JPH08265955A - 熱回復性物品とその製造方法 - Google Patents

熱回復性物品とその製造方法

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JPH08265955A
JPH08265955A JP7062664A JP6266495A JPH08265955A JP H08265955 A JPH08265955 A JP H08265955A JP 7062664 A JP7062664 A JP 7062664A JP 6266495 A JP6266495 A JP 6266495A JP H08265955 A JPH08265955 A JP H08265955A
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JP
Japan
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heat
outer layer
recoverable article
polymer gel
inner layer
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JP7062664A
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English (en)
Inventor
Yutaka Hibino
豊 日比野
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 被覆後に熱変化が生じても、高い気密性、防
水性、防蝕性等を維持できる熱回復性物品と、その製造
方法とを提供する。 【構成】 熱回復性物品は、熱可塑性樹脂からなり、熱
回復性を有する外層の内側に、高分子ゲルからなる内層
を形成した。製造方法は、上記外層と内層とを同時に押
し出し成形し、外層を選択的に架橋した後、外層に熱回
復性を付与する。 【効果】 高分子ゲルは広い温度範囲でゲル状態を維持
し、流動しにくくかつ柔軟であり、熱回復によって被着
物に良好に密着するとともに、熱変化を受けても、被着
物に対する良好な密着を維持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、たとえば熱収縮チュ
ーブ等の熱回復性を有する物品と、その製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】電線、ケ
ーブル等の接続部、末端部の防水、絶縁、あるいは各種
パイプの防水、防蝕に使用される、熱収縮チューブ等の
熱回復性物品のうち、とくに被着物との密着性が要求さ
れるものにおいては、熱可塑性樹脂製の外層の内側にホ
ットメルト接着剤からなる内層を積層した2層構造のが
好適に採用されている(たとえば特開昭54−8429
4号公報、特開昭60−22413号公報等)。かかる
ホットメルト接着剤としては、たとえばエチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合
体、ポリアミド、ポリエステル、スチレン系熱可塑性エ
ラストマー(S−I−S)等があげられる。
【0003】上記2層構造の熱回復性物品は、押し出し
成形等によって形成した熱可塑性樹脂製の外層の内面
に、接着剤を塗布して内層を形成するか、または同時に
押し出し成形して両層を形成したのち、外層を、電子
線、γ線等の電離放射線の照射や、あるいは化学架橋、
水架橋等の方法で選択的に架橋し、さらに加熱しつつ熱
変形(熱収縮チューブの場合は径方向に拡大)させた状
態で急冷して、外層に熱回復性(熱収縮性)を付与する
ことで製造される。
【0004】ところが、上記ホットメルト接着剤からな
る内層は、被着物の被覆後に加熱、冷却が繰り返された
り、あるいは高温下に長時間放置された場合に、硬さ、
弾性率および粘度がいちじるしく低下して流動性を生
じ、外層と被着物との間から流出して、両者の間に隙間
を生じてしまい、その結果、被覆の気密性や防水性、防
蝕性等が低下するという問題があった。
【0005】この発明の目的は、被覆後に熱変化が生じ
ても、高い気密性、防水性、防蝕性等を維持できる熱回
復性物品と、その効率的な製造方法とを提供することに
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するための、この発明の熱回復性物品は、熱可塑性樹
