビニル
アルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられる。ま
た、光架橋剤としては、4,4′−ジアジドカルコン、
2,6−ビス(4′−アジドベンザル)シクロヘキサノ
ン、2,6−ビス(4′−アジドベンザル)4−メチル
シクロヘキサノン、1,3−ビス(4′−アジドベンザ
ル)−2−プロパノン等のビスアジド化合物が挙げられ
る。
【0046】しかしながら、ネガ型感光性樹脂をインク
流路形成材料とした場合には以下の問題点が生じる場合
がある。
【0047】ネガ型レジストは現像時に現像液である
有機溶剤により膨潤するため、パターンにスカムが発生
する。このため、スカムが吐出エネルギー発生素子上に
及ぶと、インク吐出特性を甚だ劣悪なものとする場合が
ある。
【0048】ネガ型レジストは露光時の光のカブリに
よって現像残渣が生じる場合があり、この残渣が吐出エ
ネルギー発生素子上に存在した場合、インク吐出特性を
甚だ劣悪なものとする場合がある。
【0049】ネガ型レジストは、現像時に膜減りが発
生し、天板との接着性を劣化させる場合がある。
【0050】ネガ型レジストは一般に、分子量が高い
バインダーを有しているため、切断後のレジストの溶出
に極めて時間を必要とする。
【0051】これら問題を解決するために感光性樹脂の
分子量が検討された。
【0052】ネガ型レジストは、分子量を小さくする
と、スカムの発生や、カブリによる現像残渣の発生が大
幅に低減できるため、インク吐出特性を向上できる。ま
た、切断後のレジストの現像においても、分子量が小さ
いほど、レジストの溶解時間を短縮することができる。
【0053】すなわち、ネガ型レジストの分子量が小さ
いほど、現像時における未露光部の樹脂の溶解は容易と
なり、膨潤の程度は低減化されかつ溶出時間の短縮され
る。また、分子量が低下するほど感度は低下するが、露
光時の未露光部のカブリに対してゲル成分の発生が少な
くなり現像残渣の発生が低減化できる。
【0054】本発明者らの検討によれば、ネガ型レジス
ト成分中に、ゲルパーミエーションクロマトグラフにお
けるポリスチレン換算で求めた重量平均分子量が300
00以下、さらに好ましくは10000以下の成分のみ
構成されるレジストが、上記のスカム、現像残渣、溶出
速度等の特性が良好であることを見いだした。
【0055】また、重量平均分子量が5000以上であ
ることが好ましい。
【0056】これらネガ型感光性樹脂は上記したネガ型
感光性樹脂の分子量を最適化することによって作製でき
る。
【0057】これらの低い分子量にて良好な解像性を示
す樹脂としては、ポリジアリール(オルソ、イソ)フタ
レート、不飽和ポリエステル、ノボラック、ポリヒドロ
キシスチレン等が挙げられる。これら樹脂に上記した光
重合開始剤、あるいはアジド、ビズアジド等の光架橋
剤、あるいは電離放射線にて露光する場合は樹脂単独に
て使用しても構わないが、これらの光開始剤を添加する
ことによって感光性樹脂となる。
【0058】一方、本発明はポジ型レジストにおいても
実現可能である。しかし、一般的なポジ型レジストは、
露光部と未露光部との現像液に対する溶解速度の差にて
パターン形成を行うため、レジストの溶解が比較的容易
な形状に限定される。すなわち、インク供給口9,イン
ク流路10が大きな液体噴射記録ヘッドの製造に適して
いる。特に、ポジ型レジストは、レジストの膨潤に起因
するスカムの発生、露光のカブリによる現像残渣が発生
しないため、インクの吐出安定性に優れた液体噴射記録
ヘッドが製造することができる。
【0059】また、汎用的なポジ型フォトレジストは、
アルカリ溶解性のノボラック樹脂とナフトキノンジアジ
ドとの混合系にて構成されているため、機械的強度およ
び耐溶剤性に劣る問題点を有している。このため、レジ
スト現像後に加熱操作によって樹脂を硬化する操作を行
うことが望ましい。加熱操作は100〜200℃の温度
にて30〜60分間行うことが望ましい。また、加熱に
よるパターン形状の変形を防止するためには100℃よ
り徐々に温度を高めてベークすることも有効な場合があ
る。
【0060】さらに、現像時の未露光部の溶解を低減化
し、またレジストの機械的強度、耐溶剤性を高める手段
として、レジスト中にアミンを含有せしめる方法、ノボ
ラック樹脂とナフトキノンジアジドをスルフォン酸エス
テル等にて反応せしめて使用する方法が有効であること
を見いだした。
【0061】レジスト中にアミン化合物を添加すると、
イメージリバース法によるパターン形成が可能となる。
すなわち、ポジ型フォトレジストを露光せしめて、その
まま100〜120℃にて30分間程度ベークを行う
と、光照射によって生じたインデンカルボン酸基とノボ
ラック樹脂がアミン触媒下にて反応する。次いで、全面
