JPH0825612A - 熱転写装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 被転写面が平面で剛直な被転写体に対して、
密着性と生産性共に優れた性能を発揮する転写装置を提
供する。 【構成】 加熱手段（２）に断面が多角形の加熱ローラ
を用い、転写箔（３）は搬送手段（４，４１，４２）に
より加熱手段の外周面に沿わして搬送する。被転写材
（５）をベルト（６１）等の支持手段（６）により、加
熱手段の外周面に押さえる。ベルトの張力により押さえ
る圧力を得る。ベルトは、加熱手段の回転に合わせて移
動し、被転写材が加熱手段の回転に合わせて外周面に接
したまま移動することを可能にする。そして、剥離手段
（７，７１，７２）により転写箔は滑らかに剥離され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、転写箔を被転写材に転
写する転写装置に関し、特に、平面的で剛直な被転写材
に対して密着性のよい製品を与え、且つ生産性に優れた
転写装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、各種基材を被転写材として、
転写箔による絵付けを利用した転写印刷法が、広く普及
している。用いられる転写箔の基本構成は、被転写材側
に移行して転写される転写層と、転写層を支持する基材
層とからなる。一方、転写印刷法に用いられる転写装置
の転写方式は、通常、図３に示す様に、断面形状が円形
の円柱状のシリコーンゴム製又は金属製の加熱ローラを
加熱手段２とし、被転写材５を加熱ローラの回転と同期
して同方向に移動する支持体６の上に載置する。そし
て、支持体により直線的に移動する被転写材と加熱ロー
ラに間に、転写箔３を挟み、加熱ローラにより転写箔を
被転写材の被転写面に圧接して、転写箔を被転写面に対
して順次熱圧を加えながら転写するものである。この時
の熱圧により、転写箔の転写層が軟化溶融することで被
転写面に密着して転写箔が一時的に貼着する。その後、
転写箔の基材層を剥離し、転写層のみが被転写体に残る
ことで、転写箔による転写が行われる。

【０００３】熱圧による転写印刷法では、得られる転写
物の転写箔（転写層）の密着性は、如何に熱圧を十二分
に加えられるかという点に大きく依存している。このた
め、溶融しやすい転写層を用いれば密着は容易である。
しかし、耐熱性に劣るものとなる。密着には、加熱ロー
ラ、転写箔、被転写材同士が接触してから、転写箔の転
写層が軟化溶融して接着温度まで上昇し、さらに被転写
材と十分に接着するまでの、或る程度の時間が必要があ
る。そこで、加熱ローラの回転速度を遅くして十分な接
触時間を確保すれば密着性は向上するが、被転写材の送
り速度も減少するので生産性が低下し、実用上は一定の
限界がある。一方、生産性の点では、加熱ローラの回転
速度を可能な限り早めた方が好ましいが、密着性と相反
し、密着不良発生しない程度の速度となるが、生産性は
芳しくない。また、加熱温度を上げて密着性向上を図る
こともある程度は出来るが、転写箔が破断したり、被転
写材の表面に焼けが起きて虹の様な模様が生じたりする
ので、やはり実用上は一定の限界がある。

