JPH08267694A - 化粧シート及びその製造方法 - Google Patents

化粧シート及びその製造方法

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JPH08267694A
JPH08267694A JP7097506A JP9750695A JPH08267694A JP H08267694 A JPH08267694 A JP H08267694A JP 7097506 A JP7097506 A JP 7097506A JP 9750695 A JP9750695 A JP 9750695A JP H08267694 A JPH08267694 A JP H08267694A
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JP
Japan
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film
layer
transparent
decorative sheet
pattern
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JP7097506A
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English (en)
Inventor
Toshitake Kobayashi
利武 小林
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、表面が耐擦傷性、耐衝撃性に優
れ、天然木のような照りが再現され、意匠性に優れた木
目調の化粧シート及びその製造方法を提供する。 【構成】 透明なフィルム12の裏面に、木目の絵柄層13
と光輝性印刷層14を形成し、この印刷フィルムと着色フ
ィルム15を重ね合わせ、微細ウェーブ状の万線状の凹凸
模様を形成したエンボスロールを用いて、着色フィルム
15側からダブリングエンボス加工を行って、着色フィル
ム15と、光輝性印刷層14及び絵柄層13にエンボス模様16
を形成する。更に、前記エンボス積層シートの表面に、
アイゾット衝撃値10kg・cm/cm以上の透明樹脂の微細な
ビーズ11a を含有する電離放射線硬化性樹脂を塗布し、
電離放射線を照射して樹脂を硬化させ、保護層11を形成
して化粧シート1 を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然木、布地、石材の
ような視覚的な奥行き感、立体感があり、光源や観察者
の視線方向によってパターン状に光沢(照り)が変化す
る木目調、布目調、或いは石目調の外観を再現するため
に、エンボス加工により照りを改良し、且つ表面の耐擦
傷性、耐衝撃性、可撓性を向上させた化粧シート及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】化粧シートに凹凸模様(エンボス)を形
成して、その装飾性を向上させることは従来から行われ
ており、このような化粧シートとして、例えば、印刷層
を設けた熱可塑性樹脂シートの表面にエンボス加工によ
り凹凸模様を形成したものが特公昭28ー5036号公
報等で知られている。また、特開平4ー64443号公
報に開示されているように、着色ポリ塩化ビニルフィル
ム上に光輝性ベタ印刷層、絵柄の印刷層の順に設け、印
刷側からヘアライン、波型万線のエンボス加工を施し、
そのエンボス面に透明熱可塑性樹脂フィルムをドライミ
ネート或いは透明な塗料をコーティングして化粧シート
を作製する方法がある。
【0003】更に、透明熱可塑性樹脂フィルムに裏刷り
で絵柄層や光輝性ベタ印刷層を設けてエンボス加工を施
す方法もある(特開平4ー64443号公報に開示)。
そして、特開平3ー8477号公報には、裏面に波型万
線の凹凸条溝模様を形成した透明基材シートの凹凸模様
面に、木目印刷層、光輝性ベタ印刷層を設け、更に着色
隠蔽インキでベタ印刷層を設けることにより、木目板固
有の光沢(照り)を再現させる方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特公昭28ー
5036号公報等のような表面に凹凸模様を形成した化
粧シートは、表面の凹部にゴミ等の異物が入り込んで表
面の美観を損ねたり、磨耗や傷等によって凹凸形状を損
なう虞があった。また、特開平4ー64443号公報等
のような層内部の界面に凹凸模様を形成した化粧シート
はこのような欠点を解消しているが、やはり表面の熱可
塑性樹脂シート表面に傷が付き易いという欠点が残る。
そのため、木目の照りも表面の傷で曇って消失してしま
う。
【0005】そこで、電離放射線硬化性樹脂の塗膜を特
開平4ー64443号公報等の化粧シート表面に設ける
ことが試みられたが、該樹脂のみで表面の保護層を形成
した場合、硬化膜の硬度を高くするには、電離放射線硬
化性樹脂の架橋密度を上げたり、或いはシリカ、アルミ
ナ等の無機の硬質粒子を添加することによって可能であ
るが、このようにすると硬化膜が脆くなり、可撓性、耐
衝撃性に乏しくなり、板へのロールラミネート、ラッピ
ング加工、Vカット加工等の後工程において表面に亀裂
や割れ目が生じ易くなる欠点がある。
【0006】更に、無機質の硬質粒子はバインダーの樹
脂と屈折率が異なり、その上にバインダー粒子との濡れ
が悪いため、分散粒子周囲で気泡が混入し易く、その結
果硬化膜が濁り、照り光沢が低減してしまうという欠点
も生じる。また、該保護層の架橋密度を下げることによ
って、後加工時の変形による亀裂や割れ目を防止するこ
とはできるが、今度は表面の硬度、耐擦傷性、耐摩耗性
が不十分となる欠点が生じる。
【0007】本発明は、これらの問題を解決して、従来
