JPH08259398A - ZnSe単結晶の製造方法およびその製造装置 - Google Patents

ZnSe単結晶の製造方法およびその製造装置

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JPH08259398A
JPH08259398A JP7061097A JP6109795A JPH08259398A JP H08259398 A JPH08259398 A JP H08259398A JP 7061097 A JP7061097 A JP 7061097A JP 6109795 A JP6109795 A JP 6109795A JP H08259398 A JPH08259398 A JP H08259398A
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container
temperature
znse
single crystal
raw material
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Application number
JP7061097A
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English (en)
Inventor
Takao Fujikawa
隆男 藤川
Kazuhiro Uehara
一浩 上原
Yoshihiko Sakashita
由彦 坂下
Hiroshi Okada
広 岡田
Takeo Kawanaka
岳穂 川中
Seiichiro Omoto
誠一郎 大元
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ZnとSeとの原料をSeの比率がZnSe状態図での
液相線と相転移温度との交点に対応する比率よりも大き
なSeリッチとして原料収納容器に収納し、上記原料を加
熱溶融した後、相転移温度より低い所定温度に保持した
状態で、融液表面のSe蒸気圧を上記所定温度でのSeの平
衡蒸気圧から徐々に低下させることにより、融液からSe
を蒸散させながらZnSe単結晶を析出させる。 【効果】 相転移温度以下に保持した状態で結晶成長が
可能で、しかも、結晶成長に伴う融液中のSeの濃度は上
がらず、したがって、成長速度が遅くなることはない。
また、融液の組成がZn:Se=1:1となるまで結晶化を
行わせることができるので、回収率が向上する。これに
より、双晶欠陥の低減された良質のZnSe単結晶を成長さ
せることが可能であると共に、生産性を向上することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、青色発光ダイオード素
子や半導体レーザダイオード素子などの基板材として利
用されるZnSe単結晶の製造方法およびその製造装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】大形で高輝度カラーディスプレイの分野
では、赤・青・緑の三原色の発光ダイオードが必要とさ
れているが、赤色・緑色の発光ダイオードは開発されて
いるものの、青色については現状十分な輝度を持つ発光
ダイオードがなく、早期開発が切望されている。
【0003】また、青色半導体レーザダイオードは、現
在の赤色半導体レーザの約1/2の波長をもつことか
ら、コンパクトディスクなどに代表される光記録の密度
を4倍に向上できるといわれ、また、他の光源と比較し
て、コンパクト・低消費電力という特徴があり、その商
品化が期待されている。青色の発光素子の製造には、青
色光のエネルギーに対応したバンドギャップを持つ半導
体、いわゆるワイドギャップ半導体が使用される。ワイ
ドギャップ半導体の中では、II−VI族化合物半導体であ
るZnSeが最も有望とされているが、デバイス作製に必要
なエピタキシャル成長基板としてのZnSe単結晶基板につ
いては、これを工業的に安価に製造できる製法が確立さ
れておらず、一般には、格子定数の近いGaAsが使用され
ている。
【0004】しかしながら、GaAs基板(格子定数:5.65
4 Å)とZnSe(格子定数:5.668 Å)は格子定数が近い
とはいえ、なお0.25%の不整合があり、かつ、熱膨張係
数も異なっていることから、エピタキシャル成長層に歪
が残り、転位などの欠陥が発生し、ひいてはデバイスの
特性の劣化を起こすという欠点が避けられない。このた
め、青色発光素子の実用化には、良質のZnSe基板の使用
が最適であり、ZnSe基板の開発が望まれている。
【0005】ところで、ZnSeは融点が1526℃で、ブリッ
ジマン法などの融液から成長させた場合には、冷却時に
1420℃で高温相の六方晶から低温相の立方晶への相転移
が生じる。このため、これに起因する双晶欠陥が発生し
て良質の単結晶が得られない(Michael S. et al.,Journ
al of Crystal Growth,vol.86,1988,pp.132-137 など参
照) 。
【0006】このような相転移に起因する双晶欠陥を回
避するには、原理的には、上記の1420℃以下の温度で結
晶成長を行い、この温度域で安定な立方晶を成長させる
ことが考えられる。実際に、化学気相成長法(特開平1-
264990号公報)、物理気相成長法などの低温成長法が用
いられているが、成長速度が遅く、生産性が非常に悪
い。