【０００４】そこで、転写時に熱圧が加えられている時
間を延ばすことで、密着性を維持したまま、加熱ローラ
と被転写材との接触時間を長くする試みがなされてい
る。一つの方法は、単純に、加熱ローラの回転速度を落
とす方法だが、試験的には出来ても、生産性の点で実用
的でない。別の方法は、従来と同様の断面が円形の加熱
ローラ（それも出来れば被転写材の大きさとの関係でや
や外周長が大きいものがよい）の外周面に対して、転写
箔を挟持した状態で、被転写材を加熱ローラの回転運動
に同期して移動させてやり、接触時間を長くする方法で
ある（図４参照）。同図で、２は加熱ローラ、３は転写
箔、５は被転写材、６は被転写材を支えて、転写箔を挟
持した状態で加熱ローラの外周面に押し当てながら、加
熱ローラの周速に同期して同一方向に移動するベルト状
の支持体である。この様にして、従来の線接触的な接触
様式から面接触的な接触様式へと変更することで、加熱
ローラの回転速度を落とさずに、接触時間を長くするこ
とが可能で密着性も向上し、しかも、生産性も上げられ
る。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記す
る様な断面が円形形状の加熱ローラを使う限り、面接触
を実現させる為には、被転写材自身が加熱ローラの外周
面に沿った形状であるか、さもなければ、被転写材自身
に一時的にでも該外周面に沿った形状になり得る可撓性
が要求される。従って、被転写材としは、例えば薄いプ
ラスチック、紙、アルミニウム等の金属のシート等に限
定され、厚いプラスチックやガラス、金属の板材等には
適用できない。ところが、実際上、可撓性の無い被転写
材の方が一般的に多く、例えば、家電製品の筐体面やプ
ラスチック製パネル等への絵付けに対しては、全く、そ
の特徴を生かすことができなかった。

【０００６】そこで、本発明は、被転写面が平面的で且
つ剛直な被転写材に対しても、十分な接触時間が確保で
き、その結果、優れた生産性と密着性を与え得る、転写
装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の転写装置は、加熱手段を利用して転写箔を
被転写材に転写する転写装置において、該加熱手段は、
回転軸に垂直な平面で切断した時の断面形状が多角形の
加熱ローラよりなり、上記加熱手段の外周面の一部に密
接し且つ加熱手段の回転に同期して搬送される転写箔に
対して、被転写材を圧接支持する支持手段と、転写箔
を、加熱手段の回転に同期して、巻出部から、加熱手段
と支持手段の間に送り、剥離手段を経て巻取部へ排出す
る搬送手段と、加熱手段と支持手段とによる加熱加圧に
て被転写材に貼着された転写箔を、被転写材から剥離す
る剥離手段と、を備えた構成とする。また、上記転写装
置において、加熱手段をなす、断面形状が多角形の加熱
ローラにて、該多角形の頂点部分が、該頂点を形成する
隣接した２辺と滑らかに連結する曲線を用いた構成とす
る。

【０００８】また、上記転写装置において、支持手段
を、加熱手段の外周面の一部に対向しながら、加熱手段
の回転に同期して同じ方向に移動する、可撓性のあるエ
ンドレスのベルトから構成する。あるいは、上記転写装
置において、支持手段を、加熱手段の外周面の一部に対
向し、且つ相互に隣接して配置された複数の加圧ローラ
と、該加圧ローラを加熱手段の方向に向かう圧力で押当
てる加圧手段と、から構成する。あるいは、また、上記
転写装置において、支持手段を、加熱手段の外周面の一
部に対向しながら、加熱手段の回転に同期して同じ方向
に移動する、可撓性のあるエンドレスのベルトと、当該
ベルトが加熱手段に対向して移動する部分において、当
該ベルトの裏面に相互に隣接して配置された複数の加圧
ローラと、該加圧ローラを加熱手段の方向に向かう圧力
で押当てる加圧手段と、から構成する。

【０００９】

【作用】本発明の転写装置では、加熱手段である加熱ロ
ーラの断面形状が多角形で、加熱ローラ外周面に、多角
形の各辺と加熱ローラ幅とから形成される平面を有する
ために、該平面に対して、平面的な転写面を有する被転
写材を転写箔を挟持した状態に置くことが出来る。一
方、転写箔は搬送手段により、巻出部から加熱手段へ供
給され、加熱手段の外周面の一部に密接して加熱手段の
回転に同期して同一方向へ搬送され、巻取部へと巻かれ
ていく。加熱手段の断面形状は、多角形の各頂点部分に
丸みを持たせるべく、多角形の隣接する２辺に滑らかに
連結する曲線により形成されているために、該頂点部分
の外周面は、角のない滑らかな曲面となり、転写箔は加
熱手段の外周面に密接して搬送される時に、該頂点部分
により切断されることがない。転写箔は、搬送手段によ
り巻出部から連続帯状の形態で加熱手段と支持手段の間
に搬送される。そこでは、転写箔は加熱手段の外周面の
一部に接し、加熱手段からの加熱を受ける。そして、加
熱手段を離れた転写箔は、剥離手段を経て、巻取部で巻
かれる。

