JPH08258030A - プレキャストコンクリート階段用型枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 階段の蹴上げと踏面を構成する仕切板と踊り
場用仕切板とを回動可能に且つ設置位置変更可能に調整
することによって蹴上げと踏面等の寸法の変化に適合す
る機構を有した、工場等において予めコンクリートで製
造できる。 【構成】 固定支持台を成す型枠本体、階段の踏面に対
応する型板部材と蹴上げに対応する型板部材とを断面ほ
ゞＬ字形に一体的に溶接して成る複数個の踏面・蹴上げ
仕切板、該踏面・蹴上げ仕切板を夫々該型枠本体上に回
動調整自在に取付支持する支持部材、隣接する踏面・蹴
上げ仕切板間を連結する連結仕切板、型枠本体上のこれ
ら複数個の踏面・蹴上げ仕切板を左右両側から挟持する
よう型枠本体上に取付けられる階段幅用仕切板から構成
されたことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、予め工場等で製造す
るプレキャストコンクリート階段のための型枠に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、ビルディング等の建物の階段は、
ビルディング等の建物の高さや平面配置等、建物毎の仕
様に応じて階段の蹴上げ部分、踏面部分等の寸法が夫々
異なっており、また、同一建物においても階高が異なる
ことによって階段の蹴上げ部分や踏面部分等の寸法の変
更が余儀なくされるために各建設現場において階段を夫
々製造、施工するのが一般的に行われている製造方法で
ある。

【０００３】すなわち、階段は各建物毎に夫々階高、勾
配、幅、蹴上げ、踏面等の寸法や段数等が異なるため
に、工場等で予めプレキャスト化するのが困難であり、
各建設現場毎に階段の型枠を組んで階段を製造しなけれ
ばならない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従って、この様な状況
の下で、階段をプレキャスト化する場合には、型枠を各
階段の寸法毎にその都度変更して製作することになり、
型枠の製作費用が膨大となり、更に、時間と手間等も掛
かる等の問題が見られる。

【０００５】この発明の目的は、この様な従来における
問題を解決するために、プレキャストコンクリート階段
用型枠の蹴上げおよび踏面を構成する仕切板と踊り場用
仕切板とを回動可能に且つ設置位置変更可能に調整する
ことによって蹴上げと踏面等の寸法の変化に適合する機
構を有した、工場等において予め階段をプレキャストコ
ンクリートによって製造することが出来るプレキャスト
コンクリート階段用型枠を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、この発明に依れば、プレキャストコンクリート階
段用型枠は、固定支持台を成す型枠本体、階段の踏面に
対応する型板部材と蹴上げに対応する型板部材とを断面
ほゞＬ字形に一体的に溶接して成る複数個の踏面・蹴上
げ仕切板、これら複数個の踏面・蹴上げ仕切板を夫々型
枠本体上に回動調整自在に取付支持する支持部材、隣接
する踏面・蹴上げ仕切板間を連結する連結仕切板、型枠
本体上のこれら複数個の踏面・蹴上げ仕切板を左右両側
から挟持するよう型枠本体上に取付けられる階段幅用仕
切板から構成されたことを特徴としている。

【０００７】

【作用】従って、この発明は上述の手段に依って、階段
の高さ、段数、勾配、幅、踏面および蹴上げ等の寸法の
変化に対応して型枠本体上に踏面・蹴上げ仕切板を所要
の角度および間隔を置いて取付けることが出来ると共
に、階段の上下端に接続して上部および下部踊り場を所
要の寸法で設けることが出来るプレキャストコンクリー
ト階段用型枠を設けることが出来るので、これによって
工場等で所要の寸法のプレキャストコンクリート階段を
安価な費用で、且つ容易に、しかも大量に予め造ること
が出来、また、建物の建設期間等の短縮を図ることが出
来るものであり、更に、鉄筋を配置して階段の強化を図
ることが出来ると共に、ほゞ中央に浮き中子型を設けて
肉取りすることによって使用コンクリートの節約と重量
の軽減を図ることが出来る。

【０００８】この発明の他の目的と特長および利点は以
下の添付図面に沿っての詳細な説明により明らかになろ
う。

【０００９】

【実施例】図面の図１乃至図４に示される様に、この発
明のプレキャストコンクリート階段用型枠１０は、固定
支持台を成す型枠本体１１と、型枠本体１１の上面に所
定の間隔を置いて取付けられた複数個の踏面・蹴上げ仕
切板１２と、隣接する踏面・蹴上げ仕切板間に設けられ
る連結仕切板１４と、階段の上下端に設けられる上部お
よび下部踊り場仕切板１５、１６と、階段端部の仕切板
１７、１８と、階段幅の仕切板１９、２０、２１とから
主に構成されている。