脂の架橋物で構成された、熱回復性を有する外層と、高
分子ゲルで構成された内層とを備えることを特徴として
いる。またこの発明の熱回復性物品の製造方法は、熱可
塑性樹脂で構成された外層と、高分子ゲルで構成され、
架橋禁止剤が添加された内層とを同時に押し出し成形
し、ついで外層の熱可塑性樹脂を電子線照射によって架
橋したのち、両層を、加熱しつつ熱変形させた状態で急
冷して、熱回復性を付与することを特徴としている。
【0007】かかるこの発明の熱回復性物品において内
層を構成する高分子ゲルは、常温から高温までの広い温
度範囲でゲル状態を維持し、流動しにくい上、上記温度
範囲で柔軟である。このため、熱回復によって被着物に
良好に密着するとともに、この状態で熱変化を受けて
も、外層と被着物との間から流出して両者の間に隙間を
生じることなく、被着物に対する良好な密着を維持す
る。
【0008】よってこの発明の熱回復性物品は、被覆後
に熱変化が生じても、高い気密性、防水性、防蝕性等を
維持できるという、すぐれた特性を有するものである。
また、この発明の熱回復性物品の製造方法によれば、上
記内層と外層とを同時に押し出し成形し、ついで内層に
添加した架橋禁止剤の作用によって、電子線照射時に、
外層のみを選択的に架橋したのち、熱回復性を付与する
という簡単な工程で、上記のようにすぐれた特性を有す
る熱回復性物品を、効率的に製造することができる。
【0009】以下に、この発明を説明する。この発明に
おいて外層を構成する熱可塑性樹脂としては、熱収縮性
チューブ等の熱回復性物品の外層に使用される、従来公
知の種々の熱可塑性樹脂がいずれも使用可能であり、と
くに上記外層用として汎用されているポリオレフィン系
の樹脂が、好適に使用される。
【0010】かかるポリオレフィン系の樹脂としては、
これに限定されないが、たとえば低密度ポリエチレン、
高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレー
ト共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体等
があげられる。これらはそれぞれ単独で使用される他、
2種以上を併用することもできる。
【0011】また上記熱可塑性樹脂には、必要に応じ
て、たとえば酸化防止剤、架橋助剤、充填剤、顔料等の
添加剤を、所定の割合で配合することもできる。一方、
内層を構成する高分子ゲルとしては、天然あるいは合成
の、従来公知の種々の高分子ゲルが、いずいれも使用可
能である。ただし、でんぷん、寒天、ゼラチン、カゼイ
ン等の天然高分子を用いた天然高分子ゲルは、いずれも
耐熱老化性に難点があるため、この発明では合成高分子
を用いた合成高分子ゲルが好適に使用される。
【0012】かかる合成高分子ゲルとしては、液相の種
類によってハイドロゲル(液相:水)、オルガノゲル
(液相:有機溶媒)およびリポゲル(液相:油性溶媒)
があげられるが、このうちとくに、水への溶解が少なく
耐水性にすぐれたオルガノゲルおよびリポゲルが好適に
使用される。上記オルガノゲル、リポゲルを構成する合
成高分子としては、親油性のモノマーを基本単位とした
重合体の、低密度の橋架け体があげられる。かかる橋架
け体としては、重合と同時に橋架け処理したものと、重
合体を後工程で橋架け処理したものがある。
【0013】このうち前者の、重合と同時に橋架け処理
した合成高分子としては、たとえばビニルモノマーと多
官能のビニル化合物(ジビニル化合物等)とを、熱重
合、光重合、あるいは放射線重合した共重合体、たとえ
ばt−ブチルスチレン−ジビニルベンゼン共重合体等
や、あるいはアクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミ
ド等のモノマーをプラズマ開始重合した重合体等があげ
られる。
【0014】また後者の、重合体を後工程で橋架け処理
した合成高分子としては、たとえばエチレン、アクリル
酸またはそのエステル、スチレンまたはその誘導体、ア
クリロニトリル、アクリルアミド等のモノマーの単独重
合体または共重合体、あるいはポリウレタン等を、アク
リル酸、カルボン酸、スルホン酸、グルタミン酸、アミ
ノ酸等で橋架けした、できるだけ親油性のものがあげら
れる。
【0015】かかる、後工程で橋架け処理した合成高分