【００１０】支持手段により被転写材は加熱手段の外周
面に対して押しつけられる。また、被転写材と加熱手段
の外周面に形成された平面との間に介在する転写箔は、
支持手段と加熱手段とによる圧力と、加熱手段による熱
により被転写材に貼着する。そして、支持手段は、被転
写材が加熱手段の回転に合わせて同一方向に移動するこ
とを助ける。この為、接触時間は、被転写材が加熱手段
の少なくとも外周面に対向している間だけ確保される。
ベルト式の支持手段では、該ベルトの一部が加熱手段の
外周面の一部に対向し、且つ被転写材を加熱手段に圧接
するように配置され、回転する加熱手段の外周の周速に
同期して移動するために、被転写材を加熱手段の回転に
合わせて支持しながら移動させることができる。加圧ロ
ーラ式の支持手段では、加熱手段の外周面の一部に、相
互に隣接して複数配置され、加圧ローラは加圧手段によ
り加熱手段方向に圧せられるため、加熱手段の外周面の
回転と共に同期して搬送される転写箔に対して密着して
移動する被転写材を、加圧ローラの回転により被転写材
を自由移動させつつ、被転写材を加熱手段の外周面に圧
接することができる。また、ベルト式の支持手段の裏面
に加圧ローラ式の支持手段を組み合わせた支持手段で
は、加熱手段の回転に同期したベルト走行による円滑な
被転写材の移動と、加圧ローラによる強力な転写圧を兼
ね備えたものとなる。そして、剥離手段により、転写箔
は滑らかに剥離され、綺麗な転写面が得られる。以上の
様にして、加熱ローラの回転速度を落とさずに、転写の
熱圧が加えられている接触時間が長くすることができ
る。従って、密着性が向上し、しかも生産性も向上す
る。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の転写装置の一実施例を図を用
いて具体的に説明する。図１は、本発明の転写装置の概
念図である。同図で１は、本発明の転写装置、２は本発
明のポイントである断面が多角形の加熱ローラからなる
加熱手段、３は転写箔、４は転写箔の搬送手段であり、
巻出部４１から加熱手段２、そして巻取部４２へと転写
箔を搬送する。５は被転写材、６は支持手段であり、同
図では、エンドレスのベルト６１を利用する。６２はベ
ルト６１に張力をかけるための張力発生手段である。７
は転写箔４を被転写材５から剥離する剥離手段である。
５ａは、転写された被転写材である転写物である。

【００１２】図１で、加熱手段１としての加熱ローラ
は、その回転軸に対して垂直な平面で切断した断面の形
状が正八角形である。従って、加熱ローラは、多角形の
一辺の長さと加熱ローラの幅とによって決まる外形形状
の平面を加熱面として複数有する。図では８個の加熱面
となる。加熱面で被転写材を受けて転写するため、この
加熱面の大きさによって、転写できる被転写材の大きさ
が決まる。被転写材が大きい場合には、それに合わせて
加熱面の大きな加熱ローラを使用すれば良い。なお、加
熱面を一つおきに使用すれば、加熱面を成す多角形の一
辺の長さよりも、幾分大きな形状の被転写材の転写も一
応可能である。多角形の形状は、正多角形に限定される
ものではないが、正多角形とすると、各加熱面の大きさ
が同一となり、また多角形の隣接する辺の交点である各
頂点が、回転軸であり且つ多角形の中心に対して同一距
離をなすために、多角形の外周面の一部に接して搬送さ
れる転写箔、そして被転写材の移動が、円滑にできる点
で好ましい。多角形の角数は、図１では８であったが、
加熱ローラの大きさを同程度とするならば、角数を少な
くすることで加熱面は大きくなり、より大きな被転写材
の転写が可能となる。逆に、円滑に回転して転写させる
為には、角数が多い程よいが、可能な被転写材も小さく
なる。しかし、被転写材の大きさが長方形的であれば、
長辺を加熱ローラの回転軸に平行にし、且つ加熱ローラ
の幅を広くとることで、角数を多く維持しながら、被転
写材の大きさに必要十分な加熱面の大きさを確保するこ
ともできる。

