JPH08256486A - 高温超電導体の着磁方法及びその装置 - Google Patents

高温超電導体の着磁方法及びその装置

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JPH08256486A
JPH08256486A JP5768295A JP5768295A JPH08256486A JP H08256486 A JPH08256486 A JP H08256486A JP 5768295 A JP5768295 A JP 5768295A JP 5768295 A JP5768295 A JP 5768295A JP H08256486 A JPH08256486 A JP H08256486A
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Toshiro Higuchi
俊郎 樋口
Yukio Tsutsui
筒井  幸雄
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高温超電導体に印加する磁界の大きさを自由
に変えられ、また強力な磁界が得られ、且つ、この磁界
を維持する間には電気エネルギーをほとんど消費しない
ような、高温超電導体の着磁方法を提供する。 【構成】 液体窒素温度よりも高い臨界温度を有する力
発生用高温超電導体46に対し、同じく液体窒素温度よ
りも高い臨界温度を有する高温超電導体41,42,4
3を用いた磁束ポンプで、超電導閉ループである励磁回
路を構成し、この高温超電導体で構成される部分を液体
窒素などの冷媒で冷却し、超電導状態とした後に、磁束
ポンプを動作させ、その時、励磁回路に誘起される永久
電流が高温超電導電磁石42を流れることによって発生
する磁界を力発生用高温超電導体46に印加し、この磁
界を力発生用高温超電導体46にピン止めさせることに
よって、この力発生用高温超電導体46を永久磁石化す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、産業用や医療用の非接
触支持機構、アクチュエータ、モータ等に用いられる高
温超電導体に磁界をピン止めさせ、着磁するための着磁
方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の高温超電導体、特にバルク高温超
電導体を用いた応用機器には、特開平4−78316号
公報に開示される磁気軸受、特開平5−15011号公
報に開示される磁気浮上運搬装置などがある。これらは
高温超電導体の磁界ピン止め力を利用し安定浮上力を得
ているもので、この高温超電導体と永久磁石の組み合わ
せにより、制御を行うことなく非接触で安定な浮上を実
現するものである。構造的には、特開平4−78316
号公報に開示される高温超電導磁気軸受では、回転子側
に永久磁石、固定子側に高温超電導体が配置されてお
り、特開平5−15011号公報に開示される磁気浮上
運搬装置では、浮上体側に高温超電導体、軌道側に永久
磁石が配置されている。
【0003】これらの機器では、前述のとおり高温超電
導体のピン止め力を利用しているため、高温超電導体に
何らかの形で磁界を印加しピン止めさせる、即ち、高温
超電導体の着磁を行う必要がある。これには、回転子或
いは軌道に配置された永久磁石の発生磁界を用いてい
る。その手順は、次のようになっている。まず、永久磁
石(=回転子、軌道)と冷却前の高温超電導体(=固定
子、浮上体)とを、所定の空隙を介して配置し、常電導
状態である高温超電導体に永久磁石の磁界を印加してお
く。この時、高温超電導体は常電導状態にあり反磁性を
持たないので、磁界はそのまま高温超電導体内に侵入し
ている。その状態で高温超電導体側を、臨界温度以下に
冷却(磁場中冷却)することにより、高温超電導体内に
存在していた磁界の大部分がピン止めされる。これ以降
は、永久磁石と高温超電導体の相対位置を変化させよう
とすると、これを妨げるような復元力が双方間に働き、
非接触で安定な浮上が実現される。
【0004】一方、特開平5−26296号公報に開示
されるように、通常の電磁石を用いて高温超電導体に磁
界を印加し、その磁界をピン止めさせる方法もある。こ
の発明は、先の発明での構成と異なり、高温超電導体を
浮上側、固定側双方に配置し、両者のピン止め力により
安定な浮上を得るもので、高浮上力化、浮上装置の構造
の簡素化を図ろうとするものである。
【0005】この発明では、高温超電導体のピン止めを
次のようにして行っている。磁界を印加しない状態で臨
界温度以下に冷却(ゼロ磁場冷却)された高温超電導体
には、その後、近傍に配置された電磁石でパルス磁場が
与えられ、この磁界がピン止めされる。或いは、上記の
方法で磁界をピン止めした高温超電導体を用いて、もう
一方の高温超電導体に磁界を与え、ピン止めさせる。こ
のようにして磁界をピン止めした一対の高温超電導体、
いわゆる高温超電導永久磁石を用い、浮上力、復元力を
得ている。
【0006】これ以外に、本願の発明者によって既に提
案されている特願平6−6154号公報に開示されてい
るような、磁界をピン止めした高温超電導体と強磁性体
を組み合わせて磁気軸受や磁気浮上装置を構成し、一般
に、装置内で用いられる永久磁石を削減或いは不要とす
ることにより、装置全体の低コスト化、高剛性化を図っ
たものがある。
【0007】この発明では、強磁性体が固定側で、高温
超電導体が浮上側、或いはその逆の配置となり双方間に
働く磁気的吸引力を浮上安定力として用いている。この
力の発生に用いる高温超電導体は、予め永久磁石或いは
電磁石を用いて磁場中冷却することにより、磁界のピン
止め、即ち着磁を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開平4−
