JPH08258435A - 熱転写記録媒体 - Google Patents

熱転写記録媒体

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JPH08258435A
JPH08258435A JP7062592A JP6259295A JPH08258435A JP H08258435 A JPH08258435 A JP H08258435A JP 7062592 A JP7062592 A JP 7062592A JP 6259295 A JP6259295 A JP 6259295A JP H08258435 A JPH08258435 A JP H08258435A
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JP
Japan
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ink ribbon
thickness
wax
thermal transfer
recording medium
Prior art date
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Pending
Application number
JP7062592A
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English (en)
Inventor
Shigeki Takahashi
茂樹 高橋
Shuji Maruyama
修司 丸山
Ryuma Mizushima
龍馬 水島
Shinichi Yabe
信一 矢部
Atsushi Suzuki
淳 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Publication date
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Publication of JPH08258435A publication Critical patent/JPH08258435A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 地肌汚れのない低エネルギー印字が可能で、
しかも、転写感度が高く、印字後の転写像の堅牢性及び
印字品質が改善された熱転写記録媒体の提供。 【構成】 基材シートと、該基材シート上に設けられた
ワックス剥離層と、該ワックス剥離層上に設けられた熱
溶融性インク層とを有する本発明の熱転写記録媒体は、
上記基材シートの厚さが0.5μm以上3.0μm未満
であり且つ上記ワックス剥離層の厚さが0.1μm以上
3.0μm未満であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱転写記録媒体、詳し
くは、インクリボンカセットに装着される熱転写記録媒
体に関するものであり、更に詳しくは、印字後の転写像
の堅牢性及び印字品質が改善された熱転写記録媒体。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】熱転写
記録方式は、シート状の基材上に少なくとも一層の熱溶
融性インク層を設けてなる熱転写記録媒体を用い、この
熱転写記録媒体をその熱溶融性インク層が被転写体に接
するように重ね合わせ、熱転写記録媒体の基材側より加
熱ヘッドにより熱溶融性インク層を加熱溶融して被転写
体上に転写像を得る記録方式である。熱転写記録方式に
よれば、使用する装置が低騒音であり、また、操作性及
び保守性に優れ、しかも普通紙を被転写体として使用可
能であるため、近年広く用いられている。
【0003】このような熱転写記録方式を用いて、普通
紙等に転写像を記録するときには、例えばサーマルヘッ
ドを備えた熱転写プリンターが一般に用いられる。しか
し、熱転写プリンターの高性能化が進むにつれ、印字に
必要な熱エネルギーをできるだけ低く抑えることが望ま
れるようになった。この理由は、印字に必要な熱エネル
ギーを従来よりも低く抑えることによって、ヘッドの加
熱、放冷サイクルタイムが短縮され、ヘッドの熱劣化を
防止でき、特にラインプリンタについては電源小型化等
が可能になる為である。また、基材の耐熱性不足も補う
ことができる為である。しかしながら、印字に必要な熱
エネルギーを低く抑えるためにインク組成物の融点を低
く設計すると、普通紙上への印字に際してワックスの低
融点成分に起因する地肌汚れが発生し、転写像の定着
性、堅牢性も低下する他、保存中に環境温度が上昇する
と、所謂ブロッキング現象も発生するという問題が生じ
てきた。
【0004】これらの問題を解決するために従来は、熱
溶融性インク層の結合剤への樹脂成分の導入(特開昭5
4−87234号公報、同54−163044号公報、
同56−98269号公報、同62−130887号公
報)、或いは、ワックスインクへの樹脂系オーバーコー
ト層の塗布(特開昭61−242893号公報)等で対
処したきたが、複合化された要求をバランスよく満たす
程のものは得られていなかった。
【0005】また、上記基材の厚みを小さくして、熱の
伝達を高めることによって低エネルギー印字を達成する
試みもあるが、黒ベタの被覆が低下したり、走行性が不
安定になるなどの問題があった。
【0006】更に、そのような厚みの小さい熱転写記録
媒体からなるインクリボンを用いたインクリボンカセッ
トにおいては、インクリボンの走行性を安定させ、印字
品質を高めるために、インクリボンの走行を補助する駆
動ローラを用いる必要があり、その結果、構成部品数が
多くなり、製造コストが高くなるという欠点があった。
更に、上記駆動ローラは、そのインクリボンと接する面
(つまり、ローラ面)上でインクリボンが滑らないよう
に、該ローラ面にゴムを用いているが、これが原因で稀
にインクリボンが駆動ローラに巻き込まれたり、インク
リボンに皺等を含めた変形が生じ、安定な走行が困難に
なることがある。
【0007】従って、本発明の目的は、地肌汚れのない
低エネルギー印字が可能で、しかも、転写感度が高く、
印字後の転写像の堅牢性及び印字品質が改善された熱転
写記録媒体を提供することにある。
【0008】また、本発明の目的は、駆動ローラを有し
ないインクリボンカセットに装着した場合でも、安定走
行が可能で、高印字品質を達成し得る熱転写記録媒体を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
した結果、基材シートと熱溶融性インク層とのあいだに
ワックス剥離層を設け、該基材シートの厚さと該ワック
ス剥離層の厚さとのバランスを調整することにより、熱
転写記録媒体への加熱エネルギーが低い場合であって
も、転写感度が高く、印字後の堅牢性及び印字品質の改
善された転写像が得られることを知見した。
【0010】本発明は上記知見に基づきなされたもので
あり、基材シートと、該基材シート上に設けられたワッ
クス剥離層と、該ワックス剥離層上に設けられた熱溶融
性インク層とを有する熱転写記録媒体において、上記基
材シートの厚さが0.5μm以上3.0μm未満であり
