JPH0826387B2 - 転炉内のスラグレベル計測方法及び装置 - Google Patents

転炉内のスラグレベル計測方法及び装置

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JPH0826387B2
JPH0826387B2 JP2081314A JP8131490A JPH0826387B2 JP H0826387 B2 JPH0826387 B2 JP H0826387B2 JP 2081314 A JP2081314 A JP 2081314A JP 8131490 A JP8131490 A JP 8131490A JP H0826387 B2 JPH0826387 B2 JP H0826387B2
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伸二 栗山
昌紀 狛谷
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    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N1/00Sampling; Preparing specimens for investigation
    • G01N1/02Devices for withdrawing samples
    • G01N1/10Devices for withdrawing samples in the liquid or fluent state
    • G01N1/12Dippers; Dredgers
    • G01N1/125Dippers; Dredgers adapted for sampling molten metals

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、転炉精錬中におけるスロッピングの発生
を予知するための転炉内のスラグレベル計測方法及び装
置に関するものである。
[従来の技術] 転炉の精錬中に、スラグの組成及び粘性、ならびにス
ラグ中の酸素量等の諸条件により、転炉内の溶鋼表面に
浮いているスラグがフォ−ミングする。このようなスラ
グのフォーミングが過度に進行すると、いわゆるスロッ
ピングが発生し、溶鋼成分、全出鋼歩留まり等に悪影響
を与える。さらに、スロッピングが発生すると作業効率
の低下、排ガスのカロリーの低下、赤煙発生等の作業環
境の悪化及び装置の損傷等の問題が生じる。
一方、スラグのスロッピング防止の観点からは、スラ
グフォーミング抑制剤の投入、あるいは排ガス発生量低
減策としてのランス送酸量の絞り込みが考えられる。ス
ラグフォーミング剤の過剰な投入はコストの上昇及び炉
内温度の低下による熱効率の悪化をもたらし、一方送酸
量の低減は反応効率の低下による操業時間の長期化、す
なわち生産性の悪化が問題となる。
したがって、スロッピングの発生を防止するために
は、単なるスロッピング予知だけではなく、転炉内のス
ラグのレベルを定量的に的確に把握して適正な転炉操業
を行なう必要がある。
このため、転炉内のスラグレベルを定量的に計測する
技術が考えられており、その従来技術としては、粉塵、
火炎の存在する転炉内の計測環境条件下でも直進して伝
播するマイクロ波を利用したレーダ方式のレベル計が主
に試みられている。
従来の、マイクロ波レーダ方式によるスラグのレベル
計の一例として特開昭63-21584号公報に開示されたもの
がある。第6図はこの発明の説明図で、(1)は転炉炉
体、(2)は溶鋼、(3)はスラグ、(4)は煙道、
(5)はフード、(6)はランスである。この転炉にお
いて、搬送周波数10GHz程度のマイクロ波FMCW方式のレ
ーダ(11)のアンテナ(12)を転炉炉体(1)の上方に
固定し、スラグ(3)の表面に向けてマイクロ波を送信
し、この信号がスラグ(3)の表面で反射して再びアン
テナ(12)で受信されるまでの往復の伝播時間を計測
し、これを距離に換算するものである。
また、本発明の出願人の出願に係る特願昭63-250784
号には第7図に示すように、フォーミングしたスラグ
(3)の表面のマイクロ波に対する反射率が小さく、前
述のFMCW方式のレーダでは感度が不足する問題点を改善
するために、搬送波周波数10GHz程度のマイクロ波疑似
ランダム信号処理方式のレーダ(13)を採油し、その水
冷アンテナ(15)を転炉の上方から水冷導波管(14)の
先端に取り付けて転炉内に挿入し、スラグ(3)の表面