を露光せしめれば、最初の露光における露光部は現像液
に不溶であり、未露光部はこの全面露光によって現像液
に溶解するようになる。結果として、初期露光に対して
はネガ型パターンが形成される。この方法によれば、初
期露光の時の露光部のナフトキノンジアジドはアルカリ
可溶のインデンカルボン酸に変化しても、ベークによっ
てノボラック樹脂と反応してしまっているため、ほとん
ど現像液に溶解しなくなってしまう。このため、露光部
と未露光部との溶解速度の差が極めて大きくなり、上記
した本発明にポジ型レジストを使用する際に生じる問題
を回避できる。
【0062】すなわち、現像時間が長くなっても、イン
ク流路を形成する感光性樹脂層の膜減り、パターンの広
がり等を低減化することができる。また、上記した感光
剤とノボラック樹脂との反応によって、パターンの機械
的強度、耐溶剤性等の向上できる。
【0063】同様の効果は、ノボラック樹脂とナフトキ
ノンジアジド化合物をスルフォン酸エステル等の結合に
よって反応して使用した場合にも得ることができる。
【0064】すなわち、一般的なポジ型フォトレジスト
は、ノボラック樹脂とこの樹脂に対して溶解抑制効果を
有するナフトキノンジアジド化合物との混合系にて構成
されているため、ノボラック樹脂の溶解抑制を完全には
得ることができない。また、ナフトキノンジアジド化合
物は低分子化合物であるため、レジストパターンの被膜
の強度を低下してしまう。低分子化合物であるナフトキ
ノンジアジド化合物をレジスト中に多量に添加させれ
ば、未露光部の現像時の膜減りは低減できるが、被膜の
強度をより低下することとなってしまう。
【0065】この問題を回避するために、本発明におい
ては、ノボラック樹脂とナフトキノンジアジド化合物を
スルフォン酸等のエステル結合にて反応することによっ
て防止している。ノボラック樹脂がアルカリ溶液に対し
て溶解性を示すのは、分子構造中にヒドロキシル基を有
するためであるが、ヒドロキシル基をナフトキノンジア
ジドスルフォン酸エステルとすることによってノボラッ
ク樹脂のアルカリ溶解性は失われ、アルカリ溶液に対し
てはもはや溶解しなくなる。このため、未露光部の膜減
りを大幅に低減化することができる。一方、光露光部は
インデンカルボン酸に変化するため、アルカリ溶液に溶
解する特性を付与できるわけである。
【0066】さらに、ナフトキノンジアジド化合物の低
分子化合物をエステル結合によってノボラック樹脂に反
応させたため、レジストの被膜性を低下する低分子化合
物がなくなって、レジストの被膜強度は極めて高いもの
とすることができる。
【0067】このレジストは、ノボラック樹脂をテトラ
ヒドロフラン等の溶剤に溶解し、ナフトキノンジアジド
スルフォニルクロリド等のキノンジアジドスルフォニル
クロリド化合物を添加し、炭酸ナトリウム等の弱アルカ
リ性物質の水溶液を添加することによって容易に合成す
ることができる。
【0068】ノボラック樹脂としては、オスソ、メタ、
パラ等のクレゾールノボラック、ポリヒドロキシスチレ
ン、フェノールノボラック等が挙げられる。またキノン
ジアジドスルフォン酸ナトリウムとしては、α,β−ナ
フトキノンジアジドスルフォン酸ナトリウム、ベンゾキ
ノンジアジドスルフォン酸ナトリウム等が使用すること
ができる。
【0069】未露光部の膜減りをさらに低減化し、また
レジストの被膜強度を高める手段として、熱架橋型ポジ
レジストが極めて良好な特性を示すことを見いだした。
【0070】熱架橋ポジ型レジストとは、光あるいは電
離放射線崩壊型樹脂の一部に熱架橋可能な官能基を共重
合しておき、レジストを基板上に塗布した後に加熱操作
によってこのレジストを硬化させ、この後レジストに光
(電離放射線)を露光し、樹脂鎖を分解せしめて溶剤に
可溶なものとしてパターン形成を行うものである。この
レジストはポジ型であり、インク流路形成等の微細な抜
きパターンの形成に対しては非常に良好な解像性を示
す。また、熱硬化反応によって樹脂が硬化しているた
め、高い機械的強度、耐溶剤性および基板との密着性を
実現できる等の利点を有している。特に、未露光部は熱
架橋反応によってゲル化しているため、現像液に長時間
浸漬しても全く溶解しない等の特性を示す。
【0071】一方、露光部は、電離放射線等の露光によ
ってレジスト高分子鎖は粉々に分解してしまうため、現
像液に対して極めて速やかに溶解できる等の利点を有し
ている。
【0072】一方、熱架橋ポジ型レジストは、露光量を
変えても、現像後の未露光部の膜厚は全く変化しないた
め、設計寸法のノズルを形成するためには、塗布膜厚の
制御のみを行えば良く、極めて簡便にノズル形成が行え
る。さらに、現像残渣やスカム等の発生がなく、アッシ
ング操作を必要としない等の現像残渣に起因する問題が
生じない等の利点を有する。
【0073】熱架橋型ポジレジストとしては、上記した