品に比較して表面が耐擦傷性、耐衝撃性、可撓性共に優
れ、且つ天然木のような照りが再現され、リアル感のあ
る美麗な木目調の化粧シートを提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を
解決するために、化粧シートの構成及び製造方法を以下
のようにした。透明又は半透明な熱可塑性樹脂フィルム
の裏面に、絵柄層、光輝性印刷層、隠蔽性の着色熱可塑
性樹脂フィルムをこの順に有しており、該着色熱可塑性
樹脂フィルム、光輝性印刷層、絵柄層に、平行曲線群又
は平行直線群からなる万線状の条溝群のエンボス模様が
形成され、その反対側の表面には、アイゾット衝撃値1
0kg・cm/cm以上の透明な樹脂微粒子を含有する
電離放射線硬化性樹脂からなる保護層を有することを特
徴とする化粧シートとした。
【0009】また、着色又は透明な熱可塑性フィルムの
表面に、光輝性印刷層、絵柄層の順で印刷層を設け、そ
の印刷面に、平行曲線群又は平行直線群からなる万線状
の条溝群のエンボス模様を形成し、該エンボス模様の上
に、アイゾット衝撃値10kg・cm/cm以上の透明
な樹脂微粒子を含有する電離放射線硬化性樹脂からなる
保護層を該エンボス模様を充填し表面を平坦化するよう
にして設けるか、又は、該保護層を有する透明フィルム
を透明な接着剤を介して積層したことを特徴とする化粧
シートとした。
【0010】そして、透明又は半透明な熱可塑性樹脂フ
ィルムの裏面に、木目模様等の絵柄層、光輝性層の順で
印刷し、この印刷フィルムの印刷面に、隠蔽性の着色熱
可塑性樹脂フィルムを熱融着して貼り合わせると同時
に、エンボス版を用いて、着色熱可塑性樹脂フィルム側
から平行曲線群又は平行直線群からなる万線状の条溝群
のエンボス模様を該エンボス模様が該絵柄層にまで到達
するようにして形成し、その反対側の表面に、アイゾッ
ト衝撃値10kg・cm/cm以上の透明な樹脂微粒子
を含有する電離放射線硬化性樹脂を塗布し、それに電離
放射線を照射して樹脂を硬化させて保護層を設けたこと
を特徴とする化粧シートの製造方法とした。
【0011】また、着色又は透明な熱可塑性フィルムの
表面に、光輝性ベタ印刷層、絵柄層の順で印刷層を設
け、その印刷面に、エンボス版を用いて、平行曲線群又
は平行直線群からなる万線状の条溝群のエンボス模様を
形成し、該エンボス模様層の上に、アイゾット衝撃値1
0kg・cm/cm以上の透明な樹脂微粒子を含有する
電離放射線硬化性樹脂を該エンボス模様を充填して平坦
化するように塗布し、それに電離放射線を照射して樹脂
を硬化させて保護層を設けたことを特徴とする化粧シー
トの製造方法とした。
【0012】更に、着色熱可塑性フィルムの表面に、光
輝性ベタ印刷層、絵柄層の順で印刷層を設け、その印刷
面に、エンボス版を用いて、平行曲線群又は平行直線群
からなる万線状の条溝群のエンボス模様を形成し、該エ
ンボス模様層の上に、透明なフィルムの上にアイゾット
衝撃値10kg・cm/cm以上の透明な樹脂微粒子を
含有する電離放射線硬化性樹脂を塗布し、それに電離放
射線を照射して樹脂を硬化させて保護層を設けたフィル
ムの保護層の反対面を、透明な接着層を介して積層した
ことを特徴とする化粧シートの製造方法とした。
【0013】
【作用】本発明によれば、化粧シートに形成された万線
条の条溝群のエンボス模様により、光線入射方向及び観
察方向によって、程度の異なる異方性拡散反射と光輝性
ベタ印刷層の光反射性との相乗効果が上がり、従来の化
粧シートでは見られない、意匠性に優れ、立体感のある
天然木、布目、或いは石材板のような照り、即ち、パタ
ーン状の光沢部が見る角度によって変化することがあ
り、リアル感のある美麗な木目調の化粧シートを得るこ
とができる。
【0014】また、本発明の化粧シートは、保護膜バイ
ンダーが硬質の電離放射線硬化性樹脂の3次元架橋した
分子構造であることに加え、その内部に耐衝撃性の樹脂
微粒子が分散してなり、外部の応力、特に衝撃的力を吸
収、散逸させる。又、表面に一部突出した該粒子は外力
を滑り摩擦によって逃がす。その結果、表面が耐擦傷
性、可撓性及び耐衝撃性ともに優れたものになるので、
化粧シートを家具、電気製品、建築材等に貼って化粧材
として使用する場合、その化粧材の曲げ加工、Vカット
加工等の後工程において表面に亀裂や割れ目が生じるこ
とがなくなり、加工適性が向上すると同時に、加工後の
傷付きや衝撃による割れを生じにくくし、耐久性のよい
加工製品を得ることができる。
【0015】更に、該樹脂微粒子は無機質粒子に比べバ
インダー樹脂との屈折率が少なく、粒子とバインダー界
面で光の反射、屈折が起こりにくく、又、バインダーと
粒子との濡れが良く、両者の界面に気泡が混入しない。
従って、保護層に白濁が生じず、下地の照りを散逸、減
衰させることがない。
【0016】
【実施例】以下、実施例に基づいて、図面を参照にして
本発明を詳しく説明する。図1は本発明の表面に保護層
を設けた化粧シートの一例を示す模式断面図である。図
2は着色ポリ塩化ビニルを用いて、表面に保護層を形成
した化粧シートの模式断面図であり、図3は透明ポリ塩
化ビニルを用いて、表面に保護層を形成した化粧シート
の模式断面図である。図4は着色ポリ塩化ビニルを用い
た化粧シートに、表面に保護層を有する透明フィルムを
接着剤でラミネートした化粧シートの断面図である。図
5は鋼板用化粧シートで、図1で示される化粧シートの
裏面に、更に着色ポリ塩化ビニルフィルムをラミネート
した化粧シートの断面図である。
【0017】図6(a)〜(d)は本発明の化粧シート
の製造方法の一例を示した説明図である。図7(a)〜
(d)は実施例2により化粧シートを製造する場合の説
明図であり、図8(a)〜(d)は実施例3により化粧