子の具体例としては、これに限定されないが、たとえば
t−ブチルメタクリレートおよび/またはネオペンチル
メタクリレートの橋架け重合体、メチルメタクリレート
の橋架け重合体等があげられる。さらに、上記以外の合
成高分子としては、ノルボネンを開環重合させたポリノ
ルボネンゴムも好適に使用できる。かかるポリノルボネ
ンゴムは石油系の油に対する吸油性にすぐれるととも
に、吸油状態での強度低下が小さく、ゲル状を呈するた
め、新たなゲル材料として注目されているものである。
【0016】上記合成高分子とともにオルガノゲルを構
成する有機溶媒としては、たとえばシリコーンオイル、
エチレングリコール、ジエチレングリコール等があげら
れる。また合成高分子とともにリポゲルを構成する油性
溶媒としては、たとえばプロセスオイル、大豆油、アク
リルアミド等があげられる。
【0017】高分子ゲルは、合成高分子と有機溶媒また
は油性溶媒との配合量に応じて、その硬度を調整するこ
とができる。前述したように内層を、被着物に対して良
好に密着させるためには、高分子ゲルは柔軟で、その硬
度はあまり高くないのが好ましい。高分子ゲルの硬度
は、この発明においては、JIS K 6301「加硫
ゴム物理試験方法」において規定されたスプリング式硬
さ試験のうちA型硬さ試験機を用いた、いわゆるJIS
A硬さで表すことができ、その好ましい範囲は10〜
50である。
【0018】硬度が上記範囲未満の高分子ゲルは柔らか
すぎて、熱回復後の加熱によって外層と被着物との間か
ら流出しやすく、それによって両者の間に隙間を生じ
て、気密性、防水性、防蝕性等を維持できなくなるおそ
れがある。また上記高分子ゲルは粘着性が高すぎるた
め、たとえば熱収縮チューブの場合には、熱収縮前の保
管時に外力によって押しつぶされると、内層の内面同士
が密着した状態となって、被着物を通す穴が塞がれてし
まうおそれもある。
【0019】さらに、当該高分子ゲルのペレットを押し
出し成形して内層を形成する際には、ペレット同士の融
着が生じて、成形が困難になるおそれもある。一方、硬
度が上記範囲を超えた高分子ゲルは硬すぎて、被着物の
細かな形状に充分に対応しきれなくなり、内層の、被着
物に対する密着性が低下するおそれがある。
【0020】そして、被着物の被覆後に加熱、冷却が繰
り返された際に、外層および被着物の膨張、収縮率の違
いによって内層に応力が作用すると、当該内層が、被着
物から簡単に剥離してしまい、気密性、防水性、防蝕性
等を維持できなくなるおそれがある。なお、高分子ゲル
の硬度は、上記範囲内でもとくに15〜45程度である
のが好ましい。
【0021】上記高分子ゲルには、必要に応じて、たと
えば気化性防さび剤等の添加剤を、所定の割合で配合す
ることもできる。気化性防さび剤は、被着物が金属であ
る場合に、当該金属の腐蝕を防止して、熱回復性物品の
被覆による被着物の防蝕性を向上するために配合され
る。気化性防さび剤の具体的化合物としては、これに限
定されないが、たとえばベンゾトリアゾール、メルカプ
トベンゾチアゾール、シクロヘキシルアミン、ジシクロ
ヘキシルアミン等があげられる。
【0022】かかる気化性防さび剤の配合量は、とくに
限定されないが、高分子ゲル100重量部に対して0.
1〜10重量部であるのが好ましい。気化性防さび剤の
配合量が上記範囲未満では、その添加効果が充分にえら
れないおそれがあり、逆に上記範囲を超えた場合には、
高分子ゲルが変質して、ゲルとしての性質を失うおそれ
がある。
【0023】なお気化性防さび剤の配合量は、上記範囲
内でもとくに0.5〜7重量部であるのが好ましい。ま
た、この発明の製造方法にて内層を形成する場合、高分
子ゲルには、前述したように架橋禁止剤が添加される。
ここでいう架橋禁止剤とは、電子線の照射によって発生
したラジカルをトラップして、高分子ゲルを構成する各
成分を安定化し、それによって高分子ゲルが変質するの
を防止するためのもので、かかる架橋禁止剤としては、
たとえばフェノール系の酸化防止剤やアミン系の老化防
止剤や、あるいはハイドロキノン系の重合禁止剤等があ
げられる。
【0024】上記のうちフェノール系の酸化防止剤とし
ては、これに限定されないが、たとえば4,4′−ブチ
リデンビス−(3−メチル−6−ブチルフェノール)、
2,2′−チオビス−(4−メチル−6−ブチルフェノ
ール)、ヒンダードフェノール類、ヒンダードビスフェ
ノール類等があげられる。またアミン系の老化防止剤と