ように光崩壊型高分子化合物に熱硬化可能な官能基を有
するモノマーを共重合することによって多くの種類を得
ることができる。光崩壊型高分子化合物としては、分子
構造中にケトンを有するもの、ポリスルフォン等SO2
分子を主鎖に含有するもの、ビニール系の高分子化合物
であってα位に水素原子以外の原子であるメチル、塩
素、シアノ、弗素等の原子が結合している高分子化合物
等が挙げられる。
【0074】分子構造中にケトンを有する高分子化合物
としては、メチルビニルケトン、メチルイソプロペニル
ケトン、エチルビニルケトン、tert−プロペニルケ
トン、ビニルフェノルケトン等のビニル基を有するケト
ンを重合した高分子化合物が挙げられる。
【0075】SO2 を有する高分子化合物としては、ビ
スフェノールAとジクロロジフェニルスルフォンとの反
応によって合成されるポリスルフォン(UCC社:UD
ELPOLYSULFONE(登録商標))、ジクロロ
ジフェニルスルフォンより合成されるポリエーテルスル
フォン(ICI社:VICTREX(登録商標))、さ
らに、不飽和二重結合を有するオレフィンとSO2 より
合成されるポリオレフィンスルフォン(MEAD社製:
ポリブテン−1−スルフォンPBS)等が挙げられる。
勿論、ポリオレフィンスルフォンとしては他のオレフィ
ンとしてスチレン、α−メチルスチレン、プロピレン等
いずれのオレフィンを使用しても構わない。
【0076】ビニル系高分子化合物であって、α位に水
素原子以外の原子が付加した高分子化合物としては、メ
チルアクリレートの範囲が挙げられる。例えば、メチル
メタクリレート、エチルメタクリレート、プロピル
(n,iso)メタクリレート、ブチル(n,iso,
tert−)メタクリレート等非常に多くの種類が挙げ
られる。また、メタクリルアミド、メタクリルニトリル
等も使用可能である。これらの不飽和二重結合を有する
モノマーを重合することにより、光崩壊型のポジレジス
トが作製できる。またα位の原子としては、上記したメ
チル基以外にも、シアノ基、塩素、弗素等のハロゲン等
が付加したモノマーも一般に入手可能であり、α−シア
ノ(クロロ、フルオロ)アクリレート、α−シアノ(ク
ロロ、フルオロ)エチルアクリレート等の使用できる。
さらにはα−メチル(クロロ、シアノ、フルオロ)スチ
レン、α−メチル(クロロ、シアノ、フルオロ)スチレ
ンのヒドロキシ、メチル、エチル、プロピル、クロロ、
フルオロ等の誘導体等が使用できる。
【0077】上記したモノマーを、単独にてあるいは複
数種混合して重合することにより、光崩壊型高分子化合
物を得ることができる。この光崩壊型高分子化合物を合
成する際に、熱硬化可能な官能基を有するモノマーを共
重合することによって、本発明における架橋型ポジ型レ
ジストを合成することができる。
【0078】熱硬化可能な官能基を有するモノマーとし
ては、ヒドロキシ基、クロル、イソシアナート、エポキ
シ等の官能基を有するモノマーであり、例えば、ヒドロ
キシ(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(例え
ばメチル、エチル、プロピル等)アクリレート、ヒドロ
キシアルキルメタアクリレート、アクリル酸クロリド、
メタクリル酸クロリド、グリシジル(メタ)アクリレー
ト等が挙げられる。これら熱架橋する官能基を含有する
モノマーを上記の光崩壊型高分子化合物中に共重合すれ
ば本発明による熱架橋型ポジ型レジストが合成すること
ができる。勿論、これらの樹脂の硬化特性を高めるため
に、これらの樹脂中にイソシアナート基、アミノ基を有
する成分を混合あるいは共重合し、ヒドロキシル基、エ
ポキシ基の熱硬化性を促進することも有効である。
【0079】本発明者らが、液体噴射記録ヘッドのノズ
ルを形成する材料として、上記の熱架橋ポジ型レジスト
をさらに検討したところ、熱架橋基として共重合するモ
ノマーとしては、メタクリル酸あるいはメタクリル酸グ
リシジルがさらに好ましいことを見いだした。クロル酸
のハロゲン化合物を使用すると、記録ヘッドの長期にわ
たる使用に際して、インク中にハロゲンが溶出し、電極
やヒーターの腐蝕、断線を招く。またイソシアナートを
含有する系は、レジストの保存安定性が極めて低い等の
問題を有している。
【0080】メタクリル酸あるいはメタクリル酸グリシ
ジルはこれらの問題がなく、液体噴射記録ヘッドのノズ
ル形成する材料として極めて良好な特性を示す。
【0081】これらの熱架橋型ポジレジストの基板上へ
の塗布は、レジストをそのまま、あるいはレジストが固
体の場合は溶剤に溶解した溶液をスピンコーターやバー
コーター等を使用してソルベントコートすることにより
可能である。
【0082】熱架橋の温度、時間等はそれぞれの樹脂に
よって最適化を図る必要がある。一般的には50℃から
