JPH08262411A - 液晶パネルの駆動方法 - Google Patents

液晶パネルの駆動方法

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JPH08262411A
JPH08262411A JP6320595A JP6320595A JPH08262411A JP H08262411 A JPH08262411 A JP H08262411A JP 6320595 A JP6320595 A JP 6320595A JP 6320595 A JP6320595 A JP 6320595A JP H08262411 A JPH08262411 A JP H08262411A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直交行列に基づく選択行電圧を複数の行電極
に同時選択印加するとともに、直交行列を用いて直交変
換した変換表示データを列電極に印加して液晶パネル7
を駆動する駆動方法において、このような駆動方法によ
るフレーム応答現象の抑制効果を最大限に引き出し、高
コントラストで横スジ等ムラのない均一な表示品位を実
現する。 【構成】 上記同時選択駆動方法に用いる直交行列とし
て、各列ベクトルでの要素和の絶対値の最大値と最小値
の差が小さく、各値がほぼ同じとなるような直交行列を
用い、信号発生器1aにて、該直交行列の列ベクトルの
要素に基づいて選択行電圧の波形を発生させるようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶パネルの駆動方法
に関し、特にマトリックス状に画素が配置され、実効値
応答する液晶パネルの駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、実効電圧に対して応答するTN(t
wisted nematic)液晶やSTN(supertwisted nematic)
液晶を用いた単純マトリックス液晶パネルでは、走査線
としての行電極が1本ずつ順次選択されるよう行電極に
選択行電圧を印加していき、この行電極の選択と同期し
て、データ線としての列電極には、選択された行電極上
の画素の表示データに対応する列電極電圧を印加する駆
動方法、いわゆる線順次駆動方式が採用されている。
【0003】この線順次駆動方法では、全画面をON表
示させるときには、行電極と列電極の交差部に位置する
各画素の液晶に、図17(a)に示すような波形の駆動
電圧が印加され、また、全画面をOFF表示させるとき
には、該各画素の液晶に図17(b)に示すような波形
の駆動電圧が印加される。ここで、図17(c)は上記
波形の駆動電圧を発生させるための同期パルスである。
【0004】つまり、各画素の液晶には、ON表示の場
合、選択電圧波形として1フレーム期間内において、1
走査期間のみに走査電圧パルスVopまたは−Vopが
印加され、それ以外の期間にはバイアス電圧Vop/a
および−Vop/aが印加される。ここで、aはバイア
ス比であり、通常a=√N+1(N:走査線数)に設定
される。一方、OFF表示の場合、非選択電圧波形とし
て1フレーム期間内において、1走査期間のみに走査電
圧パルス(1−2/a)Vopまたは−(1−2/a)
Vopが印加され、それ以外の期間にはバイアス電圧V
op/aおよび−Vop/aが印加される。
【0005】ところが、この方式では走査線数Nが増大
すると、各画素に印加される電圧波形において、走査電
圧パルスとバイアス電圧の高低差がますます大きくなる
ため、高速応答性を有する液晶パネルを駆動した場合、
その透過率が印加電圧波形それ自体に応答して変化する
現象、いわゆるフレーム応答現象が生じ、コントラスト
を著しく低下させる原因となっていた。
【0006】そこで、近年このような液晶表示素子の高
速応答性とコントラストとのトレードオフを解消するた
めの駆動方法が次の3つの文献にて提案されている。
【0007】第1の文献は、T.J.Scheffer,B.Clifton:"
Active Addressing Method for High-Contrast Video-R
ate STN Displays",SID 92 DIGEST, p228であり、第2
の文献は、T.N.Ruckmongathan,T.Kuwata,T.Ohnishi,S.I
hara,H.Koh,Y.Nakagawa:"A New Addressing Technique
for Fast Responding STN LCDs",JAPAN DISPLAY'92,p65
であり、第3の文献は、S.Ihara,Y.Sugiyama,Y.Nakagaw
a:A Color STN-LCD with Improved Contrast,Uniformit
y,and Response Times",SID 92 DIGEST,p232である。
【0008】上記各文献に記載の駆動方法は、いずれも
複数本あるいは全数の走査線を同時選択駆動する、つま
り対応する複数の走査線に同時に選択電圧波形の駆動信
号を印加するものであり、該選択電圧波形では、走査電
圧パルスは、ピーク値を持つ複数の行選択パルスとして
1フレーム期間内に分散しており、これによりフレーム
応答現象を抑制しようとするものである。ここで、行選
択パルスは、1フレーム期間をいくつかの期間に等分割
した一定周期Tのフレーム分割期間毎に現れる。厳密に
言うと、この行選択パルスが現れるのは、フレーム分割
期間内の一部(選択期間)であり、それ以外のフレーム
分割期間内の期間(非選択期間)には、選択行電圧波形
の電圧は0レベルとなる。
【0009】この駆動方法による画像表示の基本原理
は、アダマール行列やウォルシュ行列に代表される直交
行列を用いて、画像データの直交変換を行い、該直交変
換された画像データを液晶パネル上で逆変換するという
ものである。
【0010】一般的には、上記液晶パネルが、N本の走
査信号線(行電極)とM本のデータ信号線(列電極)を
有し、N行×M列の画素からなるものであり、同時選択
される走査信号線の本数がL本である場合、n番目の行
