JPH0826443A - チェーンの張力設定装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 チェーンの張力を所定の張力に設定する装置
の提供。 【構成】 張力設定装置２０は、チェーンＮが懸回噛合
するスプロケットＳを軸承してチェーンの張力を増減す
る可動枠３１に一端を固着した張力設定ねじ軸２１と、
可動枠を滑動案内する固定台３０に装脱可能に設けられ
張力設定ねじ軸の他端が貫通するスプリング受け台座２
２と、張力調節ねじ軸の他端に螺合された張力設定ナッ
ト２３と、スプリング受け台座と張力設定ナットとの間
に介在する圧縮スプリング２４と張力設定ストッパー２
５とストッパー受け２６とを有し、圧縮スプリングと張
力設定ストッパーの両端はスプリング受け台座とストッ
パー受けとに挟まれて当接している。張力設定ナット２
３を締め込むと、圧縮スプリングはスプリング受け台座
とストッパー受けとの間に張力設定ストッパーが挟持さ
れるまで圧縮され、可動枠をチェーンの張る方向へ牽引
してチェーンに所定の張力を与える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、チェーンの張力を所定
の張力に設定するための装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、スプロケットに噛合して循環移動
するチェーンには、チェーンの張力を調節する張力調節
装置が組み込まれている。この張力調節装置は、図５に
示すように、チェーンＣが懸回噛合するスプロケットＳ
を軸承して固定台１１上を移動可能な可動枠１２に一端
を固着した張力調節ねじ軸１３と、固定台１１に立設さ
れて張力調節ねじ軸１３が貫通する張力保持板１４と、
張力調節ねじ軸１３に螺合し張力保持板１４を挟圧する
一対の張力調節ナット１５，１６とで構成されている。

【０００３】チェーンＣの張力を調節するとき、一方の
張力調節ナット１６を張力保持板１４から離し、他方の
張力調節ナット１５をスパナ、又は、トルクレンチで締
め込むと、可動枠１２は、チェーンＣの張力に抗して図
５において矢印Ａ方向へ移動する。チェーンＣが適切な
張り具合になったとき、一方の張力調節ナット１６を張
力保持板１４に接近させ、張力調節ナット１５とで張力
保持板１４を挟持する。これによって、チェーンＣの張
力を一定に保持しておくことができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
チェーン張力調節装置１０は次の問題点を有している。 (1) スパナでナット１５を締め込む場合、作業員の感に
頼った締め込みになるため、チェーンを所定の張力に調
節することが困難である。 (2) 又、感に頼って調節を行なう場合、調節中に、何回
かチェーンを循環移動させて、チェーンの張り具合を確
認する必要があり、チェーンの張力調節に時間を要す
る。 (3) トルクレンチを使用してナット１５を締め込む場
合、トルクレンチの値を誤った値にセットする恐れがあ
り、誤った張力に調節される場合がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、チェーンが懸
回噛合するスプロケットを軸承してチェーンの張力を増
減する可動枠に一端を固着した張力設定ねじ軸と、前記
可動枠を滑動案内する固定台に装脱可能に設けられ前記
張力設定ねじ軸の他端が貫通するスプリング受け台座
と、前記張力調節ねじ軸の他端に螺合された張力設定ナ
ットと、前記スプリング受け台座と張力設定ナットとの
間に介在する圧縮スプリングと張力設定ストッパーとス
トッパー受けとを有し、前記圧縮スプリングと前記張力
設定ストッパーの両端は前記スプリング受け台座と前記
ストッパー受けとに挟まれて当接するチェーンの張力設
定装置により、前記の課題を解決した。

【０００６】

【作用】チェーンが緩んだ状態から張力設定ナットを締
め込む。圧縮スプリングはスプリング受け台座とストッ
パー受けとの間で圧縮される。圧縮された圧縮スプリン
グは、ストッパー受け、張力設定ナット、張力設定ねじ
軸を介して可動枠をチェーンの張る方向へ牽引する。

【０００７】張力設定ナットは、スプリング受け台座と
ストッパー受けとで張力設定ストッパーを挟持した時点
で、締め込みが規制される。このため、圧縮スプリング
は、張力設定ストッパーの長さより短く圧縮されること
がなく、常時、張力設定ストッパーの長さと同じ長さに
圧縮される。この圧縮された長さに対応する弾力がチェ
ーンに与える所定の張力となる。

【０００８】従って、張力設定ストッパーの長さを、チ
ェーンに最適な張力を与える圧縮スプリングの長さに相
当する長さに設定しておくことによって、チェーンの張
力は、常時、一定の値に設定される。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１乃至図４に基づ
いて説明する。チェーンの張力設定装置２０は、ニード
ルブシュチェーン（以下、単に「チェーン」と称す
る。）Ｎの所定の張力に設定する装置である。張力設定
装置２０（図１参照）は、張力設定ねじ軸２１、スプリ
ング受け台座２２、張力設定ナット２３、圧縮スプリン
グ２４、張力設定ストッパー２５、ストッパー受け２
６、設定張力保持板２７等で構成されている。