300℃の範囲が適している。温度が低いと充分な架橋
密度を得られないか、架橋に時間を要するし、また、温
度が300℃を越えるとレジストの熱分解、熱酸化を招
いたり、加熱操作後に室温に戻した時に基板との熱膨張
率の差によってレジスト膜にクラックが入ったりする場
合がある。加熱時間に関してもレジストの特性に最適な
条件を選ぶ必要があるが、一般的には5〜120分間程
度である。低い温度での加熱では空気中にても構わない
が、熱酸化等を防止するために窒素等の不活性ガスの雰
囲気下または真空中にて加熱しても構わない。
【0083】勿論、架橋基を2液硬化タイプとして常温
にて硬化させても構わない。例えば、分子中にエポキシ
基を架橋成分として含有した成分Aとアミノ基を含有す
る成分Bとを混合した後、基板上に塗布すれば常温にて
の硬化も可能となる。なお、2液硬化タイプとするのは
常温での保存安定性を高めるためである。しかし、硬化
時間の短縮等の生産性を高めるには温度を加えることが
望ましいと考えられる。これらの手段はヒドロキシル基
を有するモノマーを共重合した系とイソシアナート基を
有するモノマーを共重合した系に対しても同様の手段を
適用することができる。
【0084】これらの熱架橋型ポジ型レジストは、波長
300nm以下の遠紫外線、電子線、X線等の電離放射
線官能型レジストであるため、従来の紫外線露光機を用
いては感光することができない。
【0085】露光は一般的に使用されるDeep−UV
光源であるXe−Hgランプを使用し、290nmや2
50nmのコールドミラーにて得られる遠紫外光を使用
しても構わないし、また電子線、X線、エキシマーレー
ザー等いずれでも使用できるし、またマスクを介した一
括露光、ステップ&リピート、電子線のビームスキャン
方式のいずれでの構わない。ただし、Deep−UV光
あるいはエキシマーレーザー等の短波長の光はレジスト
膜の吸収により厚い膜の場合、光が透過せずに均一に露
光できない場合がある。例えば、レジストの分子構造中
に芳香環が存在すると、特にレジスト膜の光吸収が大き
くなり光を透過しなくなる。芳香環を含まないレジスト
とするか、あるいは電子線やX線等の透過性の高い露光
源を使用する等の回避が必要となる場合がある。現在の
露光装置の形態から考えるとDeep−UV露光が、一
括露光でありまた広い露光面積を得られること等から最
も生産性が良いと考えられるが、X線露光はその高い透
過性から材料選択の範囲が広くなり本発明には最も適し
ている。光源の高強度化、マスク、露光装置の低価格化
が進めば適用が可能である。
【0086】
【作用】本発明によれば、インク流路をパターン露光し
た後、天板の貼り合わせ、基板の切断工程を行うことに
より、天板貼り合わせ時、切断時においてはインク流路
部は現像されていないため、接着剤のインク流路へのた
れ込みや、切断屑の侵入を防止できる。また、従来の方
法のように、空洞部(インク流路)を有する基板を切断
せず、インク流路内部に感光性樹脂が存在している基板
を切断するため、インク吐出口に基板の欠け等が生じな
くなる。
【0087】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に
説明する。
【0088】(実施例1)まず、吐出エネルギー発生素
子2としての電気熱変換素子(材質HfB2 からなるヒ
ーター)を形成した基板1上に、環化ゴム−ビスアジド
系フォトレジスト(東京応化工業社製:OMR−83)
を70番のワイヤーバーを使用して塗布した。80℃に
て30分間加熱して溶剤を除去した後、キヤノン製マス
クアライナーPLA−520FAにてインク流路パター
ンがをパターン露光した。このレジストの膜厚は35μ
mであった。
【0089】次いで、インク供給口9を切削加工した基
板1上に、アクリル系ネガ型ドライフィルム(東京応化
社製:オーディール(登録商標))を100℃にて積層
し、キヤノン製マスクアライナーPLA−520FAに
て200秒間露光を行った。この露光操作は、インク流
路10の上部のパターンを形成するものであり、インク
供給口9と吐出エネルギー発生素子2間のインク流路1
0の高さを高くして流路抵抗を低減する目的で形成し
た。ベースフィルムを剥離した後、トリクロロエタンに
150秒間浸漬して現像を行った。このパターンの膜厚
は50μmであった。
【0090】このようにして形成したパターン上にエポ
キシ系接着剤(アラルダイト(登録商標):スリーボン
ド社製)をロールコーターにて塗布した。塗布膜厚は1
0μmであった。次いで、天板7を真空中にて基板1を
貼り合わせた。80℃にて30分間加熱して接着剤を硬
化させた。
【0091】次いで、基板1をダイシングソー(東京精
密社製)にて切断し、ネガ型レジストの溶出を行った。
この溶出はトルエンに30分間かけて浸漬して行った。