且つ上記ワックス剥離層の厚さが0.1μm以上3.0
μm未満であることを特徴とする熱転写記録媒体を提供
することにより、上記目的を達成したものである。
【0011】本発明は、熱転写記録媒体における基材シ
ートの厚さとワックス剥離層の厚さとのバランスを調整
する点に特長がある。即ち、本発明の熱転写記録媒体
は、基材シートの厚さが0.5μm以上3.0μm未満
である条件と、ワックス剥離層の厚さが0.1μm以上
3.0μm未満である条件との相乗作用によって、印字
の転写感度が高く、印字後の転写像の堅牢性及び印字品
質が改善されるものであり、これらの条件のうちの何れ
か一方のみを満たしても上記改善等はみられない。
【0012】以下、本発明の熱転写記録媒体について詳
細に説明する。
【0013】上述の通り、本発明の熱転写記録媒体は、
基材シートと、該基材シート上に設けられたワックス剥
離層と、該ワックス剥離層上に設けられた熱溶融性イン
ク層とを有するものである。
【0014】まず、上記基材シートについて説明する。
上記基材シートは、その厚さが0.5μm以上3.0μ
m未満である。この厚さは、従来用いられている熱転写
記録媒体の基材シートの厚さよりも薄いものである。上
記範囲の厚さの基材シートは、印字シワによる蛇行や不
安定な走行性等の理由により、従来は用いられていなか
ったが、本発明においては、基材シートの厚さと後述す
るワックス剥離層の厚さとのバランスを調整することに
よって、かかる範囲の厚さの基材シートを用いることが
可能となった。即ち、上記ワックス剥離層の厚さとの関
係において、上記基材シートの厚さが0.5μm未満で
は、黒ベタの被覆が低下したり、走行性が不安定にな
り、上記基材シートの厚さが3.0μm以上では、低エ
ネルギー印字には適していない。上記基材シートの厚さ
の好ましい範囲は、0.5〜約2.5μmであり、更に
好ましい範囲は、1.0〜約2.5μmである。
【0015】上記基材シートの材質としては、耐熱強度
を有し、寸法安定性及び表面平滑性の高いものが好まし
い。かかる基材の材料としては、特に制限はなく、基材
シートを形成し得るものであれば如何なるものをも使用
し得る。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのよう
なポリオレフィン類;ポリエチレンテレフタレートのよ
うなポリエステル類;ナイロンのようなポリアミド類;
ポリイミド類;ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンの
ような塩素系樹脂;ポリスチレンやその誘導体のような
ポリスチレン類;ポリテトラフルオロエチレンのような
フッ素系樹脂;ポリカーボネート類;グラシン紙やコン
デンサー紙のような紙類;金属箔などが挙げられる。ま
た、これらの材料を適宜ブレンドしたブレンド物や、こ
れらの材料から形成したシートをラミネートしたものも
使用することができる。本発明においては、特にコシが
強く、シワになり難く、しかも、耐熱性に優れるポリエ
チレンテレフタレートから成るシートを好適に使用する
ことができる。
【0016】次に、上記基材シート上に設けられるワッ
クス剥離層について説明する。上記ワックス剥離層は、
その厚さが0.1μm以上3.0μm未満である。この
厚さは、従来用いられている熱転写記録媒体のワックス
剥離層の厚さよりも薄いものである。上記範囲の厚さの
ワックス剥離層は、堅牢性が悪いという理由により、従
来は用いられていなかったが、本発明においては、ワッ
クス剥離層の厚さと上述した基材シートの厚さとのバラ
ンスを調整することによって、かかる範囲の厚さのワッ
クス剥離層を用いることが可能となった。即ち、上記基
材シートの厚さとの関係において、上記ワックス剥離層
の厚さが0.1μm未満では、ワックス剥離層を用いる
ことの効果がなく、上記ワックス剥離層の厚さが3.0
μm以上では、効果が飽和する。上記ワックス剥離層の
厚さの好ましい範囲は、0.5〜3.0μmであり、更
に好ましい範囲は、0.8〜3.0μmであり、特に好
ましい範囲は1.0〜3.0μmである。
【0017】上記基材シート及び上記ワックス剥離層の
それぞれの厚さは上述の通りであるが、これらの厚さの
好ましい組み合せとしては、上記基材シートの厚さが
0.5〜3.0μmであり且つ上記ワックス剥離層の厚
さが0.1〜3.0μmである。更に好ましくは、上記
基材シートの厚さが0.5〜約2.5μm未満であり且
つ上記ワックス剥離層の厚さが0.5〜3.0μmであ
り、一層好ましくは上記基材シートの厚さが1〜約2.
5μm未満であり且つ上記ワックス剥離層の厚さが0.
8〜3.0μmであり、特に好ましくは上記基材シート
の厚さが1.0〜約2.5μm未満であり且つ上記ワッ
クス剥離層の厚さが1.0〜3.0μmである。
【0018】上記ワックス剥離層は、上記範囲の厚さを
有していれば、如何なるワックス成分から形成されてい
てもよく、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィン
ワックス、米糠ロウ、マイクロクリスタリンワックス、
カルナバワックス、セラックワックス、モンタンワック
ス、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級アルコール等
を用いることができる。上記ワックス成分は、単独で用
いても、又は2種以上併用してもよい。特に、上記ワッ
クス成分として、ポリエチレンワックス及びパラフィン
ワックスから成る群から選択される1種又は2種以上の
ワックス成分が好ましく用いられる。就中、低エネルギ
ー印字中のインクリボンの走行性に鑑みポリエチレンワ
ックスを用いることが望ましい。
【0019】上記ポリエチレンワックスとしては、例え
ば、エチレンの重合により製造されたもの、一般成形用
ポリエチレンを熱分解により低分子量化する方法により
得られたもの、一般成形用ポリエチレンを製造する際に
副生する低分子量ポリエチレンを分離精製して得られた
もの、一般成形用ポリエチレンを酸化して得られたもの
等が挙げられる。就中、粒径分布を狭い範囲に調整でき
るという点で、ラジカル触媒により高温高圧下でエチレ
ンを重合する方法又はチーグラー触媒により低圧でエチ
レンを重合する方法により得られたものが好ましい。
【0020】上記ポリエチレンワックスとして市販品も
用いることができ、そのような市販品としては、三井ハ
イワックス(三井石油化学工業)、A−ワックス(BA
SF社)、AC−ポリエチレン(アライド・シグナル
社)、エポーレン(イーストマン・ケミカル社)、ヘキ
ストワックス(ヘキスト社)、サンワックス(三洋化成
工業)、バレコワックス(バレコ社)、サゾールワック
ス(サゾール社)及びポリワックス(東洋ペトロライト
社)などが挙げられる。
【0021】上記ワックス成分は、100℃における溶
融粘度が15cP未満であることも好ましい。100℃
における溶融粘度が15cP以上となると、印字中の剥
離力の増加により熱転写記録媒体の走行性が低下する場
合があるので上記の値未満とすることが好ましい。更に
好ましくは、上記ワックス成分は、100℃における溶
融粘度が12cP未満であり、特に好ましくは7cP未
満である。