電極に印加される選択電圧波形は、下記(3)式により
与えられる。
【0011】
【数3】
【0012】ここで、A(i,j)は、i行×j列の直
行行列Aの各要素の値、tは1フレーム期間内における
時間である。
【0013】具体的には、
【0014】
【表1】
【0015】上記表1に示す16次ウォルシュ行列A
(i,j)を用いた駆動方法では、1フレーム期間を一
定の時間間隔(周期T)で16等分した各フレーム分割
期間t1〜t16を、該16次ウォルシュ行列の個々の
列ベクトルT1〜T16に対応させている(図22
(b)参照)。つまり、各列ベクトルT1〜T16の要
素A(i,1)〜A(i,16)〔i=0,1,・・・
16〕の値(+1あるいは−1)は、第1行〜第16行
までの各行ベクトルW0〜W15に対応する行電極の、
上記フレーム分割期間t1〜t16の選択期間の印加電
圧(行選択パルス)の極性に対応している。
【0016】なお、表1の直交行列(16次ウォルシュ
行列)については、その各行ベクトルW0〜W15の要
素A(0,j)〜A(16,j)〔i=0,1,・・・
16〕を選択行電圧(行選択パルス)に対応させた場
合、第1行に対応する選択行電圧が1フレーム期間中は
+Vまたは−Vの一方のみとなることから、直流電圧の
印加による液晶分子の劣化を防ぐために、数フレーム期
間毎に第1行の要素(+1、−1)の極性を反転させ
て、駆動電圧の交流化を行わなければならない。これに
対し、以下に示す表2ないし表4の行列のように、行ベ
クトルの要素を選択行電極に対応させる直交行列を、1
6次ウォルシュ行列の第1行を除外したものとすれば上
記駆動電圧の交流化を行う必要はない。
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】また、上述した駆動方法における選択電圧
波形は、図18に示すように、1フレーム期間を例えば
16等分した一定周期Tのフレーム分割期間毎に、電圧
(+V)及び電圧(−V)のいずれかの電圧レベルの行
選択パルスが現れるものである。
【0021】また、各行電極に1フレーム期間に印加さ
れる16個の行選択パルスには、上記表2に示すよう
に、+1、−1を要素とするK次直交行列(Kは同時選
択される行数(15)以上の2のべき乗数)の行ベクト
ルW1〜W15の各要素が対応している。
【0022】そして、上記表3及び表4の行列は、表2
のウォルシュ行列における任意の数行の行ベクトルの極
性を反転させたものである。なお、直交行列は、その数
行の行ベクトルの極性を反転させても直交性は失われ
ず、直交変換が可能であるので、表2ないし表4の行列
はいずれも直交性を有している。
【0023】図19は、上記複数本の走査線を同時選択
駆動する液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
ここでは、同時選択される走査線の本数を15本とし、
行選択パルスが、1フレーム期間を16等分したフレー
ム分割期間毎に印加されるものとして説明する。また、
図20(a)は本装置を構成するゲートアレイ及び加算
器の構成を示す図、図20(b)は該加算器の詳細な回
路構成を示す図、図21は、N行×M列の表示画面にお
いて、同時選択駆動方法により15行分の行電極が同時
選択される様子を示す図、図22(a)は上記液晶表示
装置を構成するフレームメモリに格納される1フレーム
分の表示データを示す図、図22(b)は15行分の行
電極を同時選択して液晶パネルを駆動する場合に用いる
15行16列の直交行列Aを示す図である。
【0024】図において、10はN行M列の画素からな
る液晶パネル7を有し、直交行列を用いて該液晶パネル
7の駆動を行う液晶表示装置で、直交行列を用いて選択
行電圧に応じた行信号を発生する信号発生器1と、マト
リクス状に配列された画素(N行×M列)に対応した1
フレーム分の表示データPa(図22(a)参照)を格
納するフレームメモリ2と、15本の行電極に同時に印
加される行信号F(n,t)を要素とする行列(図23
(a)参照)の列信号ベクトルと、表示データP(n,
m)を要素とする15行16列の行列P(図23(b)
参照)の列表示ベクトルとの対応する要素同士の排他的
論理和をとるゲートアレイ3と、該ゲートアレイ3から
各画素の組毎に出力される排他的論理和を加算してその
総和(図23(c)参照)を、15行×M列の画素毎に
求める加算器4とを有している。この排他的論理和の総
和は、下記(4)式により与えられる。
【0025】
【数4】
【0026】また、上記液晶表示装置10には、上記加
算器4の出力を受け、液晶パネル7の列電極(データ信
号線)を駆動する複数のカラムドライバ5a、5b、5
cが設けられ、上記信号発生器1からの出力を受け、該
液晶パネル7の行電極(走査信号線)を駆動するロード
ライバ6a、6bが設けられている。
【0027】ここで、上記ゲートアレイ3は、並列に設
けられた15個のEX−ORゲート301〜315から
構成されており、それぞれのEX−ORゲートの一方の
入力は、表2ないし表4に示す直交行列の各列ベクトル
W1〜W15に対応し、各EX−ORゲートの他方の入
力は、表示ベクトルD1〜D15に対応している。この
表示ベクトルD1〜D15は、N行M列の画素配列の1
フレーム画面を垂直方向に分割した15行M列の画素配
列のブロックに対応する表示データ行列の列ベクトルで
ある(図23(b)参照)。
【0028】また上記加算器4は、上記EX−ORゲー
ト301〜303の出力を加算する全加算器401と、
上記EX−ORゲート304〜306の出力を加算する
全加算器402と、上記EX−ORゲート307〜30
9の出力を加算する全加算器403と、上記EX−OR
ゲート310〜312の出力を加算する全加算器404
と、上記EX−ORゲート313〜315の出力を加算
する全加算器405とを有している。また、全加算器4
03〜405の和出力は全加算器407に出力され、全
加算器403〜405の桁上げ出力は全加算器409に
出力され、全加算器401,402,407の和出力は
全加算器406に出力され、全加算器401,402,