【００１３】また、多角形の頂点は、加熱ローラの外周
面において隣接する加熱面同士が会合する角部分とな
る。多角形が正八角形の時、頂角は１３５°と鋭角では
ないが、角がシャープにできており且つ金属製等の硬質
のものであると、転写箔が外周面に密着して加熱ローラ
と同期して搬送される際に、角部分で破断される危険性
がある。これを回避するために、図２に示すように若干
の丸みをつけることが好ましい。２１は加熱ローラの加
熱面で、Ｖは多角形の頂点で、隣接する加熱面同士が本
来会合する角部分である。Ａの部分の加熱面は平面と
し、Ｂの部分の頂点の近傍を曲面とし、当該曲面がＡの
部分の加熱面に滑らかに連結するようにすると良い。な
お、曲面部の外周上での長さは、角部分により転写箔が
破断しない程度に丸みがあれば十分である。

【００１４】断面が多角形の加熱ローラとしては、転写
箔と接する外周面はシリコーンゴム等の耐熱性のあるゴ
ム又は金属製からなる。ゴム製の場合は、被転写材の被
転写面に若干の凸凹があっても、それを吸収して均一な
転写を行わせることができる。しかし、熱伝導率が劣
る。一方、金属製の場合は、熱伝導率が優れているため
に、転写箔及び被転写体を速やかに加熱することができ
る。加熱ローラの外周面の表面はゴム又は金属製である
が、内部も同一系の素材、又は表面部分のみゴム製で内
部を金属製とすることができる。また、加熱手段として
の加熱ローラは、ローラ内部、ローラの外部、又は内部
と外部の両方に、電気ヒータ等の熱源を有する。ローラ
外部に熱源を設ける場合は、加熱ローラに転写箔が接触
しない部分、図１では加熱ローラの上方に赤外線ヒータ
等の輻射加熱方式、伝導加熱方式、あるいは金属を用い
た加熱ローラに対する誘導加熱方式、ゴムやプラスチッ
ク等を用いた加熱ローラに対する誘電加熱方式等の熱源
を利用する。

【００１５】転写箔３は、搬送手段６によって、巻出部
から加熱ローラ、そして剥離手段を経て巻取部へと搬送
される。搬送手段は図示はしない駆動源によって転写箔
を、加熱手段の回転と同期して同じ方向に搬送する。そ
して、転写箔が加熱手段の外周面の一部にて接する様
に、転写箔を付属のガイドローラにより案内する。

【００１６】図１の実施例では、搬送手段６は、エンド
レスのベルト６１と、張力発生手段６２を備える。ベル
ト６１は、図示はしない駆動源によって加熱手段の回転
と同期して同じ方向へ搬送される。そして、ベルトは加
熱手段の外周面の一部において被転写材を加熱手段の方
向に押し当てながら搬送する搬送路となる様に、搬送手
段が備えるガイドローラにより案内される。また、ベル
トは、張力発生手段６２により張力を与えられ、この張
力が被転写材を加熱手段側に圧接する力に変化する。張
力発生手段は、印刷機等に使用される従来公知のテンシ
ョンコントローラ等を使用する。

【００１７】剥離手段７は、搬送手段側のガイドローラ
７１と、支持手段側のガイドローラ７２とからなる。転
写箔３はガイドローラ７１部分で、図１で進行方向を上
方に向きを変化させられる。一方、ベルト６１はガイド
ローラ７２部分で、図１で進行方向を左方向に変化させ
られる。このため、剥離手段の部分までは、転写箔、被
転写体及びベルトの三者は同一方向に進行して来るが、
剥離手段の部分以降は、被転写材は図で左上方向に進行
する結果、それぞれが別の方向に進行することとなり、
転写箔が被転写材から滑らかに剥離されることとなる。
剥離の後、被転写物５ａは自重によりベルト６１の上に
落下して、ベルトと共にベルト上を進行する。