【0007】他に、微細な結晶粒からなる多結晶体を14
20℃以下の温度で熱処理して、固相拡散現象を利用し結
晶粒成長を行う固相成長法(例えば、「寺嶋ほか, 応用
物理、第61巻、第8号、1992,pp821-825)が提案されて
いるが、この方法も大きな単結晶が製造しにくいなどの
問題があり、工業的な手法とはなり難い。したがって、
ZnSe単結晶の製造方法としては、原料を融点以上の温度
に加熱して溶融した融液から固相として成長させるメル
トグロース法が、生産性等の観点から好ましい。そこ
で、例えば特開平2-129099号公報には、ZnとSeの原料比
率を意図的に1:1からずらすことにより、結晶の析出
開始温度を前記の相転移温度以下としてZnSe単結晶を成
長させる方法が開示されている。
【0008】すなわち、上記公報記載の方法では、Seが
57.5〜92.5 mol%、Znが 7.5〜42.5mol%の融液を形成
し、この融液を冷却してZnSeの単結晶を成長させる。こ
のようにSeリッチの原料組成の場合、融液からのZnSe単
結晶の析出開始温度は、前述の相転移温度1420℃より低
い温度となり、固化した結晶は立方晶となって相転移に
伴う双晶の発生を回避することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報記載の方法では、単結晶の成長速度が次第に遅くな
り、必ずしも十分に満足し得る生産性が得られないとい
う問題を有している。つまり、その方法では、例えば14
00℃から1100℃まで徐々に温度を下げて結晶を析出させ
ていくものである。その析出状態を本発明の説明図であ
る図1に基づいて説明すれば、初期の融液の組成がSe59
at%であるとすると、温度が1380℃(A点)まで低下し
たときに析出が開始する。そして、さらに温度がC'まで
低下した時点では、融液の組成が変化しないとすれば、
レバールールにより、図中C'A"/K'A"の割合でZnSeが析
出する。
【0010】ところが、実際には、ZnSeの析出に伴って
融液の組成がSeリッチ側に変化することから、上記の析
出比はその組成の変化に伴って徐々に小さくなる。した
がって、融液全体の結晶化に長時間を要するものとな
る。例えば1100℃の温度状態ではZnSeの析出が極めて遅
くなるため、結晶成長操作を中断して1100℃からは急速
で冷却して結晶成長操作を終了せざるを得ない。
【0011】このように、結晶の析出に長時間を要する
と共に、ZnSeの回収量を多くすることができず、このた
め、十分な生産性が得られない。本発明は、上記した従
来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、
ZnとSeの混合融液から双晶欠陥の低減された良質のZnSe
単結晶を成長させることが可能であると共に、生産性を
向上し得るZnSe単結晶の製造方法およびその製造装置を
提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のZnSe単結晶の製造方法は、ZnとSeとの原
料をSeの比率がZnSe状態図での液相線と相転移温度との
交点に対応する比率よりも大きなSeリッチとし、上記原
料を加熱溶融した後、相転移温度より低い所定温度に保
持した状態で、融液表面のSe蒸気圧を上記所定温度での
Seの平衡蒸気圧から徐々に低下させることにより、融液
からSeを蒸散させながらZnSeを析出させることを特徴と
している。
【0013】上記の製造方法を実施するためのZnSe単結
晶の製造装置としては、ZnとSeとの原料を収納する原料
収納容器と、この原料収納容器を収容する気密性容器
と、この気密性容器の周囲から原料収納容器を加熱する
加熱手段を内蔵すると共に外部に接続されるガス供給排
出路を有する密閉状の炉体とを備え、上記気密性容器に
は、この気密性容器の内外の圧力差に応じたガスの流通
を可能とすべくこの気密性容器の内外を相互に連通する
連通路が形成されている構成が好適である。
【0014】さらに、上記気密性容器を加熱手段よりも
内側で囲う気密性材料からなるチャンバーがさらに設け
られると共に、このチャンバーには、加熱手段よりも下
方にこのチャンバー内外を相互に連通する通気開口が設
けられていることが望ましい。また、上記原料収納容器
には、その下部側に種結晶を挿入する細管部が設けられ
ていることが望ましい。
【0015】また、上記気密性容器が、原料収納容器を
収容する成長容器部に、Seのリザーバを収納するリザー
バ容器部をこれら成長容器部内とリザーバ容器部内とを
相互に連通させる連結パイプにより連結して成ると共
に、成長容器部内を加熱するための加熱手段とは別に、
リザーバ容器部内を独立に加熱し加熱温度に応じてSe蒸
気を発生させるリザーバ加熱手段が設けられている構成
も、前記の製造方法の実施に好適である。
【0016】
【作用】請求項1記載の本発明のZnSe単結晶の製造方法
での作用について、図1を参照して説明する。同図は、
ZnとSeの温度状態図のZnSe部近傍と、液相線に沿った状
態でのSeの平衡蒸気圧とを模式的に表したものである。
なお、融点の1526℃近傍ではZnの蒸気圧も発生するが、
ZnSeの解離はSe,Zn のどちらかの蒸気圧を高くして制御
することでコントロールできることから、Seの蒸気圧の
みに着目する。1420℃の等温線は、ZnSeが、この温度よ
り上で六方晶、下で立方晶となる相転移温度を示してい