【0022】就中、上記ワックス成分は、100℃にお
ける溶融粘度が15cP未満であることに加えて、AS
TM D−3104に基づく滴点が100℃以下である
ことが好ましい。滴点が100℃より高いと、低エネル
ギー印字中の剥離力の増加によりインクリボンの走行性
に影響を及ぼすこともあり得る。上記滴点は、98℃以
下であることが一層好ましい。
【0023】特に、上記ワックス成分は、100℃にお
ける溶融粘度が15cP未満であるポリエチレンワック
ス及びパラフィンワックスから成る群から選択される1
種又は2種以上のワックス成分であることが好ましい。
【0024】また、上記ワックス剥離層には、上記ワッ
クス剥離層の塗膜強度や柔軟性を向上させるために、本
発明の効果を損なわない範囲で、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレ
ン、石油樹脂等の樹脂類を添加してもよい。これら樹脂
類は単独で用いても、又は2種以上併用してもよい。
【0025】上記ワックス剥離層に含有される、上記ワ
ックス成分及び上記樹脂類の配合割合に特に制限はない
が、一般的な範囲としての上記ワックス成分の配合割合
は、上記ワックス剥離層中、好ましくは1〜100重量
%、更に好ましくは20〜99重量%であり、上記樹脂
類の配合割合は、上記ワックス剥離層中、好ましくは0
〜50重量%、更に好ましくは1〜20重量%である。
【0026】次に、上記ワックス剥離層上に設けられる
熱溶融性インク層について説明する。上記熱溶融性イン
ク層は、一般に着色剤と結合剤とを含有し、加熱によっ
て軟化・溶融して、被転写体へ移行するものである。
【0027】上記着色剤としては、カーボンブラック、
オイルブラック、黒鉛等の黒色系染顔料;C.I.ピグ
メント・イエロー1、同3、同74、同97、同98等
のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄顔料(ファス
トイエロー);C.I.ピグメント・イエロー12、同
13、 同14等のアセト酢酸アリールアミド系ビスア
ゾ黄顔料;C.I.ソルベント・イエロー19、同7
7、同79、C.I.ディスパーズ・イエロー164等
の黄染料;C.I.ピグメント・レッド8、同49:
1、同53:1、同57:1、同81:同122、同5
等の赤顔料;C.I.ソルベント・レッド52、同5
8、同8等の赤色系染料;C.I.ピグメント・ブルー
15:3等の銅フタロシアニン及びその誘導体、変性体
等染顔料などが使用でき、また有色もしくは無色の昇華
性染料、従来印刷インク、その他の着色用途で周知の染
顔料が使用出来る。これら染顔料は単独でも2種以上を
混合して用いてもよい。勿論、体質顔料や白色顔料と混
合し、色調を調整してもよい。更にまた、上記結合剤に
対する分散性を改善するために着色剤表面を界面活性
剤、シランカップリング剤等のカップリング剤、高分子
材料で処理したり、高分子系染料や高分子グラフト顔料
を用いてもよい。
【0028】また、上記結合剤としては、熱溶融性イン
ク層に通常用いられている物質を特に制限なく使用する
ことができるが、100℃における溶融粘度が2,50
0〜200,000cPの結合剤を用いることが望まし
い。上記結合剤は、上記着色剤100重量部に対して、
100〜900重量部配合することが好ましい。
【0029】上記結合剤として特に好ましいものは、高
級脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合
物である。就中、100℃における溶融粘度が2,50
0〜50,000cP(特に4,000〜20,000
cP)のものが好ましい。上記溶融粘度が2,500c
P未満であると、ワックス同様、凝集力が弱く、均一な
転写像の形成が困難であり、50,000cPを超える
と、インクの切れが悪く、解像度の悪い転写像になる場
合があるので、上記範囲内とすることが好ましい。
【0030】上記高級脂肪酸多価アルコールエステルの
イソシアネート重合物は、高級脂肪酸と多価アルコール
とのエステル化物にイソシアネート化合物を付加反応し
て得られる。
【0031】上記高級脂肪酸多価アルコールエステルを
得るための高級脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂
肪酸、脂環式脂肪酸、含酸素脂肪酸、ヒドロキシ脂肪酸
等を使用することができ、これらの脂肪酸中の炭素数
は、2〜60であり、好ましくは5〜50であり、特に
好ましくは10〜40である。本発明においては、特に
融点が20℃以上で炭素数が10〜40の脂肪酸が好適
に使用でき、例えばカプリン酸、ウンデシル酸、ラウリ
ン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、
パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデ
カン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロ
チン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラ
クセル酸などの飽和脂肪酸;アクリル酸、クロトン酸、
イソクロトン酸、カプロレイン酸、ウンデシレン酸、オ
レイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ酸、ブ
ラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、ア
ラキドン酸、イワシ酸、ニシン酸、プロピオール酸、ス
テアロール酸などの不飽和脂肪酸;イソバレリアン酸な
どの枝分かれ脂肪酸、マルバリン酸、ステルクリン酸、
ヒドノカルビン酸、ショールム−グリン酸、ゴルリン酸
などの脂環式脂肪酸;サビニン酸、イプロール酸、ヤラ
ピノール酸、ユニペリン酸、リシノール酸、セレブロン
酸などの含酸素脂肪酸、12−ヒドロキシステアリン酸
などのヒドロキシ脂肪酸;を使用することができる。な
かでも羊の皮脂腺より分泌されるラノリンをケン価分解
して得られるラノリン脂肪酸を用いた場合が最も有効で
ある。これらの脂肪酸は単独で用いても、又は2種以上
併用してもよい。
【0032】上記高級脂肪酸多価アルコールエステルを
得るための多価アルコールとしては、飽和脂肪族ポリオ
ール、不飽和脂肪族ポリオール、脂環式ポリオール、含
酸素脂肪族ポリオール等を使用することができ、これら
のポリオール中の炭素数は、1〜50であり、好ましく
は1〜20であり、特に好ましくは2〜10である。本
発明においては、例えばエチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレング
リコール、トリメチレングリコール、ブタンジオール、
ペンタンジオール、ヘキシレンジオール、オクチレンジ
オール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタ
エリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,3−ブ
チレングリコール、グリセリンモノアリル、〔4−(ヒ
ドロキシエトキシ)フェノール〕プロパン、ソルビトー