【００１８】以上説明した本発明の転写装置の一実施例
において、実際に転写を行うには、ベルト６１が加熱ロ
ーラ２に接近する部分に、被転写材を手差で挿入し、そ
して被転写材は加熱ローラとベルトにより熱圧を加えら
れて、剥離手段７の部分に来て剥離手段７通過直後、あ
るいはベルト上に落下しベルトに乗せられ移動していく
過程で、転写された転写物５ａを取り出せば良い。な
お、被転写材を手差で挿入する代わりに、ロボットハン
ドによって、加熱手段の回転と同期して、挿入する様に
しても良い。

【００１９】次に、本発明の転写装置の別の実施例を図
５及び図６で説明する。それぞれ、図１の転写装置に対
して支持手段の支持方法が異なる。図５の転写装置の支
持手段６は、加熱手段の外周の一部に対向する様にし
て、且つ互いに隣接して配置された多数の加圧ローラを
用いる。同図では、加熱手段の加熱面に沿って移動して
加熱面から離れて剥離手段に至る転写箔に沿って、加圧
ローラは配置される。加圧ローラの配置は、少なくと
も、転写箔が加熱手段の加熱面に接している部分の一部
にあれば、熱圧を加える目的は達成できる。転写箔が加
熱面から離れて剥離手段に至る部分の、加圧ローラの配
置は任意である。この部分の加圧ローラの目的は、被転
写材が自重で落下しない様に防止することであり、他の
手段によっても構わない。

【００２０】加圧ローラ６３は加圧手段６４により支持
されている。加圧手段は、加圧ローラの回転軸が加熱ロ
ーラの概ね回転軸方向に対して直線的に移動自在にし、
且つ加圧ローラを加熱ローラの概ね回転軸方向に押す、
働きを受け持つ。加圧手段は、例えば、空気圧又は油圧
等による圧力シリンダーや、あるいはスプリングによる
反発力を利用した支持具からなる。加圧ローラの配置数
及びその間隔は、加熱ローラ及び被転写材の大きさによ
り適宜選べばよいが、数多く密に配置すれば、より滑ら
かな被転写材の移動が可能となる。

【００２１】図５の加圧ローラ方式の支持手段を備えた
転写装置において、実際に転写を行うには、ベルト方式
と同様に、加圧ローラ６３が加熱ローラ２に接近する部
分に、被転写材を手差で挿入し、そして被転写材は加熱
ローラと加圧ローラとにより熱圧を加えられて、剥離手
段７の部分に来て剥離手段７を通過直後に、転写された
転写物を取り出せば良い。なお、被転写材を手差で挿入
する代わりに、ロボットハンドによって、加熱手段の回
転と同期して、挿入する様にしても良い。

【００２２】図６の転写装置の支持手段６は、図１の転
写装置の支持手段として用いたベルト６１の裏側に、図
４の転写装置の支持手段で用いた加圧ローラ６３と加圧
手段６４とを組み合わせたものである。この様にする
と、被転写材の進行方向に合わせたベルトによる滑らか
な移動と、直接的で強圧が可能な加圧ローラによる加圧
特性の、両方の利点を有する支持手段とすることができ
る。なお、この場合、ベルトに張力を与える張力発生手
段の目的は、少なくともベルトが弛まない程度の張力を
与えれば良い。