る。なお、この系については、まだ正確な状態図が知ら
れていないことから、組成と温度・圧力との関係にかか
る数値については、現状では誤差を含んでいる。
【0017】本発明方法では、ZnとSeとの原料は、相転
移温度と液相線との交点Oに対応するSeの比率(約56.5
at%)よりもSeを多くし、例えばA点の59at%とする。
この組成の原料を液相線の上の温度(A点≒1380℃)以
上のB点の温度に加熱して原料を溶融する。なお、この
昇温時には、通常、原料の蒸発を抑えるために、例えば
アルゴンガス等の高圧不活性ガス雰囲気中で行う。その
圧力は、上記の原料組成の融液におけるSeの平衡蒸気圧
(同図における下のグラフのA’点約39bar )に対応す
る圧力とするが、実際には原料の溶融を短時間で行うた
めに、上記のようにA点以上のB点にまで昇温するの
で、39bar 以上の圧力状態とする。
【0018】この状態で原料が溶融すると、この時点で
の原料収納容器の雰囲気は、この温度に対応する平衡蒸
気圧のSe蒸気とアルゴンガスとで満たされている。次い
で、融液の温度を相転移温度よりも低い例えばA点の温
度に低下させて保持する。そして、例えば圧力を低下さ
せる操作を行うことによって、融液表面のSe蒸気圧をA
点でのSeの平衡蒸気圧(39bar )から徐々に低下させる
操作を行う。今、説明のために、外部からのアルゴンガ
スの供給圧力を20bar に低下させたとすると、Seの蒸気
圧も最高でもこの圧力20bar までで抑えられる。
【0019】すなわち、この間に、それまで平衡蒸気圧
(39bar )の分圧を有していたSe蒸気は、上記の圧力20
bar に低下するまで系外に排出され、また、原料収納容
器の表面では、Se蒸気の圧力がA点での平衡蒸気圧以下
となることから、融液からSeが蒸発し、これがさらに系
外に排出される。そして、このような融液中のSeが蒸散
することにより、結局、20bar で固液平衡となるD点の
Se約54.9at%の組成となるように、融液の組成が変化す
る。このとき、融液からは、約1380℃での等温線上のレ
バールールからCA/KA で表される割合のZnSeが結晶とし
て析出する。
【0020】実際は、短時間でこのように大きく圧力を
下げると、急激に結晶が析出して多結晶となり、かつ、
凝固の潜熱により系の温度が液相線に沿って上昇するの
で、徐々に圧力を低下させる。このように、例えば圧力
を低減させる場合には、100%ZnSeのSeの解離圧力(152
6℃では約0.25bar,1380℃では約0.1bar)まで低下させ
ることにより、温度を一定に保持したまま、融液から、
ほぼZn:Se=1:1を超える余分なSeをほとんど蒸散さ
せることができる。
【0021】したがって、従来は、結晶成長に伴って融
液中のSeの濃度が高くなり、ZnSeの成長速度が遅くなっ
ていたが、本発明方法では、結晶成長の過程で融液中の
Seが蒸散していくことから、融液中のSeの濃度は上がら
ず、したがって、成長速度が遅くなることはなく、ま
た、融液の組成がZn:Se=1:1となるまで結晶化を行
わせることができるので、回収率が向上する。
【0022】一方、請求項2記載の製造装置は、原料収
納容器を気密性収納容器内に収容して炉体内で加熱する
ようになっており、かつ、気密性収納容器には内外の圧
力差を生じさせない連通路が設けられている。このた
め、この装置を用いて上記の方法によりZnSe単結晶の成
長を行う場合、原料収納容器と共に1000℃を超える高温
まで加熱される気密性収納容器に対しては、炉体内の圧
力変化による力は作用しない。このため、気密性収納容
器としては耐熱性を備えていれば高強度である必要はな
いので、作製が容易となる。また、材料の選定範囲が広
がるので、成長結晶に対して極力汚染しない材料の選定
が可能となる。
【0023】また、請求項3記載の装置のように、さら
に、加熱手段よりも下方に通気開口を設けたチャンバー
が気密性容器と加熱手段との間に設けられている場合に
は、原料収納容器から蒸散するSe蒸気は、チャンバー内
で上方から下方に流れて通気開口から流出することにな
る。このとき、加熱手段による加熱領域から下方に離れ
た通気開口を低温状態にしておくことによって、上記の
Se蒸気がこの部位で析出させるようにすることができ
る。この結果、チャンバーの外側の加熱手段等にSe蒸気
が触れることがないので、例えば短絡事故等の発生が防
止される。
【0024】また、請求項4記載の装置では、原料収納
容器の細管部に種結晶を挿入して結晶成長を行うことが
可能であり、これによって、全体が所定の方位の単結晶
を成長させることができる。一方、請求項5記載の装置
では、原料収納容器とは別に、独立に加熱されるSeのリ
ザーバを収納するリザーバ容器部が連結されているの
で、原料収納容器内の原料を溶融させた後に、融液表面
のSe蒸気圧の低下を、上記のリザーバの温度を低下させ
ることによって行うことが可能である。前記した圧力制
御では、例えば圧力制御弁の開度を機械的に徐々に開閉
させることが必要であるが、このような構成に比べ、上
記では、例えばプログラム温度調節計等により、電気的
な制御だけでリザーバの温度低下を徐々に生じさせるこ
とができるので、構成が簡単になる。
【0025】
【実施例】
〔実施例1〕次に、本発明の具体的な実施例について図
面を参照して説明する。図2は垂直温度勾配法に基づく
単結晶製造装置の構成図で、この装置は、炉体として耐
圧構造を有する高圧容器1と、この高圧容器1内に配設