407の桁上げ出力は全加算器408に出力されるよう
になっている。また、全加算器406の桁上げ出力、並
びに全加算器408及び409の和出力は、全加算器4
10に出力され、全加算器410,408及び409の
桁上げ出力は全加算器411に出力され、加算器4から
は、上記全加算器406,410,411の和出力がデ
ータ対応値P0,P1,P2として、全加算器411の
桁上げ出力がデータ対応値P3として出力されるように
なっている。
【0029】また全加算器401は、図2(b)に示す
ように、それぞれ2つの入力信号A,Bを受けるEX−
ORゲート4001及びNANDゲート4003と、そ
れぞれ桁上げ入力IとEX−ORゲート4001の出力
を受けるEX−ORゲート4002及びNANDゲート
4004と、NANDゲート4003及び4004の出
力を受けるNANDゲート4005とから構成されてい
る。上記EX−ORゲート4002からは和出力が出力
され、NANDゲート4005からは桁上げ出力が出力
される。また、他の加算器402〜411についても加
算器401と同様の構成となっている。
【0030】このような構成の液晶表示装置において
は、信号発生器1では、表4ないし表6に示すような直
交行列を用いて選択行電圧に応じた行信号を発生する。
その行信号F(n,t)を要素とする行列F(図23
(a)参照)の各列信号ベクトルと、フレームメモリ2
からの表示データP(n,m)を要素とする行列(図2
3(b)参照)の各列表示ベクトルとの対応する要素同
士,つまりnの値が等しいもの同士の排他的論理和〔F
(n,t)・P(n,m)〕がゲートアレイ3にて求め
られる。
【0031】具体的には、ゲートアレイ3を構成するE
X−ORゲート301〜315の一方の入力端子には、
それぞれ表2ないし表4に示すような直交行列の列ベク
トルT1〜T16の各要素A(i,j)が各列ベクトル
毎に入力され、他端の入力端子にそれぞれ表示データ行
列Pの列表示ベクトルの各要素D1〜D15が入力され
る。これらの要素D1〜D15は、表5に示すように、
液晶パネル7の各行の表示データに対応している。
【0032】
【表5】
【0033】そして、加算器4では、F(n,t)・P
(n,m)を、nを1から15まで変えて加算した総和
が求められる。また、この排他的論理和の総和は、該列
信号ベクトルと列表示ベクトルの全ての組み合わせに対
して求められ、n番目の列信号ベクトルとm番目の列表
示ベクトルとの組についての総和は、n列m行目の画素
に印加される変換表示データの行列G(図23(c)参
照)の各要素G(m,t)に対応している。
【0034】そして、加算器4からは、表6に示すよう
に、該変換表示データとしての、列電極への印加電圧の
各レベルV0〜V15に対応する4ビットのデータ対応
値P0〜P3が出力される。
【0035】
【表6】
【0036】ここで、表示データの要素P(n,m)
は、n行m列目の表示データがONである場合は−1で
あり、n行m列目の表示データがOFFである場合は+
1である。
【0037】上記データ対応値P0〜P3が出力される
と、上記カラムドライバ5a、5b、5cからは、デー
タ対応値P0〜P3に基づいて列電極電圧が出力され
る。また、上記ロードライバ6a、6bからは、行信号
F(n,t)に基づき列電極電圧の出力に同期して選択
行電圧が出力される。
【0038】上記ゲートアレイ3および加算器4による
論理演算においては、選択行電圧+V、−Vをそれぞれ
論理1、論理0とし、一方、表示データについては、O
Nデータを論理1、OFFデータを論理0に対応するも
のとしている。
【0039】図21に示す液晶パネル7において、15
行が同時に選択されたときの駆動電圧波形、すなわち1
フレーム期間の選択行電圧波形と列電極電圧波形の差
は、図3ないし図8に示すようになる。図3,図5,図
7には、全画面ON時の波形を示し、図4,図6,図8
には、全画面OFF時の波形を示している。
【0040】図3および図4は、表2の直交行列Pa
t.aでもって、上記変換を行って駆動したときの駆動
電圧波形の例である。この駆動電圧波形は、図18に示
す選択行電圧波形と、図2(a)および図2(b)に示
す列電極電圧波形とが合成されたものである。図2
(a)および図2(b)に示す列電極電圧波形は、表6
のように16段階に設定される電圧レベルV0〜V15
から電圧レベルが選択される。
【0041】具体的な列電極電圧波形は、全画面ONの
場合、図2(a)に示すように、1フレーム期間の最初
で最低レベルV0となった後は中間レベルよりやや大き
いレベルV8となり、全画面OFFの場合、図2(b)
に示すように、1フレーム期間の最初で最高レベルV1
5となった後は中間レベルよりやや小さいレベルV7と
なる。
【0042】なお、図5,図6及び図7,図8に示す駆
動電圧波形は、それぞれ表3及び表4の直交行列でもっ
て上記の変換を行って駆動したときの駆動電圧波形の例
である。
【0043】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図3に示す
駆動電圧波形では、1フレーム期間の最初のフレーム分
割期間t1に1つのピーク電圧値Vpが存在することに
なり、上述の線順次駆動方式に近い波形になる。このた
め、液晶分子がこの電圧Vpに応答してしまい、その結
果、フレーム応答現象が生じて、コントラストが低下す
るという問題が生じる。
【0044】一方、図5に示す駆動電圧波形では、駆動
電圧のピークが上記駆動電圧波形のように、1フレーム
期間のある期間、すなわち、直交行列の列要素の切り替
わりに要する期間(フレーム分割期間t1)に偏在する
度合が小さくなり、フレーム応答現象が緩和され、コン
トラストの低下をある程度抑制することが可能となる。
【0045】しかしながら、この場合、同時選択された
選択行L1〜L15の駆動電圧波形において、フレーム
分割期間t1に特異な選択電圧値をもつ選択行L15が
存在する。その特異な選択電圧は、図5に示すように、
全画面をON表示させるとき、選択行L15において
は、フレーム分割期間t1に他の選択行L1〜L14を