シートを製造する場合の説明図である。図9は(a)〜
(d)は実施例4により化粧シートを製造する場合の説
明図であり、図10(a)〜(c)は実施例5により化
粧シートを製造する場合の説明図である。
【0018】本発明の化粧シート1は、図1に示すよう
に、基本的には透明(又は半透明)な熱可塑性樹脂フィ
ルム12、これに印刷によって形成した木目等の絵柄層
13、光輝性ベタ印刷層14、この印刷層に形成したエ
ンボス模様16、着色フィルム15、及び透明フィルム
の表面に形成した保護層11から構成される。しかし、
図2(又は図3)に示すように、着色フィルム15(又
は透明フィルム12)に光輝性ベタ印刷層14、絵柄層
13、エンボス模様16を形成し、その上に保護層を設
けた構成とすることもできる。また、図4に示すよう
に、着色フィルムに、光輝性ベタ印刷層14、絵柄層1
3、エンボス模様16を形成し、その上に、接着層17
を介して、保護層11を形成した透明フィルムを積層し
て化粧シートとすることもできる。更に、図5に示すよ
うに、図1に示した化粧シートの裏面に、更に着色フィ
ルム15を接着剤17でラミネートして化粧シートとす
ることもできる。
【0019】そして、本発明の化粧シートは、その化粧
シートの表面に、透明な樹脂微粒子を含有する電離放射
線硬化性樹脂を用いて電離放射線で硬化させて保護層を
形成したことに特徴がある。即ち、ポリカーボネート樹
脂の透明な微細粒子(以下ビーズとする)を含有する電
離放射線硬化性樹脂で化粧シートの表面に保護層を設け
ることにより、絵柄層、光輝性ベタ印刷層及び着色フィ
ルムに形成されたエンボス模様と相まって、表面にマッ
ト感(低光沢)を出しながら、透明度を損なわずに天然
木のような照りの表現を妨げることがない。また、前記
ビーズを含有する電離放射線硬化性樹脂の中にシリコー
ン系樹脂を混入することにより、硬度が高く、且つ耐衝
撃性に優れた保護層は、更に表面滑性がよくなり、耐汚
染性、耐スクラッチ性に優れた化粧シートを得ることが
できる。
【0020】以下に、本発明の化粧シートの製造方法に
ついて説明する。図6(a)に示すように、先ず、ポリ
塩化ビニル等の透明フィルム12に、木目柄等の絵柄層
13及び二酸化チタン被覆雲母等を添加した光輝性イン
キを用いて光輝性ベタ印刷層14を、グラビア印刷等に
て形成して、印刷フィルム2を作製する。
【0021】次に、上記印刷フィルムの印刷面と着色フ
ィルム15(例えば着色ポリ塩化ビニルフィルム)を、
図6(b)に示すように重ね合わせ、平行曲線群又は平
行直線群からなる万線状の条溝群を形成したエンボス版
3を用いて、図6(b)に示すように、着色フィルム側
よりエンボス加工を行って、図4(c)に示すように、
着色フィルム、光輝性ベタ印刷層及び絵柄層にエンボス
模様を形成する。尚、このエンボス模様は、絵柄層13
及び光輝性ベタ印刷層14にまで到達せしめる。それに
よって、透明フィルム12の表面から入射した光が、エ
ンボス模様で異方性の拡散反射を行って照りを再現でき
る。
【0022】更に、上記エンボス加工を行った積層シー
ト4に、ポリカーボネート樹脂からなる透明なビーズ1
1aと滑剤としてシリコーン系樹脂を添加した電離放射
線硬化性樹脂組成物を用いて、グラビアコート法等にて
塗布し、これに電離放射線を照射して電離放射線硬化性
樹脂組成物を硬化させて保護層11を形成して化粧シー
ト1を作製する。
【0023】また、図7(a)に示すように、着色フィ
ルム15に光輝性ベタ印刷層14と絵柄層13をグラビ
ア印刷で形成し、この印刷面に、図7(b)に示すよう
に、上記エンボス版を用いて、エンボス模様を形成し
て、図7(c)に示すようなエンボス模様を有する着色
シート4aを作製する。次に、前記エンボス模様を有す
る着色シート4aのエンボス模様面に、前記電離放射線
硬化性樹脂組成物を用いて保護層を形成して化粧シート
1aを作製する。着色フィルムの代わりに透明フィルム
を使用して、同様の方法で化粧シートを作製することも
できる。
【0024】別の方法として以下に示す製造方法もあ
る。先ず、図9(a)に示すように、着色フィルム15
に光輝性ベタ印刷層14と絵柄層13を設け、この印刷
面に、前記エンボス版を用いて、図9(b)に示すよう
に、エンボス模様16を形成する。前記着色フィルムと
は別に、透明フィルム12に前記電離放射線硬化性樹脂
組成物を用いて、保護層11を形成する。前記エンボス
模様を有する着色フィルムと前記保護層を形成した透明
フィルムを、図9(c)に示すようにして、透明な接着
剤を用いて、ドライラミネート法等にて貼り合わせ、図
9(d)に示すような化粧シート1cを作製する。ま
た、図10(a)に示すように、前記図6で示した方法
で作製した化粧シート1を用いて、図10(b)に示す
ように、化粧シート1のエンボス加工した着色フィルム
側に、接着剤を用いて更に着色フィルムを貼り合わせ、
図10(c)に示すような化粧シート1dを作製するこ
ともできる。
【0025】本発明の化粧シートに使用される透明フィ
ルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルムが主に使用され
るが、この他に、アクリル、ポリオレフィン、ポリエス
テル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボ
ネート、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ABS等
の樹脂が使用できる。フィルムの厚さは50〜200μ
mが好ましい。そして、この透明フィルムは、図1、図
3の態様の場合、エンボス版によって直接エンボス加工
を受けるので、エンボス版の平行曲線群又は平行直線群
からなる溝状の凹凸模様を忠実に賦型できるフィルムが