現像後にイソプロピルアルコールに5分間かけて浸漬し
てリンス処理を行った。
【0092】最後に、インク供給口9にインク供給部材
を接着して液体噴射記録ヘッドを作製した。
【0093】このようにして、作製した液体噴射記録ヘ
ッドを記録装置に装着した。
【0094】図7は、記録装置の構成の一例を示す概略
斜視図である。
【0095】図7において、用紙またはプラスチックシ
ートなどの記録媒体12は、記録領域の上下に配置され
た一対のローラからなる搬送ローラ13,14によって
支持され、シート送りモータ15で駆動される搬送ロー
ラ13によって矢印A方向へ搬送される。搬送ローラ1
3,14の前方にはこれと平行にガイドシャフト16が
設けられている。このガイドシャフトに沿ってキャリッ
ジ17がキャリッジモータ18の出力によりワイヤ19
を介して矢印B方向に往復駆動される。
【0096】キャリッジ17には、上述の液体噴射記録
ヘッドである記録ヘッドユニット20が搭載されてい
る。この記録ヘッドユニット20の前面、すなわち、記
録媒体12の所定間隔をおいて対向する面に複数のイン
ク吐出口が縦1列に配置した記録部が設けられている。
【0097】図7に示した記録装置に用いられる記録液
として、純水/グリセリン/ダイレクトブラック154
(水溶性黒色染料)=65/30/5を用い記録を行っ
たところ、安定な印字が得られた。
【0098】(実施例2)本実施例はラジカル重合系モ
ノマーにてパターン形成を実施した例を示す。
【0099】アクリル系モノマー(アロニクス(登録商
標)6880:東亜合成社製)75部、メチルメタクリ
レートとメタクリル酸との9:1共重合ポリマー(ポリ
サイエンス社製:分子量500000)20部、2−ク
ロロチオキサントン3部、エチル−パラ−ジメチルアミ
ノベンゾエート2部をシクロヘキサノンに溶解し、実施
例1と同様にして基板1上に塗布した。80℃にて30
分間乾燥して溶剤を除去した後、ポリビニルアルコール
(キシダ化学社製:分子量500)を10wt%の濃度
にて水に溶解した溶液を、スピナーにてレジスト上に塗
布した。この被膜はラジカル反応の酸素阻害を防止する
ために形成するものである。レジスト膜の膜厚は50μ
m、またポリビニルアルコール被膜の膜厚は2μmであ
った。
【0100】実施例1と同様にして、インク流路となる
べき10の部位のパターン露光を行った後、水に浸漬し
てポリビニルアルコール被膜を除去した。
【0101】また、実施例1と同様に、天板7(エポキ
シ系接着剤を塗布した天板)を真空中に貼り合わせ、8
0℃にて30分間かけて加熱して接着剤を硬化させた。
【0102】さらにまた、実施例1と同様にダイシング
ソーにて基板を切断し、メチルイソブチルケトンに30
分間浸漬して、未露光部のレジストを除去した後、イソ
プロピルアルコールに10分間浸漬してリンスを行っ
た。
【0103】実施例1と同様にインクを供給して記録を
行ったところ、良好な印字が得られた。
【0104】(実施例3)実施例1および2において
は、ガラス天板上から基板1を観察すると、多量のスカ
ムが発生していた。本実施例は実施例2において、バイ
ンダーであるアクリル樹脂の分子量を低下してスカムの
発生を防止したものである。
【0105】アクリル系モノマー(アロニクス688
0)75部、ポリメチルメタクリレート(エルバサイト
(登録商標)2001:Du Pont社製)20部、
2−クロロチオキサントン3部、エチル−パラ−ジメチ
ルアミノベンゾエート2部をシクロヘキサノンに溶解し
てレジスト液とした以外は、全て実施例2と同様に実施
した。
【0106】本実施例においても、良好な印字が得ら
れ、またスカムの発生は大幅に低減化された。
【0107】(実施例4)本実施例は、アルカリ可溶性
樹脂を使用し、アルカリ現像法にて実施した例を記載す
る。
【0108】ポリヒドロキシスチレン(丸善石油化学社
製:分子量5000)に4,4′−ジアジドカルコン
(シンコー技研社製)3部を添加し、シクロヘキサノン
にて溶解して基板上に塗布した。80℃にて30分間ベ
ークした。この被膜の膜厚は35μmであった。
【0109】実施例1と同様にして、このレジスト膜に
インク流路となるべき部位のパターン露光を行った後、
天板7を貼り合わせた。
【0110】80℃にて30分間加熱してエポキシ系接
着剤を硬化し、ダイシングソーにて切断した。
【0111】ヘキスト社製アルカリ現像液(MIF−3
12)を水を用いて2倍に希釈した溶液に30分間浸漬
してレジストを洗い流した後、水にてリンスした。
【0112】実施例1と同様にしてインク吐出を行った
ところ、良好な印字が得られた。
【0113】(実施例5)本実施例は、ネガ型レジスト
をDeep−UV感光性とし、接着剤に光硬化性接着剤
を使用して操作性を高めたものである。