含めて一番低い電圧Vfとして現れ、液晶分子をOFF
させるように作用して輝度を低下させてしまう。他方、
選択行L1〜L14では、上記フレーム分割期間t1に
電圧Vfと必ず逆向きの選択電圧が存在する。これらの
選択電圧は、反対に液晶分子をONさせるように作用す
るので、電圧Vfの存在する選択行L15より高い輝度
が均一に得られる。
【0046】このため、全画面をON表示させるときに
は、高輝度の選択行にややOFF表示ぎみの選択行が混
在することとなり、これが選択行数毎にコントラスト縞
として表示されてしまう。
【0047】逆に、図6に示すように、全画面をOFF
表示させるとき、選択行L15に他の選択行を含め、一
番高い電圧Vnが特異な電圧として現れる。この電圧V
nは、液晶分子をONさせるように作用するので、OF
FレベルがややONぎみのコントラストとして表示され
る。他方、残りの選択行L1〜L14の全ては、フレー
ム分割期間t1に必ず電圧Vnと逆向きの選択電圧が存
在する。これらの選択電圧は、液晶分子をOFFさせる
ように作用するので、本来のOFFレベルとして均一に
表示される。
【0048】このため、全画面をOFF表示させるとき
には、OFFレベルの選択行にややON表示ぎみの選択
行が混在することになり、これが選択行数毎にコントラ
スト縞として表示されてしまう。
【0049】上記のように、15行を同時選択駆動する
場合、特異な電圧VfおよびVnは、選択行電圧を表す
直交行列の1つの行の極性(+V、−V)を他の14行
の極性と逆向きにさせたときに必ず1フレーム期間内に
1つ存在し、かつ1つの行内に存在する。又、複数行の
反転の仕方によっては特異な電圧が以下のように2つ以
上存在する場合がある。
【0050】例えば、表4の直交行列を用いた場合の全
画面ON表示および全画面OFF表示の駆動電圧波形を
図7および図8に示す。図7に示すように、全画面ON
表示の場合、選択行L7、L8が特異な電圧レベルVf
を持つようになり、これらにより、前記と同様のコント
ラスト縞が選択行数毎に2本表示されることになる。一
方、図8に示すように、全画面OFF表示の場合も、全
画面ON表示の場合と同じく選択行L7、L8が特異な
電圧レベルVnを持つようになり、これらにより、前記
と同様のコントラスト縞が選択行数毎に2本表示され
る。
【0051】
【表7】
【0052】表7は、デューティ数1/240、応答速
度120msの液晶パネルを駆動した際のコントラスト
測定結果を示すものであり、表7中の直交行列Pat.
aないしPat.cは、それぞれ表2ないし表4の直交
行列でもって15行同時選択駆動した場合の測定結果に
対応する。そして、表7中のL1〜L15は選択行駆動
波形として、それぞれ、表2ないし表4の直交行列の行
ベクトルを用いたことを示す。
【0053】直交行列Pat.aによる駆動電圧波形は
図3及び図4に示すとおりであり、先述したフレーム応
答現象の影響により、全体的にコントラストが低くなっ
ており、直交行列Pat.bとPat.cは、フレーム
応答現象が抑制されつつあり、全体的にコントラストが
向上しているが、直交行列Pat.bのL15や直交行
列Pat.cのL7、L8のように、先述した特異電圧
を持つ行のコントラストは他の選択行のコントラストよ
り低くなっていることがわかる。
【0054】このように、同じ15行の同時選択駆動で
も、用いる直交行列のパターンによっては、駆動波形に
特異電圧が現れ、その結果コントラストが著しく低下
し、また、表示ムラが生じる。このことは、アクティブ
駆動と呼ばれる全行を同時駆動する方式においても同様
であり、上記文献に開示されている従来の駆動方法で
は、上記直交行列のパターンに起因するコントラストの
低下に対する対策は何等明示されておらず、従来の同時
選択駆動法における大きな課題となっていた。
【0055】この発明は上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、複数同時選択駆動方法によるフ
レーム応答現象の抑制効果を最大限に引き出し、高コン
トラストで横スジ等ムラのない均一な表示品位を実現す
ることができる液晶パネルの駆動方法を得ることが本発
明の目的である。
【0056】
【課題を解決するための手段】この発明に係る液晶パネ
ルの駆動方法は、複数の行電極と複数の列電極とをこれ
らの交差部がマトリックス状に配列されるよう配置し、
該各交差部の行電極と列電極の間に実効電圧値に応答す
る液晶素子を挟持してなる液晶パネルを、直交行列に基
づく波形の電圧を行電極及び列電極に印加して駆動する
方法である。この駆動方法では、表示画像1フレームの
全領域に対応する表示データ,あるいは該表示画像1フ
レームを垂直走査方向に複数に分割したブロック領域に
対応する表示データを、該直交行列を用いて直交変換
し、該直交変換した変換表示データを全列電極に順次印
加するとともに、該表示画像1フレームの全領域あるい
は該ブロック領域に対応する全行電極を同時に選択し
て、該直交変換に用いた直交行列の列ベクトルの要素に
対応する行信号を行選択パルスとして順次印加し、該変
換表示データを該液晶パネル上で逆変換する。そしてこ
の際、該直交行列として、その要素の総和の絶対値が最
大となる列ベクトルの要素和の絶対値Xmaxと、その要
素の総和の絶対値が最小となる列ベクトルの要素和の絶
対値Xminとの比の値Xmax/Xminが、同時選択される
行電極の本数の2/3倍未満である直交行列を用いる。
そのことにより上記目的が達成される。
【0057】この発明は、好ましくは、上記液晶パネル
の駆動方法において、前記液晶パネルは、N本の行電極
とM本の列電極とを有するものであり、前記直交行列
は、A(i,j)を要素とするI行J列の直交行列Aで
あり、L(L≦N)本分の行電極を同時選択する時にn
(n≦L)番目の行電極に印加される選択行電圧波形F
(n,t)は、1フレーム期間を該直交行列の列数Jで
等分割した一定周期のフレーム分割期間における選択期
間の電位レベルと、該フレーム分割期間における選択期
間以外の非選択期間の電位レベルとが、1フレーム期間