望ましい。そのため、該透明フィルムは熱可塑性樹脂を
選択する。
【0026】また、着色フィルムとしては、前記透明樹
脂に酸化チタン、カーボンブラック、弁柄、その他の顔
料、染料、充填剤等を混合してフィルム化したものが使
用される。そして、この着色フィルムも、図2、図4の
ような態様の場合には、エンボス版に直接接触してエン
ボス加工を受けるので、透明フィルムと同様賦型性のよ
い熱可塑性樹脂フィルムを使用する必要がある。フィル
ムの厚さは、透明フィルムと同様に50〜200μmが
好ましい。
【0027】透明フィルム又は着色フィルムに印刷され
る絵柄層は、杉、欅、檜等の木目板の木目柄、大理石、
御影石等の石目柄、又は絹等の布目模様が使用され、グ
ラビア印刷、オフセット印刷等によって形成される。イ
ンキのビヒクルとしては塩化ビニルー酢酸ビニル共重合
体等のビニル系樹脂、ポリメチルメタアクリレート等の
アクリル系樹脂、ニトロセルロース等のセルロース系樹
脂、アミノアルキッド樹脂、ブチラール樹脂、ポリエス
テル系樹脂等があり、これらの樹脂に顔料、染料等イン
キに必要なものを配合してインキを調製する。
【0028】光輝性印刷層は、一般的には光輝性顔料を
添加したインキを用いて、ベタ印刷、パターン印刷又は
柄印刷により形成する。又は、真空蒸着やスパッタリン
グなどによって金属薄膜を形成して光輝性層とすること
もできる。光輝性顔料としては、主に二酸化チタン被覆
雲母、酸化鉄被覆雲母等の雲母顔料、アルミニウム、真
鍮、金、銀等の金属粉、魚鱗箔等の真珠光沢を有する箔
片からなる顔料が用いられる。
【0029】本発明の化粧シートに形成されるエンボス
模様は、水平視が平行曲線群又は平行直線群或いは平行
曲線群と平行直線群を組み合わせた溝状の凹凸模様が使
用される。そして、その形状としては、直線群でもよい
が、照明方向、視線方向によって変化する異方性のパタ
ーン状光沢を得るために、主に正弦波が使用される。そ
の他、矩形波、三角波、台形波等それ自体は角が角張っ
た曲線であるがその角を丸くした形状のもの、又は、ベ
ッセル関数、楕円関数サイクロイド曲線或いはこれに類
似するような形状であれば特に制限されない。又、同心
閉曲線群を用いると特に根瘤杢調の照りを再現できる。
例えば、正弦波を連続して平行移動したパターンの平行
曲線群をネガ又はポジ原版として作り、このパターンを
用いて溝状に腐食、ミル加工等により凹凸を形成して該
エンボス模様の表面を有するエンボス版を作る。
【0030】化粧シートにエンボス模様を形成するに
は、透明フィルムに絵柄層及び光輝性ベタ印刷層を形成
した印刷フィルム、着色フィルム、及び正弦波からなる
万線状の条溝群を彫刻した平板又はロール状のエンボス
版を、例えば、図6(b)に示すように配置して、着色
フィルム側をエンボス版に接触させて加熱・加圧するこ
とにより、エンボス版の凹凸形状を、着色フィルムを介
して、光輝性ベタ印刷層及び絵柄層まで賦型する。エン
ボス模様を形成した積層フィルムは透明フィルムの表面
に保護層を形成して化粧シートとする。
【0031】また、絵柄層及び光輝性ベタ印刷層を形成
した着色フィルムの印刷面を、図7(b)に示すよう
に、エンボス版に接触させて加熱・加圧することによ
り、エンボス版の凹凸形状を、絵柄層、光輝性ベタ印刷
層、及び着色フィルムに賦型する。 そして、このエン
ボス模様を形成した着色フィルムは、エンボス模様形成
面に直接保護層を形成して化粧シートとする。
【0032】上記化粧シートのエンボス形状は、凹条部
及び凸条部の幅が1〜1000μmの範囲で形成できる
が、10〜100μmの範囲が好ましい。凹部及び凸部
の幅は同じでもよいし、違った大きさにしてもよい。ま
た、凹条部の深さは凸条部から測って1〜100μm
で、好ましくは5〜100μmである。
【0033】本発明の保護層は、表面の耐擦傷性、耐薬
品性、耐汚染性を向上させると共に、表面の凹凸により
透明性を損なわずに艶消し効果を得ようとするものであ
る。そして尚且つ、化粧シートを曲げ加工等変形させた
際に、亀裂、剥脱等を生じないだけの可撓性及び耐衝撃
性をも備えている必要がある。そのため、耐衝撃性樹脂
で透明な粒径0.1〜50μmの粒子を含有する電離放
射線硬化性樹脂組成物を用いて保護層を形成した。電離
放射線硬化性樹脂の架橋密度を上げて表面硬度を高める
ことにより、耐磨耗性、耐薬品性を向上させ、硬度の上
昇によって伴う可撓性、耐衝撃性の低下は、耐衝撃性樹
脂粒子の添加により防止した。また、耐磨耗性及び耐汚
染性を付与し、更に、耐衝撃性樹脂粒子の添加により透
明性を損なわずに艶消し効果も得ることができた。
【0034】電離放射線硬化性樹脂に添加する耐衝撃性
樹脂の粒子(以下ビーズとする)としては、JIS−K
−7110規定のアイゾット衝撃値10kg・cm/c
m以上、より好ましくは30kg・cm/cm以上のも
のを用いる。好適な例としては、平均重合度50〜16
0のビスフェノール型ポリカーボネート樹脂の粒子で、
粒径が0.1〜50μm、アイゾット衝撃値60〜80
kg・cm/cmのもが使用される。
【0035】アイゾット衝撃値が10kg・cm/cm
未満であると、該粒子が塗膜にかかる衝撃的な応力を十
分吸収、散逸できず、塗膜の耐擦傷性、耐衝撃性が低下
し、又、Vカット加工等の成形加工時に亀裂を生じ易く
なる。アイゾット衝撃値は高い程耐衝撃性、耐擦傷性、
可撓性の向上の点で好ましいが、通常、樹脂固体のアイ
ゾット衝撃値は100kg・cm/cm程度迄であるの
で、100kg・cm/cmが事実上の上限値となる。
【0036】そして、ビーズの添加量は、電離放射線硬
化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、1〜1
0重量部にする必要がある。ポリカーボネートは、炭酸