78316号公報や特開平5−15011号公報のよう
な、高温超電導体の相方として配置される永久磁石の発
生磁界を用いて高温超電導体を着磁する方法では、使用
する永久磁石の磁界強度と、この磁石と高温超電導体を
どれだけ近づけて冷却するかで、ピン止めされる磁界の
大きさが決定され、これにより浮上力や復元力の強さが
決定されてしまう。これら力の大きさを変えるために
は、使用する永久磁石を取り替える必要がある。
【0009】また、特開平5−26296号公報のよう
に通常の電磁石を用いて高温超電導体を着磁する方法で
は、浮上状態でも必要に応じて高温超電導体に磁界を印
加し、浮上力や浮上距離などを変化させることが可能で
ある。しかし、高温超電導体と電磁石を隣接して配置す
ると、電磁石に電流を流した時に発生するジュール熱が
冷媒の急激な蒸発、或いは高温超電導体の温度上昇を招
く。
【0010】また、電磁石に大電流を流すためにリード
線を大きくする必要があり、このリード線による室温部
からの熱侵入が大きくなり、同じように高温超電導体の
温度上昇を招く。すると高温超電導体のピン止めが低下
し、悪くすると臨界温度を越えて超電導状態が破れる危
険性があった。高温超電導体と冷媒を収めた保冷容器の
外に電磁石を配置する方法もあるが、磁界発生源が高温
超電導体から離れることでピン止めされる磁界も低くな
ってしまう。ジュール熱の伝搬による冷媒の蒸発や高温
超電導体の温度上昇も、完全には避けられない。また、
何れにせよ着磁時に強力な磁界を必要とするために、電
磁石の導体巻数が多くなり、高抵抗、高インダクタンス
となる。すると、この電磁石に電流を供給するための大
容量電源が必要となり、磁場中冷却など長時間高温超電
導体に磁界を印加する場合、多量の電気エネルギーが必
要となる。
【0011】これに対し、特開平5−26296号公報
では、ゼロ磁場冷却した高温超電導体に電磁石でパルス
磁場を印加する、としている。確かに、磁場をパルス的
に発生させることにより、必要とされる電気エネルギー
を低減させることは可能であるが、ジュール熱発生の問
題は避けられない。また、高インダクタンスの電磁石の
場合、短い時間でパルス状の電流を流すためには、電源
電圧を高くする必要がある。更に、既知のとおり、高温
超電導体にピン止めされる磁界は、ゼロ磁場冷却後の高
温超電導体に磁界を印加した場合、同じ磁界を用いて磁
場中冷却を行った場合よりも弱くなる。ピン止め磁界が
弱いと発生する磁気力も弱く、従って、磁場中冷却の場
合に比べて浮上力や復元力、ダンピングが小さくなって
しまう。
【0012】また、特開平6−6154号公報では、そ
の特徴として浮上装置内から永久磁石を排除することの
できる点が挙げられているが、永久磁石を用いて高温超
電導体を磁場中冷却した場合、この永久磁石を高温超電
導体近傍から何らかの方法で取り去らなければならな
い。しかし、磁場中冷却後の高温超電導体と永久磁石と
の間には強力な復元力が働くため、双方を引き離すのは
容易なことではない。
【0013】一方、通常の電磁石を用いて磁場中冷却す
る場合は、前述のようにジュール熱の発生や大容量電源
を必要とする問題が避けられない。以上説明したよう
に、今のところ簡便で強力に高温超電導体を着磁する方
法は確立されていない。現在、高温超電導体のピン止め
浮上を超電導リニアモーターカーに応用する動きもあ
り、今後は高温超電導体の着磁を、どの様に行うかが重
要な課題となってきている。
【0014】本発明は、上記状況に鑑みて、高温超電導
体に印加する磁界の大きさを自由に変えられ、それに伴
う発熱が皆無に等しく、また強力な磁界が得られ、且
つ、この磁界を維持する間には電気エネルギーをほとん
ど消費しないような、高温超電導体の着磁方法及びその
装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 (1)高温超電導体の着磁方法において、磁気浮上装置
や磁気軸受、アクチュエータ、電磁モータの浮上力、保
持力、駆動力、ダンピング発生等のために用いられる、
液体窒素温度より高い臨界温度と強力なピン止め力を有
する高温超電導体(以下、力発生用高温超電導体と呼
ぶ)に対し、同じく、液体窒素よりも高い臨界温度を有
する高温超電導体を用いた磁束ポンプで、超電導閉ルー
プである励磁回路を構成し、前記励磁回路の一部が液体
窒素よりも高い臨界温度を有する高温超電導体を用いた
高温超電導電磁石となっており、前記励磁機構の高温超
電導体で構成される部分を液体窒素などの冷媒で冷却し
超電導状態とした後に、前記磁束ポンプを動作させ、そ
の時、前記励磁回路に誘起される永久電流が、前記高温
超電導電磁石を流れることによって発生する磁界を、前
記力発生用高温超電導体に印加し、この前記磁界を前記
力発生用高温超電導体にピン止めさせることによって、
前記力発生用高温超電導体を永久磁石化するようにした
ものである。
【0016】(2)上記(1)記載の高温超電導体の着
磁方法において、前記励磁回路の高温超電導体で構成さ
れる部分と、前記力発生用高温超電導体とで冷却が独立
に行うことのできる機構を用い、まず前記励磁回路の高
温超電導体で構成される部分を冷却して超電導状態と
し、前記力発生用高温超電導体を十分冷却しない状態、
即ち、常電導状態において前記励磁回路の駆動により発
生する磁界を、前記力発生用高温超電導体に印加し、次
いで、前記力発生用高温超電導体を十分冷却して超電導
状態とするようにしたものである。
【0017】(3)上記(1)記載の高温超電導体の着
磁方法において、前記励磁回路の高温超電導体で構成さ
れる部分と前記力発生用高温超電導体とで冷却を独立又
は同時に行うことのできる機構を用い、前記励磁回路の
高温超電導体で構成される部分と前記力発生用高温超電
導体とが共に十分に冷却され超電導状態となっていると