内の時刻tを用いて該(1)式により与えられるもので
ある。L(L≦N)本分の行電極を同時選択する時にm
(m≦M)番目の列電極に印加される列電圧波形を規定
する信号G(m,t)は、n番目の行電極とm番目の列
電極との交差部の画素のオン表示データを−1とし、該
画素のオフ表示データを+1とする関数P(n,m)に
より、1フレーム期間内の時刻tを用いて上記式(2)
で与えられるものである。
【0058】この発明は、上記液晶パネルの駆動方法に
おいて、前記直交行列Aは、K次直交行列(Kは同時選
択される行数以上の2のべき乗数)から、同時選択する
L行を選択し、該選択したL行のうちの数行の行ベクト
ルの要素の極性を反転したものであることが好ましい。
【0059】
【作用】この発明においては、複数の行電極を同時選択
して液晶パネルを駆動する際、表示データを直交変換す
るための直交行列として、その要素の総和の絶対値が最
大となる列ベクトルの要素和の絶対値Xmaxと、その要
素の総和の絶対値が最小となる列ベクトルの要素和の絶
対値Xminとの比の値Xmax/Xminが、同時選択される
行電極の本数の2/3倍未満である直交行列を用いるよ
うにしたから、個々の行電極に同時に印加される選択行
電圧波形における行選択パルスが1フレーム期間内でよ
り一様に分散し、しかも同時選択される行電極間でのコ
ントラスト差が緩和されることとなり、高コントラスト
で横スジ等ムラのない均一な表示品位が可能となる。
【0060】
【実施例】図1は本発明の一実施例による液晶パネルの
駆動方法を説明するための図であり、該駆動方法を用い
た液晶表示装置の構成を示している。図において、10
0は本実施例の液晶表示装置で、液晶パネル7の走査線
を複数同時選択して駆動するよう構成されている。この
液晶表示装置100では、信号発生器1aは、下記の表
8に示すような直交行列Pat.gを用いて、選択行電
圧に応じた行信号を発生するよう構成されている。その
他の構成は、従来の駆動方法により液晶パネルを駆動す
る液晶表示装置10を同一である。
【0061】
【表8】
【0062】次に作用効果について説明する。
【0063】なお、以下の説明では、液晶パネルの駆動
は、液晶パネルを垂直方向に分割し、該分割したブロッ
ク領域の全行電極(15本)を同時選択して、表示を行
うものとしている。
【0064】まず、本実施例の液晶表示装置の基本的な
動作について説明する。
【0065】フレームメモリ2に書き込まれたN行×M
列の表示データPa(図22(a)参照)のうち、上記
1つのブロック領域に対応する表示データP(n,m)
〔n=1,2,・・・15、m=1,2,・・・M〕
(図23(b)参照)が列方向に読み出されてゲートア
レイ3に出力される。この時、信号発生器1aでは、表
7に示す直交行列を用いて、選択行電圧に応じた行信号
F(n,t)〔n=1,2,・・・15、t=1,2,
・・・16〕(図23(a)参照)が発生され、これが
上記ゲートアレイ3に出力される。
【0066】すると、上記ゲートアレイ3では、行信号
F(n,t)を要素とする行列Fの列信号ベクトルと、
フレームメモリ2からの表示データP(n,m)を要素
とする行列Pの列表示ベクトルとについて、該両列ベク
トルの対応する要素同士,つまりnの値が同一のもの同
士の排他的論理和がゲートアレイ3にて求められる。具
体的には、ゲートアレイ3における各EX−ORゲート
301〜315の一方の入力端子には、それぞれ表8に
示すような直交行列の列ベクトルの要素A(i,j)
(図22(b)参照)が入力され、他方の入力端子に、
1つのブロック領域に対応する表示データの行列Pの列
表示ベクトルの各要素D1〜D15が入力される。要素
D1〜D15は、表5に示すように、1フレーム画面の
各ブロック領域における第1番目の行から第15番目の
行の各行の表示データに対応している。
【0067】さらに、それら排他的論理和の総和G
(m,t)が加算器4にて演算される。該排他的論理和
の総和G(m,t)は、表示データを直交変換した変換
表示データであり、上記列信号ベクトルと列表示ベクト
ルとの全ての組み合わせに対応するものが従来装置と同
様に演算される(図23(c)参照)。
【0068】そして、上記加算器4からの総和G(m,
t)がカラムドライバ5a,5b,5cに入力される
と、各カラムドライバからは、表6に示す電圧レベルV
0〜V15に対応するデータ対応値P0〜P3が、上記
変換表示データとして各フレーム分割期間t1〜t16
毎に、対応する行電極へ出力される(図24参照)。な
お、図24では、直交変換された変換表示データ,つま
り上記排他的論理和の総和が、液晶パネル上で逆変換さ
れる様子を分かりやすくするため、列電極に入力される
実際の信号である電圧レベルV0〜V15に代えて排他
的論理和の総和G(m,t)を示している。
【0069】このとき、ロードライバ6a,6bから
は、行信号に基づき列電極電圧の出力に同期して、15
行分の選択行電圧F(n,t)が同時に出力される。
【0070】なお、上記ゲートアレイ3および加算器4
による論理演算において、選択行電圧+V、−Vをそれ
ぞれ論理1、論理0とし、一方、表示データについて
は、ONデータを論理1、OFFデータを論理0に対応
したものとしている。
【0071】以下、本発明の基本原理を本実施例の液晶
パネルの駆動方法の作用効果とともに説明する。
【0072】本発明は、所定の条件を満たす直交行列を
用いて、液晶パネルの複数の走査線あるいはすべての走
査線を同時選択して液晶パネルを駆動するものであり、
これにより高コントラストで横スジ等ムラのない均一な
表示品位が得られるものであり、詳しく説明する。な
お、表9ないし表11は15行16列の直交行列の一例
Pat.dないしPat.fを示している。
【0073】
【表9】
【0074】
【表10】
【0075】
【表11】
【0076】上述した直交行列Pat.aは表1の16
次ウォルシュ行列から第1行目の行ベクトルW0の要素
を除外したもののうち、行ベクトルの極性反転を行って
いないもの、直交行列Pat.bないしPat.gは数
行の極性反転を行ったものである。該直交行列Pat.