された上部閉塞状の断熱構造体2と、この断熱構造体2
の内部に配置された加熱ヒータ(加熱手段)3と、この
加熱ヒータ3の内部に設けられた気密性の材料からなる
チャンバー4とを備えている。
【0026】高圧容器1は、下端で開口した円筒状本体
5と、この円筒状本体5の下端開口を覆う着脱自在な下
蓋6とから構成されている。円筒状本体5の上壁には、
アルゴンガス等の不活性ガスを高圧容器1内に外部から
注入し、また、高圧容器内のガスを外部に排出するため
のガス供給排出路7が設けられている。加熱ヒーター3
は、円筒状のヒータエレメント8が上下方向に複数段
(図の場合には二段)並設されたもので、各ヒーターエ
レメント8は、各段部に設けられた温度検出器(図示せ
ず)での検出温度が各々の設定温度に維持されるよう
に、それぞれ個別に供給電力が制御される。
【0027】一方、前記下蓋6上には、その中心箇所
に、支持台9が取付けられている。そして、チャンバー
4内を上方に延びる上記の支持台9上に、後述するるつ
ぼ23を収納したるつぼ収納容器(以下、気密性容器とい
う)10が載置され、これによって、この気密性容器10が
前記加熱ヒータ3による加熱領域に位置するようになっ
ている。
【0028】なお、支持台9の下端部は側方に延出され
て鍔状に形成され、この鍔状部の上面に環状溝(以下、
この環状溝をドレーン部という)11が設けられている。
そして、このドレーン部11の上方に近接して、前記チャ
ンバー4の下縁が位置するように組立てられている。こ
れにより、チャンバー4の内外空間は、チャンバー4の
下縁とドレーン部11との間の隙間で形成される通気開口
12を通して互いに連通するように構成されている。
【0029】前記気密性容器10は、図3に示すように、
上下に貫通した円筒状の本体13と、この本体13の上端お
よび下端をそれぞれ塞ぐように、各々、シール部材14・
15を挟着して螺着された上部プラグ16および下部プラグ
17とから構成されている。上部プラグ16には、その中心
に上下に貫通する連通路16a が形成され、この連通路16
a 内に、この連通路16aを開閉する弁体18が上下動自在
に装着されている。この弁体18は逆止弁として機能す
る。すなわち、気密性容器10内の圧力が外部圧力以下の
ときに、上記弁体18の下端テーパ部が、連通路16a にお
ける縮径肩部に自重により当接した状態で保持され、こ
れによって、連通路16a は閉弁状態で保持される。一
方、気密性容器10内の圧力が外部の圧力より高くなる
と、上記のテーパ部が当接位置から上方に押し上げら
れ、これによって、連通路16a が開弁状態となる。な
お、このときの弁体18の上方への抜脱を防止するため
に、連通路16aにおける上端側にストッパ部材19が装着
されている。
【0030】一方、下部プラグ17内にも、上記同様に、
これに形成された連通路17a を開閉する弁体20が設けら
れ、また、気密性容器10内の圧力が外部より低くなった
とき、連通路17a を開弁状態とすべく押し上げられる上
記弁体20の抜脱を防止するために、連通路17a の上端部
にストッパ部材21が装着されている。そして、上記の下
部プラグ17上にるつぼ保持台22が載置され、このるつぼ
保持台22上に、例えばp-BNからなる原料収納容器として
のるつぼ23が立設状態で支持されている。このるつぼ23
は、内径約1.5cm で、下端部に種結晶24を挿入するため
の細管部23a が設けられている。
【0031】上記構成の単結晶製造装置での製造手順お
よびその結果の一例について、次に説明する。まず、る
つぼ23の細管部23a に直径約3mm,長さ30mmのZnSeの種
結晶を挿入し、その後、このるつぼ23に、ZnSe44.384
g、Se10.660g(Se=59at%)を充填した。次いで、こ
のるつぼ23を気密性容器10内に収納し、さらに、高温容
器1の下蓋6を開けて支持台9上に気密性容器10を載置
した後、下蓋6を閉じて気密性容器10を図2に示すよう
に高温容器1内にセットした。
【0032】次いで、ガス供給排出路7を通して高圧容
器1内を真空引きした後、さらに5kgf/cm2 のアルゴン
ガスを高圧容器1内に供給して雰囲気ガスの置換を行
い、その後、30kgf/cm2 のアルゴンガスを充填した。こ
の状態で加熱ヒータ3に加熱電力を投入し、一旦、気密
性容器10全体を1430℃になるまで加熱して10分間保持し
た。その後、気密性容器10の上部が1400℃、下部が1360
℃で保持されるように、加熱ヒータ3への加熱電力を調
整した。このとき、高圧容器1内の圧力は約100kgf/cm2
であった。
【0033】次いで、高圧容器1内の圧力を1時間当た
り約5kgf/cm2 の速度で減圧し、約20時間後に2kgf/cm
2 とした。このように圧力を低減させていく過程では、
るつぼ23内で次のように融液からZnSeが析出することに
なる。まず、るつぼ23内の原料の組成はSe59at%であ
り、図1において、このSe59at%での液相線上のA点の
温度(1380℃)に対して、これよりも高い1430℃まで加
熱することにより、るつぼ23内の原料が溶融する。次い
で、相転移温度1420℃よりも低い温度状態(1360℃〜14
00℃)に温度制御され、この状態で保持される。このと
き、るつぼ23における下部側での1380℃以下の温度領域
でZnSeがわずかに析出することになるが、ZnSe(Zn:Se
≒1:1)の析出に伴って、融液の組成はSeリッチ側に
