JPH08258589A - ヘッドアップ型車両用表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 必要とする表示像または表示領域の大きさを
確保しつつ，プロジェクタユニットの小型化を実現し，
インストールパネル上における装着自由度の向上を図
る。 【構成】 表示像を表示する透過型の表示素子としての
液晶ディスプレイ１０１と，液晶ディスプレイ１０１を
透過的に照明する照明用光源としての冷陰極管１０２
と，液晶ディスプレイ１０１を透過した光（以下，表示
光と記載する）を所定方向に回折する回折部材としての
ホログラフィック光学素子１０３と，ホログラフィック
光学素子１０３の回折光を運転者の目１０６の方向へ回
折または反射するコンバイナ１０４と，ホログラフィッ
ク光学素子１０３およびコンバイナ１０４の間に配設さ
れたルーバ状フィン１０５とを備え，ホログラフィック
光学素子１０３が，表示光を入射角θｉ＞出射角θｏの
条件で反射的に回折する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は，車両の前景と表示情
報である虚像とを重ね合わせて表示するヘッドアップ型
車両用表示装置に関し，特に，車両のインストールパネ
ル上に後付け載置して使用するヘッドアップ型車両用表
示装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両用表示装置の一つとして，入射光の
入射角度と回折角度とが異なるように合わせガラスの間
にホログラフィック光学素子を配置して形成されたホロ
グラフィックコンバイナを有し，ホログラフィックコン
バイナに表示光を照射し，回折光のみを虚像として前景
と重ね合わせて運転者へ認識させるヘッドアップ型車両
用表示装置がある。また，このヘッドアップ型車両用表
示装置としては，車両のインストールパネルに内蔵され
たタイプと，車両のインストールパネル上に後付けで載
置するタイプの２種類のものがある。

【０００３】図７は，従来の車両のインストールパネル
に内蔵されたタイプのヘッドアップ型車両用表示装置の
構成例を示し，照明用光源７０１から照射された光束
が，透過型の表示素子である液晶ディスプレイ７０２に
照射され，液晶ディスプレイ７０２の表示像を透過し
て，ホログラフィックコンバイナ７０３に入射する。こ
のとき，液晶ディスプレイ７０２に照射された光束は，
液晶ディスプレイ７０２に表示された表示像を透過する
ことにより，表示像に応じた画像情報（表示虚像情報）
を有することになる。

【０００４】ホログラフィックコンバイナ７０３に入射
した光束は，回折され，その回折光が運転者の目７０４
に入り，表示虚像７０５として前景７０６と共に運転者
に認識される。なお，図示の如く，ホログラフィックコ
ンバイナ７０３は，車両のウインドシールド７０７に配
置されており，照明用光源７０１および液晶ディスプレ
イ７０２は，車両のインストールパネル７０８内に配置
されている。

【０００５】ところが，このインストールパネル内蔵タ
イプでは，ヘッドアップ型車両用表示装置を載置する空
間をインストールパネル内に設ける必要があるため，イ
ンストールパネルが大型化する傾向があるという不都合
や，インストールパネルのレイアウトの自由度が低下す
るという不都合があった。

【０００６】このため，これを解決するものとして，図
８に示すように，車両のインストールパネル上に後付け
で載置するタイプのヘッドアップ型車両用表示装置が提
供されている。この装置は，照明用光源８０１，液晶デ
ィスプレイ８０２および回折ミラー８０３をプロジェク
タユニット８００内に内蔵し，プロジェクタユニット８
００の上部にホログラフィックコンバイナ８０４を配置
した構成であり，車両のインストールパネル（図示せ
ず）上に載置して使用される。なお，図において，８０
５は車両のウインドシールドを示す。