と多価アルコール又は多価フェノールとの縮重合体であ
るが、通常は多価フェノールがビスフェノールAの場合
で、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
の構造を有するものである(以下ビスフェノール型ポリ
カーボネート樹脂とする)。
【0037】ビスフェノール型ポリカーボネート樹脂の
中でも、平均重合度が50〜160のものは、アイゾッ
ト衝撃値が60〜80kg・cm/cmと高い衝撃性を
有するので、本発明の目的に適うものであるが、好まし
くは平均重合度が80〜130のものがよい。このよう
な耐衝撃性の樹脂ビーズを電離放射線硬化性樹脂の3次
元架橋構造塗膜中に分散させることにより、曲げ加工時
の外部応力或いは摩耗時の外部応力を吸収、分散させ、
該塗膜の耐衝撃性を上げ、更に塗膜の可撓性を向上せし
め、又擦り傷が出難くする。
【0038】平均重合度が50未満では、強度が著しく
低下し、又、平均重合度が160超過では、微粒子状態
で脆くなり、且つ電離放射線硬化性樹脂との接着性及び
塗膜強度が低下する。外部からの力を滑り摩擦によって
逃がし、また入力された力を等方的に分散、散逸させる
ため、該ビーズの形状としては、好ましくは球状或いは
これに類する形状が好ましい。また、ポリカーボネート
樹脂は、透明性に優れているため、保護層の透明性を低
下することなく、表面の艶消し、耐衝撃性及び成形性の
付与を可能にする。
【0039】その他、アイゾット衝撃値が10kg・c
m/cm以上の樹脂としては、硬質ポリ塩化ビニル、ナ
イロン、ポリアセタール、ポリ塩化ビニリデン、耐衝撃
型ポリメチルメタアクリレート、硝酸セルロース等があ
る。
【0040】本発明の電離放射線硬化性樹脂としては、
分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイ
ルオキシ基等のラジカル重合性不飽和結合、又はエポキ
シ基等のカチオン重合性不飽和結合を有するポリマー、
プレポリマー、オリゴマー、及び/又は単量体を適宜混
合した組成物が用いられる。(メタ)アクリロイル基の
総和が0.2〜12mmol/gの範囲が硬化塗膜の硬
度と可撓性の両立の点から好ましい。但し、(メタ)ア
クリロイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイ
ル基の意味で用いたものであり、以下(メタ)は同様の
意味を有するものとする。これらのプレポリマー、オリ
ゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリ
エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アク
リレート等のアクリレート、シロキサン等の珪素樹脂、
不飽和ポリエステル、エポキシ等が挙げられる。
【0041】単量体の例としては、スチレン、αーメチ
ルスチレン等のスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸
メチル、(メタ)アクリル酸ー2ーエチルヘキシル、ジ
ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジ
ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ト
リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及び
/又は、分子中に2個以上のチオール基を有するポリオ
ール化合物、例えば、トリメチロールプロパントリチオ
グリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピ
レート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等
がある。以上の化合物を必要に応じ、1種もしくは2種
以上混合して用いるが、樹脂組成物に通常の塗工適性を
付与するために、前記プレポリマー又はオリゴマーを5
重量%以上、前記単量体及び/又はポリチオールを95
重量%以下とすることが好ましい。
【0042】単量体の選定に際して、硬化物の可撓性が
要求される場合は、塗工適性上支障のない範囲で、単量
体の量を少なめにしたり、1官能又は2官能アクリレー
ト単量体を用い比較的低架橋密度の構造とする。また、
硬化物の耐熱性、硬度、耐溶剤性等を要求される場合に
は、塗工適性上支障のない範囲で単量体の量を多めにし
たり、3官能以上のアクリレート系単量体を用い高架橋
密度の構造とするのが好ましい。1、2官能単量体と3
官能以上の単量体を混合し、塗工適性と硬化物の物性と
を調整することもできる。
【0043】以上のような1官能アクリレート系単量体
としては、2ーヒドロキシアクリレート、2ーヘキシル
アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等が挙げ
られる。2官能アクリレート系単量体としては、エチレ
ングリコールジアクリレート、1,6ーヘキサンジオー
ルジアクリレート等、3官能アクリレート系単量体とし
ては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペン
タエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリス
リトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
【0044】電離放射線硬化性樹脂を紫外線で硬化させ
る場合は、透明な樹脂を使用する必要がある。また、前
記電離放射線硬化性樹脂組成物に光重合開始剤として、
アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾ
イルベンゾエート、αーアミロキシムエステル、テトラ
メチルメウラムモノサルファイド、チオキサントン類、
及び/又は光増感剤として、nーブチルアミン、トリエ
チルアミン、トリーnーブチルホスフィン等を混合して
用いることもできる。その他、該電離放射線硬化性樹脂
中には必要に応じてシリコーン樹脂、フッ素樹脂、蝋等
の滑剤、染料、顔料等の着色剤、希釈剤等を塗工適性、
塗膜の物性を損なわない範囲で添加し得る。
【0045】本発明においては、フィルム基材に塗布さ
れた電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物を完全に硬
化させる方法として、電離放射線を使用する。電離放射
線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線等があ
る。電離放射線照射装置としては、通常、紫外線照射装
置や電子線照射装置が使用される。例えば、 紫外線照
射装置としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀
灯、カーボンアーク、ブラックライト、メタルハライド
ランプ等の光源が使用される。電子線源としては、コッ
クロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶
縁コア変圧器型或いは直線型、ダイナミトロン型、高周
波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000K
eV、好ましくは100〜300KeVのエネルギーを
持つ電子を照射する。照射線量としては、通常、5〜5
00KGy(キログレイ)程度である。
【0046】以下に、具体的な実施例により更に詳細に
説明する。 (実施例1)図6(a)に示すように、厚さ100μm
の透明なポリ塩化ビニルシート12(理研ビニル(株)
製;樹脂100重量部に対して可塑剤20重量部含有ポ
リ塩化ビニル、以下PVCとする)の裏面に、塩化ビニ
ルー酢酸ビニル共重合体をバインダーとするインキを用
いて、杉柾目の木目柄をグラビア印刷により絵柄層13
を形成し、この上に版深45μmのグラビアベタ版を用
いて、塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体とアクリルの混
合物をバインダーとしたインキに、平均粒径15μmの
二酸化チタン被覆雲母の鱗片状箔片を分散した光輝性イ
ンキ(昭和インク(株)製「化X PGS パール」)を用い
て光輝性ベタ印刷層14を形成し、図6(a)に示すよ
うな印刷フィルム2を作製した。
【0047】次に、図6(b)に示すように、前記印刷
フィルム2と厚さ60μmの褐色の着色PVCフィルム
(前記透明PVCフィルムに褐色顔料を練り混んだも
の)を重ね合わせ、微細ウェーブ状の万線凹凸模様を有
するエンボスロールを用いて、着色PVCフィルム15
側から、正弦波曲線群の凹凸模様を形成したエンボスロ
ール版3を用いて、シート加熱温度160℃、版面温度
60℃、シート送り速度10m/min.の条件でダブ
リングエンボス加工を行って、図6(c)に示すよう
に、着色PVCフィルム15と、透明印刷フィルムの光
輝性ベタ印刷層14及び絵柄層13にまで達するエンボ
ス模様16を形成して、図6(c)に示すようなエンボ
ス積層シート4を作製した。
【0048】エンボス版の凹凸形状は、y=30sin
2πx/100〔単位mm〕の式で示される正弦波の溝
状曲線群とし、凸部と凹部は平行に配列してなり、溝
(凹部)の幅及び凸部の幅(溝と溝の間隔)は30μ
m、溝の深さは40μmとした。又、正弦波のX軸方向
を柾目の年輪方向と直行させた。
【0049】更に、図6(d)に示すように、上記エン
ボス積層シート4の表面(透明フィルムのエンボス形成
面の反対側)に、下記組成の紫外線硬化性樹脂組成物を
用いて、ロールコート法にて、塗布量を乾燥状態で10
g/m2 になるように塗布し、乾燥により溶剤を除去
後、ラインスピード10m/min.にて、160ワッ
ト/cmの高圧水銀灯4灯で、紫外線照射を行って紫外
線硬化型樹脂を硬化させ、ビーズ11aを含有する保護
層11を形成し、図6(d)に示すような化粧シート1
を作製した。
【0050】 ☆紫外線硬化性樹脂組成物 ・ウレタンアクリレートプレポリマー 29重量部 ・ポリエチレングリコールジアクリレート 6重量部 ・エチルカルビトールアクリレート 8重量部 ・2-エチルヘキシルアクリレート 7重量部 ・光重合開始剤(メチルベンゾイルフォーメート) 2重量部 ・溶剤(イソプロピルアルコール等) 44重量部 ・耐衝撃性樹脂微粒子 4重量部 尚、耐衝撃性樹脂微粒子は、平均重合度90、アイゾッ
ト衝撃値70kg・cm/cm、のビスフェノール型ポ
リカーボネート樹脂からなり、平均粒径5±0.5μm
の球状粒子を使用した。
【0051】(実施例2)図7(a)に示すように、厚
さ150μmの実施例1と同様の材質の着色PVCシー
ト15の表面に、実施例1で使用した光輝性インキを用
いて光輝性ベタ印刷層14を形成し、その上に、実施例
1と同様に、木目柄の絵柄層13をグラビア印刷により
形成して印刷フィルム2aを作製した。上記印刷フィル
ム2aの印刷面に、図7(b)に示すように、実施例1
と同じエンボス版3を用いてエンボス加工を行い、図7
(c)に示すような着色PVCのエンボスシート4aを
作製した。次に、図7(d)に示すように、着色PVC
のエンボスシート4aのエンボス面に、実施例1と同様
に、ビーズ含有の保護層11を形成して化粧シート1a
を作製した。
【0052】(実施例3)図8(a)に示すように、厚
さ150μmの透明な実施例1と同様な材質のPVCシ