bは第15行、直交行列Pat.cは第7行と第8行、
直交行列Pat.dは第7行、第8行および第15行、
直交行列Pat.eは第3行、第4行および第11行、
直交行列Pat.fは第2行、第9行、第10行および
第14行、直交行列Pat.gは第2行、第10行、第
11行、第12行および第15行の要素の極性を反転し
ている。
【0077】ここで、上記直交行列の全行列(15行)
の反転、非反転の組合せは2の15乗、すなわち327
68通り存在するが、1フレーム期間内で取りうる電圧
レベルの組合せは、上記直交行列Pat.aないし直交
行列Pat.gのいずれかに属する。例えば、直交行列
Pat.aの第8行〜第15行を極性反転した直交行列
により、液晶パネルを全画面ON表示となるよう駆動し
た場合、各フレーム分割期間t1〜t16にカラムドラ
イバから出力される選択行電圧は、電圧レベルV7、V
15、V7、・・・、V7となり、直交行列Pat.a
による列電極電圧波形(図2(a))と同じものとみな
すことができる。
【0078】また、直交行列Pat.aの第1行〜第1
4行の極性を反転させた直交行列により、液晶パネルを
全画面ON表示となるよう駆動した場合、各フレーム分
割期間t1〜t16にカラムドライバからは、電圧レベ
ルV0、V8、V8、・・・、V8が出力されるが、こ
れも直交行列Pat.aによるものとは極性が反転して
いる点だけが異なるものであり、直交行列Pat.aに
よる列電極電圧波形(図2(a))と等価であるとみな
すことができる。
【0079】また、直交行列の定理より、列ベクトルの
並び順を入れ替えてもその直交性は保たれるので、16
個の列ベクトルの並び順を入れ替えてもよい。その順列
は16!≒21兆通り存在するが、すべて上記いずれか
のグループに属する。
【0080】以上のように液晶パネルの行電極を15行
分同時選択して液晶パネルを駆動する場合は、その表示
データの直交変換に用いられる直交行列は、上記直交行
列Pat.aないし直交行列Pat.gの7つのグルー
プのいずれかのものとなる。そして、これらの直交行列
Pat.a〜Pat.gを用いて、全画面ON表示およ
び全画面OFF表示を行った時の駆動電圧波形は、それ
ぞれ図3ないし図16に示す通りであり、その時のコン
トラスト測定結果として表12に示すものが得られた。
【0081】
【表12】
【0082】この表12から、用いる直交行列のパター
ンによってコントラストが著しく相違していることがわ
かる。
【0083】ここで、本発明者の検討によれば、用いる
直交行列のパターンによりコントラストに相違が生じる
原因としては以下のように推察される。
【0084】まず、表12に示すように、一番コントラ
ストが低い直交行列Pat.aにおいては、表2に示す
ように、直交行列のある列ベクトルT1の要素には、要
素(+1)が集中しており、要素(−1)が存在してい
ない。すなわち、列ベクトルT1においてはその要素を
加算すると、要素和は+15となり、列ベクトルT2〜
T15においてはそれぞれの要素和はいずれも−1とな
ることがわかる。
【0085】次に、2番目にコントラストが低い直交行
列Pat.bにおいては、表3に示すように、表2の直
交行列Pat.aの第15行目の行ベクトルのみ極性を
反転したものとなっているわけであるが、その結果、あ
る列ベクトルT1に要素(+1)が1行から14行のわ
たって集中し、要素(−1)の行は15行目の1行分だ
けとなり、表12に示すように、直交行列Pat.bに
基づいて同時選択される15行目の行電極L15のコン
トラストが残りの14行の行電極より低くなることがわ
かる。この場合、直交行列Pat.bの列ベクトルT1
においては要素和は+13となり、列ベクトルT2、T
4、T6、T8、T10、T12、T14、T16にお
いてはその要素和はそれぞれ+1となり、列ベクトルT
3、T5、T7、T9、T11、T13、T15におい
てはその要素和はそれぞれ−3となることがわかる。
【0086】さらに、直交行列Pat.aの1行〜15
行のうちいくつかの行の行ベクトルの要素の極性を反転
させたものが、直交行列Pat.cないし直交行列Pa
t.gであり、これらのうち、最もコントラストが高い
直交行列Pat.gにおいては、表8に示すように、列
ベクトルT1、T2、T5、T8、T10、T12にお
いてはその要素和はそれぞれ+5となり、列ベクトルT
3、T4、T6、T7、T9、T11、T13、T1
4、T15、T16においてはその要素和はそれぞれ−
3となることがわかる。
【0087】以上のように、選択行電圧を規定する直交
行列の各列ベクトルの要素(+1)と要素(−1)を加
算した値が、ある列ベクトルにおいて他の列ベクトルよ
りも一定数を越えて大きくなると、上述した特異電圧に
よる影響が大きくなり、コントラストが低下すると推察
される。
【0088】そこで、各列ベクトルでの要素和を求め、
この要素和の絶対値の最大値と最小値の差が小さく、各
値がほぼ同じとなるような直交行列を行選択電圧として
用いることで、選択行間のコントラスト差は緩和でき
る。
【0089】具体的には、K次直交行列から、同時選択
を行うL行を選び、その数行の行ベクトルの極性を反転
する。そして、各列ベクトルにおいて、その要素和を計
算し、下記式(5),(6)で定義される最小値Xmin
と最大値Xmaxを求める。そして、その比率Rを下記式
(7)のように定義する。
【0090】
【数5】
【0091】
【数6】
【0092】
【数7】
【0093】表12中に各直交行列における比率Rの計
算結果を示す。この値が小さいほど、各列ベクトルの要
素和の絶対値の差が小さくなる。
【0094】本実施例では、その比率Rが最小値となる
直交行列Pat.gを用いたので、最も高コントラスト
で横スジ等ムラのない均一な表示品位を得ることができ
る。なお、上記実施例では、直交行列Pat.gを用い
て複数行を同時選択して液晶パネルを駆動する方法につ
いて示したが、直交行列は、直交行列Pat.gにかぎ
るものではない。
【0095】すなわち、表12に示す、各種の直交行列
を用いて同時選択行数を変えて実験を行った結果から、
上記比率Rが最小値とならなくても、下記の式(8)を
満たす直交行列を用いれば、液晶パネルによる画像表示
を行う上で支障がない程度に良好な表示品位を得ること
が確認できた。ここでIは同時選択される行電極の本