【０００７】照明用光源８０１から照射された光束が，
ＬＣＤ（液晶表示装置）からなる透過型の液晶ディスプ
レイ８０２に照射され，液晶ディスプレイ８０２の表示
像を透過して，回折ミラー８０３へ照射される。回折ミ
ラー８０３に入射した光束は，回折ミラー８０３によっ
て正反射（入射角θｉ＝出射角θｏ）されて，ホログラ
フィックコンバイナ８０４へ照射され，ホログラフィッ
クコンバイナ８０４で回折され，その回折光が運転者の
目８０６に入り，表示虚像８０７として前景８０８と共
に運転者に認識される。

【０００８】以上の構成において，液晶ディスプレイ８
０２に表示された表示像が，回折ミラー８０３およびホ
ログラフィックコンバイナ８０４を介して表示虚像８０
７として運転者の目８０６に到達することになるが，こ
の場合，表示虚像８０７の大きさは，液晶ディスプレイ
８０２に表示された表示像と等価（すなわち，そのまま
の大きさ）となる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら，上記従
来の技術によれば，必要とする表示像または表示領域と
等しいサイズの表示素子（液晶ディスプレイ）が必要で
あり，表示素子のサイズによってプロジェクタユニット
の大きさが規定されるため，プロジェクタユニットが大
きくなり，インストールパネル上における装着自由度が
低下するという問題点があった。

【００１０】また，場合によっては，インストールパネ
ルを加工する必要があるため，手間がかかるという不都
合もあった。

【００１１】この発明は，このような従来の問題点に着
目してなされたもので，必要とする表示像または表示領
域の大きさを確保しつつ，プロジェクタユニットの小型
化を実現し，インストールパネル上における装着自由度
の向上を図ることを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに，請求項１に係るヘッドアップ型車両用表示装置
は，表示像を表示する透過型の表示素子と，前記表示素
子を透過的に照明する照明用光源と，前記表示素子を透
過した光を所定方向に回折する回折部材と，前記回折部
材からの回折光を運転者の目の方向へ回折または反射す
るコンバイナとを備えたヘッドアップ型車両用表示装置
において，前記回折部材は，前記表示素子を透過した光
を入射角＞出射角の条件で反射的に回折するものであ
る。

【００１３】また，請求項２に係るヘッドアップ型車両
用表示装置は，表示像を表示する透過型の表示素子と，
前記表示素子を透過的に照明する照明用光源と，前記表
示素子を透過した光を所定方向に回折する回折部材と，
前記回折部材からの回折光を運転者の目の方向へ回折ま
たは反射するコンバイナとを備えたヘッドアップ型車両
用表示装置において，前記表示素子を透過した光が前記
回折部材の表面で正反射されて，コンバイナまたは車両
のウインドシールドを介して運転者の目に入射する光路
を遮る第１の遮光部材と，車外からの光が前記回折部材
の表面で正反射されて，コンバイナまたは車両のウイン
ドシールドを介して運転者の目に入射する光路を遮る第
２の遮光部材とを備え，前記回折部材は，前記表示素子
を透過した光を入射角＞出射角の条件で反射的に回折す
るものである。

【００１４】また，請求項３に係るヘッドアップ型車両
用表示装置は，前記第１の遮光手段が，ルーバ状フィン
からなり，かつ，該ルーバ状フィンが前記第２の遮光手
段を兼ねるものである。

【００１５】また，請求項４に係るヘッドアップ型車両
用表示装置は，前記回折部材の入射角をθｉ，出射角θ
ｏとし，前記ルーバ状フィンのルーバのピッチをＬｐ，
ルーバの高さをＨとしたとき，前記回折部材によって回
折された回折光の出射方向と前記ルーバ状フィンのルー
バ高さ方向が略平行であり，かつ，前記回折部材とルー
バ状フィンとの関係が，Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ（θｉ−θ
ｏ），かつ，Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ２θｏを満たすものであ
る。

【００１６】また，請求項５に係るヘッドアップ型車両
用表示装置は，前記回折部材が，ホログラフィック光学
素子であるものである。

【００１７】また，請求項６に係るヘッドアップ型車両
用表示装置は，前記回折部材が，樹脂板またはガラス板
の表面に多数の細かい階段状溝処理を施した回折ミラー
であるものである。