ル、ソルビット、ネオペンチルグリコール、トリスヒド
ロキシエチルイソシアヌレート、ビスフェノール、水添
ビスフェノール、ビスフェノールグリコールエーテル、
各種エポキシ基含有化合物(例えば、トリグリシジルイ
ソシアヌレート)等が用いられる。これら多価アルコー
ルも単独で用いても、又は2種以上併用しても良い。
【0033】上記高級脂肪酸多価アルコールエステルに
付加させるイソシアネート化合物としては、モノイソシ
アネート、ジイソシアネート、トリイソシアネート等を
使用することができ、例えば、メチルイソシアネート、
エチルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、
n−ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネー
ト、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のモノ
イソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート、
4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアニ
シジンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネ
ート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トランス
ビニレンジイソシアネート、N,N’(4,4’−ジメ
チル−3,3’−ジフェニルジイソシアネート)ウレジ
オン、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート等
のジイソシアネート;トリフェニルメタントリイソシア
ネート、トリス(4−フェニルイソシアネートチオホス
フェート)4,4’,4”−トリメチル−3,3’,
3”−トリイソシアネート−2,4,6−トリフェニル
シアヌレート等のトリイソシアネート;の各イソシアネ
ートを用いることができる。特にジイソシアネート、ト
リイソシアネートが好適であり、更に芳香族系が好まし
い。これらのイソシアネート化合物も、単独で用いて
も、又は2種以上併用しても良い。
【0034】前記高級脂肪酸と多価アルコールとのエス
テル化反応は従来公知のいかなる方法によっても実施す
ることができる。エステル化度は特に限定されない。ま
た、前記の方法に従って調製された高級脂肪酸多価アル
コールエステルと、前記イソシアネート化合物との付加
反応は、従来公知の方法に従い、実施することができ
る。イソシアネート化合物の付加モル数は特に限定され
ないが、高級脂肪酸多価アルコールエステル1モル当た
り、0.1〜5モル程度が好ましい。なお、上記高級脂
肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート付加物は
市販品を用いることもでき、例えば吉川製油(株)製ラ
ノックスFPK−210等が使用可能である。
【0035】上記高級脂肪酸多価アルコールエステルの
イソシアネート重合物は、他の結合剤、就中エチレン−
酢酸ビニル共重合体と共に用いられることが特に好まし
い。上記エチレン−酢酸ビニル共重合体としては、メル
トフローレートが5〜2000dg/min(特に5〜
1000dg/min)のものが特に好ましい。上記メ
ルトフローレートが5dg/min未満であるとインク
の切れが悪く、解像度の悪い転写像になり、2000d
g/minを超えるとインクの流れなどを起こし、正常
均一な熱転写記録ができない場合があるので上記範囲内
とすることが好ましい。
【0036】上記エチレン−酢酸ビニル系樹脂は、上記
高級脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重
合物100重量部に対して、10〜900重量部配合す
ることが好ましい。上記配合量が10重量部未満の場合
には、地汚れ等の問題が生じ、900重量部を超えると
転写像が耐磨耗性に欠けるほか、感度が低下し、高速印
字の際の解像度の低下を来す場合があるので上記範囲内
とすることが好ましい。
【0037】また、上記熱溶融性インク層には必要に応
じて、他の結合剤を添加してもよい。添加する結合剤と
しては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレ
ン、クロルスチレン、ビニル安息香酸、ビニルベンゼン
スルホン酸ソーダ、アミノスチレン等のスチレン、その
誘導体及び置換体の単独重合体及び共重合体を用いるこ
とができる。更に、メチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート、ブチルメタクリレート及びヒドロキシメタ
クリレート等のメタクリル酸エステル及びメタクリル
酸;メチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリ
レート等のアクリル酸エステル及びアクリル酸;ブタジ
エン及びイソプレン等のジエン類;アクリロニトリル、
ビニルエーテル類、マレイン酸及びマレイン酸エステル
類、無水マレイン酸、ケイ皮酸並びに塩化ビニル等のビ
ニル系単量体;の単独あるいは他の単量体との共重合体
も用いることができる。勿論、前記ビニル系ポリマーの
場合はジビニルベンゼン等の多官能単量体を用いて架橋
ポリマーとして使用してもよい。更にまた、ポリカーボ
ネート、ポリエステル、シリコーン系樹脂、フッ素系樹
脂、フェノール樹脂、テンペン樹脂、石油樹脂、水添石
油樹脂、アルキド樹脂、ケトン樹脂及びセルロース誘導
体等を用いてもよい。これらのポリマーもしくはオリゴ
マーを共重合体の形で使用する場合、その共重合体はラ
ンダム共重合体の他、要求用途に合わせて、交互共重合
体、ブロック共重合体及び相互貫入型共重合体等の共重
合様式を適宜選択して用いることができる。また、二種
以上のポリマーやオリゴマーを混合して用いる場合に
は、溶融混合、溶液混合及びエマルジョン混合等の機械
的混合の他、ポリマーやオリゴマー成分の重合時に共存
重合や多段重合法等で混合してもよい。上記他の結合剤
は、上記着色材100重量部に対して100重量部まで
配合することが好ましい。
【0038】更に、必要に応じて従来の熱転写記録媒体
における熱溶融性物質で用いたようなワックス類、オイ
ル類、(液体)可塑剤類、又は樹脂を、上記熱溶融性イ
ンク層に添加してもよい。また、この他、エチレン、プ
ロピレン等のオレフィン系単独重合体もしくは共重合
体、有機酸グラフトオレフィン系共重合体、塩素化パラ
フィン、低分子ウレタン化合物、常温で固体の可塑剤、
界面活性剤等の帯電制御及び/もしくは防止剤、導電化
剤、酸化防止剤、熱伝導率向上剤、磁性体、強誘導体、
防腐剤、香料、ブロッキング防止剤、補強充填剤、離型
剤、発泡剤、昇華性物質、赤外線吸収剤等を上記熱溶融
性インク層中又はこれ以外の層中に添加してもよい。
【0039】上記熱溶融性インク層の厚さに特に制限は
ないが、0.1μm以上3.0μm未満であることが好
ましい。即ち、上記基材シートの厚さを1.0μm以上
3.0μm未満とし、上記ワックス剥離層の厚さを0.