移行し、これにより液相線の温度が低下することから、
融液の温度が一定に保持されている限り、ZnSeの析出は
停止する。
【0034】一方、図1にはSeの平衡蒸気圧が図示され
ており、これは、上記A点の温度であれば39bar であ
る。すなわち、融液中からSeが蒸発し、その分圧がほぼ
39barに達した状態で全体が平衡になる。この平衡状態
から、高圧容器1内の圧力を低下させる操作が開始され
る。この操作で、まず、約100kgf/cm2の圧力状態であっ
たアルゴンガスとSe蒸気との混合ガスは、高圧容器1内
から徐々に排出される。これに伴ってるつぼ23内の融液
表面のSe蒸気圧が前記の平衡蒸気圧よりも低くなると、
融液からのSeの蒸発が新たに生じる。そして、このSeの
蒸発により、融液の組成は初めのSe59at%から、Se50at
%に向かう方向に変化する。
【0035】なお、このような融液の組成変化に伴っ
て、図1に示されているように、Seの平衡蒸気圧も徐々
に低下する。したがって、新たなSeの蒸発は、融液の組
成変化に伴って低下した平衡蒸気圧に達した時に停止す
ることになるが、減圧操作が連続的に、また、1時間当
たり約5kgf/cm2 というように充分に時間をかけて行わ
れることにより、融液表面でのSe蒸気圧は、徐々に低下
していく平衡蒸気圧でほぼ維持されながら、融液の組成
変化が生じることになる。
【0036】一方、融液の温度は前記の温度で保持され
ている。この温度状態は、るつぼ23内の融液が当初のSe
59at%の組成では、図1における液相線に対して高温側
であったものが、Se50at%に向かう組成の変化により、
上記の温度状態は液相線よりも低温側に移行する。すな
わち、このような組成の変化に伴ってZnSeの析出が進行
し、例えば図中C点(Se約54.9at%)の組成に変化した
融液からは、レバールールからCA/KA で表される割合の
ZnSeが結晶として析出する。
【0037】上記のような減圧操作が、前記したよう
に、高圧容器1内が2kgf/cm2(約1.96bar)となるまで継
続される。このとき、前記の保持温度で融液の組成がほ
ぼZn:Se=1:1となるまで変化しており、したがっ
て、融液は殆ど全てZnSeとして析出することになる。上
記のような減圧操作を終了した後、温度を 300℃/hの速
度で下げ、200 ℃以下になった時点で、圧力を大気圧に
戻す操作を行った。
【0038】こうして結晶成長操作を終了した後、高圧
容器1の下蓋6を開けて気密性容器10を取り出し、さら
に気密性容器10からるつぼ23を取り出した。そして、内
部のZnSeサンプルをるつぼ23から取り出したところ、全
体は透明黄色の結晶で、通常肉眼でも観察される双晶に
よる縞模様は観察されなかった。さらに、光学顕微鏡に
て組織観察したが、双晶はほとんど観察されなかった。
【0039】なお、高圧容器1の下蓋6を開けたとき
に、ドレーン部11上に粉末状となったSeが付着している
ことが確認された。これは、前記の減圧操作時に排出さ
れるSeに相当するものである。つまり、減圧操作時に
は、図3におけるるつぼ23の上部開口から上部プラグ16
の連通路16a を通して気密性容器10外の上方にSeガスが
流出する。このSeガスは、その上方が、図2に示されて
いるようにチャンバー4によって覆われていることか
ら、この部分に滞留する。そして、温度が幾分低くなっ
たSeガスが自然対流によりチャンバー4の内壁面に沿っ
て下降する。下降したSeガスは、チャンバー4下端の通
気開口12を通してチャンバー4外に流出することにな
る。このとき、上記の通気開口12の領域は加熱ヒータ3
による加熱領域よりも充分に下方に位置するので、通気
開口12に達するまでに温度が低下し、これによって下降
の途中でSe蒸気が析出し、ドレーン部11に溜まることに
なる。
【0040】このように、気密性容器10内から流出する
Se蒸気は、ドレーン部11上に析出して溜まることで、チ
ャンバー4外の加熱ヒータ3や、これに接続されている
図示しない電力供給部材等の表面に析出するようなこと
はなく、これによって、短絡事故等が防止される。以上
の説明のように、本実施例では、結晶を成長させていく
過程で融液からSeが徐々に蒸散する。前記した従来例で
は、結晶成長に伴って融液中のSe濃度が高くなるためZn
Seの成長速度が遅くなるが、本実施例では、融液中のSe
の濃度は上がらず、したがって、より大きな成長速度で
単結晶成長を行うことができる。
【0041】また、本実施例では、るつぼ23の細管部23
a に種結晶24を挿入し、かつ、るつぼ23の下部側をより
低くした温度勾配を持たせて結晶成長時の温度制御を行
っているので、種結晶24の上端面を起点として結晶が成
長し、これによって、所定の方位での単結晶成長を確実
に行うことができるものとなっている。なお、上記実施
例では、上端部および下端部に各々逆止弁構造を有する
気密性容器10を用いたが、例えば図4に示すような気密
性容器10A を用いて上記実施例同様の操作により、単結
晶を成長させることも可能である。この気密性容器10A
は、気密性の材料から成る密閉状の本体13A の上壁面
に、上下に貫通する細孔(キャピラリー)16A を設けた
ものであり、圧力を低下させる操作に伴ってるつぼ23内
の融液から蒸散するSeガスは、上記の細孔16A を通して
気密性容器10A 外に流出する。
【0042】〔実施例2〕次に、本発明の他の実施例に