【００１０】図示される様に、先ず、型枠本体１１は適
宜なフレーム部材２２と台板２３を枠組して固定支持台
として造られている。踏面・蹴上げ仕切板１２は、図４
に明示される様に適宜な金属板から成り、階段の踏面に
対応する踏面用型板部材２５と、蹴上げに対応する蹴上
げ用型板部材２６とをほゞ直角に近い所要の角度に、例
えば溶接して断面ほゞＬ字形に連結して造られている。
この様な断面ほゞＬ字形の踏面・蹴上げ仕切板１２はそ
の外側、すなわち鈍角側において両端近くで互いに間隔
を置いて図示の様な形状の一対の支持板２７が溶接によ
って一体的に取付けられており、踏面・蹴上げ用仕切板
１２を一層強固に更に補強している。また、各支持板２
７にはボルト２９のための２つのボルト用の孔２８が夫
々設けられている。

【００１１】この様な踏面・蹴上げ仕切板１２を型枠本
体１１に取付支持するために、アングル材の様な取付部
材３０が型枠本体１１の台板２３にボルト３２によって
前後方向に滑動自在に取付けられている。この取付部材
３０の側面部分には一対の円弧状の溝孔３１が設けられ
ていて、踏面・蹴上げ仕切板１２の取付角度を所要の取
付角度θで取付できるよう調整可能に設けられており、
踏面・蹴上げ仕切板１２の支持板２７の孔２８に通され
たボルト２９が取付けられて締め付けられる様に成って
いる。

【００１２】すなわち、踏面・蹴上げ仕切板１２と一体
に成った支持板２７の孔２８にボルト２９を差し込み、
型枠本体１１の台板２３にボルト３２によって取付けら
れた取付部材３０の円弧状の溝孔３１にボルト２９を通
し、所要角度θに調整した位置で締め付けて踏面・蹴上
げ仕切板１２を型枠本体１１の台板２３に取付固定す
る。従って、踏面および蹴上げの寸法変化に対応するよ
う所要の角度θに基づいて所要の個数の踏面・蹴上げ仕
切板１２が所要の間隔を置いて型枠本体１１の台板２３
上に平行に一定の間隔を置いて取付けられる。次いで、
こうして型枠本体１１の台板２３上に取付けられた隣接
する踏面・蹴上げ仕切板１２間の角部分には連結仕切板
１４が、例えば溶接して取付けられる。また、この踏面
・蹴上げ仕切板１２は階段幅に対応した所要の長さに造
られている。階段は、一般的には、例えば建築基準法に
従って大体一定の幅に決められているので、標準的な所
要の幅の踏面・蹴上げ仕切板１２を数種用意するだけで
十分に各種の階段に対応することが出来る。更に、踏面
・蹴上げ仕切板１２の使用個数、取付角度θ、間隔等は
階段の設計仕様によって適宜決められるので、この設計
仕様に従って踏面・蹴上げ仕切板１２が取付配置され
る。

【００１３】この様にして、型枠本体１１上に取付けら
れた所要の数の踏面・蹴上げ仕切板１２に対して一対の
階段幅用仕切板１９が所要の階段幅をもって踏面・蹴上
げ仕切板１２を左右両側から挟持するように型枠本体１
１の台板２３上に取付けられる。

【００１４】型枠本体１１の台板２３上に整列して取付
けられた所要の数の踏面・蹴上げ仕切板１２の、最上部
の段に対応する最上部の踏面・蹴上げ仕切板１２に隣接
して上部踊り場仕切板１５が踏面用板部材２５と同一面
上に位置するように図２の線３３（図１では点３３で示
される）において、例えば溶接して最上部の踏面・蹴上
げ仕切板１２の踏面用型板部材２５の端縁と連結され、
且つ支持台３５および台座３６によって型枠本体１１に
対して所要の角度をもって取付けられている。この上部
踊り場仕切板１５を所要の角度に支持する支持台３５は
図示の様にアングル材の様な適宜なフレーム部材を組合
せて成り、台座３６によって型枠本体１１上に取付支持
される。台座３６は型枠本体１１上に前後方向に滑動自
在に取付けられて固定されるのが好適である。