1μm以上3.0μmとし且つ上記熱溶融性インク層の
厚さを0.1μm以上3.0μm未満とすることが好ま
しい。上記範囲の厚さの熱溶融性インク層は、従来用い
られている熱転写記録媒体の熱溶融性インク層の厚さよ
りも薄いものである。上記範囲の厚さの熱溶融性インク
層は、粗紙への被覆が悪いという理由により、従来はあ
まり用いられていなかったが、本発明においては、上記
基材シート、上記ワックス剥離層及び上記熱溶融性イン
ク層の厚さのバランスを調整することによって、かかる
範囲の厚さの熱溶融性インク層を用いることが可能とな
った。このように、上記熱溶融性インク層の厚さを従来
よりも薄くすることによって、上記熱溶融性インク層の
剥離性が一層向上し、走行性が一層向上する。特に、後
述するインクリボンカセットにおいて、インクリボンを
高速走行させる場合に有効である。なお、上記熱溶融性
インク層の厚さの更に好ましい範囲は、0.5〜3.0
μmであり、特に好ましい範囲は、0.5〜2.5μm
である。
【0040】また、本発明の熱転写記録媒体において
は、上記基材シートの面のうち、上記熱溶融性インク層
が設けられる面とは反対の面上に、耐熱性や走行性を更
に向上せしめるためのバックコート層を設けてもよい。
かかるバックコート層は、熱転写の熱源としてサーマル
ヘッドを用いた場合に特に有利である。
【0041】上記バックコート層は、一般にニトロセル
ロース系、シリコーン系やフッ素系の化合物から成る。
好ましくは、上記バックコート層は、アミノ変性シリコ
ーンオイル(例えば、ジメチルポリシロキサンのメチル
基の一部にアミノ基導入せしめたシリコーンオイル)と
多官能イソシアネート(例えば、TDI)との反応生成
物又はシリコーン−ブチラール樹脂から成る。上記バッ
クコート層の厚さは一般に0.01〜0.5μmである
ことが好ましいが、かかる範囲に限定されない。
【0042】また、本発明の熱転写記録媒体において
は、上塗層や通電発熱用抵抗層等を設けてもよい。
【0043】次に、本発明の熱転写記録媒体の好ましい
製造方法について説明する。
【0044】本発明の熱転写記録媒体を製造するには、
まず、上記基材シート上に上記ワックス成分を塗布し
て、ワックス剥離層を形成する。
【0045】上記ワックス成分を上記基材シート上に塗
布する方法に特に制限はないが、例えば、ワイヤーコー
ターによって塗布する方法が挙げられる。
【0046】次いで、ワックス剥離層が形成された基材
シート上に熱溶融性インク塗料を塗布して、熱溶融性イ
ンク層を形成する。
【0047】上記熱溶融性インク塗料の調製は、上記結
合剤を溶解又は安定に分散し得る溶媒若しくは分散媒中
で溶液又は分散エマルジョンとし、ボールミル、サンド
ミル、アトライター、ダイノミル、3本ロール等の混合
分散機により行うことができる。また、着色剤の分散を
上記の方法で行った後、微粒子を添加しホモミキサー、
ディスパー、デッゾルバー等により攪拌混合してもよ
い。更に、溶媒等を用いることなく、3本ロール、ニー
ダー、サンドミル、アトライター等で溶融混合してもよ
い。
【0048】このようにして調製された熱溶融性インク
塗料は上記ワックス剥離層を形成した基材シート上にグ
ラビアコーター、ワイヤーバー等を用いて溶液又は溶融
コート法で塗布、印刷される。また、上記熱溶融性イン
ク塗料をスプレードライ法により粉砕化し、その後、静
電コート法等によって上記ワックス剥離層上に粉体コー
トしてもよい。この場合、粉体コート後更に必要に応じ
て、加熱、加圧、溶剤処理等を行い、上記熱溶融性イン
ク塗料を上記ワックス剥離層上に定着して用いてもよ
い。
【0049】次に、本発明の熱転写記録媒体を具備する
インクリボンカセットについて図面を参照しつつ説明す
る。ここで、図1は、駆動ローラが配設されていないイ
ンクリボンカセットの一態様を示し、上ハーフを省略し
て下ハーフの内面をみた平面図であり、図2は、駆動ロ
ーラが配設されたインクリボンカセットの一態様を示
し、上ハーフを省略して下ハーフの内面をみた平面図で
ある。
【0050】まず、図1に示す、駆動ローラが配設され
ていないインクリボンカセットについて説明する。図1
に示すインクリボンカセットは、インクリボンとして本
発明の熱転写記録媒体を具備し、駆動ローラが配設され
ていないことを特徴とするものである。一般に、インク
リボンの厚さが通常よりも薄い場合には、インクリボン
の走行性を安定化させるために、インクリボンの走行を
補助する駆動ローラがインクリボンカセットに配設され
るが、上記構成を有する本発明の熱転写記録媒体をイン
クリボンとして用いる場合には、上記駆動ローラを用い
ないインクリボンカセットにおいてもインクリボンの走
行性は十分に安定しており、転写像の印字品質も高いも
のとなる。
【0051】図1に示すインクリボンカセットは、上ハ
ーフ及び下ハーフからなるカセット本体内に、インクリ
ボンが巻回された一対の巻取ハブ、供給ハブを収納し、
上記インクリボンを上記カセット内に配設された複数本
のガイドローラ又はガイドピンを介して張設し、且つカ
セットの前端部に、印字ヘッド挿入用凹部を設けたもの
である。そして、上記インクリボンカセットには、上記
インクリボンの走行を補助するための駆動ローラは配設
されていない。更に、上記インクリボンとして、本発明
の熱転写記録媒体が用いられている。
【0052】即ち、図1に示すインクリボンカセット
は、上ハーフ(図示せず)11及び下ハーフ12からな
るカセット本体内に、インクリボン2が巻回された一対
の巻取りハブ31、供給ハブ32を収納し、上記カセッ
ト本体の前端部に、外部に導出された上記インクリボン
2を走行させるヘッド部4を有し、且つ上記インクリボ
ン2の走行を案内する5個のガイドローラ65、66、
67、68、69が配設されている。ガイドローラ6
5、66、67、68、69は、上記インクリボンの巻
き込み等を防止する点からプラスチック製であることが
好ましい。
【0053】以上のように構成された図1に示すインク
リボンカセット1においては、その使用時に上記インク
リボン2は、図1に示す如く、上記供給ハブ32から上
記ガイドローラ65の方向に引き出され上記ガイドロー
ラ65によって反転された後、上記ガイドローラ66及
び67を介して上記ヘッド部4へ導出され、該ヘッド部
4を走行して上記ガイドローラ68を介してカセット本
体内へ戻され、上記ガイドローラ69によって反転され