に向けてマイクロ波を送信し、この信号がスラグ(3)
の表面で反射して再び水冷アンテナ(15)で受信される
までの往復の伝播時間を計測し、これを距離に換算する
装置が提案されている。
[発明が解決しようとする課題] 以上のような従来技術では、いずれもアンテナ(1
2),(15)を取り付けるため、アンテナを固定する場
所、あるいはアンテナを挿入するための専用の穴を転炉
の上方にあるフード(5)に確保する必要がある。しか
し、フード(5)にアンテナを取り付けるための工事を
施すことは、転炉の付帯設備、例えばメインランス、サ
ブランス、副原料投入ホッパやダクト等が高密度に設置
されているのでスペースの取り合いが煩雑であり、設備
投資費の上昇をまねく。特に、既設の転炉に改造を加え
てアンテナを取り付ける場合や、最近では排熱回収によ
る省エネルギ策としてフード(5)にボイラの配管が施
されている場合には、フードの改造費が極めて高くなる
という問題がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされ
たもので、転炉の吹錬後期に転炉内に挿入するためのサ
ブランスの挿入穴とアンテナの挿入穴とを共用にして、
転炉の吹錬期内にアンテナとサブランスとを交替して使
用できる転炉内のスラグレベル計測方法及び装置を得る
ことを目的とする。
[課題を解決するための手段] この発明に係る転炉内のスラグレベル計測方法は、転
炉の上方から、サブランスとマイクロ波レーダ方式のス
ラグレベル計が接続された水冷アンテナとを交換可能に
して、どちらかが転炉内に挿入されるようにし、転炉吹
錬中の前期と中期には水冷アンテナを転炉内に挿入して
スラグレベルを計測し、吹錬後期には、サブランスを転
炉内に挿入するようにしたものである。
また、この発明に係る転炉内のスラグレベル計測装置
は、転炉の上方において粱にそれぞれ回動かつ昇降可能
に取付けたサブランス及び水冷アンテナと、この水冷ア
ンテナに接続されたマイクロ波レーダ方式のスラグレベ
ル計とから成り、サブランスと水冷アンテナとはその位
置を交換でき、その何れか一方を転炉のフードの共通の
穴を介して転炉内に挿入しうるようにしたものである。
さらに、上記装置におけるマイクロ波レーダ方式のス
ラグレベル計は、疑似ランダム信号で変調したマイクロ
波を送信して、スラグ表面から反射波を受信し、このマ
イクロ波の往復伝播時間を計測してこれを距離に換算す
るようにしたものである。
[作用] サブランスは、転炉内に挿入されて溶鋼の温度の計
測、溶鋼のサンプルの取得、スラグのサンプルの取得等
を行なう。
水冷アンテナとマイクロ波レーダで構成されたスラグ
レベル計は、アンテナからマイクロ波を送信し、これが
スラグ表面で反射して戻ってきた反射波をアンテナで受
信し、このマイクロ波の往復の伝播時間を計測してこれ
に空中のマイクロ波の伝播速度を勘案し、距離に換算す
ることによりスラグのレベルを計測する。
サブランスと水冷アンテナはそれぞれ粱に回動かつ昇
降可能に取付けられているので、これらを回動させるこ
とによりそれぞれの位置を短時間に交換でき、必要に応
じてサブランス又は水冷アンテナを転炉内に挿入でき
る。
そこで、転炉の吹錬の前期と中期の比較的スロッピン
グが生じやすい期間は、転炉内に水冷アンテナを挿入し
てスラグレベルを計測し、スロッピングの予知を行な
う。一方、スラグレベルが低く安定している吹錬の後期
では、スロッピングは発生しないが溶鋼の成分や温度な
どの情報を得る必要が生じるので、サブランスを転炉内
に挿入して溶鋼温度計測やサンプリングを行なう。
[発明の実施例] 第1図(a)はこの発明の一実施例を断面で示した模
式図、(b)はその平面図である。
図において、(1)は転炉炉体、(2)は溶鋼、
(3)はスラグ、(4)は煙道、(5)はフード、(2
4)は排熱回収のためのフード(5)の内壁に設けられ
たボイラ配管、(6)はランスで、フード(5)に設け
られた穴(26)を通して転炉内に挿入されている。(1
6)はマイクロ波疑似ランダム信号処理レーダ方式のス
ラグレベル計(以下スラグレベル計という)で、導波管
(14)を介して送信アンテナ(17)と受信アンテナ(1
8)に接続されており、これらのアンテナはフード
(5)に設けた穴(25)を通して転炉内に挿入され、転
炉内のスラグ(3)のレベルを計測する。アンテナ(1
7)と(18)が取付けられた導波管(14)は、電動モー
タを使用した昇降器(22)で昇降でき、蝶番(21)と電
動モータによる回転装置(23)により回動できる。(2