きに、前記励磁回路が駆動されて発生する磁界を前記力
発生用高温超電導体に印加するようにしたものである。
【0018】(4)上記(1)、(2)又は(3)記載
の高温超電導体の着磁方法において、前記励磁回路が前
記力発生用高温超電導体と独立して設置されており、前
記力発生用高温超電導体に磁界を印加する場合には、こ
の近傍に前記励磁回路の全部又は前記高温超電導電磁石
の部分を配置し、これ以外の場合には前記励磁回路を前
記力発生用高温超電導体から遠ざける態様で用いるよう
にしたものである。
【0019】(5)上記(1)、(2)又は(3)記載
の高温超電導体の着磁方法において、前記励磁回路の少
なくとも前記高温超電導電磁石の部分を前記力発生用高
温超電導体の近傍に常に配置し、前記力発生用高温超電
導体に磁界を印加する時にだけ前記励磁回路を駆動して
磁界を発生させ、これ以外の時は前記励磁回路内部を流
れる前記永久電流をゼロにし、磁界を発生させないよう
にしたものである。
【0020】(6)上記(1)、(2)又は(3)記載
の高温超電導体の着磁方法において、前記励磁回路の少
なくとも前記高温超電導電磁石の部分を前記力発生用高
温超電導体の近傍に常に配置し、前記励磁回路を駆動し
て発生させた磁界を常に前記力発生用高温超電導体に印
加するとにより、前記力発生用高温超電導体にピン止め
される磁界を増大させ、かつ前記力発生用高温超電導体
が組み込まれている磁気回路の磁気抵抗増加などに起因
する、前記ピン止め磁界の減少を防止するようにしたも
のである。
【0021】(7)上記(6)記載の高温超電導体の着
磁方法において、前記力発生用高温超電導体を着磁し、
浮上力、保持力、駆動力を発生させている間に、前記磁
束ポンプを駆動して前記励磁回路中を流れる前記永久電
流を増減し、即ち前記力発生用高温超電導体に印加する
磁界を増減することにより、前記力発生用高温超電導体
が発生する力や浮上時の安定位置を変化させるようにし
たものである。
【0022】(8)高温超電導体の着磁装置において、
液体窒素よりも高い臨界温度を有する高温超電導体を用
いた磁束ポンプからなる超電導閉ループが構成される励
磁回路と、この励磁回路の一部を構成する液体窒素より
も高い臨界温度を有する高温超電導体を用いた高温超電
導電磁石と、この高温超電導電磁石に内装される液体窒
素温度より高い臨界温度と強力なピン止め力を有する力
発生用高温超電導体とを設けるようにしたものである。
【0023】(9)上記(8)記載の高温超電導体の着
磁装置において、前記励磁回路の高温超電導体で構成さ
れる部分の冷却容器と、該冷却容器とは分離された前記
力発生用高温超電導体の冷却容器を設けるようにしたも
のである。 (10)上記(8)記載の高温超電導体の着磁装置にお
いて、前記励磁回路が前記力発生用高温超電導体と独立
して設置されており、前記励磁回路を前記力発生用高温
超電導体から離脱可能な手段を設けるようにしたもので
ある。
【0024】
【作用】本発明によれば、磁束ポンプを駆動した場合に
誘起される永久電流が高温超電導電磁石を流れることに
よって発生する磁界を、力発生用高温超電導体に印加
し、この磁界を力発生用高温超電導体にピン止めさせる
ことによって、高温超電導体の着磁、即ち永久磁石化を
引き起こすものである。
【0025】上述したように、励磁回路内の永久電流が
増大する、又は減少するように磁束ポンプを駆動するこ
とにより、同回路内の高温超電導電磁石の発生磁界、即
ち高温超電導体に印加する磁界の大きさを自由に変える
ことができる。また、励磁回路が超電導閉ループを構成
しているため、磁界発生に伴う発熱は皆無に等しく、ま
た磁束ポンプに駆動力を導入する、或いは電力を供給す
る場合も、室温部からの熱侵入を十分小さくすることが
できるため、高温超電導体の温度上昇を抑えることがで
きる。
【0026】更に、高温超電導導体の電流密度が高いた
め、小型、巻数の少ない高温超電導電磁石でも強力な磁
界を発生させることができる。加えて、励磁回路内の電
流は永久電流であり、減衰がほとんどないので、磁界を
一定に保持する間は磁束ポンプを駆動、或いは電気エネ
ルギーを供給する必要がない。このように、高温超電導
体に印加する磁界を、磁界発生源からの発熱を気にする
ことなく、長期間保持することができ、或いはこの磁界
の大きさを任意に変化させることができるので、高温超
電導体を着磁する場合、磁場中冷却とゼロ磁場冷却後に
磁界を印加する法のどちらにも対応させることができ
る。
【0027】
【実施例】まず、本発明の実施例を述べる前に磁束ポン
プについて説明する。磁気浮上装置や磁気軸受、アクチ
ュエータ、電磁モータの浮上力、保持力、駆動力、ダン
ピング発生等のために用いられる高温超電導体(以下、
力発生用高温超電導体と呼ぶ)に対し、同じく高温超電
導体で構成された、超電導電磁石を含む磁束ポンプ(フ
ラックスポンプ)からなる励磁回路を用いる。
【0028】磁束ポンプは、周知のとおり、超電導電磁
石を含む超電導閉回路へ少量の磁束を反復して汲み込む
ことで大磁束を蓄積し、大電流を超電導電磁石に誘起す
る装置である。誘起される電流の大きさは、磁束を導入
する回数、この磁束の量及び方向を変えることで変化さ
せることができる。また、磁束ポンプ自体が超電導閉回
路であるため、ポンプの駆動を止めても回路内の電流は
永久電流となって流れつづける。
【0029】従って、定常状態では、永久電流の僅かな
減少分を補う以外は電気エネルギーを供給する必要がな
い。金属系超電導体(低温冷媒である液体ヘリウムを使
用するところから低温超電導体とも呼ばれる)からなる
種々の構成が提案されているが、それらは磁束導入法の
違いにより発電型(又は移動磁界型)磁束ポンプと整流
型磁束ポンプとに大別される。
【0030】発電型は超電導板上に磁界を移動させて閉