【００１８】また，請求項７に係るヘッドアップ型車両
用表示装置は，前記回折部材の入射角をθｉ，出射角θ
ｏとし，前記ルーバ状フィンのルーバのピッチをＬｐ，
ルーバの高さをＨとしたとき，前記回折部材によって回
折された回折光の出射方向と前記ルーバ状フィンのルー
バ高さ方向が略平行であり，かつ，前記回折部材とルー
バ状フィンとの関係が，Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ（θｉ−θ
ｏ）を満たすものである。

【００１９】また，請求項８に係るヘッドアップ型車両
用表示装置は，前記ルーバ状フィンが，前記表示素子を
透過した光が運転者の目に直接入射する光路を遮るもの
である。

【００２０】

【作用】この発明のヘッドアップ型車両用表示装置（請
求項１）において，照明用光源から照射された光は，表
示像が表示されている表示素子を透過して，表示光とな
って回折部材に入射する。回折部材が，この表示素子を
透過した表示光を入射角＞出射角の条件でコンバイナの
方向（所定方向）に反射的に回折し，コンバイナが，回
折部材からの回折光を運転者の目の方向へ回折または反
射することにより，運転者が表示像を虚像として認識す
る。ここで，回折部材が，表示光を入射角＞出射角の条
件で反射的に回折すると，表示光は所定方向に拡大され
ることになる。換言すれば，表示素子に表示されている
表示像は，照明用光源からの光によって表示光として回
折部材へ照射され，該回折部材で回折されることによ
り，縦方向に拡大された虚像としてコンバイナに投影さ
れる。

【００２１】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項２）は，照明用光源から照射された光
は，表示像が表示されている表示素子を透過して，表示
光となって回折部材に入射する。回折部材が，この表示
素子を透過した表示光を入射角＞出射角の条件でコンバ
イナの方向（所定方向）に反射的に回折し，コンバイナ
が，回折部材からの回折光を運転者の目の方向へ回折ま
たは反射することにより，運転者が表示像を虚像として
認識する。ここで，回折部材が，表示光を入射角＞出射
角の条件で反射的に回折すると，表示光は所定方向に拡
大されることになる。換言すれば，表示素子に表示され
ている表示像は，照明用光源からの光によって表示光と
して回折部材へ照射され，該回折部材で回折されること
により，縦方向に拡大された虚像としてコンバイナに投
影される。

【００２２】また，第１の遮光部材が，表示素子を透過
した表示光が回折部材の表面で正反射されて，コンバイ
ナまたは車両のウインドシールドを介して運転者の目に
入射する光路を遮る。さらに，第２の遮光部材が，車外
からの光が回折部材の表面で正反射されて，コンバイナ
または車両のウインドシールドを介して運転者の目に入
射する光路を遮る。これによって，不要な光がコンバイ
ナに入射したり，運転者の目に直接入ることがなく，運
転者はコンバイナを良好な状態で視認することができ
る。

【００２３】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項３）は，第１の遮光手段が，ルーバ状フ
ィンからなり，かつ，該ルーバ状フィンが第２の遮光手
段を兼ねることにより，簡単な構成で，映り込みの少な
い像が得られる。

【００２４】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項４）は，回折部材の入射角をθｉ，出射
角θｏとし，ルーバ状フィンのルーバのピッチをＬｐ，
ルーバの高さをＨとしたとき，回折部材によって回折さ
れた回折光の出射方向とルーバ状フィンのルーバ高さ方
向が略平行であり，かつ，回折部材とルーバ状フィンと
の関係が，Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ（θｉ−θｏ），かつ，Ｌ
ｐ＜Ｈ・ｔａｎ２θｏを満たすことにより，コンバイナ
または車両のウインドシールドを介して不要な光が運転
者の目に入射する光路を確実に遮られる。

【００２５】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項５）は，回折部材をホログラフィック光
学素子で構成することにより，簡単な構成で，入射角＞
出射角の条件を満足することができる。