0)は粱で、回転装置(23)と蝶番(21)を支持してい
る。サブランス(7)も、その昇降装置(22a)、蝶番
(21a)、回転装置(23a)により、フード(5)に設け
た穴(25)を通して、炉内への挿入と炉外への退避がで
きるようになっている。
上記のように、アンテナ(17),(18)とサブランス
(7)とは、何れか一方を炉内に挿入でき、これらの交
換は短時間で行なえる。
フォーミングしたスラグのマイクロ波に対する反射率
は、10-4以下と極めて小さいので、従来のFMCW方式のマ
イクロ波レーダでは十分な感度が得られず、高感度のマ
イクロ波レーダが必要となる。そこで、本発明では、疑
似ランダム信号でマイクロ波を変調した信号を利用する
ことにより感度を高めたレーダを使用した。そのスラグ
レベル計の構成を第2図に示す。これは、前述の特願昭
63-250784号で提案した距離測定法およびその装置と同
じ技術思想に基づくものである。
第2図において、(31)は搬送波発信器、(32)は分
配器、(33)は乗算器、(34)は送信器、(35)はハイ
ブリッド結合器、(36),(37)はクロック発生器、
(38),(39)は疑似ランダム信号発生器、(40)は乗
算器、(41)はローパスフィルタ、(42)は受信器、
(43)は乗算器、(44)は分配器、(45),(46)は乗
算器、(47),(48)はローパスフィルタ、(49),
(50)は二乗器、(51)は加算器、(52)は時間測定
器、(53)は距離換算器である。
第3図は第2図の動作を説明するための波形図、第4
図は7ビットのM系列信号発生器の構成図であり、(5
5)は7段構成のシフトレジスタ、(56)は排他的論理
和回路である。
次に第3図及び第4図を参照して第2図のスラグレベ
ル計(16)の動作を説明する。疑似ランダム信号発生器
(38),(39)は例えばM系列信号発生器が使用でき
る。第4図は7ビットのM系列信号発生器の構成を示し
ており、例えばECL(エミッタ・カップル・ロジック)
素子による7段構成のシフトレジスタと、排他的論理和
回路(56)により構成される。M系列信号は符号の“1"
(正電圧の+Eが対応する)と“0"(負電圧の−Eが対
応する)の組み合せによる周期性循還信号であり、本実
施例の7ビットの場合、27−1=127個(127チップとも
いう)の信号を発生すると1周期が完了し、この周期を
繰り返した循還信号を発生する。疑似ランダム信号発生
器(38),(39)は同一回路で構成されるため、両者の
出力信号は全く同一パターンの信号となる。ただし、供
給されるクロック周波数がわずかに異なるためその1周
期もわずかに異っている。また疑似ランダム信号として
はM系列信号以外にも、ゴールド系列信号、JPL系列信
号を使用することができる。
クロック発生器(36),(37)は共に水晶発振子を内
蔵し、十分周波数の安定したクロック信号を発生する
が、その発生周波数がわずかに異っている。本実施例で
はクロック発生器(36)の発生周波数f1は100.004MHz、
クロック発生器(37)の発生周波数f2を99.996MHzと
し、その周波数差をf1-f2=8kHzとしている。クロック
発生器(36)及び(37)からそれぞれ出力されるクロッ
ク信号f1及びf2は、それぞれ疑似ランダム信号発生器
(38)及び(39)に供給される。疑似ランダム信号発生
器(38)及び(39)は、駆動用クロック信号の周波数差
によりそれぞれの1周期がわずかに異なるが、同一パタ
ーンのM系列信号M1及びM2を出力する。いま2つのM系
列信号M1及びM2の周期を求めると、 M1の周期=127×1/100.004MHz≒1269.9492ns M2の周期=127×1/99.996MHz ≒1270.0508ns となる。即ち2つのM系列信号M1及びM2は約1270ns(10
-9秒)の周期を有すが、両者の周期には約0.1nsの時間
差がある。それ故この2つのM系列信号M1及びM2を循還
して発生させ、ある時刻taで2つのM系列信号のパター
ンが一致したとすると、1周期の時間経過毎に0.1nsの
ずれが両信号間に生じ、100周期後には10nsのずれが両
信号間に生ずる。ここでM系列信号は1周期1270nsに12
7個の信号を発生するので、1信号の発生時間は10nsで
ある。従って2つのM系列信号M1及びM2間に10nsのずれ
が生ずるということは、M系列信号が1個分ずれたこと
に相当する。疑似ランダム信号発生器(38)の出力M1
乗算器(40)及び(33)に、また疑似ランダム信号発生