回路内に磁束を汲み込むものであり、整流型は超電導変
圧器と超電導スイッチ(又は超電導整流器)から構成さ
れる半波或いは全波整流回路である。両型とも、非接触
通電、低発熱、熱絶縁、電流保持性能を持ち、同じく金
属系超電導体を使用した超電導発電機や超電導電磁石の
電流供給源として有望視されている。
【0031】以下、磁束ポンプの原理を、図を参照しな
がら詳細に説明する。図7は、磁束ポンプの一般的な動
作原理を説明するための図である。この図に示すよう
に、超電導閉回路である磁束ポンプ1は主に超電導スイ
ッチ2a,2bと超電導電磁石3とで構成される。超電
導スイッチ2a,2bは、普通臨界磁界の低い超電導体
でできており、オフ、つまり高抵抗にする時はこれに磁
界を印加して常電導にし、オンにするときは磁界を取り
去り超電導に戻す。これ以外に、熱を印加する、或いは
機械的に接点を開くことにより超電導スイッチをオフに
するものである。超電導電磁石を励磁するには、 (1)まず、図7(a)に示すように、磁束ポンプ1全
体を冷却して超電導状態にした後、超電導スイッチ2a
をオフ、超電導スイッチ2bをオンにする。
【0032】(2)次に、図7(b)に示すように、超
電導回路abefに磁束4を導入する。磁束4を導入す
る方法として、棒状永久磁石を回路に近づけたり、電磁
石を置いて、その磁束が回路に鎖交するようにしたもの
などがある。 (3)次に、図7(c)に示すように、超電導スイッチ
2aをオンにする。 (4)続いて、図7(d)に示すように、超電導スイッ
チ2bをオフにする。
【0033】(5)次いで、図7(e)に示すように、
磁束を取り去る。この時、超電導閉回路に鎖交する磁束
量は変化しないという性質のため、回路acdfには取
り去られた磁束4の磁束量を維持するための電流5が誘
導される。Lを回路acdfのインダクタンス(超電導
電磁石3のインダクタンスにほぼ等しい)、磁束4の量
をφとすると、回路内に誘導される電流はΔI=φ/L
である。このサイクルを繰り返せば、超電導電磁石3を
流れる電流5は増加していく。或いは、超電導スイッチ
2a,2bの操作により、回路内に導入された磁束4の
一部を放出したり、それまでと逆の向きの磁束を汲み込
むことにより、電流5を減少させたり逆向きにしたりす
ることができる。
【0034】図8は上述の原理を応用した発電型磁束ポ
ンプの一例の動作原理図である。この磁束ポンプは、主
に超電導薄板11と超電導電磁石12、両者をつなぐ超
電導導体13からなり、超電導閉回路を構成している。
また、超電導薄板11に常電導領域を発生させ、超電導
閉回路内に磁束を汲み込むために、超電導薄板11の近
傍に磁界発生用棒磁石14(以下、単に棒磁石という)
が配置される。この棒磁石14は、一般にその磁極近傍
での磁束密度Bmが、超電導薄板11、超電導電磁石1
2、超電導導体13のそれぞれの臨界磁束密度Bc1
1,Bc12,Bc13と比較して、 Bc12,Bc13>Bm>Bc11 なる関係を持つよう材料や形状が決定される。
【0035】この磁束ポンプの動作原理を説明すると、
次のようになる。超電導薄板11に棒磁石14を近付け
ると、棒磁石14の磁界で超電導薄板11に常電導領域
(ノーマルスポット)15が発生し、そこに磁束(図示
せず)が通る。図中(a)→(d)のように棒磁石14
を動かすと、それにつれて常電導領域15が超電導薄板
11内を移動する。その結果、超電導薄板11と超電導
導体13、超電導電磁石12で構成された超電導閉回路
に磁束が汲みこまれる。
【0036】この後、図中(e)のように棒磁石14を
遠ざけると、汲み込まれた磁束を維持するため回路内に
電流が誘導される。発電型磁束ポンプでは、図7の回路
abefに相当する超電導薄板11が、超電導スイッチ
2a,2bのオンオフと磁束の出し入れを同時に行って
いると考えることができる。棒磁石14を動かすための
別途機構が必要であるが、外部から駆動力を導入する場
合、熱絶縁性の高い材料を用いることで、低温部への熱
侵入を低減することができる。
【0037】図9は発電型ポンプの別の例の動作原理図
である。この磁束ポンプでも、図8と同様に超電導部分
は主に超電導薄板21と超電導電磁石22、両者をつな
ぐ超電導導体23からなる。超電導薄板21近傍に配置
される磁界発生部は、図8の永久磁石から磁界発生用電
磁石24に置き代わっている。この磁界発生用電磁石2
4は複数の電磁石で構成し、多相交流を整流器25で整
流した電源、或いは直流バイアスを加えた交流電源で励
磁され、進行磁界を発生させる。この磁界発生用電磁石
24は、磁極近傍、超電導薄板21が配置される位置で
の磁束密度が、超電導薄板21の臨界磁束密度より高く
なるよう設計されているので、超電導薄板21内に発生
する常電導領域(図示せず)は進行磁界に合わせて移動
する。図8の例と異なり、磁界発生部を移動させる必要
がないので、可動部を持たない発電型磁束ポンプとする
ことができる。また、室温部から磁界発生用電磁石24
に電力を供給するためのリード線が必要であるが、高温
超電導体に直接磁界を印加する場合に比べて電流が小さ
くて済むので、細いリード線とすることができ、室温部
からの熱侵入を小さくすることができる。
【0038】図10は全波整流型磁束ポンプの一例の動
作原理図である。この磁束ポンプは主に一次側コイル3
1aと二次側コイル31bを有する超電導変圧器31、
超電導電磁石32、超電導スイッチ33a,33b、小
電流の交流電源34からなり、この交流電源34を含む
電源部分36が室温部、これ以外は低温部となる。
【0039】この磁束ポンプの動作原理を説明すると、
次のようになる。まず、低温部を冷却して超電導状態と
し、室温部から超電導変圧器31の一次側コイル31a
に交流を印加する。交流の極性が変わった時、もしそれ
まで超電導スイッチ33aがオンで、超電導スイッチ3