【００１５】同様に、最下部の踏面・蹴上げ仕切板１２
に隣接して下部踊り場仕切板１６が単独の踏面用型板部
材２５を介して同一平面上に位置されるように溶接して
取付けられる。すなわち、最下部の踏面・蹴上げ仕切板
１２の蹴上げ用型板部材２６の端縁に単独の踏面用型板
部材２５を溶接して取付けて、この踏面用型板部材２５
の他の端縁（図２に線３４で示され、図１には点３４で
示される）に下部踊り場仕切板１６の端縁が溶接して取
付けられる。この踏面用型板２５と下部踊り場仕切板１
６の端縁との溶接した部分（線３４の部分）を基準点と
するのが好適である。この様にして取付けられた下部踊
り場仕切板１６は支持台３７および台座３８によって所
要の角度に支持されている。これら上部および下部踊り
場仕切板１５、１６には、踊り場寸法に対応して階段端
部用仕切板１７、１８が上部および下部踊り場仕切板１
５、１６上に前後方向に滑動可能に取付けられる。ま
た、これら上部および下部踊り場仕切板１５、１６の左
右両側には階段幅用仕切板２０、２１が所要の階段幅を
もって取付けられることは勿論である。

【００１６】また、図５乃至図７に示される様に、プレ
キャストコンクリート階段１の強化を図るために鉄筋７
を配置したり、建物躯体との連結を容易にするために上
部踊り場３および／または下部踊り場４の端部乃至は側
部から突出する様に鉄筋８、９を配置することが出来る
（図８、９）。更に、階段２部分の肉取りを行って使用
コンクリートの量を節約したり、或は重量の軽減を図る
よう階段２部分の裏側のほゞ中央に相当する部分に浮き
中子型を配置して窪み５部分を形成することが出来る。

【００１７】この様に構成されたこの発明のプレキャス
トコンクリート階段用型枠１０を用いて実際にプレキャ
ストコンクリート階段を造るには、次の様にして製造す
ることが出来る。

【００１８】すなわち、先ず、建物の仕様寸法に応じて
設計された所要寸法の階段の段数や段寸法および階段幅
に対応して、所要の数の踏面・蹴上げ仕切板１２を、型
枠本体１１の台板２３上に平行に所要の間隔を置いて且
つ所要の角度θで取付けて設置し、隣接の踏面・蹴上げ
仕切板１２、１２間の角部分を連結仕切板１４で連結
し、必要に応じて最上部および最下部の踏面・蹴上げ仕
切板１２に隣接して上部および下部踊り場仕切板１５、
１６を設けると共に、階段端部用仕切板１７、１８を所
要位置に設置し、左右両側に階段幅用仕切板１９、２
０、２１が取付けられて所要のプレキャストコンクリー
ト階段用型枠１０が形成される。

【００１９】次いで、斯様に形成されたプレキャストコ
ンクリート階段用型枠１０内に鉄筋７を配置し、更に、
必要に応じてプレストレスを導入することもある。ま
た、必要に応じては建物躯体との連結を図るための鉄筋
８、９を上部および下部踊り場３、４の端部または側部
から突出するよう配置したり、或は肉取りのための浮き
中子型を配置して窪み５部分を設けることが出来る。こ
の様に必要な鉄筋３が配置されたプレキャストコンクリ
ート階段用型枠１０内にコンクリートを打設すれば、こ
れによってプレキャストコンクリート階段１を工場等に
おいて予め大量に安価に製造することが出来、建物の建
設期間を短縮することが出来る。また、必要に応じて
は、踏面や蹴上げ部分に相当する部分に適宜なシートや
タイル等を配置してコンクリートを打設すれば、踏面や
蹴上げ部分を好適に仕上げることが出来、美観を一層高
めることが出来る。

【００２０】この様にして、この発明のプレキャストコ
ンクリート階段用型枠１０を用いて造られたプレキャス
トコンクリート階段１の一例が図８および図９に示され
ている。図示される様に、プレキャストコンクリート階
段１は階段２と上部踊り場３と下部踊り場４とから成
り、階段２部分の裏側に窪み５部分が形成され、使用コ
ンクリートの節約や重量の軽減等が図られている。ま
た、この様なプレキャストコンクリート階段１の本体部
分には鉄筋７が埋設されているので、十分強固であり、
鉄筋８、９によって建物躯体との連結を強化することも
出来る。