ート12の表面に、実施例1と同様に、光輝性ベタ印刷
層14と木目柄の絵柄層13を形成し、図8(a)に示
すような印刷フィルム2を作製した。次に、図8(b)
に示すように、この印刷フィルムの印刷面に、実施例2
と同様に、エンボス加工を行って、図8(c)に示すよ
うな透明PVCのエンボスシート4bを作製し、更にそ
のエンボスシート4bのエンボス面に、実施例1と同様
のビーズ含有の紫外線硬化型樹脂組成物を、該エンボス
模様を完全に充填して表面が平坦となるように、50g
/m2 (乾燥時)塗布し、実施例1と同様にして紫外線
を照射して紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させて保護層
11を形成し、化粧シート1cを作製した。
【0053】(実施例4)図9(a)に示すように、厚
さ100μmの実施例1と同材質の着色PVCシート1
5の表面に、実施例2と同様に、光輝性ベタ印刷層14
と木目柄の絵柄層13を形成し、その印刷面にエンボス
加工を行って、図9(b)に示すような着色PVCのエ
ンボスシート4aを作製した。次に、図9(c)に示す
ように、厚さ100μmの透明なPVCシート12の表
面に、実施例1で使用した紫外線硬化型樹脂組成物を用
いて、実施例1と同様に、ビーズ含有の保護層11を形
成したPVCシート5を作製し、この保護層を有する透
明PVCシート5を前記着色PVCのエンボスシート4
aのエンボス模様側に、透明なイソシアネート硬化型ポ
リウレタン接着剤を用いてドライラミネーション法でラ
ミネートして、図9(d)に示すような化粧シート1c
を作製した。
【0054】(実施例5)鋼板用の化粧シートを作るた
め、実施例1と同様に、図10(a)に示すような化粧
シート1を作製し、この化粧シートの着色PVCシート
側に、図10(b)に示すように、更に、絞り加工適性
を付与するために、厚さ80μmの可塑剤含有量が30
重量部の褐色顔料入り着色PVCシートを実施例4と同
様に貼り合わせ、図10(c)に示すような化粧シート
1dを作製した。
【0055】(比較例)耐衝撃性樹脂微粒子として、ア
イゾット衝撃値6kg・cm/cmのポリエチレン樹脂
からなる平均粒径5±0.5μmの微粒子を用いて実施
例1と同様に紫外線硬化性樹脂組成物を作成した。前記
紫外線硬化性樹脂組成物を使用する以外は、全て実施例
1と同様にして化粧シートを作製した。
【0056】(性能比較試験)実施例1〜実施例5及び
比較例で作製した化粧シートについて下記の方法で、引
掻試験、耐摩耗性、鉛筆硬度、爪スクラッチ、塗膜の白
色度等を評価した。試験結果は表1に示すように、実施
例で作製した化粧シートは全て、比較例で作製した化粧
シートより優れており、本発明により優れた化粧シート
が得られることが実証できた。
【0057】☆測定、評価方法 引掻試験 JIS K6902に準拠して測定した。 耐摩耗性 JIS K6902に準拠して測定した。総荷重106
0g 鉛筆硬度測定 JIS K5400に準拠して測定し、H以上を○、F
以下を×とした。 爪スクラッチ 爪を試料面に対して垂直に立てて、10回強く擦り、傷
がないものを○、傷がついたものを×とした。 塗膜の白色度 目視により評価した。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、従来の化粧シートでは
見られない、意匠性に優れ、立体感のある天然木のよう
な照りがあり、リアル感のある美麗な木目調の化粧シー
トを得ることができる。また、本発明の化粧シートは表
面が可撓性及び耐衝撃性に優れているので、化粧シート
を家具、電気製品、建築材等に貼って化粧材として使用
する場合、その化粧材の曲げ加工、Vカット加工等の後
工程において表面に亀裂や割れ目が生じることがなくな
り、加工適性が向上すると同時に、耐久性のよい加工製
品を得ることができる。更に、本発明の化粧シートは、
塗膜透明性が良好な上、表面の耐擦傷性に優れ、後加工
時、及び化粧材としての使用時に、表面が傷ついて白化
し、内部界面のエンボス模様による照りが低下すること
もない。そして、本発明の化粧シートを鋼板に貼る場
合、エアかみがなくなり、容易に鋼板に貼ることができ
るので、作業能率の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面に保護層を設けた化粧シートの一
例を示す模式断面図である。
【図2】着色PVCシートを用いて表面に保護層を形成
した化粧シートの模式断面図である。
【図3】透明PVCシートを用いて表面に保護層を形成
した化粧シートの模式断面図である。
【図4】着色PVCシートを用いた化粧シートに保護層
を有する透明フィルムを接着剤でラミネートした化粧シ
ートの断面図である。
【図5】鋼板用の化粧シートで、図1の化粧シートの裏
面に更に着色PVCシートをラミネートした化粧シート
の断面図である。
【図6】本発明の化粧シートの製造方法の一例を示した
説明図で、 (a) 透明フィルムに絵柄層と光輝性ベタ印刷層を設
けた図である。 (b) エンボス加工を行うために、印刷フィルム、着
色フィルム及びエンボス版を配置した図である。 (c) ダブリングエンボスによりエンボス加工を行っ
たエンボス積層シートの断面図である。 (d) (c)図のエンボス積層シートにビーズ含有の
保護層を形成した化粧シートの断面図である。
【図7】実施例2により化粧シートを製造する場合の説
明図で、 (a) 着色PVCに光輝性ベタ印刷層と絵柄層を設け
た図である。 (b) (a)図の印刷フィルムに、エンボス版を用い
てエンボス加工を行った図である。 (c) (b)図のエンボスシートにビーズ含有の保護
層を形成した化粧シートの断面図である。
【図8】実施例3により化粧シートを製造する場合の説