3bがオフであったとすると、超電導スイッチ33bを
オンにして超電導スイッチ33aをオフにし、次に極性
が変わったときには、また超電導スイッチ33aをオン
にして超電導スイッチ33bをオフにする。
【0040】この動作を繰り返すことにより、回路の一
部cfには常に直流電圧が生じ、超電導電磁石32には
直流電流35が供給される。室温から超電導変圧器31
の一次側コイル31aに電力を供給するためのリード線
が必要となるが、高温超電導体に直接磁界を印加する場
合に比べて電流が小さくて済むので、細いリードとする
ことができ、室温部からの熱侵入を小さくすることがで
きる。
【0041】以下、本発明の実施例を図を参照しながら
詳細に説明する。図1は本発明の第1実施例を示す高温
超電導体着磁装置の斜視図である。なお、この図におい
て、保冷容器や各部材の支持機構は省略している。図1
に示すように、高温超電導体薄板41と高温超電導導体
43、高温超電導電磁石42(一部破断面で図示)で発
電型磁束ポンプを構成し、励磁用超電導閉回路としてい
る。また、高温超電導電磁石42の内側には、力発生用
高温超電導体46を内装している。高温超電導薄板41
の近傍に配置される回転機構47の先端には、磁界発生
用永久磁石44が固定されている。この磁界発生用永久
磁石44は、高温超電導薄板41の直下を、一端から超
電導閉ループへ、その後閉回路の外側へと向かうよう移
動する。また、この磁界発生用永久磁石44は、その磁
極近傍での磁束密度Bmが、高温超電導薄板41、高温
超電導電磁石42、高温超電導導体43の各臨界磁束密
度Bc41,Bc42,Bc43と比較して、 Bc42,Bc43>Bm>Bc41 なる関係を持つよう材料や形状が決定されている。
【0042】この着磁装置の高温超電導体でできた部分
を臨界温度以下に冷却して超電導状態とし(ゼロ磁場冷
却)、磁界発生用永久磁石44を回転機構47により、
図のように移動させると、磁界発生用永久磁石44が高
温超電導体薄板41の下に来た時点で常電導領域45が
発生し、高温超電導体薄板41を磁束(図示せず)が貫
通する。この常電導領域45が磁界発生用永久磁石44
の動きに合わせて高温超電導体薄板41上を移動し、磁
界発生用永久磁石44が高温超電導体薄板41の下を通
り抜けた時点で、超電導閉回路内に磁束が取り込まれ
る。
【0043】更に、磁界発生用永久磁石44が移動し、
超電導閉回路内に磁界発生源が無くなると、先に取り込
まれた磁束を維持するために、超電導閉回路内に電流が
流れる。ここで、超電導閉回路の電気抵抗はゼロに等し
いので、この電流は永久電流となって流れ続ける。磁界
発生用永久磁石44の移動による超電導閉回路内への磁
束の汲み込みを繰り返すと、永久電流が増大し、これが
流れる高温超電導電磁石42の発生効果が増大する。
【0044】この磁界の大きさが力発生用高温超電導体
46の下部臨界磁界Hclを越えると、この磁界が力発
生用高温超電導体46の内部に侵入・ピン止めされ、着
磁を起こすことができる。このまま永久電流が流れたま
まとし、バイアスとして磁界を印加し続けると、力発生
用高温超電導体46は現状の磁化が維持され、また発生
力、特に吸引力の増強を図ることができる。或いは、超
電導閉回路を開放する、汲み込まれた磁束を排出する、
逆向きの磁束を汲み込む等の方法で永久電流をゼロにし
ても、力発生用高温超電導体46の着磁状態はある程度
維持される。
【0045】更に、力発生用高温超電導体46で浮上
力、保持力、駆動力を発生させている間も、磁束ポンプ
を駆動して永久電流を増減し、力発生用高温超電導体4
6に印加する磁界を増減することにより、力発生用高温
超電導体46が発生する力や浮上時の安定位置を変化さ
せることができる。図2は図1に示した高温超電導体着
磁装置の構成を説明するための回路図である。なお、図
1と同じ番号を用いた部分は、図1の同部分に相当す
る。
【0046】この図に示すように、高温超電導体薄板4
1に仮想的に存在する高温超電導スイッチ41a,41
bの開閉動作により汲み込まれた、常電導領域45を貫
通する磁束(図示せず)が矢印の向きに移動し、高温超
電導体薄板41と高温超電導導体43、高温超電導電磁
石42で構成される超電導閉回路に永久電流48が流れ
る。この永久電流48が高温超電導電磁石42を流れる
ことにより発生する磁界で、内側に配置された力発生用
高温超電導体46を着磁することができる。
【0047】この実施例に使用した磁界発生用永久磁石
44は、図1に示した棒状永久磁石である必要は無く、
角型永久磁石やリング型永久磁石、或いは種々の形状の
電磁石でも良い。また、力発生用高温超電導体46や高
温超電導電磁石42の形状は、図1に示したものに必ず
しも限定されることはなく、その変形は自由であること
は言うまでもない。
【0048】なお、磁束ポンプは、形の上で様々な構成
がよく知られており、この実施例にも別の構成の磁束ポ
ンプを適用することができる。図3は本発明の第2実施
例を示す高温超電導体着磁装置の斜視図であり、図3
(a)はその高温超電導体着磁装置の全体構成図、図3
(b)はその高温超電導体着磁装置の高温超電導体スイ
ッチの構成図である。なお、ここでは保冷容器や各部材
の支持機構は省略している。
【0049】この図3(a)に示すように、高温超電導
変圧器51と高温超電導導体55、高温超電導電磁石5
2(一部断面で図示)で全波整流型磁束ポンプを構成
し、励磁用閉回路としている。また、高温超電導電磁石
52の内側には力発生用高温超電導体56が内装されて
いる。高温超電導変圧器51の一次側コイル51aに
は、電源端子51cを介して外部室温空間から高電圧小
電流の交流を供給する。二次側コイル51bは巻数の両
端及び中間点から端子が出ており、この中間点は高温超
