JPH0825827A - ゴムローラー及びそれを用いたオフセット印刷装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベタと微細ストライプが混在する印刷パター
ンにおいてスケ・ピンホール等を無くし、印刷パターン
全体にわたって安定した品質を実現するとともに、安定
した連続印刷を実現するゴムローラー及びそれを用いた
オフセット印刷装置を提供することを目的とする。 【構成】 ローラー胴１の側面に印刷パターンに応じて
熱吸収率に差をつけるための黒色パターン２を焼き付け
した後、透明のシリコンゴム３を注型しゴムローラーを
構成する。印刷パターンと黒色パターン２が合致するよ
うに印刷機本体にゴムローラーをセットし、連続印刷時
ゴムローラーに隣接するヒーター４でゴムローラーの表
面を加熱乾燥しシリコンゴム３の吸収した溶剤量をパタ
ーンに応じて気化させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、オフセット印刷機にお
いて版面に供給されたインキを被印刷体上に移すために
使用されるゴムローラー及びそれを用いたオフセット印
刷装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、ゴムローラーとオフセット印刷装
置は主として版とゴムローラーからなり、ゴムローラー
は版面上に供給されたインキを受取り、被印刷体上にイ
ンクを移す役割を果たすものであってゴムローラーの構
造としてはアルミやＳＵＳ材から成るローラー胴と前記
ローラー胴側面上に形成されるゴム材例えばシリコンゴ
ム等から構成されている。更に連続印刷時においてはイ
ンキ中に含まれる溶剤がシリコンゴム表面に吸収され、
次第に膨潤して印刷性を低下するのを防ぐためにゴムロ
ーラーに隣接するようにヒーターを配置しゴムローラー
表面全体の加熱乾燥を行っている。

【０００３】以下に従来のゴムローラー及びそれを用い
たオフセット印刷装置について説明する。

【０００４】図３は印刷パターンを示すものである。図
３に示すような印刷パターンでは、インク量の多いベタ
部５と、比較的インク量が少ないストライプ部６が同一
印刷パターンの中に混在しており、ベタ部５において連
続的にスケ・ピンホールの無い品質状態を維持するため
には吸収されるインク中の溶剤を確実に気化させ、ゴム
ロール表面は常に乾燥した状態であるのが望ましいが、
ストライプ部６においては逆に毎回の溶剤吸収量が比較
的少ないので連続印刷時においてはストライプ抜け等の
不良を発生させないためには常に一定量の溶剤でゴムロ
ーラー表面が濡れた状態が必要であった

【０００５】

【発明が解決しようとする問題点】しかしながら、上記
従来のゴムローラー及びそれを用いたオフセット印刷装
置の場合、印刷されるパターンによっては充分に加熱し
たい部分と、常に濡れた状態にする為加熱したくない部
分が混在するものがある。前記の如く、理想的な乾燥条
件の異なる印刷パターンにおいて同一ヒーターで乾燥す
るとなるといずれをも満足しなければならず乾燥条件
（乾燥時間・乾燥温度等）の設定が幅の狭いものとなる
とともに、印刷品質も不安定であった。また、これらの
乾燥条件をヒーターに付加するとなるならば非常に複雑
な構造となるものであった。

【０００６】本発明はこの様な問題点を解決するために
なされたもので、ヒーター構造もこれまでのものと変え
ることなく、非常に簡単な工程を導入するだけで連続印
刷時において常に安定した品質の維持を実現するゴムロ
ーラー及びそれを用いたオフセット印刷装置を提供する
ことを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のゴムローラー及びそれを用いたオフセット印
刷装置は特に加熱乾燥を必要とする部分のローラー胴側
面上に、熱吸収率の高い黒色のパターンを色づけ・焼き
付けを行い、その後、前記ローラー胴の周囲に透明のシ
リコンゴムを注型または張り付けして、ゴムローラーを
形成する。作成したゴムローラーを印刷装置に取り付
け、印刷を実施する。ゴムローラーの周囲にはヒーター
が設置してあり毎回印刷後、ゴムローラー表面全体の熱
乾燥を行うことによってゴムローラー表面上に温度差を
設ける。

【０００８】

【作用】この構成によってローラー胴側面に黒色のパタ
ーンが描かれておれば、ゴムローラーに隣接するように
設置されたヒーターでゴムローラーを加熱乾燥する際
に、黒色パターンの部分においては他の部分よりも熱吸
収効率が上昇し、ゴムローラー表面の温度も他の部分よ
り上昇することになる。その結果、同一のゴムローラー
の中において表面温度差を設けることが可能となり、複
雑なヒーター構造を必要とせず、簡単にパターンに応じ
て溶剤の揮発量に差を持たせることができる。更には、
ゴムローラーの表面状態を安定させ、印刷物の品質のバ
ラツキを少なくすることが可能となる。