ついて図5ないし図7を参照して説明する。初めに、本
実施例で使用した単結晶製造装置の構成について説明す
る。なお、前記の実施例1で説明した部材と同一の機能
を有する部材には、同一の符号を付記して説明を省略す
る。
【0043】図5に、本実施例で用いた気密性容器10の
構造を示している。この気密性容器10は、成長容器部30
とリザーバ容器部31とが、連結パイプ32を介して上下に
相互に連結された構造をなしている。このような気密性
容器10は、多くの部分がモリブデン等の高融点金属で構
成されている。これは、モリブデンがガス不透過の素材
として入手し易く、また、溶接により気密な構造を実現
し易いことによる。勿論、気密性の炭素材料や窒化ホウ
素などを用いて構成することも可能である。
【0044】成長容器部30は、円筒状の胴部33と、この
胴部33の上下に各々溶接接合された上部リング34・下部
リング35と、これら両リング34・35の各中心開口を塞ぐ
ように気密に螺着された上部プラグ36・下部プラグ37と
を設けて構成されている。上部プラグ36内には、前記実
施例1と同様に、逆止弁として機能する弁体38が収納さ
れている。一方、下部プラグ37には、その中心孔に前記
の連結パイプ32の上端部が気密に結合されている。この
成長容器30内にるつぼ保持台22が設けられ、このるつぼ
保持台22上に前記実施例1と同様のるつぼ23が収容され
る。
【0045】一方、連結パイプ32の下端部に溶接接合さ
れている前記のリザーバ容器部31内には、Seを収納した
リザーバ39が収容されている。このリザーバ39を加熱す
ることにより、加熱温度に応じたSe蒸気が発生する。そ
して、リザーバ容器部31内と前記成長容器部30内との圧
力状態やSe蒸気圧が互いに同等になるように、これらリ
ザーバ容器部31内と成長容器部30内とが連結パイプ32を
通して相互に連通した構成となっている。
【0046】なお、リザーバ容器部31には、その下端面
を塞ぐリザーバ容器プラグ40が気密に螺着されている。
そして、このリザーバ容器ブラグ40内に、前記同様に、
逆止弁として機能する弁体41が配設されている。この弁
体41、および成長容器部30の上部プラグ36内に設けられ
ている前記の弁体38により、気密性容器10内外に圧力差
が生じないように保持され、これによって、気密性容器
10の圧力差による破損が防止される。
【0047】上記構成の気密性容器10は、図6に示す縦
型の高温高圧炉内にセットされる。この高温高圧炉は、
高圧容器1における円筒状本体5の下端開口が、リング
状下蓋6aと、このリング状下蓋6aの中央開口を塞ぐよう
に下側から嵌着される内下蓋6bとの2部材によって覆わ
れている。リング状下蓋6aの内周縁に沿って円筒状のチ
ャンバ保持体42が立設されており、このチャンバ保持体
42の上端部で、前記断熱構造体2およびチャンバー4が
支持されている。
【0048】内下蓋6bには、その中心を貫通して上下方
向に延びる昇降ロッド43が、内下蓋6bと気密に昇降自在
に設けられている。この昇降ロッド43の上端に支持台9
が取付けられており、この支持台9の外周には、支持台
9上に載置された前記リザーバ39を加熱するためのリザ
ーバ加熱用ヒータ(リザーバ加熱手段)44が取付けられ
ている。
【0049】一方、前記実施例1と同様に、チャンバー
4の外側に設けられている加熱ヒータ3は、それぞれ上
下一対ずつのヒータエレメント8を、断熱構造体2内に
おける上部側、中央、下部側の三箇所に設けて構成され
ている。これらヒータエレメント8には、チャンバー4
内が上方ほど高温となる予め定められた温度分布で保持
されるように、供給電力が調整される。したがって、支
持台9上に載置された気密性容器10の成長容器部30は、
前記昇降ロッド43を昇降させてチャンバー4内における
高さ位置を変えることによって、昇降温の温度制御が行
われる。
【0050】なお、支持台9上には、前記連結パイプ32
の周囲に断熱材45を設けて、気密性容器10が載置され、
また、リザーバ加熱用ヒータ44がリザーバ容器部31に近
接して支持台9と一体的に上下動するように設けられて
いるので、チャンバー4内での気密性容器10の高さ位置
を変えて成長容器部30の加熱温度を制御する場合でも、
リザーバ容器部31の温度は、成長容器部30とは独立に制
御される。一方、前記チャンバ保持体42の下端部に、こ
の保持体42の内外を連通させる細孔46が形成され、この
細孔46が、前記実施例1においてチャンバー4の下端部
に設けられた通気開口12と同様に機能するようになって
いる。
【0051】上記装置での製造手順およびその結果の一
例について、次に説明する。まず、実施例1と同様の種
結晶24と原料とを充填したるつぼ23を気密性容器10の成
長容器部30内に収納し、この気密性容器10を高圧容器1
内にセットした後、アルゴンガスで雰囲気ガス置換を行
い、その後、アルゴンガスの供給圧力を約70kgf/cm2
し、この圧力状態を保持した。
【0052】次いで、この状態で加熱ヒータ3に加熱電
力を投入し、チャンバー4内が所定の温度分布になった
後に昇降ロッド43を操作して気密性容器10を上昇させ、
成長容器部30を1430℃まで昇温させて10分間保持した。
その後、成長容器部30の上部がほぼ1400℃、下部が1360
℃で保持されるように、気密性容器10をやや下降させて
保持した。
【0053】この間、リザーバ容器部31の温度を1170℃