電導電磁石52の一端に接続されており、二次側コイル
51bの両端は高温超電導スイッチ53a,53bを介
した後に接続し、高温超電導電磁石52の他端に接続さ
れている。
【0050】この高温超電導体スイッチ53a,53b
は、図3(b)に示すように、高温超電導導体55を取
り巻く非磁性絶縁体製巻枠57と、これに巻かれた高抵
抗発熱体58とから構成されており、高抵抗発熱体58
に電流端子54a(54b)から電流を流すことにより
発生する熱で、高温超電導導体55の超電導状態を破
り、超電導閉回路内に電気抵抗を発現させて高温超電導
スイッチのオフを行う。
【0051】図4は図3に示した高温超電導体着磁装置
の基本動作を説明するための回路図である。なお、図4
においては、図3と同じ番号を用いた部分は、図3の同
部分に相当する。この動作原理を説明すると、次のよう
になる。まず、低温部を冷却して超電導状態とし(ゼロ
磁場冷却)、室温部から高温超電導変圧器51の一次側
コイル51aに電源端子51cを介して高電圧小電流の
交流を供給する。二次側コイル51bに発生する低電圧
高電流交流の極性が変わったとき、もしそれまで高温超
電導スイッチ53aがオンで高温超電導スイッチ53b
がオフであったとすると、電流端子54bの電流をゼロ
にして高温超電導スイッチ53bをオンにし、反対に電
流端子54aに電流を流して高温超電導スイッチ53a
をオフにする。次に極性が変わった時には、同様の操作
で高温超電導スイッチ53aをオンにして、高温超電導
スイッチ53bをオフにする。この動作を繰り返すこと
により、高温超電導電磁石52には常に永久電流59が
供給され、内装された力発生用高温超電導体56に磁界
が印加される。
【0052】この磁界の大きさが力発生用高温超電導体
56の下部臨界磁界Hclを越えると、この磁界が力発
生用高温超電導体56の内部に侵入・ピン止めされ、着
磁を起こすことができる。このまま永久電流が流れたま
まとし、バイアスとして磁界を印加し続けると、力発生
用高温超電導体56は現状の磁化状態が維持され、また
発生力、特に吸引力の増強を図ることができる。
【0053】或いは、高温超電導スイッチ53a,53
bを開放して永久電流59をゼロにしても、力発生用高
温超電導体56の着磁状態はある程度維持される。更
に、力発生用高温超電導体56で浮上力、保持力、駆動
力を発生させている間にも、磁束ポンプを駆動して永久
電流を増減し、力発生用高温超電導体56に印加する磁
界を増減することにより、力発生用高温超電導体56が
発生する力や浮上時の安定位置を変化させることができ
る。
【0054】この実施例に使用した高温超電導スイッチ
53a,53bは、必ずしも図3或いは図4に示した熱
クエンチ式スイッチである必要はなく、磁界クエンチ式
や機械的スイッチでも良いことは言及するまでもない。
また、高温超電導変圧器51の一次側コイル51aに供
給するのは、正弦波交流でもよいし、パルス状交流でも
良い。更に、力発生用高温超電導体56や高温超電導電
磁石52の形状は、必ずしも図3に示すものに限定され
ることはなく、その変形は自由であることは言うまでも
ない。
【0055】図5は本発明の第3実施例を示す高温超電
導体着磁装置の斜視図である。この図に示すように、こ
の実施例の高温超電導体着磁装置は、力発生用高温超電
導体61を有し、この力発生用高温超電導体61は、保
冷容器62を有し、この保冷容器62は内側容器62a
と外側容器62b(各々、一部破断面で図示)で構成さ
れている。
【0056】一方、高温超電導電磁石63(一部破断面
で図示)、高温超電導磁束導入部65、両者をつなぐ高
温超電導導体(図示せず)からなる励磁用磁束ポンプの
保冷容器64が設けられており、この保冷容器64は、
内側容器64aと外側容器64b(各々、一部破断面で
図示)で構成されている。そして、前記力発生用高温超
電導体61の保冷容器62と、励磁用磁束ポンプの保冷
容器64とは独立しており、別々に冷却が可能となって
いる。
【0057】また、力発生用高温超電導体61の保冷容
器62は、励磁用磁束ポンプの保冷容器64内に位置す
る高温超電導電磁石63の内側に配置される。各保冷容
器62,64の内側容器62a,64a内には冷媒が満
たされ、これら内側容器62a,64aと外側容器62
b,64bとの間の隙間は真空断熱層となっている。な
お、各保冷容器62,64への冷媒供給・排出口や真空
引口、励磁用磁束ポンプの磁束導入部から出る駆動力導
入機構や電流供給線等は省略している。
【0058】この実施例のように、力発生用高温超電導
体61と励磁回路の冷却を独立して行えるようにするこ
とにより、力発生用高温超電導体61を磁界中で冷却す
る、即ち磁場中冷却することができ、ゼロ磁場冷却に比
べてより多くの磁束をピン止めさせることが可能にな
る。
【0059】これは、力発生用高温超電導体61の発生
力増強につながる。また、冷却後もバイアスとして磁界
を印加し続けると、力発生用高温超電導体61は現状の
磁化状態が維持され、更なる発生力、特に吸引力の増強
を図ることができる。あるいは、別途機構による超電導
閉回路の開放などで永久電流をゼロにし、印加磁界をな
くしても力発生用高温超電導体61の着磁状態は大部分
維持される。また、更に、力発生用高温超電導体61で
浮上力、保持力、駆動力を発生させている間にも、磁束
ポンプを駆動して永久電流を増減し、力発生用高温超電
導体61に印加する磁界を増減することにより、力発生
用高温超電導体61が発生する力や浮上時の安定位置を
変化させることができる。
【0060】図6は本発明の4実施例を示す高温超電導
体着磁装置の斜視図である。この図に示すように、力発
生用高温超電導体71は、保冷容器72を有し、この保
冷容器72は内側容器72aと外側容器72b(各々、
一部破断面で図示)で構成されている。一方、高温超電