て上記巻取ハブ31に巻き取られるように、その走行経
路が形成される。なお、上記インクリボンカセット1
は、反転使用可能なものである。
【0054】次に、図2に示す、駆動ローラが配設され
たインクリボンカセットについて説明する。なお、図2
に関する説明において、図1と同じ点については特に詳
述しないが、図1に関して詳述した説明が適宜適用され
る。また、図2において、図1と同じ部材については同
じ符号を付した。
【0055】図2に示すインクリボンカセットは、イン
クリボンとして本発明の熱転写記録媒体を具備し、駆動
ローラを配設していることを特徴とするものである。図
1に関して説明した通り、インクリボンとして本発明の
熱転写記録媒体を具備するインクリボンカセットにおい
ては、インクリボンの走行を補助する駆動ローラを用い
なくてもインクリボンの安定走行が十分に可能である
が、上記駆動ローラを用いるとインクリボンの走行がよ
り一層安定化される。
【0056】図2に示すインクリボンカセット1は、上
ハーフ(図示せず)11及び下ハーフ12からなるカセ
ット本体内に、インクリボン2が巻回された一対の巻取
ハブ31、供給ハブ32を収納し、上記カセット本体の
前端部に、外部に導出された上記インクリボン2を走行
させるヘッド部4を有し、該ヘッド部4と上記巻取ハブ
31との間に、上記巻取ハブ31に巻取られる上記イン
クリボン2の走行を補助する駆動ローラ51が配設さ
れ、且つ上記インクリボン2の走行を案内する4個のガ
イドローラ61、62、63、64が配設されており、
該ガイドローラのうちの一個である上記ガイドローラ6
1は、上記駆動ローラ51と上記巻取ハブ31との間で
上記駆動ローラ51の近傍に配設されており、且つ上記
ガイドローラ61は、上記インクリボン2を、上記駆動
ローラ51の表面の半周面以上と接触させた後上記駆動
ローラ51との接触面の反対側と接触させて上記巻取ハ
ブ31に案内するように配設されている。
【0057】上記インクリボンカセット1においては、
上記駆動ローラ52が上記ヘッド部4と上記供給ハブ3
2との間に上記駆動ローラ51と同様に配設されてお
り、且つ上記ガイドローラ64が上記駆動ローラ52と
上記供給ハブ32との間で上記駆動ローラ52の近傍に
配設されている。
【0058】また、上記駆動ローラ51は、図2に示す
如く、上記ヘッド部4に対して上記巻取ハブ31側の前
端部の隅部近傍に設けられており、上記上ハーフ11及
び上記下ハーフ12に設けられた支持孔に回動自在に嵌
挿されており、上記インクリボンカセット1の使用時
に、駆動源(図示せず)に接続されて駆動し、上記巻取
ハブ31に巻取られる上記インクリボン2の走行を補助
するようになっている。
【0059】そして、上記駆動ローラ51が上述の如く
機能するようにインクリボンカセット1が使用される
際、上記供給ハブ32側の上記駆動ローラ52は、駆動
源に接続されていない。上記駆動ローラ51、52のロ
ーラ面51a、52aは、上記インクリボン2の巻き込
み等を防止する点から、ゴム製ではなくプラスチック製
であることがより好ましい。
【0060】上記ガイドローラ61、62、63、64
は、図2に示す如く、上記ガイドローラ61が上記巻取
ハブ31と上記駆動ローラ51との間に、上記ガイドロ
ーラ62及び63が上記駆動ローラ51、52との間
に、また上記ガイドローラ64が上記供給ハブ32と上
記駆動ローラ52との間にそれぞれ位置して、上記上ハ
ーフ11及び上記下ハーフ12の内側面に設けられた支
持ピン7、7にそれぞれ回動自在に嵌挿されており、上
記インクリボン2を上記供給ハブ32から上記ヘッド部
4を走行して上記巻取ハブ31へと案内するようになっ
ている。
【0061】以上のように構成された図2に示すインク
リボンカセット1においても、上記駆動ローラ51及び
52を用いることを除いては図1に示すインクリボンカ
セットと略同様の走行経路が形成される。また、図2に
示すインクリボンカセットは、図1に示すインクリボン
カセットと同様に反転使用可能なものであり、反転使用
時には、上記駆動ローラ52が巻取り側に位置して上記
駆動源に接続されて上記駆動ローラ51と同様に機能
し、また上記駆動ローラ51が供給側に位置してテンシ
ョン付与ローラとして上記駆動ローラ52と同様に機能
し、更に、上記ローラ面52aが上記ローラ面51aと
同様に作用する。
【0062】図1及び図2に示すインクリボンカセット
において好ましくは、上記インクリボン2と上記ガイド
ローラ65〜69のローラ面65a〜69aとの摩擦係
数(μ)又は上記インクリボン2と上記駆動ローラ5
1、52のローラ面51a、52aとの摩擦係数(μ)
が0.1〜1.4である。摩擦係数(μ)を上記範囲内
とすることによって、インクリボンの走行中にインクリ
ボンが上記ガイドローラや駆動ローラに巻き込まれるこ
とが一層少なくなり、上記巻取ハブに一層円滑に巻き取
られる。上記摩擦係数(μ)が0.1未満であると、上
記ガイドローラや駆動ローラのローラ面でインクリボン
が滑り、駆動力が低下し、1.4を超えると、インクリ
ボンに皺等の変形が生じたり、インクリボンが上記ガイ
ドローラや駆動ローラに巻き込まれることがあるので、
上記範囲内とすることが好ましい。上記摩擦係数(μ)
の更に好ましい範囲は0.1〜1.2である。
【0063】また、図1及び図2に示すインクリボンカ
セットにおいて好ましくは、上記ガイドローラ65〜6
9のローラ面65a〜69a又は上記駆動ローラ51、
52のローラ面51a、52aのショアーA硬度が55
〜98である。ショアーA硬度を上記範囲内とすること
によって、インクリボンと上記ガイドローラや駆動ロー
ラのローラ面との付着がなくなり、インクリボンの走行
安定性が一層向上する。上記ショアーA硬度が55未満
であると、インクリボンと上記ガイドローラや駆動ロー
ラのローラ面との付着が生じインクリボンの走行安定性
が低下し、98を超えるとインクリボンが上滑りし易く
なるので、上記範囲内とすることが好ましい。上記ショ
アーA硬度の更に好ましい範囲は70〜98、特に好ま
しい範囲は80〜98である。なお、ショアーA硬度
は、例えば、TEC LOCK社製のショアー硬度計
(TYPE A)により測定することができる。
【0064】また、図2に示すインクリボンカセットに
おいて好ましくは、上記インクリボン2の上記駆動ロー
ラ51、52への巻き付け角θが0〜270°である。