に保持した。この温度でのリザーバ容器部31内でのSeの
平衡蒸気圧は、図7に示すように39bar であって、これ
は、成長容器部30内でのSe59at%の原料融液における13
80℃でのSeの平衡蒸気圧(図1参照)に相当する。その
後、成長容器部30の温度を保持した状態で、連結パイプ
32の温度がリザーバ容器部31の温度より低くならないよ
うにして、リザーバ容器部31の温度を1170℃から徐々に
低下させる操作を行った。
【0054】この操作で、例えばリザーバ容器部31の温
度を1065℃まで低下させた時点では、図7に示すよう
に、リザーバ容器部31内のSeの平衡蒸気圧は20bar とな
る。このため、成長容器部30内のSeの蒸気圧も同じ20ba
r となるように、成長容器部30内からSeの蒸気がリザー
バ容器部31に移動し、リザーバ容器部31内のリザーバ39
にて凝結、回収される。このようにして、成長容器部30
内では、るつぼ23内の原料融液からSeが蒸散し、融液の
組成が変化してZnSeが析出し、ZnSe単結晶が成長する。
【0055】最終的には、リザーバ容器部31の温度を11
70℃から 700℃まで20℃/hの速度で低下させた。700 ℃
でのSeの平衡蒸気圧約0.1bar(融点1526℃では0.25bar)
であり、このとき、るつぼ23内は殆どがZnSe結晶とな
り、微量のZnとSeとの混合融液が残るだけとなる。この
状態で1時間保持した後、300 ℃/hの速度で成長容器部
30とリザーバ容器部31とを共に冷却した。約100 ℃にな
った時点で高圧容器1から気密性容器10を取り出した
後、気密性容器10内からるつぼ23を取り出し、さらにる
つぼ23から成長結晶を取り出した。
【0056】成長結晶は、ほぼ全体が若干橘味を帯びた
黄色で、全体が一つの結晶粒であること、肉眼では双晶
によると思われる縞模様はほとんどないことが確認され
た。さらに、結晶全体を軸方向に切断し研磨加工した
後、NaOHでエッチングして光学顕微鏡で組織観察を行っ
たが、双晶は殆どないことが確認された。この結晶のX
線ロッキングカーブを測定して、(400)面の反射の
半値幅を求めたところ、30arcsecであり、融液から成長
させたZnSe単結晶としては結晶性の良いことが確認され
た。
【0057】本実施例によれば、不活性ガスの圧力の精
密な制御は不要で、入手が容易なプログラム温度調節計
を用いてリザーバ容器部31の温度制御を行うだけで、Se
の蒸気圧の制御が可能であるので、容易な操作で良質の
ZnSe単結晶を成長させることができる。以上の説明のよ
うに、上記の各実施例においては、結晶成長温度を相転
移温度以下に下げて単結晶の成長を行わせることが可能
であり、したがって、六方晶から立方晶への相転移に伴
う双晶の発生を回避し、かつ、融液法の利点である高回
収量を維持することができる。さらに、立方晶の種結晶
を用いて、製造する単結晶の方位を固定することも可能
となるなど、双晶の少ないZnSeバルク単結晶の工業的な
生産が可能になり、ZnSe基板を用いたホモエピタキシャ
ル成長によるZnSe青色LED、LD製造を急速に加速す
るものと期待される。
【0058】なお、上記では、融液表面のSe蒸気圧を低
下させる操作を、高圧容器1内の圧力を低下させる方法
と、成長容器部30に接続されたリザーバ39でのSe蒸気圧
を制御して行う方法とを例に挙げて説明したが、例え
ば、図4に示す装置を用い、チャンバー4下部を低温に
保持して、気密性容器10A 内を所定の温度状態で放置す
る方法を採用することも可能である。このとき、気密性
容器10A 内のSe蒸気はキャピラリー16A を通して流出し
た後、Se蒸気圧の低いチャンバー4内の空間に自然に拡
散していき、最終的には下部の低温部分に析出するの
で、Se蒸気の拡散移動が継続する。これにより、融液表
面のSe蒸気圧が低下し、融液からのSeの蒸発が進むこと
になる。この場合、単結晶の成長速度はキャピラリー16
A を通してSe蒸気が拡散していく速度に依存するので、
キャピラリー16A の長さおよび断面積を適宜選定するこ
とにより、Se蒸気の拡散速度、ひいては単結晶の成長速
度を決定することができる。
【0059】
【発明の効果】以上のように、本発明の請求項1記載の
ZnSe単結晶の製造方法によれば、相転移温度以下に保持
した状態で結晶成長を行わせることが可能であり、しか
も、結晶成長に伴って融液中のSeの濃度が上がることは
なく、したがって、成長速度が徐々に低下していくこと
はない。また、融液の組成がZn:Se=1:1となるまで
結晶化を行わせることができるので、回収率が向上す
る。これにより、双晶欠陥の低減された良質のZnSe単結
晶を成長させることが可能であると共に、生産性を向上
することができる。
【0060】また、請求項2記載の製造装置で上記方法
を実施すれば、原料収納容器と共に高温まで加熱される
気密性収納容器の作製が容易であると共に、材料の選定
範囲が広がるので、成長結晶に対して極力汚染しない材
料の選定が可能となり、これによっても、より良質の単
結晶を成長させることが可能になる。さらに、請求項3
記載の装置で上記方法を実施すれば、融液から蒸散する
Se蒸気が加熱手段等に触れることが抑えられる。このた
め、例えば短絡事故等の発生防止するための装置のメイ
ンテナンスが容易となり、これによっても生産性が向上
する。
【0061】また、請求項4記載の装置では、原料収納
容器の細管部に挿入する種結晶により、全体が所定の方