しては、これに限定されないが、たとえばN,N′−ジ
フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−
N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フ
ェニル−N′−ヘキシル−p−フェニレンジアミン、フ
ェニル−α−ナフチルアミン、ジアリル−p−フェニレ
ンジアミン等があげられる。
【0025】さらにハイドロキノン系の重合禁止剤とし
ては、これに限定されないが、たとえばメチルハイドロ
キノン、エチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキ
ノン、2,5−ジブチルハイドロキノン、2,5−ジ−
t−ブチルハイドロキノン等があげられる。上記のうち
とくにハイドロキノン系の重合禁止剤が、同じ配合量で
の架橋禁止効果にすぐれるため、架橋禁止剤として好適
に使用される。
【0026】かかる架橋禁止剤の配合量は、とくに限定
されないが、高分子ゲル100重量部に対して0.1〜
10重量部であるのが好ましい。架橋禁止剤の配合量が
上記範囲未満では、その添加効果が充分にえられず、紫
外線照射時に高分子ゲルが変質して、ゲルとしての性質
を失うおそれがあり、逆に上記範囲を超えた場合には、
多量の架橋禁止剤自体によって高分子ゲルが変質して、
やはりゲルとしての性質を失うおそれがある。
【0027】なお架橋禁止剤の配合量は、上記範囲内で
もとくに1.0〜7重量部であるのが好ましい。この発
明の熱回復性物品は、種々の方法で製造できるが、とく
に前述したこの発明の製造方法によって製造するのが好
ましい。この発明の製造方法においては、まず外層を構
成する熱可塑性樹脂、および内層を構成する高分子ゲル
を、それぞれ粉状、ペレット状等の、成形に適した形状
に加工した成形材料を用意する。高分子ゲルからなる内
層用の成形材料には、架橋禁止剤が配合される。また内
層用の成形材料には、必要に応じて、前述した気化性防
さび剤を配合してもよい。
【0028】つぎに両成形材料を、たとえばタンデム押
出機等を用いて同時に押し出し成形して、外層と内層の
2層構造とする。つぎにこの2層構造に電子線を照射し
て、内層に添加した架橋禁止剤の作用によって、外層の
みを選択的に架橋する。そして上記2層構造を加熱しつ
つ熱変形(熱収縮チューブの場合は径方向に拡大)させ
た状態で急冷して、外層に熱回復性(熱収縮性)を付与
すると、この発明の熱回復性物品がえられる。
【0029】
【実施例】以下にこの発明を、実施例、比較例に基づい
て説明する。 実施例1 合成高分子としてポリノルボネンゴムを用いた高分子ゲ
ル(JIS A硬さ35)100重量部と、架橋禁止剤
である2,5−ジブチルヒドロキノン3重量部とを混練
し、ペレット化して、内層用の成形材料を製造した。
【0030】また低密度ポリエチレン(密度0.92
0、メルトインデックス0.8)をペレット化して、外
層用の成形材料とした。そして上記両成形材料を、タン
デム押出機で同時に押し出し成形して、外径10.0m
mφ、肉厚1.5mmの外層の内側に、内径5.0mm
φ、肉厚1.0mmの内層を有する2層構造のチューブ
を成形した。
【0031】つぎにこのチューブに、照射線量18Mr
adの電子線を照射して、外層を架橋させた後、160
℃に加熱しつつ内圧を加えて、外径が20.0mmφに
なるまで径方向に拡大させた状態で急冷して、熱回復性
物品としての、実施例1の熱収縮チューブを製造した。 実施例2 架橋禁止剤である2,5−ジブチルヒドロキノンの配合
量を5重量部にするとともに、気化性防さび剤であるジ
シクロヘキシルアミン5重量部を配合したこと以外は、
実施例1と同様にして、内層用の成形材料を製造し、こ
の成形材料を用いたこと以外は実施例1と同様にして、
実施例2の熱収縮チューブを製造した。 比較例1 ホットメルト接着剤であるエチレン−酢酸ビニル共重合
体(JIS A硬さ60)100重量部と、架橋禁止剤
である2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン5重量部と
を混練し、ペレット化して、内層用の成形材料を製造
し、この成形材料を用いたこと以外は実施例1と同様に
して、比較例1の熱収縮チューブを製造した。 比較例2 架橋禁止剤である2,5−ジブチルヒドロキノンを配合
しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、内層用
の成形材料を製造し、この成形材料を用いたこと以外は
実施例1と同様にして、比較例2の熱収縮チューブを製
造した。
【0032】上記各実施例、比較例の熱収縮チューブに
ついて以下の水密試験を行い、その特性を評価した。 水密試験 まず図1(a) に示す分岐接続部を用意した。図の分岐接
続部は、絶縁電線1(ポリ塩化ビニル製の絶縁被覆の外
径5mmφ、銅導体の外径2mmφ)の末端部の被覆を
除去して、銅導体1aを長さ20mmにわたって露出さ
せたものを4本用意し、それを、長さ20mmの接続ス
リーブ2でかしめたものである。なお、上記分岐接続部
における、銅導体1aの合計の露出寸法L1 は50mm
とした。
【0033】つぎに図1(b) に示すように、上記分岐接
続部に、長さ100mmに切断した実施例、比較例の熱
収縮チューブ3を被せ、加熱して熱収縮させて、絶縁電
線1の銅導体1aの露出部を被覆した。そして図1(c)
に示すように上記被覆部を、3%の塩化ナトリウム水溶
液4中に浸漬して、絶縁電線1の銅導体1aと、水溶液
中に浸した銅電極6との間の絶縁抵抗(MΩ)の初期値
を測定した後、水溶液の容器5ごと、−10℃の冷凍機
中に1時間、ついで80℃の恒温槽中に1時間放置する
ヒートサイクルを繰り返し行い、10サイクル後、20
サイクル後、50サイクル後、および100サイクル後
の各時点での絶縁抵抗値(MΩ)を測定した。なお印加
電圧は直流100Vとした。上記試験においては、絶縁
抵抗値が初期値に近いほど、熱収縮チューブは高い防水
性を有し、絶縁抵抗値が初期値に比べて低くなるほど防
水性が低下して、水の侵入が発生していることがわか
る。
【0034】また、100サイクルのヒートサイクルが
終了した時点で各サンプルを分解し、水の侵入の有無を
確認して、熱収縮チューブの防水性を、下記の2段階で
評価した。 ○:水の侵入なし。防水性良好。 ×:水の侵入あり。防水性不良。
【0035】さらに銅導体の変化を目視にて観察して、
熱収縮チューブの防蝕性を、下記の3段階で評価した。 ◎:銅導体は全く変化なし。防蝕性優良。 ○:銅導体はわずかに変色したが、実用上支障なし。防
蝕性良好。 ×:銅導体にさびが発生。防蝕性不良。
【0036】以上の結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】表1より、従来のホットメルト接着剤製の
内層を有する比較例1の熱収縮チューブは、ヒートサイ
クルが10サイクルの時点ですでに絶縁抵抗値が大きく
低下したことから、この時点で防水性が悪化したことが
わかった。また20サイクル後に比較例1の熱収縮チュ
ーブを観察したところ、ホットメルト接着剤が溶け出し
ているのが観察された。さらに100サイクル後の観察
から、比較例1の熱収縮チューブは、ヒートサイクルに
よって防水性、防蝕性が失われたことが確認された。
【0039】また、高分子ゲルに架橋禁止剤を配合しな
かった比較例2の熱収縮チューブは、試験開始前の観察
で、内層が変質して硬くなっているのが観察された。そ
して、ヒートサイクルが20サイクルの時点で絶縁抵抗
値が大きく低下したことから、この時点で防水性が悪化
したことがわかった。さらに100サイクル後の観察か
ら、比較例2の熱収縮チューブは、ヒートサイクルによ
って防水性、防蝕性が失われたことが確認された。
【0040】これに対し実施例1,2の熱収縮チューブ
は、いずれもヒートサイクルが100サイクル後も、初
期とほぼ同じレベルの絶縁抵抗値を有しており、防水性
の悪化はみられなかった。また実施例1,2の熱収縮チ
ューブの内層はいずれも、試験終了後の観察で、試験前
と同程度の柔軟性を維持しており、変質していないこと
がわかった。さらに100サイクル後の観察から、実施
例1,2の熱収縮チューブはいずれも、ヒートサイクル
によって防水性、防蝕性が失われなかったことが確認さ
れた。とくに、内層に気化性防さび剤を配合した実施例
2の熱収縮チューブの場合は、銅導体に全く変化がみら
れず、防蝕性が優良であることがわかった。 実施例3 ポリノルボネンゴム系の高分子ゲルとして、そのJIS
A硬さが15であるものを用いたこと以外は実施例1
と同様にして、実施例3の熱収縮チューブを製造した。 実施例4 ポリノルボネンゴム系の高分子ゲルとして、そのJIS
A硬さが45であるものを用いたこと以外は実施例1