【０００９】

【実施例】以下本発明の実施例について図面を参照しな
がら説明する。図１は本発明の実施例におけるオフセッ
ト印刷装置のゴムローラー及びヒーターの構成を示すも
のである。図３は印刷パターンを示すものである。

【００１０】図１において１はローラー胴、２は黒色パ
ターン、３はゴムローラー、４はヒーターである。アル
ミやＳＵＳ材によって形成されるローラー胴１の側面
に、まず印刷パターンに応じて熱吸収率に差をつけるた
め黒色パターン２を焼き付けする。例えば、図３に示す
ようにベタ部５とストライプ部６が混在するような印刷
パターン等の場合、ベタ部５に相当する黒色パターン２
をローラー胴１の側面上に焼き付ける。その後、ローラ
ー胴１の側面に透明のシリコンゴム３を注型し、印刷用
のゴムローラーを構成する。前記ゴムローラーを印刷パ
ターンと黒色パターンが合致するように位置精度よく印
刷機本体にセットする。前記構成の印刷機において連続
印刷を行う。

【００１１】その際、印刷パターンを被印刷体に転写終
了した後、ゴムローラーに隣接するように配置したヒー
ター４でゴムローラーの表面を加熱乾燥する。

【００１２】このような構成によるとゴムローラーの黒
色パターン２のシリコンゴムが他の部分より熱をより多
く吸収し表面温度も上昇する。その結果、黒色パターン
部におけるシリコンゴムの吸収した溶剤量を多く気化さ
せることができる。

【００１３】なお、実施例に示すようなゴムローラーの
形状は円筒状の物だけでなく図２に示すような円筒の一
部を切り欠いた形状で、断面が扇型のローラーでも有効
であり、その場合、このローラー胴１表面に黒色パター
ン２を色付けした後、ＰＥＴ付きの透明シリコンゴムを
接着性のスポンジシートを介して前記ローラー胴１表面
に張り付けてゴムローラーを構成する。

【００１４】

【発明の効果】以上のように本発明はローラー胴側面に
形成された黒色パターンによって、ゴムローラー表面を
加熱乾燥する際に温度差を発生させ、印刷パターンに応
じて溶剤の気化状態を変え、スケ・ピンホールの無い安
定した膜厚を実現することができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のオフセット印刷装置の一実施例のゴム
ローラーの斜視図

【図２】本発明のオフセット印刷装置の一実施例のゴム
ローラーの斜視図

【図３】印刷パターンを示す図

【符号の説明】

１ ローラー胴 ２ 黒色パターン ３ シリコンゴム ４ ヒーター

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ローラー胴と，前記ローラー胴の側面に
   接着性のスポンジシートを介して張り付けられた透明な
   シリコンゴムから構成され、前記ローラー胴の側面上に
   は印刷パターンに対応した黒色の熱吸収パターンが描か
   れており、シリコンゴムの表面上に転写した印刷パター
   ンを熱乾燥することを特徴とするゴムローラー。
2. 【請求項２】 円筒の一部を切り欠いた形状で、断面が
   扇型のローラー胴と，前記ローラー胴に接着性のスポン
   ジシートを介して張り付けられた透明なシリコンゴムか
   ら構成され，前記ローラー胴の側面上には印刷パターン
   に対応した黒色の熱吸収パターンが描かれており、シリ
   コンゴムの表面上に転写した印刷パターンを熱乾燥する
   ことを特徴とするゴムローラー。
3. 【請求項３】 ローラー胴とローラー胴の側面に接着性
   のスポンジシートを介して張り付けられた透明なシリコ
   ンゴムからなり、前記ローラー胴の側面上には印刷パタ
   ーンに対応した黒色の熱吸収パターンが描かれており、
   シリコンゴムの表面上に転写した印刷パターンを熱乾燥
   するゴムローラーと，前記ゴムローラーを加熱乾燥する
   ためのヒーターブロックとを備えたオフセット印刷装
   置。
4. 【請求項４】 円筒の一部を切り欠いた形状で、断面が
   扇型のローラー胴と，前記ローラー胴に接着性のスポン
   ジシートを介して張り付けられた透明なシリコンゴムか
   らなり，前記ローラー胴の側面上には印刷パターンに対
   応した黒色の熱吸収パターンが描かれており、シリコン
   ゴムの表面上に転写した印刷パターンを熱乾燥するゴム
   ローラーと，前記ゴムローラーを加熱乾燥するためのヒ
   ーターブロックとを備えたオフセット印刷装置。