【００２６】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項６）は，回折部材を，樹脂板またはガラ
ス板の表面に多数の細かい階段状溝処理を施した回折ミ
ラーで構成することにより，簡単に構成で，入射角＞出
射角の条件を満足することができる。

【００２７】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項７）は，回折部材の入射角をθｉ，出射
角θｏとし，ルーバ状フィンのルーバのピッチをＬｐ，
ルーバの高さをＨとしたとき，回折部材によって回折さ
れた回折光の出射方向とルーバ状フィンのルーバ高さ方
向が略平行であり，かつ，回折部材とルーバ状フィンと
の関係が，Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ（θｉ−θｏ）を満たすこ
とにより，コンバイナまたは車両のウインドシールドを
介して不要な光が運転者の目に入射する光路を確実に遮
られる。

【００２８】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項８）は，ルーバ状フィンによって，表示
素子を透過した光が運転者の目に直接入射する光路を遮
ることにより，コンバイナに投影された虚像が見やすく
なる。

【００２９】

【実施例】以下，この発明のヘッドアップ型車両用表示
装置について，〔実施例１〕，〔実施例２〕の順に図面
を参照して詳細に説明する。

【００３０】〔実施例１〕図１は，実施例１のヘッドア
ップ型車両用表示装置の構成図を示し，表示像を表示す
る透過型の表示素子としての液晶ディスプレイ１０１
と，液晶ディスプレイ１０１を透過的に照明する照明用
光源としての冷陰極管１０２と，液晶ディスプレイ１０
１を透過した光（以下，表示光と記載する）を所定方向
に回折する回折部材としてのホログラフィック光学素子
１０３と，ホログラフィック光学素子１０３の回折光を
運転者の目１０６の方向へ回折または反射するコンバイ
ナ１０４と，ホログラフィック光学素子１０３およびコ
ンバイナ１０４の間に配設されたルーバ状フィン１０５
とから構成される。なお，図において，１００はプロジ
ェクタユニット，１０７は車両のウインドシールド，１
０８は表示虚像，１０９は前景，１１０は太陽光を示
す。

【００３１】図示の如く，プロジェクタユニット１００
内に，液晶ディスプレイ１０１，冷陰極管１０２，ホロ
グラフィック光学素子１０３およびルーバ状フィン１０
５が取り付けられており，その上部にコンバイナ１０４
が載置されている。

【００３２】また，液晶ディスプレイ１０１を透過した
表示光は，ホログラフィック光学素子１０３に入射角θ
ｉで入射し，その大部分が出射角θｏで回折されて回折
光としてコンバイナ１０４へ導かれる。換言すれば，ホ
ログラフィック光学素子１０３は，入射角θｉで入射し
た表示光を出射角θｏで出射する回折部材である。ま
た，このとき，入射角θｉと出射角θｏは，入射角θｉ
＞出射角θｏの関係にある。

【００３３】ここで，図２を参照して，ホログラフィッ
ク光学素子１０３の作成方法について簡単に説明する。
ホログラフィック光学素子１０３は，ホログラム乾板２
０１に対して，その裏面から出射角θｏを設定するため
の参照光である第２のレーザ光を照射しながら，その表
面から入射角θｉを設定するための第１のレーザ光を照
射することにより，ホログラム乾板２０１のホログラム
中に干渉縞を作成することにより容易に作成される。

【００３４】ルーバ状フィン１０５は，図３に示すよう
に，平行に並べられた複数のルーバ１０５ａから成り，
かつ，各ルーバは１０５ａは，そのルーバ高さ方向がホ
ログラフィック光学素子１０３の出射角方向とほぼ平行
に設定されている。したがって，ホログラフィック光学
素子１０３からの回折光は，ルーバ状フィン１０５に遮
られることなく，コンバイナ１０４に到達する構成であ
る。

【００３５】また，ルーバ状フィン１０５は，ルーバ１
０５ａのピッチをＬｐ，ルーバ１０５ａの高さをＨとし
たとき，ホログラフィック光学素子１０３の入射角θｉ
および出射角θｏとの関係が， Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ（θｉ−θｏ），かつ，Ｌｐ＜Ｈ・ｔ
ａｎ２θｏ を満たすように設定されている。したがって，図１に示
すように，ホログラフィック光学素子１０３に入射した
表示光の一部が正反射（すなわち，入射角θｉと同じ出
射角θｉでの反射）された回折光は，ルーバ１０５ａが
Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ（θｉ−θｏ）の条件で存在するた
め，その光路がルーバ１０５ａによって遮られ，プロジ
ェクタユニット１００から外へ漏れることがない。換言
すれば，コンバイナ１０４や，ウインドシールド１０７
に達しないので，運転者の目１０６に入らない。

【００３６】また，太陽光１１０が，プロジェクタユニ
ット１００内に入射し，ホログラフィック光学素子１０
３で表面反射されて，コンバイナ１０４を介して運転者
の目１０６に入る光路も考えられるが，同様に，ルーバ
１０５ａが，Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ２θｏの条件で存在する
ため，太陽光１１０の光路が遮られて，運転者の目１０
６に入らない。

【００３７】以上の構成のおいて，その動作を説明す
る。コンバイナ１０４に表示する表示情報が表示像とし
て液晶ディスプレイ１０１上に表示され，冷陰極管１０
２の発光する光によって透過されることにより，表示光
としてホログラフィック光学素子１０３に送られる。ホ
ログラフィック光学素子１０３は，表示光をあらかじめ
設定された角度に基づいて回折し，コンバイナ１０４へ
出射する。このとき，ホログラフィック光学素子１０３
によって回折される表示光は，入射角θｉ，出射角θｏ
で回折される。

【００３８】次に，ホログラフィック光学素子１０３か
ら出射された表示光（回折光）は，コンバイナ１０４上
に虚像１０８として投影され，ウインドシールド１０７
の前景１０９に重畳して運転者の目１０６に到達する。

【００３９】なお，実施例１では，ホログラフィック光
学素子１０３に入射した表示光が，入射角θｉ＞出射角
θｏで回折されるため，液晶ディスプレイ１０１の表示
像は縦方向に拡大されてコンバイナ１０４に投影され
る。具体的には，図４（ａ）に示すように，入射角θｉ
＞出射角θｏの条件において，入射角θｉで入射した表
示光が出射角θｏで回折されると，入射時の表示光の縦
方向の幅Δｄｉは，出射時に幅Δｄｏとなる。すなわ
ち，図から明らかなように，Δｄｉ＜Δｄｏとなり，縦
方向に拡大されて投影されたことになる。

【００４０】一方，図４（ｂ）に示すように，入射角θ
ｉ＝出射角θｏの条件において，入射角θｉで入射した
表示光が出射角θｏで回折されると，図から明らかなよ
うに，Δｄｉ＝Δｄｏとなり，等倍で回折される。

【００４１】一方，ホログラフィック光学素子１０３で
正反射された表示光（回折光）は，ルーバ状フィン１０
５のルーバ１０５ａによって遮られる。また，太陽光１
１０もルーバ１０５ａによって遮られるので，運転者の
目１０６には，不要な光が入らず，コンバイナ１０４を
良好な状態で見ることができる。換言すれば，必要な情
報（虚像１０８および前景１０９）以外の，例えば，太
陽光１１０が運転者の目１０６に届くことを防止するの
で，運転者が煩わしく感じることがない。

【００４２】前述したように実施例１によれば，ホログ
ラフィック光学素子１０３の入射角θｉと出射角θｏと
の関係を，入射角θｉ＞出射角θｏに設定してあるた
め，液晶ディスプレイ１０１の表示像を縦方向に拡大し
てコンバイナ１０４に投影することができる。すなわ
ち，コンバイナ１０４に投影される虚像のサイズを同一
とした場合，液晶ディスプレイ１０１の高さを小さくす
ることができ，プロジェクタユニット１００を薄型にす
ることができる。

【００４３】換言すれば，必要とする表示像または表示
領域の大きさを確保しつつ，プロジェクタユニットの小
型化を実現し，インストールパネル上における装着自由
度の向上を図ることができる。

【００４４】具体的には，図４（ａ），（ｂ）に示すよ
うに，実施例１のホログラフィック光学素子１０３を用
いた場合の液晶ディスプレイ１０１のサイズは，従来の
正反射型の回折ミラー４０２を用いた場合の液晶ディス
プレイ４０１のサイズに比較して，高さ方向で小さくす
ることができる。

【００４５】〔実施例２〕図５は，実施例２のヘッドア
ップ型車両用表示装置の構成図を示す。実施例２は，実
施例１のホログラフィック光学素子１０３に代えて，樹
脂板（またはガラス板）の表面に多数の細かい階段状溝
処理を施した回折ミラー５０１を用いたものである。な
お，実施例２の構成および動作は，基本的に実施例１と
同様であるので，ここでは異なる部分のみ説明する。

【００４６】図５において，液晶ディスプレイ１０１か
らの表示光は，回折ミラー５０１によってコンバイナ１
０４へ回折される。このとき，回折ミラー５０１は入射
角θｉ＞出射角θｏに設定されており，実施例１と同様
に液晶ディスプレイ１０１の表示光を縦方向に拡大し
て，コンバイナ１０４に投影する。

【００４７】図６は，回折ミラー５０１の構成を示す。
回折ミラー５０１は，樹脂板の表面に多数の細かい階段
状の溝処理を施したものである。ここで，液晶ディスプ
レイ１０１からの表示光は，細かい階段状の溝によって
正反射され，コンバイナ１０４の方向へ回折されるが，
この階段状の溝が回折ミラー５０１の底面に対して所定
の角度を有しているため，細かい階段状の溝によって構
成される仮想的な回折ミラー５０１の面（この面は回折
ミラー５０１の底面と平行な面）に対しては，表示光が
入射角θｉ＞出射角θｏで回折されることになる。

【００４８】また，回折ミラー５０１の回折面である階
段状の溝において，全ての表示光が正反射されてコンバ
イナ１０４へ導かれるため，反射の方向によって表示光
が運転者の目１０６に直接入るということがない。

【００４９】また，回折ミラー５０１が多数の細かい階
段状の溝によって形成されているので，図６の斜線部分
６０１で示すように，溝と溝との間に回折光が存在しな
い部分が発生するが，この斜線部分６０１の存在によっ
て，液晶ディスプレイ１０１の表示光が縦方向に拡大さ
れてコンバイナ１０４に投影されるという効果を奏す
る。このとき，コンバイナ１０４に投影された虚像１０
８では，液晶ディスプレイ１０１上の表示像と比較し
て，回折ミラー５０１の溝と溝との間に相当する部分の
画像が抜けて，縦方向に広げられた像となるが，実際に
は，回折ミラー５０１の溝が細かいことと，人間の目に
おける補間処理によって所望の虚像として見ることがで
き，映像的にはなんら問題はない。

【００５０】前述したように実施例２によれば，樹脂板
の表面に多数の細かい階段状の溝処理を施したも回折ミ
ラー５０１を用いることにより，実施例１と同様の効果
を奏することができる。

【００５１】また，ルーバ状フィン１０５のルーバ１０
５ａをＬｐ＜Ｈ・ｔａｎ２θｏとすることにより，液晶
ディスプレイ１０１の表示光（回折光）が，直接運転者
の目１０６に届くことがない。

【００５２】

【発明の効果】以上説明したように，この発明のヘッド
アップ型車両用表示装置（請求項１）は，照明用光源か
ら照射された光が，表示素子を透過して，表示光となっ
て回折部材に入射し，回折部材が，該表示光を入射角＞
出射角の条件でコンバイナの方向（所定方向）に反射的
に回折するため，表示素子に表示されている表示像は，
縦方向に拡大された虚像としてコンバイナに投影され
る。したがって，必要とする表示像または表示領域の大
きさを確保しつつ，プロジェクタユニットの小型化を実
現し，インストールパネル上における装着自由度の向上
を図ることができる。

【００５３】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項２）は，照明用光源から照射された光
が，表示素子を透過して，表示光となって回折部材に入
射し，回折部材が，該表示光を入射角＞出射角の条件で
コンバイナの方向（所定方向）に反射的に回折するた
め，表示素子に表示されている表示像は，縦方向に拡大
された虚像としてコンバイナに投影される。したがっ
て，必要とする表示像または表示領域の大きさを確保し
つつ，プロジェクタユニットの小型化を実現し，インス
トールパネル上における装着自由度の向上を図ることが
できる。

【００５４】また，第１の遮光部材が，表示素子を透過
した表示光が回折部材の表面で正反射されて，コンバイ
ナまたは車両のウインドシールドを介して運転者の目に
入射する光路を遮し，第２の遮光部材が，車外からの光
が回折部材の表面で正反射されて，コンバイナまたは車
両のウインドシールドを介して運転者の目に入射する光
路を遮るため，不要な光がコンバイナに入射したり，運
転者の目に直接入ることがなく，運転者はコンバイナを
良好な状態で視認することができる。

【００５５】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項３）は，第１の遮光手段が，ルーバ状フ
ィンからなり，かつ，該ルーバ状フィンが第２の遮光手
段を兼ねるため，簡単な構成で，映り込みの少ない像が
得られる。

【００５６】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項４）は，回折部材の入射角をθｉ，出射
角θｏとし，ルーバ状フィンのルーバのピッチをＬｐ，
ルーバの高さをＨとしたとき，回折部材によって回折さ
れた回折光の出射方向とルーバ状フィンのルーバ高さ方
向が略平行であり，かつ，回折部材とルーバ状フィンと
の関係が，Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ（θｉ−θｏ），かつ，Ｌ
ｐ＜Ｈ・ｔａｎ２θｏを満たすため，コンバイナまたは
車両のウインドシールドを介して不要な光が運転者の目
に入射する光路を確実に遮られる。

【００５７】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項５）は，回折部材をホログラフィック光
学素子で構成するため，簡単に構成で，入射角＞出射角
の条件を満足することができる。

【００５８】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項６）は，回折部材を，樹脂板またはガラ
ス板の表面に多数の細かい階段状溝処理を施した回折ミ
ラーで構成するため，簡単に構成で，入射角＞出射角の
条件を満足することができる。

【００５９】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項７）は，回折部材の入射角をθｉ，出射
角θｏとし，ルーバ状フィンのルーバのピッチをＬｐ，
ルーバの高さをＨとしたとき，回折部材によって回折さ
れた回折光の出射方向とルーバ状フィンのルーバ高さ方
向が略平行であり，かつ，回折部材とルーバ状フィンと
の関係が，Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ（θｉ−θｏ）を満たすた
め，コンバイナまたは車両のウインドシールドを介して
不要な光が運転者の目に入射する光路を確実に遮ること
ができる。

【００６０】また，この発明のヘッドアップ型車両用表
示装置（請求項８）は，ルーバ状フィンによって，表示
素子を透過した光が運転者の目に直接入射する光路を遮
るため，不要な光による煩わしさがなく，運転者はコン
バイナを良好な状態で視認することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１のヘッドアップ型車両用表示装置の構
成図である。

【図２】実施例１のホログラフィック光学素子の作成方
法を示す説明図である。

【図３】実施例１のルーバ状フィンの構成を示す説明図
である。

【図４】ホログラフィック光学素子を入射角θｉ＞出射
角θｏに設定したことによる効果を示す説明図である。

【図５】実施例２のヘッドアップ型車両用表示装置の構
成図である。

【図６】回折ミラーを示す説明図である。

【図７】従来の車両のインストールパネルに内蔵された
タイプのヘッドアップ型車両用表示装置の構成例を示す
説明図である。

【図８】従来の後付けタイプのヘッドアップ型車両用表
示装置の構成例を示す説明図である。

【符号の説明】

１００ プロジェクタユニット １０１ 液晶デ
ィスプレイ １０２ 冷陰極管 １０３ ホログ
ラフィック光学素子 １０４ コンバイナ １０５ ルーバ
状フィン １０５ａ ルーバ １０６ 運転者
の目 ５０１ 回折ミラー

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表示像を表示する透過型の表示素子と，
   前記表示素子を透過的に照明する照明用光源と，前記表
   示素子を透過した光を所定方向に回折する回折部材と，
   前記回折部材からの回折光を運転者の目の方向へ回折ま
   たは反射するコンバイナとを備えたヘッドアップ型車両
   用表示装置において，前記回折部材は，前記表示素子を
   透過した光を入射角＞出射角の条件で反射的に回折する
   ことを特徴とするヘッドアップ型車両用表示装置。
2. 【請求項２】 表示像を表示する透過型の表示素子と，
   前記表示素子を透過的に照明する照明用光源と，前記表
   示素子を透過した光を所定方向に回折する回折部材と，
   前記回折部材からの回折光を運転者の目の方向へ回折ま
   たは反射するコンバイナとを備えたヘッドアップ型車両
   用表示装置において，前記表示素子を透過した光が前記
   回折部材の表面で正反射されて，コンバイナまたは車両
   のウインドシールドを介して運転者の目に入射する光路
   を遮る第１の遮光部材と，車外からの光が前記回折部材
   の表面で正反射されて，コンバイナまたは車両のウイン
   ドシールドを介して運転者の目に入射する光路を遮る第
   ２の遮光部材とを備え，前記回折部材は，前記表示素子
   を透過した光を入射角＞出射角の条件で反射的に回折す
   ることを特徴とするヘッドアップ型車両用表示装置。
3. 【請求項３】 前記第１の遮光手段は，ルーバ状フィン
   からなり，かつ，該ルーバ状フィンが前記第２の遮光手
   段を兼ねることを特徴とする請求項２記載のヘッドアッ
   プ型車両用表示装置。
4. 【請求項４】 前記回折部材の入射角をθｉ，出射角θ
   ｏとし，前記ルーバ状フィンのルーバのピッチをＬｐ，
   ルーバの高さをＨとしたとき，前記回折部材によって回
   折された回折光の出射方向と前記ルーバ状フィンのルー
   バ高さ方向が略平行であり，かつ，前記回折部材とルー
   バ状フィンとの関係が， Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ（θｉ−θｏ），かつ，Ｌｐ＜Ｈ・ｔ
   ａｎ２θｏ を満たすことを特徴とする請求項３記載のヘッドアップ
   型車両用表示装置。
5. 【請求項５】 前記回折部材は，ホログラフィック光学
   素子であることを特徴とする請求項１または２記載のヘ
   ッドアップ型車両用表示装置。
6. 【請求項６】 前記回折部材は，樹脂板またはガラス板
   の表面に多数の細かい階段状溝処理を施した回折ミラー
   であることを特徴とする請求項１または２記載のヘッド
   アップ型車両用表示装置。
7. 【請求項７】 前記回折部材の入射角をθｉ，出射角θ
   ｏとし，前記ルーバ状フィンのルーバのピッチをＬｐ，
   ルーバの高さをＨとしたとき，前記回折部材によって回
   折された回折光の出射方向と前記ルーバ状フィンのルー
   バ高さ方向が略平行であり，かつ，前記回折部材とルー
   バ状フィンとの関係が， Ｌｐ＜Ｈ・ｔａｎ（θｉ−θｏ） を満たすことを特徴とする請求項６記載のヘッドアップ
   型車両用表示装置。
8. 【請求項８】 前記ルーバ状フィンは，前記表示素子を
   透過した光が運転者の目に直接入射する光路を遮ること
   を特徴とする請求項３記載のヘッドアップ型車両用表示
   装置。