明図で、 (a) 透明フィルムに光輝性ベタ印刷層と絵柄層を設
けた印刷フィルムの断面図である。 (b) (a)図の印刷フィルムにエンボス加工を行っ
たエンボス化粧シートの断面図である。 (c) (b)図のエンボスシートにビーズ含有の保護
層を形成した化粧シートの断面図である。
【図9】実施例4により化粧シートを製造する場合の説
明図で、 (a) 着色PVCに光輝性ベタ印刷層と絵柄層を設け
た印刷フィルムの断面図である。 (b) (a)図の印刷フィルムにエンボス加工を行っ
たエンボス化粧シートの断面図である。 (c) ビーズ含有の保護層を形成した透明PVCフィ
ルムとエンボスシートを貼り合わせるために、配置した
図である。 (d) 接着剤により透明PVCフィルムとエンボスシ
ートを貼り合わせた化粧シートの断面図である。
【図10】実施例5により化粧シートを製造する場合の
説明図で、 (a) 実施例1により作製した化粧シートの断面図で
ある。 (b) (a)図の化粧シートに貼り合わせるため着色
PVCシートを配置した図である。 (c) (a)図の化粧シートと着色PVCシートを接
着剤により貼り合わせた化粧シートの断面図である。
【符号の説明】
1 化粧シート 1a 着色PVCからなる化粧シート 1b 透明PVCからなる化粧シート 1c 着色PVC、接着剤及び透明PVCからなる化粧
シート 1d 鋼板用化粧シート 2 印刷した透明PVCフィルム 2a 印刷した着色PVCフィルム 3 エンボス版 4 エンボス積層シート 4a 着色PVCのエンボスシート 4b 透明PVCのエンボスシート 5 保護層を有する透明PVCシート 11 保護層 11a ビーズ 12 透明フィルム(透明PVCフィルム) 13 絵柄層 14 光輝性印刷層(光輝性ベタ印刷層) 15 着色フィルム(着色PVCフィルム) 16 エンボス模様 17 接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/04 CFF C08J 7/04 CFFK // C08J 3/28 CFF 3/28 CFF

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明又は半透明な熱可塑性樹脂フィルム
    の裏面に、絵柄層、光輝性印刷層、隠蔽性の着色熱可塑
    性樹脂フィルムをこの順に有しており、該着色熱可塑性
    樹脂フィルム、光輝性印刷層、絵柄層に、平行曲線群又
    は平行直線群からなる万線状の条溝群のエンボス模様が
    形成され、その反対側の表面には、アイゾット衝撃値1
    0kg・cm/cm以上の透明な樹脂微粒子を含有する
    電離放射線硬化性樹脂からなる保護層を有することを特
    徴とする化粧シート。
  2. 【請求項2】 着色又は透明な熱可塑性フィルムの表面
    に、光輝性印刷層、絵柄層の順で印刷層を設け、その印
    刷面に、平行曲線群又は平行直線群からなる万線状の条
    溝群のエンボス模様を形成し、該エンボス模様の上に、
    アイゾット衝撃値10kg・cm/cm以上の透明な樹
    脂微粒子を含有する電離放射線硬化性樹脂からなる保護
    層を該エンボス模様を充填し表面を平坦化するようにし
    て設けるか、又は、該保護層を有する透明フィルムを透
    明な接着剤を介して積層したことを特徴とする化粧シー
    ト。
  3. 【請求項3】 透明又は半透明な熱可塑性樹脂フィルム
    の裏面に、木目模様等の絵柄層、光輝性層の順で印刷
    し、この印刷フィルムの印刷面に、隠蔽性の着色熱可塑
    性樹脂フィルムを熱融着して貼り合わせると同時に、エ
    ンボス版を用いて、着色熱可塑性樹脂フィルム側から平
    行曲線群又は平行直線群からなる万線状の条溝群のエン
    ボス模様を、該エンボス模様が該絵柄層にまで到達する
    ようにして形成し、その反対側の表面に、アイゾット衝
    撃値10kg・cm/cm以上の透明な樹脂微粒子を含
    有する電離放射線硬化性樹脂を塗布し、それに電離放射
    線を照射して樹脂を硬化させて保護層を設けたことを特
    徴とする化粧シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 着色又は透明な熱可塑性フィルムの表面
    に、光輝性ベタ印刷層、絵柄層の順で印刷層を設け、そ
    の印刷面に、エンボス版を用いて、平行曲線群又は平行
    直線群からなる万線状の条溝群のエンボス模様を形成
    し、該エンボス模様層の上に、アイゾット衝撃値10k
    g・cm/cm以上の透明な樹脂微粒子を含有する電離
    放射線硬化性樹脂を該エンボス模様を充填して平坦化す
    るように塗布し、それに電離放射線を照射して樹脂を硬
    化させて保護層を設けたことを特徴とする化粧シートの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 着色熱可塑性フィルムの表面に、光輝性
    ベタ印刷層、絵柄層の順で印刷層を設け、その印刷面
    に、エンボス版を用いて、平行曲線群又は平行直線群か
    らなる万線状の条溝群のエンボス模様を形成し、該エン
    ボス模様層の上に、透明なフィルムの上にアイゾット衝
    撃値10kg・cm/cm以上の透明な樹脂微粒子を含
    有する電離放射線硬化性樹脂を塗布し、それに電離放射
    線を照射して樹脂を硬化させて保護層を設けたフィルム
    の保護層の反対面を、透明な接着層を介して積層したこ
    とを特徴とする化粧シートの製造方法。
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