数,つまり同時選択駆動に用いる直交行列の行数であ
る。
【0096】
【数8】
【0097】つまり、直交行列Pat.d〜直交行列P
at.fを用いて液晶パネルを駆動した場合、各行電極
でのコントラストの平均値,つまりオン表示の際の輝度
とオフ表示の際の輝度との比率の平均値が30倍以上と
なり、コントラストがこの程度であれば、液晶表示装置
が通常用いられる状態では、表示品位は高コントラスト
で横スジなどのムラが認められない程度に良好なものと
なる。
【0098】このように本実施例では、マトリックス状
に配された行電極と列電極との間に実効電圧値に応答す
る液晶素子が配置される液晶パネルにおいて、アダマー
ル行列やウォルシュ行列に代表される直交行列の要素で
ある+1および−1に対応する選択行電圧を複数の行電
極に同時に印加するとともに、この選択行電圧をベクト
ルで表した選択行ベクトルと、表示データをベクトルで
表した表示ベクトルとの各要素の排他的論理和の総和に
応じた電圧レベルを列電極に印加して複数行を同時に表
示するようにしているので、線順次駆動方法におけるフ
レーム応答現象を回避することができる。
【0099】また、各行電極に印加される表示データが
全てON表示または全てOFF表示であるときに、駆動
電圧の電圧レベルができる限り均一となり、かつ、選択
行の駆動電圧波形の周波数成分ができる限り均一となる
直交行列を、無数に近い数の直交行列の中から選び、選
出した直交行列を用いて上記駆動方法にて液晶パネルを
駆動するので、複数同時選択駆動方法によるフレーム応
答現象の抑制効果を最大限に引き出し、高コントラスト
で横スジ等ムラのない均一な表示品位を実現できる。
【0100】なお、上記実施例では同時選択本数が15
本の場合について説明したが、本発明はこれに限るもの
ではなく、他の選択本数や全数選択の場合においても適
用できる。ところで、直交行列を用いて複数行を同時選
択して液晶パネルを駆動する代表的な方式には、分散型
(SAT)駆動法、非分散型(IHAT)駆動法、さら
に、特願平6−291848号の明細書に記載されてい
るようなブロック内分散型駆動法などの方式があるが、
本発明は、ここに挙げた駆動方式に限らず、一般に直交
行列を用いて複数行を同時選択して駆動する方式などに
広く適用可能である。
【0101】
【発明の効果】以上のようにこの発明に係る液晶パネル
の駆動方法によれば、複数の行電極を同時選択して液晶
パネルを駆動する際、表示データを直交変換するための
直交行列として、その要素の総和の絶対値が最大となる
列ベクトルの要素和の絶対値Xmaxと、その要素の総和
の絶対値が最小となる列ベクトルの要素和の絶対値X
minとの比の値Xmax/Xminが、同時選択される行電極
の本数の2/3倍未満である直交行列を用いるようにし
たので、高コントラストで横スジ等ムラのない均一な表
示品位を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る液晶パネルの駆動方
法を適用した液晶表示装置の要部の構成を示すブロック
図である。
【図2】 上記液晶パネルの列電極に印加される列電極
電圧の波形を示す図であり、図2(a)は全画面ON表
示の場合の列電極電圧の波形、図2(b)は全画面OF
F表示の場合の列電極電圧の波形を示している。
【図3】 直交行列Pat.a(表2)を用いて液晶パ
ネルの15行分の行電極を同時選択して全画面ON表示
させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆動電
圧の波形を示す図である。
【図4】 直交行列Pat.a(表2)を用いて液晶パ
ネルの15行分の行電極を同時選択して全画面OFF表
示させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆動
電圧の波形を示す図である。
【図5】 直交行列Pat.b(表3)を用いて液晶パ
ネルの15行分の行電極を同時選択して全画面ON表示
させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆動電
圧の波形を示す図である。
【図6】 直交行列Pat.b(表3)を用いて液晶パ
ネルの15行分の行電極を同時選択して全画面OFF表
示させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆動
電圧の波形を示す図である。
【図7】 直交行列Pat.c(表4)を用いて液晶パ
ネルの15行分の行電極を同時選択して全画面ON表示
させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆動電
圧の波形を示す図である。
【図8】 直交行列Pat.c(表4)を用いて液晶パ
ネルの15行分の行電極を同時選択して全画面OFF表
示させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆動
電圧の波形を示す図である。
【図9】 直交行列Pat.d(表9)を用いて液晶パ
ネルの15行分の行電極を同時選択して全画面ON表示
させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆動電
圧の波形を示す図である。
【図10】 直交行列Pat.d(表9)を用いて液晶
パネルの15行分の行電極を同時選択して全画面OFF
表示させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆
動電圧の波形を示す図である。
【図11】 直交行列Pat.e(表10)を用いて液
晶パネルの15行分の行電極を同時選択して全画面ON
表示させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆
動電圧の波形を示す図である。
【図12】 直交行列Pat.e(表10)を用いて液
晶パネルの15行分の行電極を同時選択して全画面OF
F表示させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される
駆動電圧の波形を示す図である。
【図13】 直交行列Pat.f(表11)を用いて液
晶パネルの15行分の行電極を同時選択して全画面ON
表示させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆
動電圧の波形を示す図である。
【図14】 直交行列Pat.f(表11)を用いて液
晶パネルの15行分の行電極を同時選択して全画面OF
F表示させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される
駆動電圧の波形を示す図である。
【図15】 直交行列Pat.g(表8)を用いて液晶
パネルの15行分の行電極を同時選択して全画面ON表
示させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆動
電圧の波形を示す図である。
【図16】 直交行列Pat.g(表8)を用いて液晶
パネルの15行分の行電極を同時選択して全画面OFF
表示させる場合に各行電極の画素の液晶に印加される駆
動電圧の波形を示す図である。
【図17】 一般的な液晶パネルを線順次駆動方法によ
り駆動する際に各画素に印加される電圧波形を示す波形
図であり、図17(a)は全画面ON表示の場合の電圧
波形、図17(b)は全画面OFF表示の場合の電圧波
形を示し、図17(c)は上記電圧波形を発生させるた
めの同期パルスを示す。
【図18】 15行分の行電極を同時選択して液晶パネ
ルを駆動する際に、各行電極に印加される選択行電圧の
波形を示す図である。
【図19】 従来の同時選択駆動方法を実現する液晶表
示装置の構成を示すブロック図である。
【図20】 本発明の実施例及び従来の液晶表示装置を
構成するゲートアレイ及び加算器の構成を示す図であ
り、図20(a)は、ゲートアレイ及び加算器における
EX−ORゲート及び全加算器の接続関係を示し、図2
0(b)は、該加算器を構成する全加算器の内部の論理
構成を示している。
【図21】 N行×M列の表示画面において、本発明の
駆動方法により15行分の行電極が同時選択される様子
を示す図である。
【図22】 図22(a)は上記液晶表示装置を構成す
るフレームメモリに格納される1フレーム分の表示デー
タを示す図、図22(b)は、15行分の行電極を同時
選択して液晶パネルを駆動する場合に用いる15行16
列の直交行列Aを示す図である。
【図23】 上記液晶表示装置のゲートアレイ及び加算
器において、表示データが直交変換される処理を説明す
るための図であり、図23(a)は、上記15行16列
の直交行列Aに基づいて得られた各行電極に印加される
行信号を要素とする行列Fを示し、図23(b)は表示
画面の1つのブロックに対応する表示データを要素とす
る行列Pを示し、図23(c)は上記1つのブロックに
おける直交変換された変換表示データを要素とする行列
Gを示す。
【図24】 上記変換表示データが液晶パネル上で逆変
換される様子を示す図である。
【符号の説明】
1a 信号発生器 2 フレームメモリ 3 ゲートアレイ 4 加算器 5a,5b,5c カラムドライバ 6a,6b ロードライバ 7 液晶パネル 301〜315,4001,4002 EX−ORゲー
ト 401〜411 全加算器 4003〜4005 NANDゲート

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の行電極と複数の列電極とをこれら
    の交差部がマトリックス状に配列されるよう配置し、該
    各交差部の行電極と列電極の間に実効電圧値に応答する
    液晶素子を挟持してなる液晶パネルを、直交行列に基づ
    く波形の電圧を行電極及び列電極に印加して駆動する方
    法であって、 表示画像1フレームの全領域に対応する表示データ,あ
    るいは該表示画像1フレームを垂直走査方向に複数に分
    割したブロック領域に対応する表示データを、該直交行
    列を用いて直交変換し、 該直交変換した変換表示データを全列電極に順次印加す
    るとともに、該表示画像1フレームの全領域あるいは該
    ブロック領域に対応する全行電極を同時に選択して、該
    直交変換に用いた直交行列の列ベクトルの要素に対応す
    る行信号を行選択パルスとして順次印加し、該変換表示
    データを該液晶パネル上で逆変換するものにおいて、 該直交行列として、 その要素の総和の絶対値が最大となる列ベクトルの要素
    和の絶対値Xmaxと、その要素の総和の絶対値が最小と
    なる列ベクトルの要素和の絶対値Xminとの比の値Xmax
    /Xminが、同時選択される行電極の本数の2/3倍未
    満である直交行列を用いる液晶パネルの駆動方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の液晶パネルの駆動方法に
    おいて、 前記液晶パネルは、N本の行電極とM本の列電極とを有
    するものであり、 前記直交行列は、A(i,j)を要素とするI行J列の
    直交行列Aであり、 L(L≦N)本分の行電極を同時選択する時にn(n≦
    L)番目の行電極に印加される選択行電圧波形F(n,
    t)は、1フレーム期間を該直交行列の列数Jで等分割
    した一定周期のフレーム分割期間における選択期間の電
    位レベルと、該フレーム分割期間における選択期間以外
    の非選択期間の電位レベルとが、1フレーム期間内の時
    刻tを用いて 【数1】 該(1)式により与えられるものであり、 L(L≦N)本分の行電極を同時選択する時にm(m≦
    M)番目の列電極に印加される列電圧波形を規定する信
    号G(m,t)は、n番目の行電極とm番目の列電極と
    の交差部の画素のオン表示データを−1とし、該画素の
    オフ表示データを+1とする関数P(n,m)により、
    1フレーム期間内の時刻tを用いて 【数2】 該式(2)で与えられるものである液晶パネルの駆動方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の液晶パネルの駆動方法に
    おいて、 前記直交行列Aは、K次直交行列(Kは同時選択される
    行数以上の2のべき乗数)から、同時選択するL行を選
    択し、該選択したL行のうちの数行の行ベクトルの要素
    の極性を反転したものである液晶パネルの駆動方法。
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