【0114】ポリヒドロキシスチレンと3,3′−ジア
ジドジフェニルスルフォンとの混合系レジスト(日立化
成社製:RD−2000N)をロータリーエバポレータ
ーにて溶剤を除去して2倍に濃縮した。このレジストを
スピナーにて基板1上に塗布して80℃、30分間のプ
リベークを行った。このレジスト被膜の膜厚は30μm
であった。
【0115】キヤノン製マスクアライナーPLA−52
0FAを、Deep−UV光源に変えた露光機にて60
秒間露光を行いインク流路となるべき部位にパターン露
光を行った。
【0116】実施例1と同様に天板7にレジストパター
ンを形成した後、このパターン上にロールコーターにて
感光性接着剤(スリーボンド3000:スリーボンド社
製)を5μmの膜厚にて塗布した。
【0117】キヤノン製マスクアライナーPLA−52
0FAのマスクプレートにこの天板7を装着し、基板1
をウェハーチャックに接着し、位置合わせした後にその
まま200秒間の露光を行って感光性接着剤を硬化し
た。なお、天板7上には富士フイルム社製シャープカッ
トフィルターを設置して300nm以下の紫外線をカッ
トし、RD−2000Nが紫外線ランプより発生する短
波長の光により感光することを防止した。
【0118】実施例1と同様にして基板を切断した後、
実施例4と同様にレジストの溶出、洗浄を行い、インク
吐出を行った。
【0119】本実施例においても良好な印字が得られ
た。
【0120】(実施例6)本実施例はポジ型フォトレジ
ストを使用した例を記載する。
【0121】実施例1と同様にして作製した基板1上に
ポジ型フォトレジスト(ヘキスト社製:AZ−490
3)をスピナーにて塗布し、90℃にて10分間のベー
クを行った。得られたレジスト膜の膜厚は25μmであ
った。
【0122】実施例1と同様にインク流路となるべき部
位のパターン露光を行った後、実施例1と同様にして天
板7を貼り合わせた。エポキシ系接着剤を、80℃にお
いて30分間加熱することによって硬化せしめた後、基
板1を切断した。
【0123】アルカリ性現像液MIF−312を、水を
用いて2倍に希釈した現像液に60分間浸漬して、露光
部のレジストを除去した。
【0124】この被膜はこのままでは、強度および耐溶
剤性に劣るため、加熱によって樹脂を硬化した。加熱は
120℃にて30分間ベークした後、150℃にて30
分間、200℃にて30分間と3段階にて行った。この
操作の後、レジストは硬化して強度、および耐溶剤性が
向上した。実施例1と同様にしてインクを供給して印字
を行ったところ、良好な印字が得られた。
【0125】(実施例7)実施例6においては、レジス
ト現像時に未露光部が若干溶解してインク流路形状が設
計寸法よりずれた。本実施例はイメージリバース法にて
未露光部の溶解を阻止すると共に、レジスト膜の強度お
よび耐溶剤性を高めたものである。
【0126】実施例6と同様にポジ型フォトレジストA
Z−4903を基板上に塗布し、90℃にて10分間の
プリベークを行った。得られた被膜の膜厚は25μmで
あった。
【0127】キヤノン製マスクアライナーPLA−52
0FAにてインク流路となるべき部位のパターン露光を
行った(露光量は1000mJ/cm2 )後、そのまま
100℃にて30分間のベークを行った。アルカリ性現
像液MIF−312を水を用いて4倍に希釈した溶液に
5分間浸漬した後、PLA−520FAにて2500m
J/cm2 の全面露光を行ってイメージを反転した。
【0128】実施例5と同様にして感光性接着剤を塗布
した天板7を基板1上に貼り合わせ、位置合わせ後に全
面露光を行って接着剤を硬化した。
【0129】ダイシングソーにて切断した後、アルカリ
性現像液MIF−312の原液に30分間かけて浸漬し
てインク流路部を形成した。この後、150℃にて30
分間ベークしてレジスト被膜を硬化させた。
【0130】インクを供給して印字を行ったところ良好
な印字が得られた。
【0131】(実施例8)本実施例はノボラック樹脂と
キノンジアジド化合物を反応せしめて使用することによ
って現像時の膜減りを低減化たものである。
【0132】レジストの合成:ポリヒドロキシスチレン
(丸善石油化学社製:分子量5000)50部を100
部のテトラヒドロフランに溶解し、ナフトキノン(1,
2)ジアジド−5−スルフォン酸ナトリウム100部を
添加した。40℃にて撹拌しながら、5wt%の炭酸カ
ルシウム溶液50部を1時間を要して滴下した後、その
まま2時間撹拌を行った。反応液を1000部の水の投
入して樹脂を回収し、テトラヒドロフランに再度溶解
し、シクロヘキサンを用いて沈殿させた後に乾燥を行っ
た。この樹脂をシクロヘキサノンに25wt%の濃度に
て溶解してレジスト液とした。
【0133】実施例7と同様にして基板上にこのレジス
ト液を塗布し90℃にて10分間ベークした。キヤノン