導電磁石73a,73b、高温超電導磁束導入部75、
両者をつなぐ高温超電導導体(省略)からなる励磁用磁
束ポンプの保冷容器74が設けられており、この保冷容
器74は、内側容器74a外側容器74b(各々、一部
破断面で図示)で構成されている。
【0061】そして、力発生用高温超電導体71の保冷
容器72と、励磁用磁束ポンプの保冷容器74とは独立
しており、別々に冷却が可能となっている。また、磁束
ポンプの保冷容器74内に位置する高温超電導電磁石7
3a,73bで挟まれた力発生用高温超電導体71の保
冷容器72は、その位置から取外し可能となっている。
各保冷容器72,74の内側容器72a,74a内には
冷媒が満たされ、これら内側容器72a,74aと外側
容器72b,74bとの間の隙間は真空断熱層となって
いる。なお、各保冷容器72,74への冷媒供給・排出
口や真空引口、磁束ポンプの磁束導入部から出る駆動力
導入機構や電流供給線等は省略している。
【0062】この実施例のように、力発生用高温超電導
体71と励磁回路の冷却を独立して行えるようにするこ
とにより、力発生用高温超電導体71を磁界中で冷却す
る、即ち磁場中冷却することができ、ゼロ磁場冷却に比
べてより多くの磁束をピン止めさせることが可能にな
る。これは、力発生用高温超電導体71の発生力増強に
つながる。また、力発生用高温超電導体71と励磁回路
を分離できる構造とすることにより、力発生用高温超電
導体71が汲み込まれる装置の小型計量化が可能とな
る。
【0063】上記第3及び第4実施例においても、励磁
回路として使用する磁束ポンプは、周知の種々の構成を
持つ物とすることができる。また、磁場印加対象である
力発生用高温超電導体や、磁場発生用高温超電導電磁石
も種々の形状に変化させることができる。なお、本発明
は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨
に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の
範囲から排除するものではない。
【0064】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
よれば、以下のような効果を奏することができる。 (A)励磁回路である磁束ポンプを駆動することによ
り、励磁回路内の超電導電磁石の発生磁界、即ち高温超
電導体に印加する磁界の大きさを自由に変えることがで
きる。また、励磁回路が超電導閉ループを構成している
ため磁界発生に伴う発熱は皆無に等しく、また磁束ポン
プに駆動力を導入する、或いは電力を供給する場合も、
室温部からの熱侵入を十分小さくすることができるた
め、高温超電導体の温度上昇を抑えることができる。
【0065】(B)超電導導体の電流密度が高いため、
小型、巻数の少ない超電導電磁石でも強力な磁界を発生
させることができ、高温超電導体を強力に着磁すること
ができる。加えて、励磁回路内の電流は永久電流であ
り、減衰がほとんどないので、磁界を一定に保持する間
は磁束ポンプを駆動、或いは電気エネルギーを供給する
必要がない。
【0066】このように、高温超電導体に印加する磁界
を、磁界発生源からの発熱を気にすることなく長期間保
持でき、或いはこの磁界の大きさを任意に変化させるこ
とができるので、高温超電導体を着磁する場合、磁場中
冷却法と、ゼロ磁場冷却後に磁界を印加する法のどちら
にも対応することができる。以上のように、本発明の実
用的効果は著大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す高温超電導体着磁装
置の斜視図である。
【図2】図1に示した高温超電導体着磁装置の構成を説
明するための回路図である。
【図3】本発明の第2実施例を示す高温超電導体着磁装
置の斜視図である。
【図4】図3に示した高温超電導体着磁装置の基本動作
を説明するための回路図である。
【図5】本発明の第3実施例を示す高温超電導体着磁装
置の斜視図である。
【図6】本発明の4実施例を示す高温超電導体着磁装置
の斜視図である。
【図7】磁束ポンプの一般的な動作原理を説明するため
の図である。
【図8】図7の原理を応用した発電型磁束ポンプの一例
の動作原理図である。
【図9】発電型ポンプの別の例の動作原理図である。
【図10】全波整流型磁束ポンプの一例の動作原理図で
ある。
【符号の説明】
1 磁束ポンプ 2a,2b,33a,33b 超電導スイッチ 3 超電導電磁石 4 磁束 5 電流 11,21 超電導薄板 12,22,32 超電導電磁石 13,23 超電導導体 14 磁界発生用棒磁石 15 常電導領域(ノーマルスポット) 24 磁界発生用電磁石 25 整流器 31a 一次側コイル 31b 二次側コイル 31 超電導変圧器 34 交流電源 35 直流電源 36 電源部分 41 高温超電導体薄板 41a,41b,53a,53b 高温超電導スイッ
チ 42,52,63,73a,73b 高温超電導電磁
石 43,55 高温超電導導体 44 磁界発生用永久磁石 45 常電導領域 46,56,61,71 力発生用高温超電導体 47 回転機構 48,59 永久電流 51 高温超電導変圧器 51a 一次側コイル 51b 二次側コイル 51c 電源端子 54a,54b 電流端子 57 非磁性絶縁体製巻枠 58 高抵抗発熱体 62,72 力発生用高温超電導体の保冷容器 62a,72a 内側容器 62b,72b 外側容器 64,74 励磁用磁束ポンプの保冷容器 64a,74a 内側容器 64b,74b 外側容器 65,75 高温超電導磁束導入部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体窒素温度よりも高い臨界温度を有す
    る力発生用高温超電導体に対し、同じく液体窒素温度よ