位の単結晶を成長させることができるので、所望の品質
の単結晶を確実に得ることができる。一方、請求項5記
載の装置で上記の方法を実施すれば、例えばプログラム
温度調節計等によるリザーバ収納容器部の電気的な制御
だけで双晶欠陥の低減された良質のZnSe単結晶を成長さ
せることができるので、全体の構成が簡単になり、これ
によって、さらに生産性を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるZnSe単結晶の製造方
法を説明するため、液相線に沿ったSeの平衡蒸気圧を付
記して示すZnとSeとのZnSe部近傍における模式的な温度
状態図である。
【図2】上記実施例の製造方法を実施するための単結晶
製造装置の全体構成を示す断面模式図である。
【図3】上記実施例で原料が充填されるるつぼとこのる
つぼを収容する気密性容器の構成を示す断面模式図であ
る。
【図4】本発明の他の実施例におけるZnSe単結晶の製造
方法を実施するための単結晶製造装置の全体構成を示す
断面模式図である。
【図5】本発明のさらに他の実施例におけるZnSe単結晶
の製造方法を実施する際の原料が充填されるるつぼとこ
のるつぼを収容する気密性容器の構成を示す断面模式図
である。
【図6】図5に示す気密性容器を用いて単結晶を成長さ
せる際の単結晶製造装置の全体構成を示す断面模式図で
ある。
【図7】図5に示す気密性容器を用いて単結晶を成長さ
せる際のSeリザーバでの加熱温度とSeの平衡蒸気圧との
関係を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
1 高圧容器(炉体) 3 加熱ヒータ(加熱手段) 4 チャンバー 7 ガス供給排出路 10 気密性容器 12 通気開口 16a ・17a 連通路 23 るつぼ(原料収納容器) 23a 細管部 24 種結晶 30 成長容器部 31 リザーバ容器部 32 連結パイプ 39 リザーバ 44 リザーバ加熱用ヒータ(リザーバ加熱手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 広 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 川中 岳穂 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 大元 誠一郎 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ZnとSeとの原料をSeの比率がZnSe状態図
    での液相線と相転移温度との交点に対応する比率よりも
    大きなSeリッチとし、上記原料を加熱溶融した後、相転
    移温度より低い所定温度に保持した状態で、融液表面の
    Se蒸気圧を上記所定温度でのSeの平衡蒸気圧から徐々に
    低下させることにより、融液からSeを蒸散させながらZn
    Seを析出させることを特徴とするZnSe単結晶の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 ZnとSeとの原料を収納する原料収納容器
    と、この原料収納容器を収容する気密性容器と、この気
    密性容器の周囲から原料収納容器を加熱する加熱手段を
    内蔵すると共に外部に接続されるガス供給排出路を有す
    る密閉状の炉体とを備え、上記気密性容器には、この気
    密性容器の内外の圧力差に応じたガスの流通を可能とす
    べくこの気密性容器の内外を相互に連通する連通路が形
    成されていることを特徴とするZnSe単結晶の製造装置。
  3. 【請求項3】 上記気密性容器を加熱手段よりも内側で
    囲う気密性材料からなるチャンバーがさらに設けられる
    と共に、このチャンバーには、加熱手段よりも下方にこ
    のチャンバー内外を相互に連通する通気開口が設けられ
    ていることを特徴とする請求項2記載のZnSe単結晶の製
    造装置。
  4. 【請求項4】 上記原料収納容器には、その下部側に種
    結晶を挿入する細管部が設けられていることを特徴とす
    る請求項2又は3記載のZnSe単結晶の製造装置。
  5. 【請求項5】 上記気密性容器は、原料収納容器を収容
    する成長容器部と、Seのリザーバを収納するリザーバ容
    器部とが、これら成長容器部内とリザーバ容器部内とを
    相互に連通させる連結パイプにより連結されて成ると共
    に、成長容器部内を加熱するための加熱手段とは別に、
    リザーバ容器部内を独立に加熱し加熱温度に応じてSe蒸
    気を発生させるリザーバ加熱手段が設けられていること
    を特徴とする請求項2、3又は4記載のZnSe単結晶の製
    造装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112663133A (zh) * 2021-01-25 2021-04-16 延安星特亮科创有限公司 一种下降法晶体生长坩埚

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112663133A (zh) * 2021-01-25 2021-04-16 延安星特亮科创有限公司 一种下降法晶体生长坩埚

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