製マスクアライナーPLA−520FAにてインク流路
となるべき部位をパターン露光した後、実施例1と同様
にしてエポキシ系接着剤を塗布した天板7を貼り合わ
せ、80℃にて30分間加熱して接着剤を硬化した。
【0134】ダイシングソーにて切断した後、アルカリ
性現像液MIF−312を水を用いて2倍に希釈した溶
液に30分間かけて浸漬してレジストを現像した。
【0135】得られた被膜はこのままでは硬化しないた
め、PLA−520FAにて2000mJ/cm2 の全
面露光を行った後、真空中に1時間放置してキノンジア
ジドの窒素ガスを脱気した。この後、150℃にて1時
間加熱してレジストを硬化した。
【0136】実施例1と同様にしてインクを供給し、印
字を行ったところ良好な印字が得られた。
【0137】(実施例9)本実施例は熱架橋型ポジ型レ
ジストを使用した例を記載する。
【0138】実施例1と同様にして作製した基板1上
に、ポリメチルメタクリレートとメタクリル酸との8:
2共重合体(ポリサイエンス社製)をジアセトンアルコ
ールに溶解した溶液を70番のワイヤーバーにて塗布し
た。80℃にて30分間加熱して溶剤を除去した後、2
00℃にて30分間加熱してレジスト膜を硬化した。こ
のレジスト膜の膜厚は20μmであった。
【0139】ウシオ電機製2kW、Deep−UV光源
(250nmコールドミラー使用)にて10分間かけて
露光した後、感光性接着剤を塗布したガラス製天板を真
空中において基板に貼り合わせた。
【0140】ガラス天板上より紫外線を露光し、基板1
と天板7を接合し、次いでダイシングソーにて切断し
た。
【0141】基板1をメチルイソブチルケトンに20分
間浸漬してレジストを現像した。
【0142】実施例1と同様にしてインクを供給して印
字を行ったところ良好な印字が得られた。
【0143】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0144】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0145】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0146】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0147】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0148】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0149】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0150】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0151】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0152】
【発明の効果】以上説明した本発明によってもたらされ
る効果としては、下記に列挙する項目が挙げられる。
【0153】1)記録ヘッド製作のための主要工程が、
フォトレジストあるいは感光性ドライフィルム等を用い
たリソグラフィー技術によるため、ヘッドの細密部を、
所望のパターンで、しかも極めて容易に形成することが
できるばかりか、同様の構成の多数の記録ヘッドを同時
に加工することも容易にできる。
【0154】2)インク流路の形成が、天板を貼り合わ
せた後に行われるため、接着剤のインク流路へのたれ込
みや天板の剥がれのない、良好な液体噴射記録ヘッドを
製造することができる。
【0155】3)切断屑、研磨剤等がインク流路に入り
込むことがなく、良好な印字を実現できる液体噴射記録
ヘッドが製造することができる。
【0156】4)インク流路となる箇所にはレジストが
充填したまま切断を行うため、基板等に切断時に欠けが
生じない。
【0157】5)ネガ型レジストにおいては、分子量を
限定することによって、スカムや現像残渣が発生せず速
やかにレジストの現像が可能になる。
【0158】6)ポジ型レジストにおいては、現像時の
スカムや現像残渣の発生がなく、またイメージリバース
法やノボラック樹脂とキノンジアジド化合物を反応せし
めて使用することによって、現像時のパターンの広がり
や膜減りを防止できる。
【0159】7)熱架橋型ポジ型レジストにてインク流
路を形成する場合、有機溶剤等の溶解力の高い現像液に
長時間浸漬しても、未露光部の溶解は全くなく、安定し
て液体噴射記録ヘッドが製造できる。また機械的強度、
耐溶剤性、耐熱性に優れた液体噴射記録ヘッドが製造で
きる。
【0160】8)高密度マルチアレイ液体噴射記録ヘッ
ドが簡単な手段で得られる。