    りも高い臨界温度を有する高温超電導体を用いた磁束ポ
    ンプで、超電導閉ループである励磁回路を構成し、該励
    磁回路の一部が液体窒素温度よりも高い臨界温度を有す
    る高温超電導体を用いた高温超電導電磁石となってお
    り、該高温超電導体で構成される部分を冷却し、超電導
    状態とした後に、前記磁束ポンプを動作させ、その時、
    前記励磁回路に誘起される永久電流が前記高温超電導電
    磁石を流れることによって発生する磁界を前記力発生用
    高温超電導体に印加し、該磁界を前記力発生用高温超電
    導体にピン止めさせることによって、前記力発生用高温
    超電導体を永久磁石化することを特徴とする高温超電導
    体の着磁方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高温超電導体の着磁方法
    において、前記励磁回路の高温超電導体で構成される部
    分と前記力発生用高温超電導体との冷却を独立に行うこ
    とのできる機構を用い、まず、前記励磁回路の高温超電
    導体で構成される部分を冷却して超電導状態とし、前記
    力発生用高温超電導体を十分冷却しない常電導状態下に
    おいて前記励磁回路の駆動により発生する磁界を前記力
    発生用高温超電導体に印加し、次いで前記力発生用高温
    超電導体を十分冷却して超電導状態とすることを特徴と
    する高温超電導体の着磁方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の高温超電導体の着磁方法
    において、前記励磁回路の高温超電導体で構成される部
    分と前記力発生用高温超電導体とで冷却を独立又は同時
    に行うことのできる機構を用い、前記励磁回路の高温超
    電導体で構成される部分と前記力発生用高温超電導体と
    が共に十分に冷却され超電導状態となっているときに、
    前記励磁回路が駆動されて発生する磁界を前記力発生用
    高温超電導体に印加することを特徴とする高温超電導体
    の着磁方法。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の高温超電導体
    の着磁方法において、前記励磁回路が前記力発生用高温
    超電導体と独立して設置されており、前記力発生用高温
    超電導体に磁界を印加する場合には、その近傍に前記励
    磁回路の全部又は前記高温超電導電磁石の部分を配置
    し、これ以外の場合には前記励磁回路を前記力発生用高
    温超電導体から遠ざける態様で用いることを特徴とする
    高温超電導体の着磁方法。
  5. 【請求項5】 請求項1、2又は3記載の高温超電導体
    の着磁方法において、前記励磁回路の少なくとも前記高
    温超電導電磁石の部分を前記力発生用高温超電導体の近
    傍に常に配置し、前記力発生用高温超電導体に磁界を印
    加する時にだけ前記励磁回路を駆動して磁界を発生さ
    せ、これ以外の時は前記励磁回路内部を流れる前記永久
    電流をゼロにし、磁界を発生させないことを特徴とする
    高温超電導体の着磁方法。
  6. 【請求項6】 請求項1、2又は3記載の高温超電導体
    の着磁方法において、前記励磁回路の少なくとも前記高
    温超電導電磁石の部分を前記力発生用高温超電導体の近
    傍に常に配置し、前記励磁回路を駆動して発生させた磁
    界を常に前記力発生用高温超電導体に印加するとによ
    り、前記力発生用高温超電導体にピン止めされる磁界を
    増大させ、前記ピン止め磁界の減少を防止することを特
    徴とする高温超電導体の着磁方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の高温超電導体の着磁方法
    において、前記力発生用高温超電導体を着磁し、浮上
    力、保持力、駆動力を発生させている間に、前記磁束ポ
    ンプを駆動して前記励磁回路中を流れる前記永久電流を
    増減し、前記力発生用高温超電導体に印加する磁界を増
    減することにより、前記力発生用高温超電導体が発生す
    る力や浮上時の安定位置を変化させることを特徴とする
    高温超電導体の着磁方法。
  8. 【請求項8】 高温超電導体の着磁装置において、
    (a)液体窒素よりも高い臨界温度を有する高温超電導
    体を用いた磁束ポンプからなる超電導閉ループが構成さ
    れる励磁回路と、(b)該励磁回路の一部を構成する液
    体窒素よりも高い臨界温度を有する高温超電導体を用い
    た高温超電導電磁石と、(c)該高温超電導電磁石に内
    装される液体窒素温度より高い臨界温度と強力なピン止
    め力を有する力発生用高温超電導体とを具備することを
    特徴とする高温超電導体の着磁装置。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の高温超電導体の着磁装置
    において、前記励磁回路の高温超電導体で構成される部
    分の冷却容器と、該冷却容器とは分離された前記力発生
    用高温超電導体の冷却容器を具備することを特徴とする
    高温超電導体の着磁装置。
  10. 【請求項10】 請求項8記載の高温超電導体の着磁装
    置において、前記励磁回路が前記力発生用高温超電導体
    と独立して設置されており、前記励磁回路を前記力発生
    用高温超電導体から離脱可能な手段を具備することを特
    徴とする高温超電導体の着磁装置。
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