【００１０】床Ｆに設置された固定台３０上には、設定
張力保持板２７が突設されているとともに、可動枠３１
が図１の左右方向に移動自在に設けられている。可動枠
３１にはチェーンＮが懸回されたスプロケットＳが軸承
されている。

【００１１】張力設定ねじ軸２１（図１参照）は、可動
枠ねじ軸３２と、この可動枠ねじ軸３２に着脱自在な着
脱ねじ軸３３とで構成されている。可動枠ねじ軸３２
は、可動枠３１に溶接によって固着され、固定台３０に
固着された設定張力保持板２７を貫通している。可動枠
ねじ軸３２には、設定張力保持板２７を挟持する一対の
挟持ナット３８，３９が螺合している。着脱ねじ軸３３
には、可動枠ねじ軸３２に螺合する雌ねじ３４が形成さ
れた連結筒３５が溶接によって固着されている。連結筒
３５と可動枠ねじ軸３２とには連結ピン３６が貫通して
いる。

【００１２】なお、張力設定ねじ軸２１は、図４に示す
張力設定ねじ軸１２１のように１本で形成されていても
よい。

【００１３】スプリング受け台座２２（図２参照）は、
張力設定ねじ軸２１が貫通しており、一対の取付ねじ３
７，３７によって固定台３０に装脱可能に設けられてい
る。張力設定ナット２３は着脱ねじ軸３３に螺合してい
る。スプリング受け台座２２と張力設定ナット２３と間
には、圧縮スプリング２４、張力設定ストッパー２５、
ストッパー受け２６が介在している。張力設定ストッパ
ー２５は、円筒状に形成され、圧縮スプリング２４を内
在している。ストッパー受け２６は円板状に形成されて
いる。

【００１４】なお、張力設定装置２０は、図３に示すよ
うに、連結ピン３６を抜いて可動枠ねじ軸３２と着脱ね
じ軸３３とを分離し、一対の取付ねじ３７，３７を取り
外してスプリング受け台座２２を固定台３０から分離す
ることによって、着脱ねじ軸３３、スプリング受け台座
２２、張力設定ナット２３、圧縮スプリング２４、張力
設定ストッパー２５、ストッパー受け２６を固定台３０
から取り外すことができるようになっている。

【００１５】次に、チェーンＮの張力を所定の張力に設
定する手順について説明する。通常、着脱ねじ軸３３
は、図３に示すように、可動枠ねじ軸３２から取り外さ
れている。このため、チェーンＮの張力を調節する場
合、スプリング受け台座２２を一対の取付ねじ３７，３
７によって固定台３０に取り付けるとともに、連結筒３
５を可動枠ねじ軸３２に螺合する。そして、連結ピン３
６を差し込み、着脱ねじ軸３３が可動枠ねじ軸３２に対
して回転しないようにする。

【００１６】その後、挟持ナット３８，３９を設定張力
保持板２７から離間させ、張力設定ナット２３を締め込
む。張力設定ナット２３を締め込むと、圧縮スプリング
２４はスプリング受け台座２２とストッパー受け２６と
の間で圧縮される。圧縮された圧縮スプリング２４は、
ストッパー受け２６、張力設定ナット２３、張力設定ね
じ軸２１を介して可動枠３１をチェーンＮの張る方向
（図１中、矢印Ｂ）へ牽引する。

【００１７】張力設定ナット２３は、スプリング受け台
座２２とストッパー受け２６とで張力設定ストッパー２
５を挟持した時点で、締め込みが規制される。このた
め、圧縮スプリング２４は、常時、張力設定ストッパー
２５の長さと同じ長さに圧縮され、張力設定ストッパー
２５の長さより短く圧縮されることがない。この圧縮さ
れた長さに対応する弾力がチェーンＮに与える所定の張
力となる。このため、張力設定ストッパー２５の長さを
チェーンＮに最適な張力を与える圧縮スプリング２４の
長さに相当する長さに設定しておくことによって、圧縮
スプリング２４は、チェーンＮに所定の張力を与えるこ
とができる。

【００１８】張力設定ナット２３の締め込みが終了した
時点で、可動枠ねじ軸３２上の一対の挟持ナット３８，
３９で設定張力保持板２７を挟持し、可動枠ねじ軸３２
を設定張力保持板２７を介して固定台３０に固定する。
さらに、４本の固定ボルト４０を締め込む。これによっ
て、可動枠３１は固定台３０に固定され、チェーンＮの
張力は設定された張力に保持される。

【００１９】可動枠３１を固定台３０に固定した後、張
力設定ナット２３を緩め、一対の取付ねじ３７，３７を
外し、連結ピン３６を張力設定ねじ軸２１から抜き取
り、連結筒３５の部分を回転させて着脱ねじ軸３３を可
動枠ねじ軸３２から外すことによって、図３に示すよう
に、着脱ねじ軸３３と可動枠ねじ軸３２とに分離され、
チェーン駆動に不必要な部品が固定台３０から取り外さ
れる。