と同様にして、実施例4の熱収縮チューブを製造した。
【0041】上記各実施例の熱収縮チューブについて前
記の水密試験を行い、その特性を評価した。結果を、前
記実施例1の結果と併せて表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】表2より、ポリノルボネンゴム系の高分子
ゲルのJIS A硬さが、前述した10〜50の範囲内
であれば、実施例1とほぼ同程度の防水性、防蝕性がえ
られることがわかった。 実施例5 合成高分子としてメチルメタクリレートの橋架け重合体
を用いた高分子ゲル(JIS A硬さ20)100重量
部と、架橋禁止剤である2,5−ジ−t−ブチルヒドロ
キノン8重量部とを混練し、ペレット化して、内層用の
成形材料を製造した。
【0044】またエチレン−エチルアクリレート共重合
体(エチルアクリレート含量15%、メルトインデック
ス1.5)をペレット化して、外層用の成形材料とし
た。そして上記両成形材料を、タンデム押出機で同時に
押し出し成形して、実施例1と同寸法の、2層構造のチ
ューブを成形した。つぎにこのチューブに、照射線量1
2Mradの電子線を照射して、外層を架橋させた後、
150℃に加熱しつつ内圧を加えて、外径が20.0m
mφになるまで径方向に拡大させた状態で急冷して、実
施例5の熱収縮チューブを製造した。 実施例6 メチルメタクリレート系の高分子ゲルとして、そのJI
S A硬さが40であるものを用いたこと以外は実施例
5と同様にして、実施例6の熱収縮チューブを製造し
た。
【0045】上記各実施例の熱収縮チューブについて前
記の水密試験を行い、その特性を評価した。結果を表3
に示す。
【0046】
【表3】
【0047】表3より、違う種類の熱可塑性樹脂からな
る外層と、高分子ゲルからなる内層の組み合わせでも、
実施例1とほぼ同程度の防水性、防蝕性がえられること
がわかった。
【0048】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明によれ
ば、被覆後に熱変化が生じても、高い気密性、防水性、
防蝕性等を維持できる熱回復性物品が得られる。またこ
の発明の製造方法によれば、上記熱回復性物品を、効率
よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a) は、この発明の実施例、比較例の熱収
縮性チューブにおける防水性、防蝕性を評価するために
使用した分岐接続部の正面図、同図(b) は、上記分岐接
続部に実施例、比較例の熱収縮性チューブを被せて熱収
縮させた状態を示す正面図、同図(c) は、上記分岐接続
部を用いた、実施例、比較例の熱収縮性チューブにおけ
る防水性、防蝕性を評価するための装置の概略図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/16 101 B32B 27/16 101 27/18 27/18 E // B29K 101:12 105:24 B29L 9:00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂の架橋物で構成された、熱回
    復性を有する外層と、高分子ゲルで構成された内層とを
    備えることを特徴とする熱回復性物品。
  2. 【請求項2】内層に気化性防さび剤が配合されている請
    求項1記載の熱回復性物品。
  3. 【請求項3】熱可塑性樹脂で構成された外層と、高分子
    ゲルで構成され、架橋禁止剤が添加された内層とを同時
    に押し出し成形し、ついで外層の熱可塑性樹脂を電子線
    照射によって架橋したのち、両層を、加熱しつつ熱変形
    させた状態で急冷して、熱回復性を付与することを特徴
    とする熱回復性物品の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010194753A (ja) * 2009-02-23 2010-09-09 Hotty Polymer Co Ltd プラスチック基礎製品
JP2016131412A (ja) * 2015-01-13 2016-07-21 三菱重工業株式会社 隔壁貫通ケーブルユニット及びケーブル貫通部耐火耐水圧処理工法

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