【００２１】

【発明の効果】この様に構成されたこの発明のプレキャ
ストコンクリート階段用型枠を用いれば、階段の高さ、
段数、勾配、幅、踏面および蹴上げ等の寸法の変化に対
応して型枠本体上に踏面・蹴上げ仕切板を所要の角度お
よび間隔を置いて取付けることが出来ると共に、階段の
上下端に接続して上部および下部踊り場を所要の寸法で
設けることが出来るプレキャストコンクリート階段用型
枠を構成することが出来るので、このプレキャストコン
クリート階段用型枠を用いることによって工場等で所要
の寸法のプレキャストコンクリート階段を安価な費用
で、且つ容易に大量に予め造ることが出来て、建物の建
設期間の短縮を図ることが出来るし、更に、鉄筋等を配
置することによって階段を一層強化することが出来る
し、階段の裏側のほゞ中央部分に相当する部分に浮き中
子型を配置してコンクリートを打設することによって使
用コンクリートの節約と重量の軽減を図ることが出来
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のプレキャストコンクリート階段用型
枠の側断面図である。

【図２】図１のプレキャストコンクリート階段用型枠の
平面図である。

【図３】図１のプレキャストコンクリート階段用型枠の
端面図である。

【図４】図１のプレキャストコンクリート階段用型枠の
拡大部分図である。

【図５】図１のプレキャストコンクリート階段用型枠に
鉄筋を配置した同様な側断面図である。

【図６】鉄筋が配置された図５に示されるプレキャスト
コンクリート階段用型枠の平面図である。

【図７】図５の端面図である。

【図８】この発明のプレキャストコンクリート階段用型
枠を用いて造られた階段の縦断面図である。

【図９】図８の階段の平面図である。

【符号の説明】

１ プレキャストコンクリート階段 ２ 階段 ３ 上部踊り場 ４ 下部踊り場 ５ 窪み ７ 鉄筋 ８ 鉄筋 ９ 鉄筋 １０ プレキャストコンクリート階段用型枠 １１ 型枠本体 １２ 踏面・蹴上げ仕切板 １４ 連結仕切板 １５ 上部踊り場用仕切板 １６ 下部踊り場用仕切板 １７ 階段端部用仕切板 １８ 階段端部用仕切板 １９ 階段幅用仕切板 ２０ 階段幅用仕切板 ２１ 階段幅用仕切板 ２２ フレーム部材 ２３ 台板 ２５ 踏面用型板部材 ２６ 蹴上げ用型板部材 ２７ 支持板 ２８ 孔 ２９ ボルト ３０ 取付部材 ３１ 溝孔 ３２ ボルト ３５ 支持台 ３６ 台座 ３７ 支持台 ３８ 台座

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三浦 正人 宮城県仙台市若林区卸町三丁目４番地の３ 株式会社オー・エム・シー内 (72)発明者 大森 淑孝 千葉県佐倉市大作二丁目４番２号 秩父小 野田株式会社中央研究所内 (72)発明者 児玉 明彦 千葉県佐倉市大作二丁目４番２号 秩父小 野田株式会社中央研究所内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 固定支持台を成す型枠本体、階段の踏面
   に対応する型板部材と蹴上げに対応する型板部材とを断
   面ほゞＬ字形に一体的に溶接して成る複数個の踏面・蹴
   上げ仕切板、該踏面・蹴上げ仕切板を夫々該型枠本体上
   に回動調整自在に取付支持する支持部材、隣接する踏面
   ・蹴上げ仕切板間を連結する連結仕切板、型枠本体上の
   これら複数個の踏面・蹴上げ仕切板を左右両側から挟持
   するよう型枠本体上に取付けられる階段幅用仕切板から
   構成されたことを特徴とするプレキャストコンクリート
   階段用型枠。
2. 【請求項２】 最上部の踏面・蹴上げ仕切板に隣接して
   型枠本体上に取付けられる上部踊り場仕切板、最下部の
   踏面・蹴上げ仕切板に隣接して型枠本体上に取付けられ
   た下部踊り場仕切板を備え、踊り場寸法に対応して上部
   および下部踊り場仕切板上に滑動可能に階段端部用仕切
   板が設けられたことを特徴とする請求項１記載のプレキ
   ャストコンクリート階段用型枠。
3. 【請求項３】 階段の強化を図るために鉄筋を配置する
   と共に、建物躯体と連結する鉄筋を上部および／または
   下部踊り場の端部乃至は側部に配置したことを特徴とす
   る請求項２記載のプレキャストコンクリート階段用型
   枠。
4. 【請求項４】 使用コンクリート量を節約すると共に重
   量の低減を図るようほゞ中央に浮き中子型を配置してコ
   ンクリートを打設することを特徴とする請求項３記載の
   プレキャストコンクリート階段用型枠。