【００２３】

【発明の効果】以上説明した如く、本発明による転写装
置では、加熱ローラの加熱面が平面であり、しかも加熱
ローラが回転体である。このため、接触時間中の接触面
を被転写材の被転写面全面とすることができ、なお且つ
被転写材を加熱ローラの外周に沿って移動させる得るベ
ルト等の支持手段によって、転写箔が被転写材に加熱加
圧されている接触時間を長くとれる。この結果、転写箔
及び被転写材に供給される熱量及び圧力を十分に確保す
ることができる。従って、剛直で平面の被転写面を有す
るの被転写材に対して、優れた密着性と優れた生産性と
いう相反する特性を実現するという顕著な作用効果を奏
する。

【００２４】

【表１】

【００２５】上記表１は、断面形状が多角形の加熱ロー
ラを採用した本発明の転写装置の優れた性能を、従来の
転写装置と対照したものである。従来の転写装置とし
て、広く普及している図３に示す断面が円形の加熱ロー
ラと直線的な支持手段との組合わせと、その改良の試み
である図４に示す装置である、断面が円形の加熱ローラ
とベルト方式の支持手段との組合わせを比較する。この
装置では、可撓性の無い被転写体への転写が不可能であ
るから、転写性は「不可」であり、従って、表１では、
転写の生産性、さらに、転写後の密着性も転写されない
ので評価できるものではないので、一応「不可」と表現
した。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の転写装置の一実施例の概念図

【図２】本発明の転写装置に使用される加熱手段の断面
形状の一例

【図３】従来の転写装置による転写方式の概念図

【図４】従来の転写装置による別の転写方式（改良方
式）の概念図

【図５】本発明の転写装置の別の一実施例の概念図

【図６】本発明の転写装置の別の一実施例の概念図

【符号の説明】

１ 転写装置 ２ 加熱手段（加熱ローラ） ３ 転写箔 ４ 搬送手段 ４１ 巻出部 ４２ 巻取部 ５ 被転写材 ５ａ 転写物 ６ 支持手段 ６１ エンドレスのベルト ６２ ベルト張力発生手段 ６３ 加圧ローラ ６４ 加圧手段 ７ 剥離手段 ７１ 転写箔側ガイドローラ ７２ ベルト側ガイドローラ Ａ 加熱ローラの加熱面の平面部 Ｂ 加熱ローラの加熱面の曲面部 Ｖ 多角形の頂点

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 加熱手段を利用して転写箔を被転写材に
   転写する転写装置において、 該加熱手段は、回転軸に垂直な平面で切断した時の断面
   形状が多角形の加熱ローラよりなり、 上記加熱手段の外周面の一部に密接し且つ加熱手段の回
   転に同期して搬送される転写箔に対して、被転写材を圧
   接支持する支持手段と、 転写箔を、加熱手段の回転に同期して、巻出部から、加
   熱手段と支持手段の間に送り、剥離手段を経て巻取部へ
   排出する搬送手段と、 加熱手段と支持手段とによる加熱加圧にて被転写材に貼
   着された転写箔を、被転写材から剥離する剥離手段と、
   を備えたことを特徴とする転写装置。
2. 【請求項２】 前記加熱手段をなす、断面形状が多角形
   の加熱ローラにて、該多角形の頂点部分が、該頂点を形
   成する隣接した２辺と滑らかに連結する曲線からなるこ
   とを特徴とする請求項１記載の転写装置。
3. 【請求項３】 支持手段が、加熱手段の外周面の一部に
   対向しながら、加熱手段の回転に同期して同じ方向に移
   動する、可撓性のあるエンドレスのベルトからなること
   を特徴とする請求項１又は２記載の転写装置。
4. 【請求項４】 支持手段が、加熱手段の外周面の一部に
   対向し、且つ相互に隣接して配置された複数の加圧ロー
   ラと、該加圧ローラを加熱手段の方向に向かう圧力で押
   当てる加圧手段と、からなることを特徴とする請求項１
   又は２記載の転写装置。
5. 【請求項５】 支持手段が、請求項３記載の支持手段で
   あるベルトと、当該ベルトをその裏面から加熱手段方向
   に押当てる請求項４記載の支持手段である加圧ローラ及
   び加圧手段と、からなることを特徴とるす請求項１又は
   ２記載の転写装置。