【００２０】なお、張力設定ねじ軸２１が図４に示すよ
うに１本の場合は、固定台３０に張力設定装置１２０が
取りけられたままになっていることは勿論である。又、
ニードルブシュチェーンＮは、ピンとブシュ間にニード
ルベアリングが組み込まれており摩耗による伸びの少な
いチェーンである。このため、ニードルブシュチェーン
Ｎは、従来から、例えば、停止、起動が頻繁に繰り返さ
れるタクト運転が行なわれるような場所で使用されてい
る。そして、このニードルブシュチェーンＮは、チェー
ンＮの張り具合がきつ過ぎると摩耗が生じて伸びること
がある。又、逆に緩いと正確なタクト運転ができなくな
る。

【００２１】従って、張力設定装置２０，１２０は、作
業員の感に頼った締め込み、或いは、トルクレンチの設
定値のセット誤りによる締め込みがなくなり、チェーン
に所定の張力を与えることができ、ニードルブシュチェ
ーンＮの特長を生かした使い方ができる。なお、張力設
定装置２０，１２０は、ニードルブシュチェーンのみな
らず、他の種のチェーンにおいても、張力を所定の張力
に設定することができることは勿論である。

【００２２】

【発明の効果】請求項１の張力設定装置は、張力設定ナ
ットの締め込み量を張力設定ストッパーによって規制
し、圧縮スプリングが所定の長さに圧縮されるようにし
てあるため、チェーンの張力を所定の張力に速やかに且
つ誤差が殆ど生じることなく設定することができる。請
求項２の張力設定装置のように、一対の挟圧ナットによ
って張力設定ねじ軸を設定張力保持板に固定すると、チ
ェーンの張力を設定した後の可動枠の移動を防止するこ
とができ、チェーンの張力を長期間略々一定に保持して
おくことができる。請求項３の張力設定装置のように、
一対の挟圧ナットによって可動枠ねじ軸を設定張力保持
板に固定し、着脱ねじ軸、圧縮スプリング、張力設定ス
トッパー等を取り外すことができるようにすると、チェ
ーンの張力を設定した後、チェーン駆動に不必要な部品
が固定台から取り外し、スプロケット周辺の構造を簡素
にすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例の張力設定装置の正面図であ
り、一部分断面で表わした図である。

【図２】 図１の平面図であり、一部分断面で表わした
図である。

【図３】 着脱ねじ軸を可動枠ねじ軸から取り外した状
態の張力設定装置の正面図である。

【図４】 他の実施例の張力設定装置の正面図である。

【図５】 従来の張力調節装置である。

【符号の説明】

Ｎ ニードルブシュチェーン（チェーン） Ｓ ス
プロケット ２０，１２０ 張力設定装置 ２１，１２１
張力設定ねじ軸 ２２ スプリング受け台座 ２３ 張力設
定ナット ２４ 圧縮スプリング ２５ 張力設
定ストッパー ２６ ストッパー受け ２７ 設定張
力保持板 ３０ 固定台 ３１ 可動枠 ３２ 可動枠ねじ軸 ３３ 着脱ね
じ軸 ３８，３９ 挟持ナット

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 チェーンが懸回噛合するスプロケットを
   軸承してチェーンの張力を増減する可動枠に一端を固着
   した張力設定ねじ軸と、前記可動枠を滑動案内する固定
   台に装脱可能に設けられ前記張力設定ねじ軸の他端が貫
   通するスプリング受け台座と、前記張力調節ねじ軸の他
   端に螺合された張力設定ナットと、前記スプリング受け
   台座と張力設定ナットとの間に介在する圧縮スプリング
   と張力設定ストッパーとストッパー受けとを有し、前記
   圧縮スプリングと前記張力設定ストッパーの両端は前記
   スプリング受け台座と前記ストッパー受けとに挟まれて
   当接することを特徴とする、チェーンの張力設定装置。
2. 【請求項２】 前記固定台は、前記張力設定ねじ軸が貫
   通し且つ前記張力設定ねじ軸に螺合された一対の挟圧ナ
   ットによって挟持される設定張力保持板を具えた、請求
   項１のチェーンの張力設定装置。
3. 【請求項３】 前記張力設定ねじ軸は、前記固定台に具
   えられた設定張力保持板を貫通して前記可動枠に固着さ
   れ且つ螺合された一対の挟圧ナットで前記設定張力保持
   板を挟持して前記設定張力保持板に固定される可動枠ね
   じ軸と、該可動枠ねじ軸に着脱自在に連結され前記スプ
   リング受け台座を貫通して前記圧縮スプリングと前記張
   力設定ストッパーと前記ストッパー受けとを具えた着脱
   ねじ軸とを有する、請求項１のチェーンの張力設定装
   置。