【0161】9)従来の液体噴射記録ヘッドの製造にお
ける、感光性樹脂パターンの現像工程の順番を変えたの
みなので、新たな設備投資等も必要なく、廉価なコスト
にて液体噴射記録ヘッドの製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インク流路およびオリフィス部形成する前の基
板の模式的斜視図である。
【図2】熱硬化型ポジレジスト層を形成した基板の模式
的斜視図である。
【図3】レジスト層を施すパターン露光の模式的斜視図
である。
【図4】天板を貼り合わせる工程の模式的断面図であ
る。
【図5】切断工程の模式的断面図である。
【図6】現像により形成されたインク流路およびインク
吐出口を含む記録ヘッド基板の模式的断面図である。
【図7】液体噴射記録装置の模式的斜視図である。
【符号の説明】
1 基板 2 吐出エネルギー発生素子 3 感光性樹脂層 4 光照射部 5 接着剤層 6 天板樹脂層 7 天板 8 切断面 9 インク供給口 10 インク流路 11 インク吐出口 12 記録媒体 13,14 搬送ローラ 15 シート送りローラ 16 ガイドシャフト 17 キャリッジ 18 キャリッジモータ 19 ワイヤー 20 記録ヘッドユニット

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録液滴を吐出する吐出エネルギー発生
    素子が形成された基板上に、 1)感光性樹脂層を形成し、該感光性樹脂層のインク路
    のパターン露光を行う工程と、 2)前記感光性樹脂層上に天板を積層する工程と、 3)前記感光性樹脂層のパターン露光された部分を溶出
    する工程とを含むことを特徴とする液体噴射記録ヘッド
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記感光性樹脂層をネガ型レジストで形
    成することを特徴とする請求項1に記載の液体噴射記録
    ヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ネガ型レジストを形成する樹脂の重
    量平均分子量が5000から30000の範囲にあるこ
    とを特徴とする請求項2に記載の液体噴射記録ヘッドの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記感光性樹脂層をポジ型フォトレジス
    トで形成することを特徴とする請求項1に記載の液体噴
    射記録ヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ポジ型フォトレジストがアミンを含
    有することを特徴とする請求項4に記載の液体噴射記録
    ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ポジ型フォトレジストが、ノボラッ
    ク樹脂とキノンジアシド誘導体とのスルフォン酸エステ
    ルを含有することを特徴とする請求項4に記載の液体噴
    射記録ヘッドの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記感光性樹脂層を熱架橋型ポジ型レジ
    ストで形成することを特徴とする請求項1に記載の液体
    噴射記録ヘッドの製造方法。
JP14559092A 1992-01-06 1992-06-05 液体噴射記録ヘッドの製造方法 Pending JPH05338181A (ja)

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AT93108683T ATE196199T1 (de) 1992-06-01 1993-05-28 Verfahren zur herstellung eines tintenstrahlaufzeichnungskopfes
DE69329359T DE69329359T2 (de) 1992-06-01 1993-05-28 Verfahren zur Herstellung eines Tintenstrahlaufzeichnungskopfes
EP93108683A EP0572948B1 (en) 1992-06-01 1993-05-28 Ink jet recording head fabrication method
US08/813,997 US5730889A (en) 1992-01-06 1997-03-10 Ink jet recording head, fabrication method thereof, and printer with ink jet recording head

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