巻き付け角θを上記範囲内とすることによって、インク
リボンの走行中に、該インクリボンが上記駆動ローラ等
に巻き込まれることなく、上記ガイドローラに案内され
て上記巻取ハブに一層円滑に巻き取られる。上記巻き付
け角θが270°を超えると、インクリボンが上記駆動
ローラに巻き込まれて走行不可能になるおそれがあるの
で、上記範囲内とすることが好ましい。上記巻き付け角
θの更に好ましい範囲は5〜225°である。
【0065】更に、図1に示すインクリボンカセットに
おいては、イ)プラスチック製ガイドローラを用いる要
件、ロ)上記インクリボンと上記ガイドローラのローラ
面との摩擦係数(μ)が0.1〜1.4である要件、及
びハ)上記ガイドローラのローラ面のショアーA硬度が
55〜98である要件のうちの任意の2つの要件を具備
することも好ましく、更に好ましくは上記イ)〜ハ)の
要件すべてを具備する。
【0066】更に、図2に示すインクリボンカセットに
おいては、ニ)プラスチック製駆動ローラを用いる要
件、ホ)上記インクリボンと上記駆動ローラのローラ面
との摩擦係数(μ)が0.1〜1.4である要件、ヘ)
上記駆動ローラのローラ面のショアーA硬度が55〜9
8である要件、及びト)上記インクリボンの上記駆動ロ
ーラへの巻き付け角θが0〜270°である要件のうち
の任意の2つの要件を具備することも好ましく、更に好
ましくは上記ニ)〜ト)の要件うちの任意の3つの要件
を具備し、特に好ましくは、上記ニ)〜ト)の要件すべ
てを具備する。
【0067】また、更に、図1及び図2に示すインクリ
ボンカセットにおいては、インクリボンとして、本発明
の熱転写記録媒体を用い且つ該熱転写記録媒体における
上記ワックス成分として100℃における溶融粘度が1
5cP未満のものを用いることが効果的であり、これに
加えて、上記熱溶融性インク層の厚さを通常よりも薄い
0.1μm以上3.0μm未満とすることが特に効果的
である。
【0068】
【実施例】以下、本発明を更に詳細に説明するが、本発
明は、かかる実施例に限定されない。なお、以下の説明
において、特に示さない限り、部は重量部を意味する。
【0069】〔実施例1〕キャンデリラワックス(特製
特号;野田ワックス製、100℃における溶融粘度;1
4cP、ASTM D−3104に基づく滴点;72
℃)95部とエチレン−酢酸ビニル共重合体5部とをボ
ールミルを用いてトルエン溶剤中に分散して剥離層用塗
料を調製した。そして、この剥離層用塗料を、ワイヤー
バーコーターを用いて、シリコーン系バックコートを塗
布した厚さ2.5μmのPETフィルム(基材シート)
上に塗布し、厚さ1.0μmの熱可塑性剥離層を設け
た。
【0070】次に、下記の配合物をトルエン溶剤中に固
形分20wt%にて仕込み、ボールミルにて20時間分
散して熱溶融性インクを調製した。そして、得られた熱
溶融性インクを上記剥離層の上にワイヤーバーコーター
を用いて塗工し、乾燥させて固形分のみとし、厚さ2μ
mの熱溶融性インク層を有する目的の熱転写記録媒体を
得た。
【0071】 ・カーボンブラック(着色成分) 40部 ・エチレン酢酸ビニル共重合体EV260(5dg/min) 30部 ・ラノリン脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物(100℃に おける溶融粘度:5000cP) 30部 ・トルエン(溶剤) 400部
【0072】このようにして得られた熱転写記録媒体を
幅12.7mmにスリットして、インクリボンを得た。
このインクリボンを図1に示すインクリボンカセットに
組み込んだ。なお、このインクリボンカセットにはプラ
スチック製ガイドローラが配設されている。そして、上
記インクリボンと上記ガイドローラのローラ面との摩擦
係数(μ)は0.15であり、上記ガイドローラのロー
ラ面のショアーA硬度は70であった。このインクリボ
ンカセットをシリアル型感熱転写プリンタ(松下電器産
業(株)製、FW−U1P95 360DPI)によっ
て普通紙(BEKK平滑度160秒)の上に印字を行
い、転写像の濃度を測定した。印字エネルギーと転写像
濃度の関係を調べる為に、濃度調整レバーを操作して印
加電圧を30.0〜36.5Vの間で変化させ、転写濃
度をマクベス濃度計(RD514型)で測定した。その
結果、濃度1.2の転写像を得るのに必要な印加電圧は
33Vであった。印字に際して地肌汚れは認められなか
った。また、上記インクリボンの走行性は良好であっ
た。
【0073】〔実施例2〕パラフィンワックス(HNP
−10;日本精蝋製、100℃における溶融粘度;8c
P、ASTM D−3104に基づく滴点;75℃)9
5部とエチレン−酢酸ビニル共重合体5部とから形成さ
れる剥離層を用いた以外は実施例1と同様の操作を行
い、熱転写記録媒体を作製した。このようにして得られ
た熱転写記録媒体を幅12.7mmにスリットして、イ
ンクリボンを得た。このインクリボンを図2に示すイン
クリボンカセットに組み込んだ。なお、このインクリボ
ンカセットにはプラスチック製駆動ローラが配設されて
いる。そして、上記インクリボンと上記駆動ローラのロ
ーラ面との摩擦係数(μ)は0.15であり、上記駆動
ローラのローラ面のショアーA硬度は70であり、そし
て、上記インクリボンの上記駆動ローラへの巻き付け角
θは170°であった。上記インクリボンカセットにつ
いて実施例1と同様の印字を試みた。転写後の濃度をマ
クベス濃度計(RD514型)で測定した結果、濃度
1.2の転写像を得るのに必要な印加電圧は33.5V
であった。また、インクリボンの走行性は特に良好であ
った。
【0074】〔実施例3〕低分子ポリエチレンワックス
(ポリワックス655;東洋ペトロライト製、100℃
における溶融粘度;6cP、ASTM D−3104に
基づく滴点;87℃)95部とエチレン−エチルアクリ
レート共重合体5部とから形成される剥離層を用いた以
外は実施例1と同様の操作を行い、熱転写記録媒体及び
インクリボンカセットを作製し、印字を試みた。転写後
の濃度をマクベス濃度計(RD514型)で測定した結
果、濃度1.2の転写像を得るのに必要な印加電圧は3
4Vであった。また、インクリボンの走行性は特に良好
であった。
【0075】〔比較例1〕マイクロクリスタンワックス
(Hi−Mic−3090;日本精蝋製、100℃にお
ける溶融粘度;17cP、ASTM D−3104に基
づく滴点;89℃)95部とエチレン−酢酸ビニル共重