器(39)の出力M2は乗算器(40)及び(43)にそれぞれ
供給される。
搬送波発生器(31)は例えば周波数約17GHzのマイク
ロ波を発振し、その出力信号は分配器(32)により分配
され、乗算器(33)及びハイブリッド結合器(35)に供
給される。乗算器(33)は例えばダブルバランスドミク
サにより構成され、分配器(32)より入力される周波数
約17GHzの搬送波と、疑似ランダム信号発生器(38)よ
り入力されるM系列信号M1との乗算を行ない、搬送波を
位相変調したスペクトル拡散信号を出力し、送信器(3
4)へ供給する。送信器(34)は入力されたスペクトル
拡散信号を電力増幅し、送信アンテナ(17)を介して電
磁波に変換し、転炉(1)内に向けて放射する。
ここで周波数17GHzの電磁波の空中での波長は約1.8cm
であり、転炉(1)内の粉塵や煙の粒子に比べて十分長
いので、粉塵等の影響を受けにくく、しかも波長が短い
のでアンテナの小形化に有利である。また送信アンテナ
(17)及び受信アンテナ(18)は例えばホーンアンテナ
を用い、指向性を鋭く絞ることによりスラグ面以外から
の反射電力を可及的に小さくしている。なお、アンテナ
ゲインは例えばいずれも約20dB程度である。
送信アンテナ(17)から転炉(1)内に向けて放射さ
れた電磁波はスラグ面で反射され、受信アンテナ(18)
を介して電気信号に変換され受信器(42)へ入力され
る。受信器(42)へ入力信号が供給されるタイミング
は、当然送信アンテナ(17)から電磁波が放射されたタ
イミングから、電磁波が転炉(1)内のスラグレベルま
での距離を往復し、受信アンテナ(18)に到達するまで
の電磁波の伝播時間だけ遅延している。受信器(42)は
入力信号を増幅し乗算器(43)へ供給する。
一方、乗算器(40)に疑似ランダム信号発生器(38)
及び(39)からそれぞれ入力されたM系列信号M1及びM2
は乗算され、その乗算値の時系列信号はローパスフィル
タ(41)へ供給される。第3図の(ア)はこのローパス
フィルタ(41)への入力信号、即ち、乗算器(40)の乗
算値である時系列信号を示した波形であり、乗算器(4
0)へ入力される2つの疑似ランダム信号の位相が一致
している場合は+Eの出力電圧が継続するが、両信号の
位相が一致していない場合は+Eと−Eの出力電圧がラ
ンダムに発生する。
ローパスフィルタ(41),(47),(48)は周波数の
帯域制限を行なうことにより一種の積分機能を有し、両
信号の相関演算値の積分信号として両信号の位相が一致
している場合には、第3図の(イ)に示すようなパルス
状信号を出力する。また両信号の位相が不一致の場合に
は出力は零となる。従ってローパスフィルタ(41)の出
力には周期的にパルス状信号が発生する。このパルス状
信号は時刻の基準信号として時間測定器(52)へ供給さ
れる。この基準信号の周期TBは、本実施例の場合は疑似
ランダム信号を7ビットのM系列信号M1及びM2としたの
で、1周期の波数Nは27−1=127であり、f1=100.004
MHz、f2=99.996MHzであるので、TB=15.875msとなる。
この基準信号とその周期TBは第3図の(エ)に示され
る。
また、乗算器(43)へは受信器(42)からの受信信号
と、疑似ランダム信号発生器(39)からのM系列信号M2
が入力され、両信号の乗算が行なわれる。この乗算器
(43)の乗算結果は、第1のM系列信号M1により送信用
搬送波が位相変調される受信信号の被変調位相と、第2
のM系列信号M2の位相が一致している場合は位相の揃っ
た搬送波信号として出力され、受信信号の被変調位相と
M系列信号M2の位相が異なるときには、位相のランダム
な搬送波として出力され、分配器(44)へ供給される。
分配器(44)は入力信号を2つに分配し、その分配出
力R1及びR2をそれぞれ乗算器(45)及び(46)へ供給す
る。分配器(32)より送信用搬送波の一部が供給された
ハイブリッド結合器(35)は、入力信号に対して同相成
分の(位相0度の)信号Iと、直角成分の(位相90度
の)信号Qとを出力し、それぞれ乗算器(45)及び(4
6)へ供給する。乗算器(45)はハイブリッド結合器(3
5)より入力する信号I(即ち搬送波発振器(31)の出
力と同相の信号)と、分配器(44)より入力する前記信
号R1との乗算を行ない、同様に乗算器(46)は入力する
信号Q(即ち搬送波発振器(31)の出力と90度位相の異
なる信号)と前記信号R2との乗算を行ない、それぞれ受
信信号中の位相0度成分(I・R1)と位相90度成分(Q
・R2)とを抽出し、被検波信号として出力する。この被
検波信号としての信号I・R1とQ・R1はそれぞれローパ
スフィルタ(47)及び(48)へ供給される。
ローパスフィルタ(47)及び(48)は周波数の帯域制
限を行なうことにより積分機能を有し、2信号の相関演
算値の積分を行なう。即ち、乗算器(43)の出力より分
配器(44)を介して乗算器(45)に入力する前記信号R1
と、ハイブリッド結合器(35)より乗算器(45)に入力
する前記信号Iの位相が一致したとき、同様に乗算器
(46)に入力する前記信号R2と信号Qの位相が一致した
とき、乗算器(45)及び(46)の出力信号はそれぞれ一
定極性のパルス信号(電圧+Eのパルス信号)となり、
この信号を積分したローパスフィルタ(47)及び(48)
の出力には大きな正電圧が得られる。また前記信号R1
信号Iの位相が不一致のとき、及び前記信号R2と信号Q
の位相が不一致のときは、乗算器(45)及び(46)の出
力信号はそれぞれランダムに変化する正負両極性のパル
ス信号(即ち電圧+Eと−Eのパルス信号)となり、こ
の信号を積分したローパスフィルタ(47)及び(48)の
出力は零となる。
ローパスフィルタ(47)及び(48)により上記の如く
積分処理された位相0度成分と、位相90度成分の信号
は、それぞれ2乗器(49)及び(50)に供給される。2
乗器(49)及び(50)はそれぞれ入力信号の振巾を2乗
演算し、その演算結果の出力信号を加算器(51)に供給
する。加算器(51)は両入力信号を加算して第3図の
(ウ)に示すようなパルス状検出力信号を出力し、時間
測定器(52)に供給する。いまこの検出信号の最大値発
生時刻をtbとする。このように受信信号とM系列信号M2
との相関処理により得られた信号から送信用搬送波の位
相0度成分と位相90度成分をそれぞれ検波し、この被検
波信号をそれぞれ積分処理後2乗演算し、この一対の2
乗値の和としてスラグレベル検出信号を得る方式は構成
が多少複雑であるが、高感度のスラグレベル検出信号を
得ることができる。また、M系列信号のような疑似ラン
ダム信号の相関出力を得るようにしているので雑音の影
響を低減して信号を強調するため、信号対雑音比(S/
N)の高いスラグレベル計測装置を実現することができ
る。勿論搬送波の検波方式としてはクリスタルを用いた
検波方式があり、感度は低下するが構成が単純化される
ので、仕様及びコストによりこの方式を採用することも
できる。
時間測定器(52)はローパスフィルタから入力される
基準信号の最大値の発生時刻taと、加算器(51)から入
力される検出信号の最大値の発生時刻tbとの間の時間TD
を測定する。このため時間測定器(52)は2つの入力信
号の最大値発生時刻を検出する機能を有する。例えば、
入力電圧値をクロック信号により逐次サンプルホールド
して、現在のクロック信号によるサンプル値とクロック
信号の1つ前のサンプル値とを電圧比度器により逐次比
較して、入力信号の時間に対する増加状態から減少状態
に反転する時刻を検出することにより、入力信号の最大
値発生時刻を検出することができる。前記時間TDは第3
図(エ)に示す基準信号の最大値発生時刻taと、(ウ)
に示す検出信号の最大値発生時刻tbとの間の時間として
示される。この時間TDは、実際に電磁波が送信及び送信
アンテナ(17)及び(18)と、スラグの表面との間の距
離を往復する伝播時間τのf1/(f1-f2)倍だけ時間的に拡
大されて得られる。本実施例の場合、f1=100.004MHz、
f2=99.996MHzなので、12.500倍に時間が拡大され、次
式が得られる。
TD=12.500τ …[1] なお、[1]式の時間TDは、前記基準信号の周期TBごと
に得られる。
このように、この発明は計測時間がきわめて大きく拡
大されているので、転炉(1)内のスラグレベルを短距
離から精度よく計測することができる。したがって送信
及び受信アンテナ(17),(18)から転炉(1)内のス
ラグ面までの距離xメートルを[1]式により求める
と、次式が得られる。
x=(f1-f2)/2f1・v・TD=1.2×104・TD …[2] 送信アンテナ(17)と受信アンテナ(18)は、ひとつ
で共用することもできるが、本実施例では、信号系統の
混信を低減するために個別にアンテナを設けた。それぞ
れのアンテナの大きさは直径100mmの小型のアンテナと
して、フード(5)に設けた直径270mmの小さな穴を通
じて出入りできるようにした。
このスラグレベル計により、精度100mm、応答速度3
秒で転炉内のスラグレベルを計測することができた。
次に、第5図によりサブランス(7)とアンテナ(1
7),(18)との炉内挿入切り替え方法について述べ
る。まず、着火から溶滓期及び脱炭最盛期にかけては、
スラグレベル計(16)のアンテナ(17),(18)を転炉
内に挿入してスラグレベルを計測し、スロッピングの予
知を行なう。その後の低炭期には、サブランス(7)を
炉内に挿入して、溶鋼の温度計測、サンプリングを行な
う。すなわち、着火から約6分までの溶滓期では異常反
応によりスロッピングのおそれがあり、またその後の脱
炭最盛期にはスラグレベルが比較的高くなるのでスロッ
ピングのおそれがある。そこでスラグレベルを計測し
て、スラグレベルが急激に上昇する場合やスラグレベル
が所定の位置よりも高い場合には、炉内にコークス粉や
石灰石などのフォーミング防止剤を投入することとし
た。着火から約11分経過すると、精錬は低炭期となり、
スラグレベルは低く安定してスロッピングのおそれが無
くなるが、今度は精錬後期としての溶鋼温度測定や溶鋼
成分調整のためのサンプリングの必要性が生じるので、
炉内にサブランス(7)を挿入する。
以上説明した実施例では、それまで9%程度のスロッ
ピング率であったのを1%以下に低減することができ
た。
[発明の効果] 以上説明したように、この発明によれば、サブランス
とスラグレベル計のアンテナとを、転炉のフードに設け
た共用の穴を通じて短時間に交換しながら挿入するよう
にしたので、設備化が容易で、特に既設の転炉への改造
取り付けが簡単になる。また、スロッピングのおそれの
ある期間に転炉内のスラグレベルを計測することにより
スラグの状態が正確に把握され、スロッピングの発生を
的確に予知することができるので、スロッピング抑制措
置によってスロッピングを防止することができる。この
結果、効率の良い転炉精錬が実現できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)はこの発明の一実施例を模式的に示した断
面図、(b)はその平面図、第2図はこの発明の要部を
なすスラグレベル計の構成を示すブロック図、第3図は
その動作を説明するための波形図、第4図は7ビットの
M系列信号発生器の構成図、第5図はこの発明における
スラグレベル計の適用期間を説明するための線図、第6
図及び第7図は従来技術を説明するたの模式図である。 (1)……転炉本体、(3)……スラグ、(6)……ラ
ンス、(7)……サブランス、(16)……スラグレベル
計、(17),(18)……アンテナ、(20)……粱、(2
5)……穴。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 栗山 伸二 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 狛谷 昌紀 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 井上 明彦 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】転炉の上方から、サブランスとマイクロ波
    レーダ方式のスラグレベル計が接続されたアンテナとを
    交換可能にしてどちらかが転炉内に挿入されるように
    し、転炉吹錬中の前期と中期には前記アンテナを前記転
    炉内に挿入してスラグレベルを計測し、吹錬後期には前
    記サブランスを前記転炉内に挿入することを特徴とする
    転炉内のスラグレベル計測方法。
  2. 【請求項2】転炉の上方において粱にそれぞれ回動かつ
    昇降可能に取付けたサブランス及びアンテナと、このア
    ンテナに接続されたマイクロ波レーダ方式のスラグレベ
    ル計とから成り、前記サブランスとアンテナとはその位
    置を交換でき、その何れか一方を前記転炉のフードの共
    通の穴を介して前記転炉内に挿入しうるように構成した
    ことを特徴とする転炉内のスラグレベル計測装置。
  3. 【請求項3】マイクロ波レーダ方式のスラグレベル計
    は、疑似ランダム信号で変調したマイクロ波を送信して
    スラグ表面から反射波を受信し、このマイクロ波の往復
    伝播時間を計測してこれを距離に換算するようにしたレ
    ベル計である請求項(2)記載の転炉内のスラグレベル
    計測装置。
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