合体5部とから形成される剥離層(厚さ1μm)を用
い、上記PETフィルム(基材シート)の厚さを3.5
μmとし、上記熱溶融性インク層の厚さを2μmとした
以外は実施例1と同様の操作を行い、熱転写記録媒体及
びインクリボンカセットを作製し、印字を試みた。転写
後の濃度をマクベス濃度計(RD514型)で測定した
結果、濃度1.2の転写像を得るのに必要な印加電圧は
36.5Vであった。また、インクリボンの走行性は、
特に印字開始直後において不安定であった。
【0076】〔比較例2〕カルナバワックス(精製N
o.1;野田ワックス製、100℃における溶融粘度;
27cP、ASTM D−3104に基づく滴点;83
℃)95部とエチレン−酢酸ビニル共重合体5部とから
形成される剥離層(厚さ3.5μm)を用い、上記PE
Tフィルム(基材シート)の厚さを2.5μmとし、上
記熱溶融性インク層の厚さを2μmとした以外は実施例
1と同様の操作を行い、熱転写記録媒体及びインクリボ
ンカセットを作製し、印字を試みた。転写後の濃度をマ
クベス濃度計(RD514型)で測定した結果、濃度
1.2の転写像を得るのに必要な印加電圧は36.2V
であった。また、インクリボンの走行性は特に印字開始
直後において不安定であった。
【0077】〔比較例3〕ポリエチレンワックス(ポリ
ワックス2000;東洋ペトロライト製、149℃にお
ける溶融粘度;48cP、ASTM D−3104に基
づく滴点;125℃)95部とエチレン−エチルアクリ
レート共重合体5部とから形成される剥離層(厚さ3.
5μm)を用い、上記PETフィルム(基材シート)の
厚さを3.5μmとし、上記熱溶融性インク層の厚さを
2μmとした以外は実施例1と同様の操作を行い、熱転
写記録媒体及びインクリボンカセットを作製し、印字を
試みた。濃度1.2の転写像は得られなかった。また、
インクリボンの走行性は不安定であった。
【0078】上記の結果から明らかな通り、基材シート
の厚さが0.5μm以上3.0μm未満であり且つワッ
クス剥離層の厚さが0.1μm以上3.0μm未満であ
る実施例1〜3の熱転写記録媒体においては、印字の転
写感度の向上による印字品質の改善がなされた。
【0079】これに対して、ワックス剥離層の厚さが
0.1μm以上3.0μm未満であるものの、基材シー
トの厚さが3.0μm以上である熱転写記録媒体(比較
例1)や基材シートの厚さが0.5μm以上3.0μm
未満であるものの、ワックス剥離層の厚さが3.0μm
以上である熱転写記録媒体(比較例2)では、印字の転
写感度は高くない。
【0080】更に、基材シートの厚さ及びワックス剥離
層の厚さがそれぞれ3.0μm以上である熱転写記録媒
体(比較例3)でも、印字の転写感度は高くない。
【0081】このように、本発明の熱転写記録媒体は、
基材シートの厚さを0.5μm以上3.0μm未満とし
且つワックス剥離層の厚さを0.1μm以上3.0μm
未満とすることによる相乗効果によって印字の転写感度
が向上することが判った。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、基材シートの厚さ及び
ワックス剥離層の厚さをそれぞれ特定の範囲とすること
により、印字の転写感度の向上による印字品質の改善さ
れた熱転写記録媒体が得られる。
【0083】また、ワックス成分の100℃における溶
融粘度を15cP未満とすることによって、剥離性が改
善され、走行性、特に、低エネルギー印字における走行
性が向上した熱転写記録媒体が得られる。
【0084】更に、これらに加えて、熱溶融性インク層
の厚さを通常よりも薄い特定の範囲とすることにより、
剥離性が一層改善され、低エネルギー印字における走行
性が一層向上する。しかも、熱転写記録媒体の全体の厚
さを薄くできるので、インクリボンカセット1巻当りの
印字数・量を増加することができ、経済性が向上する。
また、駆動ローラを用いなくとも、インクリボンの安定
走行が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱転写記録媒体を具備し、駆動ローラ
が配設されていないインクリボンカセットの一態様を示
すものであり、上ハーフを省略して下ハーフの内面をみ
た平面図である。
【図2】本発明の熱転写記録媒体を具備し、駆動ローラ
が配設されているインクリボンカセットの一態様を示す
ものであり、上ハーフを省略して下ハーフの内面をみた
平面図である。
【符号の説明】
1 インクリボンカセット 2 インクリボン 4 ヘッド部 11 上ハーフ 12 下ハーフ 31 巻取ハブ 32 供給ハブ 51、52 駆動ローラ 61、62、63、64 ガイドローラ 65、66、67、68、69 ガイドローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢部 信一 栃木県芳賀郡市貝町大字赤羽2606 花王株 式会社情報科学研究所内 (72)発明者 鈴木 淳 栃木県芳賀郡市貝町大字赤羽2606 花王株 式会社情報科学研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シートと、該基材シート上に設けら
    れたワックス剥離層と、該ワックス剥離層上に設けられ
    た熱溶融性インク層とを有する熱転写記録媒体におい
    て、 上記基材シートの厚さが0.5μm以上3.0μm未満
    であり且つ上記ワックス剥離層の厚さが0.1μm以上
    3.0μm未満であることを特徴とする熱転写記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 上記熱溶融性インク層の厚さが0.1μ
    m以上3.0μm未満である、請求項1記載の熱転写記
    録媒体。
  3. 【請求項3】 上記ワックス剥離層のワックス成分が、
    ポリエチレンワックス及びパラフィンワックスから成る
    群から選択される1種又は2種以上である、請求項1又
    は2記載の熱転写記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記熱溶融性インク層が、高級脂肪酸多
    価アルコールエステルのイソシアネート重合物を含有す
    る、請求項1乃至3の何れかに記載の